JP2019195159A - Rf通信装置 - Google Patents

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Yosuke Okayama
陽介 岡山
大棟 加藤
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Abstract

【課題】RF通信装置において、発熱によるRF回路の処理性能の低下を抑制することができる技術を提供する。【解決手段】RF通信装置は、筐体と、筐体内に設けられるパッチアンテナと、RF回路と、を備える。パッチアンテナは、導電性及び熱伝導性を有する板状のエレメントと、エレメントと対向する範囲に配置される板状のグランド基板であって、エレメントに対向する第1面と、第1面と反対側の第2面とを有し、第1面の表面と第2面の表面には、導電性及び熱伝導性を有する層が形成されているグランド基板と、エレメントとグランド基板とを電気的に接続する給電部と、を備えている。RF回路は、RF通信の実行に伴って発熱する少なくとも1個の発熱性素子を含むとともに、第2面と対向する範囲に備えられ、グランド基板と電気的及び熱的に接続されている。【選択図】図7

Description

本明細書で開示する技術は、RFタグとの間でRF通信を実行可能なRF通信装置に関する。
RFタグに対して電波を放射することにより、RFタグへの情報の書き込み、RFタグからの情報の読み取り等を含むRF通信を実行可能なRF通信装置が知られている。このようなRF通信装置は、電波を放射及び受信するためのアンテナと、アンテナに電波を放射させることによってRF通信を実行するRF回路と、アンテナ及びRF回路を収容する筐体と、を備える。RF回路は、RF通信の実行に伴って発熱する発熱性素子を含む。そのため、従来、RF通信装置を使用してRF通信を実行することに伴い、RF回路が高温になることが知られている。
これに対し、特許文献1に開示する技術では、筐体のうち、アンテナ及びRF回路が収容される発熱部と、使用時にユーザによって把持される把持部とを離間させて設けることにより、使用中にユーザが高温になった発熱部に触れることの防止を図っている。
特開2016−62201号公報
しかしながら、RF回路は、高温になるとその処理性能が低下することも知られている。特許文献1の技術では、発熱によるRF回路の処理性能の低下を抑制することについては考慮されていない。
本明細書では、RF通信装置において、発熱によるRF回路の処理性能の低下を抑制することができる技術を提供する。
本明細書が開示するRF通信装置は、筐体と、前記筐体内に設けられるパッチアンテナと、前記筐体内に設けられ、前記パッチアンテナと電気的に接続され、前記パッチアンテナに電波を放射させることによってRF通信を実行するRF回路と、を備える。前記パッチアンテナは、導電性及び熱伝導性を有する板状のエレメントと、前記エレメントと対向する範囲に配置される板状のグランド基板であって、前記エレメントに対向する第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面の表面と前記第2面の表面には、導電性及び熱伝導性を有する層が形成されている、前記グランド基板と、導電性及び熱伝導性を有するとともに、前記エレメントと前記グランド基板とを電気的及び熱的に接続する給電部と、を備えている。前記RF回路は、前記RF通信の実行に伴って発熱する少なくとも1個の発熱性素子を含むとともに、前記第2面と対向する範囲に備えられ、前記グランド基板と電気的に接続されている。
上記の構成によると、グランド基板の第1面の表面及び第2面の表面には熱伝導性を有する層が形成されている。そのため、RF通信の実行に伴ってRF回路の発熱性素子が発熱する場合に、RF回路の熱を、RF回路に対向して配置されるグランド基板に放熱することができる。また、給電部及びエレメントも熱伝導性を有するため、RF回路からグランド基板に放熱された熱は、給電部を介してエレメントにも伝導する。このように、上記の構成によると、RF回路で発生した熱が、パッチアンテナ全体に放熱される。従って、上記の構成によると、RF通信装置において、発熱によるRF回路の処理性能の低下を抑制することができる。
前記筐体内に設けられるとともに、前記第1面と前記第2面とのうちの少なくとも一方に対向する範囲に配置されるヒートシンクをさらに備えればよい。
この構成によると、RF回路の熱を、パッチアンテナに加えてヒートシンクにも放熱することができる。この構成によると、発熱によるRF回路の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。
前記ヒートシンクは、前記第1面に対向する範囲に配置されるとともに、前記給電部及び前記エレメントに接触しないように配置されてもよい。
この構成によると、ヒートシンクは、エレメントと第1面との間の空間内に配置される。そのため、エレメントとグランド基板との間の空間を有効に利用することができ、RF通信装置全体を小型化し得る。
前記筐体内に設けられ、熱伝導性を有する熱伝導シートと、前記筐体内に設けられる内部部材と、をさらに備えてもよい。前記熱伝導シートの一端は、前記RF回路と前記エレメントとの間の範囲に配置され、前記熱伝導シートの他端は、前記RF回路と前記エレメントとの間の範囲から外側に伸びており、前記内部部材に接触していてもよい。
この構成によると、RF回路の熱を、熱伝導シート及び内部部材にも放熱することができる。この構成によると、発熱によるRF回路の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。
前記内部部材は、少なくとも1個の金属層を含む内部基板であってもよい。前記熱伝導シートの前記他端は、前記内部基板の一方の面に接触していてもよい。
一般的に金属は高い熱伝導性を発揮する。即ち、少なくとも1個の金属層を含む内部基板は比較的高い放熱性能を発揮し得る。そのため、この構成によると、発熱によるRF回路の処理性能の低下を適切に抑制することができる。また、特に、内部基板が、例えばRF回路とは別の制御回路を搭載した基板等である場合には、筐体内の他の用途の基板を放熱のために利用できるため、放熱のための専用の内部部材を設ける必要もない。
前記内部基板は、複数個の前記金属層と、前記複数個の金属層のそれぞれを熱的に接続する少なくとも1個のビアホールと、を備えてもよい。
この構成によると、内部基板に伝わった熱を、ビアホールを介して内部基板の複数個の金属層のそれぞれに伝導させることができるため、内部基板がより高い放熱性能を発揮することができる。
前記熱伝導シートは、前記RF回路と前記エレメントとが対向する方向を第1方向、前記第1方向に直交する方向を第2方向としたときに、前記第2方向の熱伝導率が、前記第1方向の熱伝導率より大きくてもよい。
