JP4292773B2 - フッ素樹脂系艶消し塗料組成物 - Google Patents

フッ素樹脂系艶消し塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は艶消し塗膜を与えるフッ素樹脂系塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱硬化性フッ素樹脂系塗料は耐候性に優れ、この特徴から、橋梁、門扉、フェンス、家屋用サイディング材等の建築資材や、自動車の車体、家電製品に広く使用されている。
塗装された塗膜としては、美的観点から、光沢が要求される場合と、艶消しが要求される場合とがある。
特に近年、高級感を与えることから艶消し塗料への要望が高まってきている。
【0003】
粉体塗料では、従来、このような艶消し塗料を調製する方法としては、粒子の粗い顔料を多量に添加する方法や、ポリエステル粉体塗料とアクリル粉体塗料等互いに相溶し難い塗料同士をブレンドする方法が知られている。
【0004】
また、水酸基価が1200geq/10以上のポリエステルと水酸基価が200〜1000geq/10のポリエステル及びブロックドイソシアネート系硬化剤とからなり、かつ両ポリエステルのゲル化時間の差が3分以上である粉体塗料用樹脂組成物が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、酸価が1200geq/10以上の実質的にゲル化していないポリエステルA、酸価が200〜1000geq/10の実質的にゲル化していないポリエステルB及びトリグリシジルイソシアネート系硬化剤とからなり、両ポリエステルのゲル化時間の差が3分以上である粉体塗料用樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭64−1770号公報(第1頁左欄、第4行目から第14行目)
【特許文献2】
特開平4−214771号公報(第2頁左欄、第2行目から第9行目)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、粒子の粗い顔料を多量に添加する方法は、塗膜の平滑性や機械的強度が低下するという問題がある。2種類の塗料をブレンドする方法は、これをフッ素系塗料に適用する場合、これにブレンドする樹脂はフッ素樹脂に対して相溶性が低い樹脂である必要があり、従って非フッ素系樹脂から選ぶ必要がある。このため、ブレンド用樹脂の耐候性がフッ素樹脂に比べて劣るため、得られる艶消し塗料はこのブレンド樹脂に起因して耐候性の低いものにならざるを得ない。
特許文献1に記載の樹脂組成物も、特許文献2に記載の樹脂組成物も、艶消し効果を発現させるために一方のポリエステル樹脂の酸価または水酸基価を相当高くしているが、ポリエステルであるので、耐候性の低いものとならざるを得ない。さらに、2つの樹脂が同じ種類の官能基を有する場合、その艶消し効果は不充分となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意検討した結果、上記の欠点がなく、フッ素系樹脂の優れた耐候性等の特徴を損なわずに、艶消し効果に優れた塗膜が得られるフッ素樹脂系塗料組成物を見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明における第1の発明の要旨は、架橋部位aを有するフッ素樹脂と、aと異なる架橋部位bを有するフッ素樹脂と、1種以上の硬化剤との組み合わせからなり、該1種以上の硬化剤が架橋部位aと反応する硬化剤Haと架橋部位bと反応する硬化剤Hbとの組み合わせ、または架橋部位a、bのいずれとも反応する硬化剤Hであり、架橋部位aと硬化剤HaまたはHの反応速度と、架橋部位bと硬化剤HbまたはHの反応速度とが互いに異なることを特徴とするフッ素樹脂系艶消し塗料組成物にある。
【0009】
また、本発明における第2の発明の要旨は、架橋部位aを有するフッ素樹脂と、2種以上の硬化剤からなり、2種以上の硬化剤のうちの少なくとも1種の硬化剤の架橋部位aに対する反応速度が、他の硬化剤の架橋部位aに対する反応速度と異なることを特徴とするフッ素樹脂系艶消し塗料組成物にある。
【0010】
