JP4295889B2 - ケミカルヒートポンプドライヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケミカルヒートポンプを適用した高効率のケミカルヒートポンプドライヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
ドライヤを用いた乾燥プロセスは、高エネルギー負荷操作である。このエネルギー使用量を低く押さえる一つの方法として、機械圧縮式ヒートポンプを乾燥プロセスへ適用したヒートポンプドライヤがある。これは主に電気エネルギーで作動する圧縮式ヒートポンプを乾燥プロセスに組み込み、空気の除湿およびヒートアップを行なうものである。
一方、化学反応の際の反応熱を利用して、外部機器との熱交換を行うケミカルヒートポンプ技術がある。このようなケミカルヒートポンプとして、特開平10−89799号公報(以下イ号公報という)には、CaOを充填した反応器と水を蒸発又は凝縮させる蒸発−凝縮器がジョイントバルブを有するパイプで連結されたCaO/Ca(OH)2系ケミカルポンプにおいて、反応器内に充填されたCaOと蒸発-凝縮器で蒸発したH2Oが水和反応する際に発生する反応熱と、蒸発−凝縮器内のH2Oが蒸発する際の蒸発熱を連続的に出し入れする熱交換器を反応器及び蒸発-凝縮器にそれぞれ設けたケミカルポンプが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のヒートポンプを用いる技術では以下のような問題点があった。
(1)機械圧縮式ヒートポンプを用いるドライヤは、ヒートポンプを組み込まないドライヤに比べて乾燥効率は上がるものの、機械的駆動部分が大きくなるために用途が限られるという問題点があった。
(2)電気エネルギーの使用量が多く、またリアルタイムで電力を供給しなければならないため、深夜電力などを有効に利用できず、運転コストが高くなる。
(3)熱媒体としてフロン等を用いるので、フロン等の環境汚染物質が周囲に放出される場合があるという欠点がある。
(4)機械圧縮式ヒートポンプは機械可動部分の耐熱性が低いために特定の温度域での乾燥が困難であり、使用条件が制約されることがある。
(5)イ号公報のケミカルポンプを用いる技術では、機械式ヒートポンプ顕熱、潜熱蓄熱を利用するものに比べ、ヒートポンプ性能や蓄熱性能において多くの有利な点を有するものの、化学反応を利用するシステムであるがゆえにヒートポンプにおける蓄熱モードや放熱モードを適正にコントロールすることが困難であり、液体を加温冷却するシステムではうまくいくもののそれ以外のシステムでは困難であるという問題があった。
(6)ケミカルヒートポンプを単独で用いるので、ケミカルヒートポンプの作動状態が放熱や蓄熱の各動作モード毎に制限されて、放熱、蓄熱の際の熱ロスが多く、全体システムを効率的に運営することが困難であるという問題があった。
(7)熱交換効率の良い給湯や熱媒冷却システムでは温冷熱生成がうまくいくものの、圧縮機などの機械系を用いるのでエネルギーのロスが多く空気加熱などの熱交換効率の悪いシステムは稼動しなかった。
(8)液体熱交換のみであったため除湿操作などの調湿機能が働かなかった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、従来不可能であった高温域での使用を可能にし、電気エネルギーをほとんど必要とせず、深夜電力など余剰のエネルギーを有効利用でき、化学反応を効果的にコントロールして省エネルギータイプのケミカルポンプドライヤを提供すると共に、大量に存在する資源である石灰石から製造される生石灰と消石灰等を用いて、フロンなどの環境汚染物質を用いることなく安全で環境にやさしく日本国にとって有利なシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、内部に化学反応物質を保持する高温側反応器及び、前記高温側反応器に前記化学反応物質と反応する反応ガスを供給/受給する低温側反応器を有したケミカルヒートポンプと、前記ケミカルヒートポンプの高温側反応器及び/又は低温側反応器に空気循環流路を介して接続され、前記空気循環流路を流れる高温の循環空気を内部の被処理物に直接又は間接的に接触させるドライヤと、前記高温側反応器内の前記空気循環流路に設けられ、前記化学反応物質と反応ガスとの化学反応熱により前記循環空気を加熱する熱交換器と、前記高温側反応器内に設けられ、高温ガスや電力などの外部エネルギーを前記化学反応物質と反応ガスとの反応生成物に供給する熱供給器とを備えて構成されている。
これによって、以下の作用が得られる。
(a)ドライヤに供給される循環空気が高温側/低温側反応器内の熱交換器で加熱され、高温側/低温側反応器の発熱状態がもう一方の低温側/高温側反応器の作動により制御されるので、化学反応を効果的にコントロールしてエネルギーを有効利用することができる。
(b)外部から供給される深夜電力や高温ガス等のエネルギーを化学反応物質が生成されるのに必要な熱量として補給、蓄積しておき、この化学反応物質に貯えられたエネルギーを必要な時期に取り出すことができるので、供給される電力変動が大きい場合でも安定した条件下で被処理物の均一乾燥を行うことができる。(c)大量に存在する資源である石灰石から製造される生石灰と消石灰等を用いているので、、省エネルギータイプのケミカルポンプドライヤを提供でき、フロンなどの環境汚染物質を用いることなく安全で環境にやさしい有利なシステムを提供できる。
