JP4295021B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、画像形成装置本体に付設される原稿走査装置や操作パネルの可動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、原稿画像あるいは画像情報に応じた画像を形成する画像形成部を装置本体をなす筐体内に装備した構成だけでなく、筐体上部に原稿走査装置さらにはその近傍に操作パネルなどを設けた構成がある。
【0003】
通常、画像形成装置は、床上などに設置され、オペレータがその前に立って操作パネルや原稿のセットさらには形成された画像を担持しているシートなどの取り出しを行うことが多いが、近年、車椅子の使用者や椅子に腰掛けたままで操作を行う場合も検討されてきており、このため、従来の画像形成装置のように、床面から原稿走査装置あるいは操作パネルまでの高さを固定とするのでなく、例えば操作パネルを傾動させて可変できるようにした構成が提案されてきている(例えば、特許文献1)。
【0004】
操作パネルを傾動させる構成とは別に、床面から原稿走査装置や操作パネルに至る高さを、原稿走査装置の支持部を上下動さえることで変化させる構成も提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
一方、画像形成装置には、その設置スペース内にシートの排出部を含ませて画像形成装置が専有する面積を小さくするようにした構成があり、具体的には、画像形成装置の上面などの位置に排紙トレイを設けた胴内排紙と称される構成がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−119498号公報(段落「0027」欄、図7)
【特許文献2】
特開2001−160883号公報(段落「0039」欄、図4
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、原稿走査装置や操作パネルの位置を変更する構成においては、原稿走査装置や操作パネルが床面からの高さを低くされたままの状態で画像形成処理のための指令が出されると、原稿走査や画像形成処理が実行されることになるが、画像を担持しているシートが排出される構成として、上述した胴内排紙が可能な構成を対象とした場合には、排紙トレイにオペレータの手を差し入れるスペースが少なくなり、出力された印刷物や複写物を取り出しにくくなる虞がある。
【0008】
このような不具合に対して特許文献2には、原稿走査装置を上昇させてシート取り出しのためのスペースを設けるようにした構成が示されているが、このための駆動機構が複雑化し、装置の大型化を招く虞がある。しかも、定常位置から高さを上昇させた場合には、画像形成装置自体の重心位置が高くなることで安定性が悪化し、例えば車椅子が突き当たったような場合に倒れる虞もある。
【0009】
一方、胴内排紙に加えて画像形成装置の側壁から張り出した状態で設けられている排紙トレイへの排紙経路を設定して高さが低くされているときに胴内排紙ではなく画像形成装置外に排紙するように搬送経路を切り換えるようにした構成も特許文献2に示されているが、この構成では、操作パネルや原稿走査装置がその高さを変えられたというだけで強制的に搬送経路が切り換えられてオペレータが位置している画像形成装置の正面から側面へと移動を強いられてしまうことになり、オペレータへの負担が大きくなる虞がある。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置、特に床面からの高さを変更可能な構成を備えた画像形成装置において、画像形成装置の操作部の位置をオペレータの操作がしやすい位置に変更した場合に、画像出力されたシートの取り出し作業もなるべく移動などを必要とすることなく比較的簡単に行える構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、画像形成に用いる装置を装備した画像形成部と、該画像形成部にて画像形成された記録シートを該画像形成部の上方に載置するとともに装置正面から記録シートを取り出し可能な開口部を有する排紙部と、該排紙部の上方に配置されている原稿走査装置および操作部とを備えた画像形成装置において、上記原稿走査装置および操作部のうちの少なくとも操作部は、定常高さから低い位置に変更可能な構成とされ、低い位置に変更された後、画像形成処理を開始すると該定常高さに復帰する構成とされていることを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、原稿走査装置は上記画像形成部上方で前後に摺動可能に設けられ、上