JP4297652B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、さらに詳しく述べると、ウエハレベルパッケ−ジングプロセスに基づく半導体装置の製造方法と、それよって製造された半導体装置に関する。本発明の半導体装置は、製造プロセスに原因したダメージの発生及び絶縁低下の問題を同時に解決できる。
【0002】
【従来の技術】
従来の典型的な半導体装置では、一般的に、シリコン(Si)基板やその他の半導体基板上に電極パッドとしてのAl層を形成し、この電極パッドからワイヤボンディングにより配線を引き出している。また、近年要求されている半導体装置の小型化及び高密度化のニーズに応えるために開発されているチップサイズパッケージ(CSP)構造の半導体装置では、半導体基板の上に電極パッド(典型的にはAl層からなる)を形成した後、それを有機絶縁層としてのポリイミド膜で被覆し、このポリイミド膜の上に、当該ポリイミド膜の所要の箇所に形成された導体充填のビア・ホールを介して各電極パッドをパッケージ外部に連絡するための再配線層を形成している。つまり、CSP構造の半導体装置では、各半導体基板上に形成された電極パッドに電気的に接続されるよう基板上で再配線層の形成を行っている。
【0003】
上述のような半導体装置では、半導体基板上の電極パッドから配線を引き出すために電極パッドが露出した構造を採用しているので、そのような電極パッドで専ら使用されているAl層の表面には自然に酸化されて形成されたAl2О3からなる酸化膜、いわゆる「自然酸化膜」が存在している。このような自然酸化膜の存在は、当該電極パッドに接続される配線との間の接触抵抗を増大させ、ひいては両者間の電気的導通を不良にするため、好ましくない。従って、かかる酸化膜を除去するための処理が必要とされる。
【0004】
ワイヤボンディングにより配線を引き出す方式では、例えば超音波や熱を利用して自然酸化膜を機械的に破壊することで、基板上のAl層と配線の間に良好な電気的接続を確保している。また、CSP構造の半導体装置のように基板上で再配線を行う方式では、再配線のための金属薄膜をスパッタリングやめっきにより形成する前の段階で、例えばプラズマ中の正(+)イオン、代表的にはアルゴンイオン(Ar+ )を加速させてターゲットの基板(ウエハ)の表面に衝撃させる処理(イオン衝撃又はイオンミリング)を行って自然酸化膜を除去し、基板上のAl層と再配線層の間に良好な電気的接続を確保している。
【0005】
しかし、再配線工程の前に、基板上の電極パッド(Al層)と再配線層との間に良好な電気的接続を確保するためにAl層の表面に形成された自然酸化膜をイオン衝撃又はイオンミリングにより除去する処理では、基板上で露出しているポリイミド膜(絶縁層)の表面にもイオンが衝撃するため、ポリイミド分子内の一部の原子間の結合が切れたりすることで、その絶縁性が損なわれ、結果として、ポリイミド膜の絶縁抵抗が著しく低下してしまうという問題点がある。ポリイミド分子において、原子間の結合が比較的に切れやすい部分は、本発明者らの知見によれば、下式のA、B及びCの位置である。
【0006】
【化1】
【0007】
すなわち、イオン衝撃によってポリイミド分子内で原子間の切断が起こる結果、そのポリイミド膜の表面が変質し、その最表層に薄いグラファイト層が形成され(主として、芳香環縮合によるものと推定される)、表面絶縁抵抗が著しく低下してしまう。なお、ポリイミド膜の変質の原因は、イオン衝撃が主であるが、電磁波の影響もあると考察される。また、ポリイミド膜における絶縁抵抗の低下は、処理条件などによって変動があるけれども、通常、約1011Ω(イオン衝撃前)から約103Ω(イオン衝撃後)あるいはそれに近い低下率である。
【0008】
また、このような絶縁抵抗の低下の問題は、CSP構造の半導体装置に特有なものではなく、一般的に半導体基板の表面が有機絶縁層(ポリイミド膜など)で覆われ、電極パッドを構成する金属層(Al層など)が露出している半導体装置であれば、通常に起こり得ることである。
【0009】
したがって、基板をチップを覆う有機絶縁層の十分な絶縁性を維持する一方で、基板上の電極パッドとこれに接続される配線との間に良好な電気的接続を確保することができる半導体装置の提供が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記のような問題点を解決する手段として、いわゆる逆スパッタを窒素ガスにより行い、有機絶縁層表面の絶縁性を回復させる方法を見出した。この方法は、プラズマ中の窒素イオンによるスパッタエッチングに基づくものであり、特開2001−28371号公報に開示されているように、半導体装置の製造において、有機絶縁層で覆われ、該有機絶縁層から電極としての金属層(電極パッド)が露出している半導体チップの表面に対し、アルゴンと水素の混合ガスによりイオンミリングを行う工程と、前記金属層及び前記有機絶縁層の上に導体層を形成する工程とを経た後、前記導体層から露出している前記有機絶縁層の表面に対し、窒素ガスによりスパッタエッチングを行う工程とを含むことを特徴としている。
【0011】