(d)増熱モードというケミカルヒートポンプに蓄熱した熱量よりケミカルヒートポンプからの放熱量の方が大きい作動モードを用いるため、ケミカルヒートポンプの蓄放熱効率が2倍以上になる高効率システムの構築が可能となる。
【0006】
ここでケミカルヒートポンプは、化学反応に伴う反応熱を利用して、ドライヤなどの外部機器との熱交換を行うことのできるヒートポンプである。
図1(a)はこのようなケミカルヒートポンプの蓄熱過程を示す概念図であり、図1(b)は放熱過程を示す概念図である。
図1において、1はケミカルヒートポンプ、2は高温側反応器、3は高温側反応器2とバルブを有する配管を介して接続される低温側反応器である。
図1に示すケミカルヒートポンプ1は高温側反応器2、低温側反応器3と両者を結ぶパイプにより構成され、高温側反応器2には化学反応物質として反応平衡圧力が比較的低い反応材(蓄熱材)が充填され、低温側反応器3には高温側反応材と反応するに見合う量の高反応平衡圧の反応ガスを生成する物質が充填され、減圧状態に保たれている。
なお、低温側反応としては、液体の蒸発/気体の凝縮現象も利用される。
以上のように構成されたケミカルヒートポンプについて、以下その動作を説明する。まず、放熱過程で高温側反応器2と低温側反応器3とを連結しているバルブを開けると、圧力差により低温側反応器3からガスCが分離発生して、パイプを通って高温側反応器2へ移動し、高温側反応器2の中のAと反応しACが形成され反応熱が生成し、低温側反応器3では吸熱反応が進行する。
蓄熱過程では、高温側反応器2に熱を加えると、放熱過程でAとCとが反応して生成したACが分解されてAが再生するとともに、発生したCガスは、パイプを通って低温側反応器3へ移動しBと反応し、反応熱を生成し、BCとなり、再び温・冷熱生成前の状態に戻る。
以上のように、ケミカルヒートポンプは、ACをAとCとに戻す反応と、AとCとによりACを生成する反応に伴う反応熱を主に利用するものである。
【0007】
請求項2記載のケミカルヒートポンプドライヤは、請求項1において、前記低温側反応器の前記空気循環流路に設けられ、前記循環空気との間で熱交換を行う熱交換器を有して構成されている。
これによって、請求項1の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)循環空気との間で熱交換を行う熱交換器を有しているので、蓄熱過程にある高温側反応器から発生する水蒸気などの高温ガスを低温側反応器にて凝縮させて、その凝縮熱により、循環空気を効率的に加熱することができ、外部エネルギーを無駄にすることなく有効利用できる。
(b)必要に応じて低温側熱交換器に排ガス等の外部エネルギーを供給して、低温反応器内に残留する水などを気化させるのに用いることができ、ケミカルヒートポンプドライヤを含む全体システムにおける熱エネルギーの流れを適正化して運用することができる。
(c)放熱過程にある低温側反応器から発生する水蒸気などの高温ガスを高温側反応器にて反応させて、その反応熱により、循環空気を効率的に加熱することができ、外部エネルギーを無駄にすることなく有効利用できる。
(d)放熱過程にある低温側反応器から発生する水蒸気の蒸発などの吸熱反応により、潜熱などの吸熱反応熱により、循環空気を効率的に冷却除湿することができ、排気を無駄にすることなく循環させて有効利用することができる。
【0008】
請求項3に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、請求項1又は2において、前記ケミカルヒートポンプが前記ドライヤに対して2基並列にそれぞれ空気循環流路を有して配置され、第1及び第2のケミカルヒートポンプそれぞれの高温側/低温側反応器における化学反応物質の発熱又は吸熱による放熱過程と蓄熱過程とを切り替える配管切替機構が設けられて構成されている。
これによって、請求項1又は2の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)第1及び第2のケミカルヒートポンプをそれぞれ並列に配置しているので、ケミカルヒートポンプ毎に異なる作動モードを交互に切り替えることで、各時点でのドライヤシステム全体の熱の流れを効率化させることができ、ドライヤシステムをもっとも好ましい状態で作動させることができる。
(b)第1及び第2のケミカルヒートポンプをそれぞれ並列に配置しているので、各ケミカルヒートポンプ毎に異なる作動モードを交互に切り替えることで、蓄熱過程ケミカルヒートポンプと放熱過程ケミカルヒートポンプを同時に稼動させることができ、ドライヤ排気からの熱回収とその際の加熱を連続的に行って、ケミカルヒートポンプシステム全体をケミカルヒートポンプ単体では不可能な連続運転システムが構築できる。
【0009】
図2は圧力(P)と温度(T)のパターンで規定される作動モードの一例を示すグラフであり、図2(a)〜(d)はそれぞれ(a)蓄熱モード、(b)増熱モード、(c)冷凍モード、(d)昇温モードのパターンを表している。
(a)蓄熱モードは、ケミカルヒートポンプの高温側反応器(圧力PH)、ケミカルヒートポンプの低温側反応器(圧力PL)にそれぞれ熱量QH、QLを出し入れする操作であり、蓄熱過程と放熱過程がほぼ同レベルの温度域で操作される。