記操作部は上記原稿走査装置の摺動方向一端側で傾動可能に設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、上記原稿走査装置は上記画像形成部上方で前後に摺動可能に設けられ、上記操作部は上記原稿走査装置の摺動方向一端で上下に摺動可能に設けられていることを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態よる画像形成装置の外観図を示しており、同図に示す画像形成装置1は、図示しないが、内部に潜像担持体およびこれに対する画像形成処理を実行するための帯電装置、書き込み装置、現像装置、転写装置およびクリーニング装置さらには定着装置や給紙および排紙装置を備えた画像形成部を備えた筐体1Aを主要部として備えており、画像形成部を構成する筐体1Aの上方には、排紙装置から排出される記録シートを積載収容可能な内部側排紙トレイ1Bが設けられ、さらに画像形成部の上方には、原稿走査装置2および操舵部をなす操作パネル3が設けてある。
【0022】
内部側排紙トレイ1Bは、画像形成装置1の正面側およびこれと直角な方向の一方が開放された空間を有しており、その空間の高さSHは、積載された記録シートを取り出す際にオペレータの手が挿入できる高さに設定されている。
【0023】
筐体1Aの上方に配置されている原稿走査装置2は、直立状態で平面視においてL字状に設けられている筐体1Aの一部で構成された支持部1Cにおいて水平な状態で搭載されており、画像形成装置1の正面側には一体的に設けられた操作パネル3が装備されている。筐体1A側の支持部1Cの一部には、内部側排紙トレイ1Bに向けて画像を転写された記録シートを排出する排紙口1B1が設けられている。
【0024】
原稿走査装置2および操作パネル3は、初期状態として原稿走査装置2が内部側排紙トレイ1Bの空間の高さSHの位置において水平となる状態が設定されており、この状態の高さ、つまり、床面からの定常高さを低い位置に変更できるようになっている。
原稿走査装置2および操作パネル3の定常高さからの変更は、車椅子の利用者や背の低い人がオペレータとなって画像形成装置1を使用する場合の対策であり、健常者等が使用する場合には上述した初期状態が維持される。
【0025】
図2は、定常高さから低い位置に変更するための構成を示す図であり、同図において、原稿走査装置2は筐体1A側に搭載されている支持部1Cの上面で筐体1Aの前後に摺動可能に設けられ、操作パネル3は原稿走査装置2の摺動方向一端、図2では画像形成装置1の正面側の端面において傾動可能に設けられている。このため、支持部1Cの上面には、筐体1の前後方向に延長されたガイドレール4が一対で設けられ、このガイドレール4に原稿走査装置2の底面に設けてある駒体などの摺動体が嵌合させてある。ガイドレール4には、図示しないが、筐体1Aの前後方向への摺動限界を規定する係止部が設けられており、係止部に対して原稿走査装置2側の摺動体が衝止されることにより脱落が防止されるようになっている。
ガイドレール4への原稿走査装置2の装着は、摺動体をガイドレール4に嵌合させた状態で原稿走査装置2の底面を摺動体に填め込むなどの構成が採用されており、摺動体はガイドレールに設けられている係止部を取り外すことで嵌合できる構成が用いられている。
【0026】
操作パネル3は、原稿走査装置2に対してヒンジピン3Aを介してヒンジ結合されて傾動する構成とされ、ヒンジ結合部の近傍には、操作パネル3側に固定された位置規制部材5が設けられている。
位置規制部材5は、操作パネル3の傾動角度を規定する部材であり、固定されている操作パネル側から原稿走査装置2側に向けて長手方向を設定されたアームで構成されており、該アームの自由端には図示しないが、原稿走査装置2の側面に形成されている凹部に弾性力を介して係脱可能な球状突起が設けられている。原稿走査装置2の側面に形成されている凹部は、位置規制部材5の揺動軌跡中で操作パネル3を水平方向に張り出させる位置と操作パネル3を所定角度に下向けさせることができる位置とに設けられている。
【0027】
原稿走査装置2はオペレータが引き動かすことができるようになっており、また操作パネル3も上述した凹部と球状突起との係合力以上の力により傾動あるいは元の水平状態に動かせるようになっている。
【0028】
一方、筐体1Aの支持部1Cにおける正面側の壁部(便宜上、図2において符号1C1で示す)には、液晶表示パネル6と非常停止指令用の押しボタンスイッチ7が設けられている。液晶表示パネル6は、操作パネル3が水平状態に復帰した場合に筐体1Aの正面から記録紙サイズや枚数表示などの設定内容が表示できるようになっており、また、非常停止用の押しボタンスイッチ7は、オペレータが自分で設定した枚数の入力数が間違っていたような場合に記録シートの無駄な消費を防ぐために操作されるものであり、水平状態にある操作パネル3へ手を伸ばさなくても正面側で操作できるようになっている。
