JPH1172176A - 流量制御弁 - Google Patents

流量制御弁

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JPH1172176A
JPH1172176A JP30756197A JP30756197A JPH1172176A JP H1172176 A JPH1172176 A JP H1172176A JP 30756197 A JP30756197 A JP 30756197A JP 30756197 A JP30756197 A JP 30756197A JP H1172176 A JPH1172176 A JP H1172176A
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早川  秀幸
Yozo Mashima
要三 間嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 閉弁状態から開弁状態に移行する際の絞り状
態を簡易な構成で実現でき、下流側圧力が低くなっても
絞り状態を維持可能な流量制御弁の提供。 【解決手段】 流量制御弁10は、通常ブレーキ時は第2
バネ27により必要なリフト量を保ち、弁を全開状態にし
ておき、電磁力によってボール状弁体30がシート面22a
に密着していた遮断状態において、電磁力が消失する
と、第1バネ26のバネ力などによって弁体30は上昇す
る。このとき、ブレーキ液は弁体30とシート面21aとの
間を狭まり方向(弁が閉じる方向)に流れ且つリフト量
が小さいため、大きな自閉力が弁体30に作用する。この
自閉力は第2バネ27のバネ力よりも打ち勝つように設計
されているため、弁体30はシート面21aを閉じようとす
る。しかし、シャフト31の凸部33がストッパ28と係合し
た状態では、第1バネ26の弾性力によってシャフト31が
それ以上下降するのを阻止するように設計されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流量制御弁に関
し、特にABS用の油圧回路の増圧制御弁に適する流量
制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ABS制御において、ホイールシ
リンダ(以下「W/C」という)の油圧をきめ細かく制
御したり、作動音の低減のために通常ブレーキの弁の流
路面積に対して、弁体のリフト量を可変にし、ABS制
御時の流路面積を小さくすることが提案されている。
【0003】例えば、特開平3−13485号に開示さ
れた流量制御弁は、図42に示すように、制御油圧ポー
ト101から調節用ピストン102のヘッド部にマスタ
シリンダ(以下「M/C」という)の油圧が与えられて
おり、閉弁状態から開弁状態に移行する時のようにM/
C油圧がW/C油圧より十分に高いとき、調節用ピスト
ン102がショルダ部103まで押下されてストップす
る。この調節用ピストン102がストップ位置にあると
き、ピストンロッド104が弁体105の正常の開放ス
トロークを減少させる(即ち弁体のリフト量を減少させ
る)ため、弁は全開せず流路面積が小さく制限され、増
圧量が調節される。
【0004】また、例えば、図43に示すように、弁体
130と円錐テーパ状のシート面122aを有するシー
トバルブ120とを備えた流量制御弁も開発されてい
る。この流量制御弁では、弁体が上流側通路の開口部で
あるシート面122aを閉鎖した状態から開放状態にな
ったとき、バネ力及び油圧によって弁体130は上昇す
る。このとき、シート面122aと弁体130との隙間
を流れるブレーキ油は流速が速いため、弁体130の下
面は低圧領域となり、これにより弁体130にはシート
面122aに向かう吸引作用が働く。このため、ボール
状弁体130はシート面122aを微小に開いたいわゆ
る絞り状態を維持する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図42
のような流量制御弁では、制御油圧ポート101や調節
用ピストン102が必要であり、また調節用ピストン1
02のシール構造が必要になり、また、調節用ピストン
102の作動のためのポート101が必要になり、その
ための油路が必要になる等、構造が複雑であった。
【0006】一方、図43のような流量制御弁では、W
/CとM/Cの差圧がある程度ないと上述の吸引作用が
働かず、また、W/C油圧が小さすぎると、弁室125
内の圧力つまり弁体130の周りの圧力の低下が大きく
なり、この結果上述の吸引作用が働かない。このように
吸引作用が働かない場合には、弁体130はシート面1
22aから離間してしまい、増圧量が増大する場合があ
り、従来はこのような場合には数msの増圧時間を短縮
することにより増圧量を調整していた。
【0007】本発明の第1は上記課題に鑑みなされたも
のであり、閉弁状態から開弁状態に移行する際の絞り状
態を簡易な構成で実現でき、M/CとW/Cの差圧が小
さくても、また下流側の流体圧力が低くても、絞り状態
を維持可能な流量制御弁を提供することを目的とする。
【0008】ところで、ABS制御時の流路面積を小さ
くするためのリフト量は、ABS制御の増圧時に弁を通
過していく流体の流量(即ち増圧量)のバラツキに影響
を与えるため、このリフト量のバラツキを抑えることが
要求される。つまり、増圧量のバラツキを抑えるには、
ABS制御時のリフト量の公差を10数μmで調整する
ことが要求される。
【0009】この点につき、図42の流量制御弁では、
調節用ピストン102とショルダ部103によってAB
S制御時のリフト量が決まるため、このリフト量の公差
を10数μmで調整するには、これらの部品の寸法公差
を非常に小さくする必要があり、現実的には非常に困難
である。
【0010】本発明の第2及び第3は上記課題に鑑みな
されたものであり、開弁状態から閉弁状態に移行する際
の弁体のリフト量を所定の微小リフト量に調節すること
が容易な流量制御弁を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題
を解決するため、本発明の第1としての流量制御弁は、
請求項1に記載した通り、流体が上流側通路から弁室を
経て下流側通路に至るように形成された流路と、該弁室
内にて前記下流側通路の開口部を開放又は閉鎖する弁体
と、閉弁状態から開弁状態に移行する際、前記上流側通
路から流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を
通過することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖す
る方向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、弾
性力によって前記弁体と前記開口部との間隙が微小の第
1リフト量となるように前記弁体を維持する弁体維持機
構とを備えたことを特徴とする。
【0012】本発明の流量制御弁では、弁体は下流側通
路の開口部を開閉するように構成されているため、流体
流れは弁体が自閉する方向(この方向を「狭まり流れ」
という)である。従来、このような狭まり流れを流量制
御弁に適用するのは、弁体が閉じるおそれがあることが
懸念されていたが、本発明では狭まり流れの性質を積極
的に流量制御弁に適用することにより、種々の課題を解
決したものである。
【0013】かかる流量制御弁では、通常、開弁して全
開状態になると弁体は下流側通路の開口部から大きく離
間するように構成されている。そして、一旦閉状態にな
り、この閉状態から開状態に移行する際、上流側通路か
ら流出した流体が弁体と下流側通路の開口部との隙間を
通過すると、それにより弁体には下流側通路の開口部を
閉鎖する方向の自閉力が作用する。しかし、弁体維持機
構(例えばバネ、クッション等の弾性体)が、弁体と下
流側通路の開口部との間隙が微小となる第1リフト量で
弁体を維持する。すなわち、弁体は下流側通路の開口部
を閉鎖することなく、弁体に作用する自閉力と弁体維持
機構の弾性力とによって、所定の第1リフト量で維持さ
れるのである。
【0014】また、弁体に自閉力が作用するか否かは、
差圧(つまり上流側通路の流体圧力と下流側通路の流体
圧力の差)とリフト量とによって決まる。従って、下流
側通路の圧力が著しく低く(例えば0MPa)なった場
合であっても、上流側通路の圧力がある程度あれば自閉
するための差圧が生じ、本発明の作用を十分に奏する。
【0015】このように、本発明によれば、流体の流れ
方向を通常と逆の狭まり流れを採用しバネ等の弁体維持
機構を設けるという簡易な構成により、閉弁状態から開
弁状態に移行する際の絞り状態を実現できる。しかも下
流側の流体圧力が著しく低くなったとしても絞り状態を
維持することができる。
【0016】本発明においては、請求項2に記載したよ
うに、前記弁体維持機構は、閉弁状態から開弁状態に移
行する際に、前記弁体を前記開口部から離間させる方向
の弾性力によって前記自閉力と拮抗させて前記弁体を所
定の第1リフト量で維持する弾性部材を備えて構成して
もよい。この場合、例えばコイルバネなどの弾性部材に
より弁体維持機構を構成できるため、簡易な構成により
本発明の効果を得ることができる。
【0017】本発明においては、請求項3に記載したよ
うに、自閉差圧とリフト量との関係には、少なくとも、
リフト量がL0 未満の領域であって自閉差圧がP0 で略
一定である自閉差圧の小さな第1領域と、リフト量がL
0 以上の領域であって自閉差圧がP0 から増大する自閉
差圧の大きな第2領域とが存在し、前記第1リフト量は
このうちの第1領域の所定のリフト量に設定されている
ことが好ましい。ここで、本発明者が行った実験によれ
ば、弁体を弱いバネで支え、弁体と下流側通路の開口部
との隙間に流体を流す(つまり狭まり方向に流体を流
す)と、図23(a)のように弁体のリフト量が小さい
場合には、弁体下面の圧力が上面の圧力より低下するの
で大きな自閉力が作用する。しかし、図23(b)のよ
うに弁体のリフト量が大きい場合には、自閉力は極端に
減少することがわかった。
【0018】図24は、ボール径:φ1.5mmの場合
の弁体が自閉を開始するときの上流側通路と下流側通路
の差圧(自閉差圧)と、弁体のリフト量との関係を測定
したものである。これによれば、弁体のリフト量が小さ
い場合には自閉差圧が小さく、弁体のリフト量が大きい
場合には自閉差圧が大きいことがわかる。具体的には、
弁体のリフト量がL0 未満では自閉差圧がP0 で略一定
であり(この領域を第1領域という)、弁体のリフト量
がL0 以上では自閉差圧がP0 から増大していく(これ
を第2領域という)。
【0019】従って、第1リフト量が自閉差圧の小さい
第1領域内のいずれかのリフト量に設定されていれば、
上流側通路と下流側通路の差圧が小さくても自閉力が作
用するため、本発明の作用効果を良好に奏する。このと
き、請求項4に記載したように、弁体維持機構は、(弾
性力/弁体の受圧面積)が図24にて太い1点鎖線で示
すように自閉差圧の最大値△Pmax 以上に設定されてい
れば、第1リフト量において差圧が変化して自閉差圧の
最大値△Pmax に至ったとしても、(弾性力/弁体の受
圧面積)の方がこの△Pmax に比して十分大きいため第
1リフト量のまま維持される。尚、太い1点鎖線で示し
た部分は、弁体維持機構の弁体維持機能が作動する範囲
である。
【0020】また、本発明においては、請求項5に記載
したように、弁体が下流側通路の開口部を開放するのを
補助する補助部材を備え、通常の開弁時には弁体はこの
補助部材によって自閉力が作用しないほど大きな第2リ
フト量に維持されることが好ましい。この場合、通常の
開弁時つまり全開状態では、弁体は第2リフト量に維持
されるため、弁体に自閉力が作用することがなく、誤っ
て絞り状態(即ち第1リフト量)に移行したりするおそ
れがない。ましてや全閉状態に移行することはない。こ
のような第2リフト量は、例えば本発明の流量制御弁を
実際に使用する場面における自閉差圧の最大値△Pmax
が実測あるいは推測できれば、この自閉差圧△Pmax に
対応するリフト量(Lb)以上に設定すればよい。尚、
弁体のリフト量が通常の開弁時において、より自閉しに
くくするには弁体の直径を小さくし、シート径を小さく
した方がよい。
【0021】ところで、ABS用の油圧回路における増
圧制御弁に本発明の流量制御弁を適用する場合、通常、
流量制御弁と並列にチェック弁を設ける。これは、車輪
がロックして流量制御弁が遮断位置(保持状態)にある
ときにブレーキペダルの踏み込みが解除されると上流側
であるM/C油圧よりも下流側であるW/C油圧が大き
くなる場合があり、この場合にはチェック弁が機能し
て、直ちにW/C油圧が下がるように構成されている。
【0022】ここで、チェック弁を流量制御弁に組み込
むことによりコンパクト化を図ってもよい。本発明にお
いては、請求項6に記載したように、前記上流側通路及
び前記下流側通路を内蔵するガイドと、前記ガイドが油
密に圧入されたハウジングとを備えている場合、狭まり
流れを採用しているため、ガイドとハウジングとの間隙
に下流側通路から上流側通路に向かって開弁するチェッ
ク弁を前記ガイドの側面に沿って設けることができる。
仮に広がり流れを採用した場合には、ガイド自身に細長
い穴を開ける必要があるため、穴あけ加工が必要なうえ
ガイドの体格が大きくなるが、上記本発明の構成ではガ
イドの側面にチェック弁を設けることができるためガイ
ドに細長い穴を開ける必要がなく、穴あけ加工が不要な
うえガイドの体格がコンパクトになる。
【0023】また、チェック弁を別部品として設けるの
はコストが嵩むため、本発明の流量制御弁の弁体をチェ
ック弁としても機能させるべく、請求項7に記載したよ
うに、弁体は、閉弁時において、上流側通路の流体圧力
によって下流側通路の開口部を閉鎖するが、下流側通路
の流体圧力が上流側通路の流体圧力よりも大きくなった
ときには下流側通路の開口部を開放するように構成して
もよい。
【0024】更に、本発明においては、請求項8に記載
したように、前記上流側通路は前記弁室の下方から上方
に延びて該弁室の底面に開口するように形成され、前記
下流側通路は前記弁室の底面に設けられた前記開口部か
ら下方に延びたあと横方向に屈曲した形状に形成されて
いることが好ましい。通常、流量制御弁を設置する場合
には、ブレーキ液などの流体は流量制御弁の下面側から
弁室に入って側面側に抜け出るように油路が構成されて
いる。そこで、流量制御弁を上記のような構成とすれ
ば、このような通常の油路構成をそのまま適用できると
いう利点がある。
【0025】この流路は更に、請求項9に記載したよう
に、前記弁室内のブレーキ液を前記開口部からチェック
弁を介して下面側に流出して上流側通路に至るように構
成されていてもよい。ここで、チェック弁は前記下流側
通路から前記上流側通路に向かって開弁する。この場合
には、チェック弁をコンパクトに構成できる。
【0026】本発明の第2としての流量制御弁は、請求
項10に記載したように、流体が上流側通路から弁室を
