JP5796796B2 - 船舶転覆防止機構 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶、特には貨物積載用船舶において、荷下ろしにより喫水線が下がり重心が上がった状態での航行中に、転覆、航行不良等が発生することを防止するための船舶転覆防止機構に関する。
従来、貨物積載用船舶において、荷下ろしにより喫水線が下がり重心が上がった場合には、船内の注水タンク内に海水を水バラストとして取り込み、該水バラストの重量により重心を安定な位置まで下げ、この状態で貨物を積載する場所(国)まで航行している。貨物を積載する際には、注水タンク内に取り込まれた水バラストを排出するが、この際、海水を取り込んだ地域と排出する地域が、全く気候や環境が異なる場合、水バラスト中に含まれる海洋生物や病原体の拡散によって水バラストが排出された地域の生態系が破壊される場合がある。
これを解決するため、自動車専用運搬船およびそのバラストの制御方法が提案されている(特許文献1参照)。該自動車専用運搬船は、車両甲板を備えかつ船底部を水密区画で区分し、前記船底部に燃料および水バラストを積載可能にしてなる自動車専用運搬船において、前記船底部の所要の個所に、本船載貨重量の多くとも22%の重量からなる固定バラストを搭載し、満載航海およびバラスト航海時にノン水バラストで航海可能としてなることを特徴としている。また、そのバラストの制御方法は、前記固定バラストは建造中に搭載され、前記水バラストタンクは通常航海時以外にしか使用しない自動車専用運搬船のバラストの制御方法である。
また、これとは別に、停止時に十分な復元性を有することを特微とする可動式の浮体を有する船として、上下に可動のフロートを有する単胴型半没水船である可動式フロート付き単胴型半没水船が提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−161254公報 実開平01−145696号公報
しかしながら、特許文献1に係る貨物積載用船舶及びそのバラストの制御方法は、船底部に本船載貨重量の多くとも22%に相当する重量の固定バラストを搭載するため、船全体の重量が増して航行速度が低下し、また航行時の燃料消費量、CO2排出量が増大するという課題がある。
また、特許文献2に係る可動式フロート付き単胴型半没水船は、あくまで波浪中での運動性能を高めた半没水船に係るものに適用するものであるという課題であり、また該可動式フロート付き単胴型半没水船は、通常状態での航行中は可動式フロートが水面上にあげられ、停止時に可動式プロートを下ろすことにより十分に大きな横復元力を得るものであって、貨物積載用船舶のように、荷下ろしした結果として喫水線が下がり重心が上がった状態で航行する際に可動式フロートを動作させるものではない。
さらには、該可動式フロートは船体姿勢および運動速度、加速度を検出し、その検知信号に基づき、演算処理手段により船体を水平に保持するための制御信号を算出し、この結果に基づき該可動式プロートの運動を制御するという、複雑な制御が必要となる場合があるという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、船舶、特には貨物積載用船舶において、荷下ろしにより喫水線が下がり重心が上がった場合に、水バラストを使用すること無しに航行時の船体の転覆や航行不良状態の発生を防止すると共に、水バラストを使用しないため、水バラスト中に含まれる海洋生物や病原体の拡散によって水バラストが排出された海域の生態系を破壊することがなく、さらには簡単な機構で、常に船の姿勢(復元力)を安定した状態に保持することが可能な船舶転覆防止機構を提供することにある。
また、船体の浮力を高めることにより、航行中の燃料消費量、CO排出量を低減させることを目的としている。
発明は、船舶の両舷側の内部(内側)に夫々配置された浮力生成室と、該各浮力生成室内を外部と連通させる入排水口と、前記各浮力生成室内に配置されて上下移動する浮体と、該浮体を任意の高さ位置にて固定したり固定を解除するロック手段と、を備えていることを特徴とする。
これを言い換えれば、船舶の両舷の内部に上下移動可能に浮体を設け、船舶の喫水線が下がり重心が上昇した際には浮体を喫水線まで下降させて該位置で保持可能に構成している。
発明では、前記ロック手段は、前記船舶の重量低下によって喫水線が下降した場合に、前記浮体を前記喫水線の高さ位置で拘束する拘束手段を備えていることを特徴とする。
発明は、前記拘束手段が前記浮体を拘束していない場合には、前記浮体は自重により下降することが可能であることを特徴とする。
発明は、船舶の両舷側の内部(内側)に夫々配置された浮力生成室と、該各浮力生成室内を外部と連通させる入排水口と、前記各浮力生成室内に高さ位置を固定して配置された浮体と、を備えていることを特徴とする。
発明は、前記浮体の浮力を調整可能としたことを特徴とする。
発明は、前記浮力生成室内に、駆動源によって駆動されることにより浮力を生成する浮力生成手段を配置したことを特徴とする。