この構成によると、熱伝導シートは、第1方向よりも第2方向により多くの熱を伝導させることができる。そのため、RF回路の熱のうち、より多くの熱を内部部材に向けて放熱させることができる。即ち、上記の構成によると、より高い放熱性能を実現することができる。
前記熱伝導シートの前記一端から前記他端までの間の厚み及び幅は均一であってもよい。
仮に、熱伝導シートに厚みの薄い場所や幅の狭い場所が形成されると、その箇所の伝熱性能が他に比べて低下し、その箇所で伝熱が滞ることにより、熱伝導シート全体の伝熱性能が低くなる可能性がある。これに対し、上記の構成によると、熱伝導シートの一端から他端までの間の厚み及び幅は均一であるため、伝熱性能が他に比べて低い箇所が形成されない。その結果、熱伝導シートが、一端から他端までの間で均一の伝熱性能を発揮することができる。熱伝導シートが高い伝熱性能を発揮することができる。
前記筐体内に設けられる板状のRF基板をさらに備えてもよい。前記RF基板は、前記第2面に対向する範囲に設けられる表側面と、前記表側面と反対側の裏側面と、を備えてもよい。前記RF回路は、前記表側面と前記裏側面とのうちの少なくとも一方に設けられていてもよい。
この構成によると、RF回路がRF基板に設けられる。筐体内においてRF回路を適切に固定することができる。
前記RF回路は、前記裏側面に配置され、前記表側面には配置されなくてもよい。
この構成によると、RF基板の表側面とグランド基板の第2面とを面接触させることができる。ここで言う「面接触」は、RF基板の表側面とグランド基板の第2面とを直接面接触させることと、RF基板の表側面とグランド基板の第2面との間に他部材を挟んだうえで面接触させることと、の双方を含む。RF基板の表側面とグランド基板の第2面とが面接触していれば、RF基板側からグランド基板側への伝熱性能も高くなる。そのため、この構成によると、高い放熱性能を発揮し得る。
さらに、RF通信装置は、前記筐体内に設けられ、熱伝導性を有する熱伝導シートと、熱伝導性を有するとともに、電気絶縁性を有する熱伝導材と、前記筐体内に設けられる内部部材と、をさらに備えてもよい。前記熱伝導材は、前記表側面に配置されてもよい。前記熱伝導シートの一端は、前記熱伝導材と前記第2面との間に配置され、前記熱伝導材と前記第2面との間に挟まれていてもよい。前記熱伝導シートの他端は、前記熱伝導材と前記第2面との間から外側に伸びており、前記内部部材に接触していてもよい。前記熱伝導材の熱伝導率は、前記熱伝導シートの熱伝導率よりも大きくてもよい。
この構成では、RF基板の表側面とグランド基板の第2面とは、熱伝導材及び熱伝導シートの一端を挟んだうえで面接触している。この構成による場合も、RF回路の熱を、熱伝導材を介して、熱伝導シート及び内部部材にも放熱することができる。さらに、この構成では、熱伝導材の熱伝導率は、熱伝導シートの熱伝導率よりも大きい。即ち、発熱源であるRF回路のより近くに配置される部材(即ち熱伝導材)が、より大きい熱伝導率を備えている。これにより、RF回路の近傍に熱伝導率が等しい複数の部材が配置される場合に比べて、RF回路の熱をより多く熱伝導材、熱伝導シート、及び、内部部材に放熱することができる。そのため、この構成によると、発熱によるRF回路の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。
前記RF回路は、前記第2面に配置されてもよい。
この構成によると、RF回路を搭載するための基板を別途設けずに済むため、その分のスペースを省略できる。そのため、RF通信装置を小型化し得る。
前記パッチアンテナは、前記グランド基板の端部に、前記エレメントに向けて突出するように設けられる反射板をさらに備えてもよい。
この構成によると、パッチアンテナが放射する電波の指向性を高めることができるとともに、パッチアンテナ全体の放熱性能を高めることができる。
前記エレメントの端部は、前記グランド基板に向けて曲げられていてもよい。
エレメント全体の長さ及び幅は、パッチアンテナの電波の放射性能に影響する。この点、上記の構成によると、エレメントの端部がグランド基板に向けて曲げられている。エレメント全体の長さ及び幅を維持しながら、グランド基板から見たエレメントの表面積を小さくすることができる。そのため、RF通信装置全体を小型化し得る。
第1実施例のRF通信装置10の概要を示す。 第1実施例のRFモジュール20の断面説明図を示す。 第2実施例のRFモジュール20の断面説明図を示す。 第3実施例のRFモジュール20の断面説明図を示す。 ヒートシンク60を備える場合と備えない場合の利得及び帯域幅を比較したグラフを示す。 第4実施例のRFモジュール20の断面説明図を示す。 第5実施例のRFモジュール20の断面説明図を示す。 第6実施例のRFモジュール20の断面説明図を示す。 第7実施例のRFモジュール20及び内部基板100の断面説明図を示す。 第8実施例のRFモジュール20及び内部基板100の断面説明図を示す。 第9実施例のRFモジュール20及び内部基板100の断面説明図を示す。 第10実施例のRFモジュール20及び内部基板100の断面説明図を示す。 第11実施例のRFモジュール20及び内部基板100の断面説明図を示す。
(第1実施例)
図1に示されるRF(Radio Frequency)通信装置10は、図示しないRFタグとの間でRF通信を実行可能な通信装置である。RF通信とは、電波(若しくは電磁場)を用いて、RFタグのデータを非接触で読み書きする通信のことである。本実施例のRF通信装置10は、電波を放射及び受信することでRF通信を行ういわゆる電波方式を採用する通信装置である。RF通信装置10は、作業者が携帯可能な可搬式の装置である。
図1に示すように、RF通信装置10は、筐体11と、筐体11内に設けられたRFモジュール20と、を有する。筐体11は、本体部11aと、把持部11bと、モジュール収容部11cとを有する。本体部11aは、RF通信装置10の本体部分を構成するケース部である。本体部11aには、図示しない制御基板等が収納される。本体部11aの上面には、様々な情報を表示するための表示部14が設けられている。また、本体部11aの両側面には操作ボタン15が設けられている。作業者は操作ボタン15を押すことによって様々な指示(例えばRFタグの読み取り指示)を入力することができる。
把持部11bは、本体部11aの下面に設けられたグリップ状部材である。作業者は、把持部11bを握ることによってRF通信装置10を把持することができる。また、把持部11bのうち、把持部11bを握った作業者が人差し指で操作可能な位置にも、操作ボタン16が設けられている。作業者は、操作ボタン16を押すことによっても、様々な指示(例えばRFタグの読み取り指示)を入力することができる。即ち、本実施例のRF通信装置10は、ガンタイプ型装置として利用可能である。
モジュール収容部11cは、本体部11aの上端部と連結されて設けられた部材であり、RF通信を実行するためのRFモジュール20を収容するための部材である。モジュール収容部11cは、本体部11aの下面側に延びるように設けられている。