経て下流側通路に至るように形成された流路と、該弁室
内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいずれかの
開口部を開放又は閉鎖する弁体と、閉弁状態から開弁状
態に移行する際、前記弁体には自閉力が作用するが、弾
性力によって前記弁体と前記開口部との間隙が所定の微
小リフト量となるように前記弁体を維持して絞り状態と
する弁体維持機構とを備えた流量制御弁であって、前記
弁体維持機構は、閉弁状態から開弁状態に移行する際
に、前記弁体を前記開口部から離間させる方向の弾性力
によって前記自閉力と拮抗させて前記弁体をあるリフト
量で維持する弾性部材と、前記弾性部材によって維持さ
れる前記弁体のリフト量を所定の第1リフト量となるよ
うに調整する調整部材とを備えたことを特徴とする。
【0027】この場合、弾性部材の弾性力によって弁体
をあるリフト量で維持するが、このリフト量を調整部材
によって適宜調整することができる。従って、簡易な構
成で弁体のリフト量を調整することができ、リフト量の
バラツキつまり絞り量のバラツキを容易に抑えることが
できる。このため、例えばABS制御時の増圧量のバラ
ツキを抑えて、制御を良好に行うことができる。
【0028】本発明において、請求項11に記載したよ
うに、弁体維持機構は、前記弁室を備えたガイドと、前
記ガイドに対向して設けられ、該ガイドに対して接近離
間可能なプランジャと、前記ガイドに設けられ、前記弾
性部材を内包すると共に、該弾性部材を前記プランジャ
側から前記開口部側に押圧する筒状の前記調整部材が圧
入された挿通孔と、一端に前記弁体、他端に前記プラン
ジャを有し、前記筒状の調整部材に挿通されたシャフト
と、前記弁体が前記開口部を開放するのを補助する補助
部材とを備えて構成してもよい。この場合、絞り状態に
おける弁体のリフト量は、調整部材の挿通孔への圧入量
を調整することによって調整することができる。このと
き、調整部材はガイドに設けた挿通孔のプランジャ側つ
まりガイドの上面側から圧入できるため、弾性部材や補
助部材などを組み付けたままの状態で、調整部材の圧入
量の調整を行うことができる。このため、調整作業を容
易に行うことができる。
【0029】この構成に加えて、請求項12に記載した
ように、前記ガイド、前記プランジャ及び前記調整部材
はいずれも磁性体であり、ソレノイドコイルに通電され
ると、前記ガイド及び前記調整部材は前記プランジャを
吸引して前記弾性部材及び前記補助部材の付勢に抗して
前記弁体を閉弁状態にするように構成してもよい。一般
にソレノイドコイルに通電することによって生じる吸引
力は吸引し合う磁性体同士の対向面積に比例するが、ガ
イドと共に調整部材も磁性体としたためこの面積が大き
くなり、吸引力が大きくなって閉弁時に確実に閉弁でき
る。
【0030】更にこの構成に加えて、請求項13に記載
したように、前記ガイドのうち前記プランジャに対向す
る面と、前記調整部材のうち前記プランジャに対向する
面とは、略同一平面をなすようにしてもよい。一般にソ
レノイドコイルに通電することによって生じる吸引力
は、調整部材のプランジャ対向面がガイドのプランジャ
対向面よりも凹んでいるとプランジャとのエアギャップ
量が大きくなるため、その分吸引力が下がる。逆に調整
部材のプランジャ対向面が突出しているとプランジャが
吸引されたときに障害になるおそれがある。このため、
調整部材のプランジャ対向面をガイドのプランジャ対向
面に略一致させ、このような問題を解消したのである。
【0031】また、本発明において、請求項14に記載
したように、前記開口部を備えたガイドと、前記ガイド
に対向して設けられ、該ガイドに対して接近離間可能な
プランジャと、前記プランジャに設けられ、前記弾性部
材とこの弾性部材を閉弁時に前記開口部から所定距離隔
てた位置にて支持する支持台とを内包すると共に、前記
弾性部材を前記ガイド側から前記支持台を介して押圧す
る前記調整部材が圧入された挿通孔と、一端に前記弁体
を有し、前記筒状の調整部材に挿通された状態で他端が
前記プランジャに固着されたシャフトと、前記弁体が前
記開口部を開放するのを補助する補助部材とを備えて構
成してもよい。この場合も、絞り状態における弁体のリ
フト量は、調整部材の挿通孔への圧入量を調整すること
によって調整することができる。このとき、調整部材は
プランジャに設けた挿通孔のガイド側から圧入できるた
め、弾性部材や支持台を組み付けたままの状態で、調整
部材の圧入量の調整を行うことができる。このため、調
整作業を容易に行うことができる。
【0032】この構成に加えて、請求項15に記載した
ように、前記ガイド、前記プランジャ及び前記調整部材
はいずれも磁性体であり、ソレノイドコイルに通電され
ると、前記ガイドは前記プランジャ及び前記調整部材を
吸引して前記弾性部材及び前記補助部材の付勢に抗して
前記弁体を閉弁状態にするように構成してもよい。この
場合、ガイドと共に調整部材も磁性体としたため、吸引
力が大きくなって閉弁時に確実に閉弁できる。
【0033】更にこの構成に加えて、請求項16に記載
したように、前記プランジャのうち前記ガイドに対向す
る面と、前記調整部材のうち前記ガイドに対向する面と
は、略同一平面をなすように構成してもよい。この場
合、調整部材のガイド対向面が凹んでエアギャップ量が
大きくなるとか、あるいは突出して吸引時に障害になる
とかのおそれが解消される。
【0034】本発明の第3としての流量制御弁は、請求
項17に記載したように、流体が上流側通路から弁室を
経て下流側通路に至るように形成された流路と、該弁室
内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいずれかの
開口部を開放又は閉鎖する弁体と、閉弁状態から開弁状
態に移行した時、前記上流側通路から流出した流体が前
記弁体と前記開口部との隙間を通過することによって前
記弁体には前記開口部を閉鎖する方向の力(以下「自閉
力」という)が作用するが、弾性力によって前記弁体と
前記開口部との間隙が所定の微小リフト量となるように
前記弁体を維持する弁体維持機構とを備えた流量制御弁
であって、前記弁体は球面を持つ形状に形成され、前記
開口部には前記弁体の球面の曲率半径と略一致する球面
弁座が形成され、前記弁体と前記球面弁座とが接触した
ときの接触部分である円の直径即ちシート径は前記球面
弁座の穴径と略一致することを特徴とする。
【0035】球面形状の弁体を用いた場合には、弁座と
して球面弁座を用いた方がテーパ状の弁座を用いた場合
に比べて弁体のリフト量に対する開口面積の感度が低
い。例えば、図25に示すように、同じリフト量に対し
て、球面弁座の開口面積(図25(a)参照)はテーパ
状の開口面積(図25(b)参照)よりも小さい。この
ため、所定の微小リフト量のバラツキをある公差幅に抑
えるには、球面弁座の場合の方がリフト量の公差を大き
くとることができる。従って、計測誤差や組付寸法誤差
等のバラツキによる所定の微小リフト量のバラツキの発
生を抑えることができ、的確な制御が可能となる。この
ため、開弁状態から閉弁状態に移行する際の弁体のリフ
ト量を所定の微小リフト量に調整することが容易とな
る。
【0036】また、閉弁状態において、弁体と球面弁座
とはその材質のもつ弾性によって面接触するが、球面弁
座の場合の方がテーパ状の弁座に比べて接触面積が大き
くなるため、接触応力が緩和されて耐久性がよくなり、
寿命が長くなる。更に、図26(a)に示すようにシー
ト径は弁座穴径と同じであるため、図26(b)に示す
ようにシート径が弁座穴径より大きい場合のように流体
が弁座と弁体の隙間に回り込むことがなく、弁体が流体
から力を受けるときの受圧面積が小さい。このため、弁
の開閉に関わる力は前者の方が小さくてよく、このため
弁体と弁座との接触応力が緩和され、弁体の寿命が長く
なる。
【0037】本発明においては、請求項18に記載した
ように、球面弁座の穴径に対する弁体の球の直径の比β
は1.1〜1.5の範囲内であることが好ましい。この
比βは小さい方が実質のシート角度(即ち、弁体と球面
弁座とが接触したときの接触部分における前記弁体の接
線のなす角度)が小さくなり、弁体のリフト量に対する
開口面積の感度が下がるので、好ましい。しかし、この
比βが小さくなり過ぎると、球面弁座に加わる接触応力
が増大するので、耐久性が劣化する傾向にある。そこ
で、現実的にはβ=1.1〜1.5の範囲で選択するの
が好ましいのである。
【0038】また、本発明においては、請求項19に記
載したように、弁体維持機構を備えていなくてもよい。
この場合も、上記とほぼ同様の作用により、リフト量の
調整が容易となり、また、弁体の寿命が長くなる。本発
明の第4としての流量制御弁は、請求項20に記載した
ように、流体が上流側通路から弁室を経て下流側通路に
至るように形成された流路と、該弁室内にて前記下流側
通路の開口部に対して密着又は離間可能であり、前記弁
室と前記下流側通路とを連通するオリフィスを備えた主
弁と、前記主弁を絶えず前記下流側通路の開口部から離
間する方向に付勢する主弁規制部材と、前記オリフィス
を開放又は閉鎖可能であり、前記オリフィスを閉鎖した
状態で前記主弁と共に前記開口部に向かって移動可能な
補助弁と、前記補助弁が前記オリフィスを閉鎖した状態
で前記主弁と共に前記開口部に向かって移動する全範囲
で前記補助弁に弾性力を作用させる補助弁規制部材と、
通電されると、前記補助弁が前記主弁の前記オリフィス
を閉鎖した状態で前記主弁規制部材及び前記補助弁規制
部材に抗して前記補助弁を前記主弁と共に移動させて前
記主弁を前記下流側通路の開口部に密着させる吸引力を
発生させるソレノイドコイルとを備え、前記ソレノイド
コイルが通電状態から非通電状態に移行すると、前記主
弁は前記弁室内の圧力により前記主弁規制部材に抗して
前記下流側通路の開口部に密着したままの状態を維持す
る一方、前記補助弁は前記補助弁規制部材により前記オ
リフィスを十分開放して増圧状態となることを特徴とす
る。
【0039】かかる流量制御弁では、通常、開弁して全
開状態のときにはソレノイドコイルは非通電状態である
ため、主弁は主弁規制部材の弾性力により下流側通路の
開口部から大きく離間している。そして、ソレノイドコ
イルが通電されると、補助弁が主弁のオリフィスを閉鎖
した状態で主弁規制部材及び補助弁規制部材に抗して補
助弁を主弁と共に移動させて主弁を下流側通路の開口部
に密着させる吸引力が発生するため、閉弁する。その
後、ソレノイドコイルが通電が断たれると、主弁は弁室
内の圧力により主弁規制部材に抗して下流側通路の開口
部に密着したままの状態を維持する一方、補助弁は補助
弁規制部材によりオリフィスを十分開放する(増圧状
態)。このため、弁室内の流体はオリフィスを通じて下
流側通路に流出するため、オリフィスによって下流側通
路の増圧量が調整される。
【0040】このように本発明によれば、オリフィスに
よって下流側通路の増圧量が決まるため、増圧状態にお
ける補助弁のリフト量はオリフィスを十分開放する量
(例えば補助弁−オリフィス間の開口面積がオリフィス
の流路面積よりも大きくなる量)であれば特に精度良く
定める必要がない。このため、安価に製造できるという
効果が得られる。また、補助弁規制部材を補助弁に直接
取り付けることができるため、より製造しやすいという
効果が得られる。
【0041】本発明において、請求項21に記載したよ
うに、補助弁規制部材は、補助弁がオリフィスを閉鎖し
た状態で主弁と共に前記開口部に向かって移動する途中
で補助弁に弾性力を作用させるように構成してもよい。
この場合、補助弁の動作開始当初は補助弁規制部材の弾
性力が作用しないため、応答性に優れるという効果が得
られる。
【0042】また、本発明において、請求項22に記載
したように、前記補助弁と一体化された磁性体からなる
プランジャと、前記補助弁の移動を案内する磁性体から
なるガイドとを備え、前記ソレノイドコイルが通電され
ると、前記ガイドには前記補助弁の移動方向と交差する
方向に磁束が発生して前記プランジャを前記ガイドに吸
引することにより、前記補助弁が前記主弁の前記オリフ
ィスを閉鎖した状態で前記主弁規制部材及び前記補助弁
規制部材に抗して前記補助弁を前記主弁と共に移動して
前記主弁が前記下流側通路の開口部に密着するように構
成してもよい。
【0043】この場合、磁束の方向が補助弁の移動方向
と交差しているため、プランジャとガイドとの距離が近
接したとしても吸引力はそれほど大きくならない。この
ため、閉弁時における補助弁とオリフィスとの接触面
圧、あるいは、主弁と下流側通路の開口部との接触面圧
が必要以上に大きくなり過ぎることがなく、これらの耐
久強度が向上するという効果が得られる。特に、磁束の
方向が補助弁の移動方向と略直交していると、この効果
が顕著になる。
【0044】更に、本発明において、請求項23に記載
したように、前記補助弁の直径は前記オリフィスの内径
より0.05〜0.2mm大きいことが好ましい。この
場合、補助弁の直径がオリフィスの内径より0.05m
m未満では精度バラツキにより補助弁が開口部に入り込
んでしまうおそれがあり?、0.2mmを越えると補助
弁又はオリフィスが摩耗したときに弁室内の流体圧力を
受ける面積が大きくなって補助弁を閉じる力が大きくな
るため、それを見込んで補助弁規制部材の弾性力を大き
く設定する必要があり、これによりソレノイドコイルの
体格が大型化するという問題がある。
【0045】更に又、本発明において、請求項24に記
載したように、前記増圧状態において、前記補助弁規制
部材が前記補助弁に作用する弾性力は、前記流路を流れ
る流体圧の最大圧力値に前記補助弁の最大断面積を乗じ
た値以上に設定されていることが好ましい。弁室内の流
体圧力が補助弁に及ぼす補助弁を閉じる力の最大値は、
流路を流れる流体の最大圧力値に補助弁の最大断面積を
乗じた値であるから、補助弁規制部材が補助弁に作用す
る弾性力をこの値以上に設定しておけば、増圧状態のと
きに補助弁がオリフィスを閉じてしまうおそれがない。
【0046】そして、本発明において、請求項25に記
載したように、前記上流側通路は前記弁室の下方から上
方に延びて該弁室の底面に開口するように形成され、前
記下流側通路は前記弁室の底面に設けられた前記開口部
から下方に延びたあと横方向に屈曲した形状に形成され
ていてもよい。この場合、請求項8と同様、通常の油路
構成をそのまま採用できるという利点がある。
【0047】ここで、請求項26に記載したように、前
記上流側通路及び前記下流側通路が形成されたシートバ
ルブが一端から圧入されて該シートバルブの上部空間に
前記弁室が形成されるガイドを備え、前記上流側通路は
前記シートバルブを上下方向に貫通するように設けても
よい。この場合、上流側通路がシートバルブの上面側と
下面側とを連通しているため、シートバルブの上面側と
下面側との間で圧力差が生じることがなく、シートバル
ブがその圧力差による力を受けることがない。このた
め、シートバルブの抜け落ちを考慮して高い圧入強度を
維持すするための不必要な圧入寸法精度も不要となる。