本発明に係る船舶転覆防止装置は、船舶において、積載物を下ろしたことにより喫水線が下がり重心が上がった場合に、水バラストを使用すること無しに航行時の転覆を防止することができる効果があり、また、水バラストを使用しないため、従来のような、水バラスト中に含まれる海洋生物や病原体の拡散によって水バラストが排出された海域の生態系を破壊する、という不具合を根本的に解決することができる。
また、船体の浮力を高めることにより、航行中の燃料消費量、CO2排出量を低減させることができる。
また、制御系等の複雑な機構を伴わずに簡単な機構で浮体を上下に移動させ、これによって船の横方向への動き(ローリング)を少なくして安定性を保持し、転覆を防止する効果がある。
本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶であって、満載状態で喫水線が満載喫水線位置にあり、浮体が上方位置に保持された状態の船舶を船首側から見た正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶であって、空載状態で喫水線が空載喫水線位置にあり、浮体が下方位置に保持された状態の船舶を船首側から見た正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶であって、空載状態で喫水線が空載喫水線位置にあり、浮体が下方位置に保持された状態の船舶を船尾側から見た正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶であって、満載状態で喫水線満載喫水線位置にあり、浮体が上方位置に保持された状態の船舶を右舷側から見た側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶の平面図である。 本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶の底面図である。 本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構の一実施例であって浮体が満載喫水線にある水面に浮いて該位置で保持されている状態を示す正面状態図である。 本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構の一実施例であって、喫水線が低下して浮体が自重で下降している状態を示す正面状態図である。 本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構の一実施例であって、低下した喫水線の位置で浮体が浮いていて該位置で保持されている状態を示す正面状態図である。 本発明に係る船舶防止機構の一実施例であって、低下した喫水線の位置で浮体が浮いていて該位置で保持されると共に、拘束手段により浮体の上方向の移動が拘束されている状態を示す正面状態図である。 本発明に係る船舶防止機構の一実施例であって、浮体の上方向の移動を拘束する拘束手段を解除して、喫水線の上昇により浮体が上方向に移動している状態を示す正面状態図である。 (a)及び(b)は、第2の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶の概略構成を示す平面図、及び正面図である。 浮力を調整可能な浮体を備えた装置構成を示す要部断面図である。 (a)乃至(d)は本発明の第3の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶の構成を示す正面図、右側面図、平面図、及び底面図である。 図14の要部構成を示す拡大正面図である。 本発明の変形実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶の平面図である。 図16の側面図である。
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を図面に示した実施の形態に基づいて説明する。
図1乃至図11は本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶を示しているが、該実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶であって、満載状態で喫水線が満載喫水線位置にあり、浮体が上方位置に保持された状態の船舶を船首側から見た正面図である。
本発明に係る船舶転覆防止機構Aは、船舶50の両舷側を構成する舷壁55、55と船舶本体56の両外壁56aとの間に夫々形成される空所である浮体室(浮力生成室)2、2と、各浮体室内に移動自在(昇降自在)に、或いは固定的に配置される浮体1と、を概略備えている。
浮体室(浮力生成室)2、2の内部は、船外の水(海水、或いは、淡水)と連通するように構成されており、浮体1は浮体室内の水面からの浮力を受けて浮くことにより船舶本体56(船舶全体)に対して浮力を付与する手段である。
即ち、本発明の船舶転覆防止機構Aは、船舶の両舷側の内部(内側)に夫々配置された浮体室2、2と、各浮体室内を外部と連通させる入排水口3、4と、各浮体室内に配置されて上下移動する浮体1と、該浮体を任意の高さ位置にて固定したり固定を解除するロック手段Lcと、を備えている構成が特徴的である。
船舶本体56と舷壁55との間に適宜図示しない補強材を組み付けることにより、浮体室2、2の強度を補強する。