続いて、図2を参照して、本実施例のRFモジュール20の構成を説明する。RFモジュール20は、周囲のRFタグ(図示しない)との間でRF通信を実行するための通信モジュールである。RFモジュール20は、パッチアンテナ22と、RF基板24と、を備える。RF基板24には、RF回路26が設けられている。
パッチアンテナ22は、RF基板24に設けられたRF回路26の指示に従って、RF通信のための電波を放射及び受信するためのアンテナである。パッチアンテナ22は、マイクロストリップアンテナと呼ばれる場合もある。パッチアンテナ22は、グランド基板30と、給電部40と、エレメント50とを備える。グランド基板30とエレメント50は互いに平行に配置されている。給電部40は、グランド基板30とエレメント50とを電気的に接続する。
グランド基板30は、パッチアンテナ22のマイナス側の導体板である。グランド基板30は地板とも呼ばれる。図2に示すようにグランド基板30は、樹脂層31と、樹脂層31の両面に設けられた第1金属層32及び第2金属層34とを備えている。
樹脂層31は、電気絶縁性を有する樹脂製の層である。第1金属層32は、樹脂層31のうちのエレメント50と対向する側の面を覆うように設けられている金属製の層である。第2金属層34は、樹脂層31のうちのエレメント50と反対側の面を覆うように設けられている金属製の層である。グランド基板30のうち、第1金属層32が設けられた側の面と、第2金属層34が設けられた側の面とを、それぞれ「第1面」、「第2面」と呼んでもよい。本実施例では第1金属層32及び第2金属層34は、導電性及び熱伝導性を有する金属(例えばCu、Al等)製であるが、他の例では、第1金属層32及び第2金属層34に代えて、導電性及び熱伝導性を有するその他の素材製の層が設けられていてもよい。
樹脂層31の内部には、複数個のピラー36が設けられている。各ピラー36は、円筒状に構成された金属製の部材であり、一端が第1金属層32に接続され、他端が第2金属層34に接続されている。即ち、ピラー36によって、第1金属層32と第2金属層34とが電気的及び熱的に接続される。本実施例ではピラー36も熱伝導性を有する金属(例えばCu、Al等)製であるが、他の例では、ピラー36は、熱伝導性を有するその他の素材によって形成されていてもよい。
また、樹脂層31の内部には給電回路37が形成されている。給電回路37は、給電部40と、第2金属層34の表面に設けられたコネクタ38とを電気的に接続している。
給電部40は、金属製の柱状部材である。給電部40の一端部は、グランド基板30の第1金属層32に固定されているとともに、給電回路37と電気的に接続されている。給電部40の他端部は、エレメント50と電気的に接続されている。これにより、給電部40と第1金属層32、及び、給電部40とエレメント50が熱的にも接続される。本実施例では給電部40は、導電性及び熱伝導性を有する金属(例えばCu、Al等)製であるが、他の例では、導電性及び熱伝導性を有するその他の素材によって形成されていてもよい。
エレメント50は、金属製の板状部材である。エレメント50は、パッチとも呼ばれる部材であり、電波を放射及び受信するための部材である。上記の通り、エレメント50は、グランド基板30と並行に設けられている。
本実施例のパッチアンテナ22は、上記の構成を有する。そのため、グランド基板30と、給電部40と、エレメント50とは、コネクタ38、給電回路37、給電部40、及び、エレメント50、を介して電気的に接続されている。また、グランド基板30と、給電部40と、エレメント50とは、第2金属層34、ピラー36、第1金属層32、給電部40、及び、エレメント50、を介して熱的にも接続されている。
図2に示すように、本実施例では、パッチアンテナ22のアンテナ高さ(この場合、グランド基板30の第1金属層32の表面と、エレメント50の表面(図中右側の面)との間の距離)はL1である。L1は例えば17.78mmである。後で説明するように、アンテナ高さは、パッチアンテナ22の利得及び帯域幅に影響を与える(図5参照)。
RF基板24は、樹脂製の基板である。RF基板24は、グランド基板30に対向する側の表側面24aと、表側面24aと反対側の面である裏側面24bと、を有する。本実施例では、RF回路26は、RF基板24の裏側面24bにのみ設けられ、表側面24aには設けられていない。RF基板24の表側面24aは、熱伝導性を有するとともに、電気絶縁性を有する素材製(例えば樹脂、ゴム等)の熱伝導材25を介して、パッチアンテナ22の第2金属層34の表面に貼りあわされている。即ち、RF基板24の表側面24aは、熱伝導材25を介して、第2金属層34の表面と面接触している。
一方、RF基板24の裏側面24bには、RF回路26が設けられている。RF回路26は、パッチアンテナ22と電気的に接続され、パッチアンテナ22に電波を放射させることによってRF通信を実行するための回路である。RF回路26は、RF通信の実行に伴って発熱する複数個の発熱性素子(例えばパワーデバイス)28を含む。
RF基板24の裏側面24bには、さらに、RF回路26と電気的に接続されているコネクタ29が設けられている。図2に示すように、RF基板24に設けられたコネクタ29と、パッチアンテナ22のコネクタ38とは配線39を介して電気的に接続されている。これにより、RF回路26とパッチアンテナ22とが電気的に接続される。RF回路26は、パッチアンテナ22に電波を放射させることによってRF通信を実行することができる。
上記のようにRF通信が実行されることに伴い、RF回路26の各発熱体素子28が発熱する。RF回路26の熱は、RF基板24及び熱伝導材25を介して、パッチアンテナ22の第2金属層34に伝わる。第2金属層34に伝わった熱は、ピラー36、第1金属層32、給電部40、及び、エレメント50にも伝わる。即ち、本実施例によると、RF回路26の熱は、RF基板24及び熱伝導材25を介して、パッチアンテナ22全体に放熱される。従って、本実施例によると、RF通信装置10において、発熱によるRF回路26の処理性能の低下が効果的に抑制される。
また、本実施例では、RF回路26は、RF基板24に設けられる。筐体11内においてRF回路26を適切に固定することができる。
さらに、本実施例では、RF回路26は、RF基板24の裏側面24bにのみ設けられ、RF基板24の表側面24aには設けられていない。そのため、RF基板24の表側面24aとグランド基板30の第2金属層34とを、熱伝導材25を介して面接触させることができる。RF基板24の表側面24aとグランド基板30の第2金属層34とが面接触していれば、RF基板24側からグランド基板30側への伝熱性能も高くなる。そのため、高い放熱性能を発揮し得る。