【0048】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施例を
図面に基づいて説明する。尚、本発明の実施の形態は、
下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の
技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはい
うまでもない。 [第1実施例]図1は本実施例の流量制御弁の概略構成
を表す断面図である。
【0049】ハウジング11には、流量制御弁10の側
方に連通され、M/Cからブレーキ液を供給する供給通
路12と、流量制御弁10の下方に連通され、W/Cに
ブレーキ液を排出する排出通路13が設けられている。
ハウジング11の内部には、流量制御弁10のガイド1
4が挿入されており、このガイド14の上部外周と下部
外周はOリング15、16によりハウジング11の内部
側壁と油密にシールされている。
【0050】ガイド14の内部は上下方向に貫通されて
おり、この内部の下方にシートバルブ20、上方に半球
状の弁体30及びプランジャ32を備えたシャフト31
が配置されている。シートバルブ20は、弁体30の配
置されている弁室25から排出通路13までを連通する
下流側通路21を備えている。この下流側通路21の弁
室25側の開口部には、弁室25に向かって広がるテー
パ状のシート面21aが形成されている。このため、弁
体30が下流側通路21を閉塞する際、このシート面2
1aにしっかりと密着でき、閉塞時のシール性が優れて
いる。
【0051】弁室25には、バネ力の比較的大きな第1
バネ26が配置されている。第1バネ26は、シャフト
31を挿通している略リング状のストッパ28を弁室2
5の内部上面に当接するように付勢している。尚、第1
バネ26が、本発明の弁体維持機構(弾性部材)に相当
する。
【0052】ガイド14の外周とハウジング11の内部
との間には、間隙部18が設けられている。また、ガイ
ド14のうち弁室25の側壁に当たる部分には、弁室2
5と間隙部18とを連通する上流側通路17が設けられ
ている。このため、供給通路12から間隙部18、上流
側通路17を経て弁室25に流入してきたブレーキ液
は、弁体30とシート面21aの隙間を通って、下流側
通路21を経て排出通路13へ流出する。
【0053】ハウジング11の上方にはヨーク35が設
けられ、このヨーク35の内側にはソレノイドコイル
(以下「コイル」という)36が設置されている。この
コイル36は図示しない外部装置により通電・非通電を
制御できるように電気的に接続されている。また、コイ
ル36の内側には非磁性体のスリーブ37が配設され、
コイル36の下側には磁性体であるコアステータ38が
配設されている。
【0054】スリーブ37の内部には、非磁性体のシャ
フト31が圧入された可動鉄心であるプランジャ32が
配置されている。シャフト31は、プランジャ32と一
体化されてガイド14の上部内側に沿って上下に摺動可
能となっている。シャフト31の外周には半径外方向に
突出した凸部33が設けられ、この凸部33は、弁室2
5内に配設されたストッパ28と係合可能な位置に配置
されている。このため、シャフト31と一体化されたプ
ランジャ32の頂部がスリーブ37の上面に当接した位
置から下方向に摺動すると、その途中でシャフト31の
凸部33がストッパ28と係合し、その後ストッパ28
は凸部33と共に下方向に移動可能なように構成されて
いる。なお、弁室25の内部上面に当接しているストッ
パ28と凸部33とが係合したときの弁体30のリフト
量は、後述の第1リフト量となるように設計されてい
る。
【0055】また、ガイド14の上部内側には段差14
aが設けられ、この段差14aとプランジャ32の下面
との間には比較的バネ力の小さな第2バネ27が配設さ
れている。この第2バネ27はプランジャ32の頂部が
スリーブ37の上面に当接する位置までシャフト31及
びプランジャ32を付勢している。尚、この第2バネ2
7が本発明の補助部材に相当する。
【0056】次にこの流量制御弁10の作動につき、A
BS用の油圧回路の増圧制御弁にこの流量制御弁10を
用いたときを例にあげて説明する。図2はABS用の油
圧回路図であり、この油圧回路は、M/Cから増圧制御
弁である流量制御弁10を介してW/Cに至る第1油路
と、第1油路のうちM/Cと流量制御弁10との間から
W/Cと流量制御弁10との間に至る第2油路とを備え
ている。第2油路にはW/C側からM/C側に向かって
減圧制御弁2とポンプ6が設けられ、両者の間にはリザ
ーバ4が配置されている。流量制御弁10のうち供給通
路12はM/C油圧がかかる通路であり、排出通路13
はW/C油圧がかかる通路である。
【0057】ノーマルブレーキ時では、図2に示すよう
に、流量制御弁10は連通位置(非通電状態)、減圧制
御弁2は遮断位置(非通電状態)にある。このときの流
量制御弁10は、コイル36に電流が流れていないため
吸引力が発生せず、図1に示すように、第2バネ27の
バネ力により、弁体30、シャフト31及びプランジャ
32は上方に付勢され、プランジャ32の頂部がスリー
ブ37の上面に当接する位置で停止している。このと
き、弁体30のリフト量(つまり弁体30とシート面2
1aとの間隔)は、第2リフト量になるように設計され
ている。
【0058】ここで、この油圧回路においてM/C油圧
とリフト量、弁体30が自閉を開始するW/C油圧とリ
フト量の関係を図3に示す。第2リフト量は、図3に示
すように、自閉領域の存在しないリフト量に設定されて
いるため、弁体30には自閉力が作用することはない。
このため、弁体30はシートバルブ20のシート面21
aから完全に離間し、供給通路12と排出通路13とを
全開状態で連通している。
【0059】ところで、一般にABS制御は、例えばド
ライバの急激なブレーキ操作によって各車輪のスリップ
が発生すると車両をコントロールできなくなるおそれが
あるため、このような現象を防止すべく、運転者がブレ
ーキ操作を行って車両を制動しようとしている場合に、
各車輪のスリップ状態を適正にするために行われるもの
である。
【0060】図2に基づいてABS制御を説明すると、
図示しない電子制御装置が車輪がロック傾向にあると判
断すると、流量制御弁10を遮断位置(通電状態)にす
ると共に、減圧制御弁2を連通位置(通電状態)にし
て、W/C油圧を減圧し、車輪のロックを防止する。こ
のときW/Cから減圧された油量は減圧制御弁2を介し
てリザーバ4に排出され、ポンプ6によりM/C側へ還
流される。
【0061】このときの流量制御弁10は、コイル36
に電流が流れるため、図4に示すように、プランジャ3
2がガイド14に接近するような吸引力が働き、この吸
引力が第1、第2バネ26、27のバネ力等に打ち勝っ
てプランジャ32がシャフト31と共に下方に動き、弁
体30がシートバルブ20のシート面21aに密着して
供給通路12と排出通路13とを遮断する。
【0062】その後、図示しない電子制御装置が車輪の
ロック傾向が解消したと判断すると、流量制御弁10を
連通位置(非通電状態)にすると共に、減圧制御弁2を
遮断位置(非通電状態)にして、W/C油圧を増圧させ
る。この場合、W/C油圧を急激に増加させると車輪が
ロック傾向となるため、流量制御弁10と減圧制御弁2
を共に遮断させてW/C油圧を保持する状態をつくる。
そして、このような制御により、W/C油圧を徐々に増
加させ、車輪のロックを防止しつつ車両の安定性を確保
する。
【0063】このときの流量制御弁10は、コイル36
に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だけ切断さ
れて吸引力が消失するため、図5に示すように、第1、
第2バネ26、27のバネ力等によって、弁体30、シ
ャフト31及びプランジャ32は上昇する。このとき、
ブレーキ液は弁体30とシート面21aとの間を狭まり
方向に流れるため、自閉力が弁体30に作用する。ここ
で、流量制御弁10では自閉力が第2バネ27のバネ力
等よりも打ち勝つように設計されているため、弁体30
はシート面21aを閉じるようとする。しかし、シャフ
ト31の凸部33がストッパ28と係合した後は、第1
バネ26の弾性力によってシャフト31がそれ以上下降
するのを阻止するように設計されている。このため、弁
体30は第1リフト量で維持され、絞り状態で維持され
る。このときの弁体30のリフト量は、第1リフト量に
なるように設計されている。
【0064】ここで、第1リフト量は、図3に示すよう
に、自閉開始W/C油圧の大きな領域、つまりM/Cと
W/Cとの差圧がP0 という小さな値で略一定している
第1領域(リフト量<L0 )に設定されているため、弁
体30には僅かな差圧があれば自閉力が作用する。この
ため、W/C油圧とM/C油圧との差圧が第1リフト量
における自閉差圧未満になるまで、つまりW/C油圧と
M/C油圧とが所定の差圧になるまで、シャフト31の
凸部33は自閉力によってストッパ28の上面に係合し
た状態で維持され、弁体30はシートバルブ20のシー
ト面21aと第1リフト量(所定の微小間隔)をもって
対向している状態となる。この結果、流量制御弁10を
数msだけ開けて増圧する場合にその増圧量が大きくな
らず、良好なABS制御が可能となる。
【0065】また、第1バネ26の開弁圧(ばね力/弁
体30の受圧面積)は、自閉差圧の最大値であるM/C
油圧よりも大きな値に設定されている。このため、第1
リフト量で維持している際に自閉差圧が最大になったと
しても、第1リフト量のまま維持できる。
【0066】ところで、本実施例の流量制御弁の構成を
用いて、流体が狭まり流れの場合(弁の中心に向かって
流体が流れる場合、本実施例に相当)と、広がり流れの
場合(弁の中心から半径方向に広がって流れる場合、本
実施例とは逆向き、つまり図43においてブレーキ液が
矢印方向に流れる場合)の各々につき、弁リフト量と弁
への作用力との関係を調査した。その結果を図6に示
す。狭まり流れの場合には、図6(a)に示すように、
第1リフト量において、M/CとW/Cとの差圧△Pが
大きい場合(△P=PL )でも小さい場合でも(△P=
S )、閉弁方向の作用力即ち自閉力が働いた。但し、
自閉力の大きさは差圧が大きいほど大きかった。一方、
広がり流れの場合には、図6(b)に示すように、同じ
第1リフト量において、差圧△Pが大きい場合(△P=
L )には自閉力が働いたが、小さい場合(△P=P
S )には自閉力が働かなかった。
【0067】また、両者の各々につき、リフト量を第1
リフト量に設定した上で、差圧△Pと増圧量との関係を
調査したところ、図7のグラフが得られた。狭まり流れ
の場合には、実線で示すように、差圧△Pが大きい場合
(△P=PL )でも小さい場合でも(△P=PS )、増
圧量は小さい値で略安定していた。一方、広がり流れの
場合には、点線で示すように、差圧△Pが大きい場合
(△P=PL )には狭まり流れと同等の増圧量であった
が、小さい場合(△P=PS )には増圧量が増大した。
これは広がり流れにおいて差圧が小さい場合には自閉力
が働かない、つまり閉弁方向の作用力が働かない(図6
(b)の△P=PS 参照)ことに起因する。
【0068】更に、広がり流れの場合には、W/C油圧
が著しく低くなると吸引作用が働きにくくなり、増圧量
が増大する傾向にある。このため、広がり流れの場合に
は、流量制御弁を開ける時間を短縮することにより制御
性を良好に保つようにしていた。これに対して、本実施
例のように狭まり流れの場合には、図3から明らかなよ
うに、自閉力が作用するか否かは差圧△Pとリフト量に
よって決まり、第1リフト量においてはW/C油圧が著
しく低く(例えば0MPa)なったとしてもM/C油圧
との差圧が自閉差圧より大きければ自閉力が作用し、増
圧量が増大することはない。このため、広がり流れの場
合のように流量制御弁を開ける時間を調整する必要がな
い。
【0069】以上詳述した本実施例によれば、以下の効
果が得られる。即ち、弁体維持機構としてストッパ28
及び第1バネ26を設けて狭まり流れを採用するという
簡易な構成により、閉弁状態から開弁状態に移行する際
の絞り状態を実現できる。また、絞り状態は上流側と下
流側の差圧によって維持されるため、下流側の流体圧力
が著しく低下(例えば0MPa)したとしてもそれによ
って絞り状態が維持できなくなることはない。特に第1
リフト量は自閉差圧の小さい第1領域のリフト量に設定
されているため、自閉差圧が小さくても絞り状態が維持
できる。
【0070】また、第1バネ26の開弁圧(ばね力/弁
体30の受圧面積)は、自閉差圧の最大値であるM/C
油圧よりも大きな値に設定されている。このため、第1
リフト量で維持している際に自閉差圧が最大になったと
しても、第1リフト量のまま維持できる。
【0071】更に、全開状態では自閉力が働かないよう
に第2リフト量を設定したため、全開状態時に誤って絞
り状態に移行したり閉状態に移行したりするおそれがな
い。次に、上記第1実施例の変形例を図8(a)に示
す。この変形例は、第1実施例の流量制御弁10の内部
に排出通路13から供給通路12に開弁するチェック弁
を組み込んだ場合を示す。このチェック弁は、金属製の
ボール弁41と、このボール弁41を配置する弁室42
と、このボール弁41を受ける弁座43とを備えてい
る。弁室42はガイド14の側面のうちOリング16の
上方に設けられている。この弁室42は間隙部18とシ
ートバルブ20の下面側とを連通している。かかるチェ
ック弁は、例えば車輪がロックして流量制御弁が遮断位
置にあるときにブレーキペダルの踏み込みが解除されて
上流側であるM/C油圧よりも下流側であるW/C油圧
が大きくなったとき、直ちにW/C油圧を下げるという
機能を果たす。このチェック弁は第1実施例におけるガ
イド14の側面に弁室42を加工するだけでよいため、
ガイド14自身の体格は第1実施例と同様である。
【0072】一方、図8(b)に示す比較例は、同様の
流量制御弁であるが、流体を広がり流れとした場合に、
同様のチェック弁を設けたときの例示である。このとき
には第1実施例のガイド14よりも径の大きなガイド5
4を用いて軸方向に沿った流路56を別途設け、その流
路56の下端に弁室55を設ける必要がある。これは、
上記第1実施例ではOリング16がガイド14の側面に
配設されているため、このOリング16を避けるように
して流路56や弁室55を設けなければならないからで
ある。このようにガイド54の体格が大きくなると、ガ
イド54の受圧力が増大するため、ガイド54をハウジ
ングに固定する際に固定のための必要強度が増大し、流
量制御弁全体の体格が大きくなるという不具合がある。
また、流路56のような細長い穴あけ加工が必要であ
る。これに対して、図8(a)ではこのような細長い穴
が不要であるため、穴あけ加工が不要となり加工性がよ
く、また、ガイドの体格もコンパクトとなる。
【0073】このように、金属製のボール弁をチェック
弁として内蔵させる場合に、本実施例のように狭まり流