浮体1は、航行時や停泊時において波浪や物体との衝突によって破損することを防止するため、船舶50の両舷側内部に設けられた浮体室2、2内に配設されている。浮体室2、2内の水Wは船舶50の航行中にスムーズに入排水するように浮体室2、2の船底部分及び船尾部分に入排水口3、4が設けられている。なお入排水口は、船首部分や両舷側面に設けることもできるが、船首部分や両舷側面に設けた場合は、航行時の抵抗となる場合があるため、入排水口は、本実施例のように船底部分及び船尾部分に設けることが好ましい。
図1乃至図4、図7及び図11において符号Hは満載喫水線(貨物等が満載されている状態の喫水線)を、Lは空載喫水線(貨物等が積載されていない状態の喫水線)を、図8乃至図11中のMはHとLとの中間位置にある喫水線を示している。
浮体1は例えば金属製であり、形状は中空直方体形状、或いはドラム状等々の任意の形状に形成されていて、船舶50の右舷及び左舷の内部にそれぞれ任意の個数、本例では2個設けられている。浮体1の上面中央にはガイドバー11が略垂直状に固着されていて、ガイドバー11は船舶50の甲板51に固着された円筒状のガイド筒12の中央部分に挿通され、上部は甲板51上に突出している。従って、ガイドバー11がガイド筒12に挿入された状態で上下に摺動することにより浮体1が上下に移動する。またガイド筒12は縦長となっているため、ガイドバー11は安定して直線的に摺動し、ガイドバー11の揺れ、及び該揺れに伴う浮体1の揺れが生じない。
浮体1は図1においては、満載喫水線Hにある水面に浮いており、また図7に示すように浮体1の船舶中央寄りに垂直状に固着された浮体保持バー13に設けられた凸状の保持突起(ラチェットギア)13aが、甲板51上に回動自在に設けられた保持回動バー(係止部材)14の先端に歯合している。
ロック手段Lcは、荷下ろしなどによって船舶の重量が低下することによって喫水線(浮体室内の水面の高さ位置)が相対的に下降した場合に、低下した後の喫水線の高さ位置で浮体1を拘束する拘束手段18を備えている。
また、拘束手段18が浮体1(浮体保持バー13)を拘束していない場合には、浮体は自重により下降することが可能である。
また、保持突起13aはラチェットギアであるため、拘束手段18が浮体1(浮体保持バー13)を拘束している場合には、浮体は自重により常時下降することが可能であるが、上昇することはできない。
ロック手段Lcは、浮体保持バー13、保持回動バー(係止部材)14、コイルバネ(弾性部材)16、拘束手段18等から構成されている。
また、ガイドバー11、及びロック手段Lcは、昇降機構を構成している。
保持回動バー14は、図7に示すように甲板51上に立設された突起板15の上部に軸15aによって回動自在に軸着されていて、先端部は浮体保持バー13の複数の保持突起13aのうちの何れかーつに当接(保持突起間の谷部内に嵌合)可能となっている。また、保持回動バー14の後端側にはコイルバネ(弾性部材)16の一端が固着されていて、該コイルバネ16の他端は甲板51側に固着されている。コイルバネ16は、上下へ拡開する方向へ付勢しているため、図7において保持回動バー14を反時計回り(保持回動バーの先端部を下降させる方向)に付勢する。このため、保持回動バー14が特定の保持突起13aの上部に接してこれを係止し得る姿勢、本例では略水平状態、となるようにコイルバネ16の付勢方向、及び付勢力が調整されている。図7の状態では、保持回動バー14の先端部は、特定の保持突起13aの上縁(係止し易い水平な平坦面)に接して押さえ込むことにより浮体保持バー13が全体としてこれ以上上昇することを阻止している。なお、浮体保持バー13を上昇させる力がコイルバネ16の抑え力を上回った場合には、保持回動バー14はバネ力に抗して時計回り方向(係止解除方向)へ回動して浮体保持バーの上昇を許容する。
各保持突起13aは、保持回動バー14との協働により浮体保持バー13の動作方向を一方向に制限するラチェットギアであり、個々の保持突起の上縁は水平な平坦面である一方で、下縁は上向きに傾斜した曲面となっている。各保持突起13aは、浮体1からの荷重が所定値を越えて増大した場合(浮体に対する浮力が低下、喪失した場合)には、曲面状の下縁により保持回動バーの先端部を押し下げながら摺動させることにより浮体保持バー13が下降することを許容する。一方、浮体保持バー13に対して上向きの力が作用した場合には、保持突起13aの上縁によって、コイルバネ16の弾発力の範囲内で浮体が上昇することを阻止するように構成されている。
なお、保持可動バー14が時計回り方向へ回動して浮体保持バー13を上昇させることを確実に阻止する手段として後述する拘束手段18が用いられる。
なお、本実施例では弾性部材としてコイルバネ16を用いているが、これは一例に過ぎず、板バネ、ゴム等の弾性材料、空気ポンプバネや油圧ポンプバネを使用してもよい。
