JP4300737B2 - プラズマ反応器及び空気浄化装置 - Google Patents

プラズマ反応器及び空気浄化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストリーマ放電により低温プラズマを生成して空気浄化などのガス処理を行うプラズマ反応器と、このプラズマ反応器を使った空気浄化装置とに関し、特に、放電による低温プラズマを広い領域で生成するための技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、低温プラズマを利用したプラズマ反応器は、例えば空気や排ガスなどに含まれる有害成分や臭気成分をプラズマにより発生する活性種の作用で分解して無害化または無臭化する空気浄化装置やガス処理装置に利用されている。例えば、特開平8−155249号公報及び特開平9−869号公報には、放電電極としての複数の針状電極を対向電極としての面状電極に対してほぼ直角に配置して、放電電極と対向電極との間でストリーマ放電を起こしてプラズマを生成し、その放電場に被処理ガスを導入してガス処理を行う装置が開示されている。
【0003】
この構成でストリーマ放電を起こすと、各放電電極と対向電極との間の細い柱状の空間が放電場となる。放電場は、各放電電極について形成されるが、それぞれが比較的狭い領域である。このため、上記公報に記載された装置では、放電電極を一列または複数列に密に配置することにより、各放電電極と対向電極の間で形成される複数の放電領域同士の間で隙間ができるのを抑えながら、プラズマ生成領域を広くするようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成では、多数の放電電極を密に配置しなければならないため、構成が複雑になってしまう。
【0005】
これに対して、各放電電極についての放電領域を広くすることができれば、放電電極の本数を減らしてもプラズマ生成領域を広げることが可能になる。例えば、パルスの立ち上がり時間が100ns以下程度と短く、パルス幅が1μs以下程度の急峻なパルス高電圧を両電極間に印加すると、比較的広い範囲をプラズマ化することができる。
【0006】
この理由としては、(1)電圧の印加時間が短いために、通常の放電ではスパークに至ってしまうような高い電圧を瞬間的に印加できること、(2)印加電圧を高くすると全ての場所で放電が起きやすくなること、(3)電圧立ち上がりが急峻なために空間電荷効果による放電の抑制が少ないこと、(4)立ち上がり時間が短いために一様な放電が起きやすいことなどを挙げることができる。
【0007】
しかし、このようにパルス幅の狭い急峻なパルス高電圧を供給するパルス電源を用いると、装置が大がかりになり、コストも高くなってしまう。また、非常に短いパルス幅分の時間しか放電が生じないのでプラズマの生成時間も短くなり、ガスの処理効率なども低下してしまう。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、プラズマ反応器の構成が複雑になったりコストが高くなったりするのを抑えながら、ストリーマ放電によるプラズマ生成領域を広げることを可能にすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、針状の電極(21)と面状の電極(22)との間でストリーマ放電により低温プラズマを生成して被処理ガスを処理するプラズマ反応器(20)において、針状の電極(21)の先端形状を特定したものである。
【0010】
具体的に、本発明が講じた第1の解決手段は、針状の第1電極(21)と、第1電極(21)に略直交する状態で対向して配置された面状の第2電極(22)と、両電極(21,22) に放電電圧を印加するように接続された電源手段(24)とを備え、第1電極(21)と第2電極(22)とが被処理流体の流通空間に配置され、両電極(21,22) 間でストリーマ放電を発生させることにより被処理流体を処理するように構成されたプラズマ反応器(20)を前提としている。そして、このプラズマ反応器(20)は、第1電極(21)における第2電極側の端部(21a) が尖端部として形成され、その尖端角度(θ)が30°以上90°以下であり、且つ第1電極(21)の尖端部における最尖端がアール形状に形成されていることを特徴としている。なお、この構成において、「尖端部」は、先端に向かうほど径が細くなるようなテーパ状の形状(円錐状や角錐状などを含む)を意味するものであり、該尖端部の最先端は必ずしも鋭敏に尖っていなくてもよい。
【0011】
この第1の解決手段においては、第1電極(21)と第2電極(22)に電源手段(24)から放電電圧を印加するとストリーマ放電が発生する。ストリーマ放電は、第1電極(21)の先端から第2電極(22)まで微小アークが連続することにより、発光を伴ったプラズマ柱として形成され、微小アークは、第1電極(21)と第2電極(21)との間において、等電位面の間隔が狭いところで連なって進展する。そして、第1電極(21)の尖端角度(θ)を上記の角度範囲に特定しているため、微小アークが広範囲に広がりながら進展しやすくなり、ストリーマ放電が広範囲で生じる。つまり、この場合のストリーマ放電は、第1電極(21)から第2電極(22)に向かってフレア状に広がった領域で発生する。
【0012】
また、本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の尖端角度(θ)が60°以上90°以下であることを特徴としている。
【0013】
このように第1電極(21)の尖端角度(θ)を60°以上90°以下にすると、さらにストリーマ放電が発生しやすくなる。
【0014】
また、本発明が講じた第3の解決手段は、上記第2の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の尖端角度(θ)が実質的に60°であることを特徴としている。
【0015】
このように第1電極(21)の尖端角度(θ)を実質的に60°にすると、第1電極(21)の針状実効長(L)の製作精度が悪くても、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)の製作精度が確保できる場合には、ストリーマが安定的に発生することになる。
【0016】
また、本発明が講じた第4の解決手段は、上記第2の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の尖端角度(θ)が実質的に80°であることを特徴としている。
【0017】
このように第1電極(21)の尖端角度(θ)を実質的に80°にすると、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)の製作精度が悪くても、第1電極(21)の針状実効長(L)の製作精度が確保できる場合には、ストリーマが安定的に発生することになる。
【0018】
また、本発明が講じた第5の解決手段は、上記第1から第4のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の尖端部における最尖端が球面状に形成されていることを特徴としている。つまり、この解決手段のプラズマ反応器(20)では、第1電極(21)の最尖端に小さな丸みをつけた形状としている。
【0019】
この第5の解決手段では、第1電極(21)の尖端を球面状にしたことにより、さらに微小アークが広がりやすくなり、その結果、放電プラズマがより広範囲で生じることとなる。
【0020】
また、第6から第13の解決手段は、第1電極(21)の尖端部分の太さや長さ、さらには尖端の曲率半径等を特定の範囲に設定したものであり、これによれば、グロー放電にならず、しかもスパークの発生が抑えられ、ストリーマ放電が安定的に生起して、これを空気浄化装置に用いることで高い浄化性能が長期に亘って発揮される。
【0021】
つまり、本発明が講じた第6の解決手段は、上記第1から第5のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の針状実効長(L)が4mm以上30mm以下であることを特徴としている。
【0022】
また、本発明が講じた第7の解決手段は、上記第1から第6のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)が0.1mm以上0.7mm以下であることを特徴としている。
【0023】
