JP2004042234A - ゴム栓の装着方法及びゴム栓挿入装置 - Google Patents

ゴム栓の装着方法及びゴム栓挿入装置 Download PDF

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Nobuaki Yamakawa
山川 暢章
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Abstract

【課題】コネクタの端子収容室に装着されて、該コネクタ内への水の侵入を防止するようにした、極めて小型でかつ強度の弱いゴム栓を変形させることなく、かつ損傷を与えることなく受渡しピンから装着ピンに受け渡し、電線の正規の装着位置にバラツキなく、確実に装着することができるゴム栓挿入装置を提供する。
【解決手段】軸方向に穴が設けられた装着ピン8に、ゴム栓4を外嵌させた後、装着ピン8の穴内に電線11を所定の位置まで挿入し、装着ピン8をゴム栓4から引き抜いて該ゴム栓4を装着ピン8から電線11に移し変えて装着するように構成されている。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム栓の装着方法及びゴム栓挿入装置に関し、詳しくはコネクタに挿入される細径の電線に、極めて小型で且つ剛性の小さなゴム栓を損傷させることなく、且つ取付け位置のバラツキなく確実に装着することができるようにしたゴム栓の装着方法及びゴム栓挿入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輛、特にエンジンルーム内等に配置して使用される電線のコネクタは、雨等によって濡れる使用環境にあり、防水の目的から電線をゴム栓に挿通させてコネクタハウジングに装着し、該コネクタハウジングと電線との間を水密に封止するようになっている。
近年、コネクタの小型化、電線の細線化に伴い、該電線に使用されるゴム栓も極めて小さくなり、外部からの力で容易に変形し易くなっている。
【0003】
従来のゴム栓挿入装置として、例えば特開平9−290332号公報に開示されているものは、フィーダによって整列させて水平方向に搬送されるゴム栓を、受渡しピンを下方から上昇させてゴム栓の下端を押圧し、フィーダの上方に配置されたゴム栓保持部の保持溝内に挿入して受け渡すようになっている。
ゴム栓保持部は、ゴム栓の受渡し位置から90°回転して電線への装着位置へと回動し、電線の先端を突出させた状態で保持する電線ガイドに対向させる。また、ゴム栓保持部は、左右に分割可能な一対の半割り部材から構成されており、夫々の半割り部材には、保持溝が半分ずつ形成されている。
【0004】
電線ガイドとゴム栓保持部とを接近させてゴム栓の穴に電線を挿入する時、一対の半割り部材を広げてゴム栓の拘束力を低減させて電線の挿入抵抗を低下させる。また、電線ガイドとゴム栓保持部には、夫々テーパ部及び該テーパ部に当接するテーパガイド面が設けられており、電線挿入時に電線ガイドとゴム栓保持部との中心線を一致させて容易に電線をゴム栓の穴に挿入できるようになっている。
【0005】
従来の他のゴム栓挿入装置として、例えば特開2000−184547号公報には、立てた状態でフィーダによって水平方向に搬送されるゴム栓を、押し込み棒によりゴム栓の下端を押圧して上方に突き出し、ゴム栓の穴を上方で待機しているゴム栓保持棒に挿通させる。
その際、ゴム栓の外形と同一形状の穴が形成されたゴム栓ガイドによってゴム栓の外周をガイドしながら穴に挿通するようにして、ゴム栓の大きさにかかわらず、ゴム栓への挿入を部品の破損等の心配なく行えるようにしたものが開示されている。また、電線をゴム栓の穴に挿入するには、ゴム栓ホルダによってゴム栓保持棒からゴム栓を引き抜いた後、電線を穴に挿入して装着するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平9−290332号公報に開示されたゴム栓挿入装置は、ゴム栓を垂直に整列させて搬送し、ゴム栓を下方から押し出してゴム栓保持部の保持溝内に挿入して受け渡すようにした、比較的大型のゴム栓用の装置である。したがって、極めて小型のゴム栓は径が細いため、垂直に整列させて搬送することはできない。
また、剛性が弱いので、垂直に配置されたゴム栓の下端を単に押圧するだけでは、該ゴム栓が座屈してしまい、ゴム栓を押し出して保持溝内に挿入するのは困難であるなど、全く対応することができないという問題があった。