従って、浮体室2内の水面に浮かんでいる浮体1に対して、喫水線の低下(船体の上昇)により下降させる力が加わったとしても、依然として水面からの浮力が浮体に加わっている限りにおいては、コイルバネ16からの反時計回り方向への付勢力(保持回動バー14の先端部により保持突起13aを係止し続ける力)よりも、浮体に加わる下方への引下げ力が小さい限りにおいては、浮体は下降せずそのままの高さ位置を保持することができる。例えば喫水線が若干下降したとしても浮体1が水Wより浮力を受け続けている場合には、浮体1からの下向きの荷重が浮力により減殺されているので(コイルバネによる付勢力を越えていないので)、浮体保持バー13は保持回動バー14によって下降することを阻止されており、その結果として浮体1は保持回動バー14によってその位置が維持される。
換言すれば、コイルバネ16の弾発力(保持力)を、浮体室2内の水位の低下により水面が浮体から完全に離脱することによって浮体の重量全体が保持回動バー14に加わった場合に初めて保持回動バー14によって浮体保持バー13を保持し切れなくなるように設定すればよい。
このような場合の例としては、例えば波浪や船舶のローリングにより水面位置が上下に揺動する場合を想定することができる。
一方、図8に示すように、船舶より大量の貨物を下ろすことにより喫水線が上部位置Hから中間位置Mに低下する場合には、浮体1が水Wより受ける浮力が無くなるので、浮体1の荷重がコイルバネ16の付勢力より大きくなって浮体保持バー13と共に浮体1は下降し、保持回動バー14はコイルバネ16に抗して反時計回り方向へ回動してその先端が下方向に回動し、浮体保持バー13の保持突起13aより外れる。これにより、浮体1は自重により下降する。
その後、浮体1が下降した喫水線Mに相当する水面上に着水して安定した段階で、図9の状態となる。
図9では浮体1が喫水線M位置にある水面に浮いていて、浮体保持バー13の他の保持突起13aが保持回動バー14の先端に歯合して、該位置で浮体1が保持されている。
浮体1と浮体室2の側面2a(船舶本体56の外壁56a)との間となる位置であって浮体1の側面1aには、浮体1の本体が直接浮体室2の側面2aに当接しないよう、また浮体1がスムーズに上下に移動可能なように、金属製のローラー17が側面la、laに各2本が、略水平方向に回転自在に設けられている。
また、該ローラー17は、浮体1の側面laの両端部に突設された2枚のローラー保持突起17a、17a間に軸17b、17bによって回転自在に軸着されている。
また、保持回動バー(係止手段)14の後端部の下方位置の甲板51上には、軸18aを中心にして引き起こし可能に形成されている拘束バー(拘束手段)18が設けられていて、図10に示すように拘束バー18を引き起こして垂直状に立てることにより、保持回動バー14の後端が下がることを拘束する。保持回動バー14の後端が下がることが拘束されれば、保持回動バー14の先端が上がることはなく、結果として浮体保持バー13の保持突起13aと保持回動バー14の先端部の歯合が保持され、浮体1の上方向への移動が拘束される。
拘束バー18を軸18aを中心にして甲板51上に倒すと、保持回動バー14の後端の動きは解除されて、保持回動バー14は自由に軸15aを中心にして回動するため、図11に示すように喫水線がM位置から満載喫水線H位置まで上昇すれば、浮体1は上昇し、その上昇力により、浮体保持バー13の保持突起13aと保持回動バー14の先端の歯合は解除され、浮体1は自由に上昇することができる。
拘束バー18の引き起こしや甲板51への倒しは、手作業、工具を用いた手作業でも可能であるが、ジャッキ、電動モーター等を使用しても良い。なお符号20は、浮体保持バー13、拘束バー18、コイルバネ16等を収納するカバーである。
なお、拘束手段18は、甲板上に起倒自在に支持した拘束バーに限らず、甲板面に沿って進退することにより保持回動バー14の後端部と甲板との間の空間内に出入りして、保持回動バーを拘束したり拘束解除するように構成された部材(楔部材等)であってもよい。
なお、上記例では、ガイドバー11とは別個に浮体保持バー13を設けたが、浮体保持バー13をガイドバーと兼用してもよい。逆に言えば、ガイドバー11にラチェットギア状の保持突起13aを設けることにより、ロック手段Lcを構成するようにしてもよい。
次に、本発明の船舶転覆防止機構Aの作用について説明する。
浮体1は水面に浮くように形成されていて、貨物等の積み下ろし等により喫水面が上下に変化する場合は、拘束バー18が甲板51上に倒されていれば、図7乃至図9及び図11に示しているように、浮体1も該喫水面に浮いた状態で上下に移動する。浮体1の上下の移動は浮体1の側面laに回転自在に設けられたローラー17により、スムーズに行われる。
浮体1としては、例えば金属材料、或いは樹脂材料を中空の箱体状、その他の任意の形状に構成することにより水面で浮力を発生するように構成したものや、発泡スチロール等のように浮力を有した材料を金属製、或いは樹脂製の中空体(補強部材)内部に充填したものを用いる。要するに、充分な強度と浮力を有していればどのような構成であってもよい。
貨物が満載され喫水線が満載喫水線Hにある状態が図1及び図7の状態であり、この状態で拘束バー18を図10のように引き起こすと、浮体保持バー13の保持突起13aと歯合している保持回動バー14の先端部が、浮体保持バー13の上方向への移動を拘束し、結果として浮体1の上方向への移動が拘束される。この状態の船舶50は浮体1により左右のローリング及び前後のピッチングの動きが吸収緩和されることになって、貨物が満載状態であっても安定した航行が可能となり、船舶の転覆が防止される。また、浮体の浮力により積み荷の満載時には余力が生まれ、より安定性を増した航行ができる。
