JP4301226B2 - 変倍光学系、および撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レンズユニット等に用いられる変倍光学系、およびこの変倍光学系を備える撮像装置に関するものである。
近年、パーソナルコンピュータ(PC)の普及に伴い、手軽に画像を取り込めるデジタルスチルカメラ(撮像装置)が普及している。そして、このようなデジタルスチルカメラ(DSC)にも、銀塩フィルムを用いたカメラ(銀塩カメラ)同様に、小型化(薄型化)や高性能化(例えば、高い変倍機能や高い収差補正機能)が要望されている。そのため、デジタルスチルカメラに搭載されるレンズ光学系(例えば変倍光学系)も、小型化かつ高性能化が要望されている。
これらの要望を達するため、光学プリズムや反射ミラーによって、物体側から像側に至る光線を屈曲させ、全長の短縮化を図ったレンズ光学系が開発されている(例えば特許文献1および2等)。このようなレンズ光学系は、DSCのハウジングの限られたスペース内に、全長の抑制されたレンズ光学系が適切に配設できる。そのため、ハウジングのサイズ(ひいてはDSCのサイズ)が小型・薄型になる。
特開2002−169088号公報 特開2000−187159号公報
しかしながら、特許文献1および2のレンズ光学系は、小型ではあるものの、ズーム比7〜10倍程度を想定している。したがって、これらのレンズ光学系は、十分な高性能化を達しているとはいいがたい。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。そして、その目的は、高性能で小型化された変倍光学系、およびそれを備えた撮像装置を提供することにある。
本発明の変倍光学系は、物体側からの光線を撮像素子に結像させる複数のレンズ群と、撮像素子に到達する光線の一部を遮光する光学絞りと、光学絞りによって一部遮光された光線の光軸を変更させる光軸変更素子と、を有している。なお、複数のレンズ群は、物体側から像側に向かって、少なくとも、正のパワーを有する第1レンズ群と、負のパワーを有する第2レンズ群と、正のパワーを有する第3レンズ群と、正のパワーを有する第4レンズ群と、を含んでいる。そして、この変倍光学系は、広角端から望遠端までの変倍において、少なくとも2個のレンズ群を移動させるようになっている。
かかる構成の変倍光学系では、パワー配置の特性上、光学絞りが、第3レンズ群の近傍に配置されることが多い。すると、一部遮光された光線の光軸を変更する(例えば折り曲げる)光軸変更素子は、光学絞りよりも像側に配置される。そのため、一方向にストレートな変倍光学系(ストレート光学系)に比べて、本発明の変倍光学系は、光軸の折れ曲がった以降に位置するレンズ群のスペース分、その一方向の長さの短縮を図れる。
そして、このような短縮化を図った変倍光学系が撮像装置に搭載される場合、光軸変更素子より像側に位置するレンズ群が撮像装置の筐体(ボディ)内に組みこみやすくなる。すると、本発明の撮像装置は、ストレート光学系を搭載する撮像装置よりも、例えば奥行き方向を短縮できる。
また、像側に位置する光束は、物体側に位置する光束に比べて小さくなるので、かかるような小さな光束の光軸を変更させる光軸変更素子は、比較的小さいものでよい。すると、本発明は、比較的小型の光軸変更素子を含めるだけで、撮像装置の限られたハウジング空間に、適切にレンズ群の一部を組みこめる変倍光学系といえる。
また、本発明の変倍光学系では、以下の条件式(1)を満たすことが望ましい。
1.1<β3t/β3w<5.0 … 条件式(1)
ただし、
β3t:望遠端での第3レンズ群の横倍率
β3w:広角端での第3レンズ群の横倍率
である。
この条件式(1)は、第3レンズ群の変倍比を適切な範囲に規定するものである。かかる範囲内であれば、例えば、第2レンズ群または第3レンズ群に、適切に変倍負担を割り振ることができる。そのため、条件式(1)の範囲内では、過度に変倍負担を負うレンズ群が存在しないようになる。すると、過剰な変倍負担に起因する諸収差の発生およびレンズ群の移動量増加が抑制される。よって、本発明は、種々の収差の発生を抑制(補正)しつつも、小型化された変倍光学系になる。
また、本発明の変倍光学系では、以下の条件式(2)を満たすことが望ましい。
0.2<f1/fm<1.0 … 条件式(2)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fm:√(fw×ft)
fw:広角端での全系の焦点距離
ft:望遠端での全系の焦点距離
である。
この条件式(2)は、第1レンズ群の焦点距離(パワー)に関する式であり、第1レンズ群のパワーに基づいて、変倍光学系における全長の抑制と、諸収差発生の抑制(補正)との調和を図るための範囲を規定している。そのため、条件式(2)の範囲内では、本発明は、小型でありながら、諸収差の発生を抑制した変倍光学系になる。
また、本発明の変倍光学系では、以下の条件式(3)を満たすことが望ましい。
0.05<f3/f4<1.00 … 条件式(3)
ただし、
f3:第3レンズ群の焦点距離
f4:第4レンズ群の焦点距離
である。
この条件式(3)は、第3レンズ群および第4レンズ群のパワー比に基づいて、変倍光学系の小型化と、収差補正の高性能化との調和を図るための範囲を規定している。そのため、条件式(3)の範囲内でも、本発明は、小型でありながら、諸収差の発生を抑制した変倍光学系になる。
また、本発明の変倍光学系では、以下の条件式(4)を満たすことが望ましい。
ft/fw≧12.00 … 条件式(4)
ただし、
ft:望遠端での全系の焦点距離
fw:広角端での全系の焦点距離
である。
この条件式(4)は、変倍光学系の変倍比を表している。すると、この条件式(4)を満たすと、本発明は高い変倍比を備える変倍光学系といえる。よって、本発明の変倍光学系における変倍性能の有意性が大きくなり、ユーザーベネフィットが達成可能となる。
また、変倍光学系における複数のレンズ群には、第4レンズ群よりも像側に、変倍のときに不動になっている第5レンズ群が含まれていると望ましい。かかる構成であれば、第5レンズ群の移動に起因した異物(ゴミ)が、近傍の撮像素子に付着するおそれを除去できる。その結果、撮像面(撮像画像上)に、ゴミが写り込む事態は起きにくい。
また、本発明の変倍光学系は、撮像素子に対するテレセントリック性の向上のために、正のパワーを有する第5レンズ群を配置していると望ましい。なお、変倍光学系の小型化の観点から、第5レンズ群において正のパワーを生じさせる光学素子は、1枚状の正のレンズであると望ましい。
また、本発明の変倍光学系における光軸変更素子は、第4レンズ群よりも像側に配置されていてもよいし、第3レンズ群と第4レンズ群との間に配置されていてもよい。
本発明によれば、第3レンズ群の変倍比を適切な範囲に設定できる、そのため、例えば、第2レンズ群または第3レンズ群に、適切に変倍負担を割り振ることができる。その結果、各レンズ群による種々の収差の発生を抑制(補正)しつつも、小型化された変倍光学系が実現する。また、このような変倍光学系を備える撮像装置も、小型かつ高性能な装置となる。