更に、本発明における第3の発明の要旨は、1つの分子内に2種以上の架橋部位を有するフッ素樹脂と、硬化剤との組み合わせからなり、該硬化剤が、該架橋部位の1つaと反応する硬化剤Haと、前記架橋部位aと異なる架橋部位bと反応する硬化剤Hbと、の組み合わせ、または架橋部位a、bのいずれとも反応する硬化剤Hを含み、架橋部位aと硬化剤HaまたはHの反応速度と、架橋部位bと硬化剤HbまたはHの反応速度とが互いに異なることを特徴とするフッ素樹脂系艶消し塗料組成物にある。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、フッ素樹脂は、フルオロオレフィン単位と架橋部位を有する単位を必須成分として含有する共重合体であり、フルオロオレフィン単位は、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペンタフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のようなものを使用でき、塗膜に要求される性状、共重合体成分、硬化剤との組み合わせによって適宜選択できる。また、このフルオロオレフィン単位は1種または2種以上を使用することができる。
【0012】
本発明において、架橋部位は硬化剤と反応して架橋構造をもたらす官能基部分をいい、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、メルカプト基、グリシジル基、臭素、沃素等の活性ハロゲン、イソシアネート基、加水分解性シリル器等が挙げられる。
非ビニリデン系フッ素樹脂への架橋部位の導入方法は、架橋部位を有する単量体を共重合せしめる方法、共重合体の一部を分解せしめる方法、共重合体の官能基に架橋部位を与える化合物を反応せしめる方法等を挙げることができる。
【0013】
架橋部位を有する単量体としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、メルカプト基、グリシジル基、またはイソシアネート基、加水分解性シリル器を有する単量体を例示できる。
例えば水酸基を有する単量体として、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のヒドロキシアルキルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシプロピルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステル等のヒドロキシアルキルアリルエステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類等や、これらが部分的にフッ素置換された化合物等を挙げることができる。
【0014】
カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、ウンデシレン酸、(メタ)アクリル酸、カルボキシルアルキルアリルエーテル等を挙げることができる。
アミド基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等を挙げることができる。
アミノ基を有する単量体としては、例えば、アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等を挙げることができる。
【0015】
又、グリシジル基を有する単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等を挙げることができる。
イソシアネート基を有する単量体としては、例えば、ビニルイソシアネート、イソシアネートエチルアクリレート等を挙げることができる。
上記架橋部位を与える単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性から、ビニル系或いはアリル系の化合物が好ましく用いられ、特に、ビニルエーテル系化合物が好ましい。
【0016】
本発明に用いるフッ素樹脂は、上記フルオロオレフィン単位と架橋部位を有する単位の他に、フッ素樹脂の融点またはガラス転移点を下げて、塗装作業性を向上させる、塗膜に適当な硬度、可撓性を付与する等の目的に応じ、上記2種の成分と共重合可能な単量体を共重合できる。
このような単量体としては、フルオロオレフィンと共重合可能であり、塗膜の耐候性を損なわないものが採用され、通常、エチレン性不飽和化合物、例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のアルキルカルボン酸とビニルアルコールのエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類;エチレン、プロピレン、ブチレン等のアルケン類等を挙げることができ、これらの単量体は、1種または2種以上を使用することができる。
【0017】
本発明で用いられる硬化剤としては、上記架橋部位と反応して架橋結合を形成する化合物が用いられる。
