JP4296765B2 - 含フッ素粉体塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐ブロッキング性と高度の耐衝撃性を有する非ビニリデン系含フッ素粉体塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
架橋性官能基を有するフルオロオレフィンとビニルエーテルまたはビニルエステルとの共重合体を含有する溶剤可溶型硬化性フッ素樹脂塗料(例えば、特許文献1、特許文献2参照)は、耐食性、耐久性、汚れの落ち易さなどが優れた塗膜を与え、重防蝕用、建築用、工業用等の分野で近年広く使用されている。
しかし、溶剤塗料は使用時に環境に有機溶剤を放出するため環境汚染の一因にもなっており、年々深刻化する環境汚染問題に対応するため、フッ素樹脂系粉体塗料が着目されている。
【0003】
通常、粉体塗料は、あらかじめ粉砕された樹脂成分やその他の添加剤を配合した組成物を溶融混練し、その後、例えばハンマーミル等で粉砕して製造され、あるいは溶媒に溶解した状態で他の添加剤と混合した後、噴霧乾燥により製造される。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂を主成分とする粉体塗料は、その結晶性が高いため、200℃以上の高温で焼き付けることが必要であり、さらには、充分な光沢を有する塗膜が得られ難く、用途が制限されるという問題がある。
【0004】
また、架橋性官能基を有するフルオロオレフィンとビニルエーテルまたはビニルエステルとの共重合体を含有する粉体塗料の提案もある。(例えば、特許文献3参照)
ここにはこの共重合体のガラス転移温度(Tg)の記載はないが、Tgが40℃以下のものは、Tgが低くなればなるほど耐ブロッキング性が低下する。ここで、耐ブロッキング性とは、粉体塗料貯蔵時に粒子同士の融着を防ぐ性質を言う。また、粉体塗料製造時に低温で粉砕する必要があり、粉砕だけのために低温エネルギーを使用するのでコスト高になる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭59−102962号公報
【特許文献2】
特開昭61−57609号公報
【特許文献3】
特開平2−60968号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂を主原料とする粉体塗料は、粉砕時の粉砕のし易さ、得られた粉体の耐ブロッキング性に優れるが、従来より高度の耐衝撃性が要求される場合には、その要望に応えがたいという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意検討した結果、耐候性、耐蝕性に優れ、しかも室温で粉砕可能で、得られた粉体の耐ブロッキング性に優れ、更に従来より高度の耐衝撃性の要求に応えることのできる非ビニリデン系含フッ素粉体塗料を見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂と、Tgが10〜40℃の樹脂とを含有する含フッ素粉体塗料組成物にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の含フッ素粉体塗料組成物は、少なくとも、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂を含有する。
本発明における非ビニリデン系フッ素樹脂とは、フルオロオレフィン単位と、フルオロオレフィンと共重合可能な単量体単位を含み、好ましくは架橋性反応基を有するものであり、フルオロオレフィン単位の原料としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペンタフルオロプロピレンなどのようなものを使用でき、少量であればフッ化ビニリデンも使用できるが、フッ化ビニリデンを主体とする樹脂は除かれる。
【0009】
フルオロオレフィンと共重合可能な単量体としては、塗膜の耐候性を著しく損なわないものが使用され、通常、エチレン性不飽和化合物、例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、(イソ)ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(イソ)酪酸ビニル、吉草酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のアルキルカルボン酸とビニルアルコールのエステル類;安息香酸ビニルなどの芳香族カルボン酸とビニルアルコールのエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、(イソ)ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;、エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、(イソ)ブチルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類、エチレン、プロピレン、(イソ)ブチレン等のアルケン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができ、これらの単量体は、1種または2種以上を使用することができる。
【0010】
架橋性反応基としては、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、メルカプト基、グリシジル基、臭素、沃素等の活性ハロゲン、イソシアネート基、加水分解性シリル基等を挙げることができる。
非ビニリデン系フッ素樹脂への架橋性反応基の導入方法は、架橋性反応基を有する単量体を共重合せしめる方法、共重合体の一部を分解せしめる方法、共重合体の官能基に架橋性反応基を与える化合物を反応せしめる方法等を挙げることができる。
架橋性反応基を有する単量体としては、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、メルカプト基、グリシジル基、またはイソシアネート基、加水分解性シリル基を有する単量体を例示できる。