また、ゴム栓の電線への装着は、電線ガイドのテーパ部と、ゴム栓保持部のテーパガイド面とを当接させて中心線を一致させ、保持溝内に保持されているゴム栓を前進させてゴム栓の穴に電線を挿入し、該電線上を滑らせて所定の位置に装着するようにしたものであり、細く剛性の弱い電線が折れ曲がり、正常に挿入することができない可能性があり、確実性に乏しいという問題があった。
【0007】
上記特開2000−184547号公報に開示のゴム栓挿入装置は、ゴム栓の穴をロータリー盤に配設されたゴム栓保持棒に挿通して保持し、該ロータリー盤を回動させて電線への装着位置に搬送し、該ゴム栓をゴム栓保持棒から引き抜いた後、電線に装着するようにしたものである。したがって、ゴム栓保持棒をゴム栓の穴に挿通させて保持するようにしたので、小型のゴム栓を保持することはできるが、該ゴム栓保持棒への挿通は、ゴム栓の外周をゴム栓ガイドによってガイドしながら、押し込み棒によってゴム栓の端面を下方から押圧して挿通させるようにしているので、強度の弱いゴム栓が座屈してしまい、ゴム栓保持棒への挿通が困難であるという問題があった。
また、ゴム栓の電線への装着は、ゴム栓保持棒からゴム栓を一旦引き抜き、ゴム栓ホルダで保持したゴム栓の穴に電線の先端を挿入し、該電線の上を滑らせて所定の位置に装着するようになっており、細く剛性の弱い電線、特に滑りの良くない電線への挿入においては、ゴム栓の変形等が生じて確実に装着することができない場合があり、改善の余地があった。
【0008】
上述したように、無理に挿通させようとすると、ゴム栓の受渡し時、又は電線への装着時に、ゴム栓が変形してしまい、挿入装置の部品間に挟まれて切れる等の損傷を与える場合があり、電線への装着が困難となるという問題があった。
また、ゴム栓を電線の上で滑らせながら装着する、従来のゴム栓挿入装置によると、極めて小さなゴム栓に座屈が発生して該ゴム栓に損傷を与えたり、例え損傷を与えずに電線に装着できても、ゴム栓が変形した状態のまま装着されたり、或いは装着位置がばらついて正規の装着位置に装着されず、封止機能が不完全となってしまうという大きな問題があった。
すなわち、ゴム栓の装着が正常になされないと、コネクタの封止機能が不完全となり、雨天時に該コネクタで短絡が発生して突然車輛が停止するなどの不具合の原因となるという問題があった。
極めて小型で、かつ強度の弱いゴム栓に対応して電線の所定の位置に確実に装着することができるゴム栓挿入装置の開発がコネクタの小型化を推進する上で急務であった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、極めて小型で、かつ強度の弱いゴム栓に対応して、該ゴム栓に損傷を与えることなく、変形させることなく受け渡し、電線の正規の装着位置に確実に装着することができるゴム栓の装着方法及びゴム栓挿入装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のゴム栓の装着方法は、軸方向の先端に穴を有する装着ピンに外嵌させたゴム栓をゴム栓ホルダで保持すると共に、前記電線の先端と前記装着ピンの前記穴とを対向させ、且つ前記装着ピンと前記電線とを一直線上に配置して前記電線を電線ガイドで保持し、前記ゴム栓ホルダを前記装着ピンと共に前記電線に接近させる方向に移動させて前記装着ピンの前記穴内に前記電線の前記先端を所定長さ挿入した後、前記ゴム栓ホルダは移動させずに前記装着ピンのみを前記電線から離間する方向に移動させて、前記ゴム栓を前記装着ピンから前記電線に移し変えて該電線に装着するようにしたことを特徴とする。
【0011】
前記構成のゴム栓の装着方法によれば、軸方向に穴が設けられた装着ピンにゴム栓を外嵌させた後、装着ピンの穴に電線を所定の位置まで挿入するようにしたので、電線の挿入抵抗を大幅に低減させることができるとともに、細くかつ剛性の小さな電線でも座屈することなく、確実に挿入させることができる。
また、電線を装着ピンの穴内に所定の位置まで挿入した後、装着ピンをゴム栓から引き抜いて該ゴム栓を装着ピンから電線に移動させて装着するようにしたので、ゴム栓の大きさに係わらずゴム栓に変形や座屈を生じさせることなく、かつ損傷を与えずに、確実に電線の所定位置に装着することができる。
【0012】
