以下、図4乃至図24を参照しながら、本発明のアンテナに係る第1実施形態から第4実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図4は、2共振アンテナ1の平面図である。なお、本実施形態では、基材3の長辺方向をX軸、短辺方向をY軸とし、X軸とY軸は互いに直交する。
2共振アンテナ1は、フィルム状のアンテナであり、基材3、グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9を備える。基材3は、可撓性を有した帯状の薄い板であり、ポリイミド系の樹脂などの誘電体からなる。基材3の表面には、グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9が設けられる。グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9は、銅箔等の金属からなる薄膜状の導体である。
グランド導体5は、X軸に沿って配置されて、モノポールアンテナにおける、帯状のグランド面の役割を担う。グランド導体5は、第1アンテナ素子7及び第2アンテナ素子9の電気影像をグランド導体5に生成するために、第1アンテナ素子7や第2アンテナ素子9の面積と比べて大きい面積を有する。
第1アンテナ素子7は、2つの帯状の導体(短絡部7A及び放射部7B)を組み合わせて、L字状に形成される。第1アンテナ素子7の短絡部7Aは、グランド導体5の一方の端部5Aに接続される。第1アンテナ素子7の放射部7Bは、グランド導体5より短く、グランド導体5に対して平行に配置される。このような配置により、基材3上で、一部を開口したスリット部6が形成される。
本実施形態の第1アンテナ素子7では、短絡部7Aは、放射部7Bに対して、直角に連接しているが、これに限定されず、鈍角や鋭角に連接してもよい。また、本実施形態の第1アンテナ素子7では、短絡部7Aの側面は、直線状に形成されているが、これに限定されず、円弧状に形成されてもよい。短絡部7Aの側面を円弧状に形成する場合、グランド導体5と第1アンテナ素子7は、基材3上で、略U字状の導体を形成する。
第2アンテナ素子9は帯状に形成される。第2アンテナ素子9は、スリット部6に設けられて、グランド導体5及び第1アンテナ素子7の放射部7Bに対して平行に配置される。第2アンテナ素子9は、グランド導体5及び第1アンテナ素子7の放射部7Bより短い。
図5は同軸ケーブル11の断面図である。同軸ケーブル11は、中心導体13、被覆材15、外側導体17、及びシース18から構成される。中心導体13は被覆材15で被覆される。外側導体17は、被覆材15の外周に設けられて、かつ、絶縁体(誘電体)のシース18で被覆される。シース18は、外部導体17を保護するとともに、外部導体17を同軸ケーブル11の外部と絶縁する。
図4に示すように、第1アンテナ素子7の放射部7Bの一部には、第1アンテナ素子7を同軸ケーブル11の中心導体13に直流電流で導通接合するために、第1接合部7Cが設けられる。第2アンテナ素子9の一部には、第2アンテナ素子9を同軸ケーブル11の外側導体17に、同軸ケーブル11のシース18を介して、交流電流で導通接合するために、接触部9Aが設けられる。グランド導体5の一部には、グランド導体5を同軸ケーブル11の外側導体17に直流電流で導通接合するために、第2接合部5Bが設けられる。第1接合部7C、第2接合部5B、接触部9Aは、Y軸に沿って、一直線上に配置される。
同軸ケーブル11の終端部で露出した中心導体13は、ハンダによって第1接合部7Cに接合される。シース18を同軸ケーブル11の長手方向に所定の長さだけ取り除くことにより、同軸ケーブル11から露出した外側導体17は、ハンダによって第2接合部5Bに接合される。シース18で被覆された外側導体17は、接触部9Aに接触または接着材で固定される。外側導体17は、第2アンテナ素子9に直接電気的に接続されていないので、第2アンテナ素子9と外側導体17との間に直流電圧を印加しても電流は流れない。このような構成により、第2アンテナ素子9と外側導体17が互いに直接接触することを防止するための部材を別途設ける必要はないため、2共振アンテナ1の構成は簡素化される。
第2アンテナ素子9は、同軸ケーブル11の中心導体13、同軸ケーブル11の外側導体17、第1アンテナ素子7、及びグランド導体5から絶縁されている。しかし、第2アンテナ素子9は、誘電体で構成された基材3を介して、グランド導体5及び第1アンテナ素子7に容量結合される。また、第2アンテナ素子9は、シース18を介して、同軸ケーブル11の外側導体17に容量結合される。このような配置は、コンデンサを介して、第2アンテナ素子9を、グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び外側導体17に接続した配置と等価である。したがって、同軸ケーブル11の中心導体13に交流電流を流すと、グランド導体5と第2アンテナ素子9の間、第1アンテナ素子7と第2アンテナ素子9の間、及び第2アンテナ素子9と外側導体17の間に電流が流れる。なお、グランド導体5と第2アンテナ素子9の間に流れる電流は、第2アンテナ素子9の共振にほとんど寄与しない。