[実施の形態1]
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
〔1.デジタルスチルカメラについて〕
図7は、本発明の撮像装置の一例であるデジタルスチルカメラ(DSC)29の内部を示すブロック構成図である。
図7に示すように、DSC29は、変倍光学系OS、フラッシュFL、光学系駆動部13、撮像素子SR、信号処理部14、表示部15、記録部16、記録媒体17、操作部18、および制御部19を含むようになっている。
変倍光学系OSは、撮影対象からの光を撮像素子SRに導くとともに、その光を撮像素子SRの受光面(像面)上に結像させるものである。したがって、この変倍光学系OSは、結像光学系や撮像光学系と表現してもよい。なお、変倍光学系OSの詳細については後述する。
フラッシュFLは、被写体へ光線を照射させることで、被写体からの光(反射光)を増加させ、容易に撮像素子SRの撮像を可能にさせる光源である。
光学系駆動部13は、いくつかの駆動モータ(光学系用駆動モータ)と、その駆動力を変倍光学系OSを構成するレンズ群に伝達する伝達機構(光学系用伝達機構)とを有している(なお、駆動モータ・伝達機構は不図示)。そして、光学系駆動部13は、駆動モータ・伝達機構を用いて、変倍光学系OSの焦点距離および焦点位置を設定する。具体的には、光学系駆動部13は、制御部19からの指示に応じて、焦点距離および焦点位置を設定する。
撮像素子SRは、例えばCCD(Charge Coupled Device)のエリアセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等であり、変倍光学系OSを経た光線を受光し、電気的信号(撮像データ)に変換する。そして、撮像素子SRは、この撮像データを信号処理部14へと出力する。
信号処理部14は、撮像素子SRからの電子データ(撮像データ)を処理することで、撮像データに基づいた撮像画像データを生成する。なお、この信号処理部14は、制御部19の指示に応じて処理動作のONまたはOFFを行う。また、制御部19の指示に応じて、信号処理部14は、撮像画像データを表示部15や記録部16に出力する。
表示部15は、例えば液晶パネルから構成されており、信号処理部14からの撮像画像データ等や、DSC29の使用状況等を表示する。
記録部16は、制御部19の指示に応じて、記録媒体17に、信号処理部14の生成した撮像画像データを記録する。また、記録部16は、操作部18等による操作に応じた制御部19の指示に従い、記録媒体17から撮像画像データを読み出す。
記録媒体17は、例えばDSC29の内部に組み込まれるようになったものでもよいし、フラッシュメモリ等のように着脱可能なものであってもよい。要は、撮像画像データ等を記録できるような媒体(光ディスクや半導体メモリ等)であればよい。
操作部18は、ユーザー等による各種操作指示を制御部19に出力するものであり、例えばシャッターレリーズボタンや操作ダイヤル等から構成されている。
制御部19は、DSC29全体の動作制御等を行う中枢部分となっており、DSC29の各部材の駆動を有機的に制御して、動作を統括制御する。
〔2.変倍光学系について〕
ここで、変倍光学系OSについて、図1および図2を用いて説明する。図1は、変倍光学系OSを一列状の展開した状態を示すレンズ構成図である。一方、図2は、DSC29内に搭載するときの変倍光学系OSと撮像素子SRとの配置を示すレンズ構成図である。
なお、これらの図1および図2での「GRi」はレンズ群を示し、「Li」はレンズを示す。さらに、「si」はレンズ面(透過面等)を示している。そして、「GRi」、「Li」、および「si」に付される数字(i)は、物体側から像側に至るまでの順番を示している。また、非球面の面には、「*」(アスタリスク)が付されている。そして、この図1および図2に示される変倍光学系OSは実施例1と称す。
〈2−1.変倍光学系の構成について(実施例1)〉
変倍光学系OSは、撮影対象(物体側)から順に、第1レンズ群GR1、第2レンズ群GR2、第3レンズ群GR3、第4レンズ群GR4、および第5レンズ群GR5を有している。
《第1レンズ群について》
第1レンズ群GR1は、物体側から順に、第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3を含んでいる。そして、この第1レンズ群GR1は、全体として「正」の光学的パワー(屈折力)を有している。なお、パワーは、焦点距離の逆数で定義されている。
そして、各レンズは、下記のような特徴を有している。
・第1レンズL1:物体側凸の負メニスカスレンズ
・第2レンズL2:両側凸の正レンズ
・第3レンズL3:物体側凸の正メニスカスレンズ
なお、第1レンズL1と第2レンズL2とは、s2にて接合することで接合レンズを構成している。また、接合方法としては、接着剤等による接合が挙げられる(なお、後述の接合レンズの接合方法としても、同様に接着剤等の接合が挙げられる)。
《第2レンズ群について》
第2レンズ群GR2は、物体側から順に、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6、および第7レンズ群L7を含んでいる。そして、この第2レンズ群GR2は、全体として「負」の光学的パワーを有している。
そして、各レンズは、下記のような特徴を有している。
・第4レンズL4:物体側凸の負メニスカスレンズ
・第5レンズL5:両側凹の負レンズ
・第6レンズL6:両側凸の正レンズ
・第7レンズL7:両側凹の負レンズ(s12は非球面)
なお、第5レンズL5と第6レンズL6とは、s9にて接合することで接合レンズを構成している。また、非球面は、非球面形状の屈折光学面、非球面と等価な屈折作用を有する面等をいう。
《第3レンズ群について》
第3レンズ群GR3は、物体側から順に、光学絞りST、第8レンズL8、第9レンズL9、第10レンズL10、および第11レンズ群L11を含んでいる。そして、この第3レンズ群GR3は、全体として「正」の光学的パワーを有している。
そして、光学絞りSTおよび各レンズは、下記のような特徴を有している。
・光学絞りST :第1レンズ群GR1および第2レンズ群GR2を経た光線を一 部遮光する絞りであり、s13とも表記。なお、この光学絞り STは、第3レンズ群GR3と一体的に構成されている。
・第8レンズL8 :両側凸の正レンズ(s14は非球面)
・第9レンズL9 :物体側凸の負メニスカスレンズ
・第10レンズL10:両側凸の正レンズ
・第11レンズL11:物体側凹の負メニスカスレンズ(s20・s21は非球面)
《第4レンズ群について》
第4レンズ群GR4は、物体側から順に、第12レンズL12、および第13レンズL13を含んでいる。そして、この第4レンズ群GR4は、全体として「正」の光学的パワーを有している。
そして、各レンズは、下記のような特徴を有している。