この方法は、CSP構造を有する半導体装置やその他の半導体装置において金属層に接続される配線層を形成する際にその良好な電気的導通を確保するのに有用な技術であるが、最近、改善すべき点のあることが判明した。すなわち、窒素ガスにより逆スパッタを行う場合、そのスパッタ中の窒素プラズマの不均一性により基板上の電位分布が偏在することがあり、これに原因して半導体装置の機能が破壊され、電気特性が変動すること(いわゆるチャ−ジングダメージ)が発生するという問題点である。よって現在、基板上に電位差が生じず、なおかつ有機絶縁層表面の絶縁性を回復できる半導体装置を提供することが望まれている。
【0012】
本発明の目的は、したがって、基板を覆う有機絶縁層の十分な絶縁性を回復し、維持する一方で、基板上の電極パッド等とこれに接続される配線との間に良好な電気的接続を確保することができ、しかも半導体装置の機能破壊、電気特性の変動を生じない半導体装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の目的は、このような半導体装置を簡単な手法で歩留まりよく製造できる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の上記した目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その1つの面において、金属層を予め定められたパターンで表面に有する半導体基板と、前記半導体基板を被覆するとともに前記金属層の一部を表面から露出させている有機絶縁層と、前記金属層及び前記有機絶縁層の上に形成された導体層とを含む半導体装置において、
前記金属層の形成後にその表面に形成された自然酸化膜を除去するために前記半導体基板の表面に対してアルゴンイオンによる表面処理を行った際に前記有機絶縁層の表面に同時に形成されたグラファイト層が、引き続くプラズマアッシング処理によって除去されているとともに、前記表面処理の間に前記有機絶縁層の表面において消失せしめられた酸素及び窒素が補填されていることを特徴とする半導体装置にある。
【0016】
また、本発明は、そのもう1つの面において、金属層を予め定められたパターンで表面に有する半導体基板と、前記半導体基板を被覆するとともに前記金属層の一部を表面から露出させている有機絶縁層と、前記金属層及び前記有機絶縁層の上に形成された導体層とを含む半導体装置を製造する方法において、下記の工程:
半導体基板上に金属層を予め定められたパターンで形成し、
前記半導体基板を有機絶縁材料で被覆し、形成された有機絶縁層の表面から前記金属層の一部を露出させ、
前記半導体基板の表面に対してアルゴンイオンによる表面処理を行って前記金属層の表面から自然酸化膜を除去し、その後、
前記金属層及び前記有機絶縁層の上に導体層を形成し、そして
前記アルゴンイオンによる表面処理の間に前記有機絶縁層の表面に形成されたグラファイト層をプラズマアッシング処理によって除去すること
を含んでなることを特徴とする半導体装置の製造方法にある。
【0017】
本発明に従い有機絶縁層(例えば、ポリイミド膜)を例えば酸素/窒素混合ガスを用いてプラズマアッシング処理すると、そのポリイミド膜の絶縁抵抗が、アルゴンイオンによる表面処理に基づくイオン衝撃後の低い値、例えば約103Ωからイオン衝撃前の高い値、約1011Ω、もしくはその近傍にまで回復する。この絶縁抵抗回復のメカニズムは、次のような点にあるものと考察される。
(1)このプロセスは、酸素及び窒素のラジカルのみが作用し、イオン衝撃の作用を伴わない。
(2)プラズマアッシング処理後のポリイミド膜において、
1)イオン衝撃前に観察されたものに近い炭素スペクトル形状が得られ(N−C=Оのピークの復活)、また、
2)酸素及び窒素の元素存在比が増大する。
(3)主たる反応は、ポリイミド膜の表面層の酸化除去と官能基の再付加である。
【0018】
1)表面層のグラファイトの酸化とガス化(C→CО2↑)。
【0019】
2)高分子鎖の切断部分への酸素、窒素を含む官能基(−CООH、−ОH、N−C=О、−NH2など)の導入。
【0020】
3)2種類のガスの混入により両者のラジカルの長寿命化が起こり、ポリイミド表面の改質反応が促進されている(可能性があり)。
(4)表面のグラファイト層が酸化、除去されることで絶縁性が回復する。
(5)ポリイミド分子は、酸素及び窒素のラジカルによって改質され、新たな官能基が導入された状態となっている。
【0021】
本発明は、半導体装置の表面が有機絶縁層(例えば、ポリイミド膜など)で覆われ、電極パッド又はその他の要素を構成する金属層(例えば、アルミニウム層など)が露出している半導体装置、例えばチップサイズパッケージ(CSP)構造を有する半導体装置において、金属層に接続される配線層を形成する際にその良好な電気的導通を確保するのに有用である。なお、本願明細書において使用した場合、「半導体基板」なる用語は、半導体ウエハ、半導体チップ、半導体素子などと同じような意味で使用されており、また、特に定義していない限り、ウエハから切断分離(ダイシング)された後の個々の半導体素子を指すのはもちろんのこと、ウエハに作り込まれていて未だ切断分離される前の状態にある個々の半導体素子をも指している。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記したように、金属層を予め定められたパターンで表面に有する半導体基板と、前記半導体基板を被覆するとともに前記金属層の一部を表面から露出させている有機絶縁層と、前記金属層及び前記有機絶縁層の上に形成された導体層とを含む半導体装置にある。本発明の半導体装置は、したがって、このような基本構造を有する限りにおいて特に限定されるものではない。