接触部9Aと外側導体17との間の電気容量を調節するために、シース18と接触部9Aとの間にフィルム状の誘電部材を設けてもよい。この誘電部材によって、第2アンテナ素子9で生じる共振周波数は容易に調整される。
次に、2共振アンテナ1の共振原理について説明する。
2共振アンテナ1の第1共振は、第1アンテナ素子7上に分布する電流によって生じる。すなわち、この共振は、第1アンテナ素子7から構成される逆Fアンテナによって生じる。逆Fアンテナの共振原理は、λ/4モノポールアンテナの共振原理と同じである。第1アンテナ素子7の長さは、電波の波長の約1/4となる。逆Fアンテナに共振周波数を発生させるためのインピーダンス整合は、同軸ケーブル11の中心導体13の接合位置によって行われる。
2共振アンテナ1の第2共振は、第2アンテナ素子9上に分布する電流によって生じる。すなわち、この共振は、第2アンテナ素子9から構成される変形ダイポールアンテナによって生じる。変形ダイポールアンテナの共振原理は、λ/2ダイポールアンテナの共振原理と同じである。同軸ケーブル11の中心導体13から第1アンテナ素子7に交流電流が供給されると、第1アンテナ素子7と第2アンテナ素子9の容量結合により、第2アンテナ素子9に第1電流が生じる。第1電流は第2アンテナ素子9上に分布する。第2アンテナ素子9と外側導体17の容量結合により、外側導体17に第2電流が生じる。第2電流は、第2接合部5Bを介して、グランド導体5のGND面に流れる。第2アンテナ素子9の長さは、電波の波長の約1/2となる。変形ダイポールアンテナに共振周波数を発生させるためのインピーダンス整合は、第2アンテナ素子9と外側導体17の間に介在するシース18の厚さによって行われる。そのため、変形ダイポールアンテナにおいて、第2アンテナ素子9と外側導体17が、シース18のような絶縁層によって、電気的に接触しないことが重要となる。
このように構成された2共振アンテナ1は、図6に示したVSWR特性と、図7Aに示した放射特性を有する。
VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)について、次に詳細に説明する。給電線をアンテナに接続した状態で、給電線に交流電流を流すと、アンテナに電流が流れる。この電流によって、給電線に生じる電圧の振動を進行波と呼ぶ。給電線の特性インピーダンスとアンテナの特性インピーダンスが異なると、給電線とアンテナを接続した部位で、電流が反射して送信機側に多少戻る。この電流によって、給電線に生じる電圧の振動を反射波と呼ぶ。一般に、給電線内に反射波が存在すると、給電線とアンテナを接続した部位で電力損失が生じるので、できるだけ反射波の生成を抑えるために、給電線の特性インピーダンスとアンテナの特性インピーダンスは、互いに同じ値を有するように調整される。給電線において、進行波と反射波が存在すると、2つの波が合成されて定在波が生成される。定在波の最大振幅と最小振幅の比はVSWRと呼ばれる。また、VSWRと電力損失率(反射電力)Rは、(1)式で表せる反射係数│Г│を用いて、それぞれ(2)式と(3)式で表せる。
Г = (Zi−Z0)/(Zi+Z0) ・・・・(1)
VSWR = (1+│Г│)/(1−│Г│) ・・・・(2)
R = |Г│2×100 ・・・・(3)
なお、Ziは線路(給電線)の特性インピーダンスで、Z0は負荷(アンテナ)の特性インピーダンスである。
例えば、50Ωの同軸ケーブル11を75Ωのダイポールアンテナに接続すると、│Г│=0.2、VSWR=1.5、R=4となる。したがって、4%の電力がアンテナの給電点から反射される。
給電線の特性インピーダンスとアンテナの特性インピーダンスが同じ値を有すると、反射係数は0となり、VSWRは1となる。このとき、電力反射は0となり、給電点において電力の反射損失は起こらない。(2)式と(3)式から、VSWRの値が大きくなるほど、給電点において電力の反射損失は大きくなる。上述のことから、アンテナの作成では、電力損失を防ぐために、できるだけVSWRの値が1に近づくように、給電線とアンテナの特性インピーダンスが調整される。
図6において、VSWRの値が「2」より低い周波数を有する帯域幅は2領域に出現する。1つ目の領域は、2.2GHzから2.9GHzまでの範囲である。2つ目の領域は、5.1GHzから5.2GHzまでの範囲である。したがって、帯域幅は、2GHz帯で約700MHz、5GHz帯で約100MHzとなる。
