JP4293810B2 - 印刷制御システム及び印刷制御方法並びにプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷制御システム及び印刷制御装置並びにプログラムに係り、特に、カード等の記録媒体に対する情報データの印刷処理を制御する印刷制御システム及び印刷制御装置、並びに記録媒体に対して情報データをレイアウトするための情報レイアウト用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
IDカードやICカード等の記録媒体の表側には、記録媒体の所有者の顔写真や氏名、ID等所有者に関する情報が印刷されている。記録媒体の表側は一般に全面印刷がなされることから、記録媒体に印刷する画像を中間転写媒体に転写した後に、この画像を記録媒体に再転写する間接転写方式により行われている。間接転写方式の印刷装置は記録媒体に対する印刷位置出し精度のバラツキ(位置誤差)を有しているため、中間転写媒体には記録媒体に印刷する画像よりやや大きめの画像が転写される。
【0003】
このため、記録媒体に印刷する画像のレイアウトを行うには、従来、図19に示すように、記録媒体への印刷時の位置誤差を見越してマージンを取った枠72内にオブジェクト(情報データ)を配置していた。しかしながら、印刷時の位置誤差を見越してマージンを取ると、背景画もマージン内で処理する必要があるため、一旦位置誤差が発生してしまうと記録媒体の端に余白ができてしまう、という問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、原画像データの原画像領域周縁の少なくとも一部に原画像領域を拡大するよう所定画素数の疑似画素を付加して、実質的な余白をなくす技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、本発明に関連して、印刷用紙のサイズにより印刷データのレイアウトの位置を移動させる技術(例えば、特許文献2参照)や、ステープルの位置が印刷データに掛からないようにリカバリーを行う技術(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−277835号公報
【特許文献2】
特開平10−287016号公報
【特許文献3】
特開平11−254778号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、記録媒体上に印刷されるオブジェクトには、背景画のように部分的に欠落しても問題がないものと、名前やバーコードのように部分的にも欠落すると意味をなさないものとがある。このような欠けては意味をなさないオブジェクトを含む記録媒体に画像をレイアウトする際に、特に、全面印刷をするために記録媒体に印刷される領域より広いオブジェクトの配置領域を有する場合に、配置領域の端ぎりぎりにオブジェクトを配置すると印刷した際に端が欠けてしまい印刷不良の原因となっていた。
【0007】
また、IC接点を持つカードでは、IC接点の上には画像を形成することができないので、これを意識しないでオブジェクトを配置すると、印刷した際にオブジェクトが欠けてしまったり、ICカードの機能に影響する、という問題点があった。
【0008】
本発明は上記事案に鑑み、記録媒体に対して印刷不良が生じない印刷制御システム及び印刷制御方法、並びに情報レイアウト用プログラムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、情報データを生成する本体装置と、カード状記録媒体に前記情報データを印刷する印刷装置と、を有して、前記情報データの印刷処理を制御する印刷制御システムにおいて、前記情報データに固有の属性情報を設定する設定手段と、前記記録媒体に前記情報データを印刷するために前記記録媒体に対する前記情報データの配置を設定するレイアウト手段と、前記レイアウト手段により位置付けられる前記情報データの配置位置情報と前記設定手段により設定される前記属性情報とから前記記録媒体に対する前記情報データの配置の適否を判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記情報データの印刷処理を制御する制御手段と、を備え、前記設定手段で設定される属性情報が、前記情報データが前記記録媒体からはみ出して当該情報データの少なくとも一部に生じる欠落に対する許容度合いを示す欠落許容ランク情報を含むことを特徴とする。
【0010】
本態様では、前記判定手段による判定結果を表示する情報表示手段を更に備え、前記制御手段は、前記判定手段により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が適正と判定されたときに前記情報データの印刷処理を許容し、前記判定手段により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたときに、前記情報表示手段に前記情報データの配置不適合情報を表示するようにしてもよい。このような態様によれば、情報データごとに配置位置情報の適合性を判定することができ、更に、情報データの配置が不適合と判定されたときに当該情報データの配置不適合情報を表示するので、記録媒体に印刷処理を行おうとする使用者に事前に注意を促し、記録媒体に対する印刷不良を未然に防止することができる。
【0011】
また、前記属性情報が、前記印刷装置による前記記録媒体への印刷処理時において、前記設定手段により前記情報データに前記欠落を許容しないランク情報が設定されている場合に、前記レイアウト手段により位置付けられる前記情報データの配置位置が前記記録媒体に対する前記情報データに欠落が生じる位置に配置されるとき、前記判定手段が前記情報データの配置が不適合であると判定するようにしてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様は、少なくとも一つ以上の情報データのカード状記録媒体に対する印刷を制御する印刷制御方法において、前記情報データに対して、前記記録媒体への印刷処理時に、前記情報データが前記記録媒体からはみ出して当該情報データの少なくとも一部に生じる欠落に対する許容度合いを示す欠落許容ランク情報を含む属性情報を設定する工程と、前記記録媒体に前記情報データを印刷するために前記記録媒体に対する前記情報データの配置を設定する工程と、前記情報データの配置位置情報と前記属性情報とから前記記録媒体に対する前記情報データの配置の適否を判定する工程と、前記判定工程において、前記記録媒体に対する前記情報データの配置が適正と判定されたときに前記情報データの印刷処理を許容し、前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたときに前記情報データの印刷処理を禁止するように制御する工程と、を含む。
【0015】