架橋部位が水酸基である場合は、硬化剤として、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基等を有する化合物やメラミン樹脂が用いられる。
架橋部位がカルボキシル基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、グリシジル基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がアミノ基である場合は、硬化剤として、例えば、カルボキシル基、グリシジル基、イソシアネート基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がグリシジル基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、ヒドラジド基等を有する化合物が用いられる。
架橋部位がイソシアネート基である場合は、硬化剤として、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等を有する化合物が用いられる。
【0018】
イソシアネート基を有する化合物としては、ブロックイソシアネート化合物、例えば、イソホロンジソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物や、これらの二量体、三量体やトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性したポリイソシアネート化合物等のイソシアネート化合物のイソシアネート基をε−カプロラクタム、フェノール、ベンジルアルコール、メチルエチルケトンオキシム等のブロック化剤でブロックした化合物が挙げられる。
【0019】
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族二塩基酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物、酸価を有するポリエステル樹脂やアクリル樹脂等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、テレフタル酸ジグリシジルエステル、パラオキシ安息香酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアネート、スピログリコールジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
水酸基を有する化合物としては、例えば、1,4−ビス−2’−ヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、スチレン・アリルアルコール共重合体、スピログリコール、水酸基価を有するポリエステルやアクリル樹脂等が挙げられる。
その他、ジシアンジアミド及びジシアンジアミド誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体、二塩基酸ジヒドラジド、ジアミノジフェニルメタン、環状アミジン、ヒダントイン化合物等も用いることができる。
【0020】
本発明の第1〜第3の発明のいずれにおいても、フッ素樹脂の数平均分子量(M)は5000以上であることが好ましく、7,000以上であることがより好ましい。
フッ素樹脂の分子量が5000未満であると、2つの架橋反応による塗膜の不均一構造ができにくくなり、艶消し塗膜が得難くなる傾向にある。
又、フッ素樹脂のフッ素含量は10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。更に、耐候性、艶消し塗膜形成性、塗装作業性の観点から15〜40質量%であることが更に好ましい。
本発明における第1の発明においては、互いに異なる種類の架橋部位を有するフッ素樹脂、即ち、架橋部位aを有するフッ素樹脂と、架橋部位bを有するフッ素樹脂が用いられる。
架橋部位aと架橋部位bは異なる種類の官能基である。
このようなフッ素樹脂は、フルオロオレフィンと、エチレン性不飽和化合物と、架橋部位aを形成する官能基を有する単量体との共重合体と、フルオロオレフィンと、エチレン性不飽和化合物と、架橋部位bを形成する官能基を有する単量体との共重合体とをブレンドすることで得られる。
該第1の発明において用いる硬化剤は、該硬化剤が架橋部位aと反応する硬化剤Haと架橋部位bと反応する硬化剤Hbとの組み合わせであってもよく、架橋部位a、bのいずれとも反応する硬化剤Hであってもよい。
【0021】