れを採用した方が、従来のように広がり流れを採用した
場合に比べて有利である。 [第2実施例]図9は本実施例の流量制御弁の概略構成
を表す断面図である。
【0074】ハウジング61には、流量制御弁60の側
方に連通され、M/Cからブレーキ液を供給する供給通
路62と、流量制御弁60の下方に連通され、W/Cに
ブレーキ液を排出する排出通路63が設けられている。
ハウジング61の内部には、流量制御弁60のガイド6
4が挿入されており、このガイド64の上部外周と下部
外周はOリング65、66によりハウジング61の内部
側壁と油密にシールされている。
【0075】ガイド64の内部は上下方向に貫通されて
おり、この内部の下方にシートバルブ70、上方にシャ
フト81を嵌挿した略リング状のストッパ78が配置さ
れている。シートバルブ70は上下方向に貫通されてお
り、下側には第1凹部71、上側には第2凹部73が形
成され、両者は通孔72により連通されている。第1凹
部71には、複数の孔74a(本発明の上流側通路に相
当)を有する仕切り板74により弁室75が形成されて
いる。この弁室75には、通孔72の第1凹部71側の
開口部分であるテーパ状のシート面72aに密着・離間
可能なボール状の弁体80が配置されている。一方、第
2凹部73の上端部には半径外方向に複数の溝73aが
設けられている。
【0076】ガイド64の外周とハウジング61の内部
との間には、間隙部68が設けられている。また、ガイ
ド64のうち第2凹部73の溝73aに面する部分に
は、この溝73aと間隙部68とを連通する連通路67
が形成されている。このため、供給通路62から仕切り
板74の孔74aを経て弁室75に流入してきたブレー
キ液は、弁体80とシート面72aとの間を通って、通
孔72、溝73a、連通路67、間隙部68を経て排出
通路63へ流出する。このように、本実施例でも狭まり
流れを採用している。尚、仕切り板74の複数の孔74
aが本発明の上流側通路に相当し、通孔72、溝73
a、連通路67が下流側通路に相当し、シート面72a
が下流側通路の開口部に相当する。
【0077】ストッパ78は、その下面が第2凹部73
の上端部と当接可能に配置されている。このストッパ7
8は、ガイド64とストッパ78の間に配設された比較
的バネ力の強い第1バネ76によって、第2凹部73の
上端部に当接するように付勢されている。尚、この第1
バネ76が本発明の弁体維持機構(弾性部材)に相当す
る。
【0078】ハウジング61の上方にはヨーク85が設
けられ、このヨーク85の内側にはコイル86が設置さ
れている。このコイル86は図示しない外部装置により
通電・非通電を制御できるように電気的に接続されてい
る。また、コイル86の内側には非磁性体のスリーブ8
7が配設され、スリーブ87には非磁性体のシャフト8
1の上端を摺動可能に挿通する磁性体のコアステータ8
8が固設されている。
【0079】また、コアステータ88とガイド64との
間には、シャフト81が圧入された可動鉄心であるプラ
ンジャ82が配置されている。シャフト81は、プラン
ジャ82と一体化されてガイド64の上部内側に沿って
上下に摺動可能となっている。
【0080】シャフト81の外周には半径外方向に突出
した凸部83が設けられている。この凸部83は、シー
トバルブ70の第2凹部73内にて、ストッパ78と係
合可能な位置に配置されている。シャフト81の下端は
ボール状の弁体80と接触・離間可能であり、凸部83
とガイド64との間に設けた比較的バネ力の小さい第2
バネ77により弁体80を仕切り板74に当接するよう
に付勢している。このとき弁体80は仕切り板74の孔
74aを塞ぐことのないように構成されている。尚、こ
の第2バネ77が本発明の補助部材に相当する。
【0081】次にこの流量制御弁60の作動につき、第
1実施例と同様に、ABS用の油圧回路の増圧制御弁と
して用いたときを例にあげて説明する。ノーマルブレー
キ時では、第1実施例と同様、図2に示すように、流量
制御弁60は連通位置(非通電状態)、減圧制御弁2は
遮断位置(非通電状態)である。このときの流量制御弁
60は、コイル86に電流が流れていないため吸引力が
発生せず、図9に示すように、第2バネ77のバネ力に
より、弁体80はシャフト81とプランジャ82と共に
下方に付勢され、シャフト81の下端が弁体80を仕切
り板74に当接するまで押し下げた位置で停止してい
る。このとき、弁体80は、シートバルブ70のシート
面72aから完全に離間しているため、供給通路62と
排出通路63とを全開状態で連通している。
【0082】そして、図示しない電子制御装置が車輪が
ロック傾向にあると判断すると、流量制御弁60を遮断
位置(通電状態)にすると共に、減圧制御弁2を連通位
置(通電状態)にして、W/C油圧を減圧し、車輪のロ
ックを防止する。このときの流量制御弁60は、コイル
86に電流が流されるため、図10に示すように、プラ
ンジャ82がコアステータ88に接近するような吸引力
が働き、プランジャ82はシャフト81と共に第1、第
2バネ76、77のバネ力に打ち勝って上方に動く。こ
のとき、弁体80はシャフト81と独立して設けられて
いるため、シャフト81と共に上方に動くわけではない
が、弁室75内の圧力によりシートバルブ70のシート
面72aに密着される。この結果、弁体80は供給通路
62と排出通路63とを遮断する。
【0083】その後、図示しない電子制御装置が車輪の
ロック傾向が解消したと判断すると、流量制御弁60を
連通位置(非通電状態)にすると共に、減圧制御弁2を
遮断位置(非通電状態)にして、W/C油圧を増圧させ
る。この場合、W/C油圧を急激に増加させると車輪が
ロック傾向となるため、流量制御弁60と減圧制御弁2
を共に遮断させてW/C油圧を保持する状態をつくる。
そして、このような制御により、W/C油圧を徐々に増
加させ、車輪のロックを防止しつつ車両の安定性を確保
する。
【0084】このときの流量制御弁60は、コイル86
に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だけ切断さ
れて吸引力が消失するため、図11に示すように、第
1、第2バネ76、77のバネ力等によって、弁体80
はシャフト81やプランジャ82と共に下降する。この
とき、ブレーキ液が弁体80とシート面72aとの隙間
を狭まり方向に流れるため、弁体80に自閉力が作用す
る。ここで、流量制御弁60では自閉力が第2バネ77
のバネ力等よりも打ち勝つように設計されているため、
弁体80はシャフト81を押し上げつつシート面72a
に接近する。しかし、シャフト81が凸部83がストッ
パ78と係合した後は、第1バネ76の弾性力によって
シャフト81がそれ以上上昇するのを阻止するように設
計されている。このときの弁体80のリフト量は、第1
リフト量になるように設計されている。つまり、弁体8
0は第1リフト量で維持され、絞り状態で維持される。
尚、本実施例の第1リフト量は、第1実施例に準じて定
めることができる。
【0085】ところで、図10に示すように、車輪のロ
ックを防止するために流量制御弁60が遮断位置(通電
状態)に配置されているときに、ドライバがブレーキの
踏み込みを解除すると、M/C油圧が減圧されてW/C
油圧よりも低くなる場合がある。このような場合、本実
施例では、排出通路63の圧力即ちシートバルブ20の
第2凹部73の圧力が、供給通路62の圧力即ち第1凹
部71の圧力よりも高くなるため、その差圧によってボ
ール状の弁体80はシャフト81の下端から離間する
(図12参照)。このため、W/C油圧は迅速に減圧さ
れる。つまり、本実施例の流量制御弁60は、通常これ
と並列に設けるべきチェック弁の機能も備えているので
ある。
【0086】以上詳述したように、本実施例の流量制御
弁60によれば、第1実施例と同様、閉弁状態から開弁
状態に移行する際の絞り状態を簡易な構成で実現でき、
また、下流側の流体圧力が著しく低下(例えば0MP
a)としてもそれによって絞り状態が維持できなくなる
ことはなく、更に、全開状態では自閉力が働かないよう
に第2リフト量を設定したため、全開状態時に誤って絞
り状態に移行したり閉状態に移行したりするおそれがな
いという効果が得られる。そのうえ、弁体80はチェッ
ク弁としても機能するため、チェック弁を別部品として
設ける場合に比べて部品コストが低減される等のメリッ
トがある。
【0087】尚、本実施例では第2バネ77を凸部83
とガイド64との間に設けたが、図13に示すように、
コアステータ88に段差88aをつくりこの段差88a
とプランジャ82の上面との間に第2バネ77を設けて
もよい。この場合も第2バネ77は弁体80を仕切り板
74に当接するように付勢している。
【0088】[第3実施例]図14は本実施例の流量制
御弁の概略構成を表す断面図である。ハウジング311
には、流量制御弁300の下方に連通され、M/Cから
ブレーキ液を供給する供給通路312と、流量制御弁3
00の側方に連通され、W/Cにブレーキ液を排出する
排出通路313が設けられている。ハウジング311の
内部には、流量制御弁300のガイド314が油密に挿
入されている。また、ガイド314とハウジング311
との間には間隙部318が設けられ、この間隙部218
にはオイルフィルタ370が設けられている。
【0089】流量制御弁300のうち、磁性体であるガ
イド314の内部には、上下方向に貫通する挿通孔31
5が設けられている。この挿通孔315の中央やや下寄
りには弁室325が設けられている。ガイド314の下
方には、上流側通路341が、弁室325の下方から上
方に延びて、供給通路312から弁室325の底面に開
口するように設けられている。同じくガイド314の下
方には、下流側通路343が、弁室325の底面略中央
に設けられた開口部であるシート面321aから下方に
延びたあと横方向に曲がって排出通路313に連通する
ように設けられている。下流側通路343のうちこの横
方向に屈曲している経路が請求項8の流出用経路に相当
する。なお、下流側通路343のうち弁室325近傍
は、径の小さな弁座穴321が形成されている。更に、
下流側通路343のうち横方向に曲がる屈曲位置には、
下方向に分岐する合流経路342が設けられている。こ
の合流経路342は下流側通路343と上流側通路34
1とを連通し、その途中には下流側通路343から上流
側通路341(又は供給通路312)に開弁可能なチェ
ック弁380が設けられている。このチェック弁380
は、下流側通路343の圧力が上流側通路341の圧力
よりも高くなったときに、直ちに下流側通路343と上
流側通路341を連通させてこの状態を解消させる役割
を果たす。
【0090】以上のように各油路が形成されているた
め、供給通路312から上流側通路341を経て弁室3
25に流入してきた流体は、弁体330とシート面32
1aとの隙間を通って、弁座穴321、下流側通路34
3を経て、排出通路313へ流出する。
【0091】ガイド314に設けられた挿通孔315に
は、本発明の弾性部材としての第1バネ326と、スト
ッパ328が内包され、更に筒状の調整部材350がプ
ランジャ332側つまりガイド上端面314a側から圧
入されている。第1バネ326はバネ力の比較的大きな
バネであり、挿通孔315の下方に設けられた弁室32
5内に設置されている。ストッパ328は略リング状で
あり、シャフト331に遊挿されている。このストッパ
328は、第1バネ326によって付勢されてシート面
321a側から調整部材350の下端面350bに押し
つけられている。
【0092】調整部材350は磁性体であり、その内部
には、非磁性体のシャフト331が上下動可能に設置さ
れている。この調整部材350は、その下端面350b
にてストッパ328と弁室325の底面との距離を規制
すると共に、挿通孔315への圧入量を変化させること
により下端面350bの上下位置を変化させ、ストッパ
328と弁室325の底面との距離を適宜調整するもの
である。換言すれば、調整部材350はプランジャ33
2側からシート面321a側に向かってストッパ328
を介して第1バネ326を押圧しているため、その圧入
量を調整すれば第1バネ326のバネ長さを適宜調整で
きる。また調整部材350のプランジャ対向面である上
端面350aは、ガイド314のプランジャ対向面であ
る上端面314aと略同一平面となるように設計されて
いる。
【0093】本実施例の調整部材350の長さL1は、
図15に示す閉弁時(コイル336に通電することによ
り発生する吸引力のため、第1バネ326は調整部材3
50によって決められたバネ長さよりも短くなってい
る)において、シャフト331の長さL2から、シャフ
ト331の上端面とガイド314の上端面314aとの
間隙G、及び、第1リフト量K(=ストッパ328と調
整部材350との間隙)を減じた値に設定される(下記
数1参照)。
【0094】
【数1】
【0095】ガイド314の上方にはヨーク335が設
けられ、このヨーク335の内側にはソレノイドとして
のコイル336が設置されている。このコイル336は
図示しない外部装置により通電・非通電を制御できるよ
うに電気的に接続されている。また、コイル336の内
側には非磁性体のスリーブ337が配設されている。
【0096】スリーブ337の内部には、可動鉄心であ
るプランジャ332が配置されている。シャフト331
は、プランジャ332と一体化されて調整部材350の
内側に沿って上下に移動可能となっている。シャフト3
31は非磁性体であり、下端に弁体330、上端に磁性
体のプランジャ332を備えると共に、第1段差部33
1a、第2段差部331bを備えている。第1段差部3
31aとシート面321aの周囲との間には比較的バネ
力の小さな第2バネ327が配設されている。この第2
バネ327はプランジャ332の頂部がスリーブ337
の上面に当接する位置までシャフト331及びプランジ
ャ332を付勢している。尚、この第2バネ327が本
発明の補助部材に相当する。
【0097】また、シャフト331の第2段差部331
bは、弁室325内に配設されたストッパ328と係合
可能な位置に配置されている。プランジャ332の頂部
がスリーブ337の上面に当接した位置から下方向に摺
動すると、その途中でシャフト331の第2段差部33
1bがストッパ328と係合し、その後ストッパ328
は第2段差部331bと共に下方向に移動可能なように
構成されている。
【0098】次にこの流量制御弁300の作動につき、
上述の流量制御弁と同様、ABS用の油圧回路の増圧制
御弁として用いたときを例にあげて説明する。上述した
通り、ノーマルブレーキ時では、流量制御弁300は連
通位置(非通電状態)にある。このとき、コイル336
に電流が流れていないため吸引力が発生せず、図14に
示すように、第2バネ327のバネ力により、プランジ
ャ332の頂部がスリーブ337の上面に当接する位置
で停止している。このとき、弁体330のリフト量(つ
まり弁体330とシート面321aとの間隔)は、既述
の第2リフト量になるように設計されている。
【0099】一方、ABS制御時では、コイル336に