この場合において、前記制御工程が、前記判定工程において前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置位置の移動を制限するように制御するようにしてもよく、また、前記制御工程が、前記判定工程において前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置位置を修正するように制御してもよい。本態様によれば、情報データごとに配置位置情報の適合性を判定することができると共に、前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたときに前記情報データの印刷処理を禁止するように制御するので、記録媒体に対する印刷不良を未然に確実に防止することができる。なお、制御工程による制御態様として、判定工程において記録媒体に対する情報データの配置が不適合と判定されたときに、例えば、強制的に情報データの配置位置を変更したり、画像メモリ上への情報データの画像が展開できなくしたり、一旦は展開できるが最終的な画像の確定ができなくなるようにしてもよい。
【0017】
本発明の第3の態様は、カード状記録媒体に対して情報データをレイアウトするための情報レイアウト用プログラムであって、コンピュータに、前記情報データを入力する機能と、前記入力された前記情報データに対して、前記記録媒体への印刷処理時に、前記情報データが前記記録媒体からはみ出して当該情報データの少なくとも一部に生じる欠落に対する許容度合いを示す欠落許容ランク情報を含む属性情報を設定する機能と、前記記録媒体に対する前記情報データの配置を設定する機能と、前記設定された前記情報データの配置位置情報と前記設定された前記情報データの属性情報とから前記記録媒体に対する前記情報データの配置の適否を判定する機能と、前記判定により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置不適合情報を表示せしめる機能と、を実現させるものである。
【0018】
本態様によれば、情報データごとに配置位置情報の適合性を判定することができ、更に、情報データの配置が不適合と判定されたときに当該情報データの配置不適合情報を表示せしめるので、記録媒体に印刷処理を行おうとする使用者に事前に注意を促し、記録媒体に対する印刷不良を未然に防止することができる。
【0019】
ここで、本態様においては、前記判定により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置位置の移動を制限する機能を有してもよく、前記判定により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置位置を修正する機能を有してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明が適用可能な印刷システムの実施の形態について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の印刷システム1は、ICカード等の記録媒体に画像等の情報データを印刷する印刷装置2と、画像等の情報データを生成するとともに、印刷装置2に画像等の情報データを送出する本体装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという。)3と、が100baseT等のインターフェース手段としての接続ケーブル4により接続されている。
【0022】
図2に示すように、印刷装置2は、中間転写シート供給部16から供給され中間転写シート巻取部17に巻き取られる中間転写シートFに画像を形成する画像形成部13と、中間転写シートFに形成された画像をICカードCの表側に転写(印刷)する転写部10とを備えている。画像形成部13は、熱転写プリンタの構成が採用されており、中間転写シートFへの画像形成時に中間転写シートFを支持するプラテンローラ7及びプラテンローラ7に対して進退可能に配設されたサーマルヘッド6を有している。プラテンローラ7とサーマルヘッド6との間には、中間転写シートFの他に、熱転写シート供給部14から供給され熱転写シート巻取部15に巻き取られ、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)のインクを面順次に繰り返した熱転写シートRが介在している。一方、転写部10は、ICカードCへの転写時にICカードCを支持するプラテンローラ9及びプラテンローラ9に対して進退可能に配設されたヒートローラ8を有している。ヒートローラ8には、中間転写シートFを加熱する発熱ランプが内蔵されている。プラテンローラ9とヒートローラ8との間には中間転写シートFが介在している。
【0023】
また、印刷装置2は、複数のブランクのICカードCを積層状に収容し1枚ずつICカードCを送り出すカード供給部5と、ICカードCの表面を清浄するクリーニングローラ対を有しICカードCを転写部10へ略水平方向に搬送する搬送する水平搬送部11aと、転写部10で表側に画像が転写(印刷)されたICカードCを略水平方向に搬送し細長矩形状の排出口を介してスタッカ12に積層状に収容させる搬送排出部11bと、を有している。
【0024】
更に、印刷装置2は、商用交流電源から各機構部及び制御部等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部18、印刷装置2全体の動作制御を行う制御部20及び制御部20からの情報に従って印刷装置2の状態等を表示すると共に、オペレータによる操作で制御部20に操作命令の指示や情報の入力が可能なタッチパネル38を有している。
【0025】
図3に示すように、制御部20は、印刷装置2の制御処理を行うマイコン21を備えている。マイコン21は、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、印刷装置2の制御動作が記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くと共に画情報が展開可能なRAMを含んで構成されている。
【0026】
マイコン21には外部バス24が接続されている。外部バス24には、印刷装置2に固有で転写部10の転写の際に生ずる印刷位置誤差の値を表す最大誤差値の情報を書き込んだ不揮発性メモリとしてのEPROM22が接続されている。この最大誤差値は、印刷装置2の完成検査時に、誤差測定用のレイアウト画像をICカードCに印刷して転写部10の印刷位置誤差を測定し(例えば、レイアウト画像の中心部や隅部どれだけ位置ズレしたかを測定し)、測定した印刷位置誤差に従って同種の印刷装置の印刷位置誤差の統計分布により安全側に設定してEPROMへ書き込んだものであり、記録媒体の基準位置(例えば、中心や隅部)に対して横方向及び縦方向の印刷位置誤差を「dot」や「mm」を単位とする数値で表したものである。
【0027】
また、外部バス24には、タッチパネル38の表示や操作命令を制御するタッチパネル表示操作制御部25、各種センサからの信号を制御するセンサ制御部26、各モータに駆動パルスを送出するモータドライバ等を制御するモータ制御部27、サーマルヘッド6の熱エネルギーを制御するサーマルヘッド制御部30、パソコン3との通信を行うための外部入出力インターフェース28、パソコン3から送出された画像データ等を一時的に保持するバッファメモリ29が接続されている。タッチパネル表示操作制御部25、センサ制御部26、モータ制御部27及びサーマルヘッド制御部20は、タッチパネル38、各種センサ、各種モータドライバ、サーマルヘッド6にそれぞれ接続されている。なお、外部入出力インターフェース28は接続ケーブル4に接続されている。
