JP4151091B2 - 流量制御弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流量制御弁に関し、特にABS用の油圧回路の増圧制御弁に適する流量制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ABS制御において、ホイールシリンダ(以下「W/C」という)の油圧をきめ細かく制御したり、作動音の低減のために通常ブレーキの弁の流路面積に対して、弁体のリフト量を可変にし、ABS制御時の流路面積を小さくすることが提案されている。
【0003】
例えば、特開平3−13485号に開示された流量制御弁は、図42に示すように、制御油圧ポート101から調節用ピストン102のヘッド部にマスタシリンダ(以下「M/C」という)の油圧が与えられており、閉弁状態から開弁状態に移行する時のようにM/C油圧がW/C油圧より十分に高いとき、調節用ピストン102がショルダ部103まで押下されてストップする。この調節用ピストン102がストップ位置にあるとき、ピストンロッド104が弁体105の正常の開放ストロークを減少させる(即ち弁体のリフト量を減少させる)ため、弁は全開せず流路面積が小さく制限され、増圧量が調節される。
【0004】
また、例えば、図43に示すように、弁体130と円錐テーパ状のシート面122aを有するシートバルブ120とを備えた流量制御弁も開発されている。この流量制御弁では、弁体が上流側通路の開口部であるシート面122aを閉鎖した状態から開放状態になったとき、バネ力及び油圧によって弁体130は上昇する。このとき、シート面122aと弁体130との隙間を流れるブレーキ油は流速が速いため、弁体130の下面は低圧領域となり、これにより弁体130にはシート面122aに向かう吸引作用が働く。このため、ボール状弁体130はシート面122aを微小に開いたいわゆる絞り状態を維持する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図42のような流量制御弁では、制御油圧ポート101や調節用ピストン102が必要であり、また調節用ピストン102のシール構造が必要になり、また、調節用ピストン102の作動のためのポート101が必要になり、そのための油路が必要になる等、構造が複雑であった。
【0006】
一方、図43のような流量制御弁では、W/CとM/Cの差圧がある程度ないと上述の吸引作用が働かず、また、W/C油圧が小さすぎると、弁室125内の圧力つまり弁体130の周りの圧力の低下が大きくなり、この結果上述の吸引作用が働かない。このように吸引作用が働かない場合には、弁体130はシート面122aから離間してしまい、増圧量が増大する場合があり、従来はこのような場合には数msの増圧時間を短縮することにより増圧量を調整していた。
【0007】
本発明の第1は上記課題に鑑みなされたものであり、閉弁状態から開弁状態に移行する際の絞り状態を簡易な構成で実現でき、M/CとW/Cの差圧が小さくても、また下流側の流体圧力が低くても、絞り状態を維持可能な流量制御弁を提供することを目的とする。
【0008】
ところで、ABS制御時の流路面積を小さくするためのリフト量は、ABS制御の増圧時に弁を通過していく流体の流量(即ち増圧量)のバラツキに影響を与えるため、このリフト量のバラツキを抑えることが要求される。つまり、増圧量のバラツキを抑えるには、ABS制御時のリフト量の公差を10数μmで調整することが要求される。
【0009】
この点につき、図42の流量制御弁では、調節用ピストン102とショルダ部103によってABS制御時のリフト量が決まるため、このリフト量の公差を10数μmで調整するには、これらの部品の寸法公差を非常に小さくする必要があり、現実的には非常に困難である。
【0010】
本発明の第2及び第3は上記課題に鑑みなされたものであり、開弁状態から閉弁状態に移行する際の弁体のリフト量を所定の微小リフト量に調節することが容易な流量制御弁を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明の第1としての流量制御弁は、請求項1に記載した通り、
流体が上流側通路から弁室を経て下流側通路に至るように形成された流路と、
該弁室内にて前記下流側通路の開口部を開放又は閉鎖する弁体と、
閉弁状態から開弁状態に移行する際、前記上流側通路から流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、前記弁体を前記開口部から離間させる方向の弾性力によって前記弁体と前記開口部との間隙が微小の第1リフト量となるように前記弁体を維持する弾性部材を備えた弁体維持機構と
前記弁体が前記開口部を開放するのを弾性力により補助する補助部材と、
通電されると、前記弾性部材および前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にするソレノイドコイルと
を備えた流量制御弁であって、
前記ソレノイドコイルを通電状態から非通電状態に切り替えると、閉弁状態となっていた前記弁体を、前記弾性部材および前記補助部材が前記開口部から離間させる方向へ移動させ、その移動に伴って生じる前記弁体と前記開口部との隙間を前記流体が通過することによって前記自閉力が生じ、前記自閉力、前記弾性部材の弾性力、および前記補助部材の弾性力が前記弁体に作用する間は、前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量に維持される一方、前記弁体に作用する前記自閉力が前記補助部材の弾性力よりも弱まった場合には、前記補助部材の弾性力で前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量よりも拡大して前記弁体が開弁状態になることを特徴とする。
【0012】
本発明の流量制御弁では、弁体は下流側通路の開口部を開閉するように構成されているため、流体流れは弁体が自閉する方向(この方向を「狭まり流れ」という)である。従来、このような狭まり流れを流量制御弁に適用するのは、弁体が閉じるおそれがあることが懸念されていたが、本発明では狭まり流れの性質を積極的に流量制御弁に適用することにより、種々の課題を解決したものである。
【0013】
かかる流量制御弁では、通常、開弁して全開状態になると弁体は下流側通路の開口部から大きく離間するように構成されている。そして、一旦閉状態になり、この閉状態から開状態に移行する際、弁体を開口部から離間させる方向へ移動させ、その移動に伴って生じる弁体と下流側通路の開口部との隙間を上流側通路から流出した流体が通過すると、それにより弁体には下流側通路の開口部を閉鎖する方向の自閉力が作用する。この自閉力は補助部材の弾性力に打ち勝つような大きさであるため、弁体には開口部を閉鎖する方向の力が作用する。しかし、弁体維持機構(例えばバネ、クッション等の弾性体)が、弁体と下流側通路の開口部との間隙が微小となる第1リフト量で弁体を維持する。すなわち、弁体は下流側通路の開口部を閉鎖することなく、自閉力、補助部材の弾性力、および弁体維持機構の弾性力が弁体に作用する間は、所定の第1リフト量で維持されるのである。そして、弁体に作用する自閉力が補助部材の弾性力よりも弱まった場合には、補助部材の弾性力が弁体に作用し、弁体は開口部との間隙が第1リフト量よりも拡大した状態である開弁状態になる。
【0014】
また、弁体に自閉力が作用するか否かは、差圧(つまり上流側通路の流体圧力と下流側通路の流体圧力の差)とリフト量とによって決まる。従って、下流側通路の圧力が著しく低く(例えば0MPa)なった場合であっても、上流側通路の圧力がある程度あれば自閉するための差圧が生じ、本発明の作用を十分に奏する。
【0015】
このように、本発明によれば、流体の流れ方向を通常と逆の狭まり流れを採用しバネ等の弁体維持機構を設けるという簡易な構成により、閉弁状態から開弁状態に移行する際の絞り状態を実現できる。しかも下流側の流体圧力が著しく低くなったとしても絞り状態を維持することができる。また、かかる流量制御弁では、例えばコイルバネなどの弾性部材により弁体維持機構を構成にできるため、簡易な構成により本発明の効果を得ることができる。
【0016】
本発明においては、請求項2に記載したように、前記弾性部材により付勢され、前記弁体または前記弁体が有する係合部が係合する被係合部を備え、前記弁体または前記係合部が前記被係合部に係合することによって、前記弁体は、前記弁体の前記開口部を閉鎖する方向への移動を規制されるように構成してもよい。この場合、例えば、弁体に凹凸部を設けて、この凹凸部が被係合部に引っかかるような構成等の簡易に構成により本発明の効果を得ることができる。
【0017】
本発明においては、請求項3に記載したように、自閉差圧とリフト量との関係には、少なくとも、リフト量がL0 未満の領域であって自閉差圧がP0 で略一定である自閉差圧の小さな第1領域と、リフト量がL0 以上の領域であって自閉差圧がP0 から増大する自閉差圧の大きな第2領域とが存在し、前記第1リフト量はこのうちの第1領域の所定のリフト量に設定されていることが好ましい。ここで、本発明者が行った実験によれば、弁体を弱いバネで支え、弁体と下流側通路の開口部との隙間に流体を流す(つまり狭まり方向に流体を流す)と、図23(a)のように弁体のリフト量が小さい場合には、弁体下面の圧力が上面の圧力より低下するので大きな自閉力が作用する。しかし、図23(b)のように弁体のリフト量が大きい場合には、自閉力は極端に減少することがわかった。
【0018】
図24は、ボール径:φ1.5mmの場合の弁体が自閉を開始するときの上流側通路と下流側通路の差圧(自閉差圧)と、弁体のリフト量との関係を測定したものである。これによれば、弁体のリフト量が小さい場合には自閉差圧が小さく、弁体のリフト量が大きい場合には自閉差圧が大きいことがわかる。具体的には、弁体のリフト量がL0 未満では自閉差圧がP0 で略一定であり(この領域を第1領域という)、弁体のリフト量がL0 以上では自閉差圧がP0 から増大していく(これを第2領域という)。
【0019】
従って、第1リフト量が自閉差圧の小さい第1領域内のいずれかのリフト量に設定されていれば、上流側通路と下流側通路の差圧が小さくても自閉力が作用するため、本発明の作用効果を良好に奏する。
このとき、請求項4に記載したように、弁体維持機構は、(弾性力/弁体の受圧面積)が図24にて太い1点鎖線で示すように自閉差圧の最大値△Pmax 以上に設定されていれば、第1リフト量において差圧が変化して自閉差圧の最大値△Pmax に至ったとしても、(弾性力/弁体の受圧面積)の方がこの△Pmax に比して十分大きいため第1リフト量のまま維持される。尚、太い1点鎖線で示した部分は、弁体維持機構の弁体維持機能が作動する範囲である。
【0020】
また、本発明においては、請求項5に記載したように通常の開弁時には弁体はこの補助部材によって自閉力が作用しないほど大きな第2リフト量に維持されることが好ましい。この場合、通常の開弁時つまり全開状態では、弁体は第2リフト量に維持されるため、弁体に自閉力が作用することがなく、誤って絞り状態(即ち第1リフト量)に移行したりするおそれがない。ましてや全閉状態に移行することはない。このような第2リフト量は、例えば本発明の流量制御弁を実際に使用する場面における自閉差圧の最大値△P max が実測あるいは推測できれば、この自閉差圧△P max に対応するリフト量(Lb)以上に設定すればよい。尚、弁体のリフト量が通常の開弁時において、より自閉しにくくするには弁体の直径を小さくし、シート径を小さくした方がよい。
【0021】
ところで、ABS用の油圧回路における増圧制御弁に本発明の流量制御弁を適用する場合、通常、流量制御弁と並列にチェック弁を設ける。これは、車輪がロックして流量制御弁が遮断位置(保持状態)にあるときにブレーキペダルの踏み込みが解除されると上流側であるM/C油圧よりも下流側であるW/C油圧が大きくなる場合があり、この場合にはチェック弁が機能して、直ちにW/C油圧が下がるように構成されている。
【0022】
ここで、チェック弁を流量制御弁に組み込むことによりコンパクト化を図ってもよい。本発明においては、請求項6に記載したように、前記上流側通路及び前記下流側通路を内蔵するガイドと、前記ガイドが油密に圧入されたハウジングとを備えている場合、狭まり流れを採用しているため、ガイドとハウジングとの間隙に下流側通路から上流側通路に向かって開弁するチェック弁を前記ガイドの側面に沿って設けることができる。仮に広がり流れを採用した場合には、ガイド自身に細長い穴を開ける必要があるため、穴あけ加工が必要なうえガイドの体格が大きくなるが、上記本発明の構成ではガイドの側面にチェック弁を設けることができるためガイドに細長い穴を開ける必要がなく、穴あけ加工が不要なうえガイドの体格がコンパクトになる。
【0023】
また、チェック弁を別部品として設けるのはコストが嵩むため、本発明の流量制御弁の弁体をチェック弁としても機能させるべく、請求項7に記載したように、弁体は、閉弁時において、上流側通路の流体圧力によって下流側通路の開口部を閉鎖するが、下流側通路の流体圧力が上流側通路の流体圧力よりも大きくなったときには下流側通路の開口部を開放するように構成してもよい。
【0024】
更に、本発明においては、請求項8に記載したように、前記上流側通路は前記弁室の下方から上方に延びて該弁室の底面に開口するように形成され、前記下流側通路は前記弁室の底面に設けられた前記開口部から下方に延びたあと横方向に屈曲した形状に形成されていることが好ましい。通常、流量制御弁を設置する場合には、ブレーキ液などの流体は流量制御弁の下面側から弁室に入って側面側に抜け出るように油路が構成されている。そこで、流量制御弁を上記のような構成とすれば、このような通常の油路構成をそのまま適用できるという利点がある。