【0023】
本発明の半導体装置は、近年要求されている装置の小型化及び高密度化のニーズに応えるため、CSP構造の半導体装置がとりわけ好ましい。CSP構造の半導体装置は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ボールグリッドアレイ(BGA、格子端子型パッケージ)、はんだボールの代わりにボンディングワイヤを再配線層(回路パターン)に立設したCSP構造の半導体装置などを包含する。また、これらの半導体装置において外部端子の配置は任意であり、外部端子がパッケージ面の全体に格子上に配列されたタイプ(エリアアレイ型)と外部端子がパッケージ面の周辺部に限って選択的に配列されたタイプ(ペリフェラル型)とがある。参考までに一例を示すと、エリアアレイ型のBGAは、図1に斜視図で、かつ図2に断面図で示すような構造を有することができる。なお、図面では構造が簡略化してあるが、実際にはより複雑な層構成、端子配置などを採用しているのが一般的である。
【0024】
図1及び図2に示すCSP構造を有するBGA10において、シリコン基板1は、その上に形成されたAl層からなる電極パッド2を有する。電極パッド2は、有機絶縁層としてのポリイミド膜3で被覆されており、このポリイミド膜3の上に、ビア・ホールを介して再配線層4が形成されている。再配線層4は、Cuからなり、その上にはNiやAuからなるバリヤメタル層5が被着されている。ポリイミド膜3及び再配線層4は、再配線層4の外部接続部分を除いてポリイミドからなる封止樹脂層6で覆われ、再配線層4の露出部分(外部接続部分)にはんだボール7が配置されている。なお、図示の例では外部接続端子としてはんだボールを用いているが、外部接続端子はこの形態に限定されないことはもちろんであり、例えばボンディングワイヤを用いてもよい。
【0025】
本発明の半導体装置は、図示のようにCSP構造を有していることに加えて、半導体基板上で一連の組立工程を終えた後の最終工程で個々のチップにダイシングしたものであること、すなわち、ウエハレベルパッケージング(WLP)プロセスで製造されたものであることが好ましい。
【0026】
本発明による半導体装置は、上記のような形態やその他の形態において有利に実施することができる。本発明の半導体装置において、その形態の基本は、
(1)半導体基板上に金属層を形成した後にその金属層の表面に形成された自然酸化膜を除去するために半導体基板の表面に対してアルゴンイオンによる表面処理を行ったものであること、及び
(2)アルゴンイオンによる表面処理の際に有機絶縁層の表面にグラファイト層が同時的に形成されるが、引き続くプラズマアッシング処理によってそのグラファイト層が積極的に除去されているとともに、表面処理の間に有機絶縁層の表面において消失せしめられた酸素及び窒素が補填されていること、
にある。
【0027】
ここで、半導体装置の基体として使用される半導体基板は、いろいろな半導体材料から所望の形状及び厚さで形成することができる。適当な半導体材料としては、とりわけシリコン基板が有用である。
【0028】
また、電極パッドなどの形成に使用される金属層は、この技術分野で一般的に実施されているように、いろいろな公知の金属材料から形成することができる。好適な金属材料は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、アルミニウム、銅など、あるいはその合金を包含する。優れた電気的特性と自然酸化膜の形成可能性を考慮した場合、アルミニウムが特に好適である。アルミニウムやその他の金属材料は、常法に従って、例えばスパッタリング、めっきなどによって所定のパターン及び膜厚で基板上に形成することができる。金属層は、単層でも、2層以上の複合層でもよい。このような金属層の膜厚は、通常、約0.1〜2μmである。
【0029】
さらに、有機絶縁層は、好ましくはポリイミドから形成されるが、ポリイミドと同様な絶縁挙動を示し、アルゴンイオンによる表面処理の際にその薄膜の表面にグラファイト層を同時的に形成可能であるならば、その他の有機材料、好ましくは樹脂材料から形成してもよい。ポリイミド以外の適当な絶縁性樹脂材料としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれでも、例えば、ポリベンズオキサドール(PBО)、フェノールノボラック、ポリベンゾシクロブテンなどを挙げることができる。これらの樹脂材料は、塗布などの常用の成膜法を使用して基板上に所望の膜厚で被覆することができる。このような有機絶縁層の膜厚は、通常、約1〜20μmである。
【0030】
さらにまた、上記の金属層と接続される配線層(あるいは再配線層)は、金属層と同様に、配線目的で一般的に使用されている任意の導体金属から形成することができる。好適な導体金属は、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、例えば、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、チタン、タングステンなど、あるいはその合金を包含する。優れた導電特性などを考慮した場合、銅、金、アルミニウムなどが特に好適である。これらの導体金属は、常法に従って、例えばスパッタリング、めっき、蒸着などによって所定のパターン及び膜厚で基板上に被着することができる。配線層は、単層でも、2層以上の複合層でもよい。このような配線層の膜厚は、通常、約1〜20μmである。