・第12レンズL12:物体側凹の負メニスカスレンズ
・第13レンズL13:物体側凹の正メニスカスレンズ
《第5レンズ群について》
第5レンズ群GR5は、物体側から順に、反射ミラーMR、第14レンズL14、およびローパスフィルタLFを含んでいる。そして、この第5レンズ群GR5は、全体として「正」の光学的パワーを有している。
そして、反射ミラーMR、第14レンズL14、およびローパスフィルタLFは、下記のような特徴を有している。
・反射ミラーMR :第1レンズ群GR1、第2レンズ群GR2、および第3レン ズ群GR3を通過してきた光線の光軸を略90°の屈折させ る光軸変更素子である。なお、この反射ミラーMRは、第5 レンズ群GR5と一体的に構成されている。
・第14レンズL14 :物体側凹の負メニスカスレンズ(s26・s27は非球面)
・ローパスフィルタLF:2面構成(s28・s29)の光学的フィルタであり、撮像 素子SRの画素ピッチにより決定される所定の遮断周波数特 性を有する。
なお、ローパスフィルタLFよりも像側に撮像素子SRが位置するようになっている。そして、この撮像素子SRと変倍光学系OSとを含めたものをレンズユニットと称してもよい。
〈2−2.変倍光学系(実施例1)のコンストラクションデータについて〉〉
次に、実施例1の変倍光学系OSのコンストラクションデータについて、表1および表2を用いて説明する。
Figure 0004301226
この表1での「ri」は、各面(si)における曲率半径[単位;mm]を示している。なお、非球面の面には、アスタリスク(*)が付されている。「di」は、i番目の面(si)と、i+1番目の面(si+1)との間における軸上面間隔[単位;mm]を示している。なお、ズーミングにより軸上面間隔(群間距離)が変化する場合、広角端状態(W)でのdi、中間焦点距離状態(M)でのdi、および望遠端状態(T)でのdiが、この順で表記されている。
また、「Ni」および「υi」は、軸上面間隔(di)での媒質の有する屈折率(Nd)およびアッベ数(νd)を示している。なお、屈折率(Nd)およびアッベ数(νd)は、d線(波長587.56nm)に対するものである。
また、「焦点距離状態」は、広角端状態(W;最短焦点距離状態)〜中間焦点距離状態(M)〜望遠端状態(T;最長焦点距離状態)を意味している。そして、「f」と「FNO」とは、各焦点状態(W)、(M)、および(T)に対応する全系の焦点距離[単位;mm]とFナンバーとを示している。
なお、上記の非球面は、下記の式(定義式1)で定義される。
X(H)=C0・H2/{1+√(1−ε・C0 2・H2)}+ΣAj・Hj…(定義式
1)
ただし、定義式1中、
H :光軸AXに対しての垂直な方向の高さ
X(H):高さHの位置での光軸AX方向(サグ)の変位量
0 :近軸曲率(=1/ri)
ε :2次曲面パラメータ
j :非球面の次数、
Aj :j次の非球面係数
である。
そこで、非球面に関するデータ(非球面データ)を下記の表2に示す。ただし、表記されていない項の係数は「0」(ゼロ)であり、すべてのデータに関して、「E−n」=「×10-n」になっている。
Figure 0004301226
〈2−3.変倍光学系における各レンズ群の移動について〉
ここで、各レンズ群(GR1〜GR5)の移動について、図1を用いて説明する。通常、ズーミング等(変倍等)のとき、変倍光学系OSは、各レンズ群の間隔を光軸AXに沿って変化させる。例えば、実施例1の変倍光学系OSは、第5レンズ群GR5を不動にし、その他のレンズ群(GR1〜GR4)を移動させている。
かかるようなズーミングのときには、各レンズ群間の距離(群間距離)が変動する。具体的には、広角端から望遠端に至るズーミングの場合、変倍光学系OSは、第1レンズ群GR1〜第2レンズ群GR2の群間距離を広げ、第2レンズ群GR2〜第3レンズ群GR3の群間距離を狭め、第3レンズ群GR3〜第4レンズ群GR4の群間距離を広げ、第4レンズ群GR4〜第5レンズ群GR5の群間距離を一旦広げた後に狭めている。
そこで、図1は、ズーミングに伴って間隔変動の生じる軸上面間隔(di)のみに番号を付している。具体的には、d5、d12、d21、およびd24が図示されている。また、図における矢印「MMi」は、望遠端状態(W)から中間焦点状態(M)、さらには、中間焦点状態(M)から望遠端状態(T)に至るまでの各レンズ群の移動を模式的に表記している。なお、MMiのiは物体側から像側に至るまでの順番を示している。したがって、各レンズ群の順番に対応する。
なお、図3〜図5は、ズーミングにおける変倍光学系OSの収差を示している。具体的には、図3(図3A〜図3C)は広角端状態(W)での収差、図4(図4A〜図4C)は中間焦点距離状態(M)での収差、図5(図5A〜図5C)は望遠端状態(T)での収差を示している。
そして、図3A・図4A・図5Aは球面収差(spherical aberration;S.A.)・正弦条件(sine condition;S.C.)を示している。そして、これらの図における各線は、下記のようになっている。なお、これらの図には、FNO(Fナンバー)も表記されている。
・線d(実線) …d線(波長587.6nm)に対する球面収差[単位;mm]
・線g(一点鎖線)…g線(波長435.8nm)に対する球面収差[単位;mm]
・破線SC(破線)…正弦条件不満足量[単位;mm]
図3B・図4B・図5Bは非点収差(astigmatism)を示している。そして、これらの図における各線は、下記のようになっている。なお、これらの図には、撮像素子SRの受光面上での最大像高(光軸AXからの距離)である「Y’」[単位:mm]も表記されている。
・線DM(破線) …メリジオナル面でのd線に対する非点収差[単位:mm]
・線DS(実線) …サジタル面でのd線に対する非点収差[単位:mm]
図3C・図4C・図5Cは歪曲収差(distortion)を示している。そして、図における実線は、d線に対する歪曲[単位:%]を示している。なお、これらの図にも、「Y’」が表記されている。
〔3.本発明の種々の特徴の一例について〕
以上のように、本発明の変倍光学系OSは、物体側からの光線を撮像素子SRに結像させる複数のレンズ群と、撮像素子SRに到達する光線の一部を遮光する光学絞りSTと、光学絞りSTによって一部遮光された光線の光軸を変更させる反射ミラーMRと、を有している。
そして、複数のレンズ群は、物体側から像側に向かって、少なくとも、正のパワーを有する第1レンズ群GR1と、負のパワーを有する第2レンズ群GR2と、正のパワーを有する第3レンズ群GR3と、正のパワーを有する第4レンズ群GR4と、を含んでいるともいえる。そして、この複数のレンズ群は、広角端から望遠端までのズーミング(変倍)において、少なくとも2個のレンズ群(実施例1ではGR1〜GR4)を移動させるようになっている。
