JP4293841B2 - 導電性積層部材及び塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材表面に金属薄膜を形成させ、更にその上に導電性金属粉末を含有したトップコート層を形成させてなる表面導電性を有する導電性積層部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス、樹脂等の基材に導電性塗料を塗布して得られる表面導電性基材が知られている。この導電性塗料とは、例えば導電性セラミック粒子等を樹脂中に分散させ、導電性が得られるようにしたものである(特許文献1参照)。さらに、樹脂中に金属ファイバーを散在させ、基材が伸縮・変形した場合にも高い導電性を維持できるようにした導電性塗料も知られている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−50226号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平10−316901号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の導電塗料を塗布した導電性基材では、導電性粒子及び導電性ファイバーどうしが接触することにより導通状態が得られるものである。従って、導電性粒子及び導電性ファイバーの散在の状態によって抵抗値にバラツキが生じ、安定した導電性を供給できるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記のごとき問題点に鑑みなされたもので、樹脂等の基材表面にアンダーコート層、金属薄膜を形成し、更にその表面に特定組成のトップコート層を積層することにより、安定した高い表面導電性を付与することのできる導電性積層部材の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性積層部材は、
(1)基材表面に、アンダーコート層、金属薄膜、及びトップコート層を順次形成させてなる積層部材であって、該トップコート層は。3〜30μm厚みであり、1〜30重量%の金属粉末が含まれており、該金属粉末には、鱗片状アルミニウム粉末、金属酸化物粉末が含まれており、
該金属酸化物粉末は、酸化スズ粉末及び酸化インジウム粉末からなり、酸化スズ粉末及び酸化インジウム粉末の合計含有量は、前記鱗片状アルミニウム粉末含有量に対して1〜10重量%であり、
前記酸化スズ粉末:酸化インジウム粉末の重量比が、1〜10:99〜90であることを特徴とする。
(2)また、前記(1)において、前記金属薄膜が銀鏡膜であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の導電性積層部材の積層構成を示す断面図である。本発明の導電性積層部材10は、基材14表面の活性化処理を施した後、金属薄膜12を形成させ、更にその上に金属粉末15,16を含有する特定組成のトップコート層11を形成してなることを特徴とする。
トップコート層11と基材14との間に金属薄膜12を設けることによって、トップコート層11中の金属粉末15,16と金属薄膜12とが接触し、またトップコート層11の上の表面にも金属粉末16が突出しているので、金属粉末16及び金属薄膜12の経路を伝って、積層部材表面上の離れた複数点間での導通性を有する導電性積層部材10を提供できる。
以下本発明の導電性積層部材10について詳細に説明する。
【0009】
本発明の導電性積層部材10において用いられる基材14としては、特に制限はなく、一例としては熱可塑性或いは熱硬化性などのプラスチック部材などが挙げられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の公知のものが挙げられる。また、これらの樹脂を繊維等で強化したものも基材14として用いることができる。
上記樹脂の分子量についても特に限定しないが、押出成形性や機械的強度の観点から、粘度平均分子量で2万〜3万のものが好ましく用いられる。
基材14となる樹脂の形状は特に制限はなく、基材としてシート状のものを用いる場合はその厚みについては問わないが、シートとして成形可能な厚みである0.1〜15mm程度の厚みのものが好ましい。
また、本発明では基材14の材質としては、前記プラスチックの他、ガラス、セラミックス、木材、などの不導体も適用できる。また、基材の形態も、板、パイプ、曲面なども適宜採用され、その形態を特定するものではない。
【0010】
まず、金属薄膜12の密着性のため、基材14上にアンダーコート層13を形成することが好ましい。アンダーコート層13としては、ウレタン系樹脂またはアクリル系樹脂等の合成樹脂をスプレー法等によって基材14表面に塗布することが好ましい。