【0031】
当然のことであるが、本発明の半導体装置は、これらの基本の構成要素に追加して、任意の構成要素を追加的に有することができる。適当な構成要素としては、例えば、コンデンサ、コイル、抵抗体などを挙げることができる。これらの構成要素の材料、配置、形成方法等は、この技術分野で一般的に用いられているものをそのまま、あるいは変更して利用することができる。
【0032】
本発明の半導体装置では、その製造途中のプラズマアッシング処理が重要である。プラズマアッシング処理は、アッシング処理に一般的に使用されている処理法でもある程度の処理効果は期待できるけれども、より高められた処理効果を得るため、プラズマ発生室内で酸素及び窒素の混合ガスをマイクロ波で励起して生じた化学活性種を、それから荷電粒子を除去した後、そのプラズマ発生室の下流側にそれとは独立して設けられた反応室に供給し、その内部に配置された半導体基板を処理することによって行うのが有利である。すなわち、本発明の実施に当たっては、プラズマ発生室と反応室とが分離された構造のダウンフロー型アッシング処理装置を使用するのが有利である。このプラズマと半導体基板を分離した機構をもった処理装置を採用することにより、基板上に電位差が発生せず、得られる半導体装置においてダメージが発生しない。また、プラズマを分離しているので、イオンによる表面処理効果が失われる結果、化学活性種のみが表面処理に関与することができ、有機絶縁層の表面抵抗をなんらの悪影響を伴うことなく顕著に回復させることができる。
【0033】
また、このようなアッシング処理において、処理ガスは、酸素及び窒素を所定の量比で混合した混合ガスが有利である。本発明者らは、酸素、窒素、CF4などの各種のガス種をいろいろと検討した結果、酸素のみ、窒素のみで処理した場合でも処理時間の増加とともに有機絶縁層の表面絶縁性は回復傾向にあるが、その回復傾向は緩やかであり、また、これらのガスでは有機絶縁層の表面が過度にエッチングされてしまうということを発見した。実際、酸素及び窒素の混合ガスを処理ガスに使用すると、有機絶縁層の表面はほとんどエッチングされずに平滑のままであり、また、短時間のうちに有機絶縁層の表面絶縁性を回復させることができる。さらに、有機絶縁層の表面が削られることがないので、得られる半導体装置において、寸法誤差や面内不均一の問題が発生することもない。
【0034】
酸素及び窒素の混合ガスにおいて、両者の混合比は広い範囲で変更することができるというものの、生成する化学活性種の濃度が最も高くなり、かつその濃度の面内均一性が高く、被処理基板の周辺部分まで十分に反応が起こるように混合比を選択することが好ましい。なお、処理中のガス流量を高めることで活性種を多量に供給しようと試みた場合には、ガス流量があるレベルを超えた時点で面内均一性が失われるため、好ましくない。ガスの滞留時間が短くなり、十分な反応時間が与えられないことに理由があると考察される。
【0035】
また、本発明者らの知見によると、活性度は混合ガス中の窒素の含有量に最も影響を受け、圧力や流量にはあまり依存しない。従って、混合ガス中における窒素の含有量は、その混合ガスの全量を基準にして約5〜50体積%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは約5〜30体積%の範囲であり、最も好ましくは約15〜25体積%の範囲である。窒素ガスの最適混合比は、20体積%前後である。混合ガス中に占める窒素の含有量が5体積%を下回ると、酸素を単独で使用したのと同様な悪影響が発生し、反対に50体積%を上回ると、表面絶縁性の回復に顕著な効果が認められない。
【0036】
ところで、本発明では、上述のように、プラズマと半導体基板を分離しながら、適当な混合比の酸素/窒素混合ガスから生成した化学活性種によってポリイミドやその他の有機絶縁層の表面絶縁性が回復する点が最も重要なポイントである。したがって、下記の実施例ではマイクロ波の併用を説明するけれども、マイクロ波は必ずしも必要であるというわけではなく、実施可能な範囲でいかなるプラズマ電源においても絶縁回復は可能である。
【0037】
本発明は、また、金属層を予め定められたパターンで表面に有する半導体基板と、半導体基板を被覆するとともに金属層の一部を表面から露出させている有機絶縁層と、金属層及び有機絶縁層の上に形成された導体層とを含む上述のような半導体装置の有利な製造方法にある。本発明の半導体装置の製造方法は、下記の工程:
金属層の形成工程(半導体基板上に金属層を予め定められたパターンで形成する)、
有機絶縁層の形成工程(半導体基板を有機絶縁材料で被覆し、形成された有機絶縁層の表面から金属層の一部を露出させる)、
アルゴン処理工程(半導体基板の表面に対してアルゴンイオンによる表面処理を行って金属層の表面から自然酸化膜を除去する)、
導体層の形成工程(金属層及び有機絶縁層の上にさらに導体層を形成すること)、及び
プラズマアッシング工程(アルゴンイオンによる表面処理工程の間に有機絶縁層の表面に形成されたグラファイト層をプラズマアッシング処理によって除去する)
を含むことに特徴がある。なお、本発明方法の実施に当って、本発明の作用効果に悪影響が出ないのであるならば、処理工程の順番を変更したり、必要に応じて追加の処理工程を加えてもよい。
【0038】