(b)増熱モードは、蓄熱過程においては▲1▼ケミカルヒートポンプの高温側反応器(PH)に熱量QHを供給し、▲2▼低温側反応器(PL)で中温熱QMを生成する。放熱過程においては▲3▼ケミカルヒートポンプの低温側反応器(PL)に安価な低温熱QLを供給して、▲4▼高温側反応器(PH)で中温熱QMを生成できる。すなわち、1度の高温蓄熱QHで蓄熱過程と放熱過程の2度に亘って中温熱QMが生成できる。
(c)冷凍モードは、増熱モードの操作原理とほぼ同じであるが、▲1▼蓄熱過程においてはケミカルヒートポンプの高温側反応器(PH)に熱量QHを供給し、▲2▼低温側反応器(PL)で中温熱QMを生成できる。▲4▼放熱過程においてはケミカルヒートポンプの高温側反応器(PH)で中温熱QMを生成できると共に、▲3▼低温側反応器(PL)の吸熱反応により低温熱QLが生成する。すなわち、高温蓄熱QHを行ない放熱過程に中温熱QMおよび低温熱QLが利用できる。
(d)昇温モードは、▲4▼蓄熱過程においてはケミカルヒートポンプの高温側反応器(PH)に中温熱QMを供給し、▲3▼低温側反応器(PL)で低温熱QLを生成でき、▲2▼放熱過程においてはケミカルヒートポンプの低温側反応器(PL)に中温熱QMを供給することにより、▲1▼高温側反応器(PH)で高温熱QHを生成できる。すなわち、中温熱QMを用いて高温熱QHと低温熱QLが利用できる。
【0010】
このように(b)増熱モードと(c)冷凍モードでは、蓄熱過程における高温側反応器への入熱QHによって、蓄熱過程と放熱過程の二度にわたり中温熱QMを取り出せるため、結果として増熱が可能となる。
この場合、放熱過程で低温熱QLを低温側反応器に供給する際、熱媒として常温空気などを用いればその熱エネルギーコストは無視できる。逆に、この放熱過程で必要な低温熱QLを低温側反応器に供給して、吸熱反応本来の性能を活かすことにより冷熱生成も可能になる。これが(c)冷凍モードである。
【0011】
ここで配管切替機構は、2基のケミカルヒートポンプとドライヤとを連結する配管構成において、例えば、四方切替弁などの切替弁を複数配置して、これらを適宜選択して作動させることにより、所望の循環流路を形成させるものである。これらの切替操作は必要に応じて、各切替弁を制御する制御装置等を用いて自動的、半自動的に実行させることができる。
【0012】
請求項4に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記高温側反応器には前記化学反応物質として生石灰が配置され、前記低温側反応器に貯留された水蒸気が前記高温側反応器に供給されて生石灰の水和反応に伴う放熱が制御されている。
これによって、請求項1乃至3の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)高温側反応器における生石灰の水和反応が、高温側反応器と制御部とを連結する配管を開閉するバルブ操作によってコントロールされ、省エネルギー性や経済性に優れたシステムとすることができる。
(b)大量に存在する資源である石灰石から製造される生石灰と消石灰等を用いて、フロンなどの環境汚染物質を用いることなく安全で環境にやさしく日本国にとって有利なシステムを提供することができる。
(c)生石灰と消石灰の反応を用いることにより、その反応性の良さ、すなわち反応可逆性、高反応速度、高反応率などから、他の反応系より反応特性すなわち蓄放熱特性に優れたシステムが構築できる。
(d)生石灰と消石灰の反応を用いることにより、その反応熱量の大きさ、すなわち蓄熱密度の大きさから、他の反応系よりコンパクト性に優れたシステムが構築できる。
ここで生石灰(CaO)は白色の立方晶系の結晶性粉末であり、水と反応すると強く発熱して次式のように水酸化カルシウムを生成する。この化学反応に伴う反応熱を利用して蓄熱材や放熱材として用いることができる。(CaO+H2O→Ca(OH)2、ΔH=−104.2kJ/mol)
【0013】
請求項5に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、請求項4において、前記高温側反応器に配置される生石灰の平均粒径が0.1〜5mmであるように構成されている。
これによって、請求項4の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)生石灰の粒径が特定範囲に規定されているので、生石灰の蓄熱及び放熱特性を最大限度に利用することができ、ケミカルヒートポンプドライヤをさらに効率的に稼動させることができる。
(b)特定平均粒径の生石灰を用いるので、反応条件のばらつきを所定範囲に維持させることができ、化学反応のコントロールを容易にして、ケミカルヒートポンプドライヤの操作を簡単に行うことができる。
ここで高温側反応器に充填配置される生石灰の平均粒径が0.3mmより小さいと、粒子間の水蒸気の流路が確保できず、粒子層内伝熱性も悪く効果的に水蒸気を生石灰に接触供給させることが困難となる傾向にあり、0.1mmを超えるとこの傾向がさらに強まるので好ましくない。逆に、生石灰の平均粒径が1.5mmを超えると水和反応等に必要な表面積が著しく減少すると共に、粒子の内部まで反応が進行せず、反応効率を著しく低下させる傾向にあり、この平均粒径が5mmを超えるとこの傾向がさらに顕著になるので好ましくない。
【0014】