本発明の請求項2記載のゴム栓挿入装置は、軸方向の先端に穴を有し該軸線方向に移動可能に配設された装着ピンと、該装着ピンに外嵌されたゴム栓を保持し前記装着ピンの軸線方向に移動可能にされたゴム栓ホルダと、前記装着ピンの軸芯と軸芯を一致させると共に前記装着ピンの前記穴に先端を対向させ前記電線を保持する電線ガイドとを備え、前記装着ピンに前記ゴム栓を外嵌させて前記ゴム栓ホルダで保持し、該ゴム栓ホルダを前記装着ピンと共に前記電線側に移動させて前記装着ピンの前記穴内に該電線の前記先端を挿入させた後、前記装着ピンを前記電線から離間する方向に移動させて前記ゴム栓を前記電線に装着するように構成したことを特徴とする。
【0013】
前記構成のゴム栓挿入装置によれば、装着ピンの所定の位置にゴム栓を外嵌させると共に、該装着ピンの穴と対向させ、且つ軸芯を一致させて電線を電線ガイドで保持するようにしたので、単に装着ピンを電線の方向に移動させるだけで電線とゴム栓とが接触することなく、剛性の大きな装着ピンの穴内に容易に挿入させることができる。
また、電線を装着ピンの穴の所定の位置まで挿入した後、ゴム栓から装着ピンを引き抜くようにしたので、ゴム栓と電線の材質が滑りの悪い材質の組合せであっても、ゴム栓に損傷や変形を与えることなく、電線の所定の位置に確実に装着することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のゴム栓の装着方法及びゴム栓挿入装置の一実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。図1は本発明のゴム栓挿入装置の一実施形態を示す要部正面図、図2は図1におけるゴム栓受渡し機構の要部正面図、図3は図2におけるゴム栓受渡し機構の側面図、図4は図1におけるゴム栓ホルダの側面図、図5は図1における電線ガイドの側面図、図6は図1における電線クランプの側面図である。
【0015】
図1乃至図6に示すように、本発明のゴム栓挿入装置1は、ゴム栓受渡し機構2と、電線挿入装置3とを備えている。
ゴム栓受渡し機構2は、圧縮空気等によってチューブを通してゴム栓保持部20bに圧送されてくるゴム栓4を受渡しピン6に挿通させて保持し、装着ピン8に受け渡すためのものである。このゴム栓受渡し機構2は、受渡しピン6と、突出しスリーブ9と、装着ピン8と、ゴム栓押え10とを備えている。
また、電線挿入装置3は、電線クランプ15に保持された電線11にゴム栓4を挿通させて装着するためのものであり、ゴム栓ホルダ12と、電線ガイド13と、座屈防止ガイド14と、電線クランプ15とから構成されている。
【0016】
ゴム栓4は、図示しないコネクタハウジングの端子収納室に挿入されて電線11と該端子収納室とを水密に封止して端子収納室内への水の侵入を防止するようになっている。
ゴム栓4は、図12に示すように、外形が大外径部4aと小外径部4bとから構成されており、該大外径部4aと小外径部4bとにより段部4cが形成され、貫通する穴4dが設けられたチューブ状に形成されている。
小外径部4bは、端子(図示せず)が加締められて電線11に固定される部分であり、大外径部4aはコネクタハウジングの端子収納室を水密に封止する部分である。
【0017】
図1乃至図3に示すように、ゴム栓挿入装置1の基台16には、ガイドレール18が水平に固定され、該ガイドレール18に嵌合する可動基台19がボールねじのナットに固定されており、ボールねじのねじ軸を図示しないサーボモータで回転させることによって、可動基台19を該ガイドレール18に沿って水平方向に移動させるようになっている。
可動基台19には、ゴム栓ホルダ12、及び電線ガイド13が固定され、可動基台19と共に水平方向に移動できるようになっている。
【0018】
基台16に固定されたゴム栓受渡し機構2のベース20には、水平方向に貫通穴20aが設けられると共に、ゴム栓4と略同一形状の溝が形成され、搬送されたゴム栓4を該溝中に位置決めして保持するゴム栓保持部20bが設けられている。
貫通穴20aには、摺動可能にパイプ状のスリーブホルダ21が嵌合し、該スリーブホルダ21には、先端をゴム栓保持部20bに対向させて突出しスリーブ9が固定されている。この突出しスリーブ9には、受渡しピン6が軸方向に摺動可能に嵌合している。
受渡しピン6は、外径がゴム栓4の穴4dより幾分細く設定され、先端部6aは先細形状に成形されており、ゴム栓4の穴4dに挿入し易い形状となっている。