また、本発明が講じた第8の解決手段は、上記第1から第7のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の針状実効長(L)と電極間距離(G)との比(L/G)が0.2以上1.5以下であることを特徴としている。なお、この構成において、「電極間距離(G)」とは、請求項15にいう処理部材(23)が第1電極(21)と第2電極(22)の間に配置されている場合には、第1電極(21)尖端と処理部材(23)との距離を意味し、上記処理部材(23)がない場合には、第1電極(21)尖端と第2電極(22)との距離を意味するものとする。このことは、以下の解決手段及び実施形態においても同様である。
【0024】
また、本発明が講じた第9の解決手段は、上記第1から第8のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の針状実効長(L)とその直径(D)との比(L/D)が2以上15以下であることを特徴としている。
【0025】
また、本発明が講じた第10の解決手段は、上記第1から第9のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)と電極間距離(G)との比(R/G)が0.005以上0.035以下であることを特徴としている。
【0026】
また、本発明が講じた第11の解決手段は、上記第1から第10のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)と該第1電極(21)の直径(D)との比(R/D)が0.05以上0.35以下であることを特徴としている。
【0027】
また、本発明が講じた第12の解決手段は、上記第1から第11のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の針状実効長(L)と電極間距離(G)と第1電極(21)の尖端角度(θ)との関係が次式
L/Gθ=0.25以上1.2以下
を満たすことを特徴としている。
【0028】
また、本発明が講じた第13の解決手段は、上記第1から第12のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第1電極(21)の針状実効長(L)と第1電極(21)の尖端角度(θ)との関係が次式
L/θ=5以上24以下
を満たすことを特徴としている。
【0029】
また、本発明が講じた第14の解決手段は、上記第1から第13のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、第2電極(22)が、被処理流体の流通する開口部(22a) を備えていることを特徴としている。
【0030】
この第14の解決手段においては、被処理流体は、第1電極(21)と第2電極(22)の間の放電場(A) を流れるときに、第2電極(22)の開口部(22a) を通過する。また、プラズマの生成領域は第2電極(22)側に向かってフレア状に広がっているので、被処理流体は、プラズマの最も広がった部分である第2電極(22)の開口部(22a) を通過する。
【0031】
また、本発明が講じた第15の解決手段は、上記第1から第14のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、被処理流体を処理するための処理部材(23)を備え、この処理部材(23)が、第1電極(21)と第2電極(22)の間またはその下流側に配置されていることを特徴としている。この構成において、処理部材(23)は、第1電極(21)と第2電極(22)の間に形成される放電場(A) から若干離れた配置にしても、その位置がプラズマの作用する範囲であれば、該処理部材(23)による効果を得ることができる。
【0032】
この第15の解決手段においては、処理部材(23)が放電場(A) 中またはその下流側に配置されているので、被処理流体は、放電場(A) を通過する際にこの処理部材(23)の位置も通ることになる。したがって、被処理流体の処理が確実に行われる。
【0033】
また、本発明が講じた第16の解決手段は、上記第15の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、処理部材(23)が、第1電極(21)と第2電極(22)の間で、該第2電極(22)の近傍に配置されていることを特徴としている。
【0034】
この第16の解決手段においては、プラズマ生成領域の最も広くなった部分に処理部材(23)が配置されている。したがって、被処理流体は、この広い領域を通過する際に、プラズマの作用を受けながら処理部材(23)を通過する。
【0035】
また、本発明が講じた第17の解決手段は、上記第15または第16の解決手段において、処理部材(23)が、被処理流体に対する処理を促進する触媒物質を有することを特徴としている。
【0036】
この第17の解決手段においては、処理部材(23)に触媒物質を含ませるようにしているので、被処理流体は、放電場(A) において、プラズマによる作用に加えて、触媒による作用も受けることとなる。
【0037】
また、本発明が講じた第18の解決手段は、上記第17の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、触媒物質が、Pt(白金),Pd(パラジウム),Ni(ニッケル),Ir(イリジウム),Rh(ロジウム),Co(コバルト),Os(オスミウム),Ru(ルテニウム),Fe(鉄),Re(レニウム),Tc(テクネチウム),Mn(マンガン),Au(金),Ag(銀),Cu(銅),W(タングステン),Mo(モリブデン),Cr(クロム)のうちの少なくとも1種を含んでいることを特徴としている。なお、このうち、FeやMnを始め、一部の物質は酸化物(例えばFe、MnO など)の形態で含ませるとよい。
【0038】
この第18の解決手段において特定した触媒物質は、被処理流体に含まれる被処理成分を分解する際に、例えばストリーマ放電により発生する種々の活性種(オゾン、ヒドロキシラジカル、励起酸素分子、励起窒素分子、励起水分子など)をさらに励起する。このため、これら活性種がより活性の高められた状態となって上記被処理成分に作用する。また、触媒の表面に多くの活性種を活性状態のまま吸着する作用も働く。したがって、これらの作用により被処理流体を処理する際の化学反応が促進されるので、被処理流体が例えば有害成分または臭気成分を含む空気である場合、無臭化または無害化が促進される。
【0039】
また、本発明が講じた第19の解決手段は、上記第17の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、触媒物質中、マンガン系触媒(MnまたはMn酸化物(MnO やMnなど))が10質量%以上60質量%以下含有されていることを特徴とし、本発明が講じた第20の解決手段は、上記第19の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、触媒物質中、マンガン系触媒が30質量%以上40質量%以下含有されていることを特徴としている。
【0040】
上記第19,第20の解決手段においては、マンガン系触媒を用いる場合にMn、MnO 、またはMnなどのマンガン系触媒の含有量を特定するようにしたため、プラズマ反応器(20)の処理性能が最適化される。逆に言うと、触媒成分中のMn、MnO 、またはMnなどの含有量が少なすぎると有害物質などの分解能力が不十分となり、含有量が多すぎると触媒の比表面積が逆に小さくなって性能が低下するのに対し、最適な性能が得られる。
【0041】
また、本発明が講じた第21の解決手段は、上記第17の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、処理部材(23)が、触媒物質として、マンガン酸化物と、鉄、セリウム、ユーロピウム、ランタン、及び銅のうちの少なくとも1種の酸化物(以下、特定酸化物という)との混合物または複合酸化物を含有していることを特徴としている。
【0042】
この第21の解決手段において、放電手段(21,22) により形成される放電場(A) を被処理流体が通過すると、被処理流体がプラズマ化し、低温プラズマが生成される。この低温プラズマにより、オゾンなどの他、ヒドロキシラジカルなどのラジカルや、励起酸素分子、励起窒素分子、励起水分子などの種々の活性種が発生する。これらの各種の活性種は、上記触媒の作用により高活性状態で有害成分や臭気成分と効率よく反応して、これらの物質を分解除去する。
【0043】