かかる構成の変倍光学系OSは、第1レンズ群GR1〜第4レンズ群GR4までを、正・負・正・正のパワー配置にしている。そのため、パワー配置の特性上、光学絞りSTが、第3レンズ群GRの近傍に配置されることが多い。すると、一部遮光された光線を反射する反射ミラーMRは、光学絞りSTよりも像側(例えば第3レンズ群GR3よりも像側)に配置されることが多くなる。実施例1の変倍光学系OSでは、光学絞りSTは第3レンズ群GRにおける最物体側に位置し、反射ミラーMRは第5レンズ群における最物体側に位置している。
このように、反射ミラーMRが第5レンズ群における最物体側に位置すると、図6(A)に示すように、反射ミラーMRより像側に位置するレンズ等(L14やLF)がDSC29等のボディ内(ハウジング内)に組みこまれるようになる。すると、図6(B)および図6(C)に示すように、本発明のDSC29は、ストレート状に伸びている同性能の変倍光学系(例えば同じズーム比を有するストレート光学系)を搭載するDSCよりも、奥行き方向Uを短縮できる。つまり、図6(A)のDSC29の奥行きU1は、図6(B)および図6(C)のDSC29の奥行きU2よりも短くなる(U1<U2)。
また、像側に位置する光束(例えば光学絞りST以降の光束)は、物体側に位置する光束に比べて小さくなる。そのため、かかるような小さな光束を反射させる反射ミラーMRは、比較的小さいものでよい。すると、本発明は、比較的小型の反射ミラーMRを含めるだけで、限られたDSC29のボディ空間に、適切にレンズの一部を組みこめる変倍光学系OSといえる{図6(A)参照}。
なお、上記のような、本発明のDSC29は、ストレート光学系よりも短くなった変倍光学系(屈曲光学系)OSを搭載することで、奥行き方向Uを短くしている。そのため、図6(A)のDSC29におけるフラッシュFLの光束幅α1が、図6(B)のDSC29のように、レンズ鏡胴LBで遮光されるような事態が防止される{図6(B)の斜線部参照}。なお、かかるような変倍光学系OSの含むレンズ鏡胴LBによってフラッシュFLの光束が遮光されることを、フラッシュFLの「ケラレ」と称する。そして、かかるフラッシュFLのケラレが生じると、図6(B)に示すように、DSC29の光束幅α2は、図6(A)のDSC29のフラッシュFLの光束幅α1よりも小さなものになる。
また、フラッシュFLのケラレを防止するために、フラッシュFLの位置をレンズ鏡胴LBの軸方向(すなわち光軸方向AX)から離すようにすると、図6(C)に示すように、DSC29の高さ方向Hが増加してしまう。つまり、図6(A)のDSC29の高さH1に比べて、図6(C)のDSC29の高さH2が高くなってしまう(H1<H2)。そのため、本発明の変倍光学系OSは、DSC29の高さ方向Hおよび奥行き方向Uの短縮化に寄与しているといえる。
そして、本発明の変倍光学系OSは、下記の条件式(A)〜条件式(E)を満たすようにもなっている。ただし、これらの条件式を、全て満たす必要はない。各々の条件式が満たされるだけでも、対応する作用および効果が本発明の変倍光学系OSに奏じる。もちろん、複数の条件式が満たされると、より好ましい作用および効果が、本発明の変倍光学系OSに奏じることはいうまでもない。
条件式(A)は、下記のようになっている。
0.15<(β2t/β2w)/Z<0.80 … 条件式(A)
ただし、
βt:望遠端での第レンズ群の横倍率
βw:広角端での第レンズ群の横倍率
Z :ft/fw
ft :望遠端での全系の焦点距離
fw :広角端での全系の焦点距離
である。
この条件式(A)は、第2レンズ群GR2のズーム比(変倍比)を、全系(変倍光学系OS全体)のズーム比Zで割ることで、変倍光学系OSのズーミングにおける第2レンズ群GR2の変倍負担を示している。そして、ズーム比に対する第2レンズ群GR2のズーム比が、条件式(A)の上限値を上回る場合、第2レンズ群GR2の変倍負担が大きくなって、第2レンズ群GR2の前後の間隔変化が大きくなる。一方、ズーム比に対する第2レンズ群GR2のズーム比が条件式(A)の下限値を下回る場合、例えば第3レンズ群GR3の変倍負担が大きくなって、第3レンズ群GR3の前後の間隔変化が大きくなる。
このように、第2レンズ群GR2または第3レンズ群GR3等のいずれか一方に過度の変倍負担がかかると、一方のみのレンズ群における前後の間隔変化が過剰に大きくなりやすい。そのため、一方のレンズ群の移動距離が長くなりやすいといえる。そして、このように一方のみのレンズ群の移動距離が長くなると、それに起因してそのレンズ群近傍のスペースも増加し、変倍光学系OSの大型化の原因となる。
かかるようなレンズ群の移動距離の増加を抑制するために、過度の変倍負担を負うレンズ群におけるパワーの増加が望ましい。しかし、増加したパワーの影響でレンズ群内で諸収差も大きくなってしまうという問題が生じる(例えば第2レンズ群GR2のパワーが増加する場合、広角端での像面湾曲および歪曲収差が発生する)。この問題を解決策として、例えばレンズの枚数を増加させたり、レンズ面を非球面にする方策がある。しかし、レンズの枚数を増加させた場合等、かえって変倍光学系OSの大型化の原因になる。
以上の点から、本発明の変倍光学系OSは、ズーミングにおいて第2レンズ群GR2の負担するズーム比の割合を適切に設定している。その結果、条件式(A)の範囲内では、本発明は、種々の収差の発生を抑制(補正)しつつも、小型化された変倍光学系OSになる。
なお、実施例1の変倍光学系OSを条件式(A)に対応させた結果は、下記のようになっている。
・実施例1の(β2t/β2w)/Z=0.304
また、条件式(A)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(A’)の範囲を満たすほうが望ましいといえる。
0.20<(β2t/β2w)/Z<0.60 … 条件式(A’)
次に、条件式(B){条件式(1)}は、下記のようになっている。
1.1<β3t/β3w<5.0 … 条件式(B)
ただし、
β3t:望遠端での第3レンズ群の横倍率
β3w:広角端での第3レンズ群の横倍率
である。
この条件式(B)は、第3レンズ群GR3のズーム比を適切な範囲に規定するものである。なぜなら、第3レンズ群GR3が変倍作用を発揮すると、正・負・正・正のパワー配置の変倍光学系OSで比較的に変倍負担の大きくなりやすい第2レンズ群GR2の負担軽減を図れるためである。
横倍率β3wに対する横倍率β3tの比率が、条件式(B)の上限値を上回る場合、第3レンズ群GR3の変倍負担が大きくなって、第3レンズ群GR3の前後の間隔変化が大きくなる。そのため、第3レンズ群GR3の移動距離が長くなる。かかるような第3レンズ群GR3の移動距離の増加を抑制するために、第3レンズ群GR3のパワーの増加が望ましい。しかし、増加したパワーの影響で第3レンズ群GR3内で諸収差の発生が問題になる。
一方、β3wに対する横倍率β3tの比率が、条件式(B)の下限値を下回る場合、第3レンズ群GR3の変倍負担が小さくなって、例えば第2レンズ群GR2の変倍負担が大きくなる。そのため、第2レンズ群GR2の前後の間隔変化が大きくなる。すると、第2レンズ群GR2の移動距離の増加を抑制するために、第2レンズ群GR2のパワーの増加が望ましい。しかし、増加したパワーの影響で第2レンズ群GR2内で諸収差が生じ得る。
