JP4293842B2 - 防水シール装着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線端末部に防水シールを装着するための防水シール装着装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電線端末部にゴム等からなるチューブ状の防水シールを装着し、端子を圧着する電線処理装置があり、例えば、測長ユニットと、フロントクランプと、カッターユニットと、リアクランプと、フロントシール送給機構と、フロントシール装着機構と、フロント端子圧着ユニットと、リアシール送給機構と、リアシール装着機構と、リア端子圧着ユニットと、フロント移動手段と、リア移動手段とを備えた構造とされていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、電線送給ラインに沿って所定量送給された電線が、フロントクランプおよびリアクランプによりそれぞれ把持され、カッターユニットにより切断処理されて、フロントクランプにより把持された電線と、リアクランプにより把持された電線とに分離される。
【0004】
その後、フロントクランプに把持された電線端末部は、フロントシール装着機構位置に移動操作され、フロントシール装着機構位置で、フロントシール送給機構により順次送給されてくる防水シールをフロントシール装着機構のシールホルダが受け取り、電線の挿入によって電線端末部に防水シールが套嵌状に装着される。
【0005】
その後、電線端末部はカッターユニット位置に戻され、カッターユニット位置で、カッターユニットにより電線端末部の防水シール装着位置より端部側の被覆を剥取り、芯線部を露出させる被覆剥取処理が行われる。
【0006】
次に、被覆剥取処理が行われた電線端末部は、フロント端子圧着ユニット位置に移動操作され、フロント端子圧着ユニット位置で、フロント端子圧着ユニットによりその被覆剥取部分に端子が圧着処理される。
【0007】
端子の圧着処理後、電線端末部はフロント移動手段の駆動によりカッターユニットと対向する位置に戻される。この後、測長ユニットにより電線が電線送給ラインに沿って所定量送給される。
【0008】
その後、フロントクランプおよびリアクランプにより電線がそれぞれ把持され、カッターユニットにより切断されて、フロントクランプにより把持された電線と、リアクランプにより把持された電線とに分離される。そして、フロントクランプにより把持された電線端末部は前述と同様に端子の圧着処理がなされる。
【0009】
一方、リアクランプに把持された電線端末部は、リアシール装着機構位置に移動操作され、リアシール装着機構位置で、リアシール送給機構により順次送給されてくる防水シールをリアシール装着機構のシールホルダが受け取り、電線の挿入によって電線端末部に防水シールが套嵌状に装着される。
【0010】
その後、電線端末部はカッターユニット位置に戻され、カッターユニット位置で、カッターユニットにより電線端末部の防水シール装着位置より端部側の被覆を剥取り、芯線部を露出させる被覆剥取処理が行われる。
【0011】
次に、被覆剥取処理が行われた電線端末部は、リア端子圧着ユニット位置に移動操作され、リア端子圧着ユニット位置で、リア端子圧着ユニットによりその被覆剥取部分に端子が圧着処理される。
【0012】
端子の圧着処理後、排出手段により電線が所定の電線排出部に排出され、リアクランプはリア移動手段の駆動によりカッターユニットと対向する位置に戻される。このようにして両端に防水シールが装着された状態で、端子が圧着処理されたハーネスが順次製造されるように構成されていた。
【0013】
ところで、防水シールによる防水性能を発揮させるべく、防水シールの内径は、挿入される電線の外径よりも僅かに小径に形成され、電線の挿入状態で防水シールの内周面が電線の外周面にその弾性により密着する構造とされている。
【0014】
従って、防水シールに対する電線の挿入に際し、防水シールは径方向外方にふくらみを生じ、一方、シールホルダは金属等の剛体で形成されているため、防水シールの前記ふくらみを拘束している。このため、防水シールに対する電線の挿入抵抗が大きくなり、挿入困難となったり、防水シールを損傷するおそれがあった。
【0015】
また、防水シールの前記ふくらみ分を考慮して若干のクリアランスを有する状態で防水シールを保持するシールホルダを構成すれば、防水シールのホールド性が失われ、電線の挿入時に位置ずれしたりして、電線に対する防水シールの装着位置が安定しないという問題がある。