放射特性について、次に詳細に説明する。給電線から供給された電力は、電波として放射される前に、アンテナを構成する材料により熱として損失される。また、アンテナの形状に依存して、アンテナの放射パターンは変化する。そこで、アンテナの性能を理解するために、図7Bのようにアンテナを回転させて、全方位におけるアンテナの利得を調べて、アンテナ内での電力損失(利得性)及びアンテナの放射パターン(指向性)を把握する。
図7Aに示すように、2GHz帯と5GHz帯において、主偏波である垂直偏波は、ほぼ円形に近い形状になり、かつ、高利得性を有する。したがって、2共振アンテナ1は、アンテナとして必要な特性である、無指向性及び高利得性を有する。
2共振アンテナ1は、次の特徴を有する。
第1共振周波数を生成する第1アンテナ素子7と、第2共振周波数を生成する第2アンテナ素子9は、互いに独立して配置されるので、第1共振周波数と第2共振周波数の設定は自由に行われる。例えば、第1共振周波数と第2共振周波数との差が大きくなるように、両周波数を容易に調整できる。
第1接合部7C、第2接合部5B、接触部9Aの位置は、互いに独立して設定できるので、2共振アンテナ1と同軸ケーブル11のインピーダンス調整は容易に行われる。
第1接合部7C、第2接合部5B、接触部9Aは基材3の表面に配置されるので、同軸ケーブル11の固定は簡易に行われる。さらに、第1接合部7C、第2接合部5B、接触部9Aは1直線状に配置されるので、同軸ケーブル11を湾曲させずに、同軸ケーブル11の固定はより簡易に行われる。
L字状の第1アンテナ素子7と帯状のグランド導体5を組み合わせて、一部を開口させたスリット部6を基材3上に形成して、帯状の第2アンテナ素子9をスリット部6に配置することにより、2共振アンテナ1は製造されるので、アンテナの小型化、薄型化が実現される。
第2アンテナ素子9が、第1アンテナ素子7とグランド導体5に沿ってほぼ平行に長く設けられ、第1アンテナ素子7とグランド導体5との内側で形成されているので、第2アンテナ素子9と第1アンテナ素子7の間、及び第2アンテナ素子9とグランド導体5の間の電気容量を容易に大きく確保できる。
アンテナの給電線として、中心導体13の外側に外側導体17を配置した同軸ケーブル11が使用されるので、2共振アンテナ1に生じたノイズは、外側導体17によって吸収される。したがって、2共振アンテナ1は、ノイズの影響を受けにくい。
ポリイミド系の誘電体からなる基材3の表面に、薄膜金属素子からなる第1アンテナ素子7及び第2アンテナ素子9を形成することによって、2共振アンテナ1は製造されるので、アンテナ構造の簡易化、製造コストの安価化が実現される。
2共振アンテナ1の製造方法として、CCLを使用したエッチングやスクリーン印刷を用いて、2共振アンテナを製造することも可能である。この方法によれば、1つの工程で、グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9が、基材3上に形成されるので、グランド導体5の形状、第1アンテナ素子7の形状、第2アンテナ素子9の形状、及びグランド導体5と第2アンテナ素子9の相対位置、第1アンテナ素子7と第2アンテナ素子9の相対位置は、それぞれ正確に基材3上に固定される。したがって、グランド導体5と第2アンテナ素子9、及び第1アンテナ素子7と第2アンテナ素子9の間の電気容量は、正確な値を維持するとともに、2共振アンテナ1は短時間で大量に生産可能である。また、2共振アンテナ1の製造には、金型を必要としないので、初期投資の安価化及びアンテナ形状の柔軟性が実現される。
2周波対応無線LAN用アンテナとして、2共振アンテナ1をノートPC19に搭載する方法を次に説明する。
図8に示すように、2共振アンテナ1をノートPC19のLCD部20に設置する場合、2共振アンテナ1の基材3の一部をLDC面23の裏側に重ね合わせて、両面テープを介して、2共振アンテナ1をLCD部20のフレーム部に設置する。一般に、ノートPC19の軽薄化を図るために、LCD部20は非常に薄く設計されている。2共振アンテナ1の厚みは、100μm程度と非常に薄いので、2共振アンテナ1の設置により、LCD部20の厚みが増加するといった問題は生じない。
図10に示すように、2共振アンテナ1をノートPC19の筐体21のコーナー部に設置する場合、2共振アンテナ1を折り曲げて、両面テープを介して、ノートPC19の筐体21のコーナー部に設置する。2共振アンテナ1は、薄い可撓性のある基材3を基板としているので、アンテナ自体を曲げることができる。詳細には、図9に示すように、線分Lによって基材3を、垂直部25と水平部27に分けて、水平部27に対して垂直部25を+Z方向に垂直に折り曲げる。垂直部25は、第1アンテナ素子7の短絡部7Aの一部、第1アンテナ素子7の放射部7B、及び第2アンテナ素子9を有する。水平部27は、第1アンテナ素子7の短絡部7Aの残り部分及びグランド部5を有する。この構造により、共振アンテナ1は、ノートPC19の筐体21のコーナー部に設置可能となる。
2共振アンテナ装置として、2共振アンテナ1を支持部材33に貼り付ける方法を次に説明する。
