JP4297309B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロストリップアンテナを放射素子としたアンテナ装置であって、放射ビームの幅をその仕様に合わせて広範囲に可変設定することができ、例えば移動体通信における基地局用のアンテナとして好適な簡易な構成のアンテナ装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
マイクロストリップアンテナを放射素子としたアンテナ装置は、地導体板上に誘電体層を介して該地導体板と平行にマイクロストリップアンテナを形成した構造を有する。この種のアンテナ装置によれば、地導体板の幅(長さ)を広くすることにより、マイクロストリップアンテナ(放射素子)からの放射ビームの幅を狭くすること、換言すればそのビーム幅を絞り込むことができる。尚、上記放射ビームの幅は、その最大放射方向からその電波強度から3dB低下した方向までの角度として定義される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述した如く地導体板の幅を変えることによって可変し得る放射ビームの幅は、概略60°〜75°程度である。しかもビーム幅を狭めるべく地導体板の幅を広げると、これに伴ってアンテナ装置全体の形状が大型化することが否めない。逆に放射ビームの幅を広げるべく地導体板の幅を狭めると、放射特性の前後比(フロント・バック特性)が劣化すると言う問題が生じる。
【0004】
この点、ダイポールアンテナ等を放射素子として用いたアンテナ装置においては、その放射素子の後にリフレクタを配置することでその放射ビームの幅を制御している。しかしリフレクタによってビーム幅を絞ることはできるが、逆にリフレクタを用いない場合に比較して、そのビーム幅を広げることはできないと言う問題がある。またこの種のアンテナ装置においては、マイクロストリップアンテナが有する特徴、即ち、構成が簡単でコンパクトであり、安価で製作が容易、しかも軽量で半導体回路との同時集積化が容易である等の利点を活かすことができないと言う問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、マイクロストリップアンテナを放射素子としたアンテナ装置であって、放射ビームの幅をその使用に応じて広範囲に可変設定することができ、また放射ビームの最大放射方向も変位することができ、例えば移動体通信における基地局用のアンテナとして好適な簡易な構成のアンテナ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明に係るアンテナ装置は、地導体板上に第1の誘電体層を介して該地導体板と平行に設けられたマイクロストリップアンテナからなる放射素子、およびこの放射素子の上に第2の誘電体層を介して該放射素子と平行に設けられた導体板からなる無給電素子を備えた複数のアンテナ・ユニットを、第4の誘電体層を介して上下に積み重ねて配置してなり、
最下部に位置付けられるアンテナ・ユニットの前記地導体板の下に第3の誘電体層を介して該地導体板と平行に補助導体板を設け、更にこの補助導体板の両側部に該補助導体板と導通させて前記アンテナ・ユニットの放射素子の面に対して所定の角度をなしてリフレクタを設けたことを特徴としている。
【0010】
より具体的には前記リフレクタは、前記放射素子からの放射ビームの幅をその仕様に応じて決定するべく、その長さLと前記放射素子の面に対してなす角度θとが決定される(請求項)。また前記リフレクタの前記放射素子の面に対してなす角度θは、左右独立に非対称に設定されて前記放射素子からの放射ビームの最大放射方向が決定される(請求項)。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るマイクロストリップアンテナを放射素子として用いたアンテナ装置について説明する。
図1は本発明の第1の参考形態に係るアンテナ装置の概略構成を示すもので、(a)はその分解斜視図、(b)はその断面構造を模式的に示す図である。図において1は、マイクロストリップアンテナからなる放射素子であって、この放射素子1は平面状の地導体板2上に第1の誘電体層3を介して該地導体板2と平行に設けらている。また上記放射素子1の上には、第2の誘電体層4を介して該放射素子1と平行に導体板からなる無給電素子5が設けられている。この無給電素子5は、前記放射素子1よりも大きな面積を有するもので、主として前記放射素子1から放射される電波の帯域を広げる役割を担う。ちなみに上記第1の誘電体層3は、所定の誘電率を備えた繊維強化プラスチック(FRP;Fiber Reinforced Plastics)やPPE(Poly Phenyl Ether)等からなる。また第2の誘電体層4は、例えば空気層として実現されるが、FRPを用いて実現することも勿論可能である。