ただし、該第1の発明においては、架橋部位aと硬化剤HaまたはHの反応速度と、架橋部位bと硬化剤HbまたはHの反応速度とが互いに異なっている必要がある。この反応速度の差は、架橋部位aを有するフッ素樹脂と、硬化剤HaまたはHとの反応と、架橋部位bを有するフッ素樹脂と硬化剤HbまたはHとの反応を例えば180℃というような同一温度条件で行い、ゲル化時間の差で確認することができる。
【0022】
また、この反応速度の差は190℃での架橋による下記の相対的な動的粘弾性率Er’の上昇により確認することができる。すなわち、190℃での架橋による相対的な動的粘弾性率Er’が初期値から5%上昇するのに必要な時間(以下、架橋反応時間とも記す。)を比較すればよい。
上記相対的な動的弾性率とは、以下の様に測定する。剛体振り子型粘弾性測定装置(A&D社製)を用いて、振り子の周期変化を測定する。振り子の周期は熱硬化性樹脂の架橋密度の増加に伴い小さくなる。このとき測定系における振り子の振動周期をT、ある基準点における振動周期をTとすると、振動周期Tにおける基準点に対する相対的な動的粘弾性Er’は、以下の式で表される。
Er’=(1/T−1/T )/(1/T −1/T ))
本発明において反応速度が互いに異なるとは、上記架橋反応時間が20秒以上異なることが好ましい。
【0023】
また、本発明における第2の発明においては、架橋部位aを有するフッ素樹脂と、2種以上の硬化剤からなり、これらの硬化剤はいずれも架橋部位aと反応する。しかして、2種以上の硬化剤のうちの少なくとも1種の硬化剤の架橋部位aに対する反応速度が、他の硬化剤の架橋部位aに対する反応速度と異なることを特徴とする。
【0024】
更に、本発明における第3の発明は、2種以上の架橋部位を有するフッ素樹脂と、硬化剤の組み合わせからなり、該硬化剤が、該架橋部位の1つaと反応する硬化剤Haと前記架橋部位aと異なる架橋部位bと反応する硬化剤Hbとの組み合わせ、または架橋部位a、bのいずれとも反応する硬化剤Hを含み、架橋部位aと硬化剤HaまたはHの反応速度と、架橋部位bと硬化剤HbまたはHの反応速度とが互いに異なることを特徴とする。
第1の発明との違いは、第1の発明においては、架橋部位a、bがそれぞれ異なるフッ素樹脂中に存在していたのに対し、第3の発明においては、これらの架橋部位が同一のフッ素樹脂中に存在している点である。
このようなフッ素樹脂は、例えば、フルオロオレフィンと、架橋部位aを形成する官能基を有する単量体と、架橋部位bを形成する官能基を有する単量体と、他の単量体とを共重合することで得られる。
【0025】
本発明における第1の発明において、架橋部位aを有するフッ素樹脂と、架橋部位bを有するフッ素樹脂の架橋部位の合計量と、硬化剤H又は硬化剤Haと硬化剤Hbの合計量との比率が、モル比で、(a+b)/(Ha+Hb)が0.1:10で配合することが好ましく、0.3:3で配合することがより好ましい。又、本発明における第2の発明において、フッ素樹脂の架橋部位と、2種以上の硬化剤の合計量との比率が、モル比で、0.1:10で配合することが好ましく、0.3:3で配合することがより好ましい。
又、本発明における第3の発明において、架橋部位と、該架橋部位と反応する硬化剤の合計量との比率が、モル比で、0.1:10で配合することが好ましく、0.3:3で配合することがより好ましい。
それぞれ架橋部位と反応する硬化剤の種類が異なる場合は、それぞれの架橋部位と、該架橋部位と反応する硬化剤の合計量が、いずれも上記範囲にあることが好ましい。
【0026】
本発明における第1〜3の発明において規定した構成のフッ素樹脂系塗料組成物を被塗装物上に均一に塗布して焼き付けると、まず、一方の架橋部位と硬化剤の組み合わせが反応して架橋構造を形成する。
次いで、ある程度構造が形成された塗膜内で他の架橋部位と硬化剤の組み合わせ間での反応が開始され、新たな架橋構造が形成されてゆく。しかし既にある程度の架橋構造が形成された中での架橋反応であるので、新たな架橋構造形成が行われると、その新たな架橋構造形成において歪みを有した不均一構造となる。この不均一構造により塗膜は艶消し塗膜となる。架橋部位と硬化剤の組み合わせ間の反応速度の差が大きいほど艶消しとなる。
【0027】
本発明のフッ素樹脂系艶消し塗料組成物は、通常塗料組成物に使用される添加物を第三成分として配合することができる。即ち、二酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系赤色顔料、イソインドリノン系黄色顔料等の有機顔料;タルク、シリカ、炭酸カルシウム等の体質顔料;アルミ粉、ステンレス粉等の金属粉;マイカ粉やレベリング剤、紫外線吸収剤、熱劣化防止剤、発泡防止剤等の添加剤を所望により、1種または2種以上配合することができる。