このように、第2レンズ群GR2等または第3レンズ群GR3のいずれか一方に過度の変倍負担がかかると、一方のみのレンズ群における前後の間隔変化が過剰に大きくなる(つまり、過度の変倍負担を負うレンズ群の移動距離が長くなる)。そして、このように一方のみのレンズ群の移動距離が長くなると、それに起因してそのレンズ群近傍のスペースも増加し、変倍光学系OSの大型化の原因となる。
また、移動距離抑制のために、第2レンズ群GR2等または第3レンズ群GR3のパワーが増加している場合、増加したパワーの影響でレンズ群内で諸収差が大きくなる。そして、この問題を解決策として、上記同様、レンズの枚数を増加させた場合等、かえって変倍光学系OSの大型化の原因になる。
以上の点から、本発明の変倍光学系OSは、第2レンズ群GR2等または第3レンズ群GR3に、適切に変倍負担を割り振っている。その結果、条件式(B)の範囲内では、本発明は、種々の収差の発生を抑制しつつも、小型化された変倍光学系OSになる。
なお、実施例1の変倍光学系OSを条件式(B)に対応させた結果は、下記のようになっている。
・実施例1のβ3t/β3w=3.614
また、条件式(B)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(B’)の範囲を満たすほうが望ましいといえる。
1.5<β3t/β3w<4.0 … 条件式(B’)
次に、条件式(C){条件式(2)}は、下記のようになっている。
0.2<f1/fm<1.0 … 条件式(C)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fm:√(fw×ft)
fw:広角端での全系の焦点距離
ft:望遠端での全系の焦点距離
である。
この条件式(C)は、第1レンズ群GR1の焦点距離、すなわちパワーに関する式である。そして、この条件式(C)は、第1レンズ群GR1のパワーに基づいて、変倍光学系における全長の抑制(コンパクト化)と、諸収差発生の抑制(補正)との調和を図るための範囲を規定している。
広角端での変倍光学系(全系)OSの焦点距離fwと望遠端での変倍光学系OSの焦点距離ftとの相乗平均であるfm{√(fw×ft)}に対する第1レンズ群GR1の焦点距離f1の比が、条件式(C)の上限値を上回る場合、焦点距離f1が比較的長いことになる(すなわちパワーが比較的弱くなっている)。
かかる場合、第1レンズ群GR1のパワーの低下にともない、ズーミングにおける第1レンズ群GR1の移動量が長くなってしまう(ひいては、変倍光学系OSが大型化してしまう)。ただし、一般的に、パワーが弱いと諸収差は現れにくいという傾向がある。
一方、相乗平均であるfm{中間焦点距離状態(M)での焦点距離}に対する第1レンズ群GR1の焦点距離f1の比が、条件式(C)の下限値を下回る場合、第1レンズ群GR1の焦点距離f1が比較的短いことになる(すなわちパワーが比較的強くなっている)。
かかる場合、第1レンズ群GR1のパワーの増加にともない、ズーミングにおける第1レンズ群GR1の移動量が比較的短くなる(ひいては、変倍光学系OSが比較的小型化する)。また、第1レンズ群の前玉径等も比較的小さくなる。しかしながら、このような強い正のパワーを有すると、第1レンズ群GR1では、諸収差(特に像面湾曲および歪曲収差)が比較的現れやすくなる。この問題を解決策として、上記同様、例えばレンズの枚数を増加させたり、レンズ面を非球面にする方策がある。しかし、レンズの枚数を増加させた場合等、変倍光学系OSの大型化の原因となる。
以上の点から、本発明の変倍光学系OSは、第1レンズ群のパワーを適切に設定している。その結果、条件式(C)の範囲内では、本発明は、小型でありながら、諸収差の発生を抑制した変倍光学系OSになる。
なお、実施例1の変倍光学系OSを条件式(C)に対応させた結果は、下記のようになっている。
・実施例1のf1/fm=0.347
また、条件式(C)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(C’)の範囲を満たすほうが望ましいといえる。
0.3<f1/fm<0.6 … 条件式(C’)
次に、条件式(D){条件式(3)}は、下記のようになっている。
0.05<f3/f4<1.00 … 条件式(D)
ただし、
f3:第3レンズ群の焦点距離
f4:第4レンズ群の焦点距離
である。
この条件式(D)は、第3レンズ群GR3の焦点距離を、第4レンズ群GR4の焦点距離で割ることで規格化したものである。そして、この条件式(D)は、第3レンズ群GR3および第4レンズ群GR4のパワー比に基づいて、変倍光学系OSの小型化と、収差補正の高性能化との調和を図るための範囲を規定している。
条件式(D)において上限値を上回る場合、第4レンズ群GR4の焦点距離が短くなる、あるいは第3レンズ群の焦点距離が長くなっている。すると、第4レンズ群GR4のパワーが比較的強くなる、あるいは第3レンズ群GR3のパワーが比較的弱くなることを意味している。
例えば、第4レンズ群GR4のパワーが強くなっている場合であれば、それに伴って諸収差が発生しやすくなる。そして、このような事態が発生してしまうと、広角端状態(W)〜望遠端状態(T)に至るまでに、像面湾曲を良好に補正することは困難になる。
また、フォーカシング(合焦)で第4レンズ群GR4が移動するとき、フォーカスによる収差変動、特に像面湾曲の収差変動や色収差の収差変動が比較的大きくなりやすい。そして、このような収差を良好に補正するために、レンズの枚数を増加させたり非球面のレンズに形成させたりと、変倍光学系OSの小型化を阻害する事態が生じ得る。
また、第3レンズ群GR3のパワーが弱くなっている場合であれば、それに伴って変倍光学系OSの全長の大型化につながる。また、パワーが弱いために、フォーカシングでの第3レンズ群GR3の移動量も比較的増加してしまう。その結果、第3レンズ群GR3の弱いパワーに起因して、変倍光学系OSの全長も増大してしまう。
一方、条件式(D)において下限値を下回る場合、第3レンズ群GR3の焦点距離が短くなる、あるいは第4レンズ群GR4の焦点距離が長くなる。つまり、第3レンズ群GR3のパワーが比較的強くなる、あるいは第4レンズ群GR4のパワーが比較的弱くなることを意味している。
例えば、第3レンズ群GR3のパワーが比較的強くなる場合であれば、それに伴って諸収差(特に、球面収差)が発生しやすくなる。すると、諸収差を良好に補正するために、レンズの枚数を増加させたり非球面のレンズに形成させたりと、変倍光学系OSの小型化を阻害する事態までもが生じ得る。
また、第4レンズ群GR4のパワーが比較的弱くなる場合であれば、この弱いパワーに対応し、第4レンズ群GR4に起因する諸収差が発生しにくくなる。しかしながら、第4レンズ群GR4の発揮するパワーが弱いと、フォーカシングでの第4レンズ群GR4の移動量が比較的増大してしまう。その結果、第4レンズ群GR4の弱いパワーに起因して、変倍光学系OSの全長も増大してしまう。