本実施例のグランド基板30のうち、第1金属層32が設けられた側の面と、第2金属層34が設けられた側の面とが、それぞれ「第1面」、「第2面」の一例である。
(第2実施例)
図3を参照して、第2実施例について、上記の第1実施例と異なる点を中心に説明する。第2実施例のRF通信装置10も、その基本的構成は第1実施例と共通する(図1参照)が、図3に示すように、RFモジュール20の構成の一部が第1実施例とは異なる。図3では、第1実施例と共通の要素は図2中の符号と共通の符号を用いて示している。そして、第1実施例と共通の要素についての詳しい説明は省略する。
図3に示すように、本実施例のRFモジュール20では、RF回路26は、パッチアンテナ22のグランド基板30の第2金属層34の表面に直接設けられている。即ち、本実施例のRFモジュール20ではRF基板24、熱伝導材25、コネクタ29、コネクタ38、及び、配線39が省略されている。RF回路26は、第2金属層34を介して給電回路37と電気的に接続されている。これにより、RF回路26とパッチアンテナ22とが電気的に接続されている。RF回路26は、パッチアンテナ22に電波を放射させることによってRF通信を実行することができる。
本実施例では、RF通信の実行に伴って発生したRF回路26の熱は、RF回路26が設けられている第2金属層34に直接伝わる。そして、第2金属層34に伝わった熱は、ピラー36、第1金属層32、給電部40、及び、エレメント50に伝わる。即ち、本実施例でも、RF回路26の熱はパッチアンテナ22全体に放熱される。従って、本実施例による場合も、RF通信装置10において、発熱によるRF回路26の処理性能の低下が効果的に抑制される。
また、本実施例によると、RF回路26を搭載するためのRF基板を別途設けずに済むため、その分のスペースを省略できる。そのため、RFモジュール20及びRF通信装置10を小型化し得る。
(第3実施例)
図4に示す第3実施例は、上記の第1実施例(図2参照)の変形態様の一つである。本実施例でも、RFモジュール20の構成の一部が第1実施例とは異なる。具体的には、図4に示すように、ヒートシンク60が設けられている点が第1実施例とは異なる。なお、図4でも、上記の各実施例と共通の要素は上記各図と共通の符号を用いて示している。また、上記の各実施例と共通の要素についての詳しい説明は省略する。
ヒートシンク60は、熱伝導性の高い金属(例えばAl等)によって形成された放熱部材である。ヒートシンク60は、熱伝導材64を介して、パッチアンテナ22のグランド基板30の第1金属層32の表面に貼りあわされている。熱伝導材64は、熱伝導材25と同材質の部材である。ヒートシンク60及び熱伝導材64には、給電部40と接触しないように空間62、66が形成されている。即ち、本実施例では、ヒートシンク60は、エレメント50とグランド基板30との間の空間内に配置されているが、給電部40及びエレメント50には接触しないように設けられている。
本実施例では、パッチアンテナ22のアンテナ高さ(この場合、ヒートシンク60の先端部(図中右側)からエレメント50の表面(図中右側の面)との間の距離)はL2である。L2は例えば12.78mmであり、第1実施例のアンテナ高さL1(図2参照。L1は例えば17.78mm)よりも低い。
上記の通り、アンテナ高さは、パッチアンテナ22の利得及び帯域幅に影響を与える。図5は、ヒートシンク60を備える場合(第1実施例。図2参照)と備えない場合(第3実施例。図4参照)の利得及び帯域幅を比較したグラフを示す。利得は、電波を放射する際の効率を示し、値が大きい方が利得が大きい(即ち高効率である)ことを意味する。帯域幅は、放射可能な電波の帯域の幅を示し、値が大きい(即ち広い)方が、放射可能な電波の帯域の幅が広いことを意味する。電波の放射に必要な帯域幅は約20MHzであり、それ以上の帯域幅が確保されていることが望ましい。
図5中の(a)に示すように、ヒートシンク60を備える場合と備えない場合の間で、利得にはほとんど差がない。また、(b)に示すように、電波方式のRF通信を行う際に用いられる920MHz帯において、ヒートシンク60を備えない場合の帯域幅は約45MHzであり、ヒートシンク60を備える場合の帯域幅は約40MHzである。ヒートシンク60を備える場合の帯域幅はヒートシンク60を備えない場合の帯域幅に比べて5MHz低いが、どちらの場合も、電波の放射に必要な帯域幅(約20MHz)を大きく上回っているため、電波の放射に支障はない。
このように、ヒートシンク60が設けられることによってアンテナ高さが多少低くなるが、アンテナ高さ(L2)を極端に低くしない限り、そのことがRF通信に伴う電波の放射性能に与える影響は少ない。
本実施例における熱の動きについて説明する。本実施例でも、RF回路26の各発熱体素子28が発熱すると、RF回路26の熱は、RF基板24及び熱伝導材25を介して、パッチアンテナ22の第2金属層34に伝わる。第2金属層34に伝わった熱は、ピラー36、第1金属層32、給電部40、及び、エレメント50にも伝わる。さらに、第1金属層32に伝わった熱が、熱伝導材64を介してヒートシンク60にも伝わる。即ち、本実施例によると、RF回路26の熱は、パッチアンテナ22全体に放熱されるとともに、ヒートシンク60にも放熱される。本実施例によると、より高い放熱性能を実現することができる。本実施例によると、発熱によるRF回路26の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。
また、上記の通り、本実施例では、ヒートシンク60は、エレメント50とグランド基板30との間の空間内に配置され、給電部40及びエレメント50には接触しないように設けられている。そのため、エレメント50とグランド基板30との間の空間を有効に利用することができ、高い放熱性能を確保しつつ、RFモジュール20及びRF通信装置10全体を小型化し得る。また、上記のように、ヒートシンク60をこのような配置で設けた場合であっても、RF通信に伴う電波の放射性能に与える影響も少なく済む(図5参照)。
(第4実施例)
図6に示す第4実施例は、上記の第2実施例(図3参照)の変形態様の一つである。本実施例では、図6に示すように、第3実施例(図4参照)と同様のヒートシンク60が設けられている点が第2実施例とは異なる。なお、図6でも、上記の各実施例と共通の要素は上記各図と共通の符号を用いて示している。また、上記の各実施例と共通の要素についての詳しい説明は省略する。
本実施例でも、ヒートシンク60は、熱伝導材64を介して、パッチアンテナ22のグランド基板30の第1金属層32の表面に貼りあわされている。ヒートシンク60及び熱伝導材64には、給電部40と接触しないように空間62、66が形成されている。これにより、ヒートシンク60は、エレメント50とグランド基板30との間の空間内に配置されているが、給電部40及びエレメント50には接触しない。