【0028】
次に、本実施形態の印刷システム1の動作について、パソコン3側で実行されICカードCの表側に種々の情報データをレイアウトするためのレイアウト処理ルーチン、レイアウト処理ルーチンで生成されたレイアウト画像(ビットマップ画像)に従って印刷装置2側で行われるICカードCへの印刷の順で説明する。なお、説明を簡単にするために、図11に示すように、接点31を有するブランクのICカードCの表側に、ICカードCの所有者の氏名32、所属する会社名33、所有者の顔写真34、背景画35、所有者のIDを表すバーコード36を配置して印刷する例について詳述する。
【0029】
図4に示すように、レイアウト処理ルーチンでは、まず、ステップ102において、印刷装置2のEPROM22に格納された最大誤差値について、印刷装置2側に送出を要求し、送出された最大誤差値を取り込む。なお、最大誤差値は、制御部20への電源の投入によりマイコン21のRAMに展開されている。次のステップ104では、取り込んだ最大誤差値によりICカードC上で画像の欠落が生じない(はみ出さない)ことが保証された印刷確保領域の演算を行う。
【0030】
図12に示すように、配置可能領域41は情報データの画像をレイアウト可能な最も広い領域を示している。ICカードCの表側に印刷するときの印刷装置2に固有の印刷位置誤差により、配置可能領域41は点線で示す領域42へシフトする。ICカードCの実サイズ内の大きさで、かつ、領域42に対して一辺あたり例えば0.5mm(8dot)程度の安全代を形成した領域を設定すれば、この領域内にレイアウトされた情報データ(上述したICカードの所有者氏名32等)の画像はICカードC上で印刷装置2の印刷位置誤差に起因する欠落が生じない(以下、この領域を印刷確保領域40という。)。従って、ステップ104では、最大誤差値による印刷ズレがあってもICカードCの実サイズ内で安全代がとられた印刷確保領域40が演算される。なお、配置可能領域41に配置された情報データの画像は、印刷確保領域40内に配置されない限り、ICカードC上で欠落(ICカードCからのはみ出し)が発生し得る。
【0031】
次にステップ106では、印刷確保領域40の他に、配置可能領域41、背景画をレイアウトするための背景画レイアウト領域43をパソコン3のディスプレイに表示する(図13参照)。なお、背景画レイアウト領域43に配置される背景画は、印刷確保領域40より大きいので、ICカードCに対して欠落を含む(ICカードCに対してはみ出す)こととなる。
【0032】
図13に示すように、パソコン3のディスプレイには、上述した配置可能領域41、印刷確保領域40及び背景画レイアウト領域43の他に、配置可能領域41内に顔写真や会社のロゴ等の画像の配置を選択するための画像配置ボタン54、氏名や会社名等のテキスト文字の画像の配置を選択するためのテキスト配置ボタン55、バーコードの画像の配置を選択するためのバーコード配置ボタン56、背景画の配置を選択するための背景配置ボタン57及び印刷確保領域40内に印刷を禁止する印刷禁止領域の設定を選択するための禁止領域設定ボタン58で構成されるレイアウト手段としての配置ボタン60、各情報データ固有の属性情報を設定・表示するための設定手段としての設定情報欄65、オペレータへのメッセージを表示するための情報表示手段としての情報表示欄64、並びに、印刷確保領域40のみの表示を行うための印刷確保領域表示ボタン51、配置可能領域41のみの表示を行うための配置可能領域表示ボタン52、印刷確保領域40、背景画レイアウト領域43及び配置可能領域41を枠線で判別可能に表示するための全域表示ボタン53で構成される領域表示切換ボタン50を配置したレイアウト用アプリケーションソフトウェアのフォームが表示される。なお、本実施形態におけるアプリケーションソフトウェアは、その機能上において、配置ボタン60により位置付けられる情報データの配置位置情報と、設定情報欄65により設定される設定情報(属性情報)とから、ICカードCに対する情報データの配置の適否を判定する図示しない判断手段を有して構成されている。
【0033】
ステップ108では、配置ボタン60のいずれかがクリックされるまで待機し、配置ボタン60のいずれかがクリックされると、次のステップ110でクリックされたボタンが禁止領域設定ボタン58か否かを判断し、肯定判断のときはステップ112へ進み、否定判断のときはステップ114でクリックされたボタンがテキスト配置ボタン55か否かを判断し、肯定判断のときはステップ116へ進み、否定判断のときはステップ118でクリックされたボタンが画像配置ボタン54か否かを判断し、否定判断ときはステップ120でバーコード配置ボタン56がクリックされたか否かを判断し、肯定判断のとき又はステップ118で肯定判断のときは、ステップ122へ進む。ステップ120で否定判断されたときは、背景配置ボタン57がクリックされたので、ステップ124に進む。すなわち、ステップ108〜ステップ120では、クリックされた配置ボタン60により、印刷確保領域40内に印刷禁止領域を設定するための禁止領域設定処理サブルーチン(ステップ112)、テキスト文字の画像を配置するためのテキスト配置処理サブルーチン(ステップ116)、画像を配置するための画像配置処理サブルーチン(ステップ122)及び背景画を配置するための背景配置処理サブルーチン(ステップ124)のいずれかが実行される。
【0034】
図5に示すように、禁止領域設定処理サブルーチンでは、ステップ132において、許容ランク決定サブルーチンが呼び出される。図6に示すように、この許容ランク決定サブルーチンでは、まず、ステップ142において、情報データの各々に付与される管理番号を決定する。図13の設定情報欄65の▲2▼に示すように、管理番号は01から始まり1ずつインクリメントされる連続番号とされる。なお、図13の設定情報欄65の▲1▼は、情報データの種別を表しており、禁止領域の略号を示す「PH」が表示される。
【0035】
次のステップ144では、下表1に示すテーブルを参照して、欠落に対するデフォルト値の許容ランク及び重なりに対するデフォルト値の許容ランクが設定・表示する(図13の設定情報欄65の▲3▼、▲5▼も参照)。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示すように、情報データの種別は、画像(本例では顔写真34のビットマップ)、テキスト(本例では氏名及び会社名のテキスト文字のビットマップ)、バーコード(本例ではICカードCの所有者のIDを表すバーコードのビットマップ)、背景(本例では16dot/mm印刷で1360dot×880dotの背景画のビットマップ)、及び禁止領域の5種類とされている。また、表1において、欠落に対するデフォルト値の許容ランク「3」は印刷確保領域40からのはみ出し(欠落)を許容しないランク、「2」は後述するように印刷確保領域40からのはみ出し(欠落)を許容するが一定条件の下でのはみ出しは許容しないランク、「1」ははみ出しを許容するランクを意味している。また、重なりに対するデフォルト値の許容ランク「3」は印刷確保領域40内で他の情報データに対して重なりを許容しないランク、「1」は重なりを許容するランクを意味している。従って、ステップ144では、図13に示すように、設定情報欄65の▲3▼欠落に対するデフォルト値の許容ランクに「1」を、設定情報欄65の▲5▼重なりに対するデフォルト値の許容ランクに「3」を設定・表示する。