電流が流れて磁界が発生するため、図15に示すよう
に、プランジャ332がガイド314に接近するような
吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ326、3
27のバネ力等に打ち勝ってプランジャ332がシャフ
ト331と共に下方に動き、弁体330がシート面32
1aに密着して上流側通路341と下流側通路343と
を遮断する。このとき、コイル336に通電したことに
より発生する強力な吸引力のため、シャフト331の第
2段差部331bがストッパ328を介して第1バネ3
26を押圧する。このため、第1バネ326は調整部材
350の圧入量によって決められたバネ長さよりも短く
なっている。
【0100】なお、調整部材350はガイド314と同
様、磁性体であるので、コイル336に電流が流れるこ
とにより発生する吸引力が大きくなる。また、調整部材
350の上端面350aとガイド314の上端面314
aとは略同一平面であるため、エアギャップ量が大きく
なる箇所がないので大きな吸引力が得られる。この結
果、確実に閉弁状態にすることができる。
【0101】その後、図示しない電子制御装置が車輪の
ロック傾向が解消したと判断すると既述の通り、コイル
336の通電、非通電を繰り返し行う。このとき、コイ
ル336に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だ
け切断されて上記吸引力が消失するため、図16に示す
ように、第1、第2バネ326、327のバネ力等によ
って、弁体330、シャフト331及びプランジャ33
2は上昇する。このとき、ブレーキ液は弁体330とシ
ート面321aとの間を狭まり方向に流れるため、自閉
力が弁体330に作用する。ここで、流量制御弁300
では自閉力が第2バネ327のバネ力等よりも打ち勝つ
ように設計されているため、弁体330はシート面32
1aを閉じるようとする。しかし、シャフト331の第
2段差部331bがストッパ328と係合した後は、第
1バネ326の弾性力によってシャフト331がそれ以
上下降するのを阻止するように設計されている。即ち、
第1バネ326は調整部材350によって決められたバ
ネ長さを維持する。このため、弁体330は微小の第1
リフト量Kで維持され、絞り状態で維持される。なお、
この第1リフト量、第1バネ326のバネ力については
第1実施例で既述したとおりである。
【0102】ここで、流量制御弁300の組付工程につ
いて概説する。まず、ガイド314を図示しないパレッ
ト(治具)上に配置した後、挿通孔315内に第1バネ
326、ストッパ328をこの順序で入れる。次いで、
調整部材350を挿通孔315の上方から圧入する。こ
のとき、調整部材350の上端面350aとガイド31
4の上端面314aとが略同一平面となるまで仮圧入す
る(仮圧入状態)。仮圧入状態では、調整部材350の
下端面350bは、ストッパ328を介して第1バネ3
26を弁室25の底面に押しつけている。次いで、シャ
フト331と一体化された弁体330に第2バネ327
を挿通し、このシャフト331を筒状の調整部材350
内に挿通させる。そして、このシャフト331の上端面
に下向きの荷重を徐々に加えていき、そのときのシャフ
ト変位量と荷重との関係を測定する。この結果、図17
のようなグラフが得られる。
【0103】即ち、測定開始点(シャフト変位量が最
大)からある荷重を加えたとき、シャフト331の第1
段差部331aに押されて第2バネ327が圧縮し始め
るためシャフト変位量は徐々に小さくなる。その後、シ
ャフト331の第2段差部331bがストッパ328と
当接すると、上記荷重では第1バネ326が圧縮されな
いため、シャフト331は変位しない。そして上記荷重
よりも大きな所定荷重に至ると、第1バネ326が圧縮
され始めるため、シャフト変位量は更に小さくなる。そ
の後、弁体330が弁座穴321のシート面321aに
達すると、シャフト331は停止する。
【0104】ここで、第1バネ326が圧縮される区間
K’が第1リフト量に相当する値である。従って、この
区間K’の値が当初の設計値であるKよりも例えばd
(μm)だけ大きかった場合には、調整部材350を更
にd(μm)だけ圧入すればよい。このようにして、A
BS制御時の微小なリフト量を第1リフト量Kに容易に
調整することができる。
【0105】以上詳述したように、本実施例によれば、
上記第1実施例と同様の効果を奏するほか、ABS制御
時の絞り状態における微小な第1リフト量に調整する調
整部材350を備えたことにより、部品の寸法精度がラ
フでも、組付時に所望のリフト量(第1リフト量K)に
容易に調整することができる。この結果、流量制御弁を
安価に製造できるという効果が得られる。特に、調整部
材350はガイド314の上面314a側から挿通孔3
15に圧入されているため、第1、第2バネ326、3
27などを組み付けたままの状態で、その圧入量の調整
を行うことができる。このため、調整作業を容易に行う
ことができる。
【0106】また、従来より流量制御弁を設置する場
合、例えば図43に示すように、ブレーキ液は流量制御
弁の下面側から弁室に入って側面側に抜け出るようにハ
ウジング内に油路(供給通路、排出通路)が構成されて
いるが、本実施例では上記のように上流側通路341、
下流側通路343を配設したため、従来の油路構成をそ
のまま適用できるという効果も得られる。更に、チェッ
ク弁380を下流側通路343と上流側通路341(又
は供給通路312)との間に設けたため、チェック弁3
80を内蔵しているものの体格が大きくなることがな
く、コンパクトに構成できる。
【0107】更にまた、調整部材350を磁性体とし、
プランジャ332に対向する上端面350aをガイド3
14の上端面314aと略同一平面となるように設計し
たため、閉弁時の吸引力が大きくなり、確実に閉弁する
という効果も得られる。なお、ガイド314には、いわ
ゆるシートバルブ(第1実施例のシートバルブ20を参
照)が一体として形成されているため、シートバルブを
別体として組み付けた場合に比べて、製造コストが安価
となる。
【0108】[第4実施例]図18は本実施例の流量制
御弁の概略構成を表す断面図である。ハウジング411
には、流量制御弁400の下方に連通され、M/Cから
ブレーキ液を供給する供給通路412と、流量制御弁4
00の側方に連通され、W/Cにブレーキ液を排出する
排出通路413が設けられている。ハウジング411の
内部には、流量制御弁400のガイド414がOリング
416、416により油密にシールされている。また、
ガイド414とハウジング411との間には間隙部41
8が設けられ、この間隙部418にはオイルフィルタ4
70が設けられている。
【0109】流量制御弁400のうち、磁性体であるガ
イド414の上方空間には、弁室425が形成されてい
る。またガイド414の内部には、上流側通路441
が、供給通路412から弁室425の底面に開口するよ
うに、弁室425の下方から上方に延びた形状に設けら
れている。同じくガイド414の下方には、下流側通路
443が、ガイド414の上面略中央に設けられた開口
部であるシート面421aから下方に延びたあと横方向
に曲がって排出通路413に連通するように設けられて
いる。なお、下流側通路443のうち弁室425近傍
は、径の小さな弁座穴421が形成されている。更に、
下流側通路443のうち横方向に曲がる屈曲位置には、
下方向に分岐する合流経路442が設けられている。こ
の合流経路442は下流側通路443と供給通路412
とを連通し、その途中には下流側通路443から供給通
路412に開弁可能なチェック弁480が設けられてい
る。このチェック弁480は、第3実施例のチェック弁
380と同様の役割を果たす。
【0110】以上のように各油路が形成されているた
め、供給通路412から上流側通路441を経て弁室4
25に流入してきたブレーキ液は、弁体430とシート
面421aとの隙間を通って、弁座穴421、下流側通
路443を経て、排出通路413へ流出する。
【0111】ガイド414の上方には、このガイド41
4の上端面に対して接近離間可能な磁性体のプランジャ
432が配置されている。このプランジャ432の内部
にはシート面421aに対向する位置に挿通孔415が
設けられている。また、この挿通孔415には、本発明
の弾性部材としての第1バネ426、リング状の支持台
428が内包され、更に筒状の調整部材450が圧入さ
れている。第1バネ426はバネ力の比較的大きなバネ
であり、挿通孔415の上底面415aと、シャフト4
31に遊挿された支持台428との間に配設されてい
る。支持台428の内周側には、調整部材450に遊挿
された円筒脚429が一体化されている。この円筒脚4
29の下端429b(図19、図20参照)は、プラン
ジャ432の下端面432bよりも下方に突出するよう
に設計されており、また内と外とを連通する複数の切欠
溝429aが形成されている。
【0112】筒状の調整部材450は磁性体であり、そ
の内部には、非磁性体のシャフト431が挿通されてい
る。この調整部材450は、ガイド414側から挿通孔
415へ圧入されており、その上端面450a(図1
9、図20参照)にて支持台428を介して第1バネ4
26を挿通孔415の上底面415aに押圧している。
このため、調整部材450の圧入量を調整することによ
り、第1バネ426のバネ長さを適宜調整することがで
きる。また調整部材450のガイド対向面である下端面
450b(図19、図20参照)は、プランジャ432
のガイド対向面である下端面432bと略同一平面とな
るように設計されている。
【0113】本実施例の調整部材450の長さL1は、
図19に示す閉弁時(コイル436に通電することによ
り発生する吸引力のため、第1バネ426は調整部材4
50によって決められたバネ長さよりも短くなってい
る)において、支持台428の円筒脚429の長さL2
から、プランジャ432の下端面432bとガイド41
4の上端面414aとの間隙G、及び、第1リフト量K
(=支持台428と調整部材450との間隙)を減じた
値に設定される(下記数2参照)。
【0114】
【数2】
【0115】ガイド414の上方にはヨーク435が設
けられ、このヨーク435の内側にはコイル436が設
置されている。このコイル436は図示しない外部装置
により通電・非通電を制御できるように電気的に接続さ
れている。また、コイル436の内側には非磁性体のス
リーブ437が配設されている。スリーブ437の内部
には、可動鉄心であるプランジャ432が配置されてい
る。
【0116】シャフト431は非磁性体であり、下端に
弁体430を備え、上端がプランジャ432に設けた挿
通孔415の上底面415aに固着されると共に、第1
段差部431aを備えている。第1段差部431aとシ
ート面421aの周囲との間には比較的バネ力の小さな
第2バネ427が配設されている。この第2バネ427
はプランジャ432の頂部がスリーブ437の上面に当
接する位置までシャフト431及びプランジャ432を
付勢している。尚、この第2バネ427が本発明の補助
部材に相当する。
【0117】プランジャ432の頂部がスリーブ437
の上面に当接した位置から下方向に移動すると、その途
中で支持台428の円筒脚429の下端429bがガイ
ド414の上端面414aに当たり、その後第1バネ4
26が挿通孔415の上底面415aによって圧縮され
て更に下方向に移動可能なように構成されている。
【0118】次にこの流量制御弁400の作動につき、
上記第1実施例の流量制御弁と同様、ABS用の油圧回
路の増圧制御弁として用いたときを例にあげて説明す
る。上述した通り、ノーマルブレーキ時では、流量制御
弁400は連通位置(非通電状態)にある。このとき、
コイル436に電流が流れていないため吸引力が発生せ
ず、図18に示すように、第2バネ427のバネ力によ
り、プランジャ432の頂部がスリーブ437の上面に
当接する位置で停止している。このとき、弁体430の
リフト量(つまり弁体430とシート面421aとの間
隔)は、既述の第2リフト量になるように設計されてい
る。なお、このときの第1バネ426の長さは調整部材
450の圧入量によって決められた長さとなっている。
【0119】一方、ABS制御時では、コイル436に
電流が流れて磁界が発生するため、図19に示すよう
に、プランジャ432がガイド414に接近するような
吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ426、4
27のバネ力等に打ち勝ってプランジャ432がシャフ
ト431と共に下方に動き、弁体430がシート面42
1aに密着して上流側通路441と下流側通路443と
を遮断する。このとき、支持台428の円筒脚429は
ガイド414の上端面414aに達しており、第1バネ
426は、コイル436に通電したことにより発生する
強力な吸引力のため、挿通孔415の上底面によって支
持台428側に押圧され、調整部材450の圧入量によ
って決められたバネ長さよりも短くなっている。
【0120】なお、調整部材450はプランジャ432
と同様、磁性体であるので、コイル436に電流が流れ
ることにより発生する吸引力が大きくなる。更に、調整
部材450の下端面450bとプランジャ432の下端
面432bとは略同一平面であるため、エアギャップ量
が大きくなる箇所がないので大きな吸引力が得られる。
この結果、確実に閉弁状態にすることができる。
【0121】その後、図示しない電子制御装置が車輪の
ロック傾向が解消したと判断すると既述の通り、コイル
436の通電、非通電を繰り返し行う。このとき、コイ
ル436に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だ
け切断されて上記吸引力が消失するため、図20に示す
ように、第1バネ426のバネ力等によって、弁体43
0、シャフト431及びプランジャ432は上昇する。
即ち、第1バネ426は吸引力によって長さを圧縮され
ていた状態から拡張し、調整部材450によって決めら
れたバネ長さに戻る。
【0122】このとき、ブレーキ液は弁体430とシー
ト面421aとの間を狭まり方向に流れるため、自閉力
が弁体430に作用する。ここで、流量制御弁400で
は自閉力が第2バネ427のバネ力等よりも打ち勝つよ
うに設計されているため、弁体430はシート面421
aを閉じるようとする。しかし、調整部材450が支持
台428と係合した後は、第1バネ426の弾性力によ
って、プランジャ432に設けた挿通孔415の上底面
415aがそれ以上下降するのを阻止するように設計さ
れている。即ち、第1バネ426は調整部材450によ
って決められたバネ長さを維持する。このため、弁体4
30は微小の第1リフト量Kで維持され、絞り状態で維
持される。
【0123】なお、この第1リフト量、第1バネ426
のバネ力については第1実施例で既述したとおりであ
る。また、流量制御弁400の組付工程については、上
記第3実施例の流量制御弁300の組付工程に準じて行