請求項6に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、請求項3乃至5のいずれか1項において、前記ドライヤの循環空気の供給側配管に前記循環空気の温度を測定する温度センサが設けられ、前記第1及び第2のケミカルヒートポンプにそれぞれ振り分けられる循環空気の量比を前記循環空気の温度に応じて制御する調整弁機構が設けられて構成されている。
これによって、請求項3乃至5のいずれか1項の作用に加えて以下の作用を有する。
(a)温度センサの温度信号に基づいて第1及び第2のケミカルヒートポンプに供給する循環空気の量および配分を制御する調整弁機構が設けられているので、外部エネルギーの供給量や、ドライヤの負荷が変動しても、ドライヤに供給される循環空気の温度を常時安定に所定温度範囲に維持させることができ、全体のドライヤシステムを安定的に運用することができる。
(b)循環空気の量および配分を制御する調整弁機構を用いて、第1及び第2のケミカルヒートポンプの稼動状態が所定条件で制御されるので、それぞれに設けられた熱交換器からの入出熱量等に応じて、ケミカルヒートポンプドライヤの操作モードを選択することができ、外部エネルギーとして供給される深夜電力等を無駄にすることなく有効に利用できる。
調整弁機構は、例えば、第1及び第2のケミカルヒートポンプにそれぞれ振り分けられる循環空気の量比とこれによる循環空気の温度との関係を予め求めておき、この相関関係と温度センサで取得される温度値とに基づいてバルブの開度を調整するようなものが該当する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図3は本発明の一実施の形態におけるケミカルヒートポンプドライヤの構成図である。
図3において、10は本実施の形態のケミカルヒートポンプドライヤ、11、12はそれぞれ第1及び第2のケミカルヒートポンプ、13はケミカルヒートポンプ11、12を構成する化学反応物質としての生石灰が充填された高温側反応器、14はケミカルヒートポンプ11、12を構成して高温側反応器13に反応ガスである水蒸気をバルブ21を介して供給して生石灰の水和反応を制御するための低温側反応器となる気化/凝縮器、15は高温側反応器13や気化/凝縮器14に設けられ、循環空気との間で熱交換させるための熱交換器、16は外部エネルギーを供給するための熱供給器、17はケミカルヒートポンプ11、12に配管を介して接続され循環空気が供給されるドライヤ、18は循環空気を循環させると共に一部の空気を排出あるいは外部空気を吸入するファンなどを備えた循環機、19はドライヤ17の循環空気が供給される供給側配管に設けられた温度センサ、20は温度センサ19の温度信号により循環空気をケミカルヒートポンプ11、12に所定比率で振り分けるための調整弁機構、22は気化/凝縮器14の下流側に設けられた循環空気内の湿分を除去するための除湿器、23はケミカルポンプ11、12からそれぞれの循環空気を合流させ、各流路を流れる循環空気の量を制御して、ドライヤ17に供給するための流量調整弁である。、
なお、図示しない切替弁などを備えた配管切替機構を用いて、図3にそれぞれ一点鎖線と破線とで示す動作モード1、2となるような配管構成になるようにケミカルヒートポンプドライヤ10が切替られるようになっている。
動作モード1と動作モード2とは、ケミカルヒートポンプ11、12のそれぞれを蓄熱過程や放熱過程に交互に切替た状態を表している。以下この動作モードの切り換え方法について説明する。まず、最初の12時間においては、一方のケミカルヒートポンプの高温側反応器に深夜電力などの安価な外部エネルギーを蓄えておき、、他方のケミカルヒートポンプの高温側反応器で放熱させる。そして、次の12時間においては、バルブ21等の切り替え操作により前記ケミカルヒートポンプの反応器の各機能を切り換えることにより、前記高温側反応器に蓄えられた外部エネルギーを放出させてこれを有効に利用することができる。
【0016】
ケミカルヒートポンプ11、12はそれぞれ、反応ガスを出入りさせる配管を介して連結された高温側反応器13と気化/凝縮器14とを有して構成されている。
高温側反応器13は、所定粒径、例えば0.7〜1.0mmの粒径の生石灰が充填されたステンレス製等の反応容器である。高温側反応器13はバルブ21を介して気化/凝縮器14と接続されており、バルブ21の開閉操作により気化/凝縮器14から導入される水蒸気を高温側反応器13中の生石灰と水和反応させて、その反応の際の反応熱で高温側反応器13に供給される熱媒体や循環空気を加熱することができる。
気化/凝縮器14は、所定の減圧度に減圧された反応ガスとしての水蒸気を保持する容器体であり、容器体に配置された熱交換器15や熱供給器16等を介して、外部から供給される熱媒やドライヤ17からの循環空気との間で熱の授受が行われるようになっている装置である。
【0017】
ドライヤ17は、例えば野菜や調理品等の食品や、水洗処理後の工業製品等の被処理物がベルトコンベアを用いて連続供給されたり、あるいは被処理物が固定配置された状態で乾燥させる形式のものであり、内部に高温の循環空気が供給されるようになっている。
除湿器22は低温側反応器14で冷却された循環空気中の湿分を除去する装置であり必要に応じて低温側反応器14の下流側に設けられている。
【0018】
以上のように構成されたケミカルヒートポンプドライヤ10の動作について説明する。
図4は本実施の形態のケミカルヒートポンプドライヤ10の動作状態を示すフロー図である。以下、図3及び図4を共に参照しながら説明する。