【0038】
ステップ146では、設定情報欄65の▲4▼欠落に対するオペレータ(ユーザ)の設定許容ランクにカーソルを移動させ、次のステップ148において、入力があるまで待機する。設定情報欄65の▲4▼欠落に対するオペレータの設定許容ランクには、オペレータが設定許容ランクを入力するためにデフォルト値として0が設定・表示される。オペレータが設定情報欄65の▲3▼欠落に対するデフォルト値の許容ランクのままで問題がないときは、例えば、リターンキーを押下することにより入力がなされる。次のステップ150では、設定情報欄65の▲4▼欠落に対するオペレータの設定許容ランクが「0」か否かを判断し、肯定判断のときは設定情報欄65の▲3▼欠落に対するデフォルト値の許容ランクを、否定判断のときは設定情報欄65の▲4▼欠落に対するオペレータの設定許容ランクを、印刷確保領域40に対する欠落許容ランクとして決定する。なお、ステップ148で「0」〜「3」以外の数値が入力されたときは、入力不適当として情報表示欄64に警告を表示し、適正な入力があるまで待機する。
【0039】
次にステップ152では、設定情報欄65の▲6▼重なりに対するオペレータの設定許容ランクにカーソルを移動させ、ステップ154において入力があるまで待機する。設定情報欄65の▲6▼重なりに対するオペレータの設定許容ランクには、▲4▼欠落に対するオペレータの設定許容ランクと同様にオペレータの設定許容ランクが入力されるのでデフォルト値として0が設定・表示される。オペレータが設定情報欄65の▲5▼重なりに対するデフォルト値の許容ランクのままで問題がないときは、例えば、リターンキーを押下することにより入力がなされる。次のステップ156では、設定情報欄65の▲6▼重なりに対するオペレータの設定許容ランクが「0」か否かを判断し、肯定判断のときは設定情報欄65の▲5▼重なりに対するデフォルト値の許容ランクを、否定判断のときは設定情報欄65の▲6▼重なりに対するオペレータの設定許容ランクを、印刷確保領域40内の重なり許容ランクとして決定して、許容ランク決定サブルーチンを終了し、図5のステップ134へ進む。なお、ステップ154で「0」、「1」、「3」以外の数値が入力されたときは、入力不適当として情報表示欄64に警告を表示し、適正な入力があるまで待機する。
【0040】
図5のステップ134では、図13に示した設定情報欄65の▲7▼設定情報にカーソルを移動させ、ステップ136で禁止領域の配置位置の入力があるまで待機する。下表2に示すように、設定情報欄65の▲7▼設定情報には、配置位置が含まれるが、情報データの種別に応じて、後述するように、他の情報が含まれる場合がある。
【0041】
【表2】
【0042】
図14に示すように、配置位置は、印刷確保領域40の一端部を原点O(0,0)としたときに、基点R(400,600)、縦横のサイズS(30,350)を表す情報データの場合は、(400,600,30,350)のように表され、本例では単位にdotが用いられる。従って、ステップ136では、原点O(0,0)に対して禁止領域の配置位置62がオペレータにより入力される。
【0043】
次のステップ138では、配置位置を取り込み、禁止領域を演算・決定する。ICカードCの接点31上に画像を印刷しようとすると、接点31による表面の凹凸形状により、及び接点31の金属成分組成により接点31上には画像は形成できず、場合によっては印刷時の熱影響によりICカードCの機能が果たせなくなるので、画像の形成を意図的に禁止する禁止領域を設定する必要がある。図13に示すように、ステップ136では、設定情報欄65の▲7▼設定情報として原点O(0,0)を基準として禁止領域の配置位置62を入力したが、上述したように印刷装置2に固有の印刷位置誤差が影響する。このため、ステップ138では、ステップ102で取得した最大誤差値により禁止領域の配置位置62が印刷確保領域40内で最大限の位置ズレを生ずる最大ズレ領域61を演算し、禁止領域の配置位置62及び最大ズレ領域61の両者に対し一辺あたり例えば8dot(0.5mm)程度の安全代を形成した領域63を決定する。これにより、印刷位置誤差により画像が形成されない、或いは、ICカードCの機能が果たせなくなるという問題を解決することができる(以下、このように決定された領域を決定禁止領域63という。)。
【0044】
次にステップ140では、図13に示すように、印刷確保領域40内に決定禁止領域63を表示すると共に、設定情報欄65の▲7▼設定情報に決定禁止領域63の配置位置の位置情報を表示して禁止領域設定処理サブルーチンを終了して、図4のステップ126へ進む。
【0045】
図7に示すように、テキスト配置処理サブルーチンでは、まずステップ162で、テキスト配置ボタン55をドラッグして配置可能領域41内にドロップされるまで待機し、ドラッグ・ドロップがなされると、ステップ164においてオブジェクト(ビットマップ)の実体を生成する。
【0046】
次のステップ166では、図6に示した許容ランク決定サブルーチンを呼び出して実行する。図15に示すように、設定情報欄65の▲1▼情報データの種別には、テキストの略号を示す「TX」が表示され、▲2▼管理番号には連続番号が付与される(図15では2番目の「02」が付与されている。)。また、氏名(又は会社名)等のテキスト文字は欠落や背景画以外の情報データに対する重なりが許容されないので、表1に示すように、▲3▼欠落に対するデフォルト値の許容ランク及び▲5▼重なりに対するデフォルト値の許容ランクには「3」が設定・表示される。また、印刷確保領域40に対する欠落許容ランク及び印刷確保領域40内の重なり許容ランクは、上述した禁止領域の設定の場合と同様に、オペレータが入力した▲4▼欠落に対するオペレータの設定許容ランク及び▲6▼重なりに対するオペレータの設定許容ランクへの入力値に従って決定される(ステップ150、156)。
【0047】
次のステップ168では、設定情報欄65の▲7▼設定情報にカーソルを移動させ、ステップ170でオペレータから入力があるまで待機する。表2に示すように、情報データの種別がテキストのときは、▲7▼設定情報には図14に示した配置位置の他に、テキストの文字、ポイント、テキストを太字(ボールド)にするか否かの選択、斜体にするか否かの選択及び色の選択の入力が可能であり、ステップ170で入力があるとその入力内容に従って、ステップ172において、配置可能領域41内に配置されたオブジェクトの配置位置、文字、ポイント、ボールド、斜体、色を変更表示すると共に、▲7▼設定情報に入力された情報を表示する。ステップ174では、配置位置から色までの全ての入力が終了した否かを判断し、否定判断のときはステップ170へ戻り入力の続行を許容し、肯定判断のときはステップ176へ進む。従って、ステップ170〜ステップ174では、配置可能領域41内に配置されたオブジェクトに配置位置、文字、ポイント、ボールド、斜体、色の情報を順次付与し、テキスト文字のビットマップ(以下、テキストオブジェクトという。)が形成される。
【0048】