【0016】
そこで、このような問題点を解消すべく、防水シールに電線が挿入される際の防水シールの径方向外方へのふくらみを逃がすための周溝等からなる変形許容部を形成した構造のシールホルダが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0017】
【特許文献1】
特開平11−345668号公報
【特許文献2】
特開平8−83663号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献2に開示のシールホルダにおいても、防水シールを直接、保持する保持部分は剛体構造であるため、電線の挿入抵抗軽減効果もあまり得られず、近年の防水シールのコンパクト化に対して、前記保持部分を所定面積確保すれば周溝等からなる変形許容部をあまり確保できず、また、薄肉による防水シールのコンパクト化に対してはシールホルダの保持部分によって防水シールの前記ふくらみがほとんど許容されず、防水シールに対する電線の挿入抵抗が大きくなって、挿入困難となったり、防水シールを損傷するおそれがあった。
【0019】
そこで、本発明の課題は、防水シールの径方向外方へのふくらみを許容した状態で保持することによって、電線の挿入抵抗を軽減して電線の円滑な挿入を図ると共に、防水シールの損傷防止を図った防水シール装着装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための技術的手段は、シールホルダに保持されたチューブ状の防水シールに電線を挿入して、電線端末部に防水シールを装着する防水シール装着装置において、前記シールホルダの少なくとも前記防水シールを嵌合して保持するシール嵌合凹部が形成された保持部が、可撓材で形成されると共に当該保持部の内周面が円滑面に形成され、クランプにより把持した前記電線を送り出し操作して前記シールホルダの前記シール嵌合凹部に嵌合されて保持された前記防水シールに前記電線を挿入して電線端末部に防水シールを装着し、このシールホルダのシール嵌合凹部に防水シールが保持された状態で、前記電線端末部に防水シールが装着された状態の前記電線を引き抜く機構を備えている点にある。
【0023】
また、前記保持部の内周面に潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給機構を備えた構造としてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
なお、本実施形態は、本願出願人による前記特許文献1に記載の電線処理装置における防水シール装着装置を改良した構造とされており、その要部を図1に示している。
【0026】
即ち、電線処理装置は、電線端末部にゴム等からなるチューブ状の防水シールを装着し、端子を圧着する構造とされており、従来同様、測長ユニットと、フロントクランプと、カッターユニットと、リアクランプと、フロントシール送給機構と、フロントシール装着機構と、フロント端子圧着ユニットと、リアシール送給機構と、リアシール装着機構と、リア端子圧着ユニットと、フロント移動手段と、リア移動手段とを備えている。
【0027】
そして、前述同様、電線送給ラインに沿って所定方向に所定量送給された電線が切断処理されて、それら各電線端末部に防水シールがそれぞれ套嵌状に装着される。
【0028】
その後、各電線端末部の防水シール装着位置より端部側の被覆を剥取り、芯線部を露出させる被覆剥取処理が行われ、その被覆剥取部分に端子がそれぞれ圧着処理され、両端に防水シールが装着された状態で、端子が圧着処理されたハーネスが順次製造されるように構成されている。
【0029】
そして、各シール送給機構が、電線処理装置の本体架台とは、異なる別の分離架台上に設置されており、各シール送給機構は、防水シールを順次整列供給するシール供給機構としての振動式パーツフィーダを備えている。なお、フロントおよびリアの各シール送給機構は同様に構成されているため、一方について説明する。
【0030】
図1に示すように、パーツフィーダから順次整列供給される防水シール1を単一毎、所定位置に分離移動させる分離ブロック2を備え、分離ブロック2には、単一の防水シール1が載置状に収容されるシール収容凹部2aが形成されると共に、シール収容凹部2a位置に対応して防水シール1が通過不能なより小径の上下方向貫通状のエア案内孔2bが形成されている。
【0031】