図3に示すケミカルヒートポンプドライヤ10の動作モード1においては、循環配管を介して高温の循環空気がドライヤ17に供給され、対象物の乾燥により温度降下し高湿化した空気がドライヤ17から排出される。
この排出された空気の一部は循環機18に設けられた枝管18aを介して外部へ排気され、あるいは循環機18により調整弁機構20を介して2つのケミカルヒートポンプ11、12へ送られる。この際、循環機18に枝管18aを設けて、枝管18aから必要に応じて温度や湿度調整のための外部空気を循環空気に導入したり、一部の循環空気を枝管18aより排出するようにしてもよい。なお、調整弁機構20では、必要に応じて、予め取得したケミカルヒートポンプ11、12へ振り分ける空気の量比とこれによる循環空気の温度との関係及び、温度センサ19からの温度信号を用いて、所望の温度が得られるように弁開度が調整されるようになっている。また、この際、調整弁機構20と流量調整弁23とが連動してケミカルポンプドライヤの各循環空気流路を流れる循環空気の流量がそれぞれ所定値になるように制御されている。
【0019】
蓄熱過程にあるケミカルヒートポンプ11では、高温外部熱源により高温側反応器13が蓄熱されつつ、低温側反応器である気化/凝縮器14で発生する熱エネルギーが熱交換器15を介して循環空気を加熱するために使われる。こうして気化/凝縮器14の熱交換器15で加熱された空気はドライヤ17に戻る。
このとき、もう一方のケミカルヒートポンプ12は放熱過程にあり、循環機18で導入された新空気あるいは循環機18によりドライヤ17から循環供給される空気がケミカルヒートポンプ12に導入される。
導入された空気はケミカルヒートポンプ12の気化/凝縮器14で熱交換器15を介して吸熱され必要に応じて除湿器22で湿分が除かれる。
また、低温側反応で十分な熱が得られない場合には、外部から必要な熱量を低温側反応器に補給することになる。
ただし、この熱補給は常温空気などの熱量で十分な場合もあり、実質上エネルギーコストがゼロとなることもある。その後、循環空気は放熱過程にあるケミカルヒートポンプ12の高温側反応器13で加熱される。
その後、ここまでに除湿、加熱された高温乾燥空気は蓄熱過程にあるケミカルヒートポンプ11からの空気と混合され、ドライヤ17へ導入される。
以上のように図3の一点鎖線で循環空気や熱量の流れを示す動作モード1の状態でケミカルヒートポンプドライヤ10を所定時間、例えば12時間運転する。しかる後に循環配管を配管切替機構を用いて、図3に点線で示すような配管配置に切り替えることにより、ケミカルヒートポンプ11、12のそれぞれの蓄熱過程と放熱過程を逆転させた動作モード2の状態とすることができる。
【0020】
こうして、2つのケミカルヒートポンプ11、12を周期的に蓄熱過程と放熱過程の役割を交換し空気の循環経路を入れ替えることにより、一方のケミカルヒートポンプ11に蓄熱された熱エネルギーは、それ自身の気化/凝縮器14ともう一方のケミカルヒートポンプ12の高温側反応器13で増熱されて2箇所から放熱され高温の循環空気が生成される。
ドライヤ17での消費熱およびシステム全体からの熱ロスを補うために、ケミカルヒートポンプ11、12の高温側反応器13や気化/凝縮器14へ熱交換器15や熱供給器16を介して不足分の熱エネルギーが供給される。
これらのエネルギーの総和は、単純に外気をボイラーなどで加熱して高温乾燥空気を供給する場合のエネルギーに比べて、排気エネルギーを回収し、ケミカルヒートポンプ11、12の蓄熱、増熱効果を利用しているため、大幅に削減されることになる。
【0021】
図4のフロー図に示すように本システムでは、高温乾燥空気(QH,S=Qin594℃)の保持する熱量がケミカルヒートポンプ11(CHP1)の高温側反応器13において蓄熱され、気化/凝縮器14の側では凝縮熱によりQM,S150℃の熱が発生する。
一方ケミカルヒートポンプ12(CHP2)では同時に放熱過程における常温空気熱QL,Rを利用した中温熱QM,R360℃の生成が進行する。これらQM,SとQM,Rを同時に使用して、TA1=130℃の高温乾燥空気が生成され、ドライヤ17へ導入、循環される。CHP1とCHP2を定期的に役割を交換することにより、即ち、図4に示す熱フロー等の構成を左右入れ換えることにより、ケミカルヒートポンプ11、12の何れかの高温側反応器13に外部エネルギーを供給して蓄えて、本システムでほぼ連続的な運転が可能となる。
【0022】
以下に、本システムにおける熱効率の推算結果の一例を示す。
ここで、熱ロスのない場合である蒸発に必要な熱量QevはQev=1.71MJ/kgであり、熱ロスが30%である場合の蒸発熱QevはQev=2.45MJ/kgとなる。この場合の本システム稼動に必要な熱量は2.14MJ/hrであり、一方一般的な対流式ドライヤの場合の稼動に必要な熱量が10.5MJ/hrとなるので乾燥エネルギーの大幅な節約が可能となることがわかる。
このようにドライヤ17での消費熱およびシステム全体からの熱ロスを補うために、動作モード1ではケミカルヒートポンプ11の高温側反応器13に熱エネルギーが供給される。このエネルギーの総和は、単純に外気をボイラー等で加熱して帯温転換空気を供給する場合のエネルギーに比べて、排気エネルギーの回収および2つのケミカルヒートポンプ(CHP1)11、ケミカルヒートポンプ(CHP2)12の蓄熱、増熱効果を利用しているため、大幅に削減される。
【0023】