【0029】
操作パネル3には、画像形成に必要な情報の入力部と入力内容の表示部と画像形成開始指令スイッチとが主要部として備えられており、図2においては、入力部にテンキースイッチ群8およびモード選択スイッチ群8’が設けられ、表示部に液晶表示パネル9、そして画像形成開始を指令するスタートスイッチ10が設けられている。なお、液晶表示パネル9は、単に情報を表示するだけの機能に限らず、いわゆる、タッチパネル構造を用いることで情報入力部として機能させることも可能である。
【0030】
本実施形態では、原稿走査装置2および操作パネル3がそれぞれ可動構造とされており、特に、操作パネル3は、所定角度に傾動させる場合に原稿走査装置2の側面側に位置する凹部と操作パネル3側の位置規制部材5に有する球状突起との係脱関係により傾動状態を設定するようになっているが、この構成に代えて、操作パネル3の自重による回転モーメントを利用するようにしても良い。つまり、支持部1Cにおける原稿走査装置2を搭載している支持部1Cの搭載面のサイズを、原稿走査装置1Aが正面に移動した際に操作パネル3が搭載面から外れる関係としておき、搭載面から外れた操作パネル3が自重による回転モーメントにおり所定角度に傾動する構成とすることも可能である。この場合においても、操作パネル3の傾動角度は規定される必要があるので、所定の角度に傾動した際に操作パネル3を衝止するストッパを原稿走査装置2の正面側に設けるようになっている。
【0031】
本実施形態では、健常者などが画像形成装置を利用する場合、原稿走査装置2および操作パネル3は初期状態に維持される。つまり、原稿走査装置2および操作パネル3がいずれも支持部1Cにおいて水平に搭載された状態で維持される。
一方、車椅子の利用者や背の低い人が画像形成装置1を利用する場合には、操作パネル3がこれの定常高さよりも低い位置に変更される。
この場合には、操作パネル3を筐体1Aの正面側に引き動かすことにより操作パネル3を傾動しやすい状態とし、操作パネル3を押し下げることで傾けたりあるいは操作パネル3の自重により傾く状態に設定する。これにより、操作パネル3は定常高さよりも低い位置でオペレータに対面することになり、さらに、傾くことによりスイッチ類の操作をしやすい状態とすることができる。
【0032】
本実施形態における原稿走査装置2および操作パネル3は、操作パネル3に設けてあるスタートスイッチ10が操作されて画像形成処理が開始されると初期状態である定常高さの位置に復帰させることができる。
図2に示した構成においては、自重により操作パネル3が傾動する構成の場合でいうと、スタートスイッチ10が操作された後に操作パネル3を押し上げるとともに原稿走査装置2を押し動かすことで初期状態への復帰が行われ、原稿走査装置2および操作パネル3が定常高さの位置に戻される。
【0033】
一方、初期状態である定常高さへの復帰のための構成としては、上述したオペレータによる操作に限らず、スタートスイッチ10の操作と連動させて自動的に行わせることも可能である。以下、この構成について説明する。
図3は、原稿走査装置2および操作パネル3に摺動並びに傾動に係る制御機構を説明するためのブロック図であり、同図において画像形成処理全般のシーケンス制御を行う制御部11には、図示しないI/Oインターフェースを介して本実施形態に関係するものとして、入力側に操作パネル3に設けられている各種入力部材(便宜上、纏めて符号12で示すが、図2に示したテンキースイッチ群8やモード選択スイッチ群8’さらにはタッチパネルが用いられる場合の液晶表示パネル9などが含まれている)、スタートスイッチ10および非常停止用の押しボタンスイッチ7が接続され、出力側には、後述する高さ変更手段13が接続されている。この場合での操作入力部には、図示しないが、操作パネル3を傾動させるための指令スイッチも含まれている。
【0034】
高さ変更手段13は、操作パネル3が自重により傾動する場合を対象とすると、原稿走査装置2と筐体1Aの支持部1C側とに相対連結されたリニアモータが用いられ、その移動ストロークとして、操作パネル3が支持部1Cの上面に位置する場合と支持部1Cの上面から外れて自重によるモーメントで傾動できる状態とを設定するストロークを設定され、その移動開始時期および移動方向が制御部11により制御されるようになっている、