【0028】
本発明のフッ素樹脂系艶消し塗料組成物は、粉体塗料組成物として好適であるが、この艶消し塗膜を生成する機構は粉体塗料のみで発現するものではなく、溶剤型塗料にも適用することができる。
粉体塗料の場合は、鉄、アルミ、銅、亜鉛或いはこれらの合金類からなる被塗物に、例えば市販の静電粉体塗装機、流動浸漬装置等によって均一に塗装した後、熱風炉、赤外炉、誘電加熱炉等で焼き付けることにより、良好な艶消し塗膜を形成することができる。
本発明のフッ素樹脂系艶消し塗料組成物は、粒子の粗い顔料を含む必要がなく、耐候性の低い非フッ素系樹脂をブレンドする必要もない。又、酸価或いは水酸基価の非常に高い樹脂とこれより酸価或いは水酸基価の低い樹脂とを組み合わせた場合のように、比較的耐候性を阻害しやすい官能基を大量に樹脂中に残す心配がなく、特に高い耐候性を要求されて用いられるフッ素樹脂塗料の耐候性を低下させずに艶消し塗膜を得られるという優れた特徴を有するものである。
【0029】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。
なお、以下の合成例、実施例、比較例において、部、%は、他に規定のない限り、質量部、質量%を示す。
【0030】
(合成例1)
内容積300mLのステンレス製攪拌機付き耐圧反応器(耐圧5.0MPa)に、キシレン100g、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)15g、イソブチルビニルエーテル(iBVE)10g、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)25g、炭酸カルシウム1g及びパーブチルパーピバレート(PBPV)0.07gを仕込み、液体窒素による固化・脱気により液中の溶存酸素を除去した。
次いで、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)50gを導入して徐々に昇温し、温度65℃に維持しながら反応を続けた。
10時間後、反応器を水冷して反応を停止した。この反応液を室温まで冷却した後、未反応モノマーをパージし、得られた反応液を珪藻土でろ過して固形物を除去して固形分濃度48%、共重合体の数平均分子量12,000の含フッ素共重合体溶液A−1を得た。
この溶液A−1の100部、硬化剤としてアダクトB−1530(ヒュルス社製、ε−カプロラクタムブロックイソシアネート、固形分100%)の25部を底部抜き出し管を備えた容器に入れて、均一溶液になるまで1時間混合した。
得られた樹脂溶液を底部抜き出し管に接続した有機溶媒用噴霧乾燥装置(坂本技研社製ターニング式スプレードライヤー)に通すことにより、50%平均体積粒子径15μmの球状粉体塗料を得た。
この球状粉体塗料の、A&D社製の剛体振り子粘弾性測定装置により測定した、190℃での相対的な動的粘弾性E’が初期値から5%上昇するのに必要な時間(架橋反応時間)は120秒であった。
【0031】
(合成例2〜5)
表1に記載のモノマー組成とした以外は合成例1と同様にして、含フッ素共重合体溶液A−2〜5を得た。
これらの溶液A−2〜4を表2に記載した硬化剤との組合わせおよび表2に記載された量(部)とし、合成例1と同様の方法で球状粉体塗料を得た。50%平均体積粒子径はどれも約15μmであった。合成例1と同様に測定した、架橋反応時間を合成例1の結果と合わせて表2に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0004292773
【0033】
TFE :テトラフルオロエチレン
CTFE:クロロトリフルオロエチレン
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル
EVE :エチルビニルエーテル
iBVE:イソブチルビニルエーテル
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル
GVE :グリシジルビニルエーテル
Veova10:シェル化学社製、炭素数10の分岐脂肪酸のビニルエステルの商品名
【0034】
【表2】
Figure 0004292773
【0035】
(実施例1)
含フッ素共重合体溶液A−1及びA−3をそれぞれ100部、硬化剤としてアダクトB−1530(ヒュルス社製、ε−カプロラクタムブロックイソシアネート、固形分100%)を25部と、ドデカン二酸5部、添加剤としてモダフロー(モンサント社製レベリング剤)0.5部、ベンゾイン0.5部、二酸化チタン100部、酸化安定剤としてトリデシルフォスファイト0.1部を底部抜き出し管を備えた容器に入れて、均一溶液になるまで1時間混合した。