より具体的には、触媒に含まれているMn酸化物は、放電により発生するオゾンを酸素と活性酸素に分解する。この活性酸素は、被処理流体の有害成分や臭気成分を酸化して無害成分や無臭成分に分解する。また、オゾンの分解により得られた活性酸素を始め、低温プラズマにより発生するヒドロキシラジカルなどのラジカルや、励起酸素分子(活性酸素)、励起窒素分子、励起水分子などの各種活性種は、触媒手段(23)に含まれる上記の特定酸化物の表面や、Mn酸化物と特定酸化物の界面にラジカルや励起状態のまま吸着される。このため、触媒の表面には活性の高い活性種が活性基として多く存在することになり、被処理流体中の有害成分や臭気成分が高速に分解される。
【0044】
また、本発明が講じた第22の解決手段は、上記第21の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、触媒物質中のマンガン酸化物の組成比が20%以上50%以下であることを特徴としている。この場合、触媒物質中で上記特定酸化物がMn酸化物の残りを占めるので、その組成比は80%以下50%以上になる。
【0045】
この第22の解決手段においては、触媒物質中、Mn酸化物の組成比を20%以上50%以下に設定しているので、Mn酸化物と特定酸化物とが分散して微細化し、触媒の比表面積が増大する。その結果、Mn酸化物と特定酸化物の界面が増えるため、触媒がより多くの活性種を吸着し、活性がさらに向上する。
【0046】
また、本発明が講じた第23の解決手段は、上記第21または第22の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、処理部材(23)が、触媒物質として、例えばMnO やMnなどの酸化数の異なる複数種類のマンガン酸化物を含んでいることを特徴としている。
【0047】
この第23の解決手段においては、触媒が酸化数の違うMn酸化物を含むようにしているので、Mn酸化物が1種類である場合と比較して、被処理流体の処理反応の際にさらに多種の活性種を吸着して反応に供することができることとなる。
【0048】
また、本発明が講じた第24の解決手段は、上記第15から第23のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、処理部材(23)が、被処理流体に含まれる被処理成分を吸着する吸着剤を含んでいることを特徴としている。
【0049】
さらに、本発明が講じた第25の解決手段は、上記第24の解決手段に係るプラズマ反応器(20)において、吸着剤が、多孔質セラミックス、活性炭、活性炭繊維、ゼオライト(アルミノシリケート)、モルデナイト、フェリエライト、シリカライト(シリカゲル)のうちの少なくとも1種であることを特徴としている。
【0050】
上記第24,第25の解決手段において、被処理流体に含まれる被処理成分は、吸着剤に吸着される。そして、このように吸着剤に吸着された被処理成分に対してプラズマによる分解作用が行われる。特に、処理部材(23)に触媒を設けたものにおいて吸着剤も含ませた場合には、吸着した成分を触媒で分解するので、分解性能が高められる。
【0051】
また、本発明が講じた第26の解決手段は、上記第1から第25のいずれか1の解決手段に係るプラズマ反応器(20)を用いた空気浄化装置に関するものである。この空気浄化装置(1) は、該プラズマ反応器(20)が内部に収納されるケーシング(10)を備え、このケーシング(10)内に被処理空気を導入して放電手段(21,22) の放電場(A) を通過させることにより、該被処理空気中の臭気成分または有害成分を処理するように構成されていることを特徴としている。
【0052】
この第26の解決手段では、被処理空気中の臭気成分または有害成分をストリーマ放電により広い範囲に形成した低温プラズマで処理することにより、被処理空気が浄化される。また、触媒や吸着剤を含む処理部材(23)を用いたものにおいては、触媒による作用や、吸着剤による作用も併用して処理が行われる。
【0053】
【発明の効果】
上記第1の解決手段によれば、第1電極(21)の尖端角度(θ)を上記の角度範囲(30°以上90°以下)に特定したことで微小アークが放電場(A) 中で広範囲に広がりながら進展しやすくしているため、ストリーマ放電が広範囲で生じる。そして、このように第1電極(21)の形状によってストリーマ放電の生成領域を広げるようにしているので、パルス幅の狭い急峻なパルス高電圧を供給するパルス電源は不要であり、コストを抑えられるとともに、装置が大がかりで複雑になるのも防止できる。さらに、急峻なパルスを使わなくてよいことから、交流や直流の高圧電源を使えるので、急峻なパルス電圧を印加する場合と比較すると、放電時間を長くしてガスなどの処理効率を高めることもできる。
【0054】
また、上記第2の解決手段によると、第1電極(21)の尖端角度(θ)を60°以上90°以下とすることで、さらにストリーマ放電を発生しやすくするので、上記第1の解決手段の効果をより高めることができる。
【0055】
また、上記第3の解決手段によると、第1電極(21)の尖端角度(θ)を実質的に60°とすることで、第1電極(21)の針状実効長(L)の製作精度が悪くても、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)の製作精度が確保できる場合には、ストリーマを安定的に発生させることができる。
【0056】
また、上記第4の解決手段によると、第1電極(21)の尖端角度(θ)を実質的に80°にすることで、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)の製作精度が悪くても、第1電極(21)の針状実効長(L)の製作精度が確保できる場合には、ストリーマを安定的に発生させることができる。
【0057】
また、上記第5の解決手段によれば、第1電極(21)の尖端を球面状にしたことによってストリーマ放電がさらに広範囲で生じるので、より広い範囲で低温プラズマを生成することが可能となる。
【0058】
また、上記第6の解決手段によれば、第1電極(21)の針状実効長(L)を4mm以上30mm以下にしたことで、上記端部(21a) 尖端に電界が集中しすぎたり、放電しない事態を回避してストリーマ放電を安定化させることができる。
【0059】
また、上記第7の解決手段によれば、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)を0.1mm以上0.7mm以下にしたことで、上述の如くストリーマ放電を安定化させることができる。
【0060】
また、上記第8の解決手段によれば、第1電極(21)の針状実効長(L)と電極間距離(G)との比(L/G)を0.2以上1.5以下にしたことで、上記と同様にストリーマ放電を安定化させることができる。
【0061】
また、上記第9の解決手段では、第1電極(21)の針状実効長(L)とその直径(D)との比(L/D)を2以上15以下にしたことでストリーマ放電を安定化させることができることは上記と同様である。
【0062】
また、上記第10の解決手段では、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)と電極間距離(G)との比(R/G)を0.005以上0.035以下にしたことで、同様にストリーマ放電を安定化させることができる。
【0063】
また、上記第11の解決手段では、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)と該第1電極(21)の直径(D)との比(R/D)を0.05以上0.35以下にしたことで、同様にストリーマ放電を安定化させることができる。
【0064】
また、上記第12の解決手段では、第1電極(21)の針状実効長(L)と電極間距離(G)と第1電極(21)の尖端角度(θ)との関係を次式
L/Gθ=0.25以上1.2以下
を満たすようにしたことで、安定したストリーマ放電を得ることができる。
【0065】
また、上記第13の解決手段では、第1電極(21)の針状実効長(L)と第1電極(21)の尖端角度(θ)との関係を次式
L/θ=5以上24以下
を満たすようにしたことで、同様にストリーマ放電を安定化させることができる。
【0066】
また、上記第14の解決手段によれば、被処理流体が、第1電極(21)と第2電極(22)の間の放電場(A) を流れながら、放電プラズマの最も広くなる第2電極(22)の開口部(22a) を通過するため、被処理流体の処理を確実にすることができる。
【0067】
また、上記第15の解決手段によれば、放電場(A) 中またはその下流側に配置された処理部材(23)を被処理流体が確実に通過するので、被処理流体の処理がより確実に行われる。したがって、処理性能を高められる。
【0068】
また、上記第16の解決手段によれば、放電プラズマの最も広くなる領域に処理部材(23)を配置して、被処理流体がこの領域を通過する際にプラズマの作用を受けながら処理部材(23)を通過するようにしているので、装置の処理性能を高められる。