【0012】
この参考形態に係るアンテナ装置は、上述した如く地導体板2上に第1の誘電体層3を介して設けられたマイクロストリップアンテナからなる放射素子1と、この放射素子1よりも大きな導体板からなり該放射素子1上に第2の誘電体層4を介して設けられた無給電素子5とによりアンテナとしての基本単位をなすアンテナ・ユニットを構成して実現される。そして放射素子1に対して、例えば地導体板2の裏面側から同軸ケーブル6を介して給電して、該放射素子1から無給電素子5側の方向に向けて1.5GHz帯の電波を放射するものとなっている。
【0013】
さてこの第1の参考形態に係るアンテナ装置が特徴とするところは、基本的には上述したアンテナ・ユニットを備えて構成されるアンテナ装置において、特に前記地導体板2の両側部に該地導体2と電気的に導通するリフレクタ7を、前記放射素子1の放射面に対して所定の角度θをなして設けた点にある。このリフレクタ7は、例えば地導体板2の幅をその両側に延長させ、その両端部からそれぞれ長さLの端部領域を、放射素子1の面に対して角度θをなすように折り曲げることによって実現される。この角度θはアンテナ装置の仕様に応じて、特に要求されるビーム幅に応じて、+90゜〜−90°の範囲に設定される。
【0014】
かくしてこのようなリフレクタ7を備えたアンテナ装置によれば、該リフレクタ7のパラメータ(長さLと角度θ)を調整することで、後述するように該アンテナ装置から放射されるビームの幅を絞り込むことができることのみならず、該リフレクタ7を備えていない場合よりも広げることが可能となり、要求される仕様に応じたビーム幅で電波を放射し得るアンテナ装置を実現することが可能となる。しかも放射素子1としてマイクロストリップアンテナを用いているので、該マイクロストリップアンテナが備える特徴を十分に活かして、軽量でコンパクトなアンテナ装置を実現することが可能となる。
【0015】
図2は上述した如く構成されたアンテナ装置において、リフレクタ7の長さLを異ならせ、またその角度θをとを異ならせたときのビーム幅の変化を示す実験結果を示している。尚、実験に用いたアンテナ装置は、放射素子1が56mm×56mmの大きさの周波数15.GHzの電波を放射するマイクロストリップアンテナからなり、無給電素子5は74mm×74mmの大きさの導体板からなる。またFRPからなる第1の誘電体層3の厚みd1は1.5mmであり、また空気層からなる第2の誘電体層4の厚みd2は12mmである。そしてリフレクタ7については、その長さLが0mm(リフレクタなし),30mm,60mmのものを準備してその実験を行った。但し、角度θの(+)成分は、地導体板2からリフレクタ7を放射素子1側に向けて折り曲げたときの角度を示しており、(−)成分は逆側にリフレクタ7を折り曲げたときの角度を示している。
【0016】
この図2に示す実験結果から明らかなように、リフレクタ7がない場合(0mm)には、そのビーム幅は略67°であるが、リフレクタ7を設けた場合(30mm,60mm)には、そのビーム幅は略58°と大きく絞り込まれる。そして長さ30mmのリフレクタ7を(+)方向に折り曲げた場合、リフレクタ7を備えない場合のビーム幅までには至らないが、そのビーム角が徐々に広くなることが確認された。またリフレクタ7を(−)方向に折り曲げた場合にも、そのビーム幅が広くなることが確認された。
【0017】
また長さ60mmのリフレクタ7の場合には、該リフレクタ7を+30°に折り曲げたとき、そのビーム幅が略50°と最も狭くなり、その折り曲げ角度を大きくするに従って角度60°でビーム幅が略55°、更に折り曲げ角度90°でビーム幅が略65°となることが確認された。またこのリフレクタ7を逆向きに折り曲げた場合、−45°でそのビーム幅が略68°と大きくなり、更に折り曲げ角を−90°とした場合にはビーム幅が略70°と大きくなり、リフレクタ7を備えない場合よりも広がることが確認された。
【0018】
この実験結果から、地導体板2の両側部に或る長さLのリフレクタ7を設け、このリフレクタ7の放射素子1の面に対する角度θを可変することにより、そのビーム幅を略55°から70°の範囲で広範囲に可変し得ることが確認できた。しかもリフレクタ7を備えていない従来のアンテナ・ユニットにおけるビーム幅よりも、リフレクタ7を(−)方向に折り曲げることでそのビーム幅を広げ得ることも確認できた。また図2には示さないがリフレクタ7の長さLを長くする程、その角度θによるビーム幅の変化が大きくなることも確認された。
【0019】