例えば水酸基を有する単量体として、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のヒドロキシアルキルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシプロピルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステル等のヒドロキシアルキルアリルエステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類等や、これらが部分的にフッ素置換された化合物等を挙げることができる。
【0011】
カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、ウンデシレン酸、(メタ)アクリル酸、カルボキシルアルキルアリルエーテル等を挙げることができる。
アミド基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等を挙げることができる。
アミノ基を有する単量体としては、例えば、アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等を挙げることができる。
【0012】
又、グリシジル基を有する単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等を挙げることができる。
イソシアネート基を有する単量体としては、例えば、ビニルイソシアネート、イソシアネートエチルアクリレート等を挙げることができる。
上記架橋部位を与える単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性から、ビニル系或いはアリル系の化合物が好ましく用いられる。
【0013】
非ビニリデン系フッ素樹脂の架橋性反応基と反応して架橋結合を形成する硬化剤としては、架橋部位が水酸基である場合は、硬化剤として、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基、等を有する化合物やメラミン樹脂が用いられる。
架橋部位がカルボキシル基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、グリシジル基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がアミノ基である場合は、硬化剤として、例えば、カルボキシル基、グリシジル基、イソシアネート基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がグリシジル基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドラジド基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がイソシアネート基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等を有する化合物が用いられる。
【0014】
イソシアネート基を有する化合物としては、ブロックイソシアネート化合物、例えば、イソホロンジソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物や、これらの二量体、三量体やトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性したポリイソシアネート化合物等のイソシアネート化合物のイソシアネート基をε−カプロラクタム、フェノール、ベンジルアルコール、メチルエチルケトンオキシム等のブロック化剤でブロックした化合物が挙げられる。
【0015】
カルボキシル基を有する化合物としては、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族二塩基酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物、酸価を有するポリエステル樹脂やアクリル樹脂等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、テレフタル酸ジグリシジルエステル、パラオキシ安息香酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアネート、スピログリコールジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、1,4−ビス−2’−ヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、スチレン・アリルアルコール共重合体、スピログリコール、水酸基価を有するポリエステルやアクリル樹脂等が挙げられる。
その他、ジシアンジアミド及びジシアンジアミド誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、二塩基酸ジヒドラジド、ジアミノジフェニルメタン、環状アミジン、ヒダントイン化合物等も用いられる。
【0016】
Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂は、フルオロオレフィンの種類、フルオロオレフィンと共重合する単量体の種類、架橋反応性官能基を有する単量体の種類及びこれらの組成比を適宜選択することにより得ることができる。
【0017】
本発明の含フッ素粉体塗料組成物は、更にTgが0〜40℃の樹脂をも含有する。この樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、非ビニリデン系フッ素樹脂などを用いることができる。
アクリル樹脂としてはメタクリル酸メチルと、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等との共重合体を例示できる。