【0069】
また、上記第17の解決手段によれば、処理部材(23)に被処理流体の処理を促進する触媒物質を含ませて、被処理流体がプラズマによる分解作用と触媒による分解作用を受けるようにしているので、反応器(20)の処理性能を高められる。
【0070】
また、上記第18の解決手段によれば、被処理流体に含まれる被処理成分を処理する際に、ストリーマ放電により低温プラズマを生成して発生させた種々の活性種(オゾン、ヒドロキシラジカル、励起酸素分子、励起窒素分子、励起水分子など)を触媒でさらに励起して活性を高めたり、触媒上に活性状態のまま吸着したりして化学反応を促進することができるので、処理性能をさらに高められる。
【0071】
また、上記第19,第20の解決手段によれば、Mn、MnO 、またはMnなどの含有量を最適範囲に特定しているため、プラズマ反応器(20)の処理性能をより高めることができる。
【0072】
また、上記第21の解決手段によれば、低温プラズマにより発生する種々の活性種が空気浄化などの被処理流体の処理を行う際に有効に利用され、その際の化学反応を飛躍的に促進することができる。したがって、プラズマ反応器(20)の処理能力を高めることができるようになる。また、このように処理能力を高められることから、反応器(20)を小型化することも可能となる。
【0073】
また、上記第22の解決手段によれば、触媒物質中、Mn酸化物の組成比を20%以上50%以下に設定して触媒の比表面積を大きくすることにより、触媒がより多くの活性種を吸着するようにしているので、被処理流体を処理する際の化学反応をさらに促進できる。したがって、プラズマ反応器(20)の処理能力をより高めることが可能となる。
【0074】
また、上記第23の解決手段によれば、触媒に酸化数の違うMn酸化物を含ませることで、被処理流体の処理の際により多くの種類の活性種を利用できるようにしているので、反応をさらに促進することが可能となる。したがって、プラズマ反応器(20)の処理能力を一層高めることができる。
【0075】
上記第24及び第25の解決手段によれば、被処理流体に含まれる被処理成分を吸着剤に吸着して、プラズマによる分解作用を行うようにしているので、分解性能を高められる。特に、処理部材(23)に触媒を設けたものにおいて吸着剤も含ませた場合には、吸着した成分を触媒で分解するので、より分解性能が高められる。
【0076】
また、上記第26の解決手段によれば、被処理空気中の臭気成分または有害成分を、ストリーマ放電により広い範囲に生成した低温プラズマで確実に処理することができるので、被処理空気を効率的に浄化できる。また、処理部材(23)に触媒や吸着剤を用いたものにおいては、触媒による分解作用や、吸着剤による吸着作用も行われるので、処理性能をより高めることができる。
【0077】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0078】
この実施形態は、被処理空気中の臭気成分または有害成分を酸化分解などにより処理して空気を浄化する空気浄化装置(1) に関するものである。図1は、この空気浄化装置(1) の概略構成を示している。
【0079】
図示するように、この空気浄化装置(1) はケーシング(10)内に各機能部品が収納された構成であり、機能部品として、集塵フィルタ(11)と遠心ファン(12)とプラズマ反応器(20)とがケーシング(10)内に収納されている。なお、図1に符号(13)で示しているのは、放電により発生するオゾンを分解するためのオゾン分解触媒である。
【0080】
ケーシング(10)の一つの側面(図1の右側の側面)には、ケーシング(10)内に空気を吸い込むための空気吸込口(15)が形成され、上面には浄化空気を吹き出すための空気吹出口(16)が形成されている。空気吸込口(15)には吸込グリル(15a) が設けられ、空気吹出口(16)には吹出グリル(16a) が設けられている。また、空気吸込口(15)には、吸込グリル(15a) の内側に上記集塵フィルタ(11)を配置して、吸込空気中に含まれる塵埃を捕集するようにしている。
【0081】
空気吹出口(16)は、ケーシング(10)の上面において、空気吸込口(15)とは反対側の縁部(図1の左側の縁部)に形成されている。そして、この空気吹出口(16)に対応して、上記遠心ファン(12)がケーシング(10)内に設けられている。この遠心ファン(12)には、ファン用電源(12a) が接続されている。以上の構成において、ケーシング(10)の内部は、空気吸込口(15)と空気吹出口(16)の間が被処理空気の流通空間となっている。そして、遠心ファン(12)を起動すると、被処理空気が空気吸込口(15)の吸込グリル(15a) 及び集塵フィルタ(11)を通してケーシング(10)内に吸い込まれる。被処理空気は、下記に詳述する反応器(20)での処理後に、空気吹出口(16)の吹出グリル(16a) からケーシング(10)の外に吹き出される。
【0082】
図2はプラズマ反応器(20)の概略構成を示す断面図、図3は斜視図である。このプラズマ反応器(20)は、低温プラズマを生成するための放電手段としての第1電極(放電電極)(21)及び第2電極(対向電極)(22)と、これらの電極(21,22) の間で第2電極(22)に近接して配置された処理部材(23)とを備えている。つまり、処理部材(23)は放電場(A) 中に配置されている。
【0083】
この処理部材(23)は、空気の流れ方向に沿って貫通する多数の小孔(23b) を有するハニカム形状の基材(23a) から構成され、その表面に触媒物質を担持している。具体的に、この処理部材(23)は、触媒物質として、Pt,Pd,Ni,Ir,Rh,Co,Os,Ru,Fe,Re,Tc,Mn,Au,Ag,Cu,W,Mo,Crのうちの少なくとも1種を含んでいる。これらの触媒物質は、被処理空気を処理する際の化学反応を促進するものである。
【0084】
また、上記処理部材(23)は、基材(23a) の表面に、触媒物質とともに吸着剤も担持している。吸着剤は、被処理空気中に含まれる臭気物質や有害物質などの被処理成分を吸着するものであり、例えば活性炭やゼオライトなどが用いられる。なお、吸着剤には、多孔質セラミックス、活性炭繊維、モルデナイト、フェリエライト、シリカライトなどを使用してもよく、これらのうちの少なくとも1種を用いるとよい。
【0085】
上記第1電極(21)は、電極板(21b) と、この電極板(21b) にほぼ直交するように固定された複数の針電極(21c) とから構成されている。電極板(21b) は、メッシュ材やパンチングメタルなどからなり、その面直角方向に空気が通過する多数の開口部(21d) を有している。また、第2電極(22)にもメッシュ材やパンチングメタルなどのように面直角方向に空気が通過する多数の開口部(22a) を有する電極板が用いられている。
【0086】
第1電極(21)は、電極板(21b) が第2電極(22)とほぼ平行で、針電極(21c) が対向電極(22)とほぼ直角になるように配置されている。針電極(21c) は、その拡大図である図4に示すように、第2電極側の端部(21a) が尖端部として形成され、その尖端角度(θ)が60°に形成されている。また、第1電極(21)の尖端は、アール加工により小さな丸みが付けられて球面状に形成されている。上記尖端角度(θ)は30°以上90°以下が好ましいが、ストリーマ放電をさらに生じやすくするために60°以上90°以下が好ましい。特に、尖端角度(θ)が60°では、第1電極(21)の針状実効長(針電極実効長)(L)の製作精度が悪くても、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)の製作精度が確保できる場合には、ストリーマを安定的に発生させることができる。また、尖端角度(θ)が80°では、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)の製作精度が悪くても、第1電極(21)の針状実効長(針電極実効長)(L)の製作精度が確保できる場合には、ストリーマを安定的に発生させることができる。
【0087】
両電極(21,22) には、直流、交流またはパルスの高圧電源(電源手段)(24)が接続されており、第1電極(21)と第2電極(22)の間でストリーマ放電が生じるようにしている。このストリーマ放電により、放電場(A) には低温プラズマが生成する。低温プラズマにより、高速電子、イオン、オゾン、ヒドロキシラジカルなどのラジカルや、その他励起分子(励起酸素分子、励起窒素分子、励起水分子など)などが生成される。
