JP4301718B2 - 給湯器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、燃焼排気により通水を加熱する熱交換器を備えた給湯器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から給湯器は、給水管および出湯管が接続される熱交換器と、この熱交換器を加熱するバーナと、バーナに燃焼用空気を供給するファンとを備え、バーナの燃焼により熱交換器で通水を加熱し、出湯管より出湯する強制燃焼式給湯器が一般的に知られている。
こうした給湯器の中には、熱効率を向上するために、バーナから発生した燃焼排気中の水蒸気を凝縮させて、その潜熱と顕熱とを熱交換器で回収する潜熱回収型給湯器がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、凝縮したドレンが燃焼排気中の硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)と反応して酸性になるため、こうした潜熱回収型給湯器では、中和処理をしなければならず、コストが非常に高かった。また、発生した酸性ドレンにより熱交換器が腐食しやすく、その耐久性が悪かった。
【0004】
一方、給湯器には中和装置の不要な顕熱回収型もあるが、ドレンを全く発生させないようにするため、燃焼排気の温度を大幅に低下させることができず、余裕分も考慮すると、熱交換器全体の熱効率は68%程度にしかならなかった。
尚、熱交換器やバーナを収納した燃焼室の内胴の周りには給水管が巻回され、通水が熱交換器へ流れる前に予熱されて10%程度熱を回収しているため、給湯器全体としての総熱効率は78%程度であるが、依然として低かった。
そこで、本発明の給湯器は上記課題を解決し、ドレンの中和処理を不要とし熱交換器の耐久性を損なわない高熱効率の給湯器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1記載の給湯器は、
主伝熱管を有し、バーナの燃焼排気から顕熱を回収して伝熱管内の通水を加熱する主熱交換器と
複数の副伝熱管を有し、上記主熱交換器で顕熱回収された燃焼排気から潜熱を回収して各副伝熱管内の通水を加熱する副熱交換器とを備え
上記各副伝熱管にそれぞれ対応する複数のドレン蒸発器を、上記副熱交換器の下方に設け、
上記副熱交換器で潜熱回収によって各副伝熱管に生じたドレンを、上記各副伝熱管に対応するドレン蒸発器で各々受けると共に該ドレンを燃焼排気により加熱して蒸発させる給湯器において、
副熱交換器の上方から見たときに、上記各ドレン蒸発器が上記各副伝熱管に隠れないように、各々のドレン蒸発器を、対応する副伝熱管の真下位置からずらして設け、
上記各副伝熱管に、下部先端部が各副伝熱管に対応するドレン蒸発器の上方位置にまで延設された案内フィンを取り付けて、各副伝熱管で生じたドレンを、対応するドレン蒸発器に案内することを要旨とする。
【0006】
また、上記課題を解決する本発明の請求項2記載の給湯器は、請求項1記載の給湯器において、
上記主熱交換器における各部の表面温度を平均化しドレンを発生させることなく熱交換させて燃焼排気から顕熱を回収することを要旨とする。
【0007】
また、上記課題を解決する本発明の請求項3記載の給湯器は、請求項1または2記載の給湯器において、
上記ドレン蒸発器は、ドレンを受け取る受部と、受部から延設され該受部から流れて来たドレンを蒸発させる蒸発部とを備えたことを要旨とする。
【0008】
また、上記課題を解決する本発明の請求項4記載の給湯器は、請求項1〜3の何れかに記載の給湯器において、
上記副熱交換器でのドレン発生量を上記ドレン蒸発器の蒸発能力以下にしたことを要旨とする。
【0009】
また、上記課題を解決する本発明の請求項5記載の給湯器は、請求項1〜4の何れかに記載の給湯器において、
上記ドレン蒸発器の少なくとも上面を親水性のある耐熱材料で形成したことを要旨とする。