そして、分離ブロック2の下面側には、エア案内孔2bに連通状とされるフレキシブルな圧縮エア供給ホース3の一端部が着脱自在に接続されている。また、圧縮エア供給ホース3の他端部は、開閉バルブ機構等を介してコンプレッサ等の圧縮エア供給手段側に接続されており、開閉バルブ機構の開閉操作に応じて送給エアとしての圧縮エアをエア案内孔2b側に供給・停止制御されるように構成されている。
【0032】
さらに、圧縮エアの供給経路4途中に、潤滑オイルの一例としてのシリコンオイルをミスト状として供給する潤滑オイル供給路5が接続されており、適宜備えられた開閉バルブ機構の開閉操作により、圧縮エアの供給経路4を通じて供給される圧縮エア内に必要に応じてミスト状のシリコンオイルを混入・停止制御できるように構成されている。
【0033】
なお、前記防水シール1は端子が圧着される小径の端子圧着部1aとシールに寄与する大径のシール部1bとを備え、大径のシール部1bを下側とし、小径の端子圧着部1aを上側とした縦向き姿勢で前記シール収容凹部2aに載置状に収容されるように構成されている。
【0034】
また、分離ブロック2の移動位置に対応して保持ブロック6が配置されており、分離ブロック2のエア案内孔2bに対応する位置には、防水シール1が通過可能な上下方向貫通状のシール案内孔6aが形成されている。そして、保持ブロック6の上面側には、シール案内孔6aに連通状とされるフレキシブルなシール供給ホース7の一端部が着脱自在に接続されている。
【0035】
そして、保持ブロック6のシール案内孔6a位置に、分離ブロック2に収容された防水シール1が移動された状態で、圧縮エアが圧縮エア供給ホース3を通じてエア案内孔2bに供給されると、シール収容凹部2aに位置する防水シール1は圧縮エアの圧力により圧縮エアと共にシール案内孔6aを通じてシール供給ホース7内に侵入され、圧縮エアと共にシール供給ホース7に沿って他端側に移動されるように構成されている。
【0036】
ここに、これら圧縮エア供給ホース3や開閉バルブ機構や圧縮エア供給手段等により、防水シール1をシール供給ホース7に沿って移動させる送給エア供給機構が構成される。
【0037】
また、各シール供給ホース7の他端部側は、各シール装着機構に備えられたホース支持ブロック8の上面側に着脱自在に接続されており、ホース支持ブロック8にはシール供給ホース7と連通する防水シール1が通過可能な上下方向貫通状のシール案内孔8aが形成されている。
【0038】
シール案内孔8aの下方位置には、ホルダ支持ブロック10が配置され、その上面側には、シールホルダ11がネジ構造等により着脱自在に取り付けられている。そして、シールホルダ11の上面はホース支持ブロック8の下面に近接配置された状態とされ、シール案内孔8aに対向するシールホルダ11の上面側には、シール供給ホース7に沿って送給されてきた防水シール1が嵌合されるシール嵌合凹部12aが形成されている。
【0039】
この際、本実施形態におけるシールホルダ11は、図2にも示される如く、アルミ合金や鉄等の金属材や硬質樹脂等からなる剛体構造とされたホルダ本体11aと、ホルダ本体11aの先端部に形成された保持凹部11bに嵌合されると共に接着剤等により固着された可撓材、例えばウレタン系ゴムにより形成された適宜肉厚を有する保持部12とからなり、保持部12に前記シール嵌合凹部12aが形成されている。この際、シール嵌合凹部12aは、防水シール1の端子圧着部1aが嵌合される奥側の小径部と、シール部1bが嵌合される手前側の大径部とからなり、小径部と大径部との段差部分で防水シール1のシール嵌合凹部12a通過が阻止される構造とされている。なお、保持部12の固着は接着剤に限られず、固定ピン等をホルダ本体11aにまたがって貫通させる構造であってもよく、固着できる構造であればよい。
【0040】
また、ホルダ本体11aには、保持部12のシール嵌合凹部12aに連通するエア吸引孔11cがその軸心方向に形成されており、図1に示される如く、ホルダ支持ブロック10に装着された状態で、エア吸引孔11cはホルダ支持ブロック10に形成された上下方向貫通状のエア吸引孔10aに連通する構造とされている。
【0041】
そして、ホルダ支持ブロック10の下面側には、フレキシブルな吸引ホース14の一端部が着脱自在に接続され、吸引ホース14の他端部は、開閉バルブ機構等を介して真空ポンプ等のエア吸引手段側に接続されており、開閉バルブ機構の開閉操作に応じてシール嵌合凹部12a側のエアを吸引・停止制御されるように構成されている。