【0025】
この流路は更に、請求項9に記載したように、前記弁室内のブレーキ液を前記開口部からチェック弁を介して下面側に流出して上流側通路に至るように構成されていてもよい。ここで、チェック弁は前記下流側通路から前記上流側通路に向かって開弁する。この場合には、チェック弁をコンパクトに構成できる。
【0026】
本発明の第2としての流量制御弁は、請求項10に記載したように、
流体が上流側通路から弁室を経て下流側通路に至るように形成された流路と、
該弁室内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいずれかの開口部を開放又は閉鎖する弁体と、
閉弁状態から開弁状態に移行する際、前記上流側通路から流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、前記弁体を前記開口部から離間させる方向の弾性力によって前記弁体と前記開口部との間隙が所定の微小リフト量となるように前記弁体を維持する弾性部材を備えた弁体維持機構と
前記弁体が前記開口部を開放するのを弾性力により補助する補助部材と、
通電されると、前記弾性部材および前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にするソレノイドコイルとを備えた流量制御弁であって、
前記弁体維持機構は
前記弾性部材によって維持される前記弁体のリフト量を所定の第1リフト量となるように調整する調整部材備え
前記ソレノイドコイルを通電状態から非通電状態に切り替えると、閉弁状態となっていた前記弁体を、前記弾性部材および前記補助部材が前記開口部から離間させる方向へ移動させ、その移動に伴って生じる前記弁体と前記開口部との隙間を前記流体が通過することによって前記自閉力が生じ、前記自閉力、前記調整部材により調整された前記弾性部材の弾性力、および前記補助部材の弾性力が前記弁体に作用する間は、前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量に維持される一方、前記弁体に作用する前記自閉力が前記補助部材の弾性力よりも弱まった場合には、前記補助部材の弾性力で前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量よりも拡大して前記弁体が開弁状態になることを特徴とする。
【0027】
この場合、弾性部材の弾性力によって弁体をあるリフト量で維持するが、このリフト量を調整部材によって適宜調整することができる。従って、簡易な構成で弁体のリフト量を調整することができ、リフト量のバラツキつまり絞り量のバラツキを容易に抑えることができる。このため、例えばABS制御時の増圧量のバラツキを抑えて、制御を良好に行うことができる。
【0028】
本発明において、請求項11に記載したように、弁体維持機構は、前記弁室を備えたガイドと、前記ガイドに対向して設けられ、該ガイドに対して接近離間可能なプランジャと、前記ガイドに設けられ、前記弾性部材を内包すると共に、該弾性部材を前記プランジャ側から前記開口部側に押圧する筒状の前記調整部材が圧入された挿通孔と、一端に前記弁体、他端に前記プランジャを有し、前記筒状の調整部材に挿通されたシャフトとを備えて構成してもよい。この場合、絞り状態における弁体のリフト量は、調整部材の挿通孔への圧入量を調整することによって調整することができる。このとき、調整部材はガイドに設けた挿通孔のプランジャ側つまりガイドの上面側から圧入できるため、弾性部材や補助部材などを組み付けたままの状態で、調整部材の圧入量の調整を行うことができる。このため、調整作業を容易に行うことができる。
【0029】
この構成に加えて、請求項12に記載したように、前記弾性部材により付勢され、前記弁体または前記弁体が有する係合部が係合する被係合部を備え、前記弁体または前記係合部が前記被係合部に係合することによって、前記弁体は、前記弁体の前記開口部を閉鎖する方向への移動を規制され、前記調整部材は、前記ガイドに対する前記被係合部の位置を調整するように構成してもよい。この場合、例えば、弁体に凹凸部を設けて、この凹凸部が被係合部に引っかかるような構成等の簡易に構成により本発明の効果を得ることができる。
また、本発明において、請求項13に記載したように、前記ガイド、前記プランジャ及び前記調整部材はいずれも磁性体であり、ソレノイドコイルに通電されると、前記ガイド及び前記調整部材は前記プランジャを吸引して前記弾性部材及び前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にするように構成してもよい。一般にソレノイドコイルに通電することによって生じる吸引力は吸引し合う磁性体同士の対向面積に比例するが、ガイドと共に調整部材も磁性体としたためこの面積が大きくなり、吸引力が大きくなって閉弁時に確実に閉弁できる。
【0030】
更にこの構成に加えて、請求項14に記載したように、前記ガイドのうち前記プランジャに対向する面と、前記調整部材のうち前記プランジャに対向する面とは、略同一平面をなすようにしてもよい。一般にソレノイドコイルに通電することによって生じる吸引力は、調整部材のプランジャ対向面がガイドのプランジャ対向面よりも凹んでいるとプランジャとのエアギャップ量が大きくなるため、その分吸引力が下がる。逆に調整部材のプランジャ対向面が突出しているとプランジャが吸引されたときに障害になるおそれがある。このため、調整部材のプランジャ対向面をガイドのプランジャ対向面に略一致させ、このような問題を解消したのである。
【0031】
また、本発明において、請求項15に記載したように、前記開口部を備えたガイドと、前記ガイドに対向して設けられ、該ガイドに対して接近離間可能なプランジャと、前記プランジャに設けられ、前記弾性部材とこの弾性部材を閉弁時に前記開口部から所定距離隔てた位置にて支持する支持台とを内包すると共に、前記弾性部材を前記ガイド側から前記支持台を介して押圧する前記調整部材が圧入された挿通孔と、一端に前記弁体を有し、前記筒状の調整部材に挿通された状態で他端が前記プランジャに固着されたシャフトとを備えて構成してもよい。この場合も、絞り状態における弁体のリフト量は、調整部材の挿通孔への圧入量を調整することによって調整することができる。このとき、調整部材はプランジャに設けた挿通孔のガイド側から圧入できるため、弾性部材や支持台を組み付けたままの状態で、調整部材の圧入量の調整を行うことができる。このため、調整作業を容易に行うことができる。
【0032】
この構成に加えて、請求項16に記載したように、前記支持台に係合された前記調整部材によって調整された前記弾性部材の弾性力の作用により、前記弁体は前記開口部を閉鎖する方向への移動を規制されるように構成してもよい。この場合、調整部材は支持台に係合されているため、調整部材により支持台の位置を調整するだけで弁体のリフト量を調整することができる。
また、本発明において、請求項17に記載したように、前記ガイド、前記プランジャ及び前記調整部材はいずれも磁性体であり、ソレノイドコイルに通電されると、前記ガイドは前記プランジャ及び前記調整部材を吸引して前記弾性部材及び前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にするように構成してもよい。この場合、ガイドと共に調整部材も磁性体としたため、吸引力が大きくなって閉弁時に確実に閉弁できる。
【0033】
更にこの構成に加えて、請求項18に記載したように、前記プランジャのうち前記ガイドに対向する面と、前記調整部材のうち前記ガイドに対向する面とは、略同一平面をなすように構成してもよい。この場合、調整部材のガイド対向面が凹んでエアギャップ量が大きくなるとか、あるいは突出して吸引時に障害になるとかのおそれが解消される。
【0034】
本発明の第3としての流量制御弁は、請求項19に記載したように、流体が上流側通路から弁室を経て下流側通路に至るように形成された流路と、該弁室内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいずれかの開口部を開放又は閉鎖する弁体と、閉弁状態から開弁状態に移行した時、前記上流側通路から流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、前記弁体を前記開口部から離間させる方向の弾性力によって前記弁体と前記開口部との間隙が所定の微小リフト量となるように前記弁体を維持する弾性部材を備えた弁体維持機構と、前記弁体が前記開口部を開放するのを弾性力により補助する補助部材と、通電されると、前記弾性部材および前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にするソレノイドコイルとを備えた流量制御弁であって、
前記弁体は球面を持つ形状に形成され、前記開口部には前記弁体の球面の曲率半径と略一致する球面弁座が形成され、前記弁体と前記球面弁座とが接触したときの接触部分である円の直径即ちシート径は前記球面弁座の穴径と略一致し、前記ソレノイドコイルを通電状態から非通電状態に切り替えると、閉弁状態となっていた前記弁体を、前記弾性部材および前記補助部材が前記開口部から離間させる方向へ移動させ、その移動に伴って生じる前記弁体と前記開口部との隙間を前記流体が通過することによって前記自閉力が生じ、前記自閉力、前記弾性部材の弾性力、および前記補助部材の弾性力が前記弁体に作用する間は、前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量に維持される一方、前記弁体に作用する前記自閉力が前記補助部材の弾性力よりも弱まった場合には、前記補助部材の弾性力で前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量よりも拡大して前記弁体が開弁状態になることを特徴とする。
【0035】
球面形状の弁体を用いた場合には、弁座として球面弁座を用いた方がテーパ状の弁座を用いた場合に比べて弁体のリフト量に対する開口面積の感度が低い。例えば、図25に示すように、同じリフト量に対して、球面弁座の開口面積(図25(a)参照)はテーパ状の開口面積(図25(b)参照)よりも小さい。このため、所定の微小リフト量のバラツキをある公差幅に抑えるには、球面弁座の場合の方がリフト量の公差を大きくとることができる。従って、計測誤差や組付寸法誤差等のバラツキによる所定の微小リフト量のバラツキの発生を抑えることができ、的確な制御が可能となる。このため、開弁状態から閉弁状態に移行する際の弁体のリフト量を所定の微小リフト量に調整することが容易となる。
【0036】
また、閉弁状態において、弁体と球面弁座とはその材質のもつ弾性によって面接触するが、球面弁座の場合の方がテーパ状の弁座に比べて接触面積が大きくなるため、接触応力が緩和されて耐久性がよくなり、寿命が長くなる。更に、図26(a)に示すようにシート径は弁座穴径と同じであるため、図26(b)に示すようにシート径が弁座穴径より大きい場合のように流体が弁座と弁体の隙間に回り込むことがなく、弁体が流体から力を受けるときの受圧面積が小さい。このため、弁の開閉に関わる力は前者の方が小さくてよく、このため弁体と弁座との接触応力が緩和され、弁体の寿命が長くなる。
【0037】
本発明においては、請求項20に記載したように、球面弁座の穴径に対する弁体の球の直径の比βは1.1〜1.5の範囲内であることが好ましい。この比βは小さい方が実質のシート角度(即ち、弁体と球面弁座とが接触したときの接触部分における前記弁体の接線のなす角度)が小さくなり、弁体のリフト量に対する開口面積の感度が下がるので、好ましい。しかし、この比βが小さくなり過ぎると、球面弁座に加わる接触応力が増大するので、耐久性が劣化する傾向にある。そこで、現実的にはβ=1.1〜1.5の範囲で選択するのが好ましいのである。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
[第1実施例]
図1は本実施例の流量制御弁の概略構成を表す断面図である。
【0049】
ハウジング11には、流量制御弁10の側方に連通され、M/Cからブレーキ液を供給する供給通路12と、流量制御弁10の下方に連通され、W/Cにブレーキ液を排出する排出通路13が設けられている。ハウジング11の内部には、流量制御弁10のガイド14が挿入されており、このガイド14の上部外周と下部外周はOリング15、16によりハウジング11の内部側壁と油密にシールされている。
【0050】
ガイド14の内部は上下方向に貫通されており、この内部の下方にシートバルブ20、上方に半球状の弁体30及びプランジャ32を備えたシャフト31が配置されている。
シートバルブ20は、弁体30の配置されている弁室25から排出通路13までを連通する下流側通路21を備えている。この下流側通路21の弁室25側の開口部には、弁室25に向かって広がるテーパ状のシート面21aが形成されている。このため、弁体30が下流側通路21を閉塞する際、このシート面21aにしっかりと密着でき、閉塞時のシール性が優れている。
【0051】
弁室25には、バネ力の比較的大きな第1バネ26が配置されている。第1バネ26は、シャフト31を挿通している略リング状のストッパ28を弁室25の内部上面に当接するように付勢している。尚、第1バネ26が、本発明の弁体維持機構(弾性部材)に相当する。
【0052】
ガイド14の外周とハウジング11の内部との間には、間隙部18が設けられている。また、ガイド14のうち弁室25の側壁に当たる部分には、弁室25と間隙部18とを連通する上流側通路17が設けられている。このため、供給通路12から間隙部18、上流側通路17を経て弁室25に流入してきたブレーキ液は、弁体30とシート面21aの隙間を通って、下流側通路21を経て排出通路13へ流出する。