【0011】
また、上記課題を解決する本発明の請求項記載の給湯器は、請求項1〜の何れかに記載の給湯器において、
上記副熱交換器の表面に溌水処理を施したことを要旨とする。
【0012】
上記構成を有する本発明の請求項1記載の給湯器は、バーナから発生した燃焼排気が主熱交換器を加熱してから余熱で副熱交換器を加熱する。この際、燃焼排気はドレン蒸発器も加熱する。
供給された通水が副熱交換器の伝熱管内を流れながら加熱され、主熱交換器の伝熱管内を流れながら更に加熱される。
従って、燃焼排気は、先ず主熱交換器で冷却されて顕熱の多くが回収され、主熱交換器よりも低温の湯が流れる副熱交換器でドレンの発生する温度まで冷却されてドレンを発生して顕熱と蒸発潜熱とが回収される。
副熱交換器で発生したドレンは、ドレン蒸発器で受け取られ蒸発して燃焼排気中へ戻すため、給湯器の外部へドレンを排出させない。この結果、ドレンを蒸発させるために、回収した潜熱分と同量の顕熱が使われるが、ドレンの中和装置を設ける必要がない。
このようにして、ドレンを器体外に排出することなく、主熱交換器と副熱交換器とで顕熱により効率良く通水を加熱して給湯する。
また、副熱交換器で発生したドレンは、案内フィンを伝ってドレン蒸発器に案内され、ドレン蒸発器で蒸発する。
ドレン蒸発器が副熱交換器の副伝熱管の真下よりもずらして設られているため、ドレン蒸発器で発生する蒸気は、副伝熱管に接触しにくくなり、この伝熱管上で再びドレンになることが抑制され、燃焼排気と共に器体外へ良好に排出され、器体内にドレンが残らない。しかも、ドレン蒸発器は、燃焼排気の副熱交換器への接触を妨害せず、副熱交換器の熱効率を向上させる。
また、案内フィンの下部先端をドレン蒸発器の上方に配置したため、ドレン蒸発器が副伝熱管の真下よりもずらして設られても、ドレンは、案内フィンを伝ってドレン蒸発器へ良好に移動し、ドレン蒸発器以外の所へ落下することはない。
しかも、案内フィンにより、副熱交換器で発生したドレンがドレン蒸発器に円滑に案内され次々に蒸発していくため、ドレンが副熱交換器に留まりにくくなり、酸性ドレンによる副熱交換器の腐食を防止でき、副熱交換器の耐久性が向上する。
【0013】
また、上記構成を有する本発明の請求項2記載の給湯器は、主熱交換器が、ドレンを発生させない温度でバーナから発生した燃焼排気の顕熱の多くを通水上流側から下流側まで平均的に回収できる。つまり、主熱交換器でドレンを発生させずに熱効率を向上することができる。
【0014】
また、上記構成を有する本発明の請求項3記載の給湯器は、副熱交換器で発生したドレンがドレン蒸発器の受部に受け取られ、受部のドレンが蒸発部へ移動して蒸発する。
蒸発部が副熱交換器の伝熱管の真下よりもずれた位置に設けられるため、蒸発部から発生する水蒸気は、上昇する際に副熱交換器に接触しにくく、副熱交換器で再凝縮しにくく、つまり、副熱交換器とドレン蒸発器との間で液化と気化とを繰り返さなくなり、良好に器体外へ排出される。
【0015】
また、上記構成を有する本発明の請求項4記載の給湯器は、主熱交換器の温度を露点近くまで下げて、燃焼排気の顕熱の多くを主熱交換器で回収するため、主熱交換器でドレンを全く発生させずに熱効率を向上することができる。
また、副熱交換器で発生したドレンを全てドレン蒸発器で蒸発させるため、ドレン蒸発器にドレンが残ることがなく、ドレンの中和処理が不要になる。
【0016】
また、上記構成を有する本発明の請求項5記載の給湯器は、ドレン蒸発器の上面は親水性があるため、副熱交換器から落下してきたドレンは、ドレン蒸発器上で薄く拡散し、蒸発が促進される。
【0018】
また、上記構成を有する本発明の請求項記載の給湯器は、副熱交換器の表面が溌水処理されているため、発生したドレンが酸性ドレンになる前にはじかれてドレン蒸発器へ円滑に移動し、この結果、副熱交換器の耐久性が向上すると共に、ドレンを次々と発生させて熱効率が向上する。しかも、これは滴状凝縮なので膜状凝縮よりも熱効率が高い。