【0042】
ここに、これら吸引ホース14や開閉バルブ機構やエア吸引手段等により、シール嵌合凹部12aのエアを吸引するエア吸引機構が構成される。
【0043】
さらに、ホルダ支持ブロック10の一側には、図1に示されるシールホルダ11の縦向き姿勢と、ホルダ支持ブロック10を90度回動操作して図3に示されるシールホルダ11の横向き姿勢とに姿勢変更操作自在な位置移動機構としてのロータリアクチュエータが備えられている。
【0044】
また、横向き姿勢とされたシールホルダ11のシール嵌合凹部12a側には、電線ガイド機構15が近接配置されており、該電線ガイド機構15は、上下一対の電線ガイド体16を備え、各電線ガイド体16はそれぞれ同期して互いに接近離隔操作される操作ブロック17にネジ締結等により着脱自在に取付け固定されている。
【0045】
そして、各電線ガイド体16の互いに対向する面部には、その接触状態でシールホルダ11方向に漸次径小となるテーパガイド面18aと、防水シール1に挿通される電線19の外径より僅かに大径の挿通ガイド面18bと構成する電線ガイド溝18がそれぞれ形成されている。
【0046】
本実施形態は以上のように構成されており、次に、防水シール1を電線に装着する工程を図1、図3ないし図8に基づき説明する。
【0047】
図1に示される如く、パーツフィーダによって順次整列供給されてきた防水シール1における供給方向下流側先頭の防水シール1が、分離ブロック2のシール収容凹部2a内に収容されて、保持ブロック6のシール案内孔6a下方の対応位置に移動される。
【0048】
そして、シール案内孔6a対応位置に防水シール1が到着すると、圧縮エア供給ホース3を通じて圧縮エアが供給され、この圧縮エアによりシール収容凹部2aの防水シール1がシール案内孔6a、シール供給ホース7およびシール案内孔8aを通じてシールホルダ11側に送給案内される。
【0049】
この圧縮エアの供給に連動してシール装着機構側では、吸引ホース14を通じてエアが吸引され、ここに図1に示される如く、エア吸引状態のシール嵌合凹部12aに送給案内されてきた防水シール1が嵌合され、シール嵌合凹部12aに防水シール1が吸着状に嵌合された状態で保持される。
【0050】
一方、防水シール1が圧送された後の分離ブロック2は、防水シール1を受け取る初期位置に戻される。
【0051】
次に、シール嵌合凹部12aに防水シール1が供給されたことを適宜備えられた検出センサからの検出信号により検出すると、ロータリアクチュエータが作動してシールホルダ11が縦向き姿勢から図3に示される横向き姿勢に姿勢変更される。この姿勢変更に際して、前記吸引ホース14を通じてのエア吸引は継続されており、防水シール1はシール嵌合凹部12aに吸着された状態で姿勢変更される。
【0052】
そして、この横向き姿勢においては、両電線ガイド体16によって構成された電線ガイド溝18の軸心と防水シール1の軸心とが一致するように構成されている。
【0053】
その後、吸引ホース14によるエア吸引が停止され、シール装着機構位置に到着して待機している電線19端末部が、電線ガイド溝18方向に送り出し操作され、図4に示される如く、電線ガイド体16のテーパガイド面18aおよび挿通ガイド面18bによる案内下、シールホルダ11に備えられた保持部12のシール嵌合凹部12aに嵌合保持されている防水シール1の孔部に挿通状に挿入される。この際、電線19は製品としての規定長さよりも若干長く(例えば2〜3mm程度)挿入されるように制御されている。
【0054】
次に、この状態で電線19が若干引き戻し操作されると、防水シール1の孔部に電線19端末部が僅かに圧入状に挿入されており、その摩擦抵抗により電線19と共に防水シール1もシール嵌合凹部12aより離脱する方向に移動される。そして、図5に示すように、防水シール1が電線ガイド機構15の電線ガイド溝18周縁部に当接した状態が得られる。
【0055】
この防水シール1が電線ガイド機構15に当接した状態で、さらに、電線19を若干引き戻し操作することにより、防水シール1の移動が規制された状態で電線19が引き戻されて、防水シール1の装着位置が調整され、図6に示されるように、電線19端末部の製品としての規定長さ位置に対応する所定位置に防水シール1が装着された状態が得られる。
【0056】