ところで上記リフレクタ7については、例えば図3に示すように地導体板2から離して設けることも可能である。この図3は本発明の第2の参考形態に係るアンテナ装置を示すもので、(a)はその分解斜視図、(b)はその断面構造を模式的に示している。即ち、この第2の参考形態は、地導体板2の裏面側に第3の誘電体層8を介して該地導体板2と平行に補助導体板9を設け、この補助導体板9の両側部に該補助導体板9と導通させて前記放射素子1の面に対して所定の角度θをなしてリフレクタ7を設けて構成される。尚、上記補助導体板9は、例えば奉仕や素子1に給電する同軸ケーブル6の外被導体(シールド)を介して前記地導体板2と電気的に導通される。また第3の誘電体層8を空気層として実現することも勿論可能である。
【0020】
図4は、このようにしてリフレクタ7を地導体板2から離して設けた場合のリフレクタ7の長さLと、その折り曲げ角度θとを変化させた場合のビーム幅の変化特性を示している。尚、アンテナ・ユニットとしては第1の参考形態に示す実験に用いたものと同じものを用いた。またこのときの空気層(第3の誘電体層)を介する地導体板2と補助導体板9との距離d3は22mmとした。
【0021】
この図4に示されるように、リフレクタ7を地導体板2から離して設けると共に該リフレクタ7を折り曲げない場合(0°)には、先の参考形態のようにリフレクタ7を地導体板2に設けた場合に比較して、リフレクタ7の長さが30mmの場合にはビーム幅が略77°、リフレクタ7の長さが60mmの場合には略90°と拡がる。しかしリフレクタ7を(+)方向に折り曲げることによって、そのビーム幅が大幅に狭められ、また(−)方向に折り曲げることによってそのビーム幅が狭められる。そして長さ30mmのリフレクタ7においてはそのビーム幅を水平状態(0°)において略78°、60°に折り曲げたときに58°と広範囲に可変することができる。同様に長さ60mmのリフレクタ7を用いた場合には、リフレクタ7を水平状態(0°)にしたときにビーム幅を略90°と大きく設定し、60°に折り曲げたときには略54°と大きく絞り込むことができる。広範囲に可変することができることが示される。
【0022】
従ってこの実験結果から、リフレクタ7の長さLとその角度θとを調整することによって、放射素子1から放射される電波のビーム幅を、90°〜54°の範囲において広く可変設定し得ることが分かる。
また図5は長さ30mmのリフレクタ7と地導体板2との距離を変えながら、その角度θを変化させたときのビーム幅の変化を等高線で3次元的に表した実験結果を示している。この実験データに示されるように、リフレクタ7と地導体板2との距離を変えながらその角度θを変化させることによって、放射ビームの幅を50°〜110°(55°〜105°)の範囲で幅広く設定し得ることが明らかとなった。
【0023】
尚、ビーム幅は上述したリフレクタ7の長さLと角度θのみならず、放射素子1の大きさや地導体板2の大きさ、更には第1および第2の誘電体層3,4の厚みd1,d2にも関与して変化する。従って実際にアンテナ装置のビーム幅を設定する場合には、これらの幾つかのパラメータを考慮してリフレクタ7の長さLと角度θを設定するようにすれば良い。
【0024】
ところで上述した参考形態は、単一周波数の電波を放射するアンテナ装置としての基本的な構成を示すものであるが、複数のアンテナ・ユニットを上下に積み重ねて多周波数共用のアンテナ装置を実現することもできる。図6および図7にそれぞれ示すアンテナ装置は、前述したように地導体板2上に第1の誘電体層3を介して該地導体板2と平行に設けたマイクロストリップアンテナからなる放射素子1と、この放射素子1の上に第2の誘電体層4を介して該放射素子1と平行に導体板からなる無給電素子5を設けた構造のアンテナ・ユニットを基本単位として実現される。
【0025】
特に図6に示す第3の参考形態に係るアンテナ装置は、第1のアンテナ・ユニットAの上に第4の誘電体層11を介して第2のアンテナ・ユニットBを重ねて配置し、図1に示したアンテナ装置(第1の参考形態)と同様に、その下側のアンテナ・ユニットAの地導体板2にリフレクタ7を設けて構成される。また図7に示す第4の実施形態に係るアンテナ装置は、第1のアンテナ・ユニットAの上に第4の誘電体層11を介して第2のアンテナ・ユニットBを重ねて配置し、図3に示したアンテナ装置(第2の参考形態)と同様に、その下側のアンテナ・ユニットAの地導体板2に第3の誘電体層8を介して補助導体板9を設け、この補助導体板9の両側部に該補助導体板9と導通させてリフレクタ7を設けて構成される。
【0026】