【0053】
ハウジング11の上方にはヨーク35が設けられ、このヨーク35の内側にはソレノイドコイル(以下「コイル」という)36が設置されている。このコイル36は図示しない外部装置により通電・非通電を制御できるように電気的に接続されている。また、コイル36の内側には非磁性体のスリーブ37が配設され、コイル36の下側には磁性体であるコアステータ38が配設されている。
【0054】
スリーブ37の内部には、非磁性体のシャフト31が圧入された可動鉄心であるプランジャ32が配置されている。シャフト31は、プランジャ32と一体化されてガイド14の上部内側に沿って上下に摺動可能となっている。
シャフト31の外周には半径外方向に突出した凸部33が設けられ、この凸部33は、弁室25内に配設されたストッパ28と係合可能な位置に配置されている。このため、シャフト31と一体化されたプランジャ32の頂部がスリーブ37の上面に当接した位置から下方向に摺動すると、その途中でシャフト31の凸部33がストッパ28と係合し、その後ストッパ28は凸部33と共に下方向に移動可能なように構成されている。なお、弁室25の内部上面に当接しているストッパ28と凸部33とが係合したときの弁体30のリフト量は、後述の第1リフト量となるように設計されている。
【0055】
また、ガイド14の上部内側には段差14aが設けられ、この段差14aとプランジャ32の下面との間には比較的バネ力の小さな第2バネ27が配設されている。この第2バネ27はプランジャ32の頂部がスリーブ37の上面に当接する位置までシャフト31及びプランジャ32を付勢している。尚、この第2バネ27が本発明の補助部材に相当する。
【0056】
次にこの流量制御弁10の作動につき、ABS用の油圧回路の増圧制御弁にこの流量制御弁10を用いたときを例にあげて説明する。図2はABS用の油圧回路図であり、この油圧回路は、M/Cから増圧制御弁である流量制御弁10を介してW/Cに至る第1油路と、第1油路のうちM/Cと流量制御弁10との間からW/Cと流量制御弁10との間に至る第2油路とを備えている。第2油路にはW/C側からM/C側に向かって減圧制御弁2とポンプ6が設けられ、両者の間にはリザーバ4が配置されている。流量制御弁10のうち供給通路12はM/C油圧がかかる通路であり、排出通路13はW/C油圧がかかる通路である。
【0057】
ノーマルブレーキ時では、図2に示すように、流量制御弁10は連通位置(非通電状態)、減圧制御弁2は遮断位置(非通電状態)にある。このときの流量制御弁10は、コイル36に電流が流れていないため吸引力が発生せず、図1に示すように、第2バネ27のバネ力により、弁体30、シャフト31及びプランジャ32は上方に付勢され、プランジャ32の頂部がスリーブ37の上面に当接する位置で停止している。このとき、弁体30のリフト量(つまり弁体30とシート面21aとの間隔)は、第2リフト量になるように設計されている。
【0058】
ここで、この油圧回路においてM/C油圧とリフト量、弁体30が自閉を開始するW/C油圧とリフト量の関係を図3に示す。第2リフト量は、図3に示すように、自閉領域の存在しないリフト量に設定されているため、弁体30には自閉力が作用することはない。このため、弁体30はシートバルブ20のシート面21aから完全に離間し、供給通路12と排出通路13とを全開状態で連通している。
【0059】
ところで、一般にABS制御は、例えばドライバの急激なブレーキ操作によって各車輪のスリップが発生すると車両をコントロールできなくなるおそれがあるため、このような現象を防止すべく、運転者がブレーキ操作を行って車両を制動しようとしている場合に、各車輪のスリップ状態を適正にするために行われるものである。
【0060】
図2に基づいてABS制御を説明すると、図示しない電子制御装置が車輪がロック傾向にあると判断すると、流量制御弁10を遮断位置(通電状態)にすると共に、減圧制御弁2を連通位置(通電状態)にして、W/C油圧を減圧し、車輪のロックを防止する。このときW/Cから減圧された油量は減圧制御弁2を介してリザーバ4に排出され、ポンプ6によりM/C側へ還流される。
【0061】
このときの流量制御弁10は、コイル36に電流が流れるため、図4に示すように、プランジャ32がガイド14に接近するような吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ26、27のバネ力等に打ち勝ってプランジャ32がシャフト31と共に下方に動き、弁体30がシートバルブ20のシート面21aに密着して供給通路12と排出通路13とを遮断する。
【0062】
その後、図示しない電子制御装置が車輪のロック傾向が解消したと判断すると、流量制御弁10を連通位置(非通電状態)にすると共に、減圧制御弁2を遮断位置(非通電状態)にして、W/C油圧を増圧させる。この場合、W/C油圧を急激に増加させると車輪がロック傾向となるため、流量制御弁10と減圧制御弁2を共に遮断させてW/C油圧を保持する状態をつくる。そして、このような制御により、W/C油圧を徐々に増加させ、車輪のロックを防止しつつ車両の安定性を確保する。
【0063】
このときの流量制御弁10は、コイル36に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だけ切断されて吸引力が消失するため、図5に示すように、第1、第2バネ26、27のバネ力等によって、弁体30、シャフト31及びプランジャ32は上昇する。このとき、ブレーキ液は弁体30とシート面21aとの間を狭まり方向に流れるため、自閉力が弁体30に作用する。ここで、流量制御弁10では自閉力が第2バネ27のバネ力等よりも打ち勝つように設計されているため、弁体30はシート面21aを閉じようとする。しかし、シャフト31の凸部33がストッパ28と係合した後は、第1バネ26の弾性力によってシャフト31がそれ以上下降するのを阻止するように設計されている。このため、弁体30は第1リフト量で維持され、絞り状態で維持される。このときの弁体30のリフト量は、第1リフト量になるように設計されている。
【0064】
ここで、第1リフト量は、図3に示すように、自閉開始W/C油圧の大きな領域、つまりM/CとW/Cとの差圧がP0 という小さな値で略一定している第1領域(リフト量<L0 )に設定されているため、弁体30には僅かな差圧があれば自閉力が作用する。このため、W/C油圧とM/C油圧との差圧が第1リフト量における自閉差圧未満になるまで、つまりW/C油圧とM/C油圧とが所定の差圧になるまで、シャフト31の凸部33は自閉力によってストッパ28の上面に係合した状態で維持され、弁体30はシートバルブ20のシート面21aと第1リフト量(所定の微小間隔)をもって対向している状態となる。この結果、流量制御弁10を数msだけ開けて増圧する場合にその増圧量が大きくならず、良好なABS制御が可能となる。
【0065】
また、第1バネ26の開弁圧(ばね力/弁体30の受圧面積)は、自閉差圧の最大値であるM/C油圧よりも大きな値に設定されている。このため、第1リフト量で維持している際に自閉差圧が最大になったとしても、第1リフト量のまま維持できる。
【0066】
ところで、本実施例の流量制御弁の構成を用いて、流体が狭まり流れの場合(弁の中心に向かって流体が流れる場合、本実施例に相当)と、広がり流れの場合(弁の中心から半径方向に広がって流れる場合、本実施例とは逆向き、つまり図43においてブレーキ液が矢印方向に流れる場合)の各々につき、弁リフト量と弁への作用力との関係を調査した。その結果を図6に示す。狭まり流れの場合には、図6(a)に示すように、第1リフト量において、M/CとW/Cとの差圧△Pが大きい場合(△P=PL )でも小さい場合でも(△P=PS )、閉弁方向の作用力即ち自閉力が働いた。但し、自閉力の大きさは差圧が大きいほど大きかった。一方、広がり流れの場合には、図6(b)に示すように、同じ第1リフト量において、差圧△Pが大きい場合(△P=PL )には自閉力が働いたが、小さい場合(△P=PS )には自閉力が働かなかった。
【0067】
また、両者の各々につき、リフト量を第1リフト量に設定した上で、差圧△Pと増圧量との関係を調査したところ、図7のグラフが得られた。狭まり流れの場合には、実線で示すように、差圧△Pが大きい場合(△P=PL )でも小さい場合でも(△P=PS )、増圧量は小さい値で略安定していた。一方、広がり流れの場合には、点線で示すように、差圧△Pが大きい場合(△P=PL )には狭まり流れと同等の増圧量であったが、小さい場合(△P=PS )には増圧量が増大した。これは広がり流れにおいて差圧が小さい場合には自閉力が働かない、つまり閉弁方向の作用力が働かない(図6(b)の△P=PS 参照)ことに起因する。
【0068】
更に、広がり流れの場合には、W/C油圧が著しく低くなると吸引作用が働きにくくなり、増圧量が増大する傾向にある。このため、広がり流れの場合には、流量制御弁を開ける時間を短縮することにより制御性を良好に保つようにしていた。これに対して、本実施例のように狭まり流れの場合には、図3から明らかなように、自閉力が作用するか否かは差圧△Pとリフト量によって決まり、第1リフト量においてはW/C油圧が著しく低く(例えば0MPa)なったとしてもM/C油圧との差圧が自閉差圧より大きければ自閉力が作用し、増圧量が増大することはない。このため、広がり流れの場合のように流量制御弁を開ける時間を調整する必要がない。
【0069】
以上詳述した本実施例によれば、以下の効果が得られる。即ち、弁体維持機構としてストッパ28及び第1バネ26を設けて狭まり流れを採用するという簡易な構成により、閉弁状態から開弁状態に移行する際の絞り状態を実現できる。
また、絞り状態は上流側と下流側の差圧によって維持されるため、下流側の流体圧力が著しく低下(例えば0MPa)したとしてもそれによって絞り状態が維持できなくなることはない。特に第1リフト量は自閉差圧の小さい第1領域のリフト量に設定されているため、自閉差圧が小さくても絞り状態が維持できる。
【0070】
また、第1バネ26の開弁圧(ばね力/弁体30の受圧面積)は、自閉差圧の最大値であるM/C油圧よりも大きな値に設定されている。このため、第1リフト量で維持している際に自閉差圧が最大になったとしても、第1リフト量のまま維持できる。
【0071】
更に、全開状態では自閉力が働かないように第2リフト量を設定したため、全開状態時に誤って絞り状態に移行したり閉状態に移行したりするおそれがない。次に、上記第1実施例の変形例を図8(a)に示す。この変形例は、第1実施例の流量制御弁10の内部に排出通路13から供給通路12に開弁するチェック弁を組み込んだ場合を示す。このチェック弁は、金属製のボール弁41と、このボール弁41を配置する弁室42と、このボール弁41を受ける弁座43とを備えている。弁室42はガイド14の側面のうちOリング16の上方に設けられている。この弁室42は間隙部18とシートバルブ20の下面側とを連通している。かかるチェック弁は、例えば車輪がロックして流量制御弁が遮断位置にあるときにブレーキペダルの踏み込みが解除されて上流側であるM/C油圧よりも下流側であるW/C油圧が大きくなったとき、直ちにW/C油圧を下げるという機能を果たす。このチェック弁は第1実施例におけるガイド14の側面に弁室42を加工するだけでよいため、ガイド14自身の体格は第1実施例と同様である。
【0072】
一方、図8(b)に示す比較例は、同様の流量制御弁であるが、流体を広がり流れとした場合に、同様のチェック弁を設けたときの例示である。このときには第1実施例のガイド14よりも径の大きなガイド54を用いて軸方向に沿った流路56を別途設け、その流路56の下端に弁室55を設ける必要がある。これは、上記第1実施例ではOリング16がガイド14の側面に配設されているため、このOリング16を避けるようにして流路56や弁室55を設けなければならないからである。このようにガイド54の体格が大きくなると、ガイド54の受圧力が増大するため、ガイド54をハウジングに固定する際に固定のための必要強度が増大し、流量制御弁全体の体格が大きくなるという不具合がある。また、流路56のような細長い穴あけ加工が必要である。これに対して、図8(a)ではこのような細長い穴が不要であるため、穴あけ加工が不要となり加工性がよく、また、ガイドの体格もコンパクトとなる。
【0073】
このように、金属製のボール弁をチェック弁として内蔵させる場合に、本実施例のように狭まり流れを採用した方が、従来のように広がり流れを採用した場合に比べて有利である。
[第2実施例]
図9は本実施例の流量制御弁の概略構成を表す断面図である。
【0074】
ハウジング61には、流量制御弁60の側方に連通され、M/Cからブレーキ液を供給する供給通路62と、流量制御弁60の下方に連通され、W/Cにブレーキ液を排出する排出通路63が設けられている。ハウジング61の内部には、流量制御弁60のガイド64が挿入されており、このガイド64の上部外周と下部外周はOリング65、66によりハウジング61の内部側壁と油密にシールされている。
【0075】
ガイド64の内部は上下方向に貫通されており、この内部の下方にシートバルブ70、上方にシャフト81を嵌挿した略リング状のストッパ78が配置されている。
シートバルブ70は上下方向に貫通されており、下側には第1凹部71、上側には第2凹部73が形成され、両者は通孔72により連通されている。第1凹部71には、複数の孔74a(本発明の上流側通路に相当)を有する仕切り板74により弁室75が形成されている。この弁室75には、通孔72の第1凹部71側の開口部分であるテーパ状のシート面72aに密着・離間可能なボール状の弁体80が配置されている。一方、第2凹部73の上端部には半径外方向に複数の溝73aが設けられている。
【0076】
