JP4293133B2 - 電磁弁 - Google Patents

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    • B60T8/363Electromagnetic valves specially adapted for anti-lock brake and traction control systems in hydraulic systems

Description

本発明は、電磁弁に関するものであり、特に、弁子が弁座に対して着座,離間する形式の電磁弁に関するものである。
この形式の電磁弁の中には、例えば、特許文献1に記載されているように、互いに対向して形成された第一,第二の弁座と、それら弁座の間に設けられた弁子としてのボールと、ソレノイドに対する供給電流の制御により作動させられ、ボールを第一,第二弁座の一方に押し付けるプランジャとを備えたものがある。この電磁弁においては、作動液の流れによりボールが回転させられ、ボールが局所的に摩耗することが回避されている。また、特許文献2に記載されているように、弁子としてのボールがプランジャに固定された電磁弁も知られている。
特開平10−220598号公報 特開平10−338113号公報
特許文献1に記載の電磁弁は、ボールが回転可能であり、かつ、作動液の流れによって積極的に回転させられるため、ボールの弁座に接触する部分が一定せず、局所的な摩耗が回避され、寿命が長くなる。しかし、ボールがプランジャから完全に独立しているため、運動の自由度が大きく、作動が安定しない問題がある。例えば、ボールの弁座からの離間距離であるバルブリフト量を微妙に制御することが困難なのである。電磁弁が電磁方向切換弁のように、ボールが弁座に着座したり、弁座から大きく離間したりすればよいものである場合には差し支えないのであるが、例えば、リニア弁のように、ソレノイドへの供給電流の制御によってバルブリフト量の微妙な制御が行われる場合には不適切なのである。ボールがプランジャに固定された電磁弁には、この欠点はないのであるが、ボールの弁座への接触部が一定しており、局所的な摩耗による寿命低下を避け得ない。
本発明は、従来の電磁弁におけるこれらの問題を解決することを課題としてなされたものである。
上記課題は、ソレノイドへの供給電流の制御によりプランジャが軸方向に移動させられ、そのプランジャの移動に伴って弁子が弁座に対して着座,離間させられることによって、液体の流れを許容する開状態と許容しない閉状態とに作動する電磁弁において、プランジャの弁座側の端部にキャップを固定し、それらキャップとプランジャとによって形成されるボール室内に弁子としてのボールを収容させることにより、そのボールをプランジャに回転可能に保持させ、プランジャにそのプランジャを軸方向に貫通して延びる貫通孔を設けるとともに、キャップにそのキャップの外周面から半径方向外向きに突出したフランジを設け、そのフランジを貫通孔の弁座側の開口から離れた位置でその開口に対向させ、その開口の遮蔽部を構成させることにより解決される。
ボールをプランジャに保持させれば、ボールはプランジャとともに移動することとなり、弁子としてのボールがプランジャに固定された電磁弁に近い作動安定性が得られる。例えば、バルブリフト量の微妙な制御が必要なリニア弁としての電磁弁が得られるのである。しかも、ボールはプランジャに回転可能に保持されているため、プランジャが弁座から離間する向きに移動させられるとき、ボールは、弁座との間の隙間を経て流れる液体により弁座の傾斜面に沿って転がりつつ弁座から離間する。ボールが弁座に着座させられるときには、プランジャと弁座との間に軸心のずれがあっても、ボールは弁座の傾斜面に沿って転がりつつ弁座と同軸の位置へ落ち着く。プランジャと弁座との間に軸心のずれがあれば、プランジャが弁座に接近する向きに移動させられるのに伴って、プランジャに保持されたボールは弁座の傾斜面の、弁座の軸心に対してずれた位置に当たり、プランジャと弁座との間の軸心のずれがボールのプランジャに対する相対移動が許容される範囲を超える
大きさであれば、ボールは弁座の傾斜面に沿って転がりつつ、プランジャを、その軸心と直交する方向であって、弁座との間の軸心のずれを減少させる向きに移動させながら弁座に着座させられる。軸心のずれが、ボールのプランジャに対する相対移動が許容される範囲内であれば、ボールはプランジャに対して相対移動するが、プランジャをその軸心と直交する方向に移動させることなく、弁座の傾斜面に沿って転がりつつ弁座に着座させられる。いずれにしてもボールがプランジャに固定されている場合のように弁座上を滑ることがなく、ボールと弁座との両方の摩耗が軽減される。
特に、ボールは弁座との接触部が一定せず、局所的な摩耗の発生が回避され、一層長い寿命が得られる。また、ボールがプランジャに対して僅かではあるが相対移動可能であるため、ボールがプランジャに固定されている場合に比較して、弁座との同心度の狂いを吸収する能力が大きく、閉状態における液体の漏れの発生を良好に回避することができる。また、ボールがプランジャに固定されている場合に、プランジャと弁座との軸心がずれていれば、ボールが弁座に着座する際にプランジャはその軸心と直交する方向に移動しつつ弁座側へ移動し、プランジャを軸方向に移動可能に保持する保持部との間の摩擦抵抗が大きくなるが、ボールの相対移動によるプランジャと弁座との軸心のずれの吸収により、プランジャは軸心と直交する方向の移動を生ずることなく、あるいは軸心と直交する方向の移動少なく軸方向に移動することができ、摩擦抵抗が軽減される。それにより、本電磁弁が液体の圧力制御に用いられる場合、より滑らかな圧力制御が可能となり、また、摩擦抵抗に打ち勝つためにプランジャに作用させる磁気吸引力を大きくしなくて済み、ソレノイドへの供給電流を小さくすることができ、ソレノイドの発熱量の低減,小体格化,小容量化等を図ることができる。
