JP4298509B2 - 温度計 - Google Patents
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Description
本発明は、生体その他の温度を測定するための温度計に関する。
背景技術
従来から、人体の温度を測定するために電子体温計が用いられている。この電子体温計は、体温表示部を有する本体と、本体に一体のプローブと、サーミスタなどの温度センサを収納するとともに、人体に直接接触させる事が出来るようにプローブに取り付けられた集熱部材とから構成されている。プローブに集熱部材を取り付けた構成は、電子体温計に限らず、気温、水温、またはその他の測温対象の温度を測定する一般の温度計にも用いられている。
前記集熱部材は、測温対象から受け取った熱を温度センサへ送り込む機能を有する。小型の電子体温計や温度計の集熱部材として従来用いられている代表的な材質はステンレス材であり、一般的に用いられている材料はSUS304などのオーステナイト系である。これは、実使用上十分な強度が得られ、耐蝕性に優れ、非磁性であると共に加工性も良好である。
体温計には短時間での測定が要求されるが、従来の体温計では赤外線検出型を除いては、現在のところ十分に短い測定時間が得られているとは言い難い。一方赤外線検出型体温計は測定方法によって計測温度に誤差を生じやすい傾向がある。
また、体温計の場合、その金属製の集熱部材は人体の肌(脇下、口)に直接触れる部分であるが、ステンレス材には約8%のニッケルが含まれているため、まれにではあるが、金属アレルギーの問題を生じる事がある。一部の電子体温計や温度計では集熱部材にアルミニウム合金(例えばA5056等)を用いている。アルミニウム合金は極めて熱伝導率が高く金属アレルギーの基となるニッケルが含まれていないため、特に体温計の集熱部材として用いた場合、測定時間と金属アレルギーの問題が一挙に解決される事になり、理想的と考えられる。
しかしながら、アルミニウム合金は酸、アルカリに対して腐食し易いため、電子体温計等の人体の肌(脇下、口)に直接触れて使用する場合は、使用後に中性洗剤等でクリーニングする事が必要である。このため体温計に用いる場合に取り扱いが煩雑になるとの問題が生じる。また、一般の温度計に用いた場合でも、電子体温計ほどの頻度ではないが、集熱部材が人体に接触することや、酸性またはアルカリ性の物質を測温対象とすることがあるため電子体温計と同様の問題がある。
発明の開示
本発明の目的は、測定時間が短縮でき、かつ、人体と接触しても金属アレルギーなどの問題を引き起こさず、頻繁なクリーニングを必要とせず取扱いが煩雑にならない、体温計などの温度計を提供することである。
まず、温度計(体温計)の測温特性について図5を参照して説明する。
図5は、体温計の温度センサが示す温度を時間の関数として表している。図5に示す曲線100は従来の体温計の測温特性を示す。
本発明者らは、測定時間短縮の手段として、まず、温度センサの体積を小型化することで熱容量を小さくすることを試みた。これは、前記集熱部材によって集熱された熱量が一定とすれば、前記温度センサの温度上昇は該温度センサの熱容量が小さいほど早くなるはずであるとの思想に基づく。
そこで、従来よりも小型の温度センサを用いて温度測定してみた結果が、図5の曲線200である。この曲線200と前記の曲線100とを比較すると、測定直後の曲線の初期上昇は明らかに曲線200の方が早く、その限りでは温度センサを小型化する効果があることがわかる。
しかしながら、測定温度が飽和温度に近づくにつれて曲線の上昇は緩やかになり、測定開始から15秒経過したあたりで曲線200は曲線100とほぼ重なってしまう。ところが、この時点ではまだ測定できる温度(飽和温度に極めて近い温度)まで達していない。したがって、温度センサを従来よりも小型にしても、測定開始から測定できる温度に至るまでの時間は従来の体温計と変わらない結果となってしまう。
上記の結果を考察するといくつかの要因が考えられる。第1に、集熱部材での集熱が十分でない事が考えられる。集熱量が不十分な場合、温度センサに熱が十分に供給されず、該温度センサの温度上昇が遅くなると考えられる。第2に、集熱部材の熱伝導率が十分でない事が考えられる。集熱された熱量が温度センサまで到達する時間が長ければ、該温度センサの温度上昇が遅くなると考えられる。第3に、集熱された熱が温度センサ以外の部分、例えば集熱部材の取り付け部に逃げてしまっている事が考えられる。また温度センサに供給された熱が、該温度センサと回路を繋ぐリード線を介して漏れている事も考えられる。さらに集熱部材自体の温度上昇が緩慢な事も考えられる。