ガイド64の外周とハウジング61の内部との間には、間隙部68が設けられている。また、ガイド64のうち第2凹部73の溝73aに面する部分には、この溝73aと間隙部68とを連通する連通路67が形成されている。このため、供給通路62から仕切り板74の孔74aを経て弁室75に流入してきたブレーキ液は、弁体80とシート面72aとの間を通って、通孔72、溝73a、連通路67、間隙部68を経て排出通路63へ流出する。このように、本実施例でも狭まり流れを採用している。尚、仕切り板74の複数の孔74aが本発明の上流側通路に相当し、通孔72、溝73a、連通路67が下流側通路に相当し、シート面72aが下流側通路の開口部に相当する。
【0077】
ストッパ78は、その下面が第2凹部73の上端部と当接可能に配置されている。このストッパ78は、ガイド64とストッパ78の間に配設された比較的バネ力の強い第1バネ76によって、第2凹部73の上端部に当接するように付勢されている。尚、この第1バネ76が本発明の弁体維持機構(弾性部材)に相当する。
【0078】
ハウジング61の上方にはヨーク85が設けられ、このヨーク85の内側にはコイル86が設置されている。このコイル86は図示しない外部装置により通電・非通電を制御できるように電気的に接続されている。また、コイル86の内側には非磁性体のスリーブ87が配設され、スリーブ87には非磁性体のシャフト81の上端を摺動可能に挿通する磁性体のコアステータ88が固設されている。
【0079】
また、コアステータ88とガイド64との間には、シャフト81が圧入された可動鉄心であるプランジャ82が配置されている。シャフト81は、プランジャ82と一体化されてガイド64の上部内側に沿って上下に摺動可能となっている。
【0080】
シャフト81の外周には半径外方向に突出した凸部83が設けられている。この凸部83は、シートバルブ70の第2凹部73内にて、ストッパ78と係合可能な位置に配置されている。シャフト81の下端はボール状の弁体80と接触・離間可能であり、凸部83とガイド64との間に設けた比較的バネ力の小さい第2バネ77により弁体80を仕切り板74に当接するように付勢している。このとき弁体80は仕切り板74の孔74aを塞ぐことのないように構成されている。尚、この第2バネ77が本発明の補助部材に相当する。
【0081】
次にこの流量制御弁60の作動につき、第1実施例と同様に、ABS用の油圧回路の増圧制御弁として用いたときを例にあげて説明する。
ノーマルブレーキ時では、第1実施例と同様、図2に示すように、流量制御弁60は連通位置(非通電状態)、減圧制御弁2は遮断位置(非通電状態)である。このときの流量制御弁60は、コイル86に電流が流れていないため吸引力が発生せず、図9に示すように、第2バネ77のバネ力により、弁体80はシャフト81とプランジャ82と共に下方に付勢され、シャフト81の下端が弁体80を仕切り板74に当接するまで押し下げた位置で停止している。このとき、弁体80は、シートバルブ70のシート面72aから完全に離間しているため、供給通路62と排出通路63とを全開状態で連通している。
【0082】
そして、図示しない電子制御装置が車輪がロック傾向にあると判断すると、流量制御弁60を遮断位置(通電状態)にすると共に、減圧制御弁2を連通位置(通電状態)にして、W/C油圧を減圧し、車輪のロックを防止する。
このときの流量制御弁60は、コイル86に電流が流されるため、図10に示すように、プランジャ82がコアステータ88に接近するような吸引力が働き、プランジャ82はシャフト81と共に第1、第2バネ76、77のバネ力に打ち勝って上方に動く。このとき、弁体80はシャフト81と独立して設けられているため、シャフト81と共に上方に動くわけではないが、弁室75内の圧力によりシートバルブ70のシート面72aに密着される。この結果、弁体80は供給通路62と排出通路63とを遮断する。
【0083】
その後、図示しない電子制御装置が車輪のロック傾向が解消したと判断すると、流量制御弁60を連通位置(非通電状態)にすると共に、減圧制御弁2を遮断位置(非通電状態)にして、W/C油圧を増圧させる。この場合、W/C油圧を急激に増加させると車輪がロック傾向となるため、流量制御弁60と減圧制御弁2を共に遮断させてW/C油圧を保持する状態をつくる。そして、このような制御により、W/C油圧を徐々に増加させ、車輪のロックを防止しつつ車両の安定性を確保する。
【0084】
このときの流量制御弁60は、コイル86に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だけ切断されて吸引力が消失するため、図11に示すように、第1、第2バネ76、77のバネ力等によって、弁体80はシャフト81やプランジャ82と共に下降する。このとき、ブレーキ液が弁体80とシート面72aとの隙間を狭まり方向に流れるため、弁体80に自閉力が作用する。ここで、流量制御弁60では自閉力が第2バネ77のバネ力等よりも打ち勝つように設計されているため、弁体80はシャフト81を押し上げつつシート面72aに接近する。しかし、シャフト81が凸部83がストッパ78と係合した後は、第1バネ76の弾性力によってシャフト81がそれ以上上昇するのを阻止するように設計されている。このときの弁体80のリフト量は、第1リフト量になるように設計されている。つまり、弁体80は第1リフト量で維持され、絞り状態で維持される。尚、本実施例の第1リフト量は、第1実施例に準じて定めることができる。
【0085】
ところで、図10に示すように、車輪のロックを防止するために流量制御弁60が遮断位置(通電状態)に配置されているときに、ドライバがブレーキの踏み込みを解除すると、M/C油圧が減圧されてW/C油圧よりも低くなる場合がある。このような場合、本実施例では、排出通路63の圧力即ちシートバルブ20の第2凹部73の圧力が、供給通路62の圧力即ち第1凹部71の圧力よりも高くなるため、その差圧によってボール状の弁体80はシャフト81の下端から離間する(図12参照)。このため、W/C油圧は迅速に減圧される。つまり、本実施例の流量制御弁60は、通常これと並列に設けるべきチェック弁の機能も備えているのである。
【0086】
以上詳述したように、本実施例の流量制御弁60によれば、第1実施例と同様、閉弁状態から開弁状態に移行する際の絞り状態を簡易な構成で実現でき、また、下流側の流体圧力が著しく低下(例えば0MPa)としてもそれによって絞り状態が維持できなくなることはなく、更に、全開状態では自閉力が働かないように第2リフト量を設定したため、全開状態時に誤って絞り状態に移行したり閉状態に移行したりするおそれがないという効果が得られる。そのうえ、弁体80はチェック弁としても機能するため、チェック弁を別部品として設ける場合に比べて部品コストが低減される等のメリットがある。
【0087】
尚、本実施例では第2バネ77を凸部83とガイド64との間に設けたが、図13に示すように、コアステータ88に段差88aをつくりこの段差88aとプランジャ82の上面との間に第2バネ77を設けてもよい。この場合も第2バネ77は弁体80を仕切り板74に当接するように付勢している。
【0088】
[第3実施例]
図14は本実施例の流量制御弁の概略構成を表す断面図である。
ハウジング311には、流量制御弁300の下方に連通され、M/Cからブレーキ液を供給する供給通路312と、流量制御弁300の側方に連通され、W/Cにブレーキ液を排出する排出通路313が設けられている。ハウジング311の内部には、流量制御弁300のガイド314が油密に挿入されている。また、ガイド314とハウジング311との間には間隙部318が設けられ、この間隙部218にはオイルフィルタ370が設けられている。
【0089】
流量制御弁300のうち、磁性体であるガイド314の内部には、上下方向に貫通する挿通孔315が設けられている。この挿通孔315の中央やや下寄りには弁室325が設けられている。
ガイド314の下方には、上流側通路341が、弁室325の下方から上方に延びて、供給通路312から弁室325の底面に開口するように設けられている。同じくガイド314の下方には、下流側通路343が、弁室325の底面略中央に設けられた開口部であるシート面321aから下方に延びたあと横方向に曲がって排出通路313に連通するように設けられている。下流側通路343のうちこの横方向に屈曲している経路が請求項8の流出用経路に相当する。なお、下流側通路343のうち弁室325近傍は、径の小さな弁座穴321が形成されている。更に、下流側通路343のうち横方向に曲がる屈曲位置には、下方向に分岐する合流経路342が設けられている。この合流経路342は下流側通路343と上流側通路341とを連通し、その途中には下流側通路343から上流側通路341(又は供給通路312)に開弁可能なチェック弁380が設けられている。このチェック弁380は、下流側通路343の圧力が上流側通路341の圧力よりも高くなったときに、直ちに下流側通路343と上流側通路341を連通させてこの状態を解消させる役割を果たす。
【0090】
以上のように各油路が形成されているため、供給通路312から上流側通路341を経て弁室325に流入してきた流体は、弁体330とシート面321aとの隙間を通って、弁座穴321、下流側通路343を経て、排出通路313へ流出する。
【0091】
ガイド314に設けられた挿通孔315には、本発明の弾性部材としての第1バネ326と、ストッパ328が内包され、更に筒状の調整部材350がプランジャ332側つまりガイド上端面314a側から圧入されている。第1バネ326はバネ力の比較的大きなバネであり、挿通孔315の下方に設けられた弁室325内に設置されている。ストッパ328は略リング状であり、シャフト331に遊挿されている。このストッパ328は、第1バネ326によって付勢されてシート面321a側から調整部材350の下端面350bに押しつけられている。
【0092】
調整部材350は磁性体であり、その内部には、非磁性体のシャフト331が上下動可能に設置されている。この調整部材350は、その下端面350bにてストッパ328と弁室325の底面との距離を規制すると共に、挿通孔315への圧入量を変化させることにより下端面350bの上下位置を変化させ、ストッパ328と弁室325の底面との距離を適宜調整するものである。換言すれば、調整部材350はプランジャ332側からシート面321a側に向かってストッパ328を介して第1バネ326を押圧しているため、その圧入量を調整すれば第1バネ326のバネ長さを適宜調整できる。また調整部材350のプランジャ対向面である上端面350aは、ガイド314のプランジャ対向面である上端面314aと略同一平面となるように設計されている。
【0093】
本実施例の調整部材350の長さL1は、図15に示す閉弁時(コイル336に通電することにより発生する吸引力のため、第1バネ326は調整部材350によって決められたバネ長さよりも短くなっている)において、シャフト331の長さL2から、シャフト331の上端面とガイド314の上端面314aとの間隙G、及び、第1リフト量K(=ストッパ328と調整部材350との間隙)を減じた値に設定される(下記数1参照)。
【0094】
【数1】
L1=L2−G−K
【0095】
ガイド314の上方にはヨーク335が設けられ、このヨーク335の内側にはソレノイドとしてのコイル336が設置されている。このコイル336は図示しない外部装置により通電・非通電を制御できるように電気的に接続されている。また、コイル336の内側には非磁性体のスリーブ337が配設されている。
【0096】
スリーブ337の内部には、可動鉄心であるプランジャ332が配置されている。シャフト331は、プランジャ332と一体化されて調整部材350の内側に沿って上下に移動可能となっている。
シャフト331は非磁性体であり、下端に弁体330、上端に磁性体のプランジャ332を備えると共に、第1段差部331a、第2段差部331bを備えている。第1段差部331aとシート面321aの周囲との間には比較的バネ力の小さな第2バネ327が配設されている。この第2バネ327はプランジャ332の頂部がスリーブ337の上面に当接する位置までシャフト331及びプランジャ332を付勢している。尚、この第2バネ327が本発明の補助部材に相当する。
【0097】
また、シャフト331の第2段差部331bは、弁室325内に配設されたストッパ328と係合可能な位置に配置されている。プランジャ332の頂部がスリーブ337の上面に当接した位置から下方向に摺動すると、その途中でシャフト331の第2段差部331bがストッパ328と係合し、その後ストッパ328は第2段差部331bと共に下方向に移動可能なように構成されている。
【0098】
次にこの流量制御弁300の作動につき、上述の流量制御弁と同様、ABS用の油圧回路の増圧制御弁として用いたときを例にあげて説明する。
上述した通り、ノーマルブレーキ時では、流量制御弁300は連通位置(非通電状態)にある。このとき、コイル336に電流が流れていないため吸引力が発生せず、図14に示すように、第2バネ327のバネ力により、プランジャ332の頂部がスリーブ337の上面に当接する位置で停止している。このとき、弁体330のリフト量(つまり弁体330とシート面321aとの間隔)は、既述の第2リフト量になるように設計されている。
【0099】
一方、ABS制御時では、コイル336に電流が流れて磁界が発生するため、図15に示すように、プランジャ332がガイド314に接近するような吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ326、327のバネ力等に打ち勝ってプランジャ332がシャフト331と共に下方に動き、弁体330がシート面321aに密着して上流側通路341と下流側通路343とを遮断する。このとき、コイル336に通電したことにより発生する強力な吸引力のため、シャフト331の第2段差部331bがストッパ328を介して第1バネ326を押圧する。このため、第1バネ326は調整部材350の圧入量によって決められたバネ長さよりも短くなっている。
