JP4298062B2 - 容量計測回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変位や圧力等の外力によって容量が変化する可変容量素子の容量変化を測定する容量計測回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のような容量計測回路には、例えば実公昭63−42330号公報に従来技術として開示されているようなものがある。この容量計測回路では、容量が外力によって変換する可変容量素子を充電スイッチング素子を介して周期的に基準電源によって充電し、この可変容量素子の電圧が放電スイッチング素子を介してフィルタ回路に放電されている。また、基準電源によって充電される補償用コンデンサが設けられ、この補償用コンデンサも上記の充電スイッチング素子と同期している補償用充電スイッチング素子によって充電され、放電スイッチング素子と同期している補償用放電スイッチング素子によって補償用フィルタに放電される。この補償用フィルタの出力によって基準電源の電圧がフィードバック制御されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この容量計測回路では、補償用コンデンサ、補償用充電及び放電スイッチ、補償用フィルタによって基準電源の電圧を制御しているので、充電及び放電スイッチング素子、フィルタ回路等のドリフトの影響を除去することができる。しかし、可変容量素子の容量が小容量の場合、測定精度を向上させるための対策が施されていない。また、基準電源の安定性については補償が行われていない。そのため、安定した電源を基準電源として使用する必要がある。また、ディジタル出力を得るためには、この容量計測回路の後段にA/D変換回路を別に設けなければならない。
【0004】
本発明は、上記の問題をそれぞれ解決した容量計測回路を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明による容量計測回路は、スイッチドキャパシタ回路を有している。このスイッチドキャパシタ回路は、印可された外力に応じて容量が変化する可変容量素子を含む。本容量計測回路は、積分回路を含み、更に、前記スイッチドキャパシタ回路に第1の極性の直流電圧を供給し、前記積分回路第2の極性の直流電圧を供給可能な基準電源が設けられている。制御手段が、予め定めた時間にわたってスイッチドキャパシタ回路の出力を積分回路に供給し、予め定めた時間の経過後に、第2の極性の直流電圧を前記積分回路に供給する。前記予め定めた時間の経過後における前記積分回路の出力の極性の変化を検出する極性変化検出手段が設けられ、前記予め定めた時間の経過時に計時を開始し、前記極性変化検出手段による前記極性の変化の検出時に計時を中止する計時手段も、設けられている。スイッチドキャパシタ回路は、前記基準電源の第1の極性の直流電圧で前記可変容量素子を、放電期間を挟んで繰り返される充電期間ごとに充電する第1のスイッチング素子と、前記放電期間ごとに前記可変容量素子を前記積分回路に放電させる第2のスイッチング素子とを、具備している。
【0006】
この容量計測回路によれば、可変容量素子がスイッチドキャパシタ回路に含まれ、このスイッチドキャパシタ回路の出力が積分回路によって積分され、その積分値を逆積分するように基準電源から第2の極性の直流電圧が積分回路に供給されている。この場合、スイッチドキャパシタ回路によるスイッチングの回数によって積分回路に可変容量素子から供給される電荷量が決まり、スイッチング回数を増加させると、第2の極性の直流電圧が積分回路に供給されている時間が長くなる。従って、可変容量素子の容量が小さい場合でも、高精度に容量を測定することができる。また、積分回路の出力の変化は、計時手段によって計時されているので、その計時値はディジタル値であり、別途A/D変換器を設ける必要はない。
【0007】
前記基準電源は、前記スイッチドキャパシタ回路に第1の極性の電圧を供給する直流電源と、この直流電源の直流電圧の極性を反転させて第2の極性の電圧を生成する極性反転回路とを、具備するものとできる。極性反転回路は、演算増幅器と、この演算増幅器の反転入力端子に第1の極性の電圧を供給する入力抵抗器と、前記演算増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続された帰還抵抗器とを有し、前記入力抵抗器と前記帰還抵抗器とが、同一の特性を有する。
【0008】
この場合、第2の極性の電圧は、第1の極性の電圧を反転させて、かつ入力抵抗器と帰還抵抗器の抵抗比を乗じた値となるが、両抵抗器が同一の特性を有するものであるので、スイッチドキャパシタ回路に供給された第1の極性の電圧が変動すると、同じように第2の極性の電圧も変動する。従って、基準電源に変動があっても、その影響を計時手段の計時値は受けず、基準電源に特別な補償回路を設ける必要がない。
【0010】
更に、基準電源の第2の極性の電圧を第3のスイッチング素子を介して前記積分回路に供給するように構成し、前記制御手段は、前記予め定めた時間の経過時に前記第2のスイッチング素子を開放し、第3のスイッチング素子を閉成するようにできる。
【0011】
この場合、スイッチドキャパシタ回路のスイッチング素子を、積分回路へのスイッチドキャパシタ回路の出力の供給、停止の切換に利用しているので、別途、切換スイッチを設ける必要がない。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施の形態の容量計測回路は、図1に示すように、可変容量素子2を有している。この可変容量素子2は、これに印加された外力に応じて容量が変化する。