本実施例では、パッチアンテナ22のアンテナ高さ(この場合、ヒートシンク60の先端部(図中右側)からエレメント50の表面(図中右側の面)との間の距離)はL2である。L2は例えば12.78mmであり、第1実施例のアンテナ高さL1(図2参照。L1は例えば17.78mm)よりも低い。ただし、上記の通り、ヒートシンク60が設けられることによってアンテナ高さが低くなるが、この程度のアンテナ高さの低下がRF通信に伴う電波の放射性能に与える影響は少なく済む(上記の図5参照)。
本実施例における熱の動きについて説明する。本実施例でも、RF回路26の各発熱体素子28が発熱すると、RF回路26の熱は、パッチアンテナ22の第2金属層34に直接伝わる。第2金属層34に伝わった熱は、ピラー36、第1金属層32、給電部40、及び、エレメント50にも伝わる。さらに、第1金属層32に伝わった熱が、熱伝導材64を介してヒートシンク60にも伝わる。即ち、本実施例によると、RF回路26の熱は、パッチアンテナ22全体に放熱されるとともに、ヒートシンク60にも放熱される。本実施例によると、より高い放熱性能を実現することができる。本実施例によると、発熱によるRF回路26の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。
また、上記の通り、本実施例でも、ヒートシンク60は、エレメント50とグランド基板30との間の空間内に配置され、給電部40及びエレメント50には接触しないように設けられている。そのため、エレメント50とグランド基板30との間の空間を有効に利用することができ、高い放熱性能を確保しつつ、RFモジュール20及びRF通信装置10全体を小型化し得る。また、上記のように、ヒートシンク60をこのような配置で設けた場合であっても、RF通信に伴う電波の放射性能に与える影響も少なく済む(図5参照)。
(第5実施例)
図7に示す第5実施例は、上記の第3実施例(図4参照)の変形態様の一つである。本実施例では、図7に示すように、グランド基板30の端部に、エレメント50に向けて突出するように設けられる反射板70がさらに設けられている点が第3実施例(図4参照)とは異なる。反射板70は、金属製の板材である。
反射板70が設けられることにより、パッチアンテナ22が放射する電波の指向性を高めることができる。即ち、反射板70によって電波が反射されることにより、横方向(図中の反射板70の上下方向)に電波が広がり難くなる。さらに、金属製の反射板70が設けられることにより、反射板70にも熱が伝わる。そのため、パッチアンテナ22全体の放熱性能も高めることもできる。
上記の通り、図7に示す本実施例は、第3実施例の変形態様である。これに限られず、本実施例で説明した反射板70を、第4実施例(図6参照)のグランド基板30の端部に設けるようにしてもよい。その場合も、本実施例と同様の作用効果を発揮することができる。
(第6実施例)
図8に示す第6実施例は、上記の第5実施例(図7参照)の変形態様の一つである。本実施例では、図8に示すように、エレメント50に、エレメント50の端部がグランド基板30に向けて折り曲げられた折り曲げ部80がさらに設けられている点が第5実施例(図7参照)とは異なる。
エレメント50全体の長さ及び幅は、パッチアンテナ22の電波の放射性能に影響する。この点、本実施例では、エレメント50に折り曲げ部80が設けられている。エレメント50全体の長さ及び幅を維持しながら、グランド基板30側から見たエレメントの表面積を小さくすることができる。そのため、RFモジュール20及びRF通信装置10全体を小型化し得る。
上記の通り、図7に示す本実施例は、第4実施例(図6参照)の変形態様である。これに限られず、第5実施例で説明した反射板70を第4実施例(図6参照)のグランド基板30の端部に設けるとともに、本実施例で説明した折り曲げ部80を第4実施例のエレメント50に設けるようにしてもよい。その場合も、本実施例と同様の作用効果を発揮することができる。
(第7実施例)
図9に示す第7実施例は、第1実施例(図2参照)の変形態様の一つである。ただし、図9の例では、RFモジュール20を図示する角度が図2とは異なる。そのため、図9では、グランド基板30のコネクタ38、RF基板24のコネクタ29、及び、配線39の図示が省略されているが、実際には、RF基板24及びグランド基板30は、図示されていない範囲において、コネクタ38、29及び配線39(図示しない)によって電気的に接続されている。また、図9では、給電回路37の形状も図2の例とは異なるが、この例でも、給電回路37は、コネクタ38(図示しない)と給電部40とを電気的に接続している。
本実施例では、RFモジュール20に加えて、熱伝導シート90と、内部基板100と、をさらに備える点が第1実施例とは異なる。熱伝導シート90は、熱伝導性を有するシート状部材である。熱伝導シート90の一端は、RF基板24の表側面24aに貼りあわされている熱伝導材25と、グランド基板30の第2金属層34と、の間に備えられ、熱伝導材25と第2金属層34とによって挟まれている。そして、熱伝導シート90の他端は、内部基板100の表面に設けられた金属層102に貼り付けられ、表面の金属層102と面接触している。
本実施例では、熱伝導シート90はグラファイト製のシート材である。そのため、本実施例の熱伝導シート90は、鉛直方向(垂直方向)と、鉛直方向に直交する沿面方向(水平方向)との間で、熱伝導率に差がある。熱伝導シート90の熱伝導性能に異方性があると言い換えてもよい。図9の例では、熱伝導シート90は、RF回路26とエレメント50が対向する方向(即ち図中の左右方向)を第1方向、第1方向に直交する方向(即ち図中の上下方向)を第2方向としたときに、第2方向の熱伝導率が、第1方向の熱伝導率よりも大きい。そのため、熱伝導材25から熱伝導シート90の一端に伝わった熱は、第2金属層34方向よりも、内部基板100方向により多く伝わる。
また、本実施例の熱伝導シート90は、一端から他端までの厚み及び幅が均一に形成されている。
内部基板100は、筐体11内に設けられる基板である。内部基板100は、例えば、RF回路26とは異なる別の制御回路を搭載した基板である。図9に示すように、内部基板100は、複数個の金属層102と、複数個の樹脂層104と、を有する。そして、内部基板100は、各金属層102間を電気的及び熱的に接続する複数個のビアホール106をさらに有している。各金属層102は、例えばCu等の導電性及び熱伝導性を有する金属製である。ビアホール106も、金属層102と同じ材料で形成されている。本実施例では、熱伝導シート90の他端側が、内部基板100の表面に露出した金属層102に貼り付けられている。