【0088】
−運転動作−
次に、この空気浄化装置(1) の運転動作について説明する。
【0089】
この空気浄化装置(1) の運転を開始し、遠心ファン(12)が起動すると、まず、空気吸込口(15)から被処理空気が吸い込まれて、この空気に含まれる塵埃が集塵フィルタ(11)によって捕集される。装置(1) の運転時は、プラズマ反応器(20)の第1電極(21)と第2電極(22)の間でストリーマ放電が生じており、集塵フィルタ(11)で塵埃が除去された空気は、両電極(21,22) の間の放電場(A) を通過する。
【0090】
ここで、ストリーマ放電は、第1電極(21)の先端から第2電極(22)まで微小アークが連続することにより、発光を伴ったプラズマ柱として形成されるものであり、この微小アークは、第1電極(21)と第2電極(22)の間において等電位面の間隔が狭いところで連なって進展する。そして、本実施形態では、第1電極(21)の針電極(21c) の尖端角度(θ)を60°、好ましくは30°以上90°以下、さらに好ましくは60°以上90°以下に特定するとともに、その尖端に微細な丸みを付けているので、微小アークが広範囲に広がりながら進展しやすくなる。このため、本実施形態のプラズマ反応器(20)においては、ストリーマ放電(S) が図5に示すように従来よりも広範囲で生じることとなる(従来のストリーマ放電(S')を仮想線で示している)。
【0091】
上記被処理空気は、放電場(A) を通過すると、ストリーマ放電の作用によりプラズマ化し、低温プラズマが生成される。そして、この放電によって生成される各種の活性種は、処理部材(23)の触媒と接触することによりさらに高度に励起されて活性が高められ、有害物質や臭気成分と効率よく反応して、これらの物質を分解除去する。このため、空気中の有害物質や臭気物質は、プラズマと触媒の相乗効果によって素早く分解される。
【0092】
さらに、処理部材(23)には吸着剤も含まれているため、被処理空気中の有害物質や臭気物質が吸着剤に吸着され、低温プラズマの活性種がこれらの成分に確実に作用して、分解処理を促進する。つまり、触媒と吸着剤とを一つの処理部材(23)に含ませるようにしたことによって、より安定した処理が行われる。
【0093】
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、第1電極(21)の尖端角度(θ)を60°、好ましくは30°以上90°以下、さらに好ましくは60°以上90°以下に特定するとともに尖端にアールを付けて、微小アークが広範囲に広がりながら進展しやすくすることで、ストリーマ放電が広範囲で発生するようにしている。このように、第1電極(21)の尖端形状を特定することでストリーマ放電の発生する範囲を広げているので、パルス幅の狭い急峻なパルス高電圧を供給するパルス電源を使う必要はなく、立ち上がりや立ち下がりの緩やかなパルス電源、交流電源、さらには直流電源でも使用可能となる。このため、コストを抑えられるとともに、装置が大がかりで複雑になるのも防止できる。また、急峻なパルスを使わなくてよいため、放電時間を長くすることができ、被処理空気の処理効率も高められる。
【0094】
また、放電プラズマが第1電極(21)と第2電極(22)の間の放電場(A) 中でフレア状に広範囲で発生するようにしながら、放電プラズマが最も広くなる第2電極(22)の開口部(22a) を被処理流体が通過するようにしているので、被処理流体の処理を確実にすることができる。さらに、処理部材(23)を放電場(A) 中に配置して、被処理空気がプラズマ空間中を通過するときに処理部材(23)も通過するようにしているので、プラズマが空気中の被処理成分と吸着剤に捕集されている被処理成分に作用するとともに、触媒にも作用することになり、プラズマと触媒の相乗効果によって被処理流体の処理が確実に行われる。特に、放電場(A) 中でプラズマの最も広がる対向電極寄りの部分に処理部材(23)を配置しているので、この効果をより確実にできる。以上のことから、装置(1) の処理性能を十分に高められる。
【0095】
−他の触媒の使用例−
(例1)
触媒としてマンガン系触媒を使用する場合は、触媒成分中に、Mn、MnO 、またはMnなどを30質量%以上40質量%以下含有させるとよい。この含有量は好適な範囲を特定したものであるが、触媒成分中、Mn、MnO 、またはMnなどを10質量%以上60質量%以下含有するものとしてもよい。
【0096】
図6に、本反応器(20)によるトルエン分解効率を縦軸に、MnO の含有率を横軸にとったグラフを示すように、MnO を10質量%以上60質量%以下含有する触媒であれば比較的高い分解効率を得ることができ、特にMnO を30質量%以上40質量%以下含有する触媒であれば、極めて高い分解効率を得ることができる。
【0097】
(例2)
処理部材(23)には、触媒物質として、マンガン酸化物と、鉄、セリウム、ユーロピウム、ランタン、及び銅のうちの少なくとも1種の酸化物(以下、特定酸化物という)との混合物または複合酸化物を含有させてもよい。また、処理部材(23)は、触媒物質中のMn酸化物の組成比が20%以上50%以下で、特定酸化物の組成比が残りの80%以上50%以下になるように設定するとよい。さらに、触媒物質には、MnO 、Mnなど、酸化数の違う複数種類のマンガン酸化物を含ませるとよい。
【0098】
この触媒として、マンガン、鉄、セリウムからなるものを使用する場合、触媒は以下のようにして調製することができる。つまり、まず、マンガン化合物として硝酸マンガン六水和物の水溶液を用意し、これにセリウム化合物としての硝酸セリウム六水和物を加え、さらに、鉄化合物として硝酸鉄九水和物を加えてA液とする。一方、沈殿試薬として、アルカリ化合物が水に溶かされてなるB液を作製する。そして、B液を撹拌しながらA液を流し込むことにより、共沈物を生成する。その後、1時間の熟成を行い、上記共沈物を洗浄して乾燥させ、空気中で500℃の温度で5時間に亘り焼成することで、マンガン、鉄、セリウムからなる触媒を得て、これをハニカム状の処理部材(23)に使用することができる。
【0099】
この触媒を使用する構成において、上記被処理空気が放電場(A) を通過するとストリーマ放電の作用により活性化され、処理部材(23)の触媒上で同様に活性化された有害物質や臭気物質と活性種が効率よく反応して、これらの物質を分解除去する。このため、空気中の有害物質や臭気物質は、プラズマと触媒の相乗効果によって素早く分解される。
【0100】
具体的には、触媒に含まれているMn酸化物は、放電により発生するオゾンを酸素と活性酸素に分解する。この活性酸素は、被処理空気の有害成分や臭気成分を酸化して無害成分や無臭成分に分解する。また、オゾンの分解により得られた活性酸素を始め、ヒドロキシラジカルなどのラジカルや、励起酸素分子(活性酸素)、励起窒素分子、励起水分子などの各種活性種は、処理部材(23)に含まれる上記の特定酸化物の表面や、Mn酸化物と特定酸化物の界面に活性種のまま吸着される。このため、触媒の表面には活性の高い活性種が活性基として多く存在することになり、被処理空気中の有害成分や臭気成分が高速に分解されることになる。
【0101】
このように、マンガン酸化物と、上記特定酸化物である鉄、セリウム、ユーロピウム、ランタン、及び銅のうちの少なくとも1種の酸化物との混合物または複合酸化物を含有する触媒を用いると、低温プラズマにより発生する種々の活性種が空気浄化を行う際の処理に有効に利用され、被処理空気を処理する際の化学反応を飛躍的に促進することができる。したがって、プラズマ触媒反応器(20)の処理能力を高めることができるため、空気浄化装置(1) としての能力も高めることができる。
【0102】
また、触媒物質中、Mn酸化物の組成比を20%以上50%以下に設定することにより、Mn酸化物とその他の特定酸化物とが分散して微細化し、触媒の比表面積が増大するため、Mn酸化物と特定酸化物の界面が増えて触媒がより多くの活性種を吸着する。さらに、Mn酸化物と特定酸化物を含む触媒を共沈法で調製することによっても、Mn酸化物と特定酸化物が微細化して触媒の比表面積が増大する効果があるため、Mn酸化物と特定酸化物の界面が増えて多くの活性種を吸着できることとなり、さらに活性が向上する。
【0103】
また、触媒を共沈法で調製することにより、MnO に加えてMnなどの酸化数の異なるマンガン酸化物も触媒に含まれることになり、処理の際により多くの種類の活性種を利用することができるため、活性がさらに向上する。さらに、触媒を共沈法で調製することにより、Mn酸化物と特定酸化物との複合酸化物が特にMn酸化物と特定酸化物の界面に多く生成されるので、Mn酸化物(MnO ,Mn)や特定酸化物(Fe,CeO )とは酸化数の異なる複合酸化物(MnCeFe)も得ることができ、より多くの種類の活性種を利用することができる。