うことができる。以上の本実施例によれば、上記第3実
施例と同様の効果を奏する。
【0124】ところで、上記第4実施例において、流量
制御弁400のABS制御時のリフト量を設定する上
で、現実には計測誤差、組付寸法誤差等のバラツキによ
り、ABS制御時のリフト量のバラツキが発生する。こ
のため、流量制御弁400のリフト量に対する開口面積
(弁体430とシート面421aとの隙間)の変化量を
できるだけ小さくするのが、同じ第1リフト量Kに設定
する場合でも、結果として流量のバラツキを抑制するこ
とができるので好ましい。具体的には、図21に示すよ
うに、弁座穴421のシート面421aを、半球面状
(直径d2)の弁体430の形状に沿って球面状に凹む
ように、且つシート径D(弁体430とシート面421
aとが接触したときの接触部分である円の直径)が弁座
穴421の穴径d1と一致するように形成すればよい。
具体的には、球面弁座の曲率半径を弁体の半径と略同じ
だがやや大きくなるように設定すればよい。
【0125】ここで、弁体のリフト量と弁の開口面積と
の関係を表すグラフを図22に示す。シート面421a
が球面弁座の場合には、テーパ弁座と比べて弁体のリフ
ト量に対する弁の開口面積の感度が低い。例えば、図2
5に示したように、同じリフト量であっても球面弁座の
場合の方がテーパ弁座の場合に比べて開口面積が小さい
ため、リフト量に対する開口面積の感度が低いことがわ
かる。図22のグラフに戻り、ABS制御時のリフト量
のバラツキ(弁の開口面積のバラツキ)を公差幅△A内
に抑えるには、リフト量につき球面弁座の場合はK3〜
K4、テーパ弁座の場合はK1〜K2に設定する必要が
ある。このとき、これらの値は下記数3に示す関係にあ
る。
【0126】
【数3】
【0127】したがって、球面弁座の方がリフト量の公
差を大きくとることができるため、計測誤差や組付寸法
誤差等のバラツキによる、ABS制御時のリフト量のバ
ラツキの発生を抑えることができる。その結果、ABS
制御時の流量のバラツキを抑えることができ、的確な制
御が可能となる。また、閉弁状態において吸引力を受け
たとき、弁体と弁座とはそれら自身の弾性によって面接
触するが、球面の場合の方がテーパの場合に比べて接触
面積が大きくなるため、接触応力が緩和されて耐久性が
よくなり、寿命が長くなるという効果が得られる。
【0128】ところで、球面弁座の曲率半径を弁体の半
径と略同じだがやや小さくなるように設定した場合、シ
ート径Dは弁座穴径d1よりも大きな開口径と一致する
(図26(b)参照)。ここで、閉弁状態において弁体
430が流体から受ける力を考えると、シート径Dが弁
座穴径d1と一致したときの方が受圧面積(シート径に
依存する)が小さい分、流体から受ける力が小さくな
る。このため弁体430と球面弁座であるシート面42
1との接触応力が緩和され、寿命が長くなるという効果
が得られる。
【0129】このような球面弁座につき、弁座穴径d1
に対するボール径d2の比β(=d2/d1)は小さい
方が実質のシート角度(弁体430と球面弁座であるシ
ート面421aとが接触したときの接触部分における接
線のなす角度、図21参照)が小さくなり、弁体のリフ
ト量に対する開口面積の感度が下がり、好ましい。しか
し、コイル436によって吸引力が付与されて弁体43
0と球面弁座であるシート面421aとが接触した場合
を考慮すると、シート角度が小さいほど球面弁座に及ぼ
される接触応力が増大する傾向にあるので、現実的には
β=1.1〜2.2の範囲で選択するのが好ましく、β
=1.1〜1.5の範囲で選択するのがより好ましい。
【0130】なお、このような球面を有する弁体と球面
弁座を備えた構成は、上記第1〜第3実施例に採用して
もよいし、従来例である広がり流れの流量制御弁(図4
3参照)に採用してもよい。また、上記第3、第4実施
例で採用した調整部材は、第1、第2実施例に採用して
もよいし、従来例である広がり流れの流量制御弁に採用
してもよい。
【0131】[第5実施例]図23は本実施例の流量制
御弁の概略構成を表す断面図である。ハウジング511
には、流量制御弁500の下方に連通され、M/Cから
ブレーキ液を供給する供給通路512と、流量制御弁5
00の側方に連通され、W/Cにブレーキ液を排出する
排出通路513が設けられている。ハウジング511の
内部には、流量制御弁500のガイド514が油密に挿
入されている。また、ガイド514とハウジング511
との間には間隙部518が設けられ、この間隙部518
にはオイルフィルタ570が設けられている。
【0132】流量制御弁500のうち、磁性体であるガ
イド514の内部には、上下方向に貫通する挿通孔51
5が設けられている。この挿通孔515の下方にはシー
トバルブ520、上方には補助弁552及びプランジャ
532を備えたシャフト531が配置され、シートバル
ブ520の上方空間が弁室525となっている。なお、
シャフト531は大径シャフト531aと小径シャフト
531bから構成され、小径シャフト531bの下方の
テーパ状に絞られた端部に補助弁552が設けられてい
る。
【0133】シートバルブ520には、供給通路512
と弁室525とを連通する上流側通路541と、弁室5
25からシートバルブ520の中心軸に沿うようにして
下方向に延びたあと横方向に曲がって排出通路513に
連通する下流側通路543とが設けられている。下流側
通路543の弁室525側の開口部には、弁室525に
向かって広がるテーパ状のシート面521aが形成され
ている。
【0134】下流側通路543のうち横方向に曲がる屈
曲位置には、下方向に延びる連通路542が設けられて
いる。この連通路542は下流側通路543と上流側通
路541とを連通し、その途中には下流側通路543か
ら上流側通路541(又は供給通路512)に開弁可能
なチェック弁580が設けられている。このチェック弁
580は、下流側通路543の圧力が上流側通路541
の圧力よりも高くなったときに、直ちに下流側通路54
3と上流側通路541を連通させてこの状態を解消させ
る役割を果たす。
【0135】以上のように各油路が形成されているた
め、供給通路512から上流側通路541を経て弁室5
25に流入してきた流体は、主弁551とシート面52
1aとの隙間を通ってまたは主弁551と補助弁552
との隙間から主弁551のオリフィス551aを通っ
て、シート面521a、下流側通路543を経て、排出
通路513へ流出する。
【0136】弁室525には、バネ径の大きな第1バネ
526(補助弁規制部材に相当)が配置されている。こ
の第1バネ526の上端は大径シャフト531aの下端
側に取り付けられ、第1バネ526の下端はシートバル
ブ520の上端側に取り付けられている。この第1バネ
526は、シャフト531を絶えず上方に付勢してい
る。
【0137】また、弁室525には、略半球面の底部を
有するコップ状に形成された主弁551が配置され、こ
の主弁551はバネ径の小さな第2バネ527(主弁規
制部材に相当)により絶えず上方へ付勢されている。ま
た主弁551は、略半球面の底部がシート面521aに
密着・離間可能となるように設けられ、更にその底部が
シート面521aに密着した際に下流側通路543と主
弁551の内部とを連通するオリフィス551aを有し
ている。このオリフィス551aは、ABS制御におけ
る増圧量が所定量となるように、その流路面積、流路長
が決められている。なお、シート面521aはテーパ面
であってもよいし、球面であってもよい。
【0138】補助弁552は、主弁551のオリフィス
551aを開閉できるように略半球面状に形成されてい
る。この補助弁552は、主弁551の内部を主弁55
1とは独立して上下動可能に設けられており、また、補
助弁552と主弁551との隙間の断面積は、オリフィ
ス551aの流路面積よりも十分大きくなるように設定
されている。なお、オリフィス551aはストレート状
の穴であってもよいが、補助弁552と接触する開口部
分をテーパ面あるいは球面とするのが接触面積が大きく
なるため好ましい。
【0139】ガイド514の上方にはヨーク535が設
けられ、このヨーク535の内側にはソレノイドとして
のコイル536が設置されている。このコイル536は
図示しない外部装置により通電・非通電を制御できるよ
うに電気的に接続されている。また、コイル536の内
側には非磁性体のスリーブ537が配設されている。
【0140】スリーブ537の内部には、可動鉄心であ
るプランジャ532が配置されている。このプランジャ
532の下端には凸部532aが形成されており、この
凸部532aがガイド514の挿通孔515に挿入可能
な構成となっている。シャフト531は、非磁性体であ
り、プランジャ532及び補助弁552と一体化されて
上下に移動可能となっている。
【0141】次にこの流量制御弁500の作動につき、
第1実施例等と同様、ABS用の油圧回路の増圧制御弁
として用いたときを例にあげて説明する。上述した通
り、ノーマルブレーキ時では、流量制御弁500は連通
位置(非通電状態)にある。このとき、コイル536に
電流が流れていないため吸引力が発生せず、図23に示
すように、第1、第2バネ526、527は補助弁55
2および主弁551を上方に付勢して、そのバネ力によ
りプランジャ532の頂部をスリーブ537の上面に当
接させている。このとき、主弁551のリフト量(つま
り主弁551とシート面521aとの間隔)は、既述の
第2リフト量になるように設計されている。このため、
ブレーキ液が弁室525からシート面521aに流れ込
んでも主弁551に自閉力が働くことはない。
【0142】一方、ABS制御時では、コイル536に
電流が流れて磁界が発生するため、図24に示すよう
に、プランジャ532がガイド514に接近するような
吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ526、5
27のバネ力等に打ち勝ってプランジャ532がシャフ
ト531と共に下方に動き、補助弁552が主弁551
のオリフィス551aを閉鎖すると共に主弁551がシ
ート面521aに密着して上流側通路541と下流側通
路543とを遮断する。より詳しくは、図23のノーマ
ルブレーキ状態からシャフト531が下方に移動し始め
ると、補助弁552が第1バネ526に抗して下降する
と共に主弁551が補助弁552によって第2バネ52
7に抗して下降していく。つまり、第1バネ526は補
助弁552の全ストローク区間で補助弁552にバネ力
を作用させる。このため、シャフト531を吸引するの
に必要な吸引力特性は図25の破線で示すグラフとな
る。
【0143】ここで、プランジャ532は下端面に凸部
532aが形成されているため、磁束はこの凸部532
aの外周面にて半径方向(つまり補助弁552の移動方
向と略直交する方向)を向いている。この場合、プラン
ジャ532の吸引力特性は吸引ギャップ量にかかわらず
略フラットな特性になる(図25の実線を参照)。な
お、保持位置近傍では半径方向に加えて軸方向の磁束も
加わるためやや吸引力が上昇するが、主弁551がシー
ト面521aに滑り込む際にはバネ力以外に摩擦力が作
用し、上記吸引力の上昇分はこの摩擦力に抗する力とな
るので、好適である。補助弁552がオリフィス551
aを閉鎖し且つ主弁551がシート面521aを閉鎖し
たとき、補助弁552は図25の保持位置に配置される
が、この保持位置におけるプランジャ532の吸引力と
オリフィス551aを閉じるのに必要な吸引力との差が
必要以上に大きくならない。このため、保持位置におけ
る補助弁552とオリフィス551aとの接触面圧が必
要以上に大きくならず、補助弁552及びオリフィス5
51aの耐久性が向上するというメリットが得られる。
これに対して、例えば第1実施例で使用したような通常
のプランジャ(平面プランジャ)を用いた場合には磁束
は軸方向(つまり補助弁552の移動方向)を向いてい
るため、吸引力は吸引ギャップ量に反比例する(図25
の点線を参照)。このため上記接触面圧は上記凸部53
2aを有するプランジャ532を用いた場合に比べてか
なり大きくなる。
【0144】その後、図示しない電子制御装置が車輪の
ロック傾向が解消したと判断すると既述の通り、コイル
536の通電、非通電を繰り返し行う。このとき、コイ
ル536に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だ
け切断されて上記吸引力が消失するため、図26に示す
ように、第1バネ526のバネ力によって、補助弁55
2、シャフト531及びプランジャ532は上昇し、プ
ランジャ532はスリーブ537の内部上面に当接す
る。しかし、主弁551は、主弁551に及ぼされる力
すなわち(上流側通路と下流側通路との差圧)×(受圧
面積)によって閉じたままである。なお、ここでは主弁
551とシート面521aとの隙間がゼロのため狭まり
流れが生じていないが、主弁551に及ぼされる力は自
閉力の最大値と一致する。
【0145】このとき補助弁552のリフト量Kは、オ
リフィス551aの流路面積(断面積)よりもオリフィ
ス551aと補助弁552との開口面積(隙間面積)の
方が十分大きくなるような適当な値に設定されている。
このため、増圧量はオリフィス551aの流路面積、流
路長によって決定される。したがって、この補助弁55
2のリフト量Kは精度良く設定する必要がない。
【0146】また、第1バネ526が補助弁552に作
用するバネ力は、下記数4に示すようにこの流量制御弁
500を流れるブレーキ液のライン圧(最大圧力値)
に、受圧面積すなわち補助弁552の断面積を乗じた値
以上に設定されている。
【0147】
【数4】
【0148】弁室525内のブレーキ液の圧力による補
助弁552を閉じる力の最大値は、ブレーキ液のライン
圧(最大圧力値)に補助弁552の断面積を乗じた値で
あるが、第1バネ525が補助弁552に作用するバネ
力はこの値以上に設定されているため(上記数4参
照)、増圧状態のときに補助弁552がオリフィス55
1aを閉じてしまうおそれがない。
【0149】以上詳述したように、本実施例によれば、
オリフィス551aによって増圧量を調節するように構
成したため、増圧時において補助弁552のリフト量K
を精度良く設定する必要がなく、この結果、流量制御弁
500を安価に製造できるという効果が得られる。
【0150】また、本実施例では上記のように上流側通
路541を下から上向きに、下流側通路543を横向き
に配設したため、従来の油路構成をそのまま適用でき
る。そのうえ、上流側通路541がシートバルブ520
の上面側と下面側とを連通しているため、上流側通路5
41と弁室525との間で圧力差が生じることがなく、
シートバルブ520がその圧力差による力を受けること
もないので、シートバルブ520の抜け落ちを考慮して
高い圧入強度を維持すするための不必要な圧入寸法精度
も不要となる。
【0151】更に、チェック弁580を下流側通路54
3と上流側通路541(又は供給通路512)との間に
設けたため、チェック弁580を内蔵しているにもかか