本実施例における熱の動きについて説明する。本実施例では、RF回路26の各発熱体素子28が発熱すると、RF回路26の熱は、RF基板24及び熱伝導材25を介して、熱伝導シート90の一端側に伝わる。熱伝導シート90の一端側に伝わった熱のうちの多くの部分は、第2方向に沿って、内部基板100に向かって熱伝導シート90内を伝わる。そして、熱伝導シート90の一端側に伝わった熱のうちのより少ない一部が、第1方向(即ちグランド基板30に向かう方向)に沿って伝わり、パッチアンテナ22の第2金属層34に伝わる。第2金属層34に伝わった熱は、ピラー36、第1金属層32、給電部40、及び、エレメント50にも伝わる。一方、熱伝導シート90内を内部基板100に向かって伝わった熱は、熱伝導シート90の他端側が貼りあわされている内部基板100の表面に露出した金属層102に伝わる。そして、内部基板100の表面の金属層102に伝わった熱は、各ビアホール106を介して、各金属層102に伝わる。即ち、本実施例では、RF回路26の熱は、パッチアンテナ22全体に放熱されるとともに、熱伝導シート90及び内部基板100にも放熱される。
このように、本実施例では、上記のような熱伝導シート90及び内部基板100が備えられるため、RF回路26の熱を、熱伝導シート90及び内部基板100にも放熱することができる。そのため、本実施例によると、発熱によるRF回路26の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。
また、本実施例では、熱伝導シート90の上端が接触する内部基板100は、複数個の金属層102を備える。一般的に金属は高い熱伝導性を発揮するため、複数個の金属層102を備える内部基板100は、比較的高い放熱性能を発揮し得る。そのため、本実施例によると、発熱によるRF回路26の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。また、本実施例では、内部基板100は、RF回路26とは別の制御回路を搭載した基板である。即ち、筐体11内の他の用途の基板を放熱のために利用できるため、放熱のための専用の内部部材を設ける必要もない。
また、本実施例では、内部基板100は、各金属層102間を熱的に接続する複数個のビアホール106をさらに有している。そのため、内部基板100に伝わった熱を、ビアホール106を介して内部基板の複数個の金属層102のそれぞれに伝導させることができるため、内部基板100がより高い放熱性能を発揮することができる。
また、本実施例では、熱伝導シート90は、第2方向の熱伝導率が、第1方向の熱伝導率よりも大きい。そのため、熱伝導材25から熱伝導シート90の一端に伝わった熱は、第2金属層34方向よりも、内部基板100方向により多く伝わる。そのため、RF回路26の熱のうち、より多くの熱を内部基板100に向けて放熱させることができる。即ち、上記の構成によると、より高い放熱性能を実現することができる。
また、本実施例では、熱伝導シート90は、一端から他端までの厚み及び幅が均一に形成されている。仮に、熱伝導シート90に厚みの薄い場所や幅の狭い場所が形成されると、その箇所の伝熱性能が他に比べて低下し、その箇所で伝熱が滞ることにより、熱伝導シート90全体の伝熱性能が低くなる可能性がある。これに対し、本実施例では、熱伝導シート90の一端から他端までの間の厚み及び幅は均一であるため、伝熱性能が他に比べて低い箇所が形成されない。その結果、熱伝導シート90が、一端から他端までの間で均一の伝熱性能を発揮することができる。熱伝導シート90が高い伝熱性能を発揮することができる。
(第8実施例)
図10に示す第8実施例は、上記の第7実施例(図9参照)の変形態様の一つである。本実施例では、図10に示すように、RF回路26は、パッチアンテナ22のグランド基板30の第2金属層34の表面に直接設けられている点が第7実施例とは異なる。即ち、本実施例のRFモジュール20では、RF基板24、熱伝導材25、コネクタ29、コネクタ38、及び、配線39が省略されている。そして、本実施例では、熱伝導シート90の一端が、グランド基板30の第1金属層32のうち、RF回路26と対向する範囲に貼り付けられている点も第7実施例とは異なる。なお、図10に示すように、本実施例では、熱伝導シート90の一端には、給電部40と接触させないための孔92が開口されている。
本実施例でも、RF通信の実行に伴って発生したRF回路26の熱は、RF回路26が設けられている第2金属層34に直接伝わる。第2金属層34に伝わった熱のうちの一部は、ピラー36、第1金属層32を介して、給電部40及びエレメント50に伝わる。即ち、本実施例でも、RF回路26の熱はパッチアンテナ22全体に放熱される。そして、第2金属層34に伝わった熱のうちの他の一部は、熱伝導シート90の一端側に伝わる。熱伝導シート90の一端側に伝わった熱は、第2方向に沿って、内部基板100に向かって熱伝導シート90内を伝わる。熱伝導シート90内を内部基板100に向かって伝わった熱は、熱伝導シート90の他端側が貼りあわされている内部基板100の表面に露出した金属層102に伝わる。そして、内部基板100の表面の金属層102に伝わった熱は、各ビアホール106を介して、各金属層102に伝わる。即ち、本実施例でも、RF回路26の熱は、パッチアンテナ22全体に放熱されるとともに、熱伝導シート90及び内部基板100にも放熱される。従って、本実施例による場合も、RF通信装置10において、発熱によるRF回路26の処理性能の低下が効果的に抑制される。
また、本実施例によると、RF回路26を搭載するためのRF基板を別途設けずに済むため、その分のスペースを省略できる。そのため、RFモジュール20及びRF通信装置10を小型化し得る。
(第9実施例)
図11に示す第9実施例は、上記の第7実施例(図9参照)の変形態様の一つである。本実施例では、図11に示すように、グランド基板30の端部に、エレメント50に向けて突出するように設けられる反射板70がさらに設けられている点が第7実施例(図9参照)とは異なる。反射板70は、金属製の板材である。反射板70は、上記の第5実施例(図7参照)の反射板70と同様の部材である。
反射板70が設けられることにより、パッチアンテナ22が放射する電波の指向性を高めることができる。即ち、反射板70によって電波が反射されることにより、横方向(図中の反射板70の上下方向)に電波が広がり難くなる。さらに、金属製の反射板70が設けられることにより、反射板70にも熱が伝わる。そのため、パッチアンテナ22全体の放熱性能も高めることもできる。
上記の通り、図11に示す本実施例は、第7実施例の変形態様である。これに限られず、本実施例で説明した反射板70を、第8実施例(図10参照)のグランド基板30の端部のうち、熱伝導シート90と干渉しない範囲に設けるようにしてもよい。その場合も、本実施例に近い作用効果を発揮することができる。
(第10実施例)
図12に示す第10実施例は、上記の第9実施例(図11参照)の変形態様の一つである。本実施例では、本実施例では、図8に示すように、エレメント50に、エレメント50の端部がグランド基板30に向けて折り曲げられた折り曲げ部80がさらに設けられている点が第9実施例(図11参照)とは異なる。折り曲げ部80は、上記の第6実施例(図8参照)の折り曲げ部80と同様である。
