JP4300349B2 - 機関の排気圧を利用した船体の横揺れ減少装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明に属する技術分野】
本発明は、船体両舷側の水面部に設けた海水通水タンクに、機関からの分岐させた排気管をそれぞれ接続し、船体の傾斜と復原動作を感知して作動する排気調整弁の機能により、海水通水タンクへの機関排気の送気および中断を行い、その排気圧を利用して海水通水タンク内の海水を出入りさせることで浮力の発生と消滅を可能とする。 これらは船体の傾斜偶力に対抗する浮力偶力、およびタンクへの送気の中断による減圧と海水の浸水での浮力の消滅で、復原力の反動の抑制機能を確保し、船舶の横揺れを減少させることを可能とする。
【０００２】
【従来の技術】
従来は、横揺れ減衰装置として船体両舷側に別置きの水槽を均等に設置し、それぞれのタンクを連結管でつなぎ、横揺れによる船体の傾きに伴い、タンク内に搭載された流体が傾いた方向にに徐々に移動し、その流体の重心移動のタイミングが船体の横揺れ周期とずれることで横揺れの減衰効果を可能としている。 その減衰効果はタンクの位置が船体上の、より高い位置にあるほど大きくなるため多くの船の場合、甲板上又は甲板室上に設置され、甲板床面積の制限と重量重心の上昇および風圧側面積の増加による復原力の減少を伴うものとなっている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、海水が自由に出入りする海水通水タンクを船体両舷側の甲板下に収めることで、本装置による船体の重量重心の上昇を抑え、風圧側面積の増加もなく復原性能の維持し、機関からの排気を両舷側の海水通水タンク導き、その圧力を利用してタンク内の海水を出入りさせ、浮力の発生と消滅を可能とすることで、船体の傾斜偶力と復原時の反動力に対し、直接的に対抗する浮力偶力および反動の抑制機能を得、より安全に船舶の横揺れを減少させる効果を可能とする。
【０００４】
【問題を解決するための手段】
本発明は、予め船体の両舷側の設けた、海水が常時自由に出入りする１ 海水通水タンク、機関からの２ 排気主管、排気主管より分岐させた３ 排気入り口管、４ 排気出口管及び排気主管と排気入り口管の分岐の中央に位置する５ 排気調整弁により構成される（図１）。 排気調整弁は船体の傾斜の動きを感知して自動的に弁が作動し、排気の流れる方向を排気主管から傾斜側の排気入り口管に（図３）、又、復原中は弁を中立位置に戻し排気の流れを排気主管に戻す２つの機能を持つ（図５）。 機関の運転中、船体が傾斜を始めると排気調整弁の機能により機関排気の流れを排気主管から傾斜側の排気入り口管に移し、舷側の海水通水タンク（以下タンクと称す）に排気を送り込むことでタンク内の上部に排気圧をかける。 タンク内に浸入している海水は排気圧により底部の通水口より押し出され、その水位は別に取り付けた排気を逃がす排気出口管の、水面下の入り口まで押し下げられる（図２）。 タンク内の圧力は水位の下がる分、水圧として加圧された状態、すなわち加圧排気圧の状態で維持される。 タンク内の排気の圧力により押し出された海水の重量はそのまま浮力のとなり、その位置で船体の傾斜を押し戻そうとする浮力偶力として傾斜偶力に逆らう力となる（図４）。 次に傾いた船体が復原力により元に戻ろうとする時、排気調整弁は復原の動きを感知して中立位置に戻り、タンク内の加圧排気圧を排気入り口管より排気主管に逃がしてタンク内の圧力を減圧させ、通水口より再び海水の浸入を招き、浮力を消滅させ、復原力による反動の抑制機能を可能とする（図６）。 又、船体両舷側の低い位置に海水通水タンクを配置することで、双方のタンクが交互に浮力偶力と反動の抑制機能を可能とし、安全且つ高い横揺れ減少効果を可能とした。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明は、船体横揺れ時の傾斜の動きを感知する排気調整弁の働きで、両舷側の海水通水タンクへの機関排気の送気または中断で、タンクの内部圧力の発生と消滅により、発生する浮力及びその消滅が、浮力偶力すなわち反傾斜偶力および復原力の反動の抑制機能として直接作用し、船体横揺れの減少効果を可能とする。 又、海水通水タンクは船体甲板下の両舷側に位置し、常時浸水するため外板の一部を形成する船体付きとし、且つ機関の排気管双方の性能を必要とする。
【０００６】
【発明の効果】
このようにすれば、船体横揺れ時の傾斜偶力および復原力による反動に対し、船体両舷側の海水通水タンクの、機関排気の排気圧を利用した浮力の発生および浮力の消滅が、浮力偶力および反動抑制機能として直接的に対抗し、船体の横揺れ運動に対し高い減少効果を可能とすると共に、復原性能の確保を可能とし、船舶の安全性能を高めた。
【図面の簡単な説明】
【図１】本装置の全体構成を示す立体図である。
【図２】排気圧によるタンク内水面の下降と排気状態を示す全体の縦面図である。
【図３】排気調整弁の排気入り口管への作動と排気の流れを示す平面図である。
【図４】海水通水タンクに機関排気が入った時の横断面図である。
【図５】復原時、排気調整弁の作動方向と排気流れのを示す平面図である。
【図６】復原時、排気の逃げで海水通水タンクに海水が浸入した時の断面図である。
【符号の説明】
１．海水通水タンク
２．排気主管
３．排気入り口管
４．排気出口管
５．排気調整弁
６．通水口
７．船体
８．機関
９．排気圧力により押し出された海水で発生する浮力部分
１０．浮力方向を示す矢印
１１．復原時、排気の逃げによる減圧で、浸入する海水
１２．浸水した海水の重量方向を示すの矢印

Claims (1)

1. 船舶の機関が発生する排気を、船体両舷側に設けた海水が自由に出入りする海水通水タンク内に導き、その排気圧を利用し、タンク内の海水を出入りさせることで浮力の発生と消滅を可能とし、浮力による偶力と復原力の反動の抑制機能を利用して船体の横揺れを減少させる装置。

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