【0013】
この可変容量素子2は、第1及び第2のスイッチング素子4、6と共にスイッチドキャパシタ回路7を構成している。即ち可変容量素子2の一端は、第1のスイッチング素子4を介して基準電源の一部をなす直流電源8の正極に接続され、他端は、直流電源8の負極に接続されている。同じく可変容量素子2の一端は、第2のスイッチング素子6を介して積分回路9を構成する演算増幅器10の反転入力端子に接続されている。また、可変容量素子2の他端は、演算増幅器10の非反転入力端子に接続されている。なお、直流電源8の負極、可変容量素子2の他端及び演算増幅器10の非反転入力端子は、接地されている。
【0014】
第1のスイッチング素子4は、図2(b)に示すように一定期間t1にわたって導通状態とされ、これに続いて予め定めた期間t2にわたって非導通状態とされることを繰り返すものである。なお、t1とt2は、同一期間とすることもできるし、異なる期間とすることもできる。一方、第2のスイッチング素子6は、図2(c)に示すように、第1のスイッチング素子4と逆に期間t1にわたって非導通状態とされ、期間t2にわたって導通状態とされる。即ち、第1及び第2のスイッチング素子4,6は、相補に導通、非導通状態とされる。t1、t2は、比較的短い時間であり、例えば100μ秒とされる。この場合のスイッチング周波数は、5kHzである。
【0015】
なお、第1及び第2のスイッチング素子4、6としては、付勢信号が供給されている間、導通状態となる例えば半導体スイッチング素子を使用することができる。
【0016】
積分回路9は、上述した演算増幅器10の反転入力端子と出力端子との間に、積分用コンデンサ12を有するものである。第1及び第2のスイッチング素子4、6の導通、非導通の繰り返しによって、可変容量素子2に充電された電荷が積分回路8に転送され、積分される。
【0017】
この積分回路9の反転入力端子は、第3のスイッチング素子14を介して基準電源の他の部分をなす反転直流電圧供給部16に接続されている。この反転直流電圧供給部16は、演算増幅器18を有し、その反転入力端子は、入力抵抗器20を介して直流電源8の正極に接続されている。また、演算増幅器18の出力端子と反転入力端子との間に、帰還抵抗器22が接続され、非反転入力端子は接地されている。
【0018】
入力抵抗器20と帰還抵抗器22とは、例えば値は異なるが、同一の特性を有するものである。この演算増幅器18は、反転増幅器として機能し、直流電源8の電圧をVe、帰還抵抗器22と入力抵抗器20の比をkとすると、−kVeの直流出力電圧Vrefを発生する。この直流出力電圧は、抵抗器24、第3のスイッチング素子14を介して演算増幅器10の反転入力端子に供給される。第3のスイッチング素子も、第1及び第2のスイッチング素子4,6と同様に、半導体スイッチング素子とすることができる。
【0019】
積分回路9の出力は、極性変化検出回路、例えば演算増幅器によって構成された比較器26の反転入力端子に供給されている。また、比較器26の非反転入力端子は、接地されている。従って、積分回路9の出力が正から負に変化したとき、比較器26は極性変化検出信号として、例えば図2(e)に示すようなLレベルの信号を制御回路28に供給する。
【0020】
制御回路28は、第1乃至第3のスイッチング素子4、6、14の制御を行うと共に、計時手段、例えばカウンタ30を制御する。この制御回路28は、例えばマイクロコンピュータによって構成することができる。
【0021】
第1及び第2のスイッチング素子4、6は、図2(b)、(c)の前半に示すように、予め定めた時間、例えば入力積分時間Tinの期間にわたって、互いに逆位相で制御回路28によって開閉される。これによって、可変容量素子2に充電された電荷が、積分回路9によって積分され、同図(a)の前半に示すように、積分回路9の出力が負側に直線的に下降していく。
【0022】
入力積分時間Tinの終了後に、第2のスイッチング素子6が制御回路28によって開放され、かつ第3のスイッチング素子14が制御回路28によって閉成される。これによって、積分回路9が逆積分(放電)され、同図(a)の後半に示すように積分回路9の出力は上昇を開始する。
【0023】
同時に制御回路28は、カウンタ30による図示しないクロック発生器からのクロックのカウントを開始させ、計時を開始させる。やがて、積分回路9の出力が零クロスして、比較器26が極性変化検出信号を制御回路28に供給すると、制御回路28は、カウンタ30によるカウントを停止させ、計時を停止させる。これによって、逆積分時間が計時される。
【0024】
入力積分時間Tinにおける第1及び第2のスイッチング素子4、6のスイッチング回数をNとすると、入力積分時間Tinにおいて積分回路9の積分コンデンサ12に蓄積される総電荷量Qは、可変容量素子2の容量をCxとすると、数1で表される。
【0025】
【数1】
Q=−N*Cx*Ve
従って、入力積分時間Tinの終了時における積分回路9の出力電圧Voは、積分コンデンサ12の容量をCiとすると、数2によって表される。
【0026】
【数2】
Vo=Q/Ci=−N*Cx*Ve/Ci
積分が終了時点から、反転直流電圧供給部16の反転直流電圧Vrefによる逆積分が終了するまでの時間をTref、抵抗器24の抵抗値をRiとすると、上記総電荷量Qは、数3によっても表される。