本実施例では、エレメント50に折り曲げ部80が設けられているため、エレメント50全体の長さ及び幅を維持しながら、グランド基板30側から見たエレメントの表面積を小さくすることができる。そのため、RFモジュール20及びRF通信装置10全体を小型化し得る。
上記の通り、図12に示す本実施例は、第9実施例の変形態様である。これに限られず、本実施例で説明した反射板70を、第8実施例(図10参照)のグランド基板30の端部のうち、熱伝導シート90と干渉しない範囲に設けるとともに、本実施例で説明した折り曲げ部80を第8実施例のエレメント50に設けるようにしてもよい。その場合も、本実施例と同様の作用効果を発揮することができる。
(第11実施例)
図13に示す第11実施例は、第10実施例(図12参照)の変形態様の一つである。図13に示すように、本実施例では、ヒートシンク60が設けられている点が第10実施例(図12参照)とは異なる。ヒートシンク60は、熱伝導材64を介して、パッチアンテナ22のグランド基板30の第1金属層32の表面に貼りあわされている。本実施例のヒートシンク60及び熱伝導材64も、上記の第3実施例(図4参照)のヒートシンク60及び熱伝導材64と同様の部材である。
本実施例における熱の動きについて説明する。本実施例では、RF回路26の各発熱体素子28が発熱すると、RF回路26の熱は、RF基板24及び熱伝導材25を介して、熱伝導シート90の一端側に伝わる。熱伝導シート90の一端側に伝わった熱のうちの多くの部分は、第2方向に沿って、内部基板100に向かって熱伝導シート90内を伝わる。そして、熱伝導シート90の一端側に伝わった熱のうちのより少ない一部が、第1方向(即ちグランド基板30に向かう方向)に沿って伝わり、パッチアンテナ22の第2金属層34に伝わる。第2金属層34に伝わった熱は、ピラー36、第1金属層32、給電部40、及び、エレメント50にも伝わる。さらに、第1金属層32に伝わった熱が、熱伝導材64を介してヒートシンク60にも伝わる。一方、熱伝導シート90内を内部基板100に向かって伝わった熱は、熱伝導シート90の他端側が貼りあわされている内部基板100の表面に露出した金属層102に伝わる。そして、内部基板100の表面の金属層102に伝わった熱は、各ビアホール106を介して、各金属層102に伝わる。即ち、本実施例では、RF回路26の熱は、パッチアンテナ22全体に放熱されるとともに、ヒートシンク60、熱伝導シート90、及び、内部基板100にも放熱される。本実施例によると、発熱によるRF回路26の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。
また、本実施例でも、ヒートシンク60は、エレメント50とグランド基板30との間の空間内に配置され、給電部40及びエレメント50には接触しないように設けられている。そのため、エレメント50とグランド基板30との間の空間を有効に利用することができ、高い放熱性能を確保しつつ、RFモジュール20及びRF通信装置10全体を小型化し得る。また、ヒートシンク60をこのような配置で設けた場合であっても、RF通信に伴う電波の放射性能に与える影響も少なく済む(図5参照)。
(第12実施例)
第12実施例は、上記の第7実施例(図9)の変形態様の一つである。本実施例では、図9に示すように、RFモジュール20に加えて、熱伝導シート90と、内部基板100と、がさらに備えられている。そして、熱伝導シート90の一端は、RF基板24の表側面24aに貼りあわされている熱伝導材25と、グランド基板30の第2金属層34と、の間に備えられ、熱伝導材25と第2金属層34とによって挟まれている。熱伝導シート90の他端は、内部基板100の表面に設けられた金属層102に貼り付けられ、表面の金属層102と面接触している。本実施例では、熱伝導材25の熱伝導率(即ち第1方向の熱伝導率)は、熱伝導シート90の熱伝導率よりも大きい。ここで、熱伝導材25の熱伝導率との比較の対象とされる「熱伝導シート90の熱伝導率」とは、例えば、第1方向の熱伝導率と第2方向の熱伝導率とのうちの平均値であってもよいし、第1方向の熱伝導率と第2方向の熱伝導率とのうちの一方又は双方であってもよい。
このように、即ち、発熱源であるRF回路26のより近傍に配置される部材(即ち熱伝導材25)が、より大きい熱伝導率を備えている。これにより、RF回路26の近傍に熱伝導率が等しい複数の部材が配置される場合に比べて、RF回路26の熱をより多く熱伝導材25、熱伝導シート90、及び、内部部材100に放熱することができる。そのため、この構成によると、発熱によるRF回路26の処理性能の低下をより適切に抑制することができる。
また、本実施例は、第9実施例(図11)、第10実施例(図12)、第11実施例(図13)の変形態様としても適用することができる。
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
(変形例1)上記の各実施例のうち、RF基板24を備える実施例(第1、第3、第5、第6、第7、第9、第10、第11実施例)では、RF回路26は、RF基板24のうちの裏側面24bにのみ設けられ、表側面24aには設けられていない。これには限られず、RF回路26は、RF基板24のうちの表側面24aと裏側面24bの両面に亘って設けられていてもよい。この場合、RF基板24のうちの表側面24aに設けられたRF回路の上から、熱伝導材25、熱伝導シート90の一端等が貼り付けられてもよい。
(変形例2)上記の第7〜第11実施例では、内部基板100は、複数個の金属層102と、各金属層102間を電気的及び熱的に接続する複数個のビアホール106をさらに有している。これには限られず、ビアホール106は、各金属層102間を熱的に接続可能であれば、各金属層102間を電気的に接続していなくてもよい。また、他の例では、内部基板100のうちのビアホール106を省略してもよい。また、さらに他の例では、内部基板100は、1個の金属層102のみを備えていてもよい。
(変形例3)上記の第7〜第11実施例では、熱伝導シート90は、RF回路26とエレメント50が対向する方向を第1方向、第1方向に直交する方向を第2方向としたときに、第2方向の熱伝導率が第1方向の熱伝導率よりも大きい。これには限られず、熱伝導シート90は、第1方向の熱伝導率と第2方向の熱伝導率とが等しくてもよい。その場合、熱伝導シート90は、第1方向の熱伝導率と第2方向の熱伝導率とが等しい素材(例えばAl、Cu等の金属)で形成されていてもよい。
(変形例4)上記の第7〜第11実施例では、熱伝導シート90の他端は、内部基板100の表面に貼り付けられている。これには限られず、熱伝導シート90の他端は、筐体11内の他の任意の部材に接触していてもよい。一般的に言うと、熱伝導シートの他端は、RF回路とエレメントとの間の範囲から外側に伸びており、筐体内に設けられる内部部材に接触していればよい。