船舶が寄港地において貨物を下ろすときは、拘束バー18を甲板51上に倒して図8の状態とすれば、船体が水面から上昇するために喫水面は相対的に下降し(H→M)、該下降により浮体1も自重で下降する。喫水面が下降した後で浮体1が該喫水面に浮いた状態が図9であり、該状態で拘束バー18を引き起こして図10の状態とすれば、上述と同様に浮体1の上方向への移動が拘束される。該状態で船舶50が航行すれば、同様に該浮体1により左右のローリング及び前後のピッチングの動きが吸収緩和され、貨物が空載若しくは満載以外の積載状態であっても安定した航行が可能となり船舶の転覆が防止される。
また、浮体1が設けられている浮体室2の底面及び船尾には、上述のように入排水口3、4が複数設けられているため、船舶の航行時には順次水が浮体室2内に自由に入排水する。このため、従来、貨物を下ろした地域(国)で、バラストタンク内に水バラストを注入して船舶のバランスを保持し、次の寄港地(貨物を乗載する地域(国))で水バラストを排水する場合に、水バラスト中に含まれる海洋生物や病原体が次の寄港地に拡散し、水バラストが排出された地域の生態系が破壊される、というような不都合が生じることが無い。
また、本発明の船舶転覆防止機構によれば、上述のように両舷側内部に設けられた浮体1が船舶の航行時の安定性を向上させ、また水面から浮体1が浮力を受けるため、従来のように、固定バラストの積載により単純に船舶重量が増す、ということがなく、浮体1が受ける浮力により船舶50の水中部分の船体容量が減って水から受ける抵抗が少なくなり、結果的に船舶50の航行の際に必要とする燃料を節約することができる。その結果、速力を上がり、CO2の削減にもなる。
なお、浮体1は、上述のように水面から受ける浮力及び自重により上下に移動して船舶50の転覆を防止するが、船舶50が接岸して転覆の危険が無い場合は、浮体1を上方からワイヤで吊り、該ワイヤを電動ウインチ等により巻き上げることにより水面より離水させた状態で保持するように形成すれば、フロートの保守点検を行うことが可能となる。
なお、喫水線が充分に高い位置Hにある場合には、浮体1からの浮力がなくても船体は充分に安定して航行することができるので、浮体を水面から上方に退避させておいてもよい。
浮体室内に配置する浮体の個数、個々の浮体の容量は、船体の規模に応じて増減する必要があることは勿論であるが、喫水線の位置(水面の位置)との関係で適宜、個々の浮体の高さ位置を個別に異ならせるようにしてもよい。具体的には、例えば水面位置が中間喫水線M付近にある場合よりも、空載喫水線L付近にある場合の方がより大きい浮力を必要とするので、空載喫水線まで下降させておく浮体数を、水面位置が中間喫水線にある場合に中間喫水位置に下降させておく浮体数よりも増大させるようにしてもよい。
また、喫水線が下限位置L、中間位置Mにある場合に船体の復元力を確保するために、各喫水位置に浮体を移動させて利用する以外に、積載荷重が過大な場合に上部の喫水線Hに浮体を位置させることにより補助的に浮力を高めるようにしてもよい。
なお、浮体を昇降させたり、位置固定する機構は、種々選定可能であり、図示した構成例は一例に過ぎない。
また、上記実施形態では、浮体室(浮力生成室)2を船体の舷側の全長に亘って設けているが、個々の浮体を配置する空間としての縦長の小浮体室を舷壁55の内部に分離して設け、各小浮体室内に昇降機構(ガイドバー11、ロック手段Lc)を個別に配置するようにしてもよい。このように浮体室を必要最小限の範囲で設けることにより、船体の強度の低下を低減することが可能となる。この場合、縦長の小浮体室(下部が外部の水と連通する開放部)は舷側に沿って前後方向へ複数箇所配置されることとなり、小浮体室内の水面に浮体が浮くことにより浮力を生成することができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、浮体1を浮体室2内において昇降自在に構成したが、所定以上の浮力を発揮する浮体を浮体室(浮力生成室)内の所定高さ位置に固定的に配置しても同様の転覆防止効果を発揮することができる。
図12(a)及び(b)は、第2の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶の概略構成を示す平面図、及び正面図である。なお、図1乃至図11と同一部分には同一符号を付して説明する。
この船舶転覆防止機構Aは、船舶の両舷側の内部(内側)に夫々配置された浮体室(浮力生成室)2、2と、各浮体室内を外部と連通させる図示しない入排水口と、各浮体室内に高さ位置を固定して配置された浮体1と、を備えている構成が特徴的である。
浮体室(浮力生成室)2、2の内部は、船外の水(海水、或いは、淡水)と連通するように構成されており、浮体1は浮体室内の水に浮くことにより浮力を受けて船舶本体56(船舶全体)に対して浮力を付与する手段である。
浮体1は、航行時や停泊時において波浪や物体との衝突によって破損することを防止するため、船舶50の両舷側内部に設けられた浮体室2、2内に配設されている。浮体室2、2内の水Wを船舶50の航行中にスムーズに入排水するように浮体室2、2の船底部分及び船尾部分、その他の適所に図示しない入排水口が設けられている。