【0019】
【発明の実施形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の給湯器の好適な実施形態を説明する。
本実施形態の給湯器は、図1に示すように、器具本体12内に燃焼室20が設けられ、その下方にDCモータ48と連結した給気ファン36が取り付けられる。尚、器具本体12には、外気を燃焼用空気として取り込むための給気口30が形成される。
【0020】
燃焼室20内には、下から順に、燃料ガスと給気ファン36からの一次空気との混合ガスを燃焼するバーナ22と、バーナ22からの燃焼排気の顕熱の多くを回収する主熱交換器18と、ドレンを受けて蒸発させるドレン蒸発器17と、主熱交換器18で回収しきれなかった顕熱とドレンを発生させて回収する潜熱とを回収する副熱交換器19とが設けられる。燃焼室20の上部には、主熱交換器18,副熱交換器19で熱交換後の燃焼排気を器体外へ排出する排気口44が形成される。
【0021】
器具本体12内に設けられる通水管は銅製で、上流から順に、燃焼室20を外側で巻回する給水管14,副熱交換器19として設けられ奥行方向で蛇行する副伝熱管19a,主熱交換器18に設けられ同じく奥行方向で蛇行する主伝熱管18a,出湯管16からなる。
ドレン蒸発器17は、後述の熱回収フィン18b間を通過する燃焼排気が副伝熱管18aに接触することを妨げないように、副伝熱管18aの真下には設けられず、左右にずらして設けられ、上から見ると副伝熱管19aによって隠れない。
このドレン蒸発器17は、ステンレス製であり、最も近い副伝熱管19aの鉛直線から幅方向に離れるほど上方へ傾斜して延びる断面皿状で奥行方向に延びて形成され、その上表面は、親水性を高めるために、ショットブラスト加工により粗くされ、しかも、チタンコートによる耐食処理が施されている。尚、ドレン蒸発器17は、機能的に区分すると、副伝熱管19aの鉛直線に近くてドレンを受ける皿底部の受部17aと、副伝熱管18aの鉛直線から離れて上方へ傾斜してドレンを蒸発させる蒸発部17bとからなる。
【0022】
また、主伝熱管18aには、燃焼熱を吸収をする多数の熱回収フィン18bが奥行方向に設けられ、通水上流ほど熱回収フィン18bの形成ピッチが大きい。一方、副伝熱管19aには、発生したドレンを左右のドレン蒸発器17へ案内する多数の案内フィン19bが奥行方向に3mm程度のピッチで設けられる。この案内フィン19bの各下部先端は、ドレン蒸発器17の受部17aの真上に配置される。
【0023】
給水管14には水流センサや水ガバナを備える水側制御ユニット50が設けられ、またバーナ22へのガス管52には主電磁弁54及びガス比例弁56が設けられる。
また、水側制御ユニット50内の水流センサや、主電磁弁54及びガス比例弁56、そしてDCモータ48等は、この給湯器10の燃焼を制御するバーナコントローラ58に電気的に接続されている。
【0024】
このように構成された給湯器10では、図示しない給湯栓を開くことにより給水管14に水(図中破線矢印)が流れ、水側制御ユニット50内の水流センサからの検知信号によりバーナコントローラ58が制御動作を行い、給気ファン36がDCモータ48の駆動により回転し始める。所定のプリパージが完了すると、バーナ22の主電磁弁54及びガス比例弁56が開いてバーナ22にガス(図中実線矢印)が供給され、図示しないイグナイタによりバーナ22に点火が行われる。
【0025】
点火動作が終了すると、比例制御が開始され、図示しない出湯温サーミスタで検出される湯温と設定温度との差があると、バーナコントローラ58でそれを判断しガス比例弁56へ信号を送り、ガス量を連続的に変化させて熱交換器18の出口温度を一定に保つ。また、ガス比例弁56によるガス量の変化に応じてバーナコントローラ58から給気ファン36のDCモータ48に信号が送られ、給気ファン36の回転数も変えられ、常にガス量と給気量とが所定の関係に保たれるように制御される。
【0026】