【0027】
【数3】
Q=(Vref/Ri)*Tref
【0028】
数1及び数3より、Cxは数4によって表される。
【数4】
Cx=Vref*Tref/(−N*Ve*Ri)
【0029】
ここで、上述したようにVrefは、−kVeと表すことができるので、数4は数5のように表すことができる。
【0030】
【数5】
Cx=k*Tref/(N*Ri)
【0031】
数5より、k、N、Riはそれぞれ固定値であるので、Trefを測定することによって可変容量素子2の容量を測定することができる。Trefは、この容量計測回路では、入力積分時間Tinの終了時にカウンタ30による計時を開始し、比較器26の出力がLレベルに変化したときに計時を中止することによって測定されている。
【0032】
数5から明らかなように、Cxの測定値は、直流電源8の電圧Veには無関係である。従って、Veが変動しても、その影響がCxの測定値には現れず、特別に安定させた直流電源8を使用する必要はない。これは、逆積分に使用する電圧Vrefを、直流電源8の直流電圧Veに基づいて生成し、しかも入力抵抗器と帰還抵抗器とを同一の特性とした反転増幅器によって直流電圧Veを増幅することで得ているからである。
【0033】
また、数5から明らかなように第1及び第2のスイッチング素子4、6のスイッチング回数Nを大きくすると、Trefを長くすることができ、Cxの測定分解能を向上させることができ、その分解能はNに比例する。
【0034】
さらに、Trefの測定をカウンタ30によって行っているので、このカウント値を、Cxの測定値のディジタル値として使用することができ、別途A/D変換器を設ける必要はない。
【0035】
また、いわゆる二重積分回路を使用しているので、積分回路9がローパスフィルタとしても作用し、第1及び第2のスイッチング素子4,6の高速スイッチング動作に伴うノイズの影響を除去することができる。
【0036】
また、入力積分時間Tinを特定の周波数、例えば電源周波数(50または60Hz)の影響を抑えるために、その特定の周波数の周期の約1/2の周期、例えば100msecに設定すると、ノッチフィルタ効果が現れて、電源ノイズに対するイミュニティを向上させることができる。
【0037】
逆充電する際、スイッチドキャパシタ回路7の第2のスイッチング素子6を開放することによって、積分回路9への充電を中止させているので、別途スイッチング素子を設ける必要がない。
【0038】
上記の容量測定回路では、可変容量素子2を正の極性で充電し、積分回路9を負の極性で逆充電したが、可変容量素子2を負の極性で充電し、積分回路9を正の極性で逆充電するように構成してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明による容量測定回路によれば、高分解能でかつ高い精度で容量測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態の容量測定回路のブロック図である。
【図2】図1の容量測定回路の動作説明図である。
【符号の説明】
2 可変容量素子
7 スイッチドキャパシタ回路
8 直流電源(基準電源)
9 積分回路
16 反転電圧供給部(基準電源)
26 比較器(極性変化検出手段)
28 制御回路
30 カウンタ(計時手段)

Claims (3)

  1. 被測定量に応じて容量が変化する可変容量素子を含むスイッチドキャパシタ回路と、
    積分回路と、
    前記スイッチドキャパシタ回路に第1の極性の直流電圧を供給し、前記積分回路第2の極性の直流電圧を供給可能な基準電源と、
    予め定めた時間にわたって前記スイッチドキャパシタ回路の出力を前記積分回路に供給し、前記予め定めた時間の経過後に、第2の極性の直流電圧を前記積分回路に供給する制御手段と、
    前記予め定めた時間の経過後に前記積分回路の出力の極性の変化を検出する極性変化検出手段と、
    前記予め定めた時間の経過時に計時を開始し、前記極性変化検出手段による前記極性の変化の検出時に計時を中止する計時手段とを、
    具備し、前記スイッチドキャパシタ回路は、前記基準電源の第1の極性の直流電圧で前記可変容量素子を、放電期間を挟んで繰り返される充電期間ごとに充電する第1のスイッチング素子と、前記放電期間ごとに前記可変容量素子を前記積分回路に放電させる第2のスイッチング素子とを、具備する容量計測回路。
  2. 請求項1記載の容量計測回路において、前記基準電源は、前記スイッチドキャパシタ回路に第1の極性の電圧を供給する直流電源と、この直流電源の直流電圧の極性を反転させて第2の極性の電圧を生成する極性反転回路とを、具備し、前記極性反転回路は、演算増幅器と、この演算増幅器の反転入力端子に第1の極性の電圧を供給する入力抵抗器と、前記演算増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続された帰還抵抗器とを有し、前記入力抵抗器と前記帰還抵抗器とが、同一の特性を有する容量計測回路。
  3. 請求項1記載の容量計測回路において、前記基準電源の第2の極性の電圧を第3のスイッチング素子を介して前記積分回路に供給するように構成し、前記制御手段は、前記予め定めた時間の経過時に前記第2のスイッチング素子を開放し、第3のスイッチング素子を閉成する容量計測回路。
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