【0104】
また、マンガン以外の物質としてセリウムを用いると、その酸化物であるCeO が酸素吸蔵能力を有するため、触媒上で反応に供することができる酸素の量が増大する。このため、Ceを用いない場合と比べて反応時の活性を高められる。さらに、ユーロピウム、ランタン、または銅などを添加した場合でもより多くの種類の活性種を利用できるので活性がさらに高くなり、反応を促進することができる。
【0105】
そして、これらの触媒を、広範囲で発生するストリーマ放電と組み合わせることにより、装置の処理能力をより高めることができる。
【0106】
【発明の実施の形態2】
上記実施形態1は、ストリーマ放電により生成される低温プラズマに触媒及び吸着剤を組み合わせたプラズマ反応器(20)を用いて、被処理空気中の臭気成分または有害成分を酸化分解などにより処理して空気を浄化する空気浄化装置(1) を構成したものであるが、このプラズマ反応器(20)は、被処理ガス中の窒素酸化物を還元分解などにより処理する窒素酸化物浄化装置(2) に適用することもできる。この場合、触媒には、実施形態1で説明した元素の中から、窒素酸化物の処理に適したものが選定される。
【0107】
図7には、窒素酸化物浄化装置(2) の断面構造を模式的に示している。この例では、電極(21,22) は実施形態1と同様の構成であり(図2〜図4)、第1電極(21)は尖端角度(θ)が60°(または30°以上90°以下、好ましくは60°以上90°以下)の針電極(21c) と電極板(21b) とから構成されている。また、第2電極(22)も電極板からなり、第1電極(21)の電極板(21b) と第2電極(22)はそれぞれ多数の開口部(21d,22a) を有している。
【0108】
この窒素酸化物浄化装置(2) は、ケーシング(10)の一対の側壁にガス導入口(実施形態1の空気吸込口に相当する)(15)とガス排出口(同じく空気吹出口に相当する)(16)とが対向して設けられ、ケーシング(10)内にはガス導入口(15)に沿って集塵フィルタ(11)が配置されている。また、プラズマ反応器(20)は、上述と同様、第1電極(21)と第2電極(22)の間に、触媒物質や吸着剤を担持したハニカム状の処理部材(23)が配置された構造になっている。
【0109】
この装置(2) では、ケーシング(10)内にファンが設けられていない。そして、この装置(2) では、被処理成分として窒素酸化物を含有する被処理ガスの流路に上記ガス導入口(15)とガス排出口(16)の向きを合わせてケーシング(10)を配置することで、被処理ガスが放電場(A) を通過するようにしている。
【0110】
この窒素酸化物浄化装置(2) では、窒素酸化物を含有する被処理ガスがガス導入口(15)からケーシング(10)内に導入され、ストリーマ放電による放電場(A) を通過する。したがって、被処理ガスがプラズマ化され、その際に発生する活性種が処理部材(23)を通過するときにさらに励起されて、窒素酸化物を窒素ガスに還元する。
【0111】
この実施形態2においても、第1電極(21)の尖端角度(θ)を特定することによりストリーマ放電を広い範囲で発生させるようにしているので、低温プラズマが広範囲で生成され、被処理ガスと処理部材の触媒及び吸着剤に効果的に作用する。したがって、被処理ガスを処理する際の化学反応を飛躍的に促進することができるので、プラズマ反応器(20)の処理能力を高めることができ、窒素酸化物浄化装置(2) としての能力も高めることができるとともに、急峻なパルス電圧を必要としないので装置の小型化とコストダウンを可能にすることができる。
【0112】
−実施形態2の変形例−
(変形例1)
上記実施形態2は、ストリーマ放電による低温プラズマを用いたプラズマ反応器(20)を窒素酸化物浄化装置(2) に適用した例であるが、このプラズマ反応器(20)は、燃焼排ガス浄化装置(3) に適用することもできる。燃焼排ガス浄化装置(3) は、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元分解などにより処理するとともに、未燃燃料及びハイドロカーボンを酸化分解などにより処理するものである。この場合、触媒には、実施形態1で説明した触媒物質の中から、窒素酸化物の還元と未燃燃料及びハイドロカーボンの酸化に適したものが選定される。
【0113】
この燃焼排ガス浄化装置(3) の構成は、上記窒素酸化物浄化装置(2) とともに図7に示しており、構成は同じで適用対象のみが異なっている。このため、燃焼排ガス浄化装置(3) の構成についての具体的な説明は省略するが、この装置(3) においても、第1電極(21)の尖端部(21a) の形状(尖端角度(θ))を特定することによりストリーマ放電を広範囲で起こして低温プラズマを広い範囲で生成できるようにしているので、装置の小型化とコストダウンを可能にしながら被処理ガスに対する十分な処理性能を得ることができる。
【0114】
(変形例2)
本発明のプラズマ反応器(20)は、空気浄化装置(1) 、窒素酸化物浄化装置(2) 、及び燃焼排ガス浄化装置(3) の他に、ダイオキシン分解装置(4) にも適用することができる。ダイオキシン分解装置(4)は、燃焼排ガス中のダイオキシンを酸化分解などにより処理するものである。この場合、触媒には、実施形態1で説明した触媒物質の中から、ダイオキシンの酸化分解に適したものが採用される。
【0115】
このダイオキシン分解装置(4) も、両電極(21,22) の構成を含めて窒素酸化物浄化装置(2) 等と同様の装置構成とすることができる。このダイオキシン分解装置(4) においても、第1電極(21)の尖端部(21a) の形状を特定することにより広範囲でストリーマ放電を起こして低温プラズマの生成領域を広げるようにしているので、装置の小型化とコストダウンを実現しながら、低温プラズマにより発生する活性種を有効に利用して、被処理ガスに対する高い処理性能を得ることができる。
【0116】
(変形例3)
さらに、本発明のプラズマ反応器(20)は、空気浄化装置(1) 、窒素酸化物浄化装置(2) 、燃焼排ガス浄化装置(3) 、及びダイオキシン分解装置(4) の他に、フロンガス分解装置(5) に適用することもできる。フロンガス分解装置(5) は、フロンガスを放電手段(21,22) の放電場(A) 及び処理部材(23)を通過させることにより、該フロンガスを分解するものである。この場合、触媒には、実施形態1で説明した触媒物質の中から、フロンガスの分解に適したものが採用される。
【0117】
このフロンガス分解装置(5) も、両電極(21,22) の構成を含めて窒素酸化物浄化装置(2) 等と同様の装置構成とすることができる。そして、このフロンガス分解装置(5) においても、第1電極(21)の尖端部(21a) の形状を特定することにより広範囲でストリーマ放電を起こして低温プラズマの生成領域を広げるようにしているので、装置の小型化とコストダウンを実現しながら、低温プラズマにより発生する活性種を有効に利用して、被処理ガスに対する高い処理性能を得ることができる。
【0118】
【実施例】
次に、プラズマ反応器(20)の被処理流体の処理性能について行った実験に基づいて実施例を説明する。まず、この実施例では、触媒には、マンガンと鉄に加えてセリウムを含むもの(共沈法により調製)を用い、これをハニカム基材(23a) の処理部材(23)に担持する構成とした。なお、この触媒におけるマンガン、鉄及びセリウムの各組成比は、それぞれ30%,60%及び10%であった。
【0119】
実験には、反応部が図8に示すように構成された実験装置を使用した。この装置において、第1電極(21)は、直径2mm、長さ8mmの真鍮の針電極(21c) を、17.5mmの間隔で横に3本並べ、各針電極(21c) の列を20mmの間隔で縦に2段に配置した構成とした。また、第2電極(22)には、61mm×80mmのステンレスメッシュ材を用いた。そして、第1電極(21)と第2電極(22)の距離を22mmとし、針電極(21c) とステンレスメッシュ材の第2電極(22)とが直角になるように配置し、直流高電圧(20Kv)を印加する構成とした。
【0120】
また、上記触媒を厚さが10mmのハニカム状処理部材(23)に担持したものを第1電極(21)と第2電極(22)との間で第2電極(22)に密着するように配置し、針電極(21c) の先端と処理部材(23)とのギャップを12mmに設定した。上記実施形態1で説明したように針電極(21c) の尖端は60°の削り角で削ったものとし、最尖端は0.5mmのアール形状として丸みを有するものとした。