原因調査のため前記集熱部材を、前述のように一部の温度計で用いられているアルミニウムに変更して見たところ、極めて良い結果が得られる事が分かった。しかしながら前述のように体温計にアルミニウムを用いる事には酸素、アルカリに対して腐食しやすいなどの難点がある。アルミニウムが良い結果を引き起こすその理由が判れば、アルミニウムと同等の結果をもたらす他の材質を見つけてアルミニウムに代替させることができる。
ところで、アルミニウムの最も特徴的な点として熱伝導率が極めて高い事が知られている。ステンレスの熱伝導率が16.3W/mKであるのに対し、アルミニウムのそれは120W/mKである。
アルミニウムが良い結果を得る理由が高い熱伝導率に有るのならば、集熱部材の熱を短時間で温度センサに到達させる他の方法を講じれば良い。そこで、温度センサを集熱部材の先端から集熱部材の中央付近の内壁に移動したり、温度センサの側面で集熱部材に固着したり、温度センサのリード線を銅線に替えて鉄線にしたり、また、集熱部材の空洞内の空気を密閉するなどしてみたところ、初期の温度上昇が改善される事が分かった。しかし同時に、温度が飽和温度に達するまでの時間はアルミニウムほどには改善されない事も分かった。
そこで調査結果を再検討した結果、アルミニウムで良い結果が得られた理由は、熱伝導率の高さよりもむしろ集熱部材の熱容量が小さくなった結果ではないかとの結論に至った。すなわちSUS304の比重は7.93g/cm3 、比熱は0.120cal/g・℃であり、従って単位体積あたりの熱容量は0.952cal/℃である。これに対しアルミニウムの比重は2.64g/cm3、比熱は0.217cal/g・℃であり、従って単位体積あたりの熱容量は0.573cal/℃である。
集熱部材の熱容量が大きいと、単に集熱部材の温度上昇が遅くなると言うだけでなく、生体のように熱の供給量が一定でない場合、集熱部材の接触により生体表面の温度が下がり、熱平衡状態となるまでの時間が極端に長くなる事が考えられる。
本発明者らは、アルミニウムの単位体積あたりの熱容量0.573cal/℃に近い値を持つ材料を探してチタン材を得た。純チタンの比重は4.51g/cm3、比熱は0.124cal/g・℃である。従って単位体積あたりの熱容量は0.559cal/℃であって、アルミニウムの単位体積あたりの熱容量0.573cal/℃に近い。ただし熱伝導率は、アルミニウムの120W/mKに対してチタン材はわずか17.1W/mKである。
本発明者らは、チタン材で図5の曲線100を得た集熱部材と同一寸法の集熱部材を作成して同様の測定を行った。この結果得られたのが図5の曲線300である。この曲線300は、体温計にアルミニウムの集熱部材を用いた場合とほぼ同様の曲線となる。
以上を勘案して、温度センサと、該温度センサが取り付けられるとともに該温度センサを覆う金属製の集熱部材と、温度センサの出力に基づいて測温対象の温度を演算する演算手段とを備える温度計において、本発明ではその集熱部材を、チタン系材料とする。また、集熱部材は、金属製の母材の表面に蒸着加工法によりチタン系材料が被覆されている。
本発明は以下の態様をとり得る。
チタン化合物は、金属製の母材の露出する表面のみに被覆されている。
金属製の母材は、被覆するチタン化合物よりも熱伝導率の高い金属である。
金属製の母材は、アルミニウムである。
金属製の母材はその内部に空洞が形成されており、該空洞の内壁のチタン化合物が被覆されていない部分に、温度センサを固着している。
チタン系材料が、純チタンである。
チタン系材料が、チタン合金である。
チタン系材料が、チタン化合物である。
チタン系材料が、窒化チタンである。
チタン系材料が、炭化チタンである。
チタン系材料が、酸化チタンである。
測温対象は生体であり、温度演算手段は生体の体温を演算する。
以上述べたように、本発明によれば、集熱部材をチタン系材料としたことにより、金属アレルギーを起こさず、酸、アルカリに対して腐食せず、しかも測定時間が短いという極めて良質の温度計を提供できる。また、集熱部材は、金属製の母材の表面に蒸着加工法によりチタン系材料が被覆されているため、母材となる金属が有している有利な効果を生かし、母材が有している欠点を補うとともに、容易に形成することができる。
発明を実施するための最良の形態
先ず、図3を用いて本発明による電子体温計の外観図を説明する。