その後、図7に示されるように、各電線ガイド体16が互いに離隔する上下方向に開操作され、その後、図8に示される如く、電線19が初期位置に引き戻し操作される。ここに、防水シール1がシール嵌合凹部12aより完全に離脱され、電線19端末部の所定位置に防水シール1が装着された状態が得られる。そして、このように電線19を把持して送り出し操作や引き戻し操作を行うフロントクランプやフロント移動手段もしくは、リアクランプやリア移動手段により、シール嵌合凹部12aに防水シール1が保持された状態で、電線19端末部に防水シール1が装着された状態の電線19を引き抜く機構が構成されている。
【0057】
なお、この電線19が初期位置に引き戻し操作された後、シールホルダ11や各電線ガイド体16は図1に示される初期位置に戻される。
【0058】
また、所定時間経過毎に(例えば1時間に1回)、圧縮エアの供給経路4を通じて圧縮エアが供給されるタイミングで、潤滑オイル供給路5を通じてミスト状のシリコンオイルを圧縮エアの供給経路4に供給すれば、圧縮エアにミスト状のシリコンオイルが混入された状態で、圧縮エアと共にシリコンオイルが圧縮エア供給ホース3、エア案内孔2b、シール案内孔6a、シール供給ホース7、シール案内孔8a、シール嵌合凹部12a、エア吸引孔11c、エア吸引孔10aおよび吸引ホース14を通じて吸引され、これらの各経路内面がシリコンオイルで定期的に潤滑される。ここに、これら潤滑オイル供給路5等により保持部12の内周面であるシール嵌合凹部12aにシリコンオイルを供給する潤滑オイル供給機構を構成している。
【0059】
以上のように、本実施形態においては、電線19の挿入に際して防水シール1を保持するシールホルダ11の保持部12が、弾性を有する可撓材としてのウレタン系ゴムにより形成されているため、防水シール1の径方向外方へのふくらみを許容した状態で保持した構造となり、電線19を挿入した際に、従来のような剛体構造で防水シール1を保持している場合と比較して、防水シール1は径方向外方に容易にふくらむため、電線19の挿入抵抗がより一層軽減されて、防水シール1に対する電線19の円滑な挿入が行える。
【0060】
また、電線19が円滑に挿入できるため、防水シール1の損傷も有効に防止できる利点がある。
【0061】
従って、従来では困難であった薄肉、小型の防水シール1であっても、電線19の挿入が有効に実施できる。
【0062】
さらに、従来構造におけるシールホルダを、本実施形態におけるシールホルダ11に変更する一部の部品交換のみよって容易に対応できる利点もある。
【0063】
また、防水シール1が圧縮エアにより圧送されるシール案内孔6a、シール供給ホース7等の圧送経路を潤滑オイル供給機構により定期的に潤滑する構造としているため、防水シール1のシール収容凹部2a位置からシール案内孔6aやシール供給ホース7内への侵入や、シール供給ホース7内での移動およびシール供給ホース7側からシール案内孔8aを通じてのシール嵌合凹部12a側への移動がより円滑になされ、防水シール1の移動経路途中での詰まりが有効に防止でき、防水シール1の安定した供給が得られる。
【0064】
さらに、保持部12の内周面であるシール嵌合凹部12aもシリコンオイルにより定期的に潤滑されるため、防水シール1に対する電線19挿入後における電線19の引き戻し操作に際して、防水シール1のシール嵌合凹部12aからの離脱も円滑になされる利点がある。
【0065】
また、防水シール1に対して電線19を規定長さよりも若干長く挿入し、その後、電線19の引き戻し操作時に各電線ガイド体16を利用して防水シール1の装着位置を戻し調整して、電線19の所定位置に防水シール1を戻す方式としているため、可撓性を有する保持部12で防水シール1を保持しているにもかかわらず、最終的に電線19における防水シール1の装着位置が安定して得られる利点がある。
【0066】
なお、保持部12の内周面であるシール嵌合凹部12aは、防水シール1の嵌合や離脱がより円滑になされるように、円滑面に形成することがより好ましく、例えば、保持部12の成形材料として、円滑面を構成するのに好ましいシリコン系ゴム等の適宜材料を選択してもよい。
【0067】
図9は第2の実施形態を示しており、上記第1の実施形態と同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
即ち、第1の実施形態においては、シールホルダ11における保持部12が、保持凹部11bに嵌合されて接着剤等により固着した構造を示しているが、本実施形態では、保持部12の挿入側端部に径方向外方に張出形成されたフランジ状の張出係止部12bが備えられ、ホルダ本体11aにおける保持凹部11bの奥側に対応した位置に、張出係止部12bに対応する形状の係止凹部11dがさらに形成された構造とされている。