わらず体格が大きくなることがなく、コンパクトに構成
できる。更に又、第1バネ525のバネ力は上記数4の
ように設定されているため、増圧状態のときに補助弁5
52がオリフィス551aを閉じてしまうおそれがな
い。
【0152】なお、プランジャ532は凸部532aを
有する代わりに、図27に示すようなテーパ部532b
を有していてもよく(便宜上、テーパプランジャと称す
る)、この場合にはガイド514の挿通孔515の開口
はこのテーパ部532bに略一致する形状に形成され
る。このテーパプランジャではコイル536に通電され
ると発生する磁束の方向はシャフト531の移動方向と
斜めに交差する方向になる。この場合、図28に示すよ
うにテーパプランジャの吸引力特性は吸引ギャップ量が
大きくなるにしたがってやや小さくなる傾向にあるた
め、必要吸引力特性と類似の傾向にあり、相性がよい。
【0153】[第6実施例]図29は本実施例の流量制
御弁の概略構成を表す断面図である。第6実施例の流量
制御弁のうち第5実施例と同様の構成要素については同
様の符号を付し、その説明を省略する。
【0154】流量制御弁600の弁室525には、バネ
径の大きな第1バネ626が配置されている。この第1
バネ626は、シャフト531を挿通している略リング
状のストッパ628を弁室525の内部上面に当接する
ように付勢している。このストッパ628は、シャフト
531の段差部633と係合可能となるように設けられ
ている。このため、プランジャ532の頂部がスリーブ
537の上面に当接した位置から下方向に摺動すると、
その途中でシャフト531の段差部633がストッパ6
28と係合し、その後ストッパ628は段差部633と
共に下方向に移動する。
【0155】次にこの流量制御弁600の作動につき、
第1実施例等と同様、ABS用の油圧回路の増圧制御弁
として用いたときを例にあげて説明する。上述した通
り、ノーマルブレーキ時では、流量制御弁600は連通
位置(非通電状態)にある。このとき、コイル536に
電流が流れていないため吸引力が発生せず、図29に示
すように、第2バネ527は補助弁552ごと主弁55
1を上方に付勢して、そのバネ力によりプランジャ53
2の頂部をスリーブ537の上面に当接させている。こ
のとき、主弁551のリフト量(つまり主弁551とシ
ート面521aとの間隔)は、既述の第2リフト量にな
るように設計されている。このため、ブレーキ液が弁室
525からシート面521aに流れ込んでも主弁551
に自閉力が働くことはない。
【0156】一方、ABS制御時では、コイル536に
電流が流れて磁界が発生するため、図30に示すよう
に、プランジャ532がガイド514に接近するような
吸引力が働き、この吸引力が第1、第2バネ626、5
27のバネ力等に打ち勝ってプランジャ532がシャフ
ト531と共に下方に動き、補助弁552が主弁551
のオリフィス551aを閉鎖すると共に主弁551がシ
ート面521aに密着して上流側通路541と下流側通
路543とを遮断する。このとき、コイル536に通電
したことにより発生する強力な吸引力のため、シャフト
531の段差部633がストッパ628を介して第1バ
ネ626を押圧する。より詳しくは、図29のノーマル
ブレーキ状態からシャフト531が下方に移動し始める
と、まず補助弁552が主弁551をバネ力の弱い第2
バネ527に抗して押し下げていき、段差部633がス
トッパ628に係合した後は補助弁552はバネ力の強
い第1バネ626に抗して更に主弁551を押し下げて
いく。このため、シャフト531を吸引するのに必要な
吸引力特性は図31の点線で示すグラフとなる。
【0157】ここで、プランジャ532の吸引力特性は
上述の通り、略フラットな特性となる。第6実施例で
は、第5実施例と比較して補助弁552の動作開始当初
は第1バネ626のバネ力が作用しない分吸引力に十分
な余裕がある(図31の初期位置における、プランジャ
の吸引力と必要吸引力との差が大きい)ため、応答性に
優れるという利点がある。また、第5実施例と同様、補
助弁552がオリフィス551aを閉鎖したときの補助
弁552の接触面圧が必要以上に大きくならず、補助弁
552及びオリフィス551aの耐久性が向上するとい
うメリットが得られる。
【0158】その後、図示しない電子制御装置が車輪の
ロック傾向が解消したと判断すると既述の通り、コイル
536の通電、非通電を繰り返し行う。このとき、コイ
ル536に流れていた電流が数ms(例えば6ms)だ
け切断されて上記吸引力が消失するため、図32に示す
ように、第1バネ626のバネ力等によって、補助弁5
52、シャフト531及びプランジャ532は上昇し、
増圧位置(図32の位置)に配置される。しかし、主弁
551は、主弁551に及ぼされる力すなわち(上流側
通路と下流側通路との差圧)×(受圧面積)によって閉
じたままである。なお、ここでは主弁551とシート面
521aとの隙間がゼロのため狭まり流れが生じていな
いが、主弁551に及ぼされる力は自閉力の最大値と一
致する。
【0159】ここで、流量制御弁500では、弁室52
5の内部上面に当接したストッパ628にシャフト53
1の段差部633が係合した状態において、補助弁55
2のリフト量Kはオリフィス551aの流路面積(断面
積)よりもオリフィス551aと補助弁552との開口
面積(隙間面積)の方が十分大きくなるような適当な値
に設定されている。このため、増圧量はオリフィス55
1aの流路面積、流路長によって決定される。したがっ
て、この補助弁552のリフト量Kは精度良く設定する
必要がない。
【0160】以上詳述したように、本実施例によれば、
第5実施例と同様の効果が得られるほか、ABS制御時
の補助弁552の応答性に優れるという効果が得られ
る。なお、プランジャ532は凸部532aを有する代
わりに、図27のようなテーパプランジャを採用しても
よい。また、図33に示すような下端面が平面である平
面プランジャ632を採用してもよい。この場合、平面
プランジャ632の下端面とガイド514の上端面との
間に発生する磁束の方向はシャフト531の移動方向
(つまり補助弁552の移動方向)と一致するため、吸
引力は吸引ギャップ量に反比例する(図31の点線を参
照)。つまり、平面プランジャ632の吸引力特性は吸
引ギャップ量が減少するにつれて増加するが、この傾向
は第6実施例の必要吸引力特性(図31の破線を参照)
と類似している。このため、補助弁551の移動途中で
第1バネ626のバネ力が作用する構成は、平面プラン
ジャとの相性がよい。また、図27のようなテーパプラ
ンジャを採用してもよい。
【0161】上記第5、第6実施例では、以下に示す
〜の構成を採用してもよい。 図26又は図32のような増圧状態において、オリフ
ィス551aからブレーキ液が下流側通路543へ流出
したとき、主弁内部551inの圧力が低下すると主弁5
51が開放する方向(上方向)の力が作用するおそれが
あるため、主弁内部551inと弁室525とを積極的に
連通させて主弁内部551inの圧力低下を防止すること
が好ましい。例えば、図34に示すように主弁551の
側面に主弁内部551inと弁室525とを連通させる導
通穴553を1つ又は複数設けてもよい。あるいは、図
35に示すように小径シャフト531bを面取り形状
(例えば2面幅)にして、この面取り部分と主弁551
との間隙を通じて主弁内部551inと弁室525とを連
通させてもよい。なお、図35は図34のA−A断面図
である。
【0162】上記第5、第6実施例では、上流側通路
541は、シートバルブ520に上下方向に貫通する穴
を開けることにより形成したが、図36に示すようにシ
ートバルブ520の外周面に少なくとも1つの連通溝を
設けて形成してもよい。この場合、シートバルブの穴加
工が不要になり、例えば冷間鍛造等の加工で外周面と同
時にこの連通溝が形成できるという利点がある。この連
通溝は、図36(b)に示すように丸溝であってもよい
し、図36(c)に示すように面取り形状であってもよ
いし、図36(d)に示すように、2面幅形状であって
もよい。2面幅形状は通路面積を大きく取れるので好ま
しい。
【0163】球面を有する補助弁552の直径はオリ
フィス径に対して、0.05〜0.2mm(あるいは
1.1〜1.7倍)の範囲で大きくなるように設定する
のが好ましい。補助弁552の直径が下限値未満の場
合、寸法精度を高くしないと補助弁552がオリフィス
551a内に入り込むおそれがあるため好ましくない。
一方、上限値を越えた場合、補助弁552あるいはオリ
フィス551aが経時的に摩耗したとき受圧面積が大き
くなり過ぎて補助弁552にかかるブレーキ液の圧力に
よって本来開いているべき補助弁552が閉じてしまう
おそれがあるため好ましくなく、また、この点を考慮し
て第1バネ526(又は626)のバネ力を強くすると
それに応じてコイルの巻き数が増え、コイル径も大きく
なるため好ましくない。
【0164】なお、上記第1〜第4実施例においても凸
部を有するプランジャ(図23参照)やテーパ面を有す
るプランジャ(図27参照)を用いてもよく、この場合
も弁体及びシート面の接触面圧が軽減されるため耐久性
が向上するという効果が得られる。また、上記第3、第
4実施例においても、第5、第6実施例のように上流側
通路及び下流側通路を備えたシートバルブをガイドには
め込む構成を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の流量制御弁の概略構成を表すと
共に連通位置(非通電状態)を表す断面図である。
【図2】 ABS用の油圧回路図である。
【図3】 M/C油圧とリフト量との関係、及び、弁体
が自閉を開始するW/C油圧とリフト量との関係を表す
グラフである。
【図4】 第1実施例の流量制御弁の遮断位置(通電状
態)を表す断面図である。
【図5】 第1実施例の流量制御弁の絞り状態を表す断
面図である。
【図6】 狭まり流れの場合と広がり流れの場合の各々
につき、弁リフト量と弁への作用力との関係を表すグラ
フである。
【図7】 第1リフト量における差圧と増圧量との関係
を表すグラフである。
【図8】 (a)は第1実施例の変形例の要部断面図、
(b)は比較例の要部断面図である。
【図9】 第2実施例の流量制御弁の概略構成を表すと
共に連通位置(非通電状態)を表す断面図である。
【図10】 第2実施例の流量制御弁の遮断位置(通電
状態)を表す断面図である。
【図11】 第2実施例の流量制御弁の絞り状態を表す
断面図である。
【図12】 第2実施例の流量制御弁がチェック弁とし
て機能したときの様子を表す断面図である。
【図13】 第2実施例の変形例の断面図である。
【図14】 第3実施例の流量制御弁の概略構成を表す
と共に連通位置(非通電状態)を表す断面図である。
【図15】 第3実施例の流量制御弁の遮断位置(通電
状態)を表す断面図である。
【図16】 第3実施例の流量制御弁の絞り状態を表す
断面図である。
【図17】 シャフト変位量と荷重との関係を表すグラ
フである。
【図18】 第4実施例の流量制御弁の概略構成を表す
と共に連通位置(非通電状態)を表す断面図である。
【図19】 第4実施例の流量制御弁の遮断位置(通電
状態)を表す断面図である。
【図20】 第4実施例の流量制御弁の絞り状態を表す
断面図である。
【図21】 球面弁座の説明図である。
【図22】 球面弁座とテーパ弁座に関し、弁体のリフ
ト量と弁の開口面積との関係を表すグラフである。
【図23】 第5実施例の流量制御弁の概略構成を表す
と共に連通位置(非通電状態、ノーマルブレーキ状態)
を表す断面図である。
【図24】 第5実施例の流量制御弁の保持位置(通電
状態)を表す断面図である。
【図25】 第5実施例の吸引ギャップ量と吸引力との
関係を表すグラフである。
【図26】 第5実施例の流量制御弁の増圧位置(絞り
状態すなわち増圧状態)を表す断面図である。
【図27】 第5実施例の変形例の説明図である。
【図28】 第5実施例の変形例の吸引ギャップ量と吸
引力との関係を表すグラフである。
【図29】 第6実施例の流量制御弁の概略構成を表す
と共に連通位置(非通電状態、ノーマルブレーキ状態)
を表す断面図である。
【図30】 第6実施例の流量制御弁の保持位置(通電
状態)を表す断面図である。
【図31】 第6実施例の吸引ギャップ量と吸引力との
関係を表すグラフである。
【図32】 第6実施例の流量制御弁の増圧位置(絞り
状態すなわち増圧状態)を表す断面図である。
【図33】 平面プランジャの説明図である。
【図34】 主弁内部と弁室とを連通する構造の説明図
である。
【図35】 図34のA−A断面に相当する、主弁内部
と弁室とを連通する構造の説明図である。
【図36】 連通溝を有するシートバルブの説明図であ
り、(a)は縦断面図、(b)〜(d)はB−B断面図
である。
【図37】 補助弁の直径とオリフィス径との関係を表
す説明図である。
【図38】 弁体のリフト量と自閉力の大きさとの関係
を表す説明図である。
【図39】 自閉差圧と弁体のリフト量との関係を表す
グラフである。
【図40】 球面弁座とテーパ弁座に関し、リフト量に
対する開口面積の感度を表す説明図である。
【図41】 シート径と弁座穴径の関係による受圧面積
の変化を表す説明図である。
【図42】 従来の流量制御弁の説明図である。
【図43】 従来の流量制御弁の説明図である。
【符号の説明】
2・・・減圧制御弁、4・・・リザーバ、6・・・ポン
プ、10・・・流量制御弁、11・・・ハウジング、1
2・・・供給通路、13・・・排出通路、14・・・ガ
イド、17・・・上流側通路、18・・・間隙部、20
・・・シートバルブ、21・・・下流側通路、21a・
・・シート面、25・・・弁室、26・・・第1バネ、
27・・・第2バネ、28・・・ストッパ、30・・・
弁体、31・・・シャフト、32・・・プランジャ、3
3・・・凸部、35・・・ヨーク、36・・・コイル、
37・・・スリーブ、38・・・コアステータ。

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体が上流側通路から弁室を経て下流側
    通路に至るように形成された流路と、 該弁室内にて前記下流側通路の開口部を開放又は閉鎖す
    る弁体と、 閉弁状態から開弁状態に移行する際、前記上流側通路か
    ら流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過
    することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方
    向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、弾性力
    によって前記弁体と前記開口部との間隙が微小の第1リ
    フト量となるように前記弁体を維持する弁体維持機構と
    を備えたことを特徴とする流量制御弁。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の流量制御弁であって、 前記弁体維持機構は、 閉弁状態から開弁状態に移行する際に、前記弁体を前記