すると、条件式(D)の範囲内では上記の弊害が解消され、本発明は、収差発生を抑制しつつも(高性能化しつつも)、コンパクト化された変倍光学系OSになる。
なお、実施例1の変倍光学系OSを条件式(D)に対応させた結果は、下記のようになっている。
・実施例1のf3/f4=0.085
また、条件式(D)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(D’)の範囲を満たすほうが望ましいといえる。
0.08<f3/f4<0.50 … 条件式(D’)
次に、条件式(E){条件式(4)}は、下記のようになっている。
ft/fw≧12.00 … 条件式(E)
ただし、
ft:望遠端での全系の焦点距離
fw:広角端での全系の焦点距離
である。
この条件式(E)は、変倍光学系OS全体(全系)のズーム比を表している。すると、この条件式(E)を満たすことは、従来のDSC29のズーム比(例えば7〜10倍程度)に比べて、かなり高いズーム比を有してることになる。つまり、本発明は、高いズーム比を備える変倍光学系OSになっている。このことにより、本発明の変倍光学系OSにおけるズーム性能(変倍性能)の有意性が大きくなり、ユーザーベネフィットが達成可能となる。
なお、実施例1の変倍光学系OSを条件式(E)に対応させた結果は、下記のようになっている。
・実施例1のft/fw=17.50
また、条件式(E)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(E’)の範囲を満たすほうが望ましいといえる。
ft/fw≧15.00 … 条件式(E’)
ところで、変倍光学系OSにおけるレンズ群がズーミング等のために移動するとき、レンズ群の移動に起因した異物(ゴミ等)が、撮像素子SRやレンズ群自体に付着する場合がある。かかる事態を防止するために、本発明の変倍光学系OSは、撮像素子SRに最も近い第5レンズ群GR5を固定配置させている。そのため、ズーミングやフォーカシングにおいて、第5レンズ群GR5は不動になり、異物混入の事態が生じ得ない。
なお、この第5レンズ群GR5は、撮像素子SRに対する光線のテレセントリック性を向上させるために正のパワーを発揮するようになっている。また、コスト抑制や変倍光学系OSの全長抑制の観点から、第5レンズ群GR5において正のパワーを生じさせる光学素子は、1枚状の正のレンズ(実施例1ではL14)のみから成っている。
また、実施例1の変倍光学系OSでは、第5レンズ群GR5に反射ミラーMRが含まれるようになっている。すなわち、反射ミラーMRは、第4レンズ群GR4よりも像側に配置されている。
通常、第1レンズ群GR1〜第4レンズ群GR4が正・負・正・正のパワー配置になっている場合、広角端(W)から望遠端(T)までのズーミングでは、第1レンズ群GR1と第2レンズ群GR2との間隔は広がり、第2レンズ群GR2と第3レンズ群GR3との間隔は狭まり、第3レンズ群GR3と第4レンズ群GR4との間隔は広がるようになる。
すると、反射ミラーMRが、第4レンズ群GR4よりも像側に位置していれば、上記のような各レンズ群(GR1〜GR2、GR2〜GR3、GR3〜GR4)の間隔変動を妨げることがない。そのため、本発明は、ズーミングにおける各レンズ群(GR1〜GR2、GR2〜GR3、GR3〜GR4)の通常の間隔変動を維持できる変倍光学系OSになっている。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1で用いた部材と同様の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
実施の形態1での変倍光学系OS(実施例1)では、反射ミラーMRは、第4レンズ群GR4よりも像側に配置されている。しかし、反射ミラーMRの位置はこれに限定されるものではない。そこで、他の変倍光学系OS(実施例2)を図8および図9を用いながら説明する。なお、図8および図9は、図1および図2と同様の表現になっている。
〔1.実施例2の変倍光学系について〕
図8および図9に示す実施例2の変倍光学系OSは、撮影対象(物体側)から順に、第1レンズ群GR1、第2レンズ群GR2、第3レンズ群GR3、第4レンズ群GR4、および第5レンズ群GR5を有している。そして、これらのレンズ群(GR1〜GR5)は、実施例1の変倍光学系OSと同様に、正・負・正・正・正のパワー配置になっている。
〈1−1.変倍光学系の構成について(実施例2)〉
変倍光学系OSは、撮影対象(物体側)から順に、第1レンズ群GR1、第2レンズ群GR2、第3レンズ群GR3、第4レンズ群GR4、および第5レンズ群GR5を有している。
《第1レンズ群について》
第1レンズ群GR1は、物体側から順に、第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3を含んでいる。
そして、各レンズは、下記のような特徴を有している。
・第1レンズL1:物体側凸の負メニスカスレンズ
・第2レンズL2:物体側凸の正メニスカスレンズ
・第3レンズL3:物体側凸の正メニスカスレンズ
なお、第1レンズL1と第2レンズL2とは、s2にて接合することで接合レンズを構成している。。
《第2レンズ群について》
第2レンズ群GR2は、物体側から順に、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6、および第7レンズ群L7を含んでいる。
そして、各レンズは、下記のような特徴を有している。
・第4レンズL4:物体側凸の負メニスカスレンズ
・第5レンズL5:両側凹の負レンズ
・第6レンズL6:両側凸の正レンズ
・第7レンズL7:物体側凹の負メニスカスレンズ(s12は非球面)
なお、第5レンズL5と第6レンズL6とは、s9にて接合することで接合レンズを構成している。
《第3レンズ群について》
第3レンズ群GR3は、物体側から順に、光学絞りST、第8レンズL8、第9レンズL9、第10レンズL10、第11レンズ群L11、および反射ミラーMRを含んでいる。
そして、光学絞りST、各レンズ、および反射ミラーMRは、下記のような特徴を有している。
・光学絞りST :第1レンズ群GR1および第2レンズ群GR2を経た光線を一 部遮光する絞りであり、s13とも表記。なお、この光学絞り STは、第3レンズ群GR3と一体的に構成されている。
・第8レンズL8 :物体側凸の正メニスカスレンズ(s14は非球面)
・第9レンズL9 :物体側凸の負メニスカスレンズ
・第10レンズL10:両側凸の正レンズ
・第11レンズL11:物体側凹の負メニスカスレンズ(s20・s21は非球面)
・反射ミラーMR :第1レンズL1〜第11レンズL11を通過してきた光線の光 軸を略90°の屈折させる光軸変更素子である。なお、この反 射ミラーMRは、第3レンズ群GR3と一体的に構成されてい る。
《第4レンズ群について》
第4レンズ群GR4は、物体側から順に、第12レンズL12、および第13レンズL13を含んでいる。