さらに、電磁弁が、例えば、車両の液圧ブレーキシステムに設けられてブレーキ液の流れを制御するものである等、小流量の液体の流れを制御するものである場合には、ボールを従来より小径にし得る利点もある。従来は、ボールをプランジャに固定するために、溶接が行われていたのであるが、ボールをあまりに小径にすると、溶接時に、熱容量の不足によりボールが変形してしまったり、甚だしい場合にはボールが溶融してしまったりする問題があったのであるが、本発明に従う場合には、ボールがプランジャに溶接されるわけではないので、この問題がなくなり、従来より小径のボールを弁子として使用することが可能となるのである。小径のボールの使用が可能となれば、液圧に基づいてボールに作用する力が小さくて済み、ソレノイドの所要電磁力も小さくなり、電磁弁全体の小形化が可能となる。
その上、プランジャに軸方向の貫通孔を形成し、プランジャのソレノイド側に形成される空間と弁室との間の液体の流れを許容するものであるため、プランジャの迅速な作動が可能になる。しかし、その貫通孔を通って気泡が一旦ソレノイド側の空間に侵入すれば、容易には排出されないため、気体が滞留してしまい、液圧制御に悪影響を及ぼすのであるが、本電磁弁においては、遮蔽部を設けることにより、気泡が貫通孔に侵入することを防止することができる。しかも、キャップの外周面から半径方向外向きに突出したフランジを遮蔽部とするものであるため、遮蔽部にキャップを補強する機能をも果たさせることができる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項に (2)項の一部と、(7)項および(8)項に記載の特徴とを追加するとともに、液体制御用の電磁弁に限定したものが請求項1に相当し、その請求項1に(2)項から上記一部の特徴を除いた特徴を追加したものが請求項2に、それら請求項1または2に(3)項に記載の特徴を追加したものが請求項3に、それら請求項2または3に(4)項に記載の特徴を追加したものが請求項4に、請求項2ないし4のいずれかに(6)項に記載の特徴を追加したものが請求項5に、請求項1ないし5のいずれかに(12)項に記載の特徴を追加したものが請求項6にそれぞれ相当し、請求項1ないし6のいずれかに係る電磁弁を車両用液圧ブレーキシステムの液圧制御弁に限定したものが請求項7である
(1)ソレノイドへの供給電流の制御により開状態と閉状態とに作動する電磁弁であって、
弁座に対して着座,離間させられる弁子としてのボールが、前記ソレノイドにより移動させられるプランジャに回転可能に保持された電磁弁。
(2)前記プランジャの前記弁座側の端部にキャップが固定されており、それらキャップとプランジャとによって形成されるボール室内に前記ボールが収容され、そのボールの一部が前記キャップの外部へ突出しており、その突出部において前記弁座に着座する(1)項に記載の電磁弁。
プランジャ自体に、ボールを回転可能に保持する凹部を形成することも可能である。しかし、製造技術上、本項におけるように、キャップをプランジャに取り付け、キャップとプランジャとによって形成されるボール室内にボールを収容させる方が、容易である。
(3)前記プランジャの先端面が、前記ボールの半径より大きい曲率半径の凹曲面をなし、プランジャがその凹曲面において前記ボールに接触し、そのボールを前記弁座に押し付ける(1)項または(2)項に記載の電磁弁。
プランジャの先端面を平面とすることも可能である。しかし、先端面を凹曲面、例えば、半径がボールの半径より僅かに大きい凹球面とすれば、プランジャの先端面によるボールの自由な移動を拘束する機能が増し、電磁弁の作動が安定する。また、ボールとプランジャ先端面との間の面圧が小さくて済み、ボールの拘束機能の増加により、ボールの移動可能量(例えば、振動発生時の振幅現象)が長期にわたって小さく抑えられ、この点からも電磁弁の寿命延長効果が得られる。
(4)前記キャップが前記弁座に近い部分ほど内径が小さくなる内径漸減面を有し、その内径漸減面と前記プランジャの先端面とにより、前記ボールが前記弁座から離間した状態におけるそのボールの移動限度が規定されている(2)項まはた(3)項に記載の電磁弁。
内径漸減面は、テーパ面とすることも、凹球面とすることも可能である。前者は製造が容易である利点があり、後者はボールと内径漸減面との接触面積が大きくなり、寿命延長効果が得られる。
(5)前記プランジャが嵌合突部を備え、前記キャップが嵌合凹部を備え、それら嵌合突部と嵌合凹部との締まり嵌合により、前記キャップが前記プランジャに固定された(2)項ないし(4)項のいずれかに記載の電磁弁。
キャップを溶接によりプランジャに固定することも可能である。しかし、嵌合突部と嵌合凹部との締まり嵌合による方が、キャップをプランジャに容易に固定することができる。
(6)当該電磁弁が、前記弁座の外周側に第一対向面を有し、前記キャップがその第一対向面と対向する第二対向面を有し、前記ボールが前記弁座から離間した状態で、流体がそれらボールと弁座との間の隙間を経た後、第一,第二対向面の間の隙間を通過して流れる(2)項ないし(5)項のいずれかに記載の電磁弁。