【0100】
なお、調整部材350はガイド314と同様、磁性体であるので、コイル336に電流が流れることにより発生する吸引力が大きくなる。また、調整部材350の上端面350aとガイド314の上端面314aとは略同一平面であるため、エアギャップ量が大きくなる箇所がないので大きな吸引力が得られる。この結果、確実に閉弁状態にすることができる。
【0101】
その後、図示しない電子制御装置が車輪のロック傾向が解消したと判断すると既述の通り、コイル336の通電、非通電を繰り返し行う。このとき、コイル336に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だけ切断されて上記吸引力が消失するため、図16に示すように、第1、第2バネ326、327のバネ力等によって、弁体330、シャフト331及びプランジャ332は上昇する。このとき、ブレーキ液は弁体330とシート面321aとの間を狭まり方向に流れるため、自閉力が弁体330に作用する。ここで、流量制御弁300では自閉力が第2バネ327のバネ力等よりも打ち勝つように設計されているため、弁体330はシート面321aを閉じようとする。しかし、シャフト331の第2段差部331bがストッパ328と係合した後は、第1バネ326の弾性力によってシャフト331がそれ以上下降するのを阻止するように設計されている。即ち、第1バネ326は調整部材350によって決められたバネ長さを維持する。このため、弁体330は微小の第1リフト量Kで維持され、絞り状態で維持される。なお、この第1リフト量、第1バネ326のバネ力については第1実施例で既述したとおりである。
【0102】
ここで、流量制御弁300の組付工程について概説する。まず、ガイド314を図示しないパレット(治具)上に配置した後、挿通孔315内に第1バネ326、ストッパ328をこの順序で入れる。次いで、調整部材350を挿通孔315の上方から圧入する。このとき、調整部材350の上端面350aとガイド314の上端面314aとが略同一平面となるまで仮圧入する(仮圧入状態)。仮圧入状態では、調整部材350の下端面350bは、ストッパ328を介して第1バネ326を弁室25の底面に押しつけている。次いで、シャフト331と一体化された弁体330に第2バネ327を挿通し、このシャフト331を筒状の調整部材350内に挿通させる。そして、このシャフト331の上端面に下向きの荷重を徐々に加えていき、そのときのシャフト変位量と荷重との関係を測定する。この結果、図17のようなグラフが得られる。
【0103】
即ち、測定開始点(シャフト変位量が最大)からある荷重を加えたとき、シャフト331の第1段差部331aに押されて第2バネ327が圧縮し始めるためシャフト変位量は徐々に小さくなる。その後、シャフト331の第2段差部331bがストッパ328と当接すると、上記荷重では第1バネ326が圧縮されないため、シャフト331は変位しない。そして上記荷重よりも大きな所定荷重に至ると、第1バネ326が圧縮され始めるため、シャフト変位量は更に小さくなる。その後、弁体330が弁座穴321のシート面321aに達すると、シャフト331は停止する。
【0104】
ここで、第1バネ326が圧縮される区間K’が第1リフト量に相当する値である。従って、この区間K’の値が当初の設計値であるKよりも例えばd(μm)だけ大きかった場合には、調整部材350を更にd(μm)だけ圧入すればよい。このようにして、ABS制御時の微小なリフト量を第1リフト量Kに容易に調整することができる。
【0105】
以上詳述したように、本実施例によれば、上記第1実施例と同様の効果を奏するほか、ABS制御時の絞り状態における微小な第1リフト量に調整する調整部材350を備えたことにより、部品の寸法精度がラフでも、組付時に所望のリフト量(第1リフト量K)に容易に調整することができる。この結果、流量制御弁を安価に製造できるという効果が得られる。特に、調整部材350はガイド314の上面314a側から挿通孔315に圧入されているため、第1、第2バネ326、327などを組み付けたままの状態で、その圧入量の調整を行うことができる。このため、調整作業を容易に行うことができる。
【0106】
また、従来より流量制御弁を設置する場合、例えば図43に示すように、ブレーキ液は流量制御弁の下面側から弁室に入って側面側に抜け出るようにハウジング内に油路(供給通路、排出通路)が構成されているが、本実施例では上記のように上流側通路341、下流側通路343を配設したため、従来の油路構成をそのまま適用できるという効果も得られる。更に、チェック弁380を下流側通路343と上流側通路341(又は供給通路312)との間に設けたため、チェック弁380を内蔵しているものの体格が大きくなることがなく、コンパクトに構成できる。
【0107】
更にまた、調整部材350を磁性体とし、プランジャ332に対向する上端面350aをガイド314の上端面314aと略同一平面となるように設計したため、閉弁時の吸引力が大きくなり、確実に閉弁するという効果も得られる。
なお、ガイド314には、いわゆるシートバルブ(第1実施例のシートバルブ20を参照)が一体として形成されているため、シートバルブを別体として組み付けた場合に比べて、製造コストが安価となる。
【0108】
[第4実施例]
図18は本実施例の流量制御弁の概略構成を表す断面図である。
ハウジング411には、流量制御弁400の下方に連通され、M/Cからブレーキ液を供給する供給通路412と、流量制御弁400の側方に連通され、W/Cにブレーキ液を排出する排出通路413が設けられている。ハウジング411の内部には、流量制御弁400のガイド414がOリング416、416により油密にシールされている。また、ガイド414とハウジング411との間には間隙部418が設けられ、この間隙部418にはオイルフィルタ470が設けられている。
【0109】
流量制御弁400のうち、磁性体であるガイド414の上方空間には、弁室425が形成されている。またガイド414の内部には、上流側通路441が、供給通路412から弁室425の底面に開口するように、弁室425の下方から上方に延びた形状に設けられている。同じくガイド414の下方には、下流側通路443が、ガイド414の上面略中央に設けられた開口部であるシート面421aから下方に延びたあと横方向に曲がって排出通路413に連通するように設けられている。なお、下流側通路443のうち弁室425近傍は、径の小さな弁座穴421が形成されている。更に、下流側通路443のうち横方向に曲がる屈曲位置には、下方向に分岐する合流経路442が設けられている。この合流経路442は下流側通路443と供給通路412とを連通し、その途中には下流側通路443から供給通路412に開弁可能なチェック弁480が設けられている。このチェック弁480は、第3実施例のチェック弁380と同様の役割を果たす。
【0110】
以上のように各油路が形成されているため、供給通路412から上流側通路441を経て弁室425に流入してきたブレーキ液は、弁体430とシート面421aとの隙間を通って、弁座穴421、下流側通路443を経て、排出通路413へ流出する。
【0111】
ガイド414の上方には、このガイド414の上端面に対して接近離間可能な磁性体のプランジャ432が配置されている。このプランジャ432の内部にはシート面421aに対向する位置に挿通孔415が設けられている。また、この挿通孔415には、本発明の弾性部材としての第1バネ426、リング状の支持台428が内包され、更に筒状の調整部材450が圧入されている。第1バネ426はバネ力の比較的大きなバネであり、挿通孔415の上底面415aと、シャフト431に遊挿された支持台428との間に配設されている。支持台428の内周側には、調整部材450に遊挿された円筒脚429が一体化されている。この円筒脚429の下端429b(図19、図20参照)は、プランジャ432の下端面432bよりも下方に突出するように設計されており、また内と外とを連通する複数の切欠溝429aが形成されている。
【0112】
筒状の調整部材450は磁性体であり、その内部には、非磁性体のシャフト431が挿通されている。この調整部材450は、ガイド414側から挿通孔415へ圧入されており、その上端面450a(図19、図20参照)にて支持台428を介して第1バネ426を挿通孔415の上底面415aに押圧している。このため、調整部材450の圧入量を調整することにより、第1バネ426のバネ長さを適宜調整することができる。また調整部材450のガイド対向面である下端面450b(図19、図20参照)は、プランジャ432のガイド対向面である下端面432bと略同一平面となるように設計されている。
【0113】
本実施例の調整部材450の長さL1は、図19に示す閉弁時(コイル436に通電することにより発生する吸引力のため、第1バネ426は調整部材450によって決められたバネ長さよりも短くなっている)において、支持台428の円筒脚429の長さL2から、プランジャ432の下端面432bとガイド414の上端面414aとの間隙G、及び、第1リフト量K(=支持台428と調整部材450との間隙)を減じた値に設定される(下記数2参照)。
【0114】
【数2】
L1=L2−G−K
【0115】
ガイド414の上方にはヨーク435が設けられ、このヨーク435の内側にはコイル436が設置されている。このコイル436は図示しない外部装置により通電・非通電を制御できるように電気的に接続されている。また、コイル436の内側には非磁性体のスリーブ437が配設されている。スリーブ437の内部には、可動鉄心であるプランジャ432が配置されている。
【0116】
シャフト431は非磁性体であり、下端に弁体430を備え、上端がプランジャ432に設けた挿通孔415の上底面415aに固着されると共に、第1段差部431aを備えている。第1段差部431aとシート面421aの周囲との間には比較的バネ力の小さな第2バネ427が配設されている。この第2バネ427はプランジャ432の頂部がスリーブ437の上面に当接する位置までシャフト431及びプランジャ432を付勢している。尚、この第2バネ427が本発明の補助部材に相当する。
【0117】
プランジャ432の頂部がスリーブ437の上面に当接した位置から下方向に移動すると、その途中で支持台428の円筒脚429の下端429bがガイド414の上端面414aに当たり、その後第1バネ426が挿通孔415の上底面415aによって圧縮されて更に下方向に移動可能なように構成されている。
【0118】
次にこの流量制御弁400の作動につき、上記第1実施例の流量制御弁と同様、ABS用の油圧回路の増圧制御弁として用いたときを例にあげて説明する。
上述した通り、ノーマルブレーキ時では、流量制御弁400は連通位置(非通電状態)にある。このとき、コイル436に電流が流れていないため吸引力が発生せず、図18に示すように、第2バネ427のバネ力により、プランジャ432の頂部がスリーブ437の上面に当接する位置で停止している。このとき、弁体430のリフト量(つまり弁体430とシート面421aとの間隔)は、既述の第2リフト量になるように設計されている。なお、このときの第1バネ426の長さは調整部材450の圧入量によって決められた長さとなっている。
【0119】
一方、ABS制御時では、コイル436に電流が流れて磁界が発生するため、図19に示すように、プランジャ432がガイド414に接近するような吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ426、427のバネ力等に打ち勝ってプランジャ432がシャフト431と共に下方に動き、弁体430がシート面421aに密着して上流側通路441と下流側通路443とを遮断する。このとき、支持台428の円筒脚429はガイド414の上端面414aに達しており、第1バネ426は、コイル436に通電したことにより発生する強力な吸引力のため、挿通孔415の上底面によって支持台428側に押圧され、調整部材450の圧入量によって決められたバネ長さよりも短くなっている。
【0120】
なお、調整部材450はプランジャ432と同様、磁性体であるので、コイル436に電流が流れることにより発生する吸引力が大きくなる。更に、調整部材450の下端面450bとプランジャ432の下端面432bとは略同一平面であるため、エアギャップ量が大きくなる箇所がないので大きな吸引力が得られる。この結果、確実に閉弁状態にすることができる。
【0121】
その後、図示しない電子制御装置が車輪のロック傾向が解消したと判断すると既述の通り、コイル436の通電、非通電を繰り返し行う。このとき、コイル436に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だけ切断されて上記吸引力が消失するため、図20に示すように、第1バネ426のバネ力等によって、弁体430、シャフト431及びプランジャ432は上昇する。即ち、第1バネ426は吸引力によって長さを圧縮されていた状態から拡張し、調整部材450によって決められたバネ長さに戻る。
【0122】
このとき、ブレーキ液は弁体430とシート面421aとの間を狭まり方向に流れるため、自閉力が弁体430に作用する。ここで、流量制御弁400では自閉力が第2バネ427のバネ力等よりも打ち勝つように設計されているため、弁体430はシート面421aを閉じようとする。しかし、調整部材450が支持台428と係合した後は、第1バネ426の弾性力によって、プランジャ432に設けた挿通孔415の上底面415aがそれ以上下降するのを阻止するように設計されている。即ち、第1バネ426は調整部材450によって決められたバネ長さを維持する。このため、弁体430は微小の第1リフト量Kで維持され、絞り状態で維持される。