ポリエステルは、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合体であり、カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸を主体とし、2,6−ナフタレンジカルボン酸、等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;脂環式ジカルボン酸等を例示できる。また、カルボン酸成分として、3価以上のカルボン酸を少量含んでもよい。
アルコール成分としては、2価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、3価アルコールとして、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールなどを例示でき、4価以上のアルコールを用いることもできる。
【0018】
非ビニリデン系フッ素樹脂としてはTgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂の場合と同様のフルオロオレフィン単位と、フルオロオレフィンと共重合可能な単量体単位からなるものを用いることができる。
【0019】
このTgが0〜40℃の樹脂は、架橋性反応基を有していなくてもよいが、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、メルカプト基、グリシジル基、イソシアネート基等の架橋性反応基を有していることが好ましい
この架橋性反応基の導入法としては、Tgが0〜40℃の樹脂が非ビニリデン系フッ素樹脂の場合は、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂で用いた架橋性反応基を有する単量体を共重合する方法を採用することができる。
Tgが0〜40℃の樹脂がアクリル樹脂の場合は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートを共重合する方法を採用できる。
このTgが0〜40℃の非ビニリデン系フッ素樹脂は、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂を硬化させる硬化剤で硬化可能であることが好ましい。
【0020】
上述のTgが0〜40℃の樹脂の中では、塗膜の耐候性、耐溶剤性、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂との相溶性の観点から、非ビニリデン系フッ素樹脂であることが好ましく、この非ビニリデン系フッ素樹脂が架橋性反応基を有するものであることがより好ましく、Tgが0〜40℃の非ビニリデン系フッ素樹脂が、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂を硬化させる硬化剤で硬化可能であることが塗膜の耐汚染性、耐溶剤性が更に向上することから、更に好ましい。
【0021】
Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂とTgが0〜40℃の樹脂を配合することにより、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂の有する特徴である粉砕時の粉砕のし易さ、得られた粉体の耐ブロッキング性、非ビニリデン系フッ素樹脂の特徴である耐候性、耐溶剤性、耐汚染性等を維持したまま、耐衝撃性を向上させることができる。
Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂/Tgが0〜40℃の樹脂の配合比率(質量比)は95/5〜30/70であることが好ましく、80/20〜50/50であることがより好ましい。この配合比率とすることにより、上記各特性をバランスよく高度に維持できる。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
なお、以下の合成例、実施例、比較例において、部、%は、他に規定のない限り、質量部、質量%を示す。
(合成例1)
内容積300mLのステンレス製攪拌機付き耐圧反応器(耐圧5.0MPa)に、キシレン100g、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)35g、エチルビニルエーテル(EVE)5g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)10g、炭酸カルシウム1g及びパーブチルパーピバレート(PBPV)0.07gを仕込み、液体窒素による固化・脱気により液中の溶存酸素を除去した。
次いで、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)50gを導入して徐々に昇温し、温度65℃に維持しながら反応を続けた。
10時間後、反応器を水冷して反応を停止した。この反応液を室温まで冷却した後、未反応モノマーをパージし、得られた反応液を珪藻土でろ過して固形物を除去して固形分濃度50%の含フッ素共重合体溶液を得た。この溶液からエバポレーターにてキシレン及び液状未反応モノマーを除去後、減圧乾燥することにより、Tg55℃の含フッ素共重合体A−1を得た。
【0023】
(合成例2〜5)
表1に記載のモノマー組成とした以外は合成例1と同様にして、含フッ素共重合体A−2〜5を得た。
【0024】
【表1】
【0025】
表1中、CTFE:クロロトリフルオロエチレン
VdF :フッ化ビニリデン
TFE :テトラフルオロエチレン
HFP :ヘキサフルオロプロピレン
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル
EVE :エチルビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
Veova10:アルキルビニルエステル
を示す。
【0026】
(合成例6)
内容積300mlのステンレス製攪拌機付き反応器に、キシレン100g、メチルメタクリレート(MMA)60g、n−ブチルメタクリレート(nBMA)30g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10g、パーブチルピバレート(PBPV)0.07gを仕込み、液体窒素による固化・脱気により液中の溶存酸素を除去した。