流体が、ボールと弁座との間の隙間を経た後、第一,第二対向面の間の隙間を通過して流れるようにすれば、弁座下流の流体の流れが安定し、弁座における流体の流れも安定して、電磁弁の作動が安定する場合が多い。特に、第一,第二対向面間の隙間に絞り機能を持たせれば、弁座におけるキャビテーションの発生が抑制され、電磁弁の寿命延長効果が得られる。
(7)前記プランジャがそのプランジャを軸方向に貫通して延びる貫通孔を備え、前記キャップが、その貫通孔の前記弁座側の開口から離れた位置でその開口に対向する遮蔽部を備えた(2)項ないし(6)項のいずれかに記載の電磁弁。
電磁弁が液体の流れを制御するものである場合に、プランジャに軸方向の貫通孔を形成し、プランジャのソレノイド側に形成される空間と弁室との間の作動液の流れを許容することが行われている。これにより、プランジャの迅速な作動が可能になるのであるが、上記貫通孔を通って気泡が一旦ソレノイド側の空間に侵入すれば、容易には排出されないため、気体が滞留することとなる。そこで、本項に係る電磁弁においては、キャップに遮蔽部を設けて、気泡が貫通孔に侵入することを極力防止するのである。ソレノイド側の空間への気体の滞留は、電磁弁が液圧ブレーキシステムに設けられる場合には特に好ましくなく、本項の特徴は、液圧ブレーキシステム用の電磁弁に特に有効である。
(8)前記遮蔽部が、前記キャップの外周面から半径方向外向きに突出したフランジである (7)項に記載の電磁弁。
キャップにフランジを形成することは容易であり、遮蔽部を容易に設けることができる。フランジがキャップの補強リブを兼ねる場合には一石二鳥となる。
(9)バルブハウジングと、
そのバルブハウジングに形成された弁座と、
その弁座に着座,離間可能な弁子と、
ソレノイドと、
そのソレノイドへの供給電流の制御により軸方向に移動させられ、前記弁子を前記弁座に押し付け、あるいは弁子の弁座からの離間を許容するとともに、軸方向に貫通した貫通孔を備えたプランジャと、
前記貫通孔の前記弁座側の開口から離れた位置でその開口に対向する遮蔽部と
を含む電磁弁。
遮蔽部がキャップに設けられることが不可欠ではない点を除いて、 (7)項の説明が本項にも当てはまる。
(10)前記遮蔽部が前記プランジャに対して固定的に設けられ、プランジャと共に移動する(9)項に記載の電磁弁。
遮蔽部は、プランジャから独立して設けられることも可能である。例えば、バルブハウジングに遮蔽部を設けることも可能なのである。しかし、プランジャに固定的に設ける方が、遮蔽部の遮蔽機能が確実に果たされる。
(11)当該電磁弁が、前記プランジャを、前記ボールを前記弁座に着座させる向きに付勢する弾性部材を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の電磁弁。
本電磁弁は、ソレノイドへの電流供給がない状態では、ボールは弾性部材の付勢により弁座に着座した状態に保たれ、電磁弁が閉じた状態に保たれる。
常開の電磁弁に上記各項の特徴を適用することも可能であるが、常閉の電磁弁に適用した場合の方が効果が大きい。
(12)当該電磁弁が、前記ソレノイドへの供給電流の増減に応じて開弁圧が変化するリニア弁である(1)項ないし(11)項のいずれかに記載の電磁弁。
リニア弁は、バルブリフト量がごく小さい状態で作動させられることが多く、ボールがプランジャに固定されている場合には、弁座とボールとの円環状のシール部のうち、特定の部分の近傍が集中的に摩耗する。これは、ボールが弁座から完全には離間せず、特定の方向に片寄り、特定の部分が弁座に接触した状態で移動するためと推測される。そのために、ボールがプランジャに固定されている場合には、ボールと弁座との間にすべり摩擦が生じて、ボールと弁座との特定の部分が集中的に摩耗するのであるが、本リニア弁においてはボールが回転可能であるため、ボールと弁座との間に生じるのはころがり摩擦であり、摩耗が著しく低減する効果が得られる。特に、ボールは弁座と接触する部分が刻々変わるため、特定の部分が摩耗することがなく、寿命延長効果が大きい。
以下、請求可能発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施例である電磁液圧制御弁を備えた車両の液圧ブレーキシステムが概念的に図示されている。本液圧ブレーキシステムは、ブレーキ操作部材たるブレーキペダル10と、マスタシリンダ装置12と、ブレーキアクチュエータ14とを備えている。
マスタシリンダ装置12は、マスタシリンダ18を備えている。マスタシリンダ18は、本実施例では2つの加圧室20,22を備え、ブレーキペダル10の踏込みに基づいて加圧室20,22にそれぞれ発生させられた液圧は、液通路24,26によって左前輪28,右前輪30の回転をそれぞれ抑制するブレーキのホイールシリンダ32,34に供給される。また、マスタシリンダ18と共にリザーバ36が設けられ、加圧室20,22との連通を許容,遮断される。リザーバ36には、ブレーキ液が大気圧で蓄えられる。さらに、マスタシリンダ18の一方の加圧室20には、電磁開閉弁40を介してストロークシミュレータ42が接続されている。
ブレーキアクチュエータ14を説明する。
ブレーキアクチュエータ14は、上記ホイールシリンダ32,34および左後輪46および右後輪48の回転をそれぞれ抑制するブレーキのホイールシリンダ50,52の各液圧を制御する。ブレーキアクチュエータ14は、図1に示すように、2つのマスタカット弁56,58,液圧源たる動力液圧源60,液圧制御弁装置62,2つのマスタシリンダ圧センサ64および4つのホイールシリンダ圧センサ66を備えている。これらブレーキアクチュエータ14の構成要素は図示を省略するボックス状の本体部材に互いに一体的に組み付けられている。