【0123】
なお、この第1リフト量、第1バネ426のバネ力については第1実施例で既述したとおりである。また、流量制御弁400の組付工程については、上記第3実施例の流量制御弁300の組付工程に準じて行うことができる。以上の本実施例によれば、上記第3実施例と同様の効果を奏する。
【0124】
ところで、上記第4実施例において、流量制御弁400のABS制御時のリフト量を設定する上で、現実には計測誤差、組付寸法誤差等のバラツキにより、ABS制御時のリフト量のバラツキが発生する。このため、流量制御弁400のリフト量に対する開口面積(弁体430とシート面421aとの隙間)の変化量をできるだけ小さくするのが、同じ第1リフト量Kに設定する場合でも、結果として流量のバラツキを抑制することができるので好ましい。具体的には、図21に示すように、弁座穴421のシート面421aを、半球面状(直径d2)の弁体430の形状に沿って球面状に凹むように、且つシート径D(弁体430とシート面421aとが接触したときの接触部分である円の直径)が弁座穴421の穴径d1と一致するように形成すればよい。具体的には、球面弁座の曲率半径を弁体の半径と略同じだがやや大きくなるように設定すればよい。
【0125】
ここで、弁体のリフト量と弁の開口面積との関係を表すグラフを図22に示す。シート面421aが球面弁座の場合には、テーパ弁座と比べて弁体のリフト量に対する弁の開口面積の感度が低い。例えば、図25に示したように、同じリフト量であっても球面弁座の場合の方がテーパ弁座の場合に比べて開口面積が小さいため、リフト量に対する開口面積の感度が低いことがわかる。図22のグラフに戻り、ABS制御時のリフト量のバラツキ(弁の開口面積のバラツキ)を公差幅△A内に抑えるには、リフト量につき球面弁座の場合はK3〜K4、テーパ弁座の場合はK1〜K2に設定する必要がある。このとき、これらの値は下記数3に示す関係にある。
【0126】
【数3】
Figure 0004151091
【0127】
したがって、球面弁座の方がリフト量の公差を大きくとることができるため、計測誤差や組付寸法誤差等のバラツキによる、ABS制御時のリフト量のバラツキの発生を抑えることができる。その結果、ABS制御時の流量のバラツキを抑えることができ、的確な制御が可能となる。また、閉弁状態において吸引力を受けたとき、弁体と弁座とはそれら自身の弾性によって面接触するが、球面の場合の方がテーパの場合に比べて接触面積が大きくなるため、接触応力が緩和されて耐久性がよくなり、寿命が長くなるという効果が得られる。
【0128】
ところで、球面弁座の曲率半径を弁体の半径と略同じだがやや小さくなるように設定した場合、シート径Dは弁座穴径d1よりも大きな開口径と一致する(図26(b)参照)。ここで、閉弁状態において弁体430が流体から受ける力を考えると、シート径Dが弁座穴径d1と一致したときの方が受圧面積(シート径に依存する)が小さい分、流体から受ける力が小さくなる。このため弁体430と球面弁座であるシート面421との接触応力が緩和され、寿命が長くなるという効果が得られる。
【0129】
このような球面弁座につき、弁座穴径d1に対するボール径d2の比β(=d2/d1)は小さい方が実質のシート角度(弁体430と球面弁座であるシート面421aとが接触したときの接触部分における接線のなす角度、図21参照)が小さくなり、弁体のリフト量に対する開口面積の感度が下がり、好ましい。しかし、コイル436によって吸引力が付与されて弁体430と球面弁座であるシート面421aとが接触した場合を考慮すると、シート角度が小さいほど球面弁座に及ぼされる接触応力が増大する傾向にあるので、現実的にはβ=1.1〜2.2の範囲で選択するのが好ましく、β=1.1〜1.5の範囲で選択するのがより好ましい。
【0130】
なお、このような球面を有する弁体と球面弁座を備えた構成は、上記第1〜第3実施例に採用してもよいし、従来例である広がり流れの流量制御弁(図43参照)に採用してもよい。また、上記第3、第4実施例で採用した調整部材は、第1、第2実施例に採用してもよいし、従来例である広がり流れの流量制御弁に採用してもよい。
【0131】
[第5実施例]
図23は本実施例の流量制御弁の概略構成を表す断面図である。
ハウジング511には、流量制御弁500の下方に連通され、M/Cからブレーキ液を供給する供給通路512と、流量制御弁500の側方に連通され、W/Cにブレーキ液を排出する排出通路513が設けられている。ハウジング511の内部には、流量制御弁500のガイド514が油密に挿入されている。また、ガイド514とハウジング511との間には間隙部518が設けられ、この間隙部518にはオイルフィルタ570が設けられている。
【0132】
流量制御弁500のうち、磁性体であるガイド514の内部には、上下方向に貫通する挿通孔515が設けられている。この挿通孔515の下方にはシートバルブ520、上方には補助弁552及びプランジャ532を備えたシャフト531が配置され、シートバルブ520の上方空間が弁室525となっている。なお、シャフト531は大径シャフト531aと小径シャフト531bから構成され、小径シャフト531bの下方のテーパ状に絞られた端部に補助弁552が設けられている。
【0133】
シートバルブ520には、供給通路512と弁室525とを連通する上流側通路541と、弁室525からシートバルブ520の中心軸に沿うようにして下方向に延びたあと横方向に曲がって排出通路513に連通する下流側通路543とが設けられている。下流側通路543の弁室525側の開口部には、弁室525に向かって広がるテーパ状のシート面521aが形成されている。
【0134】
下流側通路543のうち横方向に曲がる屈曲位置には、下方向に延びる連通路542が設けられている。この連通路542は下流側通路543と上流側通路541とを連通し、その途中には下流側通路543から上流側通路541(又は供給通路512)に開弁可能なチェック弁580が設けられている。このチェック弁580は、下流側通路543の圧力が上流側通路541の圧力よりも高くなったときに、直ちに下流側通路543と上流側通路541を連通させてこの状態を解消させる役割を果たす。
【0135】
以上のように各油路が形成されているため、供給通路512から上流側通路541を経て弁室525に流入してきた流体は、主弁551とシート面521aとの隙間を通ってまたは主弁551と補助弁552との隙間から主弁551のオリフィス551aを通って、シート面521a、下流側通路543を経て、排出通路513へ流出する。
【0136】
弁室525には、バネ径の大きな第1バネ526(補助弁規制部材に相当)が配置されている。この第1バネ526の上端は大径シャフト531aの下端側に取り付けられ、第1バネ526の下端はシートバルブ520の上端側に取り付けられている。この第1バネ526は、シャフト531を絶えず上方に付勢している。
【0137】
また、弁室525には、略半球面の底部を有するコップ状に形成された主弁551が配置され、この主弁551はバネ径の小さな第2バネ527(主弁規制部材に相当)により絶えず上方へ付勢されている。また主弁551は、略半球面の底部がシート面521aに密着・離間可能となるように設けられ、更にその底部がシート面521aに密着した際に下流側通路543と主弁551の内部とを連通するオリフィス551aを有している。このオリフィス551aは、ABS制御における増圧量が所定量となるように、その流路面積、流路長が決められている。なお、シート面521aはテーパ面であってもよいし、球面であってもよい。
【0138】
補助弁552は、主弁551のオリフィス551aを開閉できるように略半球面状に形成されている。この補助弁552は、主弁551の内部を主弁551とは独立して上下動可能に設けられており、また、補助弁552と主弁551との隙間の断面積は、オリフィス551aの流路面積よりも十分大きくなるように設定されている。なお、オリフィス551aはストレート状の穴であってもよいが、補助弁552と接触する開口部分をテーパ面あるいは球面とするのが接触面積が大きくなるため好ましい。
【0139】
ガイド514の上方にはヨーク535が設けられ、このヨーク535の内側にはソレノイドとしてのコイル536が設置されている。このコイル536は図示しない外部装置により通電・非通電を制御できるように電気的に接続されている。また、コイル536の内側には非磁性体のスリーブ537が配設されている。
【0140】
スリーブ537の内部には、可動鉄心であるプランジャ532が配置されている。このプランジャ532の下端には凸部532aが形成されており、この凸部532aがガイド514の挿通孔515に挿入可能な構成となっている。シャフト531は、非磁性体であり、プランジャ532及び補助弁552と一体化されて上下に移動可能となっている。
【0141】
次にこの流量制御弁500の作動につき、第1実施例等と同様、ABS用の油圧回路の増圧制御弁として用いたときを例にあげて説明する。
上述した通り、ノーマルブレーキ時では、流量制御弁500は連通位置(非通電状態)にある。このとき、コイル536に電流が流れていないため吸引力が発生せず、図23に示すように、第1、第2バネ526、527は補助弁552および主弁551を上方に付勢して、そのバネ力によりプランジャ532の頂部をスリーブ537の上面に当接させている。このとき、主弁551のリフト量(つまり主弁551とシート面521aとの間隔)は、既述の第2リフト量になるように設計されている。このため、ブレーキ液が弁室525からシート面521aに流れ込んでも主弁551に自閉力が働くことはない。
【0142】
一方、ABS制御時では、コイル536に電流が流れて磁界が発生するため、図24に示すように、プランジャ532がガイド514に接近するような吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ526、527のバネ力等に打ち勝ってプランジャ532がシャフト531と共に下方に動き、補助弁552が主弁551のオリフィス551aを閉鎖すると共に主弁551がシート面521aに密着して上流側通路541と下流側通路543とを遮断する。より詳しくは、図23のノーマルブレーキ状態からシャフト531が下方に移動し始めると、補助弁552が第1バネ526に抗して下降すると共に主弁551が補助弁552によって第2バネ527に抗して下降していく。つまり、第1バネ526は補助弁552の全ストローク区間で補助弁552にバネ力を作用させる。このため、シャフト531を吸引するのに必要な吸引力特性は図25の破線で示すグラフとなる。
【0143】
ここで、プランジャ532は下端面に凸部532aが形成されているため、磁束はこの凸部532aの外周面にて半径方向(つまり補助弁552の移動方向と略直交する方向)を向いている。この場合、プランジャ532の吸引力特性は吸引ギャップ量にかかわらず略フラットな特性になる(図25の実線を参照)。なお、保持位置近傍では半径方向に加えて軸方向の磁束も加わるためやや吸引力が上昇するが、主弁551がシート面521aに滑り込む際にはバネ力以外に摩擦力が作用し、上記吸引力の上昇分はこの摩擦力に抗する力となるので、好適である。補助弁552がオリフィス551aを閉鎖し且つ主弁551がシート面521aを閉鎖したとき、補助弁552は図25の保持位置に配置されるが、この保持位置におけるプランジャ532の吸引力とオリフィス551aを閉じるのに必要な吸引力との差が必要以上に大きくならない。このため、保持位置における補助弁552とオリフィス551aとの接触面圧が必要以上に大きくならず、補助弁552及びオリフィス551aの耐久性が向上するというメリットが得られる。これに対して、例えば第1実施例で使用したような通常のプランジャ(平面プランジャ)を用いた場合には磁束は軸方向(つまり補助弁552の移動方向)を向いているため、吸引力は吸引ギャップ量に反比例する(図25の点線を参照)。このため上記接触面圧は上記凸部532aを有するプランジャ532を用いた場合に比べてかなり大きくなる。
【0144】
その後、図示しない電子制御装置が車輪のロック傾向が解消したと判断すると既述の通り、コイル536の通電、非通電を繰り返し行う。このとき、コイル536に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だけ切断されて上記吸引力が消失するため、図26に示すように、第1バネ526のバネ力によって、補助弁552、シャフト531及びプランジャ532は上昇し、プランジャ532はスリーブ537の内部上面に当接する。しかし、主弁551は、主弁551に及ぼされる力すなわち(上流側通路と下流側通路との差圧)×(受圧面積)によって閉じたままである。なお、ここでは主弁551とシート面521aとの隙間がゼロのため狭まり流れが生じていないが、主弁551に及ぼされる力は自閉力の最大値と一致する。
【0145】
このとき補助弁552のリフト量Kは、オリフィス551aの流路面積(断面積)よりもオリフィス551aと補助弁552との開口面積(隙間面積)の方が十分大きくなるような適当な値に設定されている。このため、増圧量はオリフィス551aの流路面積、流路長によって決定される。したがって、この補助弁552のリフト量Kは精度良く設定する必要がない。
【0146】
また、第1バネ526が補助弁552に作用するバネ力は、下記数4に示すようにこの流量制御弁500を流れるブレーキ液のライン圧(最大圧力値)に、受圧面積すなわち補助弁552の断面積を乗じた値以上に設定されている。
【0147】
【数4】
Figure 0004151091
【0148】