アンダーコート層12の厚みは、5〜20μmの範囲であることが好ましい。5μmより薄いと下地の疵を消去ができずに金属薄膜の密着性に欠けるおそれがあり、20μmより厚いとコスト増につながり好ましくない。好適には8〜13μmである。
なお、アンダーコート層13形成の前処理として、通常のプラスチックメッキの前処理に使用する無水クロム酸、硫酸、りん酸等のエッチング液を基材表面にスプレー法で吹付けて基材14表面を粗面化しておくことが、アンダーコート層13形成後の金属薄膜密着性を向上させ好ましい。
アンダーコート層13を塗布した後は所定の時間乾燥させ、純水で基材表面の洗浄を行う。
【0011】
次に、基材上に形成される金属薄膜12の形成方法について説明する。
金属薄膜12の形成方法は、特に制限はなく、公知のCVD法、PVD法などの方法を用いることができるが、例えば以下の方法により、均一で密着性に優れた銀鏡膜を形成させることができる。
まず、銀鏡膜を形成する基材14を洗浄し、これら基材14の表面に付着している油分、指紋汚れ等を除去してむらなく銀鏡膜12が形成できるように下地調整を行う。
更に、スプレーにより反応溶液等を吹き付ける際に溶液が効率よく付着するように、基材14の静電気除去処理を行う。
【0012】
次に、活性化処理剤を基材14表面に吹き付け、活性化処理を行う。
活性化処理の方法としては、2種類の活性化処理剤を別々のタンクから同時にスプレーで吹き付ける、2液式の方法が好ましく用いられる。
活性化処理剤としては、塩化第一錫の塩酸溶液と塩化パラジウムの塩酸溶液を用いることが好ましい。各溶液の濃度は適宜選択使用することができる。
【0013】
活性処理剤を吹付けるためのスプレーは、通常使用される圧送タンクを備えたスプレーガンが好ましい。スプレーガンとしてはダブルガン、もしくは双頭ガンを用いることができる。処理剤の吹き付けは、基材14の形状または表面状態等により適宜1乃至2回行う。
活性化処理後洗浄を行う。この際、前工程で形成された活性化面に不純物が付着しないように、洗浄水は蒸留水またはイオン交換水等を用いることが好ましい。
洗浄工程後、銀鏡反応処理剤の吹付けを行う。この吹付けは金属塩含有溶液と還元剤含有溶液をそれぞれ別々の圧送タンクに収納しておき、例えば、ダブルガン、双頭ガン、噴霧器等によって同時に基材に吹付けることができる。
【0014】
上記金属塩含有溶液としては、水1リットルに対して、水酸化ナトリウム6.0g〜25g、アンモニア20g〜70g、硝酸銀2g〜20gを含有することが好ましい。
また、上記還元剤含有溶液としては、水1リットルに対して、酒石酸1g〜4.5g、グルコース10g〜50g、ホルムアルデヒド0.05g〜3.5gを含有することが好ましい。上記銀鏡反応処理剤の濃度は、上記範囲の中から反応条件に応じて適宜選択される。
【0015】
銀鏡反応処理剤の吹き付けは、むらのない銀鏡膜が得られるよう、間隔をおいて複数回行うことが好ましい。吹き付けの回数は、基材の表面状態や形状に応じて適宜増減することができる。
【0016】
銀鏡反応処理剤吹付け工程が終了後、再度洗浄し、次いでエアーブロー等によって水分を吹き飛ばした後、10〜20分間程度乾燥を行う。
なお、銀鏡膜形成は、上記に記載した2液スプレー方式の他、公知のディップ方式の銀鏡反応を用いて形成することも可能である。すなわち、アンモニア硝酸銀水溶液を含む銀メッキ液をブドウ糖やアルデヒドで還元する無電解の銀鏡反応より、基板に銀を析出させて銀薄膜を形成する方法である。
この場合の銀鏡膜形成は、濃度10重量%、温度25℃のアルカリ水溶液中に10分間基板をディップし、水洗して表面活性化した後、アンモニア過剰のアンモニア性硝酸銀水溶液AgNO3:60g/lと、水酸化ナトリウム水溶液NaOH:40g/lと、ブドウ糖水溶液C6H12O6:30glを用意し、25℃で、それぞれの液を、4:1:1の割合で混合した銀メッキ液を表面活性化した基板上にのせて放置し、基材14表面に銀鏡膜12を形成する。
【0017】
上記配合の硝酸銀含有溶液に替えて硫酸銅または硫酸ニッケルの溶液を用いた場合は、前記銀鏡膜に替えて、銅またはニッケルの金属薄膜12が得られる。
これらの金属薄膜12の種類は、使用目的によって適宜選択される。
金属薄膜12形成にいずれの方法を採用するかは、基材の形状、大きさ、作業環境などにより適宜判断される。
【0018】
金属薄膜12の厚みについても特に制限はないが、薄すぎると導電性に影響を及ぼし、厚すぎると経済的に不利となるので、0.2〜3μm程度の厚さであることが好ましい。好適には、0.4〜0.5mm程度の厚さの金属薄膜を形成させる。
【0019】
次に、得られた金属薄膜12の表面に、金属薄膜12を保護するトップコート層11を形成する。