図11は、2共振アンテナ装置31の斜視図である。なお、本実施形態では、支持部材33の長手方向をX軸、幅方向をY軸、高さ方向をZ軸とし、X軸、Y軸、Z軸はそれぞれ互いに直交する。2共振アンテナ装置31は、2共振アンテナ1と支持部材33を備える。なお、基材3、グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9は、可撓性を有する。
支持部材33は、剛性を有し、樹脂やセラミックス等の不導体(絶縁体)で構成される。支持部材33は、上端部35、接合部37、及び下端部39から一体に形成される。上端部35と下端部39の長手方向はX軸に沿い、幅方向はY軸に沿って配置される。上端部35の先端部35Aは、下端部39の先端部39Aより、−X側に位置する。接合部37の長手方向はZ軸に沿い、幅方向はY軸に沿って配置される。接合部37の一端は、上端部35の基端部35Bに接合され、接合部37の他端は、下端部39の基端部39Bに接合される。
基材3は、支持部材33の上端部35、接合部37、及び下端部39の合計長に等しくなるように設定される。基材3と支持部材33は、両面テープまたは接着剤を用いて、互いに固定される。基材3を支持部材33に固定した状態では、基材3は支持部材33の外面に沿って配置される。グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9は、基材3の折れ曲がりに応じて、折れ曲がり可能である。なお、基材3に剛性を持たせて、支持部材33の代わりとしてもよい。
2共振アンテナ装置31は、次のような特徴を有する。
支持部材33に基材3を貼り付けたときに、支持部材33と基材3の相対位置がずれても、グランド導体5の形状、第1アンテナ素子7の形状、第2アンテナ素子9の形状、グランド導体5と第2アンテナ素子9の相対位置、及び第1アンテナ素子7と第2アンテナ素子9の相対位置は、それぞれ変化しない。
基材3は立体的に形成されるので、2共振アンテナ装置31の設置面積は小さくなる。
2共振アンテナ装置31は、狭いスペースに設置可能であり、かつ、2つの正確な共振周波数を容易に取得可能である。また、基材3は立体的に形成されるので、三次元的な電波の放射や受信を良好に行える。
基材3の形状を変えないで、支持部材33の形状を変えることにより、2共振アンテナ装置31の形状を容易に変更可能である。
エッチング等によって、グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9は基材3上に形成される。したがって、各導体の形状精度、位置精度は正確に維持され、各導体の幅も1mm以下に設定可能である。さらに、各導体の形状は自由に形成でき、かつ、量産性の向上、及び製造コストの低減が実現される。
基材3は支持部材33に固定されるので、基材3、グランド導体5、第1アンテナ素子7、第2アンテナ素子9は変形しにくい。したがって、2共振アンテナ装置31の取り扱いが容易であり、かつ、共振周波数は所定の値を維持する。
各導体を設けた面を支持部材33に接触するように、基材3を支持部材33に固定すれば、各導体は2共振アンテナ装置31の表面に現れないので、各導体は傷つきにくい。
支持部材33は樹脂やセラミックス等で構成されるので、2共振アンテナ装置31の質量が軽減される。また、2共振アンテナ装置31は、従来の逆Fアンテナと同様な形状に形成されるので、従来の逆Fアンテナとの互換性を容易に確保できる。
支持部材33の表面に基材3を貼り付けるので、基材3の貼り付け作業は容易であり、2共振アンテナ装置31の製造作業も容易である。
同軸ケーブル11のシース18を用いて、第2アンテナ素子9が、同軸ケーブル11の中心導体13または外側導体15に直接導通しないようにすれば、絶縁性を備えた他の部材を別途用意することなく、2共振アンテナ装置31を構成できる。
なお、支持部材33の形状や基材3の形状を適宜変更してもよい。また、基材3に設けられたグランド導体5、第1アンテナ素子7、第2アンテナ素子9の形状を適宜変更してもよい。例えば、支持部材33を球状に形成し、この支持部材に応じた形状を有する基材を貼り付けて、2共振アンテナ装置31を構成してもよい。また、3つ以上の正確な共振周波数を取得するために、グランド導体5、第1アンテナ素子7、第2アンテナ素子9の他に導体を、基材3に別途設けてもよい。
図12Aは、本実施形態の2共振アンテナ1の第1変形例を示す図である。2共振アンテナ1Aは、基材3、グランド導体5、第1アンテナ素子7、第2アンテナ素子9、及び絶縁層40を備える。2共振アンテナ1と2共振アンテナ1Aの構成上の違いは、2共振アンテナ1Aの表面の一部分に薄い絶縁層40を被覆した点であり、それ以外の構成はすべて同じである。より詳細には、絶縁層40は、基材3、第1接合部7Cを除いた第1アンテナ素子7、第2アンテナ素子9、及び第2接合部5Bを除いたグランド導体5を被覆する。なお、絶縁層40は、少なくとも、第1接合部7Cを除いた第1アンテナ素子7、第2アンテナ素子9、及び第2接合部5Bを除いたグランド導体5を被覆していればよい。