【0019】
スリーブホルダ21及び受渡しピン6の後端(図1において右方向)には、基台16上に固定された、図示しないエアシリンダ等の駆動装置が連結されており、スリーブホルダ21及び受渡しピン6を夫々独立して摺動移動できるようになっている。
ゴム栓保持部20bには、圧縮空気によりゴム栓4を圧送する圧送装置(図示せず)の出口側が対向配置されており、搬送されるゴム栓4を圧送装置から順次受け取り、ゴム栓4の穴4dを受渡しピン6に対向させて溝中に水平に保持するようになっている。
【0020】
受渡しピン6と対向するゴム栓保持部20bの反対側には、ゴム栓押え10が配設されている。
図2及び図3に示すように、ゴム栓押え10は、ピン22を中心として回動自在に配設された一対の把持腕23から構成され、夫々の把持腕23の先端23aには、ゴム栓4の小外径部4bと同一半径の半円形溝23bが設けられている。そして、一対の把持腕23を閉じたとき、円形穴を形成して小外径部4bを挟持して保持するようになっている。
【0021】
一対の把持腕23の他端には、圧縮ばね24が配置されて一対の把持腕23の先端23aを常に接近させる方向に付勢している。この圧縮ばね24の付勢力は、把持腕23の先端23aにおいて、略1N程度の比較的弱い付勢力となるように設定されている。
一対の把持腕23は、ベース20に固定されたエアシリンダ25に連結されており、該エアシリンダ25に圧縮空気を供給して作動させることにより、一対の把持腕23を上昇又は下降させるように構成されている。
下降時における一対の把持腕23の半円形溝23b(円形穴)の位置は、受渡しピン6の軸芯の延長線上に位置し、上昇時には該軸芯から半径方向に離間した退避位置に退避するようになっている。
【0022】
装着ピン8は、受渡し位置Rで受渡しピン6からゴム栓4を受け渡された後、装着位置Sに搬送するためのものであり、ゴム栓4の穴4dと同一外径のピンである。また、装着ピン8の外径は、受渡しピン6の外径と同一又は若干大きく設定されている(図9参照)。
図1に示すように、図中左右方向に移動可能に配設された装着ピン基台(図示せず)に固定された支軸27に、ロータリーピンホルダ26が回動自在に嵌合している。このロータリーピンホルダ26の外周部には、180°間隔で2本の装着ピン8が半径方向に配設されている。
装着ピン基台は、基台16に固定されたエアシリンダ(図示せず)のロットが連結され、該エアシリンダを作動させて装着ピン基台を図1において図中左右方向に移動できるようになっている。そして、ロータリーピンホルダ26を180°ずつ間欠回転させて、装着ピン8を受渡し位置R及び装着位置Sに停止させるようになっている。また、受渡し位置Rに位置した装着ピン8は、軸芯が受渡しピン6の軸芯と同一線上となるように設定されている。
【0023】
図12に示すように、装着ピン8の先端8aは、電線11の外径より若干大きな内径を有する袋穴8bが明けられてパイプ状に形成されている。そして、エアシリンダを作動させて突出しスリーブ9から受渡しピン6を突出させたとき、装着ピン8の袋穴8bに受渡しピン6の先細形状の先端部6aを嵌合させて先端同士を当接させ、受渡しピン6と装着ピン8とを確実に一直線上に位置させるように構成されている。
【0024】
図1及び図4に示すように、ゴム栓ホルダ12は装着位置Sに配設されている。このゴム栓ホルダ12は、装着ピン8によって装着位置Sに搬送されたゴム栓4を保持して電線11に装着するためのものであって、互いに接近又は離間する方向に移動可能にされた一対の把持腕28から構成され、夫々の把持腕28の先端には、ゴム栓4と同一形状の半円形溝28aが設けられている。
半円形溝28aの軸芯は、装着位置Sにおける装着ピン8の軸芯と一致して配設されており、一対の把持腕28を閉じたとき、円形穴を形成して装着ピン8に嵌合するゴム栓4を該円形穴内に收容して保持するようになっている。
一対の把持腕28は、可動基台19に固定されたチャックシリンダ29に連結されており、該チャックシリンダ29に圧縮空気を供給して作動させ、一対の把持腕28を開閉させるようになっている。
【0025】
図1及び図5に示すように、電線ガイド13は、座屈防止ガイド14及び電線クランプ15と共に電線11を挿入位置Sに保持するためのものであり、ゴム栓ホルダ12の把持腕28に対向して配設され、電線11の先端11aを装着ピン8の軸芯に一致させて位置決めして、保持するようになっている。