制御部11では、操作入力部12において操作パネル3の傾動を指令されると、高さ変更手段13に用いられるリニアモータが駆動されて原稿走査装置2が支持部1C上で筐体1Aの正面に向けて摺動を開始され、操作パネル3が自重による回転モーメントによって傾動できる位置に達するとリニアモータが停止される。なお、この場合のリニアモータでの移動量は、予めパルス数などを設定しておき、エンコーダにより摺動開始時からのパルス数に基づき停止時期を設定するようになっているが、これに限らず、支持部1Cに設けたリミットスイッチなどによって移動量を規定するようにしても良い。
【0035】
一方、制御部11では、操作入力部12において入力操作が終了してスタートスイッチ10が操作されると、このスタートスイッチ10のオン信号により画像形成処理に必要な処理が実行されるとともに高さ変更手段13が元の状態、つまり操作パネル3が水平な状態で支持部1Cに搭載される状態に復帰される。これにより、操作パネル3が傾動したことにより内部側排紙トレイ1Bの空間内への手を差し入れる空間面積が確保されることになる。なお、上記高さ変更手段13の構成としては、操作パネル3が自重により傾動する場合の他に、原稿走査装置2と操作パネル3との間の係脱機構を用いた場合あるいはこれに代えて、原稿走査装置2側は上述したリニアモータを用い、操作パネル3側には、図4中、符号14で示すセクタギヤとこれを回動させる駆動モータ14Aとを設け、セクタギヤ14を原稿走査装置2側に設けてある不動のギヤ15に噛み合わせることで傾動角を規定する傾動機構を設けても良い。傾動状態にある操作パネル3の態位検出は、リニアモータの初期状態からの回動の有無によって判別することが可能である。
【0036】
本実施形態は以上のような構成であるから、健常者が画像形成装置を使用する場合には原稿走査装置2および操作パネル3,特に、傾動可能な操作パネル3は水平状態で筐体1Aの支持部1C上面に搭載されている。
【0037】
一方、車椅子の利用者あるいは背の低い人が画像形成装置1を使用する場合、原稿走査装置2を筐体1Aの正面に向けて引き動かしたりあるいは高さ変更手段13を摺動スイッチにより駆動することにより原稿走査装置2を筐体1Aの正面に向けて摺動させ、操作パネル3を自重によりあるいは傾動機構を用いて操作パネル3を傾動させて定常高さの位置から低い位置に操作面を対面させる。
原稿走査装置2が筐体1Aの正面側に引き出されることで原稿セットのために手が届きやすい状態、つまり、使用者側に近づけた状態とすることができるとともに、操作パネル3との対面状態が操作しやすい状態とされる。
【0038】
スタートスイッチ10の操作により画像形成処理が開始されると、オペレータ自らによる原稿走査装置2の元位置への復動あるいは高さ変更手段13や傾動機構を駆動することによる原稿走査装置2の復動および操作パネル3の水平状態への復帰が行われる。これにより、画像形処理後に排出される記録シートが内部側排紙トレイ1Bに排出されると、内部側排紙トレイ1Bが位置する空間の高さSH(図1参照)が手を差し入れて記録シートを取り出せる高さに維持することができる。この結果、操作パネル3の傾動を必要とする使用者は、自動的あるいは内部側排紙トレイ1Bから記録シートを取り出す際に操作パネル3が水平状態に戻ることになるので、記録シートの取り出しも操作時での姿勢を変えることなく行うことが可能となる。
【0039】
本実施形態によれば、定常高さにある原稿走査装置2および操作パネル3が定常高さよりも低くなるように動作するので、画像形成装置1の重心位置が定常高さよりも高くなることがなく、これにより、重心位置が高くなった場合のような不安定な状態の発生を防止することができる。
【0040】
上記実施形態においては、原稿走査装置2の一部に操作パネル3が一体的に設けられていることを前提としているが、本実施形態においては、原稿走査装置2に対して操作パネル3を着脱可能に設けることも可能である。つまり、原稿走査装置2は前述した構成と同様に筐体1Aの前後に摺動できるようにする一方、操作パネル3は原稿走査装置2に対して着脱できる構成とされ、車椅子の利用者や背の低い人が画像形成装置1を使用する場合に操作パネル3を原稿走査装置2から取り外して用いる。この場合、操作パネル3には、原稿走査装置2の摺動、特に、筐体1Aの前方への摺動を行わせるためのスイッチも常備されている。この構成においては、操作パネル3を使用者の最も操作しやすい位置に移動させることができるので、詳細なセッティングなどを行う際に、規定された位置で無理な姿勢により行う操作に比べて楽な姿勢で操作を行うことが可能となる。
【0041】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
図5は、原稿走査装置2を筐体1Aの前後に摺動させる一方、操作パネル3は垂直方向に昇降させるようにした例を示している。