図12Bは、本実施形態の2共振アンテナ1の第2変形例を示す図である。2共振アンテナ1Bと2共振アンテナ1Aの構成上の違いは、第1接合部7C及び第2接合部5BがY軸に沿って配置されてない点であり、それ以外の構成はすべて同じである。なお、2共振アンテナ1Bにおける第1接合部7C及び第2接合部5Bの配置は、2共振アンテナ1Bと同軸ケーブル11のインピーダンス調整を行った結果である。
2共振アンテナ1A,1Bは次のような特徴を有する。
絶縁層40の設置によって、グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9は損傷を受けにくい。
絶縁層40と基材3を異なる色に設定しておけば、第1接合部7Cと第2接合部5Bの位置は容易に判別される。
絶縁層40の設置によって、2共振アンテナ1A,1Bを他部材に直接接触させられるので、2共振アンテナ1A,1Bを無線通信機器に設置する場合、絶縁部材を別途設ける必要はなくなる。
図12Cは、本実施形態の2共振アンテナ1の第3変形例を示す図である。2共振アンテナ1Cと2共振アンテナ1との構成上の違いは、グランド導体5を、第1アンテナ素子7の幅と同一で、かつ、基材3の一方の端部から他方の端部に、X軸方向に沿って配置した点であり、それ以外の構成はすべて同じである。
本発明に係る2共振アンテナは、上述した実施形態に限定されることなく適宜変更可能である。
グランド導体5、第1アンテナ素子7、及び第2アンテナ素子9の全てが、基材3の表面に設けられている必要はなく、第2アンテナ素子9は、基材3の裏面に設けられてもよい。
グランド導体5と第1アンテナ素子7の組み合わせにより、スリット部6を形成しなくてもよく、また、第2アンテナ素子9をスリット部6に配置しなくてもよい。すなわち、基材3上に、大きな面積を有するグランド導体5を設けて、第1アンテナ素子7の一端をグランド導体5の一端に導通した後、グランド導体5と第1アンテナ素子7に直接結合しないように、基材3上に、第2アンテナ素子9が設けられていればよい。
同軸ケーブル11の代わりに、2つの導線が互いに平行に配置されたケーブルを使用してもよい。
グランド導体5、第1アンテナ素子7、第2アンテナ素子9のいずれにも直接結合しないように、基材3の表面に、複数のアンテナ素子を別途配置して、2つ以上の周波数に共振するように設計してもよい。
(第2実施形態)
図13は、2共振アンテナ41の平面図である。なお、本実施形態では、基材43の長辺方向をX軸、短辺方向をY軸とし、X軸とY軸は互いに直交する。
2共振アンテナ41は、フィルム状のアンテナであり、基材43、第1アンテナ素子45、第2アンテナ素子47、及びインピーダンス調整素子49を備える。基材43は、可撓性を有した帯状の薄い板であり、ポリイミド系の樹脂などの誘電体からなる。基材43の表面には、薄膜状の導体である、第1アンテナ素子45、第2アンテナ素子47、及びインピーダンス調整素子49が設けられる。
第1アンテナ素子45は、帯状の導体である、第1放射部45A、第2放射部45B、及び接合部45Cから構成される。第1放射部45AはX軸に沿って配置される。第2放射部45Bは、第1放射部45Aより+Y側に、かつ、X軸に沿って配置される。第2放射部45Bの先端45Gは、第1放射部45Aの先端45Fより、+X側に配置される。接合部45Cは、Y軸に沿って配置され、第1放射部45Aの基端部45Eと、第2放射部45Bの基端部45Dとを導通接続する。このような配置により、基材43上に、一部を開口したスリット部46が形成される。
第2アンテナ素子47は、帯状に形成される。第2アンテナ素子47は、スリット部46に、X軸に沿って配置される。第2アンテナ素子47の先端47Aは、第1放射部45Aの先端45Fより+X側に、かつ、第2放射部45Bの先端45Gより−X側に、配置される。
インピーダンス調整素子49は、帯状に形成される。インピーダンス調整素子49は、スリット部46で、第1アンテナ素子45の第2放射部45Bと第2アンテナ素子47の間に、X軸に沿って配置される。インピーダンス調整素子49の先端49Aは、第1アンテナ素子45の第2放射部45Bの先端45Gより+X側、かつ、第2アンテナ素子47の先端部47Aより+X側に配置される。インピーダンス調整素子49の基端部49Bは、第2アンテナ素子47の基端部47Bより+X側に配置される。なお、インピーダンス調整素子49は基材43の裏面に設けられてもよい。
2共振アンテナ41に使用されるアンテナ素子の長さは、第1アンテナ素子45の第1放射部45A、第2アンテナ素子47、第1アンテナ素子45の第2放射部45B、インピーダンス調整素子49の順に小さくなる。なお、2共振アンテナ41の共振周波数を調整するために、第1アンテナ素子45の第2放射部45Bの長さと、インピーダンス調整素子49の長さは、ともに変化可能である。