(変形例5)また、上記の第7〜第11実施例では、熱伝導シート90の他端は、筐体11の一部に接触していてもよい。この場合、熱伝導シート90の他端が接触する筐体11の一部は、作業者が把持する把持部11bから離れた箇所であることが好ましい。
(変形例6)上記の第3〜第6、第11実施例では、いずれも、ヒートシンク60は、ヒートシンク60は、熱伝導材64を介して、パッチアンテナ22のグランド基板30の第1金属層32の表面に貼りあわされている。これに限られず、ヒートシンクは、グランド基板30の第2金属層34側に設けられていてもよい。さらに他の例では、ヒートシンクは、グランド基板30の第1金属層32側と第2金属層34側の両方に設けられていてもよい。一般的にいうと、RF通信装置は、筐体内に設けられるとともに、第1面と第2面とのうちの少なくとも一方に対向する範囲に配置されるヒートシンクを備えていればよい。
(変形例7)上記の第6、第10、第11実施例では、いずれも、反射板70をグランド基板30の端部に設けるとともに、エレメント50に折り曲げ部80を設けている。これに限られず、エレメント50に折り曲げ部80を設ける一方で、反射板70を省略してもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:RF通信装置
11:筐体
11a:本体部
11b:把持部
11c:モジュール収容部
14:表示部
15:操作ボタン
16:操作ボタン
20:RFモジュール
22:パッチアンテナ
24:RF基板
24a:表側面
24b:裏側面
25:熱伝導材
26:RF回路
28:発熱体素子
29:コネクタ
30:グランド基板
31:樹脂層
32:第1金属層
34:第2金属層
36:ピラー
37:給電回路
38:コネクタ
39:配線
40:給電部
50:エレメント
60:ヒートシンク
62:空間
64:熱伝導材
66:空間
70:反射板
80:折り曲げ部
90:熱伝導シート
92:孔
100:内部基板
102:金属層
104:樹脂層
106:ビアホール

Claims (14)

  1. RF通信装置であって、
    筐体と、
    前記筐体内に設けられるパッチアンテナと、
    前記筐体内に設けられ、前記パッチアンテナと電気的に接続され、前記パッチアンテナに電波を放射させることによってRF通信を実行するRF回路と、
    を備え、
    前記パッチアンテナは、
    導電性及び熱伝導性を有する板状のエレメントと、
    前記エレメントと対向する範囲に配置される板状のグランド基板であって、前記エレメントに対向する第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第1面の表面と前記第2面の表面には、導電性及び熱伝導性を有する層が形成されている、前記グランド基板と、
    導電性及び熱伝導性を有するとともに、前記エレメントと前記グランド基板とを電気的及び熱的に接続する給電部と、
    を備えており、
    前記RF回路は、前記RF通信の実行に伴って発熱する少なくとも1個の発熱性素子を含むとともに、前記第2面と対向する範囲に備えられ、前記グランド基板と電気的に接続されている、
    RF通信装置。
  2. 前記筐体内に設けられるとともに、前記第1面と前記第2面とのうちの少なくとも一方に対向する範囲に配置されるヒートシンクをさらに備える、請求項1に記載のRF通信装置。
  3. 前記ヒートシンクは、前記第1面に対向する範囲に配置されるとともに、前記給電部及び前記エレメントに接触しないように配置される、請求項2に記載のRF通信装置。
  4. 前記筐体内に設けられ、熱伝導性を有する熱伝導シートと、
    前記筐体内に設けられる内部部材と、
    をさらに備え、
    前記熱伝導シートの一端は、前記RF回路と前記エレメントとの間の範囲に配置され、
    前記熱伝導シートの他端は、前記RF回路と前記エレメントとの間の範囲から外側に伸びており、前記内部部材に接触している、請求項1から3のいずれか一項に記載のRF通信装置。
  5. 前記内部部材は、少なくとも1個の金属層を含む内部基板であり、
    前記熱伝導シートの前記他端は、前記内部基板の一方の面に接触している、請求項4に記載のRF通信装置。
  6. 前記内部基板は、複数個の前記金属層と、前記複数個の金属層のそれぞれを熱的に接続する少なくとも1個のビアホールと、を備える、請求項5に記載のRF通信装置。
  7. 前記熱伝導シートは、前記RF回路と前記エレメントとが対向する方向を第1方向、前記第1方向に直交する方向を第2方向としたときに、前記第2方向の熱伝導率が、前記第1方向の熱伝導率より大きい、請求項4から6のいずれか一項に記載のRF通信装置。
  8. 前記熱伝導シートの前記一端から前記他端までの間の厚み及び幅は均一である、請求項4から7のいずれか一項に記載のRF通信装置。
  9. 前記筐体内に設けられる板状のRF基板をさらに備え、
    前記RF基板は、
    前記第2面に対向する範囲に設けられる表側面と、
    前記表面と反対側の裏側面と、を備え、
    前記RF回路は、前記表側面と前記裏側面とのうちの少なくとも一方に設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のRF通信装置。
  10. 前記RF回路は、前記裏側面に配置され、前記表側面には配置されない、請求項9に記載のRF通信装置。
  11. 前記筐体内に設けられ、熱伝導性を有する熱伝導シートと、
    熱伝導性を有するとともに、電気絶縁性を有する熱伝導材と、
    前記筐体内に設けられる内部部材と、
    をさらに備え、
    前記熱伝導材は、前記表側面に配置され、
    前記熱伝導シートの一端は、前記熱伝導材と前記第2面との間に配置され、前記熱伝導材と前記第2面との間に挟まれており、
    前記熱伝導シートの他端は、前記熱伝導材と前記第2面との間から外側に伸びており、前記内部部材に接触しており、
    前記熱伝導材の熱伝導率は、前記熱伝導シートの熱伝導率よりも大きい、
    請求項10に記載のRF通信装置。
  12. 前記RF回路は、前記第2面に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載のRF通信装置。
  13. 前記パッチアンテナは、前記グランド基板の端部に、前記エレメントに向けて突出するように設けられる反射板をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のRF通信装置。
  14. 前記エレメントの端部は、前記グランド基板に向けて曲げられている、請求項1から13のいずれか一項に記載のRF通信装置。
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