得られた樹脂溶液を底部抜き出し管に接続した有機溶媒用噴霧乾燥装置(坂本技研社製ターニング式スプレードライヤー)に通すことにより、50%平均体積粒子径15μmの球状粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料をリン酸亜鉛処理鋼板に静電塗装し、180℃のオーブン中で20分硬化させて塗膜を得た。
得られた塗膜について物性を評価した。その結果を表3に示す。
物性は以下のようにして評価した。
【0036】
<表面の艶>
目視により、塗膜表面の艶消し程度を評価した。
○:艶消し効果が良好
△:艶の消え方が不充分
×:艶消し効果なし
【0037】
<耐候性>
サンシャインカーボンウェザーメータ3000時間後の、塗膜外観を目視で評価した。
○:塗膜の表面劣化がほとんど認められない
△:塗膜の表面劣化が認められる
×:著しい表面劣化、及びチョーキングが認められる
【0038】
<塗膜外観(平滑性)>
塗膜の表面状体(ブツの生成状況)を目視により評価した。
○:何ら異常が認められない
△:少しブツが認められる
×:相当量のブツが認められる
【0039】
(実施例2〜6,比較例1〜3)
表2に記載の成分を用いた以外は実施例1と同様にして粉体塗料(50%平均体積粒子径約15μmを得、これらを用いた以外は実施例1と同様にして静電塗装して、得られた塗膜の物性を評価した。その結果を実施例1の結果とともに表3に示す。
【0040】
【表3】
Figure 0004292773
【0041】
アダクトB−1530:ヒュルス社製、ε−カプロラクタムブロックイソホロンジイソシアネート、固形分100%
モダフロー:モンサント社製レベリング剤
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
TGIC:トリグリシジルイソシアネート
SYLYSIA470:富士シリシア社製 二酸化珪素系艶消し剤
【0042】
表2から明らかなように、1種類の架橋部位と1種類の硬化剤の組み合わせでは艶消し効果が発現せず(比較例1、2)、艶消し剤を入れた場合は耐候性が低下するのに対し、本願発明の組成物を用いた場合は耐候性、塗装外観を低下させることなく、艶消し効果を発現できることがわかる。
【0043】
【発明の効果】
本発明のフッ素樹脂系艶消し塗料組成物は上述のように互いに反応速度の異なる架橋部と硬化剤の組み合わせを用いることにより艶消し塗膜を得ているので、粒子の粗い顔料を必要とせず、又、耐候性の低い非フッ素系樹脂をブレンドする必要もなく、樹脂成分としてはフッ素樹脂だけを用いることができるので、耐候性、耐衝撃性、被塗物表面への密着性に優れた塗料となる。
又、酸化、水酸基価の異なる塗料を用いた艶消し塗料の場合のように、比較的多量の官能性基を樹脂中に残さずに済むため、充分高度の耐候性を維持できるという特徴を有する。

Claims (4)

  1. 架橋部位aを有するフッ素樹脂と、aと異なる架橋部位bを有するフッ素樹脂と、1種以上の硬化剤との組み合わせからなり、該1種以上の硬化剤が架橋部位aと反応する硬化剤Haと架橋部位bと反応する硬化剤Hbとの組み合わせ、または架橋部位a、bのいずれとも反応する硬化剤Hであり、架橋部位aと硬化剤HaまたはHの反応速度と、架橋部位bと硬化剤HbまたはHの反応速度とが互いに異なることを特徴とするフッ素樹脂系艶消し塗料組成物。
  2. 架橋部位aを有するフッ素樹脂と、2種以上の硬化剤からなり、2種以上の硬化剤のうちの少なくとも1種の硬化剤の架橋部位aに対する反応速度が、他の硬化剤の架橋部位aに対する反応速度と異なることを特徴とするフッ素樹脂系艶消し塗料組成物。
  3. 1つの分子内に2種以上の架橋部位を有するフッ素樹脂と、硬化剤との組み合わせからなり、該硬化剤が、該架橋部位の1つaと反応する硬化剤Haと、前記架橋部位aと異なる架橋部位bと反応する硬化剤Hb、との組み合わせ、または架橋部位a、bのいずれとも反応する硬化剤Hを含み、架橋部位aと硬化剤HaまたはHの反応速度と、架橋部位bと硬化剤HbまたはHの反応速度とが互いに異なることを特徴とするフッ素樹脂系艶消し塗料組成物。
  4. フッ素樹脂の数平均分子量(M)が5000以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素樹脂系艶消し塗料組成物。
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