本発明に用いるトップコート層11形成用塗料としては、(A)樹脂、(B)硬化剤、(C)金属粉末、からなる組成物が好ましく用いられる。
【0020】
以下、本発明に用いるトップコート層11形成用塗料について詳しく説明する。
(A)樹脂成分としては、主に単量体成分及び有機溶剤からなる。
単量体成分としては、具体的には、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;これらの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類またはこれらの混合物1モルに対して、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類またはこれらの混合物1〜10モルを開環付加させたラクトン付加単量体;(メタ)アクリル酸1モルに対して、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシド類またはこれらの混合物2〜10モルを開環付加させたアルキレンオキシド付加単量体;その他にグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、ビニルピロリドン、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フマル酸ジブチル、無水マレイン酸、ドデシル無水コハク酸、アリルグリシジルエーテル、アリルアルコール、
などを挙げることができる。
これらの単量体成分は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。なお、「(メタ)アクリ」は「アクリ」および/または「メタクリ」を意味する。
【0021】
有機溶剤としては、上記単量体を溶解せず溶媒中に均一に分散させるものならば良く、具体的には、
n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;これらの混合液など、
を挙げることができる。
トップコート層11の形成においては、上記(A)樹脂成分の単量体を上記割合で公知の方法で共重合させることにより、(A)樹脂成分が得られる。公知の方法としては、有機溶媒中における溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、沈殿重合などの方法を用いることができる。重合形式については、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合のいずれも用いることができる。
【0022】
なお、これらの重合体分散液中には適宜分散安定剤を加えることもできる。
分散安定剤の具体的なものとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、フマル酸ジブチル、ドデシル無水コハク酸、アリルグリシジルエーテル等を単量体とする重合体であって、分散媒に可溶のものが挙げられる。
重合体分散液中の分散安定剤の含有量は20〜50重量%、好ましくは30〜40重量%であるのが望ましい。
【0023】
次に、(B)硬化剤成分について説明する。
(B)硬化剤成分としては、
イソシアネート基及び/又はブロックイソシアネート基を1分子中に2個以上含有するポリイソシアネート化合物、及びアミノプラスト樹脂から成る化合物の中から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するものである。
【0024】
次に、(C)金属粉末について詳しく説明する。
(C)金属粉末としては、主成分として鱗片状アルミニウムを用いることが好ましい。
鱗片状アルミニウム15としては、アルミニウムの粉末または箔をボールミルにて粉砕したものが好適に用いられる。鱗片両端はトップコート層の上下面から突出し、トップコート層11の下部に形成された金属薄膜12と接触することにより、高い導電性を得ることができる。従って、鱗片状アルミニウム15は基板14面に平行に配向するよりは、トップコート層11の上に設けられる電気端子及び銀鏡膜12との接触確率が高くなるようにトップコート層11中に立設配向(トップコート層の厚み方向)されて介在されていることが好ましい。
【0025】
これらの鱗片状アルミニウム15の含有量としては、導電性、塗装性などの調和点を考慮して、トップコート層11形成用塗料中に5〜20重量%の範囲で混合されるが、さらに7〜15重量%の範囲が好ましい。
【0026】
また、鱗片状アルミニウム15に加えて、必要に応じて、各種の無機あるいは有機材料も混合することができる。たとえば、各種顔料を混合することによりカラーメタリック調の導電性部材を得ることができる。無機あるいは有機材料の添加量は、(A)樹脂成分に対して25重量%以下であることが、導電性を確保するために好ましい。