図5において、原稿走査装置2における摺動方向一端、つまり、筐体1Aの正面側の端面には操作パネル3を昇降させるためのガイドレール16が一対で設けられており、ガイドレール16には、これに対面する操作パネル3側の面に設けられている摺動体(図示されず)が嵌合されている。
【0042】
操作パネル3は、図示しないが、原稿走査装置2側の端面と操作パネル3側の対向面とにそれぞれ設けられて互いに係合するネジロッドとボールネジとにより昇降動作が可能となっており、昇降量は、ネジロッドが出力軸に設けてある駆動モータ(図示されず)の回転量で規定され、その回転量による昇降位置は、図2に示した構成と同様に、操作パネル3が水平な状態で支持部1C側の上面に位置する場合とそれよりも低い位置となる場合とが得られる回転量とされている。
【0043】
操作パネル3には、定常高さを維持するために、その側面に弾性付勢されて通常突出している係合部材17が設けられており、係合部材17は、原稿走査装置2側の側面に形成されている凹部2Sに係合できるようになっている。これにより、係合部材17は、昇降時、原稿走査装置2側の凹部2Sから外れて原稿走査装置2の端面に差し掛かると弾性付勢に抗して操作パネル3側に移動することで操作パネル3の昇降動作を阻害することがなく、下降した位置から上昇して凹部に対向すると係合して定常高さに操作パネル3を保持することができる。
【0044】
この構成においても、図2に示した構成と同様に、図示しないが、非常停止用の押しボタンスイッチ7(図2参照)および液晶表示パネル6(図2参照)が筐体1Aの支持部における正面側の支持部1C1に設けてある。
【0045】
この構成においては、原稿走査装置2が筐体1Aの上面で前後に摺動する一方、操作パネル3は昇降することになるので、原稿セットが行いやすいように使用者に近づけた位置に原稿走査装置2が位置決めされるとともに、操作しやすい位置に操作パネル3を位置決めすることができる。なお、原稿走査装置2および操作パネル3の摺動および昇降動作の駆動源に対しては、図3に示した制御部11に対してその制御対象の一部を変更するだけで同様に用いることができる。
【0046】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図6は、原稿走査装置2および操作パネル3をともに傾動させるようにした構成を示している。
同図に示す構成では、原稿走査装置2と操作パネル3とが一体構造とされており、原稿走査装置2の一端、つまり操作パネル3が位置する側と反対側の端部が揺動支点となるように、支持ピン18を介して筐体1の支持部1Cに設けられた支持片1C2において揺動可能に支持されている。
【0047】
操作パネル3側の支持部1C1には、傾動した場合の操作パネル3の端部を受け止める受け部1C3が設けられており、この受け部1C3の下方には、図示しないが、図2に示した液晶表示パネル6および非常停止用の押しボタンスイッチ7が設けられている。
【0048】
原稿走査装置2の揺動支点側には、原稿走査装置2を揺動させて傾動させるための手段が設けられており、この手段としては、図示しないが、支持ピン18に固定されているギヤと支持片1C2内でギヤに噛み合う駆動ギヤを備えた駆動モータで構成されている。駆動モータの回転量は、図4に示した制御部11によって規定されるようになっており、定常高さにある原稿走査装置2および操作パネル3がその高さよりも低い位置に変化することができる回転量とされている。なお、支持部1C1の構成に関しては、図示しないが、図2に示した構成と同様である。
【0049】
この構成においては、定常高さにあって水平状態に位置決めされている原稿走査装置2および操作パネル3は、車椅子の利用者や背の低い人が使用する場合に支持ピン18が回動されることにより定常高さの位置から低い位置に原稿走査装置2および操作パネル3が位置するように傾動されることになる。傾動した操作パネル3は支持部1Cの受け部1C4によって受け止められてその位置で保持される。
【0050】
この構成によれば、原稿走査装置2および操作パネル3がともに傾動することになるので、原稿セットおよび画像形成のための入力操作がしやすい状態に位置決めすることができる。なお、傾動した状態で原稿走査装置2に原稿をセットする場合にはその傾動角度によっては原稿の落下という事態を招くが、この構成では、かような不具合の発生を防ぐために、原稿走査装置2の原稿載置台2Aを覆うカバー2Bを弾性付勢しておき、原稿をセットし終わるとカバー2Bを閉じることで原稿を押さえて落下を防止するようになっている。
【0051】
次に本発明のさらに別の実施形態について説明する。