弁室525内のブレーキ液の圧力による補助弁552を閉じる力の最大値は、ブレーキ液のライン圧(最大圧力値)に補助弁552の断面積を乗じた値であるが、第1バネ525が補助弁552に作用するバネ力はこの値以上に設定されているため(上記数4参照)、増圧状態のときに補助弁552がオリフィス551aを閉じてしまうおそれがない。
【0149】
以上詳述したように、本実施例によれば、オリフィス551aによって増圧量を調節するように構成したため、増圧時において補助弁552のリフト量Kを精度良く設定する必要がなく、この結果、流量制御弁500を安価に製造できるという効果が得られる。
【0150】
また、本実施例では上記のように上流側通路541を下から上向きに、下流側通路543を横向きに配設したため、従来の油路構成をそのまま適用できる。そのうえ、上流側通路541がシートバルブ520の上面側と下面側とを連通しているため、上流側通路541と弁室525との間で圧力差が生じることがなく、シートバルブ520がその圧力差による力を受けることもないので、シートバルブ520の抜け落ちを考慮して高い圧入強度を維持すするための不必要な圧入寸法精度も不要となる。
【0151】
更に、チェック弁580を下流側通路543と上流側通路541(又は供給通路512)との間に設けたため、チェック弁580を内蔵しているにもかかわらず体格が大きくなることがなく、コンパクトに構成できる。
更に又、第1バネ525のバネ力は上記数4のように設定されているため、増圧状態のときに補助弁552がオリフィス551aを閉じてしまうおそれがない。
【0152】
なお、プランジャ532は凸部532aを有する代わりに、図27に示すようなテーパ部532bを有していてもよく(便宜上、テーパプランジャと称する)、この場合にはガイド514の挿通孔515の開口はこのテーパ部532bに略一致する形状に形成される。このテーパプランジャではコイル536に通電されると発生する磁束の方向はシャフト531の移動方向と斜めに交差する方向になる。この場合、図28に示すようにテーパプランジャの吸引力特性は吸引ギャップ量が大きくなるにしたがってやや小さくなる傾向にあるため、必要吸引力特性と類似の傾向にあり、相性がよい。
【0153】
[第6実施例]
図29は本実施例の流量制御弁の概略構成を表す断面図である。
第6実施例の流量制御弁のうち第5実施例と同様の構成要素については同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0154】
流量制御弁600の弁室525には、バネ径の大きな第1バネ626が配置されている。この第1バネ626は、シャフト531を挿通している略リング状のストッパ628を弁室525の内部上面に当接するように付勢している。このストッパ628は、シャフト531の段差部633と係合可能となるように設けられている。このため、プランジャ532の頂部がスリーブ537の上面に当接した位置から下方向に摺動すると、その途中でシャフト531の段差部633がストッパ628と係合し、その後ストッパ628は段差部633と共に下方向に移動する。
【0155】
次にこの流量制御弁600の作動につき、第1実施例等と同様、ABS用の油圧回路の増圧制御弁として用いたときを例にあげて説明する。
上述した通り、ノーマルブレーキ時では、流量制御弁600は連通位置(非通電状態)にある。このとき、コイル536に電流が流れていないため吸引力が発生せず、図29に示すように、第2バネ527は補助弁552ごと主弁551を上方に付勢して、そのバネ力によりプランジャ532の頂部をスリーブ537の上面に当接させている。このとき、主弁551のリフト量(つまり主弁551とシート面521aとの間隔)は、既述の第2リフト量になるように設計されている。このため、ブレーキ液が弁室525からシート面521aに流れ込んでも主弁551に自閉力が働くことはない。
【0156】
一方、ABS制御時では、コイル536に電流が流れて磁界が発生するため、図30に示すように、プランジャ532がガイド514に接近するような吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ626、527のバネ力等に打ち勝ってプランジャ532がシャフト531と共に下方に動き、補助弁552が主弁551のオリフィス551aを閉鎖すると共に主弁551がシート面521aに密着して上流側通路541と下流側通路543とを遮断する。このとき、コイル536に通電したことにより発生する強力な吸引力のため、シャフト531の段差部633がストッパ628を介して第1バネ626を押圧する。より詳しくは、図29のノーマルブレーキ状態からシャフト531が下方に移動し始めると、まず補助弁552が主弁551をバネ力の弱い第2バネ527に抗して押し下げていき、段差部633がストッパ628に係合した後は補助弁552はバネ力の強い第1バネ626に抗して更に主弁551を押し下げていく。このため、シャフト531を吸引するのに必要な吸引力特性は図31の点線で示すグラフとなる。
【0157】
ここで、プランジャ532の吸引力特性は上述の通り、略フラットな特性となる。第6実施例では、第5実施例と比較して補助弁552の動作開始当初は第1バネ626のバネ力が作用しない分吸引力に十分な余裕がある(図31の初期位置における、プランジャの吸引力と必要吸引力との差が大きい)ため、応答性に優れるという利点がある。また、第5実施例と同様、補助弁552がオリフィス551aを閉鎖したときの補助弁552の接触面圧が必要以上に大きくならず、補助弁552及びオリフィス551aの耐久性が向上するというメリットが得られる。
【0158】
その後、図示しない電子制御装置が車輪のロック傾向が解消したと判断すると既述の通り、コイル536の通電、非通電を繰り返し行う。このとき、コイル536に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だけ切断されて上記吸引力が消失するため、図32に示すように、第1バネ626のバネ力等によって、補助弁552、シャフト531及びプランジャ532は上昇し、増圧位置(図32の位置)に配置される。しかし、主弁551は、主弁551に及ぼされる力すなわち(上流側通路と下流側通路との差圧)×(受圧面積)によって閉じたままである。なお、ここでは主弁551とシート面521aとの隙間がゼロのため狭まり流れが生じていないが、主弁551に及ぼされる力は自閉力の最大値と一致する。
【0159】
ここで、流量制御弁500では、弁室525の内部上面に当接したストッパ628にシャフト531の段差部633が係合した状態において、補助弁552のリフト量Kはオリフィス551aの流路面積(断面積)よりもオリフィス551aと補助弁552との開口面積(隙間面積)の方が十分大きくなるような適当な値に設定されている。このため、増圧量はオリフィス551aの流路面積、流路長によって決定される。したがって、この補助弁552のリフト量Kは精度良く設定する必要がない。
【0160】
以上詳述したように、本実施例によれば、第5実施例と同様の効果が得られるほか、ABS制御時の補助弁552の応答性に優れるという効果が得られる。
なお、プランジャ532は凸部532aを有する代わりに、図27のようなテーパプランジャを採用してもよい。また、図33に示すような下端面が平面である平面プランジャ632を採用してもよい。この場合、平面プランジャ632の下端面とガイド514の上端面との間に発生する磁束の方向はシャフト531の移動方向(つまり補助弁552の移動方向)と一致するため、吸引力は吸引ギャップ量に反比例する(図31の点線を参照)。つまり、平面プランジャ632の吸引力特性は吸引ギャップ量が減少するにつれて増加するが、この傾向は第6実施例の必要吸引力特性(図31の破線を参照)と類似している。このため、補助弁551の移動途中で第1バネ626のバネ力が作用する構成は、平面プランジャとの相性がよい。また、図27のようなテーパプランジャを採用してもよい。
【0161】
上記第5、第6実施例では、以下に示す▲1▼〜▲3▼の構成を採用してもよい。
▲1▼図26又は図32のような増圧状態において、オリフィス551aからブレーキ液が下流側通路543へ流出したとき、主弁内部551inの圧力が低下すると主弁551が開放する方向(上方向)の力が作用するおそれがあるため、主弁内部551inと弁室525とを積極的に連通させて主弁内部551inの圧力低下を防止することが好ましい。例えば、図34に示すように主弁551の側面に主弁内部551inと弁室525とを連通させる導通穴553を1つ又は複数設けてもよい。あるいは、図35に示すように小径シャフト531bを面取り形状(例えば2面幅)にして、この面取り部分と主弁551との間隙を通じて主弁内部551inと弁室525とを連通させてもよい。なお、図35は図34のA−A断面図である。
【0162】
▲2▼上記第5、第6実施例では、上流側通路541は、シートバルブ520に上下方向に貫通する穴を開けることにより形成したが、図36に示すようにシートバルブ520の外周面に少なくとも1つの連通溝を設けて形成してもよい。この場合、シートバルブの穴加工が不要になり、例えば冷間鍛造等の加工で外周面と同時にこの連通溝が形成できるという利点がある。この連通溝は、図36(b)に示すように丸溝であってもよいし、図36(c)に示すように面取り形状であってもよいし、図36(d)に示すように、2面幅形状であってもよい。2面幅形状は通路面積を大きく取れるので好ましい。
【0163】
▲3▼球面を有する補助弁552の直径はオリフィス径に対して、0.05〜0.2mm(あるいは1.1〜1.7倍)の範囲で大きくなるように設定するのが好ましい。補助弁552の直径が下限値未満の場合、寸法精度を高くしないと補助弁552がオリフィス551a内に入り込むおそれがあるため好ましくない。一方、上限値を越えた場合、補助弁552あるいはオリフィス551aが経時的に摩耗したとき受圧面積が大きくなり過ぎて補助弁552にかかるブレーキ液の圧力によって本来開いているべき補助弁552が閉じてしまうおそれがあるため好ましくなく、また、この点を考慮して第1バネ526(又は626)のバネ力を強くするとそれに応じてコイルの巻き数が増え、コイル径も大きくなるため好ましくない。
【0164】
なお、上記第1〜第4実施例においても凸部を有するプランジャ(図23参照)やテーパ面を有するプランジャ(図27参照)を用いてもよく、この場合も弁体及びシート面の接触面圧が軽減されるため耐久性が向上するという効果が得られる。また、上記第3、第4実施例においても、第5、第6実施例のように上流側通路及び下流側通路を備えたシートバルブをガイドにはめ込む構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の流量制御弁の概略構成を表すと共に連通位置(非通電状態)を表す断面図である。
【図2】 ABS用の油圧回路図である。
【図3】 M/C油圧とリフト量との関係、及び、弁体が自閉を開始するW/C油圧とリフト量との関係を表すグラフである。
【図4】 第1実施例の流量制御弁の遮断位置(通電状態)を表す断面図である。
【図5】 第1実施例の流量制御弁の絞り状態を表す断面図である。
【図6】 狭まり流れの場合と広がり流れの場合の各々につき、弁リフト量と弁への作用力との関係を表すグラフである。
【図7】 第1リフト量における差圧と増圧量との関係を表すグラフである。
【図8】 (a)は第1実施例の変形例の要部断面図、(b)は比較例の要部断面図である。
【図9】 第2実施例の流量制御弁の概略構成を表すと共に連通位置(非通電状態)を表す断面図である。
【図10】 第2実施例の流量制御弁の遮断位置(通電状態)を表す断面図である。
【図11】 第2実施例の流量制御弁の絞り状態を表す断面図である。
【図12】 第2実施例の流量制御弁がチェック弁として機能したときの様子を表す断面図である。
【図13】 第2実施例の変形例の断面図である。
【図14】 第3実施例の流量制御弁の概略構成を表すと共に連通位置(非通電状態)を表す断面図である。
【図15】 第3実施例の流量制御弁の遮断位置(通電状態)を表す断面図である。
【図16】 第3実施例の流量制御弁の絞り状態を表す断面図である。
【図17】 シャフト変位量と荷重との関係を表すグラフである。
【図18】 第4実施例の流量制御弁の概略構成を表すと共に連通位置(非通電状態)を表す断面図である。
【図19】 第4実施例の流量制御弁の遮断位置(通電状態)を表す断面図である。
【図20】 第4実施例の流量制御弁の絞り状態を表す断面図である。
【図21】 球面弁座の説明図である。
【図22】 球面弁座とテーパ弁座に関し、弁体のリフト量と弁の開口面積との関係を表すグラフである。
【図23】 第5実施例の流量制御弁の概略構成を表すと共に連通位置(非通電状態、ノーマルブレーキ状態)を表す断面図である。
【図24】 第5実施例の流量制御弁の保持位置(通電状態)を表す断面図である。
【図25】 第5実施例の吸引ギャップ量と吸引力との関係を表すグラフである。
【図26】 第5実施例の流量制御弁の増圧位置(絞り状態すなわち増圧状態)を表す断面図である。
【図27】 第5実施例の変形例の説明図である。
【図28】 第5実施例の変形例の吸引ギャップ量と吸引力との関係を表すグラフである。
【図29】 第6実施例の流量制御弁の概略構成を表すと共に連通位置(非通電状態、ノーマルブレーキ状態)を表す断面図である。
【図30】 第6実施例の流量制御弁の保持位置(通電状態)を表す断面図である。
【図31】 第6実施例の吸引ギャップ量と吸引力との関係を表すグラフである。
【図32】 第6実施例の流量制御弁の増圧位置(絞り状態すなわち増圧状態)を表す断面図である。
【図33】 平面プランジャの説明図である。
【図34】 主弁内部と弁室とを連通する構造の説明図である。