動力液圧源60は、リザーバ36からブレーキ液を汲み上げるポンプ70と、ポンプ70を駆動する電動モータ72と、ポンプ70から吐出されたブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータ74と、ポンプ70の吐出圧を設定値以下に規制するリリーフ弁76とを含んでいる。
動力液圧源60には、液圧制御弁装置62を介して前記4つのホイールシリンダ32,34,50,52が接続されている。液圧制御弁装置62は、ポンプ70とアキュムレータ74との少なくとも一方から各ホイールシリンダ32,34,50,52へのブレーキ液の流入を制御する増圧用電磁液圧制御弁(以後、増圧弁と略称する)80,82,84,86と、各ホイールシリンダ32,34,50,52からリザーバ36へのブレーキ液の流出を制御する減圧用電磁液圧制御弁(以後、減圧弁と略称する)90,92,94,96とを含んでおり、ポンプ70およびアキュムレータ74と増圧弁80〜86とは増圧通路98により接続され、減圧弁90〜96とリザーバ36とは減圧通路100により接続されている。4つのホイールシリンダ32,34,50,52のそれぞれについて増圧弁と減圧弁とが1つずつ設けられ、それぞれ液圧が互いに独立して制御されるのであり、4組の増圧弁および減圧弁はそれぞれ、ホイールシリンダ通路102,104,106,108によってホイールシリンダ32,34,50,52に接続されている。
ポンプ70と増圧弁80〜86との間に液圧源液圧センサ110が設けられて動力液圧源60の液圧が検出され、ホイールシリンダ32,34,50,52の各液圧がホイールシリンダ圧センサ66により検出される。また、マスタシリンダ18の2つの加圧室20,22とホイールシリンダ32,34との間にそれぞれ前記マスタカット弁56,58が設けられ、マスタカット弁56,58と加圧室20,22との間にそれぞれ前記マスタシリンダ圧センサ64が設けられ、加圧室20,22にそれぞれ発生させられる液圧が検出される。
これら増圧弁80〜86および減圧弁90〜96はいずれもリニア弁とされている。リニア弁は、その上流側と下流側との液圧差と供給電流との間に予め定められた一定の関係があり、供給電流の増減に応じて開弁圧が変えられる。したがって、増圧弁80〜86および減圧弁90〜96は、供給電流の制御により、ホイールシリンダの液圧であるホイールシリンダ圧を連続的に変化させることができ、ホイールシリンダ圧を容易に任意の高さに制御することができる。
本液圧ブレーキシステムにおいては、増圧弁80〜86はいずれも常閉弁とされ、左右前輪28,30について設けられた減圧弁90,92はそれぞれ常閉弁とされ、左右後輪46,48について設けられた減圧弁94,96はそれぞれ常開弁とされている。本実施例では、増圧弁80〜86および減圧弁90,92であって、常閉のリニア弁が請求可能発明に係る電磁弁とされている。以下、増圧弁80を代表的に説明する。
増圧弁80は、図2に示すように、バルブハウジング120,シート弁122および電磁駆動力発生装置であるソレノイド124を備えている。シート弁122は、テーパ内周面状の弁座128,弁子としてのボール130,ボール130を回転可能に保持するプランジャ132,プランジャ132と共にボール室134を形成するキャップ136およびボール130が弁座128に着座する向きにプランジャ132を付勢する弾性部材としてのスプリング138を含んでいる。また、ソレノイド124は、本実施例では、ソレノイドコイル140と、そのソレノイドコイル140を保持する樹脂製の保持部材142と、第一磁路形成部材144と、第二磁路形成部材146とを含んでいる。第一,第二磁路形成部材144,146は、強磁性材料により形成されている。
バルブハウジング120は、本実施例では、複数の部材が互いに一体的に組み付けられて成り、第二磁路形成部材146は、バルブハウジング120の構成部材の1つである第一部材150により、バルブハウジング120の別の構成部材である第二部材152と同心に結合されている。第一部材150は、薄い有底の円筒状を成し、第二磁路形成部材146は第一部材150内に嵌合され、収容されている。第二部材152は中空の円筒状を成し、その軸方向の一端部において第二磁路形成部材146との間にスペーサ154を挟んで第一部材150内に嵌合されている。第一磁路形成部材144はソレノイドコイル140を覆って第一部材150の外側に嵌合されている。
上記第二部材152には、その周壁の2箇所に第一ポート158が形成され、ホイールシリンダ通路102によって左前輪28のホイールシリンダ32に接続されている。なお、第二部材152には、増圧弁80を組み付けるための組付部材160が装着されているが、この組付部材160には図示を省略する開口が設けられ、作動液のホイールシリンダ32への流入を許容する。バルブハウジング120を構成する更に別の部材である第三部材162は、第二部材152の他端部に嵌合され、第三部材162を軸方向に貫通して形成された貫通穴が動力液圧源60に接続され、第二ポート164を構成している。前記弁座128は、第二ポート164の第一ポート158側の開口端に設けられている。また、第三部材162の弁座128の外周側には、弁座128の軸心と直交する一平面状の第一対向面166が設けられている。