本発明方法において、アルゴンイオンにより表面処理を行うアルゴン処理工程は、いろいろな方法で実施することができるけれども、アルゴン及び水素の混合ガス(Ar+H2)によりイオンミリングあるいはイオン衝撃によって実施するのが有利である。イオンミリングを行うガスとしてAr+H2 の混合ガスを用いているので、従来のようにArのみを用いた場合に比べて、イオン衝撃に起因する有機絶縁層の絶縁抵抗の低下を抑制することができる。
【0039】
このアルゴン処理工程において、Ar+H2 の混合ガスに含まれるH2 の含有量は広い範囲で変更できるというものの、通常、約5〜33体積%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは5〜10体積%の範囲である。Ar+H2 の混合ガスにおいて、H2 の含有量が5体積%を下回ると、有機絶縁層(ポリイミド膜)の絶縁抵抗の低下防止効果が減少し、反対に33体積%を上回ると、自然酸化膜の除去に長時間を要し、産業上実用的な処理時間の限度を越えてしまう。
【0040】
また、導体層の形成工程は、いろいろな方法によって実施することができる。この工程は、例えば、スパッタリングにより全面にめっきベース膜としての金属薄膜を形成し、電解めっきにより金属薄膜の上に配線層を形成し、そしてめっきベース膜のうち配線層から露出している部分を除去することによって有利に実施することができる。もちろん、必要ならば、その他の方法を使用してもよい。
【0041】
本発明による半導体装置の製造方法は、上記した半導体装置の説明と以下に添付の図面を参照して説明する実施例から容易に理解できるであろう。
【0042】
【実施例】
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
【0043】
図3〜図5は、本発明の一実施例に係るCSP構造の半導体装置について、その製造工程を順に示したものである。
【0044】
最初の工程では、図3(A)に示すように、複数の半導体チップ(図示せず)が作り込まれたウエハを常用の技法によって作製する。すなわち、シリコンウエハ11の表面に窒化シリコン(SiN)やリンガラス(PSG)等からなる保護膜としてのパッシベーション膜21を形成した後、各半導体チップ上に所要のパターンで多数形成されたアルミニウム(Al)の電極パッド12の領域に対応するパッシベーション膜21を除去することで、表面がパッシベーション膜21で覆われかつ電極パッド12が露出したウエハ11を作製する。この場合、半導体チップにパッシベーション膜21を設けずに、後の工程で形成されるポリイミド膜にパッシベーション膜の機能を兼ねさせてもよい。
【0045】
次いで、フォトリソグラフィにより有機絶縁層(ポリイミド膜)13を形成する。先ずウエハ11の表面に絶縁膜を形成するための感光性レジスト(ここでは、感光性ポリイミドを使用)を塗布し、次にレジストのソフトベーク(プリベーク)処理、マスク(図示せず)を用いた露光及び現像(レジストのパターニング)を順次行い、さらにハードベーク(ポストベーク)処理を行う。ここで、レジストのパターニングは、電極パッド12の形状に従うように行う。従って、露光及び現像を行うと、電極パッド12に対応する部分のレジスト(ポリイミド膜)13が選択的に除去されて、図示されるように、電極パッド12に到達する開口部(ビア・ホール)を有する有機絶縁層(ポリイミド膜)13が形成される。
【0046】
この工程によって、表面がポリイミド膜13で覆われ、電極パッド12が露出したウエハ11が作製される。ここに、電極パッド12すなわちAl層は露出しているため、その表面には酸化アルミニウムからなる自然酸化膜(図中、Fで示す部分)が形成される。
【0047】
引き続いて、電極パッド12上に形成された自然酸化膜Fを除去するため、図3(B)に示すように、ウエハ11の表面に対しアルゴン(Ar)と水素(H2 )の混合ガスによりイオンミリングを行う。イオンミリングは、例えば、イオン銃でAr+H2 の混合ガスのプラズマを発生させ、グリッドに高電圧を印加してプラズマ中のイオンを加速させ、ウエハ11の表面に衝撃させることで行うことができる。このイオンミリングの結果、Al層12の表面の自然酸化膜Fを完全に除去することができる。
【0048】
次の工程では、図3(C)に示すように、真空雰囲気中でスパッタリングにより、全面に金属薄膜を形成する。ここで形成した金属薄膜は、密着金属層(ここではクロム(Cr)層)22と、その上に積層した銅(Cu)層23の2層構造を有している。金属薄膜の形成は、例えば、全面にCrをスパッタリングにより堆積させて下層部分の密着金属層(Cr層)22を形成し、更にその上にCuをスパッタリングにより堆積させて上層部分のCu層23を形成することにより、有利に行うことができる。ここに、上層部分のCu層23は厚さ0.5μm程度に形成される。このようにして形成された金属薄膜は、後の配線形成工程、ビア・ポスト形成工程で必要な電解めっき処理のための給電層(めっきベース膜)として機能する。
【0049】
次の工程では、図3(D)に示すように、金属薄膜のCu層23の上に感光性レジスト、例えばドライフィルムレジスト24を貼付し、更にマスク(図示せず)を用いて露光及び現像(レジストのパターニング)を行う。このパターニングは、配線パターンの形状に従うように行う。
【0050】