【0027】
本発明で(C)金属粉末として用いられる鱗片状アルミニウム15は、長細いものが好ましく用いられ、その粒度は、平均粒径6μm〜100μm、平均厚さ0.1μm〜5μm、好ましくは平均粒径10μm〜75μm、平均厚さ0.1μm〜1.5μmであるものが好ましく塗料中に混合される。
【0028】
(C)金属粉末中には、その他、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)等の金属酸化物粉末16が含まれていることが好ましい。金属粉末中に酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)等を混合させることにより高い導電性を保つことができ、さらに経時変化による導電性の低下を防止することができる。また、酸化インジウムは電磁波に対する高い遮蔽効果を有するため、高性能な電磁波シールド材料を併せもった部材として適用される。
この場合、金属酸化物粉末16の含有量は、前記鱗片状アルミニウム15が99〜90重量%に対して、(SnO2+In2O3)を1〜10重量%の割合とすることが好ましい。さらに金属酸化物粉末の割合としては、SnO2:1〜10重量%に対して、In2O3 を残部(99〜90重量%)とすることが、高い導電性を持たせるために好ましい。
この場合の金属酸化物粉末16の平均粒径は、0.1μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.1μmを超える金属酸化物粉末を用いる場合には、電磁波遮蔽性、透明性が低下しやすく、使用の用途が限られる。平均粒径が0.1μm以下の金属酸化物粉末は、公知の方法で製造することができる。
【0029】
上記トップコート層11を形成する塗料組成物においては、(A)樹脂成分と(B)硬化剤成分の配合割合は、
(B)硬化剤成分がイソシアネート基及び/又はブロックイソシアネート基を1分子中に2個以上含有するポリイソシアネート化合物である場合は、
(A)樹脂成分のヒドロキシル基に対する(B)硬化剤成分中のイソシアネート基及び/又はブロック化イソシアネート基のモル比が0.6〜1.6の範囲であることが好ましい。さらに好ましい範囲は、0.8〜1.2である。
このモル比が0.6未満であると、
(B)硬化剤成分のポリイソシアネート化合物と(A)樹脂成分の樹脂との架橋反応に際し、樹脂中のヒドロキシル基が一部未反応で残存することがあり、得られる塗膜の耐水性や耐湿性が低下し、ひいては塗膜の耐候性が悪化する原因となることがあるので好ましくない。一方、モル比が1.6を超えると、イソシアネート基及び/又はブロック化イソシアネート基が未反応で残存することがあり、この場合も塗膜の耐水性や耐湿性が低下し、ひいては塗膜の耐候性が悪化する原因となることがあるので好ましくない。
(B)硬化剤成分がアミノプラスト樹脂である場合は、(A)樹脂成分と(B)硬化剤成分との不揮発分重量比が97:3〜60:40の範囲であることが望ましい。アミノプラスト樹脂の割合が、97:3の配合比よりも少ないと塗膜の架橋密度が低く耐溶剤性などが劣ることがあり、60:40の配合比よりも多いと塗膜の可撓性が低下するなどのおそれがある。
【0030】
本発明の導電性積層部材10において用いるトップコート層11形成用塗料組成物として市販の塗料としては、例えば、「シルキーシルバーM」(関西ペイント株式会社製)等に、必要に応じてその他成分を混合して用いられる。
【0031】
本発明の導電性積層部材10において用いるトップコート層形成用塗料組成物の調製方法については特に制限はなく、各必須成分及び所望の各種添加剤を任意の順序で混合する方法や、その他様々な方法を用いることができる。
【0032】
トップコート層11の硬化に要する温度及び時間は、各成分の種類や使用する反応触媒により左右されるが、室温〜220℃の範囲の温度で、30秒間〜10時間程度が一般的である。
【0033】
上記トップコート層11の形成方法は、塗料業界で公知の種々の塗装方法、例えば、スプレー塗り、浸漬塗り、ローラーコート、カーテンフローコート、静電塗装等によって行なうことができ、形成される塗膜の厚さは、一般的には3〜30μmの範囲であるのが好ましい。好適には、10〜20μmである。
トップコート層11の厚みが、3μm未満であると金属粉末15,16の突出が目立ち意匠性に劣り、また金属薄膜12の保護の役割を果たさない。一方、30μmを超えると金属粉末15,16の表面上への突出割合が低くなり導電性に影響を与え、経済的にも好ましくない。塗装後の塗膜の硬化は、80℃で30分の加熱、強制乾燥で硬化させることができる。