ちなみにこれらのアンテナ装置は、アンテナ・ユニットAに比較してその上段のアンテナ・ユニットBの周波数が高く設定される。従ってアンテナ・ユニットBの放射素子1および無給電素子5は、下側のアンテナ・ユニットAの放射素子1および無給電素子5よりもそれぞれ小さく設定される。またアンテナ・ユニットBの地導体板2は、アンテナ・ユニットAの地導体板2と同じ大きさか、或いは小さく設定される。
【0027】
尚、図6に示すアンテナ装置においては、アンテナ・ユニットA,Bの各地導体板2は、同軸ケーブル6a,6bの各外被導体を介して電気的に導通され、またリフレクタ7とも導通される。しかし図7に示すアンテナ装置においては、例えばアンテナ・ユニットA,Bをそれぞれ給電する同軸ケーブル6a,6bの外被導体を、各アンテナ・ユニットA,Bの地導体板2と補助導体板9(リフレクタ7)との間でのみ導通させることで、ループが形成されないように配慮することが望ましい。具体的には、アンテナ・ユニットAの地導体板2と2本の同軸ケーブル6a,6bの各外被導体と補助導体板9との間で電流ループが形成されることがないように、例えばアンテナ・ユニットAの地導体板2と同軸ケーブル6bとの間の絶縁する等して、その一部を開放しておくようにしておけば良い。
【0028】
かくしてこのように構成されたアンテナ装置によれば、上下に重ね合わせられた2つ(複数)のアンテナ・ユニットA,Bはそれぞれ独立に給電されて動作して、各アンテナ・ユニットA,Bに設定された周波数の電波を放射する。従って上下に積層一体化された2つのアンテナ・ユニットA,Bからそれぞれ所定周波数の電波を得ることができるので、個々に2周波数共用型のアンテナ装置を実現することができる。
【0029】
しかもリフレクタ7が上記各アンテナ・ユニットA,Bに対してそれぞれ作用するので、各アンテナ・ユニットA,Bから放射される電波のビーム幅をそれぞれ可変設定することができる。また上述した構成であれば、リフレクタ7の長さLと角度θ、また地導体板2とリフレクタ7との距離を適切に設定することにより、各アンテナ・ユニットA,Bからそれぞれ放射される電波ビーム幅をそれぞれ独立に設定することも可能である。
【0030】
即ち、図5にX1,X2として示すように、リフレクタ7の長さLと角度θ(−45°)とを一定にしておいても、アンテナ・ユニットA,Bの各地導体板2とリフレクタ7との距離が異なれば、各アンテナ・ユニットA,Bのビーム角を異ならせることができる。この状態においてリフレクタ7の角度θを(−23°)に変更すれば、図5においてY1,Y2としてそのビーム幅を示すように、アンテナ・ユニットBのビーム幅を略一定に保ったまま、アンテナ・ユニットAのビーム幅を絞り込むことができる。また或いはリフレクタ7の長さLとその角度θとを一定に保ちながら、アンテナ・ユニットA,Bの積層間隔を変化させれば、これによって一方のアンテナ・ユニットA,Bのビーム幅だけを変化させることも可能となる。
【0031】
従ってリフレクタ7と地導体板2との距離、またはリフレクタ7の角度θを変化させることで、アンテナ・ユニットA,Bの各ビーム幅をそれぞれその仕様に応じたものに設定することができる。例えば1.5GHz帯のアンテナ・エレメントと2.0GHz帯のアンテナ・エレメントとを上下に積層配置した構造のアンテナ装置においてリフレクタ7の角度θを可変した場合、それぞれ独立した変化の傾向を示しながらも、図7に示すようにそのビーム幅を50°〜90°の範囲で可変設定し得ることが確認できた。そしてこのようにしてビーム幅を広範囲に設定可能なアンテナ装置によれば、例えば移動通信における基地局用のアンテナとして用いるに十分なビーム幅を確保し、軽量で小型のアンテナとして用いるに好適であることが確認できた。
【0032】
ところで上述したリフレクタ7の角度θについては、必ずしも左右対称に設定する必要はない。例えばリフレクタ7の片側の角度を90°に固定した状態において、他方のリフレクタ7の角度を変化させた場合、図9に示すようにそのビームの最大放射方向が変化することが確認された。この実験結果に示されるようにリフレクタ7を左右非対称に角度設定することにより、この実験例においてはその最大放射方向を最大略15°の範囲に変更することが可能であることが確認できた。このようにリフレクタ7の角度θを左右非対称に設定すれば、これによってアンテナ・エレメントから放射される電波の向きを、その放射面に直角な方向から変位させることができ、従ってアンテナ装置を物理的に固定したまま、電波の放射方向を変位させることが可能となる等の効果も奏せられる。