本実施形態は、傾動可能な操作パネル3の存在により内部側排紙トレイ1Bからの記録シートの取り出しが行いにくい場合の対策を採ったことを特徴としている。
図7は、画像形成装置1に排紙された記録シートの綴じ処理やソーティングあるいはコレーティングを行うための後処理装置100が付設されている状態を示す外観図であり、この図では図2に示したと同じ構成の原稿走査装置2および操作パネル3の可動機構が対象となっている。
図7に示す後処理装置100を備えた画像形成装置1は、図8に示すように、内部側排紙トレイ1Bの下部に中継搬送部101が設けられており、中継搬送部101の内部には、画像形成部から排出された記録シートを後処理装置100に向け搬送するための構成が備えられている。
【0052】
いまここで、図8に示す画像形成装置の構成を簡単に説明すると次の通りである。
筐体1A内で画像形成部として用いられる空間内には、感光体ドラムA1が設けられ、この周囲には、画像形成処理を実行する帯電装置(図示されず)、書き込み装置A2、現像装置A3および転写装置A4さらにはクリーニング装置(図示されず)が設けられている。感光体ドラムA1に形成された可視像は筐体1Aの下部に位置する給紙装置A5から繰り出された記録シートに転写され、記録シートは定着装置A6による画像定着を経て内部側排紙トレイ1Bと中継搬送部101との分岐位置に達し、その位置に設けられている切り換え爪102によって搬送経路が選択されて搬送される。
【0053】
切り換え爪102は、図9に示す制御部103によって態位設定されるようになっており、制御部103では内部側排紙トレイ1Bに対して記録シートを取り出す際の手の進入が阻まれていると判断した場合に中継搬送部101に向けて記録シートを搬送するように切り換え爪102の態位を設定するとともに、この態位設定時には、後処理装置100側では大量排紙トレイ100Bの高さを操作パネル3の傾動態位に応じた位置に設定するようになっている。
【0054】
図9において、制御部103は、原稿走査装置2の摺動位置および操作パネル3の傾動態位を検知する高さ変更センサ104が接続されており、出力側には切り換え爪102の駆動部102Aおよび後処理装置100でのトレイ駆動装置の駆動部(図9ではトレイ駆動部と示してある)105が接続されている。
【0055】
後処理装置100は、中継搬送部100から繰り出された記録シートを収容するプルーフトレイ100Aと、大量排紙トレイ100Bとを備えており、プルーフトレイ100Aは不動であるが、大量排紙トレイ100Bは積載量に応じて記録シートの繰り出し位置に対する高さ方向の位置を変化できるように移動可能な構成とされている。
【0056】
本実施形態では、高さ変更センサ104が原稿走査装置2の摺動位置の変化あるいは操作パネル3の定常高さからの変化を検知することにより定常高さに各部が位置している場合に設定される内部側排紙トレイ1Bに向けた記録シートの搬送方向を後処理装置100に向けた搬送方向に変更するように切り換え爪101の態位を設定するようになっている。つまり、原稿走査装置2あるいは操作パネル3が定常位置から低い位置に位置決めされると、定常高さにある場合に手を差しれることができた内部側排紙トレイ1Bの空間高さSH(図1参照)が減少することにより手を入れにくくなることを前提として、排紙位置を後処理装置100側に設定し、さらに、後処理装置100側での大量排紙トレイ100Bの高さを概ね傾動状態にある操作パネル3の高さに整合させるように大量排紙トレイ100Bを移動させるようになっている、
なお、高さ変更センサ104は、各部の位置の変化を検知するための構成、例えば、リミットスイッチやエンコーダなどに代えて、操作パネル3を軽装させるための駆動手段を用いる場合にはその駆動手段への始動スイッチのオン信号に基づいて内部側橋トレイ1Bの空間高さが狭小に変化したことを判別するようにしても良い。また、この実施形態においても、筐体1Aの支持部1C1に液晶表示パネル6や非常停止用の押しボタンスイッチ7を設けておくこと勿論可能である。
【0057】
本実施形態は以上のような構成であるから、図8以前の図に示したような画像形成開始のためのスタートスイッチの操作により原稿走査装置2および操作パネル3が元の状態に復帰する構成ではないので、傾動した操作パネル3は、画像形成処理が終了するまでの間、傾動したままに維持される。このため、操作パネル3が傾動したことが判断されると制御部103では、内部側排紙トレイ1Bの空間高さが減少したと判断して記録シートの搬送方向を後処理装置100に向けた搬送方向に変更するように切り換え爪102の態位を設定する。さらに加えて、切り換え爪102により記録シートの搬送方向が後処理装置100側に設定されるのに合わせて大量排紙トレイ100Bが操作パネル3の高さとほぼ同じとなるような位置に位置決めされる。