このような燃焼制御において、給気ファン36の動作に伴い、器具本体12に設けられる給気口30より外気が器具本体12内に吸引され、バーナ22へ導入されて燃焼用空気として燃焼に供される。
バーナ22の炎口近傍では混合気が燃焼して火炎を形成し、主熱交換器18の上流側近傍に至る間に燃焼が完結(完全燃焼)する。
主熱交換器18を排気流路の上流に設け、副熱交換器19を排気流路の下流に設けたため、バーナ22からの高温の燃焼排気が、給気ファン36により主熱交換器18の各熱回収フィン18b間を貫流し良好に熱交換し、これにより温度の下がった燃焼排気が、副熱交換器19においても多少熱交換して排気口44から器具の外へ排出される。
【0027】
主熱交換器18では、多数の熱回収フィン18bを設けて、ドレンが発生する限界温度(露点)近くまで燃焼排気温度を低下させることによって、主熱交換器18でドレンを全く発生させずに主熱交換器18の熱効率が75%になり高くすることができる。
一方、副熱交換器19の副伝熱管19aでは、燃焼熱で加熱される前の低温の水が流れるため、燃焼排気中の水蒸気は、熱交換により冷却されて結露しドレンになる。この水蒸気の凝縮により副熱交換器19は、顕熱に加えて蒸発潜熱も回収し、通水を予熱している。
更に、ドレン蒸発器17が副伝熱管の19aの真下よりも左右にずらして設られ、しかも、蒸発部17bが傾斜しているため、燃焼排気がドレン蒸発器17に妨害されず円滑に副伝熱管19aへ流れて熱交換が促進される。
尚、通水は、巻回された給水管14を流れる際にも予熱され、熱効率10%程度の熱を回収する。
【0028】
このようにして、副熱交換器19で、ドレンが発生する程度に燃焼排気の温度を低下させることにより、主熱交換器18では回収しきれなかった顕熱(総発熱量の2%程度)を回収する。
この結果、給湯器10の熱効率は、予熱時に回収した熱10%と主熱交換器18で回収した顕熱75%との合計に、副熱交換器19で回収した顕熱2%を加えた87%となり、非常に高くなる。
【0029】
案内フィン19bが奥行方向に狭い間隔で設けられるため、副伝熱管19aで発生したドレンは、近くの案内フィン19bを伝う。そして、案内フィン19bの下部先端から、燃焼排気によって加熱されるドレン蒸発器17の受部17aへ落下して蒸発部17bで蒸発する。この蒸発部17bが傾斜しているため、燃焼排気が流れることを邪魔しないで燃焼排気との接触面積を大きく取ることができ、ドレンを良好に蒸発させることができる。
この蒸気は、上昇する際に、ドレン蒸発器17の斜め上方に設けられた副伝熱管19aに接触しにくく、副伝熱管19aでの再ドレン化が抑制され、燃焼排気と共に器体外へ良好に排出され、器体内にドレンが残ることがない。
しかも、ドレン蒸発器17の上表面が親水処理されているため、ドレンはその表面上でその副伝熱管19aの鉛直線から離れる方向へ拡散し蒸発面積を大きくとって円滑に蒸発し、再ドレン化しにくく、ドレン蒸発器17にドレンが残らない。
このように、再ドレン化させずに水蒸気を良好に器体外へ排出することにより、副熱交換器19での潜熱回収をスムーズに行うことができ、熱効率が向上する。
【0030】
また、ドレン蒸発器17が副伝熱管19aの真下に配置されなくても、案内フィン19bの下部先端をドレン蒸発器17の上方に配置したため、ドレンは、副伝熱管19aから案内フィン19bを伝ってドレン蒸発器17へ良好に移動し、ドレン蒸発器17以外の所へ落下することはない。つまり、酸性ドレンによるバーナ22の炎孔の目詰まりの心配がなく、良好な燃焼状態が維持される。
【0031】
更に、案内フィン19bにより、副熱交換器19で発生したドレンがドレン蒸発器17に円滑に案内され、しかも、親水処理されたドレン蒸発器17上で酸性ドレンになる前に次から次へと蒸発していくため、ドレンが副熱交換器19に留まりにくくなり、酸性ドレンによる副熱交換器19の腐食を防止でき、副熱交換器19の耐久性が向上する。
【0032】