電線ガイド13は、チャックシリンダ30に連結され互いに接近又は離間する方向に開閉する一対の把持腕31から構成され、夫々の把持腕31の先端には電線11の外径より僅かに大きな半径の半円溝31aが設けられている。そして、一対の把持腕31を閉じたとき、該半円溝31aが合わさって円形穴を構成し、電線11の先端11aを該円形穴に遊嵌させて保持するようになっている。
チャックシリンダ30は、可動基台19に固定されており、電線ガイド13はゴム栓ホルダ12と共に水平方向に移動可能である。
【0026】
図1に示すように、座屈防止ガイド14は、電線ガイド13と該電線ガイド13から離間して配設された電線クランプ15との中間部で電線11を保持し、該電線11の垂下及び座屈を防止するためのものである。この座屈防止ガイド14は、先端に半円溝32aが形成された一対の把持腕32を有し、把持腕32はチャックシリンダ33に連結されており、電線ガイド13と同様の構成となっている。このチャックシリンダ33は、基台16に固定されているので、電線ガイド13のように水平方向に移動することはない。
【0027】
図1及び図6に示すように、電線クランプ15は、電線11を略L字形の一対の挟持腕34で挟持するためのものであり、基台16に固定された支持軸35を中心として回動自在に一対の挟持腕34が設けられている。
夫々の挟持腕34の先端34bには、電線11の外径と同一半径の半円溝34aが互いに対向して形成されている。そして、一対の挟持腕34が閉じられると、該半円溝34aが合わさって円形穴を形成し、電線11を該円形穴で挟持するようになっている。
一対の挟持腕34の他端34cは、夫々リンク36を介してエアシリンダ38のロッド39と連結されている。このエアシリンダ38は基台16に固定され、水平方向に移動することはない。そして、エアシリンダ38を作動させてロッド39を引き込むと、挟持腕34の他端34cは、図6に示すように、破線で示す位置まで引上げられ、先端34bを開いて電線11を解放する。また、ロッド39を伸長させると先端34bが閉じて半円溝34aが合わさり、2つの半円溝34aで形成された円形穴に電線11を挟持するようになっている。
【0028】
本実施形態のゴム栓の装着方法は、電線11の外径と同一内径の穴8bが軸方向に設けられた装着ピン8に外嵌させたゴム栓4をゴム栓ホルダ12で保持する。そして、前記電線11の先端11aと前記装着ピン8の穴8bとを対向させ、且つ前記装着ピン8と前記電線11とを一直線上に配置して前記電線11を電線ガイド13で保持する。そして、前記ゴム栓ホルダ12を前記装着ピン8と共に前記電線11に接近させる方向に移動させて前記装着ピン8の前記穴8b内に前記電線11の前記先端11aを所定長さ挿入する。その後、前記ゴム栓ホルダ12は移動させずに前記装着ピン8のみを前記電線11から離間する方向に移動させて、前記ゴム栓4を前記装着ピン8から前記電線11に移し変えて該電線11に装着する。
【0029】
本実施形態のゴム栓挿入装置の作用を説明する。
図7乃至図16は、ゴム栓が電線に装着される工程を示すものであり、図7はゴム栓がゴム栓保持部に圧送され保持された状態を示す正面図、図8は受渡しピンが突出しスリーブから突出してゴム栓の穴に挿入を開始した要部正面図、図9は受渡しピンの先端と装着ピンの先端が当接し一直線上に配置された状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は受渡しピンと装着ピン及びゴム栓の位置関係を示す拡大縦断面図である。
図10はゴム栓押えが上方の退避位置に移動した状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は受渡しピン、装着ピン及びゴム栓の位置関係を示す拡大縦断面図、図11は突出しスリーブが作動してゴム栓を受渡しピンから装着ピンに移動させる状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は受渡しピンと装着ピン、及び突出しスリーブとゴム栓の位置関係を示す拡大縦断面図、図12は装着ピンに嵌合するゴム栓を示す要部拡大図である。
【0030】