【0069】
そして、張出係止部12bを弾性変形させた状態で、ホルダ本体11aの保持凹部11bに保持部12を嵌合させれば、張出係止部12bが弾性復帰して係止凹部11dに抜止め係止される構造とされている。
【0070】
本実施形態におけるシールホルダ11も第1の実施形態と同様に使用される。従って、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を奏すると共に、保持部12が傷んだ場合には、張出係止部12bの弾性変形を介して容易に交換できる利点もある。
【0071】
図10は第3の実施形態を示しており、上記第1の実施形態と同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
即ち、本実施形態においては、ホルダ本体11aのエア吸引孔11c部分に保持部12を挿入した後、金属製の抜止め筒21を挿入し、止めネジ22をホルダ本体11aに螺合することにより抜止め筒21を着脱自在に固定する構造とされている。
【0073】
本実施形態におけるシールホルダ11も第1の実施形態と同様に使用され、第1の実施形態と同様の効果を奏すると共に、保持部12が傷んだ場合には、止めネジ22および抜止め筒21を外して保持部12を容易に交換することができる利点がある。
【0074】
図11は第4の実施形態を示しており、上記第1の実施形態と同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
即ち、本実施形態においては、シールホルダ11における防水シール1を保持する保持部12が、適宜厚みを有するコーティングにより形成された構造とされている。このような保持部12を形成する方法としては、例えば、インサートインジェクション等により形成すればよい。また、保持部12の厚みは防水シール1に対する電線19の挿入時に、防水シール1の径方向外方へのふくらみを許容可能な厚みを有していればよい。
【0076】
本実施形態におけるシールホルダ11も第1の実施形態と同様に使用され、第1の実施形態と同様の効果を奏する
図12は第5の実施形態を示しており、上記第1の実施形態と同様構成部分は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
即ち、本実施形態においては、シールホルダ11が複数の分割ホルダ体11A、11Bから構成された構造とされ、ホルダ本体11aや保持部12も対応して複数に分割された構造とされている。
【0078】
そして、各分割ホルダ体11A、11Bは、互いに接離操作自在にホルダ支持ブロック10に支持され、アクチュエータ24等の開閉操作機構により各分割ホルダ体11A、11Bは接離操作される構造とされている。
【0079】
また、その他の構造は第1の実施形態と同様に構成され、通常は各分割ホルダ体11A、11Bは互いに当接する閉状態とされている。そして、シール嵌合凹部12aに保持された防水シール1に電線19が挿入された後、アクチュエータ24等の開閉操作機構が作動して開操作され、各分割ホルダ体11A、11Bが互いに離隔するように制御されている。その後、電線19の引き戻し操作が終了すると、アクチュエータ24等の開閉操作機構が作動して各分割ホルダ体11A、11Bが閉操作され、初期状態に復帰する構造とされている。
【0080】
従って、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を奏すると共に、電線19の挿入によって防水シール1に径方向外方へのふくらみを生じている場合においても、電線19の引き戻し操作に際して、各分割ホルダ体11A、11Bが互いに離隔する構造であるため、シール嵌合凹部12aからの防水シール1の離脱がより円滑になされる利点がある。
【0081】
なお、上記各実施形態においては、シールホルダ11における保持部12のみを可撓材で形成した構造を示しているが、所望の保形性が確保でき、防水シール1の電線19挿入時における径方向外方へのふくらみを許容可能な例えばナイロン系樹脂等の可撓材でシールホルダ11全体を形成する構造としてもよく、少なくとも防水シール1を保持する保持部12が可撓材で形成されていればよい。
【0082】