【0121】
以上の装置構成において、発生したストリーマ放電は、第1電極(21)の各針電極(21c) から第2電極(22)に向かってフレア状に広がったもので(図2,図5)、従来のストリーマ放電が直流や交流を用いた場合には細い柱状の領域でしか発生しないのに対して、極めて広範囲で生成される結果が得られた。そして、トルエン100ppmを含む空気との混合ガスを3種類の空間速度(1000h−1,2000h−1,5000h−1)で導入して、20Kvの直流高電圧を印加したときの反応物の減衰量及び生成物の増加量をそれぞれ測定し、臭気物質に対する酸化分解特性(処理特性)を調べた。
【0122】
測定結果を図9のグラフに示しているように、この実施例によれば非常に高い分解効率が得られていることが判る。特に、空間速度を1000h−1にしたときには、分解効率が非常に優れている。このように、本実施例では電源に直流電圧を用い、しかも針電極(21c) を比較的疎な状態で配置した構造としているにも拘わらず、優れた分解効率が得ることができた。このことから、第1電極(21)の尖端角度(θ)を特定することにより低温プラズマが広範囲で生成されることとなり、それによってプラズマの作用が高められることが判る。
【0123】
なお、上記触媒の代わりに、従来より低温プラズマと組み合わせて用いられている触媒として、白金とアルミニウムとを含み、白金及びアルミニウムの組成比がそれぞれ0.5%及び99.5%である市販の白金系触媒を用いたものについても上記と同様の条件で反応物の減衰特性を調べたところ、上記実施例の触媒は、従来触媒である比較触媒と比較して分解効率が高く、その活性が非常に高いことが確認された。
【0124】
このため、上記実施例の触媒を用いると、プラズマ触媒反応器(20)において被処理流体を処理する際の化学反応を促進し、処理性能を大幅に高められることが分かる。
【0125】
【発明の実施の形態3】
図10及び図11は実施形態3に係るプラズマ反応器(20)の内部構成を示す。このプラズマ反応器(20)では、碍子などの絶縁材からなる4枚の絶縁壁(25)で囲まれた空間内に6つの第1電極(21)が2つずつ組をなして互いに対向するように接近して配置され、一方の第1電極(21)の針電極(21c) を他方の第1電極(21)の基板(21b) に形成された挿入孔(21e) から突出させている。
【0126】
具体的には、上記第1電極組は、基板(21b) に針電極が固定された2つの第1電極(21)を互いに対向させ、その間にスペーサ(29)を介在させてそのネジ孔(29a) と上記基板(21b) の孔部(21g) とにビス(30)を螺合させることで平行に組み付けられている。また、上記針電極(21c) はベース部材(31)に固定され、該ベース部材(31)基端の突出部(31a) を基板(21b) の孔部(21f) に挿入してかしめることで基板(21b) に固定されている(図12(a)参照)が、ベース部材(31)基端にネジ孔(31b) を穿設してビス(32)を基板(21b) の孔部(21h) からネジ穴(31b) に螺合させることにより、針電極(21c) を基板(21b) に固定するようにしてもよい(図12(b))。
【0127】
また、上記プラズマ反応器(20)内には、上記第1電極組を挟むように4つの第2電極(22)が配置され、中程の2つの第2電極(22)の両面には処理部材(23)がそれぞれボルト(26)で固定され、両端の2つの第2電極(22)の内面には処理部材(23)がボルト(26)で固定されている。なお、図10中、(27)は第1電極(21)上端に設けられた高圧端子、(28)は第2電極(22)下端に設けられた接地端子である。
【0128】
本実施形態3では、実施形態1と同様に、第1電極(21)における第2電極側の端部(21a) の尖端角度(θ)が30°以上90°以下であるが、これ以外にも、上記第1電極(21)の針状実効長、つまり針電極(21c) の実効長(L)や、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)を特定の範囲に設定し、さらには、これらと電極間距離(ギャップ)(G)や針電極(21c) の直径(D)との関係を数値特定したことを特徴としている。そして、これにより、グロー放電やスパークをなくしてストリーマ放電を安定的に生起させることができるようにしている。したがって、これを空気浄化装置に用いることで高い浄化性能を長期に亘って発揮させることができるのである。
【0129】
具体的には、第1電極(21)の針電極(21c) の実効長(L)を4mm以上30mm以下に設定している。
【0130】
第1電極(21)尖端の曲率半径(R)を0.1mm以上0.7mm以下に設定している。
【0131】
第1電極(21)の針電極(21c) の実効長(L)と電極間距離(G)との比(L/G)を0.2以上1.5以下に設定している。ここで、電極間距離(G)とは、第1電極(21)の針電極(21c) 尖端と処理部材(23)との距離のことである(図11参照)。
【0132】
第1電極(21)の針電極(21c) の実効長(L)と針電極(21c) の直径(D)との比(L/D)を2以上15以下に設定している。
【0133】
第1電極(21)尖端の曲率半径(R)と電極間距離(G)との比(R/G)を0.005以上0.035以下に設定している。
【0134】
第1電極(21)尖端の曲率半径(R)と針電極(21c) の直径(D)との比(R/D)を0.05以上0.35以下に設定している。
【0135】
第1電極(21)の針電極(21c) の実効長(L)と電極間距離(G)と第1電極(21)の尖端角度(θ)との関係を次式
L/Gθ=0.25以上1.2以下
を満たすように設定している。
【0136】
第1電極(21)の針電極(21c) の実効長(L)と第1電極(21)の尖端角度(θ)との関係を次式
L/θ=5以上24以下
を満たすように設定している。
【0137】
上記のように設定したのは、下記の表1及び表2に示すデータに基づくものでであり、このデータは上記の数値特定によりストリーマ放電の安定化を図ることができることを物語るものである。特に、第1電極(21)の尖端角度(θ)が60°の場合には、第1電極(21)の針電極(21c) の実効長(L)の製作精度が悪くても、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)の製作精度が確保できる場合には、ストリーマを安定的に発生させることができることが判る。例えば、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)を0.25mm付近に設定すればよい。また、第1電極(21)の尖端角度(θ)を80°にすると、第1電極(21)尖端の曲率半径(R)の製作精度が悪くても、第1電極(21)の針電極(21c) の実効長(L)の製作精度が確保できる場合には、ストリーマを安定的に発生させることができることが判る。例えば、針電極(21c) の実効長(L)を8.5mm付近に設定すればよい。
【0138】
なお、表1及び表2のデータは、電極間距離(G)を20mmに、針電極(21c) の直径(D)を2mmにそれぞれ設定した条件の下で得たものである。また、表1及び表2中、◎印はストリーマが安定的に発生し、しかもプラズマ生成領域が広いことを表す。○印はストリーマは安定的に発生するが、プラズマ生成領域が◎印に比べて狭いことを表す。△印はストリーマは発生するが、◎印や○印に比べて不安定であることを表す。×印はストリーマが発生しないことを表す。
【0139】
【表1】
Figure 0004300737
【0140】
【表2】
Figure 0004300737
【0141】
【発明のその他の実施の形態】
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0142】
例えば、上記実施形態1では、触媒物質と吸着剤とを有する処理部材(23)を、第1電極(21)と第2電極(22)の間に形成される放電場(A) 中で第2電極(22)の近傍に配置しているが、処理部材(23)は、図2に仮想線で示すように放電場(A) の下流側で第2電極(22)の近傍に配置してもよい。また処理部材(23)は、第2電極(22)から若干離れた配置にしてもよく、その位置がプラズマの作用する範囲であれば、該処理部材(23)による効果を得ることはできる。
【0143】
また、ハニカム状の処理部材(23)の代わりに、触媒粒子や吸着剤粒子を通気性容器などに充填したものを放電場(A) 中やその下流側に配置してもよい。このようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0144】