浮体1は船舶本体56の外壁56a、又は/及び、舷壁55の内壁にまたがって固定することにより、水面の上下動に関係なくその高さ位置を保持できるように構成する。
船舶に貨物を満杯状態とした場合の満載喫水線をH、貨物を全く積んでいない場合の空載喫水線をL、中間量の貨物を積んでいる場合の中間喫水線をMとした場合、浮体1は空載喫水線Lと、中間喫水線Mに沿った位置に配置する。満載喫水線Hに沿った位置に配置してもよいが、満載時には貨物がバラストとして機能するため更なる浮力の追加は不要である。但し、過大な荷物を積載している場合には、補助的な浮力を付与するために満載喫水線Hに沿った位置に配置しておくことも有効である。
喫水線に沿って浮体1を配置する、とは、図12(b)に示すように浮体1の少なくとも一部(下面を含む下部)が喫水線よりも下方(水面下)に沈んだ位置関係に設定することを意味する。これにより、浮体は水からの浮力を受けることが可能となる。
浮体室2内の水面が下限位置である空載喫水線Lにある場合には、船の重心位置が最も高くなって船体の安定性が最も低下し易いが、空載喫水線Lに沿って固定配置された浮体1(1L)が生成する浮力により、復元力の回復用に使用されるべきバラストが不足する分を補充して船体を安定させることができる。
浮体室2内の水面が中間高さ位置である中間喫水線Mにある場合には、船の重心位置が満載時よりも高くなって船体の安定性(復元力)が満載時よりも低下し易いが、中間喫水線Mに沿って固定配置された浮体1(浮体1M)が生成する浮力によりバラストが不足する分を補充して船体を安定させることができる。
なお、下限位置に配置される浮体1Lが生成する浮力を、中間位置に配置される浮体1Mが生成する浮力よりも所定値以上大きく設定することにより、空載時における航行安定性を更に高めることができる。
必要に応じて空載喫水線Lと中間喫水線Mとの間に他の浮体を固定配置することにより、きめ細かく船体のバランスをとるようにしてもよい。
或いは、各高さ位置に配置した浮体を、互いに干渉しない範囲で個別に上下方向へ移動可能に構成することにより、浮体が浮力を発生させる高さ位置を微調整してもよい。
浮体を昇降させるための構成としては、例えば第1の実施形態に用いた浮体保持バー13をモータ等の駆動源によって上下動させるようにする。或いは、外壁56aに沿って上下方向に設けたガイドレールに沿って浮体側に設けた被ガイド部材を昇降自在にガイドさせると共に、モータ等の駆動源によって浮体を昇降、停止自在に構成してもよい。
水面の位置が空載喫水線Lにある場合と、中間喫水線Mにある場合とで、船体を安定させるのに必要な浮力が異なるため、下方に配置する浮体1Lの浮力を中間位置に配置される浮体1Mの浮力よりも大きく設定してもよい。
また、各浮体1L、1Mが生成する浮力を、喫水線が満載喫水線Hの高さ位置にある場合にはキャンセルさせたい場合には、これらの浮体1L、1Mの浮力を調整(増減)可能に構成すればよい。
即ち、各浮体1L、1Mは、何れも浮体室2内に位置しているため、舷壁55によって保護されており、必ずしも金属、樹脂等の変形不能な硬質材料から構成する必要はない。例えば、弾性、可撓性を有し、膨張収縮変形が可能なゴム、樹脂等を袋状(エアバッグ状、蛇腹状)に構成したものを浮体として用いると共に、浮体に対してエアーを供給したり抜くためのコンプレッサ(ポンプ)を併用してもよい。
図13は浮力を調整可能な浮体を備えた装置構成を示す要部断面図である。
この例では、船舶本体外壁56aと舷壁55との間にまたがってメッシュ、或いはパンチング板等から成る通水性に優れた金属製、或いは樹脂製の保護枠体60を配置すると共に、この保護枠体60内に蛇腹状(アコーディオン状)のエアバッグ状の浮体61を配置する。
浮体61の内部は、管体62を介して外壁56aの内部に配置したコンプレッサ、ポンプ等の空気供給・吸引手段65と接続されている。空気供給・吸引手段65から浮体61の内部に空気を供給して管体62等に設けた弁体(電磁弁)62aを閉じることにより浮体61が膨らんだ状態を維持する。この状態で浮体61は浮力を発生する。
また、弁体62aを開放した状態で空気供給・吸引手段65により浮体61内の空気を吸引してから弁体62aを閉じることにより浮体61を収縮した状態とし、浮力を低下することができる。
浮体61に供給する空気量、空気圧を調整することにより個々の浮体の浮力を調整することもできる。
このように構成したため、満載時には全ての浮体61の浮力をゼロ、或いは最小限とすることができる。また、水面が中間喫水線M付近にある場合には最下部の浮体1Lの浮力をゼロとすることができる。
第1実施形態における昇降式の浮体と、第2実施形態における固定式浮体、及び浮力を変更可能な浮体とを適宜組み合わせて使用しても良い。
この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、浮体室を浮体毎に個別に設けた複数の小浮体室から構成してもよい。
なお、図示した蛇腹式の浮体61は横方向に伸縮するようにしたが、上下方向に伸縮する構成としてもよい。
[第3の実施形態]