接触式の電子体温計10は、腋下などの生体の測定部位に挟み込むプローブ部11を有する本体部12と、プローブ部11の先端に取り付けられた金属製の集熱部材20とを備える。本体部12の材質は、例えば、ABS樹脂であり、集熱部材20の材質は、純チタンまたはチタン合金またはチタン化合物である。本願明細書又は特許請求の範囲に使用されるチタン系材料とは、純チタン,チタン合金,チタン化合物を含む。さらに後述するように、集熱部材20はキャップ状をして、その内部にはサーミスタなどの温度センサが配置されるとともに、熱容量を小さくして短時間に測定可能なように、内部を空洞化している。
本体部12は、外装ケースに被われているが、その一部に測定を開始するためのスイッチ13と、測定した体温値を表示する表示器14が設けられている。さらに、本体部12の内部には、温度センサの測定値から体温を演算する演算手段を有する電気回路(図示せず)が収納されている。
次に、図3を用いて本実施の形態による電子体温計の操作方法を説明する。まず、スイッチ13を押すと、その操作に基づいて電子体温計10の電源が入り、測定を開始できる状態となる。次に、プローブ部11の先端の集熱部材20を生体の測定部位に接触させる。腋窩温度を測定する場合には、腋下にしっかりと挟んでから一定時間が経過すると、ブザー音などで測定が終了したことを知らされると共に、表示器14には測定された体温値が表示される。腋下から電子体温計10を取り出し、表示器14の体温値を読み取る。最後に、スイッチ13を押して、電子体温計10の電源を切る。
以下に、本発明による温度計の第1乃至第3の形態について説明する。これらの形態は、図3に示す電子体温計の集熱部材20およびプローブ部11の内部構造に特徴を有する。
まず、温度計(電子体温計)の第1の形態について図1の断面図を用いて説明する。
集熱部材20の内部には、集熱部材20の熱容量を小さくして短時間に測定するために空洞25が形成されており、温度センサ30の先端部は接着剤40により空洞25の内壁に固着されている。すなわち、温度センサ30は、集熱部材20に覆われている。この空洞25は空気で満たされている。また、プローブ部11の先端部には溝11aが形成されており、この溝11aに、集熱部材20をプローブ部11の先端に固着するための接着剤が充填されている。また、プローブ部11の内部には空洞15が設けられており、この空洞15に温度センサリード線31を配している。
ここで、集熱部材20をチタン系材料にしたことによる特徴について説明する。集熱部材20がチタン系材料であるため、ステンレス材とは異なり、ニッケルが含有されていないため、金属アレルギーをおこさない特徴が有る。また、アルミニウムとは異なり、酸に強い耐食性を示すため、腐食し難い特徴が有る。しかも、ステンレス材と同程度の実使用上十分な強度が得られる。
チタン合金の比重および比熱は、その種類によって多少の差はあるが、約4.5g/cm3,0.13cal/g・℃程度であり、純チタンとほぼ同じ値である。また、単位体積当たり、1℃温度上昇させるために必要な熱量がステンレスに比べてチタンの方が少ないため、体温測定時に人体の測定部位から集熱部材20に奪われる熱量が少なくてすむ。これは、ステンレス製の集熱部材に比べてチタン製の集熱部材の方が体温測定時に冷たく感じ難い事を意味する。
このように、集熱部材をチタン系材料にすると、ステンレス製の集熱部材が有していた金属アレルギーの問題、およびアルミニウム製の集熱部材が有していた、酸やアルカリに対して腐食し易いという問題がなくなり、しかも測定時間が大幅に短縮される。さらに、ステンレス製の集熱部材と同様に実使用上十分な強度が得られる上、体温測定時に冷たく感じ難いので、被測定者に不快感を与える事が少ないと言う効果も有する。
次に、温度計(電子体温計)の第2の形態について図2の断面図を用いて説明する。図1に示した実施形態と同じ構成要素には同じ番号を付してその説明を省略する。
この形態は、図1の第1の形態の温度計の集熱部材20の内部に断熱性の樹脂40を充填したものに相当する。集熱部材20の内部に樹脂40を充填すると、集熱部材部分全体の熱容量は若干増大するが、機械的強度を上げる事ができるので、集熱部材の肉厚をより薄くする事が出来、集熱部材自体の熱容量をより小さくできる。従って集熱部材20をチタン系材料としたことによる効果は図1に示す第1の形態と同等かそれ以上にする事が出来るとともに、機械的強度の大きい体温計を提供する事が出来る。
次に、温度計(電子体温計)の第3の形態について図4の断面図を用いて説明する。図1及び図2に示した形態と同じ構成要素には同じ番号を付してその説明を省略する。
この形態で用いている集熱部材20は第1の形態で用いている集熱部材20と同じ構成である。