本実施形態においては、操作パネル3の傾動による操作のしやすさを得られるばかりでなく画像形成後に排出される記録シートの取り出しにおいても操作しやすい位置で行えることになる。
【0058】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、原稿走査装置およびまたは操作部のうちの少なくとも操作部は定常高さから低い位置に変更することができるので、車椅子の使用者などのように低い位置での操作が要求される場合にその要求を満たすことができる。しかも、画像形成が開始される時点では低い位置にあった原稿走査装置およびまたは操作部が定常高さに復帰するので、次のオペレータが健常者であるような場合には原稿走査装置およびまたは操作部の位置を使いやすい位置に自動的に復元することが可能となる。しかも、定常高さから低い位置に変更するので、画像形成装置での重心位置が定常位置の場合よりも高くなることがないので、装置の安定性を維持することが可能となる。
【0063】
請求項2および3記載の発明によれば、原稿走査装置が前後に摺動可能であり、操作部が原稿走査装置の摺動方向一端で傾動可能あるいは上下動可能であるので、オペレータに対して原稿走査装置および操作部を接近させ、かつ、操作部を傾けることあるいは下降させることでオペレータによる原稿セットおよび画像形成指令などの操作を行いやすい状態とすることができ、しかも、摺動および傾動により定常高さよりも高くならないことにより装置の重心位置を高くすることがないことにより安定性を維持して装置が倒れるような事態を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による画像形成装置の一例を示す外観図である。
【図2】本発明の実施形態による画像形成装置の要部を示す斜視図である。
【図3】図2に示した画像形成装置に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図2に示した画像形成装置の要部に用いられる構成の一つを示す模式図である。
【図5】本発明の別の実施形態による画像形成装置の要部構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態による画像形成装置の要部構成を示す斜視図である。
【図7】本発明のさらに別の実施形態による画像形成装置の要部構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示した画像形成装置とこれに付設される後処理装置との構成を説明するための模式図である。
【図9】図7および図8に示した画像形成装置に用いられる制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
1A 筐体
1B 内部側排紙トレイ
2 原稿走査装置
3 操作パネル
3A 傾動用ヒンジピン
4,16 ガイドレール
7 非常停止用押しボタンスイッチ
10 スタートスイッチ
11,103 制御部
12 操作入力部
13 高さ変更手段
18 傾動用支持ピン
100 画像形成部外部に位置する後処理装置
100B 大量排紙トレイ
102 切り換え爪
104 高さ変更センサ
105 トレイ駆動部
Claims (3)
- 画像形成に用いる装置を装備した画像形成部と、該画像形成部にて画像形成された記録シートを該画像形成部の上方に載置するとともに装置正面から記録シートを取り出し可能な開口部を有する排紙部と、該排紙部の上方に配置されている原稿走査装置および操作部とを備えた画像形成装置において、
上記原稿走査装置および操作部のうちの少なくとも操作部は、定常高さから低い位置に変更可能な構成とされ、低い位置に変更された後、画像形成処理を開始すると該定常高さに復帰する構成とされていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
原稿走査装置は上記画像形成部上方で前後に摺動可能に設けられ、上記操作部は上記原稿走査装置の摺動方向一端側で傾動可能に設けられていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
上記原稿走査装置は上記画像形成部上方で前後に摺動可能に設けられ、上記操作部は上記原稿走査装置の摺動方向一端で上下に摺動可能に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
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