そして、各レンズは、下記のような特徴を有している。
・第12レンズL12:両側凸の正レンズ
・第13レンズL13:両側凹の負レンズ
なお、第12レンズL12と第13レンズL13とは、s24にて接合することで接合レンズを構成している。
《第5レンズ群について》
第5レンズ群GR5は、物体側から順に、第14レンズL14およびローパスフィルタLFを含んでいる。
そして、第14レンズL14、およびローパスフィルタLFは、下記のような特徴を有している。
・第14レンズL14 :物体側凹の負メニスカスレンズ(s26・s27は非球面)
・ローパスフィルタLF:2面構成(s28・s29)の光学的フィルタであり、撮像 素子SRの画素ピッチにより決定される所定の遮断周波数特 性を有する。
〈1−2.変倍光学系(実施例2)のコンストラクションデータについて〉〉
次に、実施例2の変倍光学系OSのコンストラクションデータについて、表3・表4を用いて説明する。なお、この表3・表4は、上記の表1・表2と同様の表現になっている。
Figure 0004301226
Figure 0004301226
〈1−3.変倍光学系(実施例2)における各レンズ群の移動について〉
実施例2の変倍光学系OSは、図8に示すように、ズーミングの場合、第3レンズ群GR3を不動にし、その他のレンズ群(GR1・GR2・GR4・GR5)を移動させている。かかるようなズーミングのときには、各レンズ群間の距離(群間距離)が変動する。
具体的には、広角端から望遠端に至るズーミングの場合、変倍光学系OSは、第1レンズ群GR1〜第2レンズ群GR2の群間距離を広げ、第2レンズ群GR2〜第3レンズ群GR3の群間距離を狭め、第3レンズ群GR3〜第4レンズ群GR4の群間距離を広げ、第4レンズ群GR4〜第5レンズ群GR5の群間距離を広げている。
そこで、図8は、ズーミングに伴って間隔変動の生じる軸上面間隔(di)のみに番号を付している。具体的には、d5、d12、d22、およびd25が図示されている。なお、図10〜図12は、ズーミングにおける実施例2の変倍光学系OSの収差を示している。そして、この図10〜図12は、図3〜図5と同様の表現になっている。
〔2.本発明の種々の特徴の一例について〕
以上のような、実施例2の変倍光学系OSは、実施例1同様に、物体側からの光線を撮像素子SRに結像させる複数のレンズ群と、撮像素子SRに到達する光線の一部を遮光する光学絞りSTと、光学絞りSTによって一部遮光された光線の光軸を変更させる反射ミラーMRと、を有している。そして、複数のレンズ群も、第1レンズ群GR1〜第4レンズ群GR4を、正・負・正・正のパワー配置にしている。なお、この複数のレンズ群は、広角端から望遠端までのズーミングにおいて、少なくとも2個のレンズ群(実施例2ではGR1・GR2・GR4・GR5)を移動させるようになっている。
つまり、実施例2の変倍光学系OSも、第1レンズ群GR1〜第4レンズ群GR4までを、正・負・正・正のパワー配置にしている。そのため、光学絞りSTが、第3レンズ群GRの近傍に配置されることが多い。すると、実施例1同様に、反射ミラーMRは、光学絞りSTよりも像側に配置されることが多くなる。実施例2の変倍光学系OSでは、光学絞りSTは第3レンズ群GRにおける最物体側に位置し、反射ミラーMRは第3レンズ群における最像側に位置している。
このように、反射ミラーMRが第3レンズ群における最像側に位置すると、反射ミラーMRより像側に位置する第4レンズ群GR4および第5レンズ群GR5がDSC29等のボディ内に組みこまれるようになる。すると、実施例1同様、実施例2の変倍光学系OSを搭載する本発明のDSC29は、ストレート光学系を搭載するDSCよりも、奥行き方向Uを短縮できる{図6(A)参照}。
また、実施例2の変倍光学系OSも、光学絞りST以降の光束を反射させているので、反射ミラーMRを比較的小さいものにできる(具体的には、反射ミラーMRが、第3レンズ群GR3と第4レンズ群GR4との間に配置されているためである)。そのため、実施例2も、比較的小型の反射ミラーMRを含めるだけで、限られたDSC29のボディ空間に、適切に一部レンズを組みこめる変倍光学系OSといえる。
また、実施例2の変倍光学系OSは、ズーミングのときに、第3レンズ群GR3を不動にしている。すると、この第3レンズ群GR3は、DSC29のボディ内に組みこみやすいといえる。そのため、例えばレンズ鏡胴LBに含まれるレンズ群の個数を削減でき、多彩なDSC29の設計が可能になる。
その上、実施例2の変倍光学系OSは、下記に示すように、条件式(A)〜条件式(E)を満たすようになっている。したがって、実施例2の変倍光学系OSも、各条件式に対応する作用効果を奏じることはいうまでもない。
・実施例2の(β2t/β2w)/Z= 0.318 …条件式(A)
・実施例2のβ3t/β3w = 3.159 …条件式(B)
・実施例2のf1/fm = 0.525 …条件式(C)
・実施例2のf3/f4 = 0.189 …条件式(D)
・実施例2のft/fw =17.49 …条件式(E)
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、本発明のDSC29は、図6(A)に示すように、反射ミラーMRによって変更された光軸方向AXと、DSC29の高さ方向Hとを同方向にしている(このような配置を「縦置き配置」と称する)。しかし、これに限定されるものではない。例えば、反射ミラーMRによって変更された光軸方向AXと、DSC29の水平方向(図6(A)の紙面に対して垂直方向)とが同方向になっていてもよい(このような配置を「横置き配置」と称する)。
また、実施例1および実施例2の変倍光学系OSは、光軸を変更させるために反射ミラーMRを用いている。しかし、本発明の変倍光学系OSはこれに限定されない。例えば、反射ミラーMRに代えて、光学プリズム(例えば直角プリズム)であってもよい。なお、反射ミラーMRを用いる場合には変倍光学系OSのコスト抑制が図れ、光学プリズムを用いる場合には変倍光学系OSの光学設計が容易になる。
また、本発明に係る撮像装置は、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する光学装置であって、被写体の静止画撮影や動画撮影に用いられるカメラの主たる構成要素を成すものである。そのようなカメラの例としては、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラ、テレビ電話用カメラ、ドアホーン用カメラ等が挙げられる。また、パーソナルコンピュータ、携帯情報機器(モバイルコンピュータ・携帯電話・携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)等の小型で携帯可能な情報機器端末)、これらの周辺機器(マウス・スキャナー・プリンター・メモリー等)、その他のデジタル機器等に内蔵又は外付けされるカメラも挙げられる。