本実施形態で使用したアンテナ素子の実際のサイズは、図14に示すように、次のとおりである。第1アンテナ素子45の第1放射部45Aは、幅1mm、長さ54mmの導体である。第1アンテナ素子45の第2放射部45Bは、幅1mm、長さ20mmの導体である。第1アンテナ素子45の接合部45Cは、幅1mm、長さ3mmの導体である。第2アンテナ素子47は、幅1mm、長さ21mmの導体であり、第1アンテナ素子45の接合部45Cから約7mmだけ離れて、スリット部46に配置される。インピーダンス調整素子49は、幅1mm、長さ11mmの導体であり、第1アンテナ素子45の接合部45Cから約7mmだけ離れている。なお、インピーダンス調整素子49は、第2アンテナ素子47に対して、約3mmの範囲内であれば、X軸方向にずれて配置されてもよい。
同軸ケーブル11は、第1実施形態で使用した同軸ケーブルと同じ構成である。また、同軸ケーブル11の代わりに、2つの導線が互いに平行に配置されたケーブルを使用してもよい。
図13に示すように、第1アンテナ素子45の第2放射部45Bの一部には、第1アンテナ素子45を同軸ケーブル11の中心導体13に直流電流で導通接合するために、第1接合部51が設けられる。インピーダンス調整素子49の一部には、インピーダンス調整素子49を同軸ケーブル11の被覆材15に接触または接着材で固定するために、第1接触部53が設けられる。インピーダンス調整素子49は、同軸ケーブル11の被覆材15によって、同軸ケーブル11の中心導体13や外側導体17から絶縁されている。第2アンテナ素子47の一部には、第2アンテナ素子47を同軸ケーブル11の外側導体17に直流電流で導通接合するために、第2接合部55が設けられる。第1アンテナ素子45の第1放射部45Aの一部には、第1アンテナ素子45を同軸ケーブル11のシース18に接触または接着材で固定するために、第2接触部57が設けられる。第1放射部45Aは、同軸ケーブル11のシース18によって、同軸ケーブル11の中心導体13や外側導体17から絶縁されている。第1接合部51、第2接合部55、第1接触部53、及び第2接触部57は、Y軸に沿って、一直線上に配置される。
同軸ケーブル11の終端部で露出した中心導体13は、ハンダによって第1接合部51に接合される。被覆材15で被覆された中心導体13は、第1接触部53に接触または接着材で固定される。中心導体13は、インピーダンス調整素子49には直接電気的に接続されていないので、インピーダンス調整素子49と中心導体13との間に直流電圧を印加しても電流は流れない。同軸ケーブル11から露出した外側導体17は、ハンダによって第2接合部55に接合される。シース18で被覆された外側導体17は、第2接触部57に接触または接着材で固定される。外側導体17は、第1アンテナ45の第1放射部45Aに直接電気的に接続されていないので、第1放射部45Aと外側導体17との間に直流電圧を印加しても電流は流れない。
第1アンテナ素子45は、基材43を介して、第2アンテナ素子47及びインピーダンス調整素子49に容量結合される。このような配置は、コンデンサを介して、第1アンテナ素子45を、第2アンテナ素子47及びインピーダンス調整素子49に接続した配置と等価である。したがって、同軸ケーブル11の中心導体13に交流電流を流すと、第1アンテナ素子45と第2アンテナ素子47の間、かつ、第1アンテナ素子45とインピーダンス調整素子49の間に電流が流れる。
2共振アンテナ41の第1共振は、第1アンテナ素子45上に分布する電流によって生じる。第2共振アンテナ41の第2共振は、第2アンテナ素子47上に分布する電流によって生じる。インピーダンス調整素子49は、2共振アンテナ41と同軸ケーブル11のインピーダンスを調整して、VSWRの値を下げる機能を果たすので、VSWRの値が「2」より低い周波数を有する帯域幅が、複数領域にわたって確保される。
このように構成された2共振アンテナ41は、図15に示したVSWR特性と、図16Aに示した放射特性を有する。
図15に破線で示したグラフは、2共振アンテナ1のVSWR特性である。図15に実線で示したグラフは、2共振アンテナ41のVSWR特性である。図15において、VSWRの値が「2」より低い周波数を有する帯域幅は2領域に出現する。1つ目の領域は、2.3GHzから2.6GHzまでの範囲である。2つ目の領域は、4.5GHzから5.9GHzまでの範囲である。したがって、帯域幅は、2GHz帯で約300MHz、5GHz帯で約1400MHzとなる。
2共振アンテナ1では、周波数がほぼ5.15GHzのところで、VSWR値が極小値を示し、さらにVSWR値が「2」以下になる周波数の範囲(周波数帯域)は、5.1GHz〜5.2GHzである。2共振アンテナ41では、周波数がほぼ4.9GHzと5.8GHzのところで、VSWR値が極小値を示し、さらにVSWR値が「2」以下になる周波数の範囲(周波数帯域)は、4.5GHz〜5.9GHzであり、VSWR値が「2」以下になる周波数の範囲が広がっている。なお、上記周波数範囲の広がりは、上記各極小値が近づいていることが1つの要因になっている。2GHz周辺の共振周波数は、2共振アンテナ1とほぼ同様に発生している。