上記第二,第三部材152,162および第二磁路形成部材146の間にプランジャ室170が形成され、前記プランジャ132が軸方向に移動可能に嵌合されている。プランジャ132は強磁性材料により形成され、プランジャ本体172とシャフト174とを含む。プランジャ本体172は横断面形状が円形を成し、複数、本実施例においては2つの部材が一体的に組み付けられて成る。プランジャ本体172はプランジャ室170に、プランジャ室170の内周面との間に僅かな隙間176を有して嵌合されており、プランジャ132の弁座128側に弁室178が形成され、第二磁路形成部材146側であって、ソレノイド124側に空間180が形成されている。
プランジャ本体172にはまた、その軸心を中心とする一円周上に位置するとともに、直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、プランジャ本体172を軸方向に貫通して延びる貫通孔182が形成されており、これら貫通孔182および前記隙間176が、弁室178と空間180とを連通させ、作動液たるブレーキ液を出入りさせる連通路184を構成している。空間180は、作動液が収容された液室である。なお、プランジャ132の第二磁路形成部材146側への移動限度は、肩面が第二磁路形成部材146に設けられた当接面ないし吸引面188に当接することにより規定されるが、この肩面には非磁性材製の薄板186が設けられて張付防止部を構成し、肩面と吸引面118との間の距離を確保し、磁気吸引力によって吸引面188に引き付けられたプランジャ132の吸引面188に対する張り付きを防止し、吸引面188からの離れを良くするようにされている。
前記シャフト174は、横断面形状が円形を成し、その軸方向の一端部に嵌合部192が設けられ、軸方向の中間部に、嵌合部192の、シャフト174の端とは反対側の端から半径方向外向きに突出したフランジ194が設けられるとともに、フランジ194から嵌合部192とは逆向きにボール保持部196が延び出させられている。ボール保持部196は、先端ほど直径が直線的に減少するテーパ突部とされるとともに、その突出端面であり、シャフト174の先端面は、半径がボール130の半径より僅かに大きい凹球面198とされている。シャフト174は、嵌合部192においてプランジャ本体172の弁室178側の端部に同心に圧入されてプランジャ本体172に固定されており、プランジャ本体172,シャフト174および凹球面198は同心である。シャフト174の圧入限度は、フランジ194がプランジャ本体172の端面に当接することにより規定され、フランジ194およびボール保持部196はプランジャ本体172から弁座128に向かって突出した突部を構成している。フランジ194は嵌合限度規定部を構成している。
プランジャ本体172の弁座128側の端部に前記キャップ136が固定されている。キャップ136は、本実施例では中空の円筒状を成し、その軸方向の一端部においてシャフト174のフランジ194に圧入され、キャップ136とフランジ194との締まり嵌合によりプランジャ132に固定されている。フランジ194が嵌合突部を構成し、キャップ136の一端部が嵌合凹部を構成している。キャップ136は、フランジ194から弁座128側へ突出し、プランジャ132のボール保持部196を覆い、ボール保持部196より前方へ(弁座128側へ)突出させられ、それらキャップ136とフランジ194およびボール保持部196とによって前記ボール室134が形成され、ボール室134内にボール130が収容されている。前記スプリング138は、プランジャ132と第二磁路形成部材146との間に配設され、プランジャ132はスプリング138により、ボール130が弁座128に着座する向きに付勢されている。
キャップ136の先端部であって弁座128側の端部の内周面は、弁座128に近い部分ほど内径が直線的に小さくなる内径漸減面としてのテーパ内周面210とされており、そのテーパ内周面210と前記凹球面198とにより、ボール130が弁座128から離間した状態におけるボール130の移動限度が規定される。テーパ内周面210の先端、すなわち弁座128に最も近い部分の内径はボール130の直径より小さく、図3に示すように、キャップ136の先端に、ボール130の直径より小さい円形の開口212が形成され、ボール130のキャップ136に対する弁座128に接近する方向の移動限度が規定されるとともに、ボール130は、その一部が開口212を通ってキャップ136の外部へ突出させられる。キャップ136の先端部がボール移動限度規定部204を構成している。テーパ内周面210および凹球面198により許容されるボール130の移動量は僅かであり、ボール130が弁座128から離間した状態においてもボール130はボール室134内にあり、プランジャ132の半径方向において凹球面198から外れることはなく、凹球面198により弁座128に押し付けられ得る状態に保たれる。
キャップ136の先端部の外径は、先端ほど直線的に減少させられ、その先端であって、上記ボール移動限度規定部204の弁座128と対向する端面は、弁座128の外周側に設けられた前記第一対向面166と対向し、第一対向面166と平行な第二対向面220とされている。第二対向面220は、本実施例では、プランジャ132の軸心に直角な円環状の一平面を成す。第二対向面220は、ボール130が弁座128に着座した状態では、第一対向面166との間に僅かな隙間を隔てて位置するとともに、ボール130が弁座128から離間してキャップ136により移動限度を規定され、増圧弁80が開かれた状態においても、第一対向面166との間に比較的狭い円環状の通路が形成され、第二ポート164から弁座128とボール130との間の隙間を経て流入する作動液に対して絞り作用を成すように設けられている。なお、図3ないし図5においては、理解を容易にするために、第一,第二対向面166,220間の隙間および凹球面198の湾曲は誇張して図示されている。