第1の形態(図1)及び第2の形態(図2)では温度センサを集熱部材20の先端部に固着しているが、この形態では温度センサを集熱部材20の長手方向のほぼ中央部の内壁に固着している。また、第1の形態及び第2の形態では温度センサの先端部を集熱部材20の内壁に固着しているが、この形態では温度センサの側面部を集熱部材20の内壁に固着している。さらに、この形態では、温度センサのリード線31の材質を熱伝導率の低い鉄線にしてある。さらに空洞25を、その中の空気とプローブ部11の空洞15の空気とが遮断されるように、接着剤41または樹脂を用いて密閉している。
前記温度センサの取り付け位置を集熱部材20の長手方向のほぼ中央部の内壁とした事により、該集熱部材の各所から前記温度センサへの熱の伝導時間が短縮される。また温度センサの前記集熱部材への取り付け方を側面部とした事により、該集熱部材から前記温度センサへの熱の伝導効率も向上する。また温度センサリード線31を鉄線としたので温度センサ30から該温度センサリード線31を伝わって逃げる熱が減少し、さらに空洞25の空気が密閉されているから、プローブ11の空洞15に逃げる熱量も少なくなり、全体として集熱部材20、温度センサ30の温度上昇が早まり、従って測定時間を短縮する事が出来る。この実施形態は、前記集熱部材が従来のステンレス材の場合であっても効果を有する。
上に説明した第1乃至第3の形態の温度計の集熱部材20は、いずれもその全部が純チタンまたはチタン合金である。
従来のステンレス製の集熱部材は、例えば、厚さ0.1mm以上のSUS304の平板を、ポンチの力によってダイスの穴内に絞り込む深絞り加工を多段に行うことによって、平板から徐々にキャップ状に形成していた。
図1乃至図4に示した集熱部材も、同様に、厚さ0.1mm以上のチタン材またはチタン合金材の平板を多段深絞り加工を施すことによって形成することができる。この集熱部材は、特殊なものを除き、一般には、直径が3mm程度、長さが7mm程度の非常に小さなものである。また、直径が3mm程度であるが、長さを9mm程度に長くして、体に接触する面積を増やすことで、より測定時間を短くした集熱部材も用いられている。多段深絞り加工は、集熱部材の長さが短い場合には加工しやすいが、長さが長くなると、絞り込みの段数を増やす必要がある。
しかも、集熱部材の先端部は半球状に加工され、さらに、測定時間のバラツキが生じないように、厚さを所定範囲内の精度にする必要がある。従って、特に、一般の集熱部材に比べて長さを長くした集熱部材は、多段絞り加工のしやすさの目安の一つである絞りが、60%程度のSUS304であれば、絞り込みの段数を増やす事により比較的容易に加工が行なえるが、絞りが30%程度の純チタンやチタン合金をこのような形状にするためには、絞り込みの段数を、SUSの何倍にも増やして、時間を掛けて少しずつ行うことでしか加工することができず、容易ではない。(「絞り」は、材料を引張って切れたときの断面積をAzとし、材料を引っ張る前の断面積Aとした場合に、絞り(%)=(A−Az)×100/Aで表される。)
そこで、次に、チタン材のみで形成した集熱部材と同様な効果を有し、しかも、集熱部材を比較的容易に作ることができる、第4の実施の形態による体温計(電子体温計)を、図6A及び図6Bを用いて説明する。
図6Aは、第4の実施の形態による体温計のプローブ部の断面図であり、図6Bは、図6Aに示した集熱部材21の一部(21a)を拡大して示した図である。図6A及び図6Bにおいて、図1に示した実施形態と同じ構成要素には同じ番号を付してその説明を省略する。
この形態では、集熱部材21が、チタン材のみで構成されているのではなく、アルミニウムを加工して形成した母材22と、その露出する外表面に被服されたチタン化合物23とから構成されている。母材22は、従来のアルミニウムによる集熱部材と同様の加工方法(例えば、棒状のアルミ材の切削加工)により形成されている。そして、イオンプレーティングなどの物理蒸着加工法によって、母材22の露出する外表面にチタン化合物23を被覆する。例えば、母材22が入った真空層内に、反応気体である窒素(N2)を注入し、窒素をイオンと電子に分離して、プラズマを発生させ、チタンを蒸発させる。すると、チタンの蒸発粒子および窒素は、プラズマ中でイオンとなり化学反応を促進する。イオンとなったチタン粒子及び窒素は、マイナス電子の加えられた母材22へ加速され、高エネルギーで衝突し、チタン化合物である窒化チタンとして素材表面へくい込み、堆積する。イオンプレーティングを行う場合には、母材22の開口部を塞ぎ、空洞25内が窒化チタンに被覆されないようにする。