次に、図14(a)乃至(d)は本発明の第3の実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶の構成を示す正面図、右側面図、平面図、及び底面図であり、図15はその要部構成を示す拡大正面図である。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複した説明者省略する。
本実施形態に係る船舶転覆防止機構Aは、船舶の両舷側の内部(内側)に夫々配置された浮力生成室2、2と、各浮力生成室内を外部と連通させる入排水口3、4と、各浮力生成室内に配置されて船体を上向きに浮上させる浮力を生成する浮力生成手段70と、を備えている構成が特徴的である。
浮力生成手段70は、モータ、或いはエンジン等の駆動源75により回転駆動されるスクリュー(プロペラ)からの推進力を水面内において下方へ向けて出力させることにより、船体を浮かせる方向への推進力を生成する手段である。
本例では、モータ75からの出力をベベルギア群77を介して、プロペラシャフト79に伝達し、プロペラシャフト79の先端部に固定されたスクリュー81を回転駆動させる。プロペラシャフト79はベアリング80によって各浮力生成室2、2内に回転自在に軸支されているため、浮力生成方向へスクリュー81を回転駆動させることにより、船体に対して浮力を付与することが可能となる。このため、貨物の重量が過小であるために本来であればバラスト水をバラストタンクに積み込む必要がある場合であっても、バラスト水の積み込みに代えて浮力生成手段70を作動させることにより、安定した復元力を確保することが可能となる。
スクリュー81による推進力の出力方向は図示した例のように垂直方向である必要はなく、斜め後方(進行方向後方)に推進力を出力することにより、船尾に装備される本来のスクリューの推進力の補助を行うように構成してもよい。或いは、スクリューの向きを変更可能とすることにより、スクリューによる推進力の出力方向を任意に切り替え可能に構成してもよい。これにより、速力も増し、プロペラの回転動力を電力に求めれば更なる省エネを達成することができる。
浮力生成手段70は、浮体1による浮力生成に比して、任意のタイミングで任意の下向き推進力を出力することによって、任意の浮力を生成できるようにした構成が特徴的である。
喫水線が下限位置L、中間位置Mにある場合に船体の復元力を確保するために浮力生成手段70を駆動してもよいし、積載荷重が過大な場合に補助的に浮力を高めるために駆動するようにしてもよい。
モータ75の電源としては、例えば甲板上等に配置したソーラーパネル90により生成した電力を用いる。
プロペラの推進力によるプロペラシャフト79には上下方向、左右方向への力が発生するが、充分な支持力を有した軸受部材、脱落防止機構によりプロペラシャフト79を支持することにより、対応可能である。
次に、図16は変形実施形態に係る船舶転覆防止機構を備えた船舶の平面図であり、図17はその側面図である。
本実施形態に係る船舶転覆防止機構Aは、船舶の両舷側の内部(内側)に夫々配置された浮力生成室2、2と、各浮力生成室内を外部と連通させる入排水口3、4と、各浮力生成室内に昇降自在に、或いは固定的に配置された浮体1と、各浮力生成室内に配置されて船体を上向きに浮上させる浮力を生成する浮力生成手段70と、を備えている構成が特徴的である。
この実施形態では、浮力生成手段70と、第1実施形態、及び/又は、第2実施形態に係る浮体1とを併用することにより、両者の長所を活かすようにしている。
即ち、浮体1のみによる浮力が十分でない場合に、浮力生成手段70を駆動させて不足する浮力を補うことができる。このように状況に応じて浮力を微調整しつつ増減させることができる。
この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、浮体室(浮力生成室)を浮体毎に個別に設けた複数の小浮体室(小浮力生成室)から構成してもよい。
[本発明の構成、作用、効果のまとめ]
第1の本発明は、船舶の両舷側の内部(内側)に夫々配置された浮力生成室2、2と、該各浮力生成室内を外部と連通させる入排水口3、4と、各浮力生成室内に配置されて上下移動する浮体1と、該浮体を任意の高さ位置にて固定したり固定を解除するロック手段Lcと、を備えていることを特徴とする。
これによれば、積み荷等の積載物、搭乗者を下ろしたことにより喫水線が下がり重心が上がった場合に、水バラスト(バラストタンク)を使用すること無しに復元性を高めて航行、停泊中の転覆、航行不良を防止することができる。水バラストを使用しないため、水バラスト中に含まれる海洋生物や病原体が他の海域に拡散されることによって当該他の海域の生態系を破壊する、という不具合を根本的に解決することができる。つまり、バラストタンクが不要になる分だけ、船の構造をシンプル化し、積み荷等を搭載するスペースを増大したり、船の設計におけるレイアウト自由度を高めることができる。
また、制御系等の複雑な機構を伴わずに簡単な機構で浮体を上下に移動させ、これによって船の横方向への動き(ローリング)を少なくして安定性を保持し、転覆を防止する効果がある。
実施形態では、浮体を位置決めする高さ位置として高所、中間位置、低所の三箇所を例示したが、これは一例に過ぎず、四箇所以上の高さ位置にて位置決め可能としてもよい。