図13は装着ピンが180°回転してゴム栓を受渡し位置から装着位置に搬送する状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は装着ピンとゴム栓及び電線の位置関係を示す拡大縦断面図、図14はゴム栓を保持するゴム栓ホルダが電線クランプの方向に移動して電線の先端が装着ピンの袋穴内に挿入された状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は装着ピン、ゴム栓及び電線の位置関係を示す拡大縦断面図である。
図15は装着ピンが後退して装着ピンに嵌合していたゴム栓が電線に嵌合する状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は装着ピンとゴム栓及び電線の位置関係を示す拡大縦断面図、図16はゴム栓ホルダ及び電線ガイドが後退して元の位置に復帰した状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は電線に装着されたゴム栓の縦断面図である。
【0031】
図1及び図7に示すように、サーボモータによりボールねじを駆動して、可動基台19を図において右側に位置させ、ゴム栓ホルダ12及び電線ガイド13を待機状態とすると共に、エアシリンダを作動させてロータリーピンホルダ26(装着ピン8)を右側に移動させる。
エアシリンダ25に圧縮空気を供給して一対の把持腕23を下降させ、半円形溝23b(円形穴)を受渡しピン6の軸芯の延長線上に位置させる。また、図示しないエアシリンダを作動させて突出しスリーブ9を引き込み、貫通穴20a内に収納し、受渡しピン6を突出しスリーブ9内に収納した待機状態として準備を完了する。
【0032】
ここで、圧送装置によってゴム栓4を圧送してゴム栓保持部20bの溝内に該ゴム栓4を水平状態に収容して保持する。この状態では、ゴム栓4は、ゴム栓押え10に保持されてはいない。
図8に示すように、図示しないエアシリンダを作動させて受渡しピン6を突出しスリーブ9から左方向に突出させると、受渡しピン6の先端部6aは、ゴム栓4の穴4dに挿入される。
受渡しピン6が前進すると、挿入抵抗によってゴム栓4は、ゴム栓保持部20bの溝内を左方向に前進(左方向へ移動)し、ゴム栓4の小外径部4bが一対の把持腕23の半円形溝23bで形成された円形穴に挿入され、大外径部4aと小外径部4bとの段部4cが一対の把持腕23の右側面に当接した状態で停止する。
【0033】
図9に示すように、受渡しピン6が前進すると、小外径部4bが一対の把持腕23によって把持される。そして、段部4cが把持腕23の右側面に当接して左方向への移動が阻止されているゴム栓4の穴4dを、該受渡しピン6が貫通して前進する。そして、先端部6aが装着ピン8の袋穴8bに嵌合して、先端同士が当接し、受渡しピン6と装着ピン8とが一直線上に位置する。
【0034】
図10に示すように、エアシリンダ25を作動させて一対の把持腕23を上昇させると、圧縮ばね24の付勢力によって常に接近する方向に付勢されている一対の把持腕23は、該圧縮ばね24の付勢力に抗して把持するゴム栓4の外形に沿う形で開き、上昇してゴム栓4から離間した退避位置に移動する。
【0035】
図11に示すように、エアシリンダを作動させてスリーブホルダ21を貫通穴20a内で摺動させ、突出しスリーブ9を貫通穴20aから突出させると、該突出しスリーブ9はゴム栓4の右端面に当接して押圧し、ゴム栓4を受渡しピン6から装着ピン8に移動させて装着ピン8に嵌合させる。
ここで、装着ピン8に対するゴム栓4の位置は、後述する電線11へのゴム栓4の装着位置に直接影響するが、突出しスリーブ9の突出し量を調節することで、容易に変更することができる。
電線11への実際の装着位置は、ゴム栓4の装着時のスプリングバックによって機械的な設定位置と多少異なることがあるが、該スプリングバック量を予め想定して突出しスリーブ9の突出し量を設定しておけば、容易に対応が可能であり、電線の正確な位置に装着することができる。
図11(b)は、受渡しピン6から装着ピン8に移動し、装着ピン8に嵌合したゴム栓4の状態を示す。
【0036】
上述したように、ゴム栓4は、一対の把持腕23(ゴム栓押え10)によって略1N程度の弱い力で小外径部4bが把持されると共に、段部4cが把持腕23の右側面に当接して保持された状態で、ゴム栓4の内径よりも幾分細い受渡しピン6が挿入される。したがって、抵抗なく挿入され、無理な力が作用しないので、ゴム栓4が座屈することはなく、ゴム栓4が受渡しピン6とゴム栓押え10との間に挟まれて損傷を受けることはない。