上記のようにしてドライフィルムレジスト24のパターニングが完了した後、図4(E)に示すように、先の工程で形成した給電層(金属薄膜)からの給電による電解めっきにより、パターニングされたレジスト24をマスクにして配線パターンすなわち配線層14を厚さ数μm〜十数μm程度に形成する。ここで、配線層14は、Cu/Ni/Auの3層構造からなる。配線層14は、その役割の面から、「再配線層」とも呼ばれる。
【0051】
次の工程では、図4(F)に示すように、先の工程でマスクとして使用したドライフィルムレジストを水酸化ナトリウム(NaOH)溶液等のレジスト剥離液を用いて剥離し、除去する。その結果、ウエハ11の表面に配線層14が所定のパターンで形成される。
【0052】
次いで、図4(G)に示すように、金属薄膜のCu層23と配線層14の上に感光性レジスト、例えばドライフィルムレジスト25を貼付し、更にマスク(図示せず)を用いて露光及び現像(レジストのパターニング)を行う。このパターニングは、次の工程で形成されるビア・ポストの形状に従うように行う。その結果、ドライフィルムレジスト25にビア・ポストの形状に対応した開口28が形成される。
【0053】
引き続いて、図4(H)に示すように、先に図4(E)で説明したものと同様な手法に従って電解めっきを行う。すなわち、給電層(金属薄膜)からの給電による電解めっきにより、パターニングされたレジスト25をマスクにしてCuのビア・ポスト18を形成する。更に、必要に応じて、ビア・ポスト18の頂上部に後工程で形成するはんだボールに対するバリヤメタル層(図示せず)を電解めっきで形成してもよい。
【0054】
次の工程では、図5(I)に示すように、マスクとして使用済みのドライフィルムレジストを水酸化ナトリウム(NaOH)溶液等のレジスト剥離液を用いて剥離し、除去する。その結果、ウエハ11上に形成した配線層14の表面にビア・ポスト18が立設した状態となる。さらに、電解めっき工程で給電層として使用し、露出した状態にある金属薄膜(Cr層22+Cu層23)をエッチングにより除去する。すなわち、Cuを溶解できるエッチング液により金属薄膜の上層部分のCu層23をまず溶解除去し、次いでCrを溶解可能なエッチング液により下層部分のCr層22を溶解除去する。これによって、図示のようにポリイミド膜13が露出する。
【0055】
なお、Cuを溶解するエッチング液を用いた時、配線層14を構成するCuも同様に溶解除去されて配線パターンが断線するように思われるけれども、実際にはかかる不都合は生じない。なぜならば、上述したように金属薄膜の上層部分はCuのスパッタリングにより形成されるためにその膜厚は数千Å程度の薄さであるのに対し、配線層14は、Cuの電解めっきにより形成されるため、その膜厚は十数μm程度の厚さであるからである。金属薄膜のCuは完全に除去されても、配線層14のCuはその表層部分のみが除去される程度であり、配線パターンが断線することについての心配は不要である。
【0056】
上記のようにしてポリイミド膜13を露出させた後、図3(B)のアルゴンイオンによる表面処理工程でそのポリイミド膜13の表面に形成されたグラファイト層を除去し、かつ失われた酸素及び窒素を補填するため、図5(J)に示すように、ウエハ11上で露出しているポリイミド膜13の表面に対し酸素(О2)及び窒素(N2)の混合ガスによりプラズマアッシング処理を行う。このプラズマアッシング処理によって、ポリイミド膜13の表面絶縁性を十分に回復させることができ、その際、ウエハ11上に電位差を生じさせることもない。
【0057】
本工程では、図6に模式的に示すようなプラズマアッシング処理装置を使用した。このプラズマアッシング処理装置30は、プラズマ発生室35と反応室31とが分離された構造のダウンフロー型アッシング処理装置である。反応室31は、その上方に円板状のガス拡散板34を備えるとともに、側壁部分には円筒状の拡散防止板33が配置されている。ウエハ11は、温度調整が可能なステージ32で回転可能に支持されている。
【0058】
プラズマアッシング処理装置30は、次のようにして運転する。まず、プラズマ発生室35の内部で酸素及び窒素の混合ガスをマイクロ波で励起して化学活性種を生じさせる。次いで、この化学活性種を、プラズマ発生室35の下流側にそれとは独立して設けられた反応室31に供給する。その際、プラズマ発生室35と反応室31を接続する接地されたガス流路のところで、化学活性種から荷電粒子を除去する。よって、化学活性種のみでウエハ11上のポリイミド膜をアッシング処理できる。なお、図示の装置では、化学活性種をウエハ11の上部中央に配置したガス拡散板34から、ウエハ11の中央部から周辺部に向かって放射状に混合ガスを流下させる構成を採用している。このような場合、もしも混合ガス中の活性種濃度が低いと、活性種は、ウエハ11の中央部で専ら消費され、周辺部では濃度が減少し、処理効果が低下してしまう。しかし、本発明では、混合ガス中の活性種濃度が最も高くなるように混合ガスの混合比を選択しているので、ウエハ11の中央部から周辺部まで均一な活性種分布を得ることができ、したがって、周辺部まで均一の速さで反応が進行し、満足し得る処理効果を得ることができる。
【0059】