この結果、酸性ドレンを器体外へ排出することがないため、酸性ドレンを希釈したり、中和する必要がなく、給湯器10の構造が簡単で、しかも、製造コストを抑えることができる。
更に、ドレン蒸発器17は燃焼排気により加熱されるため、ドレンを蒸発させるために余分な費用がかからず、また、構造が簡単で製造コストを抑えることができる。
【0033】
従って、上述した給湯器10では、器体からのドレン排出を防止してドレンの中和処理を不要とし、しかも、主熱交換器18,副熱交換器19の耐久性を損なうことがなく、更に、主熱交換器18と副熱交換器19とにおいて燃焼排気の顕熱を最大限回収して器具全体の熱効率を87%にまで上げることができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、ファンを備えない自然燃焼式の給湯器に本発明を適用してもよい。
また、副熱交換器19の下方であれば、燃焼排気流路において主熱交換器18の上流側にドレン蒸発器を設けてもよい。例えば、図1においてバーナ22と主熱交換器18との間にドレン蒸発器を設けてもよい。
また、燃焼室内に、炎口を下方に向けたバーナ,主熱交換器,副熱交換器,ドレン蒸発器を上から順に設けてもよい。この場合には、主熱交換器が副熱交換器の上方にあるため、ドレンが主熱交換器に落下することが決して無く、酸性ドレンによる主熱交換器の目詰まりは起こらない。
また、ドレン蒸発器17は、ステンレス鋼板に代えて、耐食性を有するチタン板にショットブラスト加工等の親水処理したものであってもよい。
【0035】
また、副伝熱管19aに案内フィン19bを設けなくてもよい。例えば、図2に示すように、副伝熱管19aの真下には副伝熱管19aの鉛直線から幅方向に離れるほど下方へ傾斜する受部27aと、受部27a下端から水平に延びた蒸発部27bとを備えたドレン蒸発器27を設ける。
こうした構成により、副伝熱管19aから落下してきたドレンは、傾斜した受部27aを伝って蒸発部27bへ流下しながら蒸発して、副伝熱管19aに接触することなく、器体外へ排出される。
従って、副伝熱管19aで再ドレン化を防止して円滑に再蒸発させることができ、しかも、案内フィン19bの製造コストを削減できる。
【0036】
また、副熱交換器19に酸化チタンコーティング等による溌水処理を施してもよい。これにより、燃焼排気中の水蒸気は直接副伝熱管19aに接触して滴状凝縮するため、熱伝達が膜状凝縮よりも15倍程度になり非常に大きい。つまり、膜状凝縮では、燃焼排気中の水蒸気がドレン膜によって覆われている副伝熱管19aに接触しづらく熱伝達しにくいが、溌水処理された副伝熱管19aでは滴状凝縮するため、水蒸気が直接副伝熱管19aに接触でき、熱効率が膜状凝縮よりも高くなる。
また、この溌水処理により、ドレンが副熱交換器19からドレン蒸発器17へ落下しやすくなって、ドレンの発生・落下サイクルが短くなり、副熱交換器19で次々にドレンを発生させることができ、熱交換が促進され、熱効率を更に高めることができる。これに加えて、発生したドレンは、溌水処理により副熱交換器19に長時間留まりにくいため、副熱交換器19を腐食させず、副熱交換器19の耐久性を向上することもできる。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の給湯器によれば、副熱交換器で発生したドレンをドレン蒸発器で蒸発させるため、ドレンを器体外へ排出せずドレンの中和処理が不要になる。しかも、ドレン蒸発器の加熱源として燃焼排気熱をそのまま利用するため、ドレン蒸発のための費用が余分にかからず、また、構造が簡単で製造コストを抑えることができる。
加えて、発生したドレンが副熱交換器に溜まらないため、副熱交換器の耐久性が向上する。
また、ドレン中和処理をする必要なく、燃焼排気の顕熱の殆どを回収して熱効率を非常に高くすることができる。
また、ドレン蒸発器が副熱交換器の伝熱管の真下よりもずらして形成されるため、ドレン蒸発器で発生する蒸気が副熱交換器の伝熱管上で再びドレンになることを抑制でき、器体内にドレンを残さず、ドレン蒸発器の耐久性を向上させることができる。