次にステップ176では、テキストオブジェクトがドラッグされ配置位置がステップ174で入力が終了した位置から変更された否かを判断し、否定判断のときはステップ180へ進み、肯定判断のときは、次のステップ178においてドラッグされた位置にテキストオブジェクトを表示すると共にその配置位置の位置情報を取り込む。ステップ180ではテキストの配置処理が終了したか否かを例えばリターンキーが押下されたか否かを判定することにより判断し、否定判断のときは次のステップ182で▲7▼設定情報の配置位置の位置情報をドラッグにより変更された配置位置の位置情報に変更・表示してステップ176へ戻り、肯定判断のときはテキスト配置処理サブルーチンを終了して、図4のステップ126へ進む。
【0049】
図8に示すように、画像配置処理サブルーチンでは、ステップ202において、図6に示した許容ランク決定サブルーチンを呼び出して実行する。設定情報欄65の▲1▼情報データの種別には、画像配置ボタン54がクリックされた場合には画像の略号を示す「PT」が表示され、バーコード配置ボタン56がクリックされた場合にはバーコードの略号を示す「BC」が表示され、▲2▼管理番号に連続番号が付与される。
【0050】
図16に示すように、本例の顔写真のような画像の場合には、画像領域66の一部がICカードC上から欠落しても顔の位置を含む欠落不可領域67がICカードCから欠落しなければICカードCの印刷不良とはならない。一方、図15に示すように、バーコードの場合には、ICカードCに対し縦方向にはみ出していてもバーコードリーダーでバーコードを読み取って所有者のIDを認識することができるが、ICカードCに対し横方向にはみ出していればバーコードの一部が欠落するので所有者のIDを認識することができない。また、顔写真のような画像及びバーコードは他の情報データとの重なりが許容されない。従って、表1に示すように、画像及びバーコードの場合には、設定情報欄65の▲3▼欠落に対するデフォルト値の許容ランクには「2」が設定され、▲5▼重なりに対するデフォルト値の許容ランクには「3」が設定される。また、印刷確保領域40に対する欠落許容ランク及び印刷確保領域40内の重なり許容ランクは、上述した禁止領域の設定の場合と同様に、オペレータが入力した▲4▼欠落に対するオペレータの設定許容ランク及び▲6▼重なりに対するオペレータの設定許容ランクへの入力値に従って決定される(ステップ150、156)。
【0051】
次のステップ204では、情報表示欄64に画像又はバーコードのビットマップが収容されているフォルダ等へのフルパス情報をオペレータに入力するように要求するコメントを表示し、次のステップ206でフルパス情報が入力されるまで待機し、フルパス情報が入力されると、ステップ208でフルパス情報を取り込む。次のステップ210では、設定情報欄65の設定情報にカーソルを移動させ、画像又はバーコードのビットマップの配置位置の入力があるまで待機し、入力があると、ステップ214において情報データが画像か否かを判断し、否定判断のとき(バーコードのとき)はステップ222へ進み、肯定判断のときは、ステップ216において、表2に示すように、欠落不可領域67の配置位置を設定するために配置位置の右側に配された欠落不可領域(欄)にカーソルを移動させ、ステップ218で入力があるまで待機する。この設定は、図14で示した配置位置の場合と同様に、基点及び縦横を入力することにより行うことができる。ステップ218で欠落不可領域67の配置位置の位置情報が入力されると、次のステップ220で入力された情報を取り込み、ステップ222において、画像又はバーコードを配置可能領域41内に表示する。この場合に、画像の欠落不可領域67を枠線で示すようにしてもよい。
【0052】
次にステップ224では、画像又はバーコードがドラッグされ配置位置がステップ222で表示された位置から変更された否かを判断し、否定判断のときはステップ228へ進み、肯定判断のときは、次のステップ226においてドラッグされた位置に画像又はバーコードを表示すると共にその配置位置の位置情報を取り込む。ステップ228では画像又はバーコードの配置処理が終了したか否かを例えばリターンキーが押下されたか否かを判定することにより判断し、否定判断のときは次のステップ230で▲7▼設定情報の配置位置(画像の場合には更に欠落不可領域の配置位置)の位置情報をドラッグにより変更された配置位置の位置情報に変更・表示してステップ224へ戻り、肯定判断のときは画像配置処理サブルーチンを終了して、図4のステップ126へ進む。
【0053】
図9に示すように、背景配置処理サブルーチンでは、ステップ232において、図6に示した許容ランク決定サブルーチンを呼び出して実行する。設定情報欄65の▲1▼情報データの種別には、背景の略号を示す「BG」が表示され、▲2▼管理番号に連続番号が付与される。図15に示すように、背景画レイアウト領域43は印刷確保領域40より大きく元々印刷確保領域40からはみ出しているので、表1に示すように、▲3▼欠落に対するデフォルト値の許容ランクには「1」が設定され、▲5▼重なりに対するデフォルト値の許容ランクには、後述するステップ240〜ステップ228で重なりについての処理を行うため、「1」が設定される。また、印刷確保領域40に対する欠落許容ランク及び印刷確保領域40内の重なり許容ランクは、上述した禁止領域の設定の場合と同様に、オペレータが入力した▲4▼欠落に対するオペレータの設定許容ランク及び▲6▼重なりに対するオペレータの設定許容ランクへの入力値に従って決定される(ステップ150、156)。
【0054】
次のステップ234では、情報表示欄64に背景のビットマップが収容されているフォルダ等へのフルパス情報をオペレータに入力するように要求するコメントを表示し、次のステップ236でフルパス情報が入力されるまで待機し、フルパス情報が入力されると、ステップ238でフルパス情報を取り込む。
【0055】
次にステップ240では、禁止領域(の配置位置61)が設定されているか否かを判断する。このような判断は、全ての情報データについて設定情報欄65の▲1▼情報データの種別を参照することにより判断することができる。肯定判断のときはステップ242において背景から決定禁止領域63内の画像を削除し(ブランクとし)、否定判断のときはステップ244、246において画像及び/又はバーコードが配置されているか否かを判断する。このような判断も、全ての情報データについて設定情報欄65の▲1▼情報データの種別を参照することにより判断することができる。ステップ244又はステップ246で肯定判断されたときには、背景との重なりを避けるために、ステップ248において背景から画像及び/又はバーコードの配置位置の画像を削除し(ブランクとし)、ステップ250において背景を含む他の情報データをディスプレイに表示して背景配置処理サブルーチンを終了し、図4のステップ126へ進む。なお、上述したように背景の大きさは定められており背景画レイアウト領域43に配置される。図15に示した配置可能領域41内のイメージは背景を最後に配置した状態を示し、背景から決定禁止領域63、画像(顔写真)及びバーコードの配置位置が削除(ブランクと)されている。
【0056】