また、圧縮エアにより防水シール1をシールホルダ11に供給する構造を示しているが、機構的に供給する構造であってもよく、シールホルダ11も前記特許文献2にも開示のように拡開操作自在な分割構造であってもよい。
【0083】
さらに、シールホルダ11におけるエア吸引孔11cの孔径も、防水シール1の形状、例えば小径の端子圧着部1aと大径のシール部1bとの相互間に径差がほとんどない場合等にあっては、防水シール1が通過不能な小径に構成すればよく、必要に応じて適宜決定すればよい。
【0084】
また、潤滑オイル供給機構により定期的に潤滑オイルを供給する構造を示しているが、潤滑オイルを必要に応じて定期的に塗布する方法を採用してもよく、さらには前記定期的な間隔も必要に応じて適宜決定すればよい。
【0085】
【発明の効果】
以上のように、本発明の防水シール装着装置によれば、シールホルダの少なくとも防水シールを嵌合して保持するシール嵌合凹部が形成された保持部が、可撓材で形成されると共に当該保持部の内周面が円滑面に形成され、クランプにより把持した前記電線を送り出し操作して前記シールホルダの前記シール嵌合凹部に嵌合されて保持された前記防水シールに前記電線を挿入して電線端末部に防水シールを装着し、このシールホルダのシール嵌合凹部に防水シールが保持された状態で、前記電線端末部に防水シールが装着された状態の前記電線を引き抜く機構を備えているため、防水シールの径方向外方へのふくらみを許容した状態で保持することができ、電線を挿入した際に、従来のような剛体構造で防水シールを保持している場合と比較して、防水シールは径方向外方に容易にふくらむため、電線の挿入抵抗が軽減されて、防水シールに対する電線の円滑な挿入が行え、防水シールの損傷も有効に防止できる利点がある。
【0086】
また、保持部の内周面が円滑面に形成されているため、保持部に対する防水シールの供給や離脱がより円滑になされ、シールホルダのシール嵌合凹部に防水シールが保持された状態で、電線端末部に防水シールが装着された状態の電線を引き抜く際にも離脱が円滑になされる利点がある。
【0088】
また、保持部の内周面に潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給機構を備えた構造とすれば、シールホルダの保持部に対する防水シールの供給や離脱が円滑になされる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す概略説明図である。
【図2】同シールホルダの拡大断面図である。
【図3】電線の挿入動作を示す動作説明図である。
【図4】電線の挿入動作を示す動作説明図である。
【図5】電線の挿入動作を示す動作説明図である。
【図6】電線の挿入動作を示す動作説明図である。
【図7】電線の挿入動作を示す動作説明図である。
【図8】電線の挿入動作を示す動作説明図である。
【図9】第2の実施形態を示す要部断面図である。
【図10】第3の実施形態を示す要部断面図である。
【図11】第4の実施形態を示す要部断面図である。
【図12】第5の実施形態を示す要部説明図である。
【符号の説明】
1 防水シール
3 圧縮エア供給ホース
4 圧縮エアの供給経路
5 潤滑オイル供給路
7 シール供給ホース
10 ホルダ支持ブロック
11 シールホルダ
11a ホルダ本体
11b 保持凹部
11c エア吸引孔
12 保持部
12a シール嵌合凹部
14 吸引ホース
15 電線ガイド機構
19 電線

Claims (2)

  1. シールホルダに保持されたチューブ状の防水シールに電線を挿入して、電線端末部に防水シールを装着する防水シール装着装置において、
    前記シールホルダの少なくとも前記防水シールを嵌合して保持するシール嵌合凹部が形成された保持部が、可撓材で形成されると共に当該保持部の内周面が円滑面に形成され、
    クランプにより把持した前記電線を送り出し操作して前記シールホルダの前記シール嵌合凹部に嵌合されて保持された前記防水シールに前記電線を挿入して電線端末部に防水シールを装着し、このシールホルダのシール嵌合凹部に防水シールが保持された状態で、前記電線端末部に防水シールが装着された状態の前記電線を引き抜く機構を備えていることを特徴とする防水シール装着装置。
  2. 前記保持部の内周面に潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の防水シール装着装置。
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