【0033】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば放射素子1を2点給電することにより、図10に模式的に示すようにマイクロストリップアンテナの放射面内に、互いに直交する向きに電流分布を生起して、該アンテナを偏波ダイバーシチアンテナとして機能させることも可能である。このようにして偏波ダイバーシチアンテナを構成する場合であっても、上述したリフレクタ7が前述した実施形態と同様に作用するので、その放射ビームの幅を効果的に可変することが可能となる。
【0034】
またリフレクタ7の角度θについては、予めその設計時にアンテナ仕様に応じて設定しても良いが、その設置時に調整するようにしても良い。またアクチュエータ機構を用いて、その使用形態に応じて適宜可変調整可能に設けることも可能である。また誘電体層8,11を空気層にて構成する場合には、これらの厚みを調整可能に設けることで、そのビーム幅を可変設定可能に設けることも可能である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明しように本発明によれば、マイクロストリップアンテナが有する特徴を有効に活かしながら、その裏面側にリフレクタを設けてその角度を調整すると言う簡易な構成により、その放射ビームの幅を広範囲に可変することの可能なアンテナ装置を実現することができる。しかも多周波数共用のアンテナ装置としたり、偏波ダイバーシチアンテナとして実現することも容易である。従ってアンテナ仕様に応じたビーム幅の放射特性を容易に設定可能な軽量・小型のアンテナ装置として実現することが容易なので、例えば移動通信における基地局用のアンテナとして実用的利点が高い等の効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の参考形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す分解斜視図とその断面構成図。
【図2】 図1に示すアンテナ装置におけるリフレクタの長さLおよび角度θとビーム幅との関係を示す図。
【図3】 本発明の第2の参考形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す分解斜視図とその断面構成図。
【図4】 図2に示すアンテナ装置におけるリフレクタの長さLおよび角度θとビーム幅との関係を示す図。
【図5】 図2に示すアンテナ装置におけるリフレクタの角度θおよび該リフレクタと地導体との距離によって変化するビーム幅を3次元的に等高線表示した図。
【図6】 本発明の第3の参考形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す断面図。
【図7】 本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す断面図。
【図8】 積み重ねて配置された周波数の異なる2つのアンテナ・ユニットに対するリフレクタの角度とそのビーム幅の関係を示す図。
【図9】 リフレクタの角度を左右非対称に設定したときのビームの最大放射方向の変位を示す図。
【図10】 マイクロストリップアンテナを2点給電して実現される偏波ダイバーシチの電流分布の方向を示す図。
【符号の説明】
1 放射素子(マイクロストリップアンテナ)
2 地導体板
3 第1の誘電体層
4 第2の誘電体層
5 無給電素子(導電板)
6 同軸ケーブル(給電線)
7 リフレクタ
8 第3の誘電体層
9 補助導体板
第4の誘電体層

Claims (3)

  1. 地導体板上に第1の誘電体層を介して該地導体板と平行に設けられたマイクロストリップアンテナからなる放射素子、およびこの放射素子の上に第2の誘電体層を介して該放射素子と平行に設けられた導体板からなる無給電素子を備えた複数のアンテナ・ユニットを、第4の誘電体層を介して上下に積み重ねて配置してなり、
    最下部に位置付けられるアンテナ・ユニットの前記地導体板の下に第3の誘電体層を介して該地導体板と平行に補助導体板を設け、更にこの補助導体板の両側部に該補助導体板と導通させて前記アンテナ・ユニットの放射素子の面に対して所定の角度をなしてリフレクタを設けたことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記リフレクタは、その長さLと前記放射素子の面に対してなす角度θとにより、前記放射素子からの放射ビームの幅を決定するものである請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記リフレクタは、前記放射素子の面に対してなす角度θを左右独立に設定されて、前記放射素子からの放射ビームの最大放射方向を決定するものである請求項1ないし2に記載のアンテナ装置。
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