キャップ136の後端部であって、プランジャ本体172側の端部には、その外周面から半径方向外向きに突出したフランジ224が設けられている。キャップ136がシャフト174のフランジ194に圧入されるとき、フランジ224がプランジャ本体172の端面に当接するまで圧入され、しまり嵌合限度が規定される。このフランジ224には、複数、本実施例においては2つの切欠226が半径方向に隔たった2箇所にそれぞれ形成されている。これら切欠226は、フランジ224のプランジャ本体172側の部分を半径方向に貫通して形成され、キャップ136の内周面,後端面(プランジャ本体172側の端面)およびフランジ224の外周面に開口させられて溝状を成す。キャップ136は、シャフト174に嵌合されるとき、2つの切欠226と2つの貫通孔182との位相が一致する状態で嵌合され、フランジ224の切欠226が設けられた部分(切欠226の底壁を構成する部分)は、貫通孔182の弁座128側の開口から離れた位置でその開口に対向し、フランジ224は遮蔽部を構成している。貫通孔182と弁室178との連通は、これら切欠226により許容される。本実施例では、フランジ224はキャップ136に設けられ、遮蔽部はプランジャ132に対して固定的に設けられ、プランジャ132と共に移動する。また、本実施例では、フランジ224は嵌合限度規定部でもある。
常閉の減圧弁90,92は、第一ポート158が減圧通路100によってリザーバ36に接続され、第二ポート164がホイールシリンダ通路106,108によって左右後輪46,48の各ブレーキのホイールシリンダ50,52に接続されていることを除いて増圧弁80と同様に構成されている。
また、常開の減圧弁94,96は、例えば、特開2000−95094号公報に記載の減圧弁と同様に構成されており、説明を省略する。
本液圧ブレーキシステムは、図1に示すECU(電子制御ユニット)250の指令に基づいて制御される。ECU250は、図示は省略するが、コンピュータおよび入出力部を含む制御部と、複数の駆動回路とを含む。コンピュータは、CPU,ROM,RAMおよびそれらを接続するバスを含み、入出力部には、前記マスタシリンダ圧センサ64等、各種センサ等が入力側に接続され、前記増圧弁80〜86および減圧弁90〜96等のソレノイド等が出力側に接続されている。また、ROMには、図示を省略するメインルーチン,電気制動制御ルーチン,アンチロック制御ルーチン,トラクション制御ルーチン等、種々のプログラムが格納されており、各種センサの検出結果に基づいて車両状態を取得し、電気制動制御,アンチロック制御,トラクション制御等を行う。制御部においては、上記ルーチンが予め定められた設定時間毎に実行される。
本液圧ブレーキシステムにおいては、電気制動制御等、ブレーキアクチュエータ14の作動によるいずれの制御が行われる際にも、ECU250は、4つのホイールシリンダ32,34,50,52のそれぞれについて目標液圧を決定し、その目標液圧が得られるように増圧弁80〜86および減圧弁90〜96の各ソレノイド124等に供給される電流を決定し、供給を制御する。この決定された電流の供給により液圧制御弁装置62が作動させられ、ホイールシリンダ32,34,50,52の各液圧が目標液圧に制御されつつ、ブレーキが作動させられる。これら制御時にはマスタカット弁56,58が閉じられる。ブレーキペダル10の踏込みに基づいてホイールシリンダ圧が電気的に制御される場合には更に、電磁開閉弁40が開かれ、加圧室20からストロークシミュレータ42にブレーキ液が排出され、踏力に応じた操作感が運転者に付与される。
増圧弁80〜86および減圧弁90,92は常閉弁であり、ソレノイド124への電流供給により開かれてホイールシリンダの液圧を制御する。減圧弁94,96は常開弁であり、ソレノイドへの電流供給により閉じられてホイールシリンダの液圧を制御する。以下、増圧弁80について、請求可能発明の実施例である常閉弁の作動を代表的に説明する。
ソレノイド124に電流が供給されない状態では、図2および図3に示すように、スプリング138の付勢によりプランジャ132が前進させられ、凹球面198においてボール130に接触し、そのボール130を弁座128に押し付ける。ボール130は、キャップ136との間に半径方向の僅かな隙間を有して、その一部が開口212からキャップ136の外部へ突出させられ、その突出部において弁座128に着座させられ、増圧弁80が閉状態に保たれる。
ソレノイド124に電流が供給されれば、磁界が形成される。磁力線は、その多くが、第一磁路形成部材144,第二磁路形成部材146,プランジャ132およびプランジャ本体172と第二磁路形成部材146との間のギャップを通るようにされている。プランジャ132には、動力液圧源60の液圧とホイールシリンダ32の液圧との差である差圧に、ボール130の弁座128に対する着座部分の断面積を掛けた大きさの力とスプリング138の付勢力とが互いに逆向きに作用し、ソレノイド124への電流供給により生じさせられる磁気吸引力は、プランジャ132に、スプリング138の付勢力とは逆向きに作用し、プランジャ132が軸方向において弁座128から離間する向きに移動させられ、ボール130の弁座128からの離間を許容する。したがって、ホイールシリンダの目標液圧等に基づいてソレノイド124への供給電流を設定し、磁気吸引力の大きさを制御すれば、プランジャ132がスプリング138の付勢力に抗して後退させられ、ボール130が弁座128から離間させられて増圧弁80が開かれる。それにより、動力液圧源60からホイールシリンダ32への作動液の流入が許容され、ホイールシリンダ32の液圧が目標液圧に増大させられる。ホイールシリンダ32の液圧が増大すれば、上記差圧が減少し、プランジャ132がスプリング138の付勢により弁座128に接近する向きに移動させられ、目標液圧に到達した状態においてボール130が弁座128に着座して増圧弁80が閉じられる。