引き続いて、図5(K)に示すように、ビア・ポスト18の付いた配線層(再配線層)14と露出した絶縁膜(ポリイミド膜)13を覆うようにして封止樹脂16で封止する。これは、例えば特開平10−79362号公報等に記載されているような公知な方法を用いて、以下のように行うことができる。先ず、上型と下型に分かれた封止金型を用意し、これを所定温度に加熱する。次いで、上型に樹脂フィルムを吸着させ、下型の凹部内にウエハ11を装着し、更にこの上に封止樹脂として密着力の高い熱硬化性樹脂を載置する。そして、封止金型の熱とプレスによる圧力で熱硬化性樹脂を溶融してウエハ全面に広げ、金型内で保持しながら熱硬化性樹脂を硬化させる。この後、金型からウエハ11を取り外す。この時、ウエハ11は樹脂フィルムと一体になっているので、この樹脂フィルムをウエハ11から引き剥がす。これによって、図示のように表面が封止樹脂層16で覆われ、かつビア・ポスト18の頂上部が露出したウエハ11が得られる。
【0060】
最後の工程では、図5(L)に示すように、露出したビア・ポスト18の頂上部に外部接続端子としてのはんだボール17を配置し、リフローを行う。その結果、はんだボール17がビア・ポスト18上に強固に固定される。
【0061】
その後、ここでは図示しないが、封止樹脂層16と共にウエハ11をダイサー等により切断して個々の半導体装置(つまり半導体チップ)に分離する。
【0062】
また、上述の実施例では電極パッド12にアルミニウムを用いた場合について説明したが、電極パッド12の材料はアルミニウムに限定されないことはもちろんであり、例えば銅(Cu)を用いても同様の効果を奏することができる。
【0063】
さらに、上述の実施例では再配線層14上にビア・ポスト18を備えたCSP構造の半導体装置について説明したが、本発明は、かかるビア・ポストを持たない半導体装置にも適用可能であることはもちろんである。このようなビア・ポストを持たない半導体装置は、例えば、次のようにして製造することができる。先ず、上述した製造工程において再配線層を形成した段階で、露出している金属薄膜を除去する。その後、ポリイミド膜と再配線層を覆うように封止樹脂層を例えばポッティングにより形成する。次いで、封止樹脂層において再配線層の端子形成部分に対応する領域にレーザ等によりビア・ホールを形成する。さらに、形成したビア・ホール内に外部接続端子としてのはんだボールを配置し、リフローを行ってはんだボールを再配線層上に固定する。
【0064】
このような製造工程を経た場合には、ポリイミド膜の絶縁抵抗を回復させるためのプラズマアッシング処理は、露出している金属薄膜を除去した後の段階で行うことになる。なお、かかる製造工程において、封止樹脂層を形成する代わりに、ソルダレジスト層を形成してもよい。この場合、ソルダレジスト層は、スクリーン印刷によりはんだボール接合部が開口するようにソルダレジストを塗布するか、あるいは、感光性のソルダレジストを塗布して露光及び現像により当該レジストのパターニングを行うことにより、形成することができる。
【0065】
また、上述の実施例では外部接続端子としてはんだボールを使用したけれども、外部接続端子の形態はこれに限定されない。すなわち、常用のボンディングワイヤなどを外部接続端子として使用してもよい。この場合には、先ず、前述した製造工程においてビア・ポスト形成用の感光性レジストを適用した段階で、再配線層の端子形成部分にワイヤボンディング技術を用いて金(Au)のワイヤで外部接続端子を接着し、更に金属薄膜から給電してワイヤの表面にニッケル−コバルト(Ni−Co)の合金めっきを行う。そして、不用となったレジストを除去した後、露出している金属薄膜を除去する。
【0066】
このような製造工程を経た場合には、ポリイミド膜の絶縁抵抗を回復させるためのプラズマアッシング処理は、露出している金属薄膜を除去した後の段階で行うことになる。
プラズマアッシング処理の考察:
次いで、酸素及び窒素の混合ガスの組成が処理効果に及ぼす影響を考察するため、図6に示したダウンフロー型のプラズマアッシャーに混合ガスを500sccmの流量で導入してプラズマアッシング処理を行った。混合ガスは、図7に示すように、0〜100体積%の範囲でN2ガス混合比を変更した。反応室のステージ−上に載置したサンプルは、ポリイミド膜付きのシリコンウエハ上にCuの再配線をライン幅30μm及びスペース幅30μmでくし型パターンで形成したものであり、処理前のポリイミド膜の絶縁抵抗は、約3×103Ωであった。反応室の圧力は100Pa、処理温度は60℃、処理時間は60秒、そしてマイクロ波出力は1000Wであった。
【0067】
60秒間のアッシング処理が完了した後、ウエハを反応室から取り出し、ポリイミド膜の絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗計は、ADBANTEST R8340(印加電圧20V)であった。図7は、得られた測定結果(絶縁抵抗)をプロットしたものである。これらの測定結果から理解されるように、酸素あるいは窒素の単独のみからなる処理ガスの使用では短時間のプラズマアッシング処理を行ってもポリイミド膜において絶縁抵抗の顕著な増加は望めない。それとは対照的に、本発明に従い酸素及び窒素の混合ガスによりプラズマアッシング処理を行った場合、短い処理時間でもポリイミド膜の絶縁抵抗を十分に高めることができ、デバイスのダメージを引き起こすこともなかった。また、図7の測定結果は、混合ガス中における窒素の含有量は、その混合ガスの全量を基準にして約5〜50体積%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは約5〜30体積%の範囲であり、最も好ましくは約15〜25体積%の範囲であることを示している。