このイオンプレーティングによるチタン化合物の被覆は、例えば腕時計の金属バンドでは既に実用化されている技術であり、簡単に行うことができる。
反応気体は、窒素には限らず、チタン化合物が母材22の表面に付着するのであれば、他の気体でもよい。例えば、窒素とは異なる反応気体を用いて、窒化チタンとは異なるチタン化合物である、炭化チタンや酸化チタンを被覆させてもよい。また、チタンを母材22に被覆させることができれば、イオンプレーティング以外の物理蒸着加工法でもよいし、それ以外の方法でもよい。また、純チタンやチタン合金を母材22の表面に被覆してもよい。
母材22にチタン化合物23(窒化チタン)が被覆されることによって、腐食しやすいというアルミニウムの欠点を補うことができる。アルミニウムは、前述のように、単位体積あたりの熱容量が純チタンやチタン合金とほぼ同じで、熱伝導率がチタンより大きい金属である。その上に被覆されるチタン合金は、数ミクロン程度であり、測定時間への影響は小さいため、アルミニウムだけで集熱部材を形成した場合と同等、または、チタン材だけで集熱部材を形成した場合と同等の、短い測定時間で体温を測定することができる。
母材22内の空洞25の内壁にも、チタン化合物23を被覆してもよいが、空洞25内は、チタン化合物よりも熱伝導率の高いアルミニウムを露出させ、そこに温度センサ30を固着したほうが、温度センサ30に熱が伝わりやすくなる。
母材22は、アルミニウムに限らず、例えば、ステンレスであってもよい。例えば、前述のように、SUS304を多段深絞り加工してキャップ状の母材を形成し、その露出する外表面または全表面に、蒸着によりチタン化合物を被覆してもよい。ステンレスからなる母材22の表面にチタン化合物を被覆することによって、ステンレスの強い強度を生かし、しかも金属アレルギーが生じない集熱部材を構成することができる。
また、第4の実施の形態における集熱部材22の空洞25内は、図2に示した第2の実施の形態のように、樹脂を充填しても良いし、図4に示した第3の実施の形態のように、空気を密閉してもよい。さらに、第4の実施の形態における温度センサ30の位置を、第3の実施の形態のように、集熱部材22の長手方向のほぼ中央内壁に固着したり、温度センサ30の側面を集熱部材22の内壁に取り付けてもよい。
このように、金属により形成された母材22の表面に、チタン化合物を被覆することによって、母材となる金属が有している有利な効果を生かし、母材22が有している欠点を補って、チタン材のみによって形成された集熱部材と同様な効果を得ることができるとともに、さらに、容易に形成することもできる。
本実施の形態では、温度計の一例である電子体温計で説明したが、本発明はこれに限らず、一般的な温度計にも適用することができる事は言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の形態による温度計(電子体温計)のプローブ部の断面図である。
図2は、本発明の第2の形態による温度計(電子体温計)のプローブ部の断面図である。
図3は、本発明の実施形態による温度計(電子体温計)の外観図である。
図4は、本発明の第3の形態による温度計(電子体温計)のプローブ部の断面図である。
図5は、温度計の測温特性を示す図である。
図6Aは、本発明の第4の形態による温度計(電子体温計)のプローブ部の断面図であり、図6Bは、図6Aに示したプローブ部における集熱部の一部拡大図である。
Claims (5)
- 温度センサと、該温度センサが取り付けられるとともに該温度センサを覆う金属製の集熱部材と、前記温度センサの出力に基づいて測温対象の温度を演算する演算手段とを備える温度計において、
前記集熱部材は、金属製の母材の表面に蒸着加工法によりチタン系材料が被覆されていることを特徴とする温度計。 - 前記チタン系材料は、前記金属製の母材の露出する表面のみに被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の温度計。
- 前記金属製の母材は、被覆するチタン系材料よりも熱伝導率の高い金属であることを特徴とする請求項1又は2に記載の温度計。
- 前記金属製の母材は、アルミニウムであることを特徴とする請求項3に記載の温度計。
- 前記金属製の母材は、その内部に空洞が形成されており、該空洞の内壁のチタン系材料が被覆されていない部分に、前記温度センサを固着したことを特徴とする請求項1乃至4に記載の温度計。
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