磁気吸引力の作用によりプランジャ132が後退させられるとき、後退開始当初は、ボール130が第二ポート164側から作用する液圧により凹球面198に接触した状態を保ちつつ弁座128から離間する向きに移動させられる。増圧弁80においてボール130の弁座128に対する接近,離間距離は極く小さい場合が多く、プランジャ132の後退開始当初はまだ、図4に示すように、ボール130とキャップ136との間に隙間があり、ボール130は弁座128の傾斜面から完全には離間せず、弁座128との間の隙間を通って弁室178に流入する作動液により、半径方向において一方の側へ寄せられるが、弁座128の傾斜面と、凹球面198あるいはキャップ136の一部とにより拘束され、弁座128の傾斜面に沿って転がりつつ摩擦少なく移動し、やがて弁座128から離間する。
プランジャ132が後退端位置まで後退した状態では、図5に示すように、ボール130はキャップ136の開口212に隙間なくはまってキャップ136により保持され、凹球面198から僅かに離れるとともに、一部がキャップ136から外部へ突出した状態となる。ただし、第二ポート164から流出する作動液の動圧が大きい場合には、ボール130は凹球面198に押し付けられる。
ホイールシリンダ32の液圧の上昇に伴う液圧差の減少に伴ってプランジャ132がスプリング138の付勢により弁座128側へ移動させられれば、ボール130が凹球面198により弁座128に着座する向きに押される。プランジャ132とプランジャ室170との間には隙間176があり、図6に示すように、プランジャ132の軸心が弁座128に対してずれることがある。その結果、ボール130も弁座128に対してずれ、図7に示すように、プランジャ132の前進に伴って、ボール130は弁座128の傾斜面の弁座128の軸心に対してずれた位置に押し付けられる。そして、ボール130はこの傾斜面に沿って転がり、凹球面198あるいはキャップ136の一部に当たり、プランジャ132を弁座128に対する軸ずれが減少する向きに移動させつつ、弁座128と同心の位置へ摩擦少なく移動し、やがて第二ポート164を完全に封鎖する。
ボール130はプランジャ132に固定されていないが、凹球面198およびテーパ内周面210により移動を規制されているため、プランジャ132に対する相対移動量は小さく、プランジャ132と一体に近い状態で移動する。しかも、ボール130の回転により、ボール130および弁座128の局所的な摩耗の発生が良好に回避されるとともに、作動性の良い増圧弁80が得られる。
上記のようにボール130が弁座128に着座させられるとき、図8に示すように、プランジャ132の軸心が弁座128に対してずれることがある。この場合、ボール130はプランジャ132に対して微小距離相対移動可能となっているためプランジャ132に対してずれ、プランジャ132と弁座128との軸心ずれを吸収しつつ凹球面198により弁座128に押し付けられ、閉状態における液漏れの発生が良好に回避される。ボール130のプランジャ132およびキャップ136に対する相対移動が許容される範囲内であれば、プランジャ132の軸心が弁座128の軸心に対してずれていても、このずれが矯正される必要はないのであり、これによっても増圧弁180の作動性が改善され、ボール130および弁座128の摩耗が低減させられる。
ボール130が弁座128から離間するとき、第二ポート164から流入する作動液は、ボール130と弁座128との間の隙間を経た後、第一,第二対向面166,220の間の隙間を通過して流れる。第一,第二対向面166,220は、それらの間の隙間が、第二ポート164から流入した作動液に絞り作用を与えるように設けられており、ボール130と弁座128との間の隙間より下流側において作動液の流路面積が急激に増大することがなく、負圧の発生が抑制され、弁座128とボール130との隙間におけるキャビテーションの発生が抑制される。また、弁座128の下流側における作動液の流れが安定し、弁座128における作動液の流れも安定し、増圧弁80の作動が安定する。
さらに、プランジャ132の軸方向の移動は、連通路184を通る作動液の流れにより許容され、プランジャ132は迅速に作動するのであるが、キャップ136のフランジ224の切欠226が設けられた部分が、貫通孔182の弁座128側の開口に対向して配置されているため、スプリング138の付勢によりプランジャ132が前進するとき、弁室178内の作動液は切欠226を通って貫通孔182に流入する。作動液はフランジ224により規制されつつ、切欠226を通って貫通孔182に流入するのであり、それにより、作動液内に気泡が含まれていても貫通孔182内への流入が極力防止され、空間180内に滞留することが防止される。