2共振アンテナ41の放射特性は、図16Aに示すように、2GHz帯と5GHz帯において、主偏波である垂直偏波は、ほぼ円形に近い形状になり、かつ、高利得性を有する。したがって、2共振アンテナ41は、アンテナとして必要な特性である、無指向性及び高利得性を有する。
2共振アンテナ41は、次の特徴を有する。
第1共振周波数を生成する第1アンテナ素子45と、第2共振周波数を生成する第2アンテナ素子47は、互いに独立して配置されるので、第1共振周波数と第2共振周波数の設定は自由に行われる。
インピーダンス調整素子49は、第1アンテナ素子45と第2アンテナ素子47に独立して配置されるので、2共振アンテナ41と同軸ケーブル11のインピーダンス調整は容易に行われる。
第1接合部51、第2接合部55、第1接触部53、第2接触部57の位置は、互いに独立して設定できるので、2共振アンテナ41と同軸ケーブル11のインピーダンス調整は容易に行われる。
第1接合部51、第2接合部55、第1接触部53、第2接触部57は基材43の表面に配置されるので、同軸ケーブル11の固定は簡易に行われる。さらに、第1接合部51、第2接合部55、第1接触部53、第2接触部57は1直線状に配置されるので、同軸ケーブル11を湾曲させずに、同軸ケーブル11の固定はより簡易に行われる。
第1アンテナ素子45の形状に依存して、一部を開口させたスリット部46を基材43上に形成して、帯状の第2アンテナ素子47とインピーダンス調整素子49をスリット部46に配置することにより、2共振アンテナ41は製造されるので、アンテナの小型化、薄型化が実現される。
第2アンテナ素子47は、第1アンテナ素子45の第1放射部45Aと第2放射部45Bと沿って平行に長く設けられ、第1放射部45Aと第2放射部45Bとの内側で形成されているので、第2アンテナ素子47と第1放射部45Aの間、及び第2アンテナ素子47と第2放射部45Bの間の電気容量を容易に大きく確保できる。
アンテナの給電線として、中心導体13の外側に外側導体17を配置した同軸ケーブル11が使用されるので、2共振アンテナ41に生じたノイズは、外側導体17によって吸収される。したがって、2共振アンテナ41は、ノイズの影響を受けにくい。
ポリイミド系の誘電体からなる基材3の表面に、薄膜金属素子からなる第1アンテナ素子45、第2アンテナ素子47、インピーダンス調整素子49を形成することによって、2共振アンテナ41は製造されるので、アンテナ構造の簡易化、製造コストの安価化が実現される。
2共振アンテナ41は5GHz帯で広い帯域幅を有するので、1つの2共振アンテナ41を用いて、5GHz帯で、複数の共振周波数を容易に発生することができる。また、2共振アンテナ41は、2共振アンテナ1と同様に、2GHz帯の共振周波数を発生することができる。
2周波対応無線LAN用アンテナとして、2共振アンテナ41を搭載する場合、第1実施形態に係る2共振アンテナ1と同様に、ノートPCのLCD部、ノートPCの筐体のコーナー部、または支持部材に設置可能である(図17,18及び19参照)。
また、2共振アンテナ41Aとして、2共振アンテナ41の表面の一部分を薄い絶縁層59で被覆することも可能である(図20参照)。より詳細には、絶縁層59は、基材43、第1接合部51を除いた第1アンテナ素子45、第2接合部55を除いた第2アンテナ素子47、インピーダンス調整素子49を被覆する。
(第3実施形態)
図21は、2共振アンテナ61の平面図である。なお、本実施形態では、基材43の長辺方向をX軸、短辺方向をY軸とし、X軸とY軸は互いに直交する。
2共振アンテナ61と第2実施形態に係る2共振アンテナ41の構成上の違いは、スリット部46からインピーダンス調整素子49を除いた点であり、それ以外の構成はすべて同じである。
同軸ケーブル11は、第1実施形態で使用した同軸ケーブルと同じ構成である。また、同軸ケーブル11の代わりに、2つの導線が互いに平行に配置されたケーブルを使用してもよい。
2共振アンテナ61の第1共振は、第1アンテナ素子45上に分布する電流によって生じる。2共振アンテナ61の第2共振は、第2アンテナ素子47上に分布する電流によって生じる。
このように構成された2共振アンテナ61は、図22に示したVSWR特性と、図23Aに示した放射特性を有する。
図22の破線で示したグラフは、2共振アンテナ1のVSWR特性である。図22の実線で示したグラフは、2共振アンテナ61のVSWR特性である。図22において、VSWRの値が「2」より低い周波数を有する帯域幅は2領域に出現する。1つ目の領域は、2.2GHzから2.6GHzまでの範囲である。2つ目の領域は、4.5GHzから6.0GHzまでの範囲である。したがって、帯域幅は、2GHz帯で約400MHz、5GHz帯で約1500MHzとなる。