また、受渡しピン6の先端部6aが、装着ピン8の袋穴8bに嵌合して先端同士を当接させ、受渡しピン6と装着ピン8とを一直線上に位置させた状態で、突出しスリーブ9によってゴム栓4を押圧し、受渡しピン6及び装着ピン8上を滑らせて装着ピン8に受け渡される。したがって、ゴム栓4の移動を阻害するものは何もなく、装着ピン8は損傷を受けることなく、図12に示す位置に滑らかに受け渡される。
【0037】
図13に示すように、受渡し位置Rにおいて装着ピン8に受け渡されたゴム栓4は、ロータリーピンホルダ26を180°間欠回転させて装着位置Sに搬送される。そして、チャックシリンダ29に圧縮空気を供給し、一対の把持腕28を互いに接近する方向に移動させて閉じ、一対の半円形溝28a内に装着ピン8に嵌合しているゴム栓4を収容してゴム栓ホルダ12で保持する。
【0038】
一方、電線11は、電線ガイド13、座屈防止ガイド14及び電線クランプ15によって保持されており、電線11の先端11aは電線ガイド13から僅かに突出した状態で、装着ピン8の軸芯に一致し、且つ装着ピン8の先端から0.5mm〜1.5mm程度離間した位置にある。
図14に示すように、サーボモータを回転させて可動基台19を図中左方向に移動させると共に、エアシリンダを作動させて、ロータリーピンホルダ26(装着ピン8)、一対の把持腕28(ゴム栓ホルダ12)及び電線ガイド13を図中左方向に水平に移動させ、装着ピン8の袋穴8b内に電線11の先端11aを挿入させる。
袋穴8b内への電線11の挿入量は、電線11に装着すべきゴム栓4の位置で決まるものであり、サーボモータの回転数を制御することによって容易に設定量を変更することができ、最適位置まで挿入することができる。
【0039】
図15に示すように、ロータリーピンホルダ26(装着ピン8)を右方向に移動させて元の位置に復帰させると、ゴム栓4はゴム栓ホルダ12によって保持されているので、ゴム栓4から装着ピン8が抜け出し、該ゴム栓4は電線11の所定の位置に装着される。
次に、チャックシリンダ29に圧縮空気を供給して作動させ、一対の把持腕28を開き、保持していたゴム栓4を解放すると共に、チャックシリンダ30を作動させて一対の把持腕31を開いて電線11を解放する。その後、図16に示すように、サーボモータを上述した方向と逆方向に回転させて可動基台19を右方向に移動させて元の位置に復帰させ、次の挿入に備える。
次に、図示しない皮むき機構によって電線11の先端11aの被覆を除去して一連の作業を完了する。以後、同様の操作を繰り返し行って効率よくゴム栓4の電線11への装着が行われる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1記載のゴム栓の装着方法によれば、軸方向に穴が設けられた装着ピンにゴム栓を外嵌させた後、装着ピンの穴に電線を所定の位置まで挿入するようにしたので、電線の挿入抵抗を大幅に低減されることができる。したがって、細くかつ剛性の小さな電線でも座屈させることなく、確実に挿入させることができる。
また、電線を装着ピンの穴内に挿入した後、装着ピンをゴム栓から引き抜いて該ゴム栓を装着ピンから電線に移動させて装着するようにしたので、ゴム栓の大きさに係わらずゴム栓に変形や座屈が生じることはなく、損傷を与えずに確実に電線の所定位置に装着することができる。
【0041】
本発明の請求項2記載のゴム栓挿入装置によれば、装着ピンにゴム栓を所定の位置まで挿通させて外嵌させると共に、該装着ピンの穴と対向させ、且つ軸芯を一致させて電線を電線ガイドで保持するようにした。したがって、単に装着ピンを電線の方向に移動させるだけで電線とゴム栓とが接触することなく、剛性の大きな装着ピンの穴内に容易に挿入させることができる。
また、電線を穴内の所定の位置まで挿入した後、ゴム栓から装着ピンを引き抜くようにしたので、ゴム栓と電線の材質が滑りの悪い組合せであっても、ゴム栓に損傷や変形を与えることなく、電線の所定の位置に正確かつ確実に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴム栓挿入装置の一実施形態を示す要部正面図である。
【図2】図1におけるゴム栓受渡し機構の要部正面図である。
【図3】図2におけるゴム栓受渡し機構の側面図である。
【図4】図1におけるゴム栓ホルダの側面図である。