なお、請求可能発明は、常開の電磁液圧制御弁にも適用することができ、リニア弁以外の電磁弁、例えば、電磁開閉弁や電磁方向切換弁にも適用することができる。常開の電磁液圧制御弁に請求可能発明を適用する場合、例えば、前記増圧用電磁液圧制御弁80において、プランジャ132と第三部材162との間にスプリング138を配設してプランジャ132を弁座128から離間する向きに付勢させ、ソレノイド124への電流供給によりプランジャ132がスプリング138の付勢力に抗して弁座128に向かって移動し、凹球面198がボール130を弁座128に押し付けるようにする。
また、プランジャをプランジャ本体とシャフトとを含むものとする場合、圧入の他、ねじあるいは溶接等の固定手段により、シャフトをプランジャ本体に固定してもよい。また、シャフトにおいてフランジは省略してもよい。さらに、ボール保持部はプランジャ本体に直接、一体に設けてもよい。
また、キャップにフランジを設けて遮蔽部とし、プランジャに圧入し、固定する場合、フランジをプランジャの貫通孔が開口させられた端面に当接するまで嵌合することは不可欠ではなく、その端面から離れた位置まで嵌合するようにしてもよい。この場合、フランジとプランジャの端面との間に隙間があり、フランジは貫通孔の開口から離れた位置でその開口に対向し、この隙間により貫通孔と弁室との連通が確保され、切欠は不要であり、キャップとプランジャとの嵌合位相は問わない。キャップ、例えば、フランジにプランジャ側へ突出するストッパ等、キャップのプランジャへの嵌合限度を規定する嵌合限度規定部を設けることが望ましい。
さらに、キャップにフランジを設けて遮蔽部とすることは不可欠ではなく、遮蔽部は省略してもよい。
また、流れを制御する流体が気体である電磁弁にも請求可能発明を適用することができる。
請求可能発明の一実施例である電磁液圧制御弁を含む液圧ブレーキシステムを示す回路図である。 上記電磁液圧制御弁の1つである増圧用電磁液圧制御弁を示す正面断面図である。 上記増圧用電磁液圧制御弁においてボールが弁座に着座した状態を示す正面断面図である。 上記増圧用電磁液圧制御弁においてボールの弁座からの離間開始時の状態を示す正面断面図である。 上記増圧用電磁液圧制御弁においてボールが弁座から離間した状態を示す正面断面図である。 上記増圧用電磁液圧制御弁において、ボールが弁座から離間するとともに、プランジャと弁座とに軸心のずれがある状態を示す正面断面図である。 上記増圧用電磁液圧制御弁において、プランジャと弁座とに軸心のずれがある状態でボールが弁座に着座する際、弁座の傾斜面に接触した当初の状態を示す正面断面図である。 上記増圧用電磁液圧制御弁において、プランジャと弁座とに軸心のずれがある場合にボールがそのずれを許容した状態で弁座に着座した状態を示す正面断面図である。
符号の説明
120:バルブハウジング 122:シート弁 124:ソレノイド 128:弁座 130:ボール 132:プランジャ 134:ボール室
136:キャップ 138:スプリング 166:第一対向面 170:プランジャ室 182:貫通孔 198:凹球面 210:テーパ内周面 220:第二対向面 224:フランジ 250:ECU(電子制御ユニット)

Claims (7)

  1. ソレノイドへの供給電流の制御によりプランジャが軸方向に移動させられ、そのプランジャの移動に伴って弁子が弁座に対して着座,離間させられることによって、液体の流れを許容する開状態と許容しない閉状態とに作動する電磁弁であって、
    前記プランジャの前記弁座側の端部にキャップが固定され、それらキャップとプランジャとによって形成されるボール室内に前記弁子としてのボールが収容されることにより、そのボールがプランジャに回転可能に保持され、前記プランジャがそのプランジャを軸方向に貫通して延びる貫通孔を備えるとともに、前記キャップがそのキャップの外周面から半径方向外向きに突出したフランジを備え、そのフランジが前記貫通孔の前記弁座側の開口から離れた位置でその開口に対向し、その開口の遮蔽部を構成することを特徴とする電磁弁。
  2. 記ボールの一部が前記キャップの外部へ突出しており、その突出部において前記弁座に着座することを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
  3. 前記プランジャの先端面が、前記ボールの半径より大きい曲率半径の凹曲面をなし、プランジャがその凹曲面において前記ボールに接触し、そのボールを前記弁座に押し付けることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁弁。
  4. 前記キャップが前記弁座に近い部分ほど内径が小さくなる内径漸減面を有し、その内径漸減面と前記プランジャの先端面とにより、前記ボールが前記弁座から離間した状態におけるそのボールの移動限度が規定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の電磁弁。
  5. 当該電磁弁が、前記弁座の外周側に第一対向面を有し、前記キャップがその第一対向面と対向する第二対向面を有し、前記ボールが前記弁座から離間した状態で、液体がそれらボールと弁座との間の隙間を経た後、第一,第二対向面の間の隙間を通過して流れることを特徴とする請求項2または4に記載の電磁弁。
  6. 当該電磁弁が、前記ソレノイドへの供給電流の増減に応じて開弁圧が変化するリニア弁であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の電磁弁。
  7. 当該電磁弁が車両用液圧ブレーキシステムの液圧制御弁である請求項1ないし6のいずれかに記載の電磁弁。
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