2共振アンテナ1では、周波数がほぼ5.15GHzのところで、VSWR値が極小値を示し、さらにVSWR値が「2」以下になる周波数の範囲(周波数帯域)は、5.1GHz〜5.2GHzである。2共振アンテナ61では、周波数がほぼ4.7GHzと5.3GHzのところで、VSWR値が極小値を示し、さらにVSWR値が「2」以下になる周波数の範囲(周波数帯域)は、4.5GHz〜6.0GHzであり、VSWR値が「2」以下になる周波数の範囲が広がっている。なお、上記周波数範囲の広がりは、上記各極小値が近づいていることが1つの要因になっている。2GHz周辺の共振周波数は、2共振アンテナ1とほぼ同様に発生している。
2共振アンテナ61の放射特性は、図23Aに示すように、2GHz帯と5GHz帯において、主偏波である垂直偏波は、ほぼ円形に近い形状になり、かつ、高利得性を有する。したがって、2共振アンテナ61は、アンテナとして必要な特性である、無指向性及び高利得性を有する。
2共振アンテナ61は5GHz帯で広い帯域幅を有するので、1つの2共振アンテナ61を用いて、5GHz帯で、複数の共振周波数を容易に発生することができる。また、2共振アンテナ61は、2共振アンテナ1と同様に、2GHz帯の共振周波数を発生することができる。
2周波対応無線LAN用アンテナとして、2共振アンテナ61を搭載する場合、第1実施形態に係る2共振アンテナ1と同様に、ノートPCのLCD部、ノートPCの筐体のコーナー部、または支持部材に設置可能である。
2共振アンテナ61は、2共振アンテナ1とほぼ同じ特徴を有し、また、2共振アンテナ1の表面の一部分を薄い絶縁層で被覆することも可能である。
(第4実施形態)
図24は、2共振アンテナ81の平面図である。なお、本実施形態では、基材83の長辺方向をX軸、短辺方向をY軸、厚さ方向をZ軸とし、X軸、Y軸、Z軸はそれぞれ互いに直交する。
2共振アンテナ81と第2実施形態に係る2共振アンテナ41の構成上の違いは、基材83の裏面に、第1アンテナ素子89及び第2アンテナ素子91を設け、かつ、スルーホール93を用いて、第2アンテナ素子87,91を導通接続している点であり、それ以外の構成はすべて同じである。
スルーホール93は、基材83の中央部に設けられる。基材83の表面に第1アンテナ素子85を設け、基材83の裏面に第1アンテナ素子89を設けた状態において、第1アンテナ素子85と第1アンテナ素子89は、スルーホール93に対して、互いに点対称な位置に配置される。基材83の表面に第2アンテナ素子87を設け、基材83の裏面に第2アンテナ素子91を設けた状態において、第2アンテナ素子87と第2アンテナ素子91は、スルーホール93に対して、互いに点対称な位置に配置される。
第1アンテナ素子85の第2放射部85Bには、第1接合部を介して、同軸ケーブルの中心導体が直流電流で導通接合される。第2アンテナ素子87には、第2接合部を介して、同軸ケーブルの外側導体が直流電流で導通接合される。第1アンテナ素子85の第1放射部85Aには、接触部を介して、同軸ケーブルのシースが接触または接着材で固定される。第1放射部85Aは、同軸ケーブルのシースによって、同軸ケーブルの中心導体や外側導体から絶縁されている。第2アンテナ素子91には、第2接合部、第2アンテナ素子87、スルーホール93を介して、同軸ケーブルの外側導体が導通接合される。同軸ケーブルは基材83の表面のみに接合されるので、第1アンテナ素子89には、同軸ケーブルの中心導体や外側導体から絶縁されている。
なお、同軸ケーブルは、第1実施形態で使用した同軸ケーブルと同じ構成である。また、同軸ケーブルの代わりに、2つの導線が互いに平行に配置されたケーブルを使用してもよい。
第1アンテナ素子85,89、第2アンテナ素子87,91の形状と大きさを調整して、相互の位置関係を適切な状態にすることによって、2共振アンテナ81は4つの共振周波数を発生する。例えば、2GHz帯で2つの共振周波数を発生し、5GHz帯で2つの共振周波数を発生するように、第1アンテナ素子85と第2アンテナ素子87を基材83の表面に、第1アンテナ素子89と第2アンテナ素子91を基材83の裏面にそれぞれ配置すれば、2共振アンテナ81を1つ使用するだけで、2GHz帯及び5GHz帯の広い範囲で共振周波数が発生する。
なお、第1アンテナ素子85と第1アンテナ素子89の形状は同一である必要はない。同様に、第2アンテナ素子87と第2アンテナ素子91の形状も同一である必要はない。
2周波対応無線LAN用アンテナとして、2共振アンテナ81を搭載する場合、第1実施形態に係る2共振アンテナ1と同様に、ノートPCのLCD部、ノートPCの筐体のコーナー部、または支持部材に設置可能である。
2共振アンテナ81は、2共振アンテナ1とほぼ同じ特徴を有し、また、2共振アンテナ1の表面の一部分を薄い絶縁層で被覆することも可能である。