【図35】 図34のA−A断面に相当する、主弁内部と弁室とを連通する構造の説明図である。
【図36】 連通溝を有するシートバルブの説明図であり、(a)は縦断面図、(b)〜(d)はB−B断面図である。
【図37】 補助弁の直径とオリフィス径との関係を表す説明図である。
【図38】 弁体のリフト量と自閉力の大きさとの関係を表す説明図である。
【図39】 自閉差圧と弁体のリフト量との関係を表すグラフである。
【図40】 球面弁座とテーパ弁座に関し、リフト量に対する開口面積の感度を表す説明図である。
【図41】 シート径と弁座穴径の関係による受圧面積の変化を表す説明図である。
【図42】 従来の流量制御弁の説明図である。
【図43】 従来の流量制御弁の説明図である。
【符号の説明】
2・・・減圧制御弁、4・・・リザーバ、6・・・ポンプ、10・・・流量制御弁、11・・・ハウジング、12・・・供給通路、13・・・排出通路、14・・・ガイド、17・・・上流側通路、18・・・間隙部、20・・・シートバルブ、21・・・下流側通路、21a・・・シート面、25・・・弁室、26・・・第1バネ、27・・・第2バネ、28・・・ストッパ、30・・・弁体、31・・・シャフト、32・・・プランジャ、33・・・凸部、35・・・ヨーク、36・・・コイル、37・・・スリーブ、38・・・コアステータ。

Claims (20)

  1. 流体が上流側通路から弁室を経て下流側通路に至るように形成された流路と、
    該弁室内にて前記下流側通路の開口部を開放又は閉鎖する弁体と、
    閉弁状態から開弁状態に移行する際、前記上流側通路から流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、前記弁体を前記開口部から離間させる方向の弾性力によって前記弁体と前記開口部との間隙が微小の第1リフト量となるように前記弁体を維持する弾性部材を備えた弁体維持機構と
    前記弁体が前記開口部を開放するのを弾性力により補助する補助部材と、
    通電されると、前記弾性部材および前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にするソレノイドコイルと
    を備えた流量制御弁であって、
    前記ソレノイドコイルを通電状態から非通電状態に切り替えると、閉弁状態となっていた前記弁体を、前記弾性部材および前記補助部材が前記開口部から離間させる方向へ移動させ、その移動に伴って生じる前記弁体と前記開口部との隙間を前記流体が通過することによって前記自閉力が生じ、前記自閉力、前記弾性部材の弾性力、および前記補助部材の弾性力が前記弁体に作用する間は、前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量に維持される一方、前記弁体に作用する前記自閉力が前記補助部材の弾性力よりも弱まった場合には、前記補助部材の弾性力で前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量よりも拡大して前記弁体が開弁状態になることを特徴とする流量制御弁。
  2. 請求項1記載の流量制御弁であって、
    前記弾性部材により付勢され、前記弁体または前記弁体が有する係合部が係合する被係合部を備え、
    前記弁体または前記係合部が前記被係合部に係合することによって、前記弁体は、前記弁体の前記開口部を閉鎖する方向への移動を規制されることを特徴とする流量制御弁。
  3. 請求項1又は2記載の流量制御弁であって、
    前記自閉力が前記弁体に作用し始めるときの前記上流側通路の流体圧力と前記下流側通路の流体圧力との差圧(以下「自閉差圧」という)とリフト量との関係には、少なくとも、リフト量がL0未満の領域であって自閉差圧がP0で略一定である自閉差圧の小さな第1領域と、リフト量がL0を超える領域であって自閉差圧がP0から増大する自閉差圧の大きな第2領域とが存在し、前記第1リフト量はこのうちの第1領域の所定のリフト量に設定されていること
    を特徴とする流量制御弁。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の流量制御弁であって、
    前記弁体維持機構は、(弾性力/弁体の受圧面積)が自閉差圧の最大値以上に設定されていることを特徴とする流量制御弁。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の流量制御弁であって
    通常の開弁時には、前記弁体は前記補助部材によって前記自閉力が作用しないほど大きな第2リフト量に維持される
    ことを特徴とする流量制御弁。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の流量制御弁であって、
    前記上流側通路及び前記下流側通路を内蔵するガイドと、前記ガイドが油密に圧入されたハウジングとを備え、
    前記ガイドと前記ハウジングとの間隙に前記下流側通路から前記上流側通路に向かって開弁するチェック弁を前記ガイドの側面に沿って設けたことを特徴とする流量制御弁。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の流量制御弁であって、
    前記弁体は、閉弁時において、前記上流側通路の流体圧力によって前記下流側通路の開口部を閉鎖するが、前記下流側通路の流体圧力が前記上流側通路の流体圧力よりも大きくなったときには前記下流側通路の開口部を開放してチェック弁としての機能を果たすことを特徴とする流量制御弁。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の流量制御弁であって、
    前記上流側通路は前記弁室の下方から上方に延びて該弁室の底面に開口するように形成され、前記下流側通路は前記弁室の底面に設けられた前記開口部から下方に延びたあと横方向に屈曲した形状に形成されていることを特徴とする流量制御弁。
  9. 請求項8記載の流量制御弁であって、
    前記下流側通路は、前記弁室の底面に設けられた前記開口部から下方に延びたあと、横方向に屈曲する流出用経路と前記上流側通路に合流する合流経路とに分岐され、該合流経路には前記流出用経路から前記上流側通路に向かって開弁するチェック弁が設けられていることを特徴とする流量制御弁。
  10. 流体が上流側通路から弁室を経て下流側通路に至るように形成された流路と、
    該弁室内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいずれかの開口部を開放又は閉鎖する弁体と、
    閉弁状態から開弁状態に移行する際、前記上流側通路から流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、前記弁体を前記開口部から離間させる方向の弾性力によって前記弁体と前記開口部との間隙が所定の微小リフト量となるように前記弁体を維持する弾性部材を備えた弁体維持機構と
    前記弁体が前記開口部を開放するのを弾性力により補助する補助部材と、
    通電されると、前記弾性部材および前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にするソレノイドコイルと
    を備えた流量制御弁であって、
    前記弁体維持機構は
    前記弾性部材によって維持される前記弁体のリフト量を所定の第1リフト量となるように調整する調整部材備え
    前記ソレノイドコイルを通電状態から非通電状態に切り替えると、閉弁状態となっていた前記弁体を、前記弾性部材および前記補助部材が前記開口部から離間させる方向へ移動させ、その移動に伴って生じる前記弁体と前記開口部との隙間を前記流体が通過することによって前記自閉力が生じ、前記自閉力、前記調整部材により調整された前記弾性部材の弾性力、および前記補助部材の弾性力が前記弁体に作用する間は、前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量に維持される一方、前記弁体に作用する前記自閉力が前記補助部材の弾性力よりも弱まった場合には、前記補助部材の弾性力で前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量よりも拡大して前記弁体が開弁状態になることを特徴とする流量制御弁。
  11. 請求項10記載の流量制御弁であって、
    前記弁室を備えたガイドと、
    前記ガイドに対向して設けられ、該ガイドに対して接近離間可能なプランジャと、
    前記ガイドに設けられ、前記弾性部材を内包すると共に、該弾性部材を前記プランジャ側から前記開口部側に押圧する筒状の前記調整部材が圧入された挿通孔と、
    一端に前記弁体、他端に前記プランジャを有し、前記筒状の調整部材に挿通されたシャフト
    を備えたことを特徴とする流量制御弁。
  12. 請求項11記載の流量制御弁であって、
    前記弾性部材により付勢され、前記弁体または前記弁体が有する係合部が係合する被係合部を備え、
    前記弁体または前記係合部が前記被係合部に係合することによって、前記弁体は、前記弁体の前記開口部を閉鎖する方向への移動を規制され、
    前記調整部材は、前記ガイドに対する前記被係合部の位置を調整することを特徴とする流量制御弁。
  13. 請求項11記載の流量制御弁であって、
    前記ガイド、前記プランジャ及び前記調整部材はいずれも磁性体であり、ソレノイドコイルに通電されると、前記ガイド及び前記調整部材は前記プランジャを吸引して前記弾性部材及び前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にすることを特徴とする流量制御弁。
  14. 請求項13記載の流量制御弁であって、
    前記ガイドのうち前記プランジャに対向する面と、前記調整部材のうち前記プランジャに対向する面とは、略同一平面をなすことを特徴とする流量制御弁。
  15. 請求項10記載の流量制御弁であって、
    前記開口部を備えたガイドと、
    前記ガイドに対向して設けられ、該ガイドに対して接近離間可能なプランジャと、
    前記プランジャに設けられ、前記弾性部材とこの弾性部材を閉弁時に前記開口部から所定距離隔てた位置にて支持する支持台とを内包すると共に、前記弾性部材を前記ガイド側から前記支持台を介して押圧する前記調整部材が圧入された挿通孔と、
    一端に前記弁体を有し、前記筒状の調整部材に挿通された状態で他端が前記プランジャに固着されたシャフト
    を備えたことを特徴とする流量制御弁。
  16. 請求項15記載の流量制御弁であって、
    前記支持台に係合された前記調整部材によって調整された前記弾性部材の弾性力の作用により、前記弁体は前記開口部を閉鎖する方向への移動を規制される
    ことを特徴とする流量制御弁。
  17. 請求項15記載の流量制御弁であって、
    前記ガイド、前記プランジャ及び前記調整部材はいずれも磁性体であり、ソレノイドコイルに通電されると、前記ガイドは前記プランジャ及び前記調整部材を吸引して前記弾性部材及び前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にすることを特徴とする流量制御弁。
  18. 請求項17記載の流量制御弁であって、
    前記プランジャのうち前記ガイドに対向する面と、前記調整部材のうち前記ガイドに対向する面とは、略同一平面をなすことを特徴とする流量制御弁。
  19. 流体が上流側通路から弁室を経て下流側通路に至るように形成された流路と、
    該弁室内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいずれかの開口部を開放又は閉鎖する弁体と、
    閉弁状態から開弁状態に移行した時、前記上流側通路から流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、前記弁体を前記開口部から離間させる方向の弾性力によって前記弁体と前記開口部との間隙が所定の微小リフト量となるように前記弁体を維持する弾性部材を備えた弁体維持機構と
    前記弁体が前記開口部を開放するのを弾性力により補助する補助部材と、
    通電されると、前記弾性部材および前記補助部材の付勢に抗して前記弁体を閉弁状態にするソレノイドコイルと
    を備えた流量制御弁であって、
    前記弁体は球面を持つ形状に形成され、前記開口部には前記弁体の球面の曲率半径と略一致する球面弁座が形成され、前記弁体と前記球面弁座とが接触したときの接触部分である円の直径即ちシート径は前記球面弁座の穴径と略一致し、
    前記ソレノイドコイルを通電状態から非通電状態に切り替えると、閉弁状態となっていた前記弁体を、前記弾性部材および前記補助部材が前記開口部から離間させる方向へ移動させ、その移動に伴って生じる前記弁体と前記開口部との隙間を前記流体が通過することによって前記自閉力が生じ、前記自閉力、前記弾性部材の弾性力、および前記補助部材の弾性力が前記弁体に作用する間は、前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量に 維持される一方、前記弁体に作用する前記自閉力が前記補助部材の弾性力よりも弱まった場合には、前記補助部材の弾性力で前記弁体と前記開口部との間隙が前記第1リフト量よりも拡大して前記弁体が開弁状態になることを特徴とする流量制御弁。
  20. 請求項19記載の流量制御弁であって、
    前記球面弁座の穴径に対する前記弁体の球の直径の比は1.1〜1.5の範囲内であることを特徴とする流量制御弁。
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