これらの例から分かるように、撮像装置を用いることによりカメラを構成することができるだけでなく、各種機器に撮像装置を搭載することによりカメラ機能を付加することも可能である。例えば、カメラ付き携帯電話等の画像入力機能付きデジタル機器を構成することが可能である。
なお、従来「デジタルスチルカメラ」の語は、専ら光学的な静止画を記録するものを指していたが、静止画と動画を同時に扱えるデジタルスチルカメラや家庭用デジタルムービーカメラも提案されており、現在では特に区別されなくなってきている。したがって「デジタルスチルカメラ」の語は、デジタルスチルカメラ、デジタルムービーカメラ、ウェッブカメラ(オープン型・プライベート型を問わず、ネットワークに接続されて画像の送受信を可能にする機器に接続されるカメラであって、ネットワークに直接接続されるもの、パーソナルコンピュータ等の情報処理機能を有する機器を介して接続されるもの、の両方を含む。)等のように、光学像を形成する撮影レンズ系、その光学像を電気映像信号に変換する撮像素子等を備えた撮像装置を主たる構成要素とするカメラすべてを含むものとする。
また、本発明の変倍光学系OSは、種々の撮像装置やデジタル入力機器(例えば撮像装置を具備したデジタル機器)に用いられる。したがって、本発明の変倍光学系OSを用いた撮像装置等は、コンパクトなものになる。また、撮像装置等における限られた筐体内(ハウジング内)の容積に占める変倍光学系OSの割合は、比較的小さくなる。そのため、撮像装置等の余裕のあるハウジング内に、種々の部品(電子部品等)が配置できる(ハウジング容積の有効活用が達成できる)。したがって、種々の部品を搭載した高性能な撮像装置が実現できる。
実施例1の変倍光学系を一列状の展開した状態を示すレンズ構成図である 本発明の撮像装置(DSC)内に搭載する実施例1の変倍光学系と撮像素子との配置を示すレンズ構成図である。 実施例1の変倍光学系でのズーミングにおける広角端状態(W)の収差図であり、(A)は球面収差図、(B)は非点収差図、(C)は歪曲収差図である。 実施例1の変倍光学系でのズーミングにおける中間焦点状態(M)の収差図であり、(A)は球面収差図、(B)は非点収差図、(C)は歪曲収差図である。 実施例1の変倍光学系でのズーミングにおける望遠端状態(T)の収差図であり、(A)は球面収差図、(B)は非点収差図、(C)は歪曲収差図である。 DSCの側面図であり、(A)は本発明の変倍光学系を搭載するDSCの側面図、(B)および(C)はストレート光学系を搭載するDSCの側面図である。 本発明のDSCの内部を示すブロック構成図である。 実施例2の変倍光学系を一列状の展開した状態を示すレンズ構成図である 本発明のDSC内に搭載する実施例2の変倍光学系と撮像素子との配置を示すレンズ構成図である。 実施例2の変倍光学系でのズーミングにおける広角端状態(W)の収差図であり、(A)は球面収差図、(B)は非点収差図、(C)は歪曲収差図である。 実施例2の変倍光学系でのズーミングにおける中間焦点状態(M)の収差図であり、(A)は球面収差図、(B)は非点収差図、(C)は歪曲収差図である。 実施例2の変倍光学系でのズーミングにおける望遠端状態(T)の収差図であり、(A)は球面収差図、(B)は非点収差図、(C)は歪曲収差図である。
符号の説明
29 DSC(撮像装置)
OS 変倍光学系
MR 反射ミラー
SR 撮像素子
LF ローパスフィルタ
s レンズ面
L レンズ
* 非球面
AX 光軸
GR1 第1レンズ群
GR2 第2レンズ群
GR3 第3レンズ群
GR4 第4レンズ群
GR5 第5レンズ群
LB レンズ鏡胴
FL フラッシュ

Claims (10)

  1. 物体側からの光線を撮像素子に結像させる複数のレンズ群と、
    上記撮像素子に到達する光線の一部を遮光する光学絞りと、
    上記光学絞りによって一部遮光された光線の光軸を変更させる光軸変更素子と、
    を有しており、
    上記複数のレンズ群は、
    物体側から像側に向かって、少なくとも、
    正のパワーを有する第1レンズ群と、
    負のパワーを有する第2レンズ群と、
    正のパワーを有する第3レンズ群と、
    正のパワーを有する第4レンズ群と、
    を含むとともに、
    広角端から望遠端までの変倍において、少なくとも2個のレンズ群を移動させるようになっており、
    さらに、以下の条件式(1),(2)及び(4)を満たすことを特徴とする変倍光学系;
    1.1<β3t/β3w<5.0 … 条件式(1)
    0.2<f1/fm<1.0 … 条件式(2)
    ft/fw≧12.00 … 条件式(4)
    ただし、
    β3t:望遠端での第3レンズ群の横倍率
    β3w:広角端での第3レンズ群の横倍率
    f1:第1レンズ群の焦点距離
    fm:√(fw×ft)
    fw:広角端での全系の焦点距離
    ft:望遠端での全系の焦点距離
    である。
  2. 以下の条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系;
    0.05<f3/f4<1.00 … 条件式(3)
    ただし、
    f3:第3レンズ群の焦点距離
    f4:第4レンズ群の焦点距離
    である。
  3. 上記光学絞りが上記第3レンズ群の近傍に配置されており、上記光軸変更素子が上記光学絞りよりも像側に配置されており、上記光軸変更素子で光軸が折り曲げられて、その折れ曲がった位置以降に少なくとも1個のレンズ群が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の変倍光学系。
  4. 上記光軸変更素子が変倍のときに不動になっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の変倍光学系。
  5. 上記複数のレンズ群には、上記第4レンズ群よりも像側に、変倍のときに不動になっている第5レンズ群が含まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の変倍光学系。
  6. 上記第5レンズ群は、正のパワーを有していることを特徴とする請求項5に記載の変倍光学系。
  7. 上記第5レンズ群において正のパワーを生じさせる光学素子は、1枚状の正のレンズであることを特徴とする請求項6に記載の変倍光学系。
  8. 上記光軸変更素子は、上記第4レンズ群よりも像側に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の変倍光学系。
  9. 上記光軸変更素子は、上記の第3レンズ群と第4レンズ群との間に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の変倍光学系。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の変倍光学系を備える撮像装置。
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