    開口部から離間させる方向の弾性力によって前記自閉力
    と拮抗させて前記弁体を所定の第1リフト量で維持する
    弾性部材を備えたことを特徴とする流量制御弁。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の流量制御弁であっ
    て、 前記自閉力が前記弁体に作用し始めるときの前記上流側
    通路の流体圧力と前記下流側通路の流体圧力との差圧
    (以下「自閉差圧」という)とリフト量との関係には、
    少なくとも、リフト量がL0 未満の領域であって自閉差
    圧がP0 で略一定である自閉差圧の小さな第1領域と、
    リフト量がL0 を超える領域であって自閉差圧がP0
    ら増大する自閉差圧の大きな第2領域とが存在し、前記
    第1リフト量はこのうちの第1領域の所定のリフト量に
    設定されていることを特徴とする流量制御弁。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の流量制
    御弁であって、 前記弁体維持機構は、(弾性力/弁体の受圧面積)が自
    閉差圧の最大値以上に設定されていることを特徴とする
    流量制御弁。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の流量制
    御弁であって、 前記弁体が前記開口部を開放するのを補助する補助部材
    を備え、 通常の開弁時には、前記弁体は前記補助部材によって前
    記自閉力が作用しないほど大きな第2リフト量に維持さ
    れることを特徴とする流量制御弁。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の流量制
    御弁であって、 前記上流側通路及び前記下流側通路を内蔵するガイド
    と、前記ガイドが油密に圧入されたハウジングとを備
    え、 前記ガイドと前記ハウジングとの間隙に前記下流側通路
    から前記上流側通路に向かって開弁するチェック弁を前
    記ガイドの側面に沿って設けたことを特徴とする流量制
    御弁。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の流量制
    御弁であって、 前記弁体は、閉弁時において、前記上流側通路の流体圧
    力によって前記下流側通路の開口部を閉鎖するが、前記
    下流側通路の流体圧力が前記上流側通路の流体圧力より
    も大きくなったときには前記下流側通路の開口部を開放
    してチェック弁としての機能を果たすことを特徴とする
    流量制御弁。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の流量制
    御弁であって、 前記上流側通路は前記弁室の下方から上方に延びて該弁
    室の底面に開口するように形成され、前記下流側通路は
    前記弁室の底面に設けられた前記開口部から下方に延び
    たあと横方向に屈曲した形状に形成されていることを特
    徴とする流量制御弁。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の流量制御弁であって、 前記下流側通路は、前記弁室の底面に設けられた前記開
    口部から下方に延びたあと、横方向に屈曲する流出用経
    路と前記上流側通路に合流する合流経路とに分岐され、
    該合流経路には前記流出用経路から前記上流側通路に向
    かって開弁するチェック弁が設けられていることを特徴
    とする流量制御弁。
  10. 【請求項10】 流体が上流側通路から弁室を経て下流
    側通路に至るように形成された流路と、 該弁室内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいず
    れかの開口部を開放又は閉鎖する弁体と、 閉弁状態から開弁状態に移行する際、前記上流側通路か
    ら流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過
    することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方
    向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、弾性力
    によって前記弁体と前記開口部との間隙が所定の微小リ
    フト量となるように前記弁体を維持する弁体維持機構と
    を備えた流量制御弁であって、 前記弁体維持機構は、 閉弁状態から開弁状態に移行する際に、前記弁体を前記
    開口部から離間させる方向の弾性力によって前記自閉力
    と拮抗させて前記弁体をあるリフト量で維持する弾性部
    材と、 前記弾性部材によって維持される前記弁体のリフト量を
    所定の第1リフト量となるように調整する調整部材とを
    備えたことを特徴とする流量制御弁。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の流量制御弁であっ
    て、 前記弁室を備えたガイドと、 前記ガイドに対向して設けられ、該ガイドに対して接近
    離間可能なプランジャと、 前記ガイドに設けられ、前記弾性部材を内包すると共
    に、該弾性部材を前記プランジャ側から前記開口部側に
    押圧する筒状の前記調整部材が圧入された挿通孔と、 一端に前記弁体、他端に前記プランジャを有し、前記筒
    状の調整部材に挿通されたシャフトと、 前記弁体が前記開口部を開放するのを補助する補助部材
    とを備えたことを特徴とする流量制御弁。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の流量制御弁であっ
    て、 前記ガイド、前記プランジャ及び前記調整部材はいずれ
    も磁性体であり、ソレノイドコイルに通電されると、前
    記ガイド及び前記調整部材は前記プランジャを吸引して
    前記弾性部材及び前記補助部材の付勢に抗して前記弁体
    を閉弁状態にすることを特徴とする流量制御弁。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の流量制御弁であっ
    て、 前記ガイドのうち前記プランジャに対向する面と、前記
    調整部材のうち前記プランジャに対向する面とは、略同
    一平面をなすことを特徴とする流量制御弁。
  14. 【請求項14】 請求項10記載の流量制御弁であっ
    て、 前記開口部を備えたガイドと、 前記ガイドに対向して設けられ、該ガイドに対して接近
    離間可能なプランジャと、 前記プランジャに設けられ、前記弾性部材とこの弾性部
    材を閉弁時に前記開口部から所定距離隔てた位置にて支
    持する支持台とを内包すると共に、前記弾性部材を前記
    ガイド側から前記支持台を介して押圧する前記調整部材
    が圧入された挿通孔と、 一端に前記弁体を有し、前記筒状の調整部材に挿通され
    た状態で他端が前記プランジャに固着されたシャフト
    と、 前記弁体が前記開口部を開放するのを補助する補助部材
    とを備えたことを特徴とする流量制御弁。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の流量制御弁であっ
    て、 前記ガイド、前記プランジャ及び前記調整部材はいずれ
    も磁性体であり、ソレノイドコイルに通電されると、前
    記ガイドは前記プランジャ及び前記調整部材を吸引して
    前記弾性部材及び前記補助部材の付勢に抗して前記弁体
    を閉弁状態にすることを特徴とする流量制御弁。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の流量制御弁であっ
    て、 前記プランジャのうち前記ガイドに対向する面と、前記
    調整部材のうち前記ガイドに対向する面とは、略同一平
    面をなすことを特徴とする流量制御弁。
  17. 【請求項17】 流体が上流側通路から弁室を経て下流
    側通路に至るように形成された流路と、 該弁室内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいず
    れかの開口部を開放又は閉鎖する弁体と、 閉弁状態から開弁状態に移行した時、前記上流側通路か
    ら流出した流体が前記弁体と前記開口部との隙間を通過
    することによって前記弁体には前記開口部を閉鎖する方
    向の力(以下「自閉力」という)が作用するが、弾性力
    によって前記弁体と前記開口部との間隙が所定の微小リ
    フト量となるように前記弁体を維持する弁体維持機構と
    を備えた流量制御弁であって、 前記弁体は球面を持つ形状に形成され、前記開口部には
    前記弁体の球面の曲率半径と略一致する球面弁座が形成
    され、前記弁体と前記球面弁座とが接触したときの接触
    部分である円の直径即ちシート径は前記球面弁座の穴径
    と略一致することを特徴とする流量制御弁。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の流量制御弁であっ
    て、 前記球面弁座の穴径に対する前記弁体の球の直径の比は
    1.1〜1.5の範囲内であることを特徴とする流量制
    御弁。
  19. 【請求項19】 流体が上流側通路から弁室を経て下流
    側通路に至るように形成された流路と、 該弁室内にて前記下流側通路又は前記上流側通路のいず
    れかの開口部を開放又は閉鎖する弁体とを備えた流量制
    御弁であって、 前記弁体は球面を持つ形状に形成され、前記開口部には
    前記弁体の球面の曲率半径と略一致する球面弁座が形成
    され、前記弁体と前記球面弁座とが接触したときの接触
    部分である円の直径即ちシート径は前記球面弁座の穴径
    と略一致することを特徴とする流量制御弁。
  20. 【請求項20】 流体が上流側通路から弁室を経て下流
    側通路に至るように形成された流路と、 該弁室内にて前記下流側通路の開口部に対して密着又は
    離間可能であり、前記弁室と前記下流側通路とを連通す
    るオリフィスを備えた主弁と、 前記主弁を絶えず前記下流側通路の開口部から離間する
    方向に付勢する主弁規制部材と、 前記オリフィスを開放又は閉鎖可能であり、前記オリフ
    ィスを閉鎖した状態で前記主弁と共に前記開口部に向か
    って移動可能な補助弁と、 前記補助弁が前記オリフィスを閉鎖した状態で前記主弁
    と共に前記開口部に向かって移動する全範囲で前記補助
    弁に弾性力を作用させる補助弁規制部材と、 通電されると、前記補助弁が前記主弁の前記オリフィス
    を閉鎖した状態で前記主弁規制部材及び前記補助弁規制
    部材に抗して前記補助弁を前記主弁と共に移動させて前
    記主弁を前記下流側通路の開口部に密着させる吸引力を
    発生させるソレノイドコイルとを備え、 前記ソレノイドコイルが通電状態から非通電状態に移行
    すると、前記主弁は前記弁室内の圧力により前記主弁規
    制部材に抗して前記下流側通路の開口部に密着したまま
    の状態を維持する一方、前記補助弁は前記補助弁規制部
    材により前記オリフィスを十分開放して増圧状態となる
    ことを特徴とする流量制御弁。
  21. 【請求項21】 流体が上流側通路から弁室を経て下流
    側通路に至るように形成された流路と、 該弁室内にて前記下流側通路の開口部に対して密着又は
    離間可能であり、前記弁室と前記下流側通路とを連通す
    るオリフィスを備えた主弁と、 前記主弁を絶えず前記下流側通路の開口部から離間する
    方向に付勢する主弁規制部材と、 前記オリフィスを開放又は閉鎖可能であり、前記オリフ
    ィスを閉鎖した状態で前記主弁と共に前記開口部に向か
    って移動可能な補助弁と、 前記補助弁が前記オリフィスを閉鎖した状態で前記主弁
    と共に前記開口部に向かって移動する途中で前記補助弁
    に弾性力を作用させる補助弁規制部材と、 通電されると、前記補助弁が前記主弁の前記オリフィス
    を閉鎖した状態で前記主弁規制部材及び前記補助弁規制
    部材に抗して前記補助弁を前記主弁と共に移動させて前
    記主弁を前記下流側通路の開口部に密着させる吸引力を
    発生させるソレノイドコイルとを備え、 前記ソレノイドコイルが通電状態から非通電状態に移行
    すると、前記主弁は前記弁室内の圧力により前記主弁規
    制部材に抗して前記下流側通路の開口部に密着したまま
    の状態を維持する一方、前記補助弁は前記補助弁規制部
    材により前記オリフィスを十分開放して増圧状態となる
    ことを特徴とする流量制御弁。
  22. 【請求項22】 前記補助弁と一体化された磁性体から
    なるプランジャと、 前記補助弁の移動を案内する磁性体からなるガイドとを
    備え、 前記ソレノイドコイルが通電されると、前記ガイドには
    前記補助弁の移動方向と交差する方向に磁束が発生して
    前記プランジャを前記ガイドに吸引することにより、前
    記補助弁が前記主弁の前記オリフィスを閉鎖した状態で
    前記主弁規制部材及び前記補助弁規制部材に抗して前記
    主弁と共に移動して前記主弁が前記下流側通路の開口部
    に密着することを特徴とする請求項20又は21記載の
    流量制御弁。
  23. 【請求項23】 前記補助弁の直径は前記オリフィスの
    内径より0.05〜0.2mm大きいことを特徴とする
    請求項20〜22のいずれかに記載の流量制御弁。
  24. 【請求項24】 前記増圧状態において、前記補助弁規
    制部材が前記補助弁に作用する弾性力は、前記流路を流
    れる流体圧の最大圧力値に前記補助弁の断面積を乗じた
    値以上に設定されていることを特徴とする請求項20〜
    23のいずれかに記載の流量制御弁。
  25. 【請求項25】 前記上流側通路は前記弁室の下方から
    上方に延びて該弁室の底面に開口するように形成され、
    前記下流側通路は前記弁室の底面に設けられた前記開口
    部から下方に延びたあと横方向に屈曲した形状に形成さ
    れていることを特徴とする請求項20〜24のいずれか
    に記載の流量制御弁。
  26. 【請求項26】 前記上流側通路及び前記下流側通路が
    形成されたシートバルブが一端から圧入されて該シート
    バルブの上部空間に前記弁室が形成されるガイドを備
    え、前記上流側通路は前記シートバルブを上下方向に貫
    通することを特徴とする請求項25記載の流量制御弁。
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