この溶液を昇温し、温度70℃に維持し、攪拌しながら反応を続けた。
5時間後、反応器を水冷して反応を停止した。この反応液を室温まで冷却して、固形分濃度約50%のアクリル共重合体溶液を得た。この溶液からエバポレーターにてキシレン及び未反応モノマーを除去後、減圧乾燥することにより、Tg15℃のアクリル共重合体A−6を得た。
【0027】
(合成例7)
表2に記載のモノマー組成とした以外は合成例6と同様にして、アクリル共重合体A−7を得た。
【0028】
【表2】
【0029】
(実施例1)
含フッ素共重合体A−1を50部、A−2を47部、、硬化剤としてアダクトB−1530(ヒュルス社製、ε−カプロラクタムブロックイソシアネート、固形分100%)を20部と、添加剤としてモダフロー(モンサント社製レベリング剤)0.5部、ベンゾイン0.5部、二酸化チタン30部、酸化安定剤としてトリデシルフォスファイト0.1部を高速ミキサーで混合し、120℃に加温した2軸押出機で溶融混練をおこなった。その後、ピンミルを用いて溶融混練物の粉砕を行い、180メッシュの篩で分級を行い、50%体積平均粒子径約40μmの粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料をリン酸亜鉛処理鋼板に静電塗装し、180℃のオーブン中で20分硬化させて塗膜を得た。
得られた塗膜について物性を評価した。その結果を表3に示す。
物性は以下のようにして評価した。
【0030】
<耐衝撃性>
デュポン衝撃(1/2インチ、加重1kg、高さ50cm)試験で、外観変化を調べた。
○:塗膜のわれ、はがれを全く認めない
△:塗膜のわれ、はがれが発生したものが一部に認められる
×:塗膜のわれ、はがれが発生したものが認められる
【0031】
<耐ブロッキング性>
40℃で7日間貯蔵した後の粉体塗料につき、以下の基準で評価した。
○:全く塊が見られない
△:塊があっても指でつかめない
×:指でつかむことのできる塊がある
【0032】
<耐候性>
サンシャインカーボンウェザーメータ3000時間後の、塗膜外観を目視で評価した。
○:塗膜の表面劣化がほとんど認められない
△:塗膜の表面劣化が認められる
×:著しい表面劣化、及びチョーキングが認められる
【0033】
<塗膜外観(平滑性)>
塗膜の表面状体(ブツの生成状況)を目視により評価した。
○:何ら異常が認められない
△:少しブツが認められる
×:相当量のブツが認められる
【0034】
<耐汚染性>
川崎市において、南向き45°で3ヶ月間屋外暴露した後の、塗膜の汚れを目視で評価した。
○:表面の汚れを拭き取りで簡単に除去可能
△:表面の汚れを洗浄により除去可能
×:表面に著しい汚れが付着し、洗浄しても除去できない
【0035】
また、上記と同様の組成物を、噴霧乾燥する代わりに、減圧乾燥し、溶融混練機で溶融混練後、放冷し、室温でハンマーミルにより粉砕したところ、容易に粉砕できた。
【0036】
(実施例2、3、比較例1、2、4)
表3に記載の成分を用いた以外は実施例1と同様にして粉体塗料(50%体積平均粒子径約40μm)を得、これらを用いた以外は実施例1と同様にして静電塗装して、得られた塗膜の物性を評価した。
【0037】
(実施例4、比較例3)
表3に記載の成分を用い実施例1と同様に溶融混練を行った後、液体窒素と共にピンミルを用いた冷凍粉砕を行い、粉体塗料(50%体積平均粒子径約30μm)を得、これらを用いた以外は実施例1と同様にして静電塗装して、得られた塗膜の物性を評価した。
これら結果を実施例1の結果とともに表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
以上から明らかなように、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂同士や、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂と、同様のアクリル樹脂を配合しても耐衝撃性は改善されず、Tgが40度以下の非ビニリデン系フッ素樹脂では耐ブロッキング性に劣るのに対し、本願発明のTgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂と、Tgが0〜40℃の樹脂とを含有する含フッ素粉体塗料組成物は、高度の耐衝撃性を備え、更に、耐ブロッキング性にも優れることがわかる。
特に、実施例1〜4のように、Tgが0〜40℃の樹脂が、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂を硬化させる硬化剤で硬化可能である場合は、耐衝撃性、耐ブロッキング性、耐候性、塗装外観、耐汚染性のいずれもが優れていることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、耐候性、耐蝕性に優れ、しかも室温で粉砕可能で、得られた粉体の耐ブロッキング性に優れ、更に従来より高度の耐衝撃性の要求に応えることのできる非ビニリデン系含フッ素粉体塗料を得ることができる。
Claims (4)
- Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂と、Tgが0〜40℃の樹脂とを含有する含フッ素粉体塗料組成物。
- 非ビニリデン系フッ素樹脂が架橋性反応基を有し、含フッ素粉体塗料組成物が該架橋性反応基と反応して架橋を形成しうる硬化剤を含有していることを特徴とする請求項1記載の含フッ素粉体塗料組成物。
- Tgが0〜40℃の樹脂が非ビニリデン系フッ素樹脂であることを特徴とする請求項2記載の含フッ素粉体塗料組成物。
- Tgが0〜40℃の非ビニリデン系フッ素樹脂が、Tgが40℃を超える非ビニリデン系フッ素樹脂を硬化させる硬化剤で硬化可能であることを特徴とする請求項3記載の含フッ素粉体塗料組成物。
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