図4のステップ126では、配置可能領域41内に配置された情報データについて決定された許容ランクに基づいて印刷確保領域40からのはみ出し等を判定する判定処理サブルーチンが実行される。図10に示すように、この判定処理サブルーチンでは、ステップ252において、対象となる(配置ボタン60により配置された)情報データが画像、テキスト、バーコードの所定種別か否かを判断し、否定判断のとき(背景、禁止領域のとき)には判定処理サブルーチン及びレイアウト処理ルーチンを終了する。一方、肯定判断のときは、ステップ254において対象となる情報データが印刷確保領域40からはみ出しているか否かを判断する。
【0057】
図17(A)に示すように、配置可能領域41の座標が(X0,Y0)、(X1,Y0)、(X1,Y1)、(X0,Y1)、印刷確保領域40の座標が(P0,Q0)、(P1,Q0)、(P1,Q1)、(P0,Q1)、情報データAの配置位置の座標が(A0,B0)、(A1,B0)、(A1,B1)、(A0,B1)で表されるときに、情報データAが印刷確保領域40から横方向にはみ出している条件は下記式(1)で与えられ、縦方向にはみ出している条件は下記式(2)で与えられる。
【0058】
【数1】
【0059】
また、図17(B)に示すように、情報データCの配置位置の座標が(C0,D0)、(C1,D0)、(C1,D1)、(C0,D1)、情報データEの配置位置の座標が(E0,F0)、(E1,F0)、(E1,F1)、(E0,F1)で表されるときに、情報データEが情報データCに部分的に重なる条件は下記式(3)で与えられ、情報データEが情報データCに完全に重なる(含まれる)条件は下記式(4)で与えられる。
【0060】
【数2】
【0061】
従って、ステップ254では式(1)又は式(2)を満たすか否かを判定することにより、対象となる情報データが印刷確保領域40からはみ出しているか否かが判断される。ステップ254で否定判断のときは、ステップ266へ進み、ステップ254で肯定判断のときは、次のステップ256において対象となる情報データがテキストか否かを判断する。肯定判断されたときは、ステップ264へ進み、否定判断されたときは、ステップ258において対象となる情報データが画像か否かを判断する。上述したように画像の場合には、画像領域66の一部がICカードC上から欠落しても顔の位置を含む欠落不可領域67がICカードCから欠落しなければICカードCの印刷不良とはならないので、ステップ258で肯定判断されたときは、ステップ262で上述した式(1)(2)により欠落不可領域67も印刷確保領域40からはみ出しているかを判断する。ステップ262で肯定判断のときはステップ264へ進み、否定判断のときはステップ266へ進む。
【0062】
一方、ステップ258で否定判断されたときは、対象となる情報データはバーコードなので、ステップ260において上述した式(1)により横方向にはみ出しているかを判断する。肯定判断のときはステップ264へ進み、否定判断のときはステップ266へ進む。ステップ264では、対象となる情報データが印刷可能領域40からはみ出し欠落を生ずるおそれがあるので、情報表示欄64に対象となる情報データがはみ出している旨の配置不適合情報としてのメッセージを表示してステップ266へ進む。
【0063】
次にステップ266では、対象となる情報データに重なりがあるかを背景及び決定禁止領域63を除く他の情報データ全てについて上述した式(4)を満たすか否かを判定することにより重なりを判断し、否定判断のときはステップ270へ進み、肯定判断のときは次のステップ268において、情報表示欄64に対象となる情報データに重なりがある旨の配置不適合情報としてのメッセージを表示する。この場合に重なりの対象となる情報データの種別や管理番号も併せて表示するようにしてもよい。
【0064】
次のステップ270では、対象となる情報データが決定禁止領域63へはみ出しているか(決定禁止領域63と重なっているか)を上述した式(4)を満たすか否かを判定することによりはみ出し(重なり)を判断し、肯定判断のときはステップ272において、決定禁止領域63内に対象となる情報データがはみ出している(重なっている)旨の配置不適合情報としてのメッセージを表示して、ステップ270で否定判断された場合と同様に、判定処理サブルーチン及びレイアウト処理ルーチンを終了する。なお、対象となる情報データについて、はみ出し、重なり、禁止領域へのはみ出しについて同時にコメントするようにしてもよい。また、はみ出し、重なり、禁止領域へのはみ出しがないときに、配置適正を示すコメントを情報表示欄64に表示するようにしてもよい。
【0065】
オペレータは、上述したレイアウト処理ルーチンにより、情報データについて一つずつ配置位置の適正が否かを確認することができる。従って、情報データの配置位置が不適正なときは、配置をやり直すことにより適正なレイアウト画像を得ることができる。なお、配置可能領域41に全ての情報データを配置した後に、ステップ126で全ての情報データについて判定処理を行うようにしてもよい。この場合には、ステップ126の前に全ての情報データの配置が終了したか否かの判断を行い、否定判断のときはステップ108へ戻り、肯定判断のときにステップ126へ進み、ステップ126で情報データの一つずつについて上述した判定処理サブルーチンの実行を行うようにすればよい。
【0066】
このように作成された欠落の生じないビットマップのレイアウト画像はパソコン3から接続ケーブル4を介して印刷装置2へ送出される。印刷装置2では、制御部20の外部入出力インターフェース28、バッファメモリ29を介して受け取ったレイアウト画像をマイコン21のRAMに格納する。
【0067】
次に、マイコン20のCPUは、受け取ったレイアウト画像をY、M、Cの三色に色分解を行い、色分解され256階調で強度を表した熱強度情報をY、M、C毎にサーマルヘッド制御部30に送出する。画像形成部13では、サーマルヘッド制御部30から送出された熱強度情報に従ってサーマルヘッド6が加熱され、中間転写シートFに熱転写シートRのY、M、Cの染料で画像が重ねて形成される。中間転写シートFは中間転写シート巻取部17に巻き取られて画像形成箇所が転写部10へ送られる。
【0068】
一方、カード供給部5からはブランクのICカードCが1枚ずつ引き出され、水平搬送部11aを介して転写部10へ搬送される。ICカードC及び中間転写シートFに形成された画像形成箇所は同期して転写部10に搬送され、ヒートローラ8が下降し、ヒートローラ8に内蔵された発熱ランプの熱(及びヒートローラ8の加圧)によりプラテンローラ9に支持されたICカードCの表側に中間転写シートFの画像形成箇所が転写される。
【0069】
画像が形成されたICカードCは搬送排出部11bを略水平方向に搬送され、スタッカ12に積層状に収容される。このように印刷システム1では、図11に示したICカードCが作成される。
【0070】
本実施形態の印刷システム1によれば、レイアウト処理ルーチン(判定処理サブルーチン)で、情報データ毎にICカードC上に印刷が確保される(欠落が生じない)印刷確保領域40に入るように確認・修正することができるので、印刷装置2によるICカードCの印刷前に印刷不良を防止することができる。また、はみ出し、重なりについて印刷確保領域40に対する許容ランクを入力することができるので、換言すれば、印刷確保領域40に対する精度情報を入力することができるので、印刷確保領域40からはみ出してよい情報データとはみ出してはならない情報データとを事前に峻別することで、印刷不良(印刷コスト)の低減と印刷自由度の確保とを図ることができる。
【0071】