また、上記各実施形態では、プラズマ反応器(20)を空気浄化装置(1) 、窒素酸化物浄化装置(2) 、及び燃焼排ガス浄化装置(3) などに適用した例について説明したが、このプラズマ反応器(20)は、空気調和装置や生ゴミ処理機など、被処理流体を処理する他の装置にも適用することが可能である。
【0145】
さらに、上記実施形態では、一つの処理部材(23)で触媒の作用と吸着剤の作用を行うようにしているが、触媒として作用する第1の処理部材と吸着材として作用する第2の処理部材を別々に配置してもよいし、その一方のみを放電場中またはその下流側に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るプラズマ反応器を備えた空気浄化装置の構造図である。
【図2】 図1の空気浄化装置におけるプラズマ反応器の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】 図1の空気浄化装置におけるプラズマ反応器の構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】 針電極の部分拡大図である。
【図5】 ストリーマ放電の放電状態図である。
【図6】 マンガン系触媒のトルエン分解効率を示すグラフである。
【図7】 実施形態2に係る窒素酸化物浄化装置の構成を模式的に示す図である。
【図8】 実施例における実験装置の概略構成図である。
【図9】 実施例の実験結果を示すグラフである。
【図10】 実施形態3に係るプラズマ反応器の構成図である。
【図11】 電極部の構成図である。
【図12】 (a),(b)はそれぞれ針電極の基板への取付け方を説明する説明図である。
【符号の説明】
(1) 空気浄化装置
(2) 窒素酸化物浄化装置
(3) 燃焼排ガス浄化装置
(4) ダイオキシン分解装置
(5) フロンガス分解装置
(10) ケーシング
(11) 集塵フィルタ
(12) 遠心ファン
(15) 空気吸込口(ガス導入口)
(16) 空気吹出口(ガス排出口)
(20) プラズマ反応器
(21) 第1電極(放電電極)
(22) 第2電極(対向電極)
(23) 処理部材
(24) 高圧電源

Claims (26)

  1. 針状の第1電極(21)と、第1電極(21)に略直交する状態で対向して配置された面状の第2電極(22)と、両電極(21,22) に放電電圧を印加するように接続された電源手段(24)とを備え、第1電極(21)と第2電極(22)とが被処理流体の流通空間に配置され、両電極(21,22) 間でストリーマ放電を発生させることにより被処理流体を処理するように構成されたプラズマ反応器であって、
    第1電極(21)は、第2電極側の端部(21a)が尖端部として形成され、その尖端角度(θ)が30°以上90°以下であり、且つ第1電極(21)の尖端部における最尖端がアール形状に形成されていることを特徴とするプラズマ反応器。
  2. 第1電極(21)の尖端角度(θ)が60°以上90°以下であることを特徴とする請求項1記載のプラズマ反応器。
  3. 第1電極(21)の尖端角度(θ)が実質的に60°であることを特徴とする請求項2記載のプラズマ反応器。
  4. 第1電極(21)の尖端角度(θ)が実質的に80°であることを特徴とする請求項2記載のプラズマ反応器。
  5. 第1電極(21)の尖端部における最尖端が球面状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  6. 第1電極(21)の針状実効長(L)が4mm以上30mm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  7. 第1電極(21)尖端の曲率半径(R)が0.1mm以上0.7mm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  8. 第1電極(21)の針状実効長(L)と電極間距離(G)との比(L/G)が0.2以上1.5以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  9. 第1電極(21)の針状実効長(L)とその直径(D)との比(L/D)が2以上15以下であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  10. 第1電極(21)尖端の曲率半径(R)と電極間距離(G)との比(R/G)が0.005以上0.035以下であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  11. 第1電極(21)尖端の曲率半径(R)と該第1電極(21)の直径(D)との比(R/D)が0.05以上0.35以下であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  12. 第1電極(21)の針状実効長(L)と電極間距離(G)と第1電極(21)の尖端角度(θ)との関係が次式
    L/Gθ=0.25以上1.2以下
    を満たすことを特徴とする請求項1から11のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  13. 第1電極(21)の針状実効長(L)と第1電極(21)の尖端角度(θ)との関係が次式
    L/θ=5以上24以下
    を満たすことを特徴とする請求項1から12のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  14. 第2電極(22)が、被処理流体の流通する開口部(22a) を備えていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  15. 被処理流体を処理するための処理部材(23)を備え、
    該処理部材(23)が、第1電極(21)と第2電極(22)の間またはその下流側に配置されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  16. 処理部材(23)が、第1電極(21)と第2電極(22)の間で、該第2電極(22)の近傍に配置されていることを特徴とする請求項15記載のプラズマ反応器。
  17. 処理部材(23)が、被処理流体に対する処理を促進する触媒物質を有することを特徴とする請求項15または16記載のプラズマ反応器。
  18. 触媒物質が、Pt,Pd,Ni,Ir,Rh,Co,Os,Ru,Fe,Re,Tc,Mn,Au,Ag,Cu,W,Mo,Crのうちの少なくとも1種を含んでいることを特徴とする請求項17記載のプラズマ反応器。
  19. 触媒物質中、マンガン系触媒が10質量%以上60質量%以下含有されていることを特徴とする請求項17記載のプラズマ反応器。
  20. 触媒物質中、マンガン系触媒が30質量%以上40質量%以下含有されていることを特徴とする請求項19記載のプラズマ反応器。
  21. 処理部材(23)が、触媒物質として、マンガン酸化物と、鉄、セリウム、ユーロピウム、ランタン、及び銅のうちの少なくとも1種の酸化物との混合物または複合酸化物を含有していることを特徴とする請求項17記載のプラズマ反応器。
  22. 触媒物質中のマンガン酸化物の組成比が20%以上50%以下であることを特徴とする請求項21記載のプラズマ反応器。
  23. 処理部材(23)が、触媒物質として、酸化数の異なる複数種類のマンガン酸化物を含んでいることを特徴とする請求項21または22記載のプラズマ反応器。
  24. 処理部材(23)が、被処理流体に含まれる被処理成分を吸着する吸着剤を含んでいることを特徴とする請求項15から23のいずれか1記載のプラズマ反応器。
  25. 吸着剤が、多孔質セラミックス、活性炭、活性炭繊維、ゼオライト、モルデナイト、フェリエライト、シリカライトのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項24記載のプラズマ反応器。
  26. 請求項1から25のいずれか1記載のプラズマ反応器(20)と、
    該プラズマ反応器(20)が内部に収納されるケーシング(10)とを備え、
    上記ケーシング(10)内に被処理空気を導入して放電手段(21,22) の放電場(A) を通過させることにより、該被処理空気中の臭気成分または有害成分を処理するように構成されていることを特徴とする空気浄化装置。
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