ここで図5は高温側反応器(PH)と気化/凝縮器(PL)とで構成されるオペレーティングラインにおける蒸気圧Pと温度Tとの関係を示すグラフである。なお、蒸気圧Pは対数(lnP)で、温度Tは逆数(1/T)で表示されている。ここで、TH,SはCHP1の高温側反応器における温度、TM,RはCHP2の高温側反応器における温度、TM,SはCHP1の気化/凝縮器における温度、TL,RはCHP2の気化/凝縮器における温度を示している。また、PSはCHP1にける圧力レベル、PRはCHP2における圧力レベルを表している。
本実施の形態においては、図5に示すようにCHP1では高温側反応器の温度TH,Sで外部エネルギーQH,S(Qin)が供給され、気化/凝縮器の温度TM,RではQM,Rが取り出される。一方、CHP2では高温側反応器から温度TM,SでQM,Sが放出され、気化/凝縮器では温度TL,Rで外部エネルギーQL,Rが供給される。このように、本システムによれば、QM,SとQM,Rの2つの熱量を同時に取り出すことができる。
【0024】
なお、本実施の形態においては、第1及び第2のケミカルヒートポンプ11、12がドライヤ17に対して2基並列に配置されて、それぞれドライヤ17に接続する空気循環流路を有して配置される形態のものを示したが、ケミカルヒートポンプをドライヤに対して2基直列に配置して、循環空気が第1及び第2のケミカルヒートポンプに順次連続して流れるようにしてケミカルヒートポンプドライヤを構成することも可能である。
【0025】
(実施例)
図6はケミカルヒートポンプドライヤにおける各作動モードの条件を検証するためのケミカルヒートポンプの構成図である。
図6において、30は実験用に構成されたケミカルヒートポンプ、31はケミカルヒートポンプ30を構成する生石灰の充填される反応器、32はケミカルヒートポンプ30を構成する気化/凝縮器、33〜35は反応ガスとなる水蒸気が流れる配管に設けられた各開閉バルブ、36、37は反応器31及び気化/凝縮器32内を必要に応じて減圧するための真空ポンプ、38は反応器31に空気などを供給するためのコンプレッサ、39は気化/凝縮器32の熱交換部に熱媒体となる水を循環供給するための温度制御機能を備えた水槽である。
【0026】
反応器31は内部が二重円筒状に形成された内筒部分に0.7〜1.0mmの平均粒径の生石灰約400gが充填され、外筒部分に形成された空気流路にコンプレッサ38を介して所定温度の空気が供給され、この内筒部分を介して、生石灰の水和により放熱状態にある石灰充填部と空気との間で熱交換が行われるようになっている。なお、前記二重円筒の外側には反応器31の外部への放熱を防ぐための断熱材等が配置されている。
反応器31と気化/凝縮器32とは配管を介して連結され、開閉バルブ34を開閉して反応器31と気化/凝縮器32との間の水蒸気の出し入れを制御できるようになっていて、必要な時期に化学反応を開始させることができる。
化学反応を開始させるのに先立って、気化/凝縮器32に所定量の水を配置し、気化/凝縮器32内及び生石灰の充填された反応器31内を開閉バルブ34を閉じた状態で真空ポンプ36、37でそれぞれ所定の真空度に減圧した後、各開閉バルブ33、35を閉じて各部を密閉状態にしておく。
しかる後に、反応器31と気化/凝縮器32とを連結する配管に設けられた開閉バルブ34を開くことにより、気化/凝縮器32内の水蒸気が反応器31側に移動して、生石灰の水和反応を進行させることができる。
【0027】
ここで図7はこのような実験により得られた、放熱過程における3種の異なる条件下で熱交換される熱量Qの時間変化を示すグラフであり、実線のデータは生石灰の発熱量を、破線のデータは供給空気により回収された回収熱量を示している。図から明らかなように、開閉バルブ34の開弁直後から発熱が開始され、生成された温熱量の上昇と共にそれが熱風として回収されていることがわかる。この場合回収率が低いのは試験装置がシンプルなためであり、実際のケミカルヒートポンプドライヤでは熱効率のさらに高い熱交換器が用いられるため回収率は大幅に高くなる。
また、図8は放熱過程の3種の異なる条件下における、反応器31で加熱される空気の入り口温度と出口温度との温度の時間変化を示すグラフである。図から明らかなように開閉バルブ34の開弁後、約30〜80分の間で温度差が最大になることがわかり、また一回のサイクルが約2~3時間となることがわかる。
【0028】
以上、説明したように、本実施の形態のケミカルヒートポンプドライヤは、熱エネルギーのロスが多いとされる各種乾燥プロセスに着目して、乾燥プロセス用に特化した石灰を用いる実用化システムである。
これにより、従来のヒートポンプドライヤで困難であった温度域での乾燥を可能にし、電気エネルギーをほとんど必要とせず、フロンなど環境汚染物質を全く使用しないケミカルヒートポンプを用いて、熱エネルギーの有効利用による省エネルギータイプのドライヤを提供する。
こうして、日本に大量に存在する資源である石灰石から製造される生石灰と消石灰を用いて、安全で環境にやさしい日本国にとって有利なシステムを提供することができる。本発明は、生石灰と消石灰の反応特性(温度、圧力など)を詳細に検討して、この結果をもとに制御を行うものであり、これによって、安価な深夜電力等を高温側反応器に一時的に貯留しておくことができ、日夜を問わずドライヤシステムを効率的に稼動させることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、以下のような優れた効果が得られる。