【0038】
また、請求項2記載の給湯器によれば、主熱交換器では、各部の表面温度を平均化してドレンの発生しない温度に保つため、ドレンを発生させずに熱効率を向上することができる。
【0039】
また、請求項3記載の給湯器によれば、ドレン蒸発器の蒸発部を副熱交換器の伝熱管の真下よりもずれた位置に設けたため、ドレンを蒸発させた後、再ドレン化させず、水蒸気は良好に器体外へ排出され、熱交換を促進できる。
【0040】
また、請求項4記載の給湯器によれば、副熱交換器で発生したドレンを全て蒸発させるため、器体外へのドレン排出を確実に防止でき、ドレンの中和処理をする必要がなく、製造コストを大幅に削減できる。
【0041】
また、請求項5記載の給湯器によれば、ドレン蒸発器の上面は親水性があるため、ドレン蒸発器上のドレンを拡散して蒸発を促し、副熱交換器での顕熱および潜熱の回収を促進して熱効率を向上できる。
【0043】
また、請求項記載の給湯器によれば、副熱交換器の表面に溌水処理を施したため、副熱交換器にドレンを留めることがなく、副熱交換器の耐久性および熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態としての強制燃焼式給湯器の概略図である。
【図2】変更例としての給湯器の一部を正面からみた断面図である。
【符号の説明】
14…給水管、17,27…ドレン蒸発器、17a,27a…受部、17b,27b…蒸発部、18…主熱交換器、18a…主伝熱管、18b…熱回収フィン、19…副熱交換器、19a…副伝熱管、19b…案内フィン、20…燃焼室、22…バーナ。

Claims (6)

  1. 主伝熱管を有し、バーナの燃焼排気から顕熱を回収して伝熱管内の通水を加熱する主熱交換器と、
    複数の副伝熱管を有し、上記主熱交換器で顕熱回収された燃焼排気から潜熱を回収して各副伝熱管内の通水を加熱する副熱交換器とを備え、
    上記各副伝熱管にそれぞれ対応する複数のドレン蒸発器を、上記副熱交換器の下方に設け、
    上記副熱交換器での潜熱回収によって各副伝熱管に生じたドレンを、上記各副伝熱管に対応するドレン蒸発器で各々受けると共に、該ドレンを燃焼排気により加熱して蒸発させる給湯器において、
    副熱交換器の上方から見たときに、上記各ドレン蒸発器が上記各副伝熱管に隠れないように、各々のドレン蒸発器を、対応する副伝熱管の真下位置からずらして設け、
    上記各副伝熱管に、下部先端部が各副伝熱管に対応するドレン蒸発器の上方位置にまで延設された案内フィンを取り付けて、各副伝熱管で生じたドレンを、対応するドレン蒸発器に案内することを特徴とする給湯器。
  2. 上記主熱交換器における各部の表面温度を平均化しドレンを発生させることなく熱交換させて燃焼排気から顕熱を回収することを特徴とする請求項1記載の給湯器。
  3. 上記ドレン蒸発器は、ドレンを受け取る受部と、該受部から延設され該受部から流れて来たドレンを蒸発させる蒸発部とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の給湯器。
  4. 上記副熱交換器でのドレン発生量を上記ドレン蒸発器の蒸発能力以下にしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の給湯器。
  5. 上記ドレン蒸発器の少なくとも上面を親水性のある耐熱材料で形成したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の給湯器。
  6. 上記副熱交換器の表面に溌水処理を施したことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の給湯器。
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