【0034】
本発明の金属薄膜12及びトップコート層11を有する導電性積層部材10は、導電性かつ透明性、意匠性に優れた材料として利用することができ、例えば、ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、タッチパネル、透明電極、また電磁波シールド性材料として有用である。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例中の各成分の配合組成は特にことわりのないかぎり重量部で示した。
【0036】
(実施例1)
基材14として、厚さ5mmのポリカーボネート(PC)上に、上述の方法により、厚さ15μmのアンダーコート層13、及び厚さ0.4μmの銀鏡膜12を形成した。
次に、銀鏡膜12の表面上に(A)樹脂成分及び(B)硬化剤成分に、(C)金属粉末からなるトップコート層用塗料組成物で、厚さ10μmのトップコート層11を形成した。
トップコート層11中の金属粉末15,16としては、鱗片状アルミニウム粉末(平均粒径5μm、平均厚さ0.5μm)のアルミニウム成分を、トップコート層用塗料に対して10重量%の割合で含有させた。さらに、アルミニウム成分含有量の10重量%の金属酸化物粉末(酸化スズ+酸化インジウム)を添加した。各々の割合は、酸化スズ=5に対し,酸化インジウム=95の割合となるようにした。塗装後80℃で30分間強制乾燥した。さらに、室温で3日間放置してトップコート層を形成した。
【0037】
(実施例2〜4)
表1の実施例2〜4に示すように、銀鏡膜厚、(C)金属粉末成分の割合を変えて、実施例1と同じようにして基材上に乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、80℃で30分間強制乾燥した。さらに、室温で3日間放置してトップコート層を形成した。
【0038】
(比較例1〜3)
表1の比較例1〜3に示すように銀鏡膜を形成しないで、(C)金属粉末成分の割合を変えて、実施例1と同じようにして基材上に乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、80℃で30分間強制乾燥した。さらに、室温で3日間放置してトップコート層を形成した。
【0039】
(導電性試験)
実施例1〜5の導電性部材に対して表面導電性試験を行った。
図2に示すように、導電性積層部材10の表面の2点をとり、スチールウール23を介してテスター棒21,22を300g/cm2 の圧力で押圧し、2点間の表面電気抵抗値を測定した。表面の測定場所を変えて10カ所の表面電気抵抗値の平均値をとり、次のように評価した。
【0040】
(評価)
表面電気抵抗値の評価は、10Ω未満を○(良=優れた表面導電性を示す)とし、10Ω以上を△又は×(表面導電性が悪い)とし、結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示すように、本発明の導電性積層部材は、きわめて低い表面電気抵抗値を示し、高い表面導電性を有する導電性積層部材として有用であった。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、プラスチック等の基材上に金属薄膜を形成させ、さらにその上層に特定組成のトップコート層をさせることで、表面電気抵抗値の低い導電性積層部材を得ることができる。また、電磁波シールド材としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性積層部材の積層構成を示す断面図である。
【図2】本発明の導電性積層部材の表面導電性を評価する導電性試験の概略説明図である。
【符号の説明】
10 導電性積層部材
11 トップコート層
12 金属薄膜
13 アンダーコート層
14 基材
15,16 金属粉末
21,22 テスター棒21
Claims (2)
- 基材表面に、アンダーコート層、金属薄膜、及びトップコート層を順次形成させてなる積層部材であって、該トップコート層は、3〜30μm厚みであり、1〜30重量%の金属粉末が含まれており、該金属粉末には、鱗片状アルミニウム粉末、金属酸化物粉末が含まれており、
該金属酸化物粉末は、酸化スズ粉末及び酸化インジウム粉末からなり、酸化スズ粉末及び酸化インジウム粉末の合計含有量は、前記鱗片状アルミニウム粉末含有量に対して1〜10重量%であり、
前記酸化スズ粉末:酸化インジウム粉末の重量比が、1〜10:99〜90であることを特徴とする導電性積層部材。 - 前記金属薄膜が、銀鏡膜である請求項1に記載の導電性積層部材。
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