浮体は、浮力を生成できる手段であれば金属、樹脂等を用いた中空体であってもよいし、発泡スチロールのように強い浮力を有した密実体であってもよい。その形状は、箱体、ドラム状等々任意の形状を選定できる。
浮力生成室は、舷側の最も外側の舷壁55の内側に配置されるが、舷側の全長に亘って延在している必要はない。舷側の全長のうちの適所に部分的に配置してもよい。このように浮力生成室を必要な部位のみに分散して配置することにより、浮力生成室間の部分を他の用途に供することも可能となる。
第2の本発明では、ロック手段は、船舶の重量低下によって喫水線が下降した場合に、浮体1を喫水線の高さ位置で拘束する拘束手段を備えていることを特徴とする。
拘束手段によって浮体の高さ位置を変更不能にすることにより、喫水線の上下動に対応した最適な位置にて浮体を固定することが可能となる。喫水線の位置が大きく変化する場合には、拘束手段による拘束を解除することにより浮体を新たな喫水線の位置にあわせた最適な高さ位置に移動させ、その後、その位置にて固定する。
第3の本発明では、拘束手段が浮体を拘束していない場合には、浮体は自重により下降することが可能であることを特徴とする。
船体の重量の低下により、喫水線が高い位置から低い位置に移動した場合でもラチェット機構により浮体は自重により降下することができ、低下した喫水線に対応した水面上に浮いた状態となる。この状態で拘束手段により浮体を拘束すればよい。
第4の本発明では、船舶の両舷側の内部(内側)に夫々配置された浮力生成室と、該各浮力生成室内を外部と連通させる入排水口と、各浮力生成室内に高さ位置を固定して配置された浮体と、を備えていることを特徴とする。
浮体は必ずしも上下動可能に構成する必要は無い。所定の高さ位置で固定することによっても船体の復元力向上に役立てることができる。
なお、最上部に相当する喫水線には浮体を固定する必要が少ないことは上述の通りである。主として、最上部以下の位置となる喫水線(中間位置、下限位置)に対応する位置に浮体を固定すればよい。
第5の本発明では、浮体の浮力を調整可能としたことを特徴とする。
浮体の浮力を一定としてもよいが、伸縮可能な浮体構成とすることにより、ポンプ等を用いて浮体内部に空気を充填して浮力を高めたり、或いは空気を抜いて浮力を低下させることも可能である。これによれば、浮体の高さ位置の違いに応じて浮体の浮力を増減させることにより、船体の復元力、安定性をよち緻密に微調整することが可能となる。
第6の本発明では、浮力生成室内に、駆動源によって駆動されることにより浮力を生成する浮力生成手段を配置したことを特徴とする。
浮体は、それ自体が浮力を有しているが、浮力を臨機応変に変化させることは難しい。それに対してスクリューから成る浮力生成手段を用いて船の航行方向と交差する方向へ水力を出力することにより、浮力を生成することが可能となる。スクリューの駆動源は、電力により動作するモータ、エンジンなどが好ましい。
A 船舶転覆防止機構、1 浮体、la 側面、2 浮体室(浮力生成室)、2a 側面、3 入排水口、4 入排水口、11 ガイドバー、12 ガイド筒、Lc ロック手段、13 浮体保持バー、13a 保持突起、14 保持回動バー(係止手段)、15 突起板、15a 軸、16 コイルバネ、17 ローラー、17a 保持突起、17b 軸、18 拘束バー(拘束手段)、18a 軸、20 カバー、50 船舶、51 甲板、55 舷壁、56 船舶本体、56a 外壁、H 満載喫水線、L 空載喫水線、M その他の位置にある喫水線、W 水、60 保護枠体、61 浮体、62 管体、62a 弁体、65 空気供給・吸引手段、70 浮力生成手段、75 駆動源(モータ)、77 ギア、79 プロペラシャフト、80 ベアリング、81 スクリュー、90 ソーラーパネル

Claims (5)

  1. 船舶の両舷側の内部に夫々配置された浮力生成室と、該各浮力生成室内を外部と連通させる入排水口と、前記各浮力生成室内に配置されて上下移動する浮体と、該浮体を任意の高さ位置にて固定したり固定を解除するロック手段と、を備えていることを特徴とする船舶転覆防止機構。
  2. 前記ロック手段は、前記船舶の重量低下によって喫水線が下降した場合に、前記浮体を前記喫水線の高さ位置で拘束する拘束手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の船舶転覆防止機構。
  3. 前記拘束手段が前記浮体を拘束していない場合には、前記浮体は自重により下降することが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶転覆防止機構。
  4. 前記浮体の浮力を調整可能としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の船舶転覆防止機構。
  5. 前記浮力生成室内に、駆動源によって駆動されることにより浮力を生成する浮力生成手段を配置したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の船舶転覆防止機構。
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