【0030】
本発明の請求項1に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、これによって、以下の効果が得られる。
(a)ドライヤに供給される循環空気が高温側/低温側反応器内の熱交換器で加熱され、高温側/低温側反応器の発熱状態がもう一方の低温側/高温側反応器の作動により制御されるので、化学反応を効果的にコントロールしてエネルギーを有効利用することができる。
(b)外部から供給される深夜電力や高温ガス等のエネルギーを化学反応物質が生成されるのに必要な熱量として補給、蓄積しておき、この化学反応物質に貯えられたエネルギーを必要な時期に取り出すことができるので、供給される電力の変動が大きい場合でも安定した条件下で被処理物の均一乾燥を行うことができる。
(c)大量に存在する資源である石灰石から製造される生石灰と消石灰等を用いるので、省エネルギータイプのケミカルポンプドライヤを提供でき、フロンなどの環境汚染物質を用いることなく安全で環境にやさしい有利なシステムを提供できる。
(d)増熱モードというケミカルヒートポンプに蓄熱した熱量よりケミカルヒートポンプからの放熱量の方が大きい作動モードを用いるため、ケミカルヒートポンプの蓄放熱効率が2倍以上になる高効率システムの構築が可能となる。
【0031】
請求項2記載のケミカルヒートポンプドライヤは、これによって、請求項1の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)循環空気との間で熱交換を行う熱交換器を有しているので、蓄熱過程にある高温側反応器から発生する水蒸気などの高温ガスを低温側反応器にて凝縮させて、その凝縮熱により、循環空気を効率的に加熱することができ、外部エネルギーを無駄にすることなく有効利用することができる。
(b)必要に応じて低温側熱交換器に排ガス等の外部エネルギーを供給して、低温反応器内に残留する水などを気化させるのに用いることができ、ケミカルヒートポンプドライヤを含む全体システムにおける熱エネルギーの流れを適正化して運用することができる。
(c)放熱過程にある低温側反応器から発生する水蒸気などの高温ガスを高温側反応器にて反応させて、その反応熱により、循環空気を効率的に加熱することができ、外部エネルギーを無駄にすることなく有効利用することができる。
(d)放熱過程にある低温側反応器から発生する水蒸気の蒸発などの吸熱反応により、潜熱などの吸熱反応熱により、循環空気を効率的に冷却除湿することができ、排気を無駄にすることなく循環させて有効利用することができる。
【0032】
請求項3に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、これによって、請求項1又は2の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)第1及び第2のケミカルヒートポンプをそれぞれ並列に配置しているので、ケミカルヒートポンプ毎に異なる作動モードを交互に切り替えることで、各時点でのドライヤシステム全体の熱の流れを効率化させることができ、ドライヤシステムをもっとも好ましい状態で作動させることができる。
(b)第1及び第2のケミカルヒートポンプをそれぞれ並列に配置しているので、各ケミカルヒートポンプ毎に異なる作動モードを交互に切り替えることで、蓄熱過程ケミカルヒートポンプと放熱過程ケミカルヒートポンプを同時に稼動させることができ、ドライヤ排気からの熱回収とその際加熱を連続運転させて、ケミカルヒートポンプシステム全体をケミカルヒートポンプ単体では不可能な連続運転システムが構築できる。
【0033】
請求項4に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、これによって、請求項1乃至3の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)高温側反応器における生石灰の水和反応が、高温側反応器と制御部とを連結する配管を開閉するバルブ操作によってコントロールされ、省エネルギー性や経済性に優れたシステムとすることができる。
(b)大量に存在する資源である石灰石から製造される生石灰と消石灰等を用いて、フロンなどの環境汚染物質を用いることなく安全で環境にやさしく日本国にとって有利なシステムを提供することができる。
(c)生石灰と消石灰の反応を用いることにより、その反応性の良さ、すなわち反応可逆性、高反応速度、高反応率などから、他の反応系より反応特性すなわち蓄放熱特性に優れたシステムが構築できる。
(d)生石灰と消石灰の反応を用いることにより、その反応熱量の大きさ、すなわち蓄熱密度の大きさから、他の反応系よりコンパクト性に優れたシステムが構築できる。
【0034】
請求項5に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、これによって、請求項4の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)生石灰の粒径が特定範囲に規定されているので、生石灰の蓄熱及び放熱特性を最大限度に利用することができ、ケミカルヒートポンプドライヤをさらに効率的に稼動させることができる。