【図5】図1における電線ガイドの側面図である。
【図6】図1における電線クランプの側面図である。
【図7】ゴム栓がゴム栓保持部に圧送され保持された状態を示す正面図である。
【図8】受渡しピンが突出しスリーブから突出してゴム栓の穴に挿入を開始した状態を示す要部正面図である。
【図9】受渡しピンの先端部が装着ピンの袋穴に嵌合し、先端同士が当接して一直線上に配置された状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は受渡しピン、装着ピン及びゴム栓の位置関係を示す拡大縦断面図である。
【図10】ゴム栓押えが上方の退避位置に移動した状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は受渡しピン、装着ピン及びゴム栓の位置関係を示す拡大縦断面図である。
【図11】突出しスリーブが作動してゴム栓を受渡しピンから装着ピンに移動させる状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は受渡しピン、装着ピン、突出しスリーブ及びゴム栓の位置関係を示す拡大縦断面図である。
【図12】装着ピンに嵌合したゴム栓を示す拡大図である。
【図13】装着ピンが180°回転してゴム栓が受渡し位置から装着位置に搬送された状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は装着ピン、ゴム栓及び電線の位置関係を示す拡大縦断面図である。
【図14】ゴム栓を保持するゴム栓ホルダが電線クランプの方向に移動して電線の先端が装着ピンの袋穴内に挿入された状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は装着ピン、ゴム栓及び電線の位置関係を示す拡大縦断面図である。
【図15】装着ピンが後退して装着ピンに嵌合していたゴム栓が電線に嵌合する状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は装着ピン、ゴム栓及び電線の位置関係を示す拡大縦断面図である。
【図16】ゴム栓ホルダ及び電線ガイドが後退して元の位置に復帰した状態を示し、(a)は要部正面図、(b)は電線に装着されたゴム栓の縦断面図である。
【符号の説明】
1   ゴム栓挿入装置
2     ゴム栓受渡し機構
4     ゴム栓
4a    大外径部
4b    小外径部
4c  大外径部と小外径部の段部
4d    ゴム栓の穴
6     受渡しピン
8     装着ピン
8b  装着ピンの穴
9     突出しスリーブ
10  ゴム栓押え
11  電線
11a 電線の先端
12  ゴム栓ホルダ
13  電線ガイド
20b ゴム栓保持部
23  把持腕
24  ばね
R  受渡し位置
S  装着位置

Claims (2)

  1. 軸方向の先端に穴を有する装着ピンに外嵌させたゴム栓をゴム栓ホルダで保持すると共に、
    前記電線の先端と前記装着ピンの前記穴とを対向させ、且つ前記装着ピンと前記電線とを一直線上に配置して前記電線を電線ガイドで保持し、
    前記ゴム栓ホルダを前記装着ピンと共に前記電線に接近させる方向に移動させて前記装着ピンの前記穴内に前記電線の前記先端を所定長さ挿入した後、
    前記ゴム栓ホルダは移動させずに前記装着ピンのみを前記電線から離間する方向に移動させて、前記ゴム栓を前記装着ピンから前記電線に移し変えて該電線に装着するようにしたことを特徴とするゴム栓の装着方法。
  2. 軸方向の先端に穴を有し該軸線方向に移動可能に配設された装着ピンと、
    該装着ピンに外嵌されたゴム栓を保持し前記装着ピンの軸線方向に移動可能にされたゴム栓ホルダと、
    前記装着ピンの軸芯と軸芯を一致させると共に前記装着ピンの前記穴に先端を対向させ前記電線を保持する電線ガイドとを備え、
    前記装着ピンに前記ゴム栓を外嵌させて前記ゴム栓ホルダで保持し、該ゴム栓ホルダを前記装着ピンと共に前記電線側に移動させて前記装着ピンの前記穴内に該電線の前記先端を挿入させた後、前記装着ピンを前記電線から離間する方向に移動させて前記ゴム栓を前記電線に装着するように構成したことを特徴とするゴム栓挿入装置。
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