また、本実施形態の印刷システム1では、印刷装置2に固有の最大誤差値により印刷確保領域40が設定されるので、レイアウト画像を作成することで確実に印刷不良のない(欠落のない)ICカードCを作成することができる。更に、印刷システム1では、最大誤差値により決定禁止領域63が画定されるので、禁止領域の面積を最小にすると共に、接点31を有するICカードCに対して機能不良を生じさせることもない。更にまた、印刷装置の最大誤差値に依らない印刷システムでは仮に印刷確保領域を一律に設定しても印刷不良を減少させるためにその領域を狭くせざるを得ないのに対し、本実施形態の印刷システム1では、最大誤差値によりICカードCの実サイズ内で安全代を取って印刷確保領域40を設定し、最大誤差値に応じて印刷確保領域40を変動させて設定するようにしたので、印刷が確保される領域を広くとることができる。また、印刷システム1では、画像に欠落を許容する画像領域66と欠落不可領域67とを設け、画像領域66と欠落不可領域67との両者に対して適合性の判断を行うようにし、更に、バーコードの縦横に対して一方のはみ出しを許容し、他方のはみ出しを禁止するようにしたので、配置可能領域41に対するレイアウトの自由度を高めることができる。
【0072】
なお、本実施形態では、最大誤差値によりICカードCの実サイズ内で安全代をとって印刷確保領域40を設定する例を示したが、印刷確保領域40をICカードCより若干小さく設定しておいて、最大誤差値による位置ズレにより印刷確保領域40で欠落が生じないかを判断し、欠落を生じないと判断した場合にはその印刷確保領域とし、欠落を生じると判断した場合に欠落を生じる方向に対してのみ印刷確保領域を狭めるようにしてもよい。このようにすれば、欠落を生ずることなく印刷確保領域を広く確保することができる。また、本実施形態では、位置誤差情報として同種の印刷装置の印刷位置誤差の統計分布により安全側に設定した最大誤差値を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、印刷装置2の完成検査時に測定した誤差値の最大値を位置誤差情報として用いるようにしてもよい。更に、印刷装置2の修理等によって最大誤差値が変化した場合や印刷装置2に固有の位置誤差を経験的に知り最大誤差値をより小さく設定しても問題がない場合には、タッチパネル38を操作することにより、EPROM22に格納されている最大誤差値を書き換えるようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、接点31を有するICカードCを例示したが、図18に示すように接点のないICカードやクレジットカード、キャッシュカード、ライセンスカード等他の記録媒体を作成する場合に適用可能なことは論を待たない。更に、本実施形態では、背景画を1つとした例を示したが、背景画は1つに限らず複数にするようにしてもよい。複数の背景画とすることにより記録媒体のセキュリティを高めることができる。
【0074】
更に、本実施形態では、印刷装置2から最大誤差値を受け取り、パソコン3側でレイアウト画像を作成すると共に情報データの配置位置の判定をする例を示したが、パソコン3側でレイアウト画像を作成して印刷装置2側に送出し、印刷装置2側で印刷確保領域40を設定してレイアウト画像上の情報データが印刷確保領域40からはみ出しているか、情報データ同士が重なっているか、決定禁止領域63内にはみ出しているかを判定し、判定結果をパソコン3に送出するようにしてもよい。この場合に、印刷装置2側は必ずしも情報データそのものを受け取る必要はなく、上記実施形態に則して説明すれば、情報データについて設定情報欄65の設定情報を受け取ることにより、自己に固有の最大誤差値から印刷確保領域40を演算し、上述した式(1)〜(4)により、情報データの画像を展開することなく各情報データの配置位置の適合性を判定するようにしてもよい。このようにすれば、情報データの画像を展開する時間が不要なため判定に要する時間を短縮することができる。また、上記実施形態では、設定情報欄65に▲4▼欠落に対するオペレータの設定許容ランク及び▲6▼重なりに対するオペレータの設定許容ランクを入力する例を示したが、印刷装置2側で判定を行う場合には、このような設定許容ランクの入力をなくすようにしてもよいし、又は、タッチパネル38から入力するようにしてもよい。
【0075】
また、印刷装置2側が情報データと設定情報欄65に示した情報データの属性情報とをパソコン3側から受け取り、自己に固有の最大誤差値から印刷確保領域40を演算し、上述した式(1)〜(4)により、情報データの画像の展開をして、はみ出し、重なり、決定禁止領域へのはみ出しがあるときに、はみ出し、重なり、決定禁止領域へのはみ出しを解除するように該当する情報データの位置を変更するようにしてもよい。例えば、図17(A)に示した情報データAでは、横方向のみ印刷確保領域40内に移動させればはみ出しを解消することができる。この結果、仮に情報データAが他の情報データとの重なりを生じれば(上述した式(4)により判定可。)、重なりを避けられる最小移動方向へ移動させるようにすればよい。更に、はみ出し、重なり、決定禁止領域へのはみ出しがあるときに、配置可能領域に配置できないようにしたり、配置しようとしても元のボタンの位置に戻ってしまうようにしたり、一旦は配置できるが配置終了後(例えば、リターンキーを押下した後)や判定時点で元のボタンの位置に戻ってしまうようにしたり、レイアウト画像の印刷ができないようにするようにしてもよい。更にまた、欠落が許容されない情報データの画像については、印刷確保領域40内にしか配置できないように配置位置やドラッグ等による移動位置を制限するようにしてもよく、ドロップした時点で情報表示欄64に警告を表示するようにしてもよい。
【0076】
そして、以上のようなプログラムは、例えば、フロッピディスク、MO、ZIP等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記録し、印刷装置2又はパソコン3にインストールするようにしてもよい。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1の態様によれば、情報データごとに配置位置情報の適合性を判定することができ、更に、情報データごとに不適合とされた配置位置について配置不適合情報として表示するので、記録媒体に印刷処理を行おうとする使用者に事前に注意を促し、記録媒体に対する印刷不良を未然に防止することができ、第2の態様によれば、情報データごとに配置位置情報の適合性を判定することができると共に、記録媒体に対する情報データの配置が不適合と判定されたときに前記情報データの印刷処理を禁止するように制御するので、記録媒体に対する印刷不良を未然に確実に防止することができ、第3の態様によれば、プログラムとして第1及び第2の態様を実現することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の印刷システムの外観図である。
【図2】実施形態の印刷システムを構成する印刷装置の正面断面図である。
【図3】印刷装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】パソコンが実行するレイアウト処理ルーチンのフローチャートである。