(b)特定平均粒径の生石灰を用いるので、反応条件のばらつきを所定範囲に維持させることができ、化学反応のコントロールを容易にして、ケミカルヒートポンプドライヤの操作を簡単に行うことができる。
【0035】
請求項6に記載のケミカルヒートポンプドライヤは、これによって、請求項3乃至5のいずれか1項の効果に加えて以下の効果を有する。
(a)温度センサの温度信号に基づいて第1及び第2のケミカルヒートポンプに供給する循環空気の量および配分を制御する調整弁機構が設けられているので、外部エネルギーの供給量や、ドライヤの負荷が変動しても、ドライヤに供給される循環空気の温度を常時安定に所定温度範囲に維持させることができ、全体のドライヤシステムを安定的に運用することができる。
(b)循環空気の量および配分を制御する調整弁機構を用いて、第1及び第2のケミカルヒートポンプの稼動状態が所定条件で制御されるので、それぞれに設けられた熱交換器からの入出熱量等に応じて、ケミカルヒートポンプドライヤの操作モードを選択することができ、外部エネルギーとして供給される深夜電力等を無駄にすることなく有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)ケミカルヒートポンプの蓄熱過程を示す概念図
(b)ケミカルヒートポンプの放熱過程を示す概念図
【図2】(a)蓄熱モードのグラフ
(b)増熱モードのグラフ
(c)冷凍モードのグラフ
(d)昇温モードのグラフ
【図3】ケミカルヒートポンプドライヤの構成図
【図4】ケミカルヒートポンプドライヤ動作状態を示すフロー図
【図5】オペレーティングラインにおける蒸気圧Pと温度Tとの関係を示すグラフ
【図6】ケミカルヒートポンプの構成図
【図7】放熱過程で熱交換される熱量Qの時間変化を示すグラフ
【図8】空気の入り口温度と出口温度の時間変化を示すグラフ
【符号の説明】
1 ケミカルヒートポンプ
2 高温側反応器
3 低温側反応器
10 ケミカルヒートポンプドライヤ
11 ケミカルヒートポンプ
12 ケミカルヒートポンプ
13 高温側反応器
14 気化/凝縮器
15 熱交換器
16 熱供給器
17 ドライヤ
18 循環機
18a 枝管
19 温度センサ
20 調整弁機構
21 バルブ
22 除湿器
23 流量調整弁
30 ケミカルヒートポンプ
31 反応器
32 気化/凝縮器
33 開閉バルブ
34 開閉バルブ
35 開閉バルブ
36 真空ポンプ
37 真空ポンプ
38 コンプレッサ
39 水槽
Claims (6)
- 内部に化学反応物質を保持する高温側反応器及び、前記高温側反応器に前記化学反応物質と反応する反応ガスを供給/受給する低温側反応器を有したケミカルヒートポンプと、
前記ケミカルヒートポンプの高温側反応器及び低温側反応器に空気循環流路を介して接続され、前記空気循環流路を流れる高温の循環空気を内部の被処理物に直接又は間接的に接触させるドライヤと、
前記高温側反応器内の前記空気循環流路に設けられ、前記化学反応物質と反応ガスとの化学反応熱により前記循環空気を加熱する熱交換器と、
前記高温側反応器内に設けられ、外部エネルギーを前記化学反応物質と反応ガスとの反応生成物に供給する熱供給器とを備えたことを特徴とするケミカルヒートポンプドライヤ。 - 前記低温側反応器の前記空気循環流路に設けられ、前記循環空気との間で熱交換を行う熱交換器を有することを特徴とする請求項1に記載のケミカルヒートポンプドライヤ。
- 内部に化学反応物質を保持する高温側反応器及び、前記高温側反応器に前記化学反応物質と反応する反応ガスを供給/受給する低温側反応器を有したケミカルヒートポンプと、
前記ケミカルヒートポンプの高温側反応器及び/又は低温側反応器に空気循環流路を介して接続され、前記空気循環流路を流れる高温の循環空気を内部の被処理物に直接又は間接的に接触させるドライヤと、
前記高温側反応器内の前記空気循環流路に設けられ、前記化学反応物質と反応ガスとの化学反応熱により前記循環空気を加熱する熱交換器と、
前記高温側反応器内に設けられ、外部エネルギーを前記化学反応物質と反応ガスとの反応生成物に供給する熱供給器とを備え、
前記ケミカルヒートポンプが前記ドライヤに対して2基並列にそれぞれ空気循環流路を有して配置され、第1及び第2のケミカルヒートポンプのそれぞれの高温側反応器における化学反応物質の発熱又は吸熱による放熱過程と蓄熱過程とを切り替える配管切替機構が設けられていることを特徴とするケミカルヒートポンプドライヤ。 - 前記高温側反応器には前記化学反応物質として生石灰が配置され、前記低温側反応器に貯留された水蒸気が前記高温側反応器に供給されて生石灰の水和反応に伴う放熱が制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のケミカルヒートポンプドライヤ。
- 前記高温側反応器に配置される前記生石灰の平均粒系が0.1〜5mmであることを特徴とする請求項4に記載のケミカルヒートポンプドライヤ。
- 前記ドライヤの循環空気の供給側配管に前記循環空気の温度を測定する温度センサが設けられ、前記第1及び第2のケミカルヒートポンプにそれぞれ振り分けられる循環空気の量比を前記循環空気の温度に応じて制御する調整弁機構が設けられていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のケミカルヒートポンプドライヤ。
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