【0068】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明によれば、半導体基板を覆う有機絶縁層の十分な絶縁性を回復し、維持する一方で、基板上の電極パッド等とこれに接続される配線との間に良好な電気的接続を確保することができ、しかも半導体装置の機能破壊、電気的特性の変動を生じない半導体装置、特にCSP構造の半導体装置が提供できる。
【0069】
本発明によれば、表面電位差により破壊しやすい微細配線プロセスを用いた半導体装置(特に配線幅が0.18μm以下、アナログデバイスなど)の製造において、絶縁膜として使用したポリイミド膜上に再配線層をスパッタリングによって有利に実施することができる。すなわち、半導体基板上に先に形成したアルミニウム電極パッド表面の自然酸化膜(アルミニウム酸化膜)をアルゴンイオン処理によって完全に除去した後にポリイミド膜の絶縁性回復が行えるので、電極パッドと再配線層の良好な電気的接続を確保し、なおかつチャ−ジングダメージの発生も防止できる。
【0070】
また、本発明によれば、このような高性能な半導体装置を簡単な手法で歩留まりよく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による半導体装置の好ましい一例を示した斜視図である。
【図2】図1に示した半導体装置の層構成を示した断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の好ましい一例の製造工程(その1)を順を追って示した断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の好ましい一例の製造工程(その2)を順を追って示した断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の好ましい一例の製造工程(その3)を順を追って示した断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造工程で有利の使用できるプラズマアッシング装置の一例を示した模式図である。
【図7】ウエハにおける絶縁抵抗のN2ガス混合比依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…半導体基板
2…金属層
3…有機絶縁層
4…再配線層
5…バリヤメタル層
6…封止樹脂層
7…はんだボール
10…半導体装置
Claims (6)
- 金属層を予め定められたパターンで表面に有する半導体基板と、前記半導体基板を被覆するとともに前記金属層の一部を表面から露出させている有機絶縁層と、前記金属層及び前記有機絶縁層の上に形成された導体層とを含む半導体装置を製造する方法において、下記の工程:
半導体基板上に金属層を予め定められたパターンで形成し、
前記半導体基板をポリイミド、PBO、フェノールノボラック及びポリベンゾシクロブテンからなる群から選ばれた有機絶縁材料で被覆し、形成された有機絶縁層の表面から前記金属層の一部を露出させ、
前記半導体基板の表面に対してアルゴンイオンによる表面処理を行って前記金属層の表面から自然酸化膜を除去し、その後、
前記金属層及び前記有機絶縁層の上に導体層を形成し、そして
前記アルゴンイオンによる表面処理の間に前記有機絶縁層の表面に形成されたグラファイト層をプラズマアッシング処理によって除去すること
を含んでなること、及び
前記プラズマアッシング処理工程をプラズマ発生室と反応室とが分離された構造のダウンフロー型アッシング処理装置で行い、その際、前記プラズマ発生室内で酸素及び窒素の混合ガスをマイクロ波で励起して化学活性種を生じさせ、かつそれから荷電粒子を除去した後、前記プラズマ発生室の下流側にそれとは独立して設けられた前記反応室に前記化学活性種のみを供給し、その内部に配置された前記半導体基板を処理するとともに、前記酸素及び窒素の混合ガスにおいて、前記窒素の含有量が該混合ガスの全量を基準にして5〜30体積%の範囲とすること
を特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記金属層をアルミニウムから形成し、かつ前記有機絶縁層をポリイミドから形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
- アルゴンイオンによる表面処理工程が、アルゴン及び水素の混合ガスによるイオンミリング工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記アルゴン及び水素の混合ガスにおいて、前記水素の含有量が該混合ガスの全量を基準にした5〜33体積%の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記導体層を形成する工程において、スパッタリングにより全面にめっきベース膜としての金属薄膜を形成し、電解めっきにより前記金属薄膜の上に前記金属層と電気的に接続された配線層を形成した後、前記金属薄膜のうち前記配線層から露出している部分を除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記半導体基板上で一連の組立工程を終えた後の最終工程でチップサイズパッケージ構造を有する個々のチップにダイシングすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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