【図5】レイアウト処理ルーチンのステップ112の詳細を示す禁止領域設定処理サブルーチンのフローチャートである。
【図6】禁止領域設定処理サブルーチンで呼び出される許容ランク決定サブルーチンのフローチャートである。
【図7】レイアウト処理ルーチンのステップ116の詳細を示すテキスト配置処理サブルーチンのフローチャートである。
【図8】レイアウト処理ルーチンのステップ122の詳細を示す画像配置処理サブルーチンのフローチャートである。
【図9】レイアウト処理ルーチンのステップ124の詳細を示す背景配置処理サブルーチンのフローチャートである。
【図10】レイアウト処理ルーチンのステップ126の詳細を示す判定処理サブルーチンのフローチャートである。
【図11】印刷装置で印刷されたICカードの一例を示す平面図である。
【図12】配置可能領域、印刷確保領域及び印刷位置誤差の関係を示す説明図である。
【図13】パソコンのディスプレイに表示されたレイアウト用アプリケーションソフトウェアのフォームを模式的に示し、印刷確保領域内に禁止領域を設定するときの説明図である。
【図14】情報データの配置位置を模式的示す説明図である。
【図15】パソコンのディスプレイに表示されたレイアウト用アプリケーションソフトウェアのフォームを模式的に示し、配置可能領域に情報データをレイアウトした後の状態を示す説明図である。
【図16】情報データの欠落不可領域を模式的に示す説明図である。
【図17】はみ出し及び重なりの判定原理を示す説明図であり、(A)は印刷確保領域からの情報データのはみ出しを示し、(B)は情報データ同士の重なりを示す。
【図18】印刷装置で印刷されたICカードの他の例を示す平面図である。
【図19】記録媒体に印刷する画像のレイアウトを行うための従来のレイアウト方法の説明図である。
【符号の説明】
1 印刷システム(印刷制御システム)
2 印刷装置
3 パソコン(本体装置、設定手段、レイアウト手段、判定手段、制御手段)
4 接続ケーブル
21 マイコン
22 EPROM
38 タッチパネル
40 印刷確保領域
C ICカード(カード状記録媒体)
Claims (9)
- 情報データを生成する本体装置と、カード状記録媒体に前記情報データを印刷する印刷装置と、を有して、前記情報データの印刷処理を制御する印刷制御システムにおいて、
前記情報データに固有の属性情報を設定する設定手段と、
前記記録媒体に前記情報データを印刷するために、前記記録媒体に対する前記情報データの配置を設定するレイアウト手段と、
前記レイアウト手段により位置付けられる前記情報データの配置位置情報と、前記設定手段により設定される前記属性情報と、から前記記録媒体に対する前記情報データの配置の適否を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記情報データの印刷処理を制御する制御手段と、
を備え、前記設定手段で設定される属性情報が、前記情報データが前記記録媒体からはみ出して当該情報データの少なくとも一部に生じる欠落に対する許容度合いを示す欠落許容ランク情報を含むことを特徴とする印刷制御システム。 - 前記判定手段による判定結果を表示する情報表示手段を更に備え、前記制御手段は、前記判定手段により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が適正と判定されたときに前記情報データの印刷処理を許容し、前記判定手段により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたときに、前記情報表示手段に前記情報データの配置不適合情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御システム。
- 前記属性情報が、前記印刷装置による前記記録媒体への印刷処理時において、前記設定手段により前記情報データに前記欠落を許容しないランク情報が設定されている場合に、前記レイアウト手段により位置付けられる前記情報データの配置位置が前記記録媒体に対する前記情報データに欠落が生じる位置に配置されるとき、前記判定手段が前記情報データの配置が不適合であると判定することを特徴とする請求項2に記載の印刷制御システム。
- 少なくとも一つ以上の情報データのカード状記録媒体に対する印刷を制御する印刷制御方法において、
前記情報データに対して、前記記録媒体への印刷処理時に、前記情報データが前記記録媒体からはみ出して当該情報データの少なくとも一部に生じる欠落に対する許容度合いを示す欠落許容ランク情報を含む属性情報を設定する工程と、
前記記録媒体に前記情報データを印刷するために、前記記録媒体に対する前記情報データの配置を設定する工程と、
前記情報データの配置位置情報と前記属性情報とから、前記記録媒体に対する前記情報データの配置の適否を判定する工程と、
前記判定工程において、前記記録媒体に対する前記情報データの配置が適正と判定されたときに前記情報データの印刷処理を許容し、前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたときに前記情報データの印刷処理を禁止するように制御する工程と、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。 - 前記制御工程が、前記判定工程において前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置位置の移動を制限するように制御することを特徴とする請求項4に記載の印刷制御方法。
- 前記制御工程が、前記判定工程において前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置位置を修正するように制御することを特徴とする請求項4に記載の印刷制御方法。
- カード状記録媒体に対して情報データをレイアウトするための情報レイアウト用プログラムであって、コンピュータに、
前記情報データを入力する機能と、
前記入力された前記情報データに対して、前記記録媒体への印刷処理時に、前記情報データが前記記録媒体からはみ出して当該情報データの少なくとも一部に生じる欠落に対する許容度合いを示す欠落許容ランク情報を含む属性情報を設定する機能と、
前記記録媒体に対する前記情報データの配置を設定する機能と、
前記設定された前記情報データの配置位置情報と、前記設定された前記情報データの属性情報と、から前記記録媒体に対する前記情報データの配置の適否を判定する機能と、
前記判定により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置不適合情報を表示せしめる機能と、
を実現させるための情報レイアウト用プログラム。 - 更に、前記判定により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置位置の移動を制限する機能を有することを特徴とする請求項7に記載の情報レイアウト用プログラム。
- 更に、前記判定により前記記録媒体に対する前記情報データの配置が不適合と判定されたとき、前記情報データの配置位置を修正する機能を有することを特徴とする請求項7に記載の情報レイアウト用プログラム。
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