JP4291453B2 - 木材保存剤 - Google Patents
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Description
本発明は、急激な温度変化にも安定な物理性状を有し、且つ実用上優れた防腐防カビ効果をもつサスポエマルジョン型の木材保存剤に関する。
【0001】
【従来の技術】
従来、木材保存剤は、取扱いの容易さ、または特定の組み合わせが相乗効果を奏するため、しばしば木材に混合物として処理されてきた。使用の容易性作業の効率化のためには、あらかじめ混合した液体配合物を木材処理業者に提供することが望ましい。しかしながら、全ての木材防カビ剤の組み合わせが相溶性なわけでなく、また長期間安定なわけでもない。特に液状又は低融点の木材防腐防カビ剤と水にも油にも難溶性の木材防腐防カビ剤はその相溶性に大きな問題があり実用性のある混合物を作るのは非常に難しかった。
【0002】
上記の問題に対する一つの解決方法として、サスポエマルジョン製剤が知られている。サスポエマルジョン(SE)とは、1つの成分のエマルジョン濃縮物(EC)と、他成分のサスペンジョン濃縮物(SC)との混合物であり、取扱いの容易さ等により種々の組成が検討されてきた。
【0003】
例えば(イ)植物保護有効物質の新規なサスポエマルジョン(特開昭63−83001)、(ロ)スルホ尿素系又はフェニル尿素系からの除草剤を用いたフェノキサプロップエチルの保存安定性の技術に困難のないサスポエマルジョン製剤(特開平5−132406)、(ハ)スルホニル尿素を水分散液にしたサスポエマルジョン製剤(特開平6−219913)、(ニ)固体としてジチオカルバマートを含み、乳化された成分としてトリアゾール、モルホリンまたはピリミジンを含むサスポエマルジョン製剤(特開平8−67603)等が知られている。
【0004】
しかしながら、(イ)〜(ニ)のサスポエマルジョン製剤は、高い溶解力をもった有機溶剤を使用した場合、物理的な製剤安定性を長期にわたって保持させることは困難である。このため保存環境の悪い条件下で放置された薬剤は、低温下では結晶析出やエマルジョンの破壊、高温下ではエマルジョンとサスペンジョンの凝集等の問題が発生するという問題点がある。
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高温、低温のいずれの温度領域においても物理性状を安定に保ち、且つ実用上問題のない保存安定性を示すサスポエマルジョン型の木材防腐防カビ剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、これらの課題を解決するため種々研究した結果、高温、低温のいずれの温度領域においても物理性状を安定に保ち、且つ実用上問題のない保存安定性を示すサスポエマルジョン型の木材防腐防カビ剤を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明は、
(1) 水に対する溶解度が25℃で100ppm以下である水難溶性木材防腐防カビ剤(a)と、水難溶性炭化水素系溶剤(b)と、水に対する溶解度と油に対する溶解度が25℃で100ppm以下である水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)と、界面活性剤(d)と、水(e)とを含有し、界面活性剤(d)がポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ジアルキルスルホこはく酸塩、ソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種以上であるサスポエマルジョン型の木材保存剤、
【0007】
(2) 水難溶性木材防腐防カビ剤(a)が0.1〜30重量部、水難溶性炭化水素系溶剤(b)が0.1〜50重量部、水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)が0.1〜30重量部、界面活性剤(d)が1〜15重量部、水(e)が25〜97.8部であることを特徴とする(1)に記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤、
【0008】
(3) 水難溶性炭化水素系溶剤(b)が互いに同一若しくは異なる1〜4の炭素数2〜10のアルキル基で置換された芳香族系炭化水素系溶剤である(1)又は(2)のいずれか一つに記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤、
【0009】
(4) 水難溶性炭化水素系溶剤(b)が、互いに同一若しくは異なる1〜4の炭素数2〜10のアルキル基で置換されたアルキルナフタレン又はフェニル基が互いに同一若しくは異なる1〜3の炭素数1〜10のアルキル基で置換されたジフェニルエタン誘導体である(1)〜(3)のいずれか一つに記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤、
【0010】
(5) 粒径が0.1〜5μmである(1)〜(4)のいずれか一つに記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤、
【0011】
(6) 水難溶性木材防腐防カビ剤(a)0.1〜30重量部と、水難溶性炭化水素系溶剤(b)0.1〜50重量部と、界面活性剤(d1)1.0〜15重量部と、水(e1)10〜97.8重量部とを乳化機または湿式粉砕機を用いて乳化したエマルジョン部と、水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)0.1〜30重量部と、界面活性剤(d2)1〜(15重量部−エマルジョン部で使用した界面活性剤重量部)重量部と、水(e2)10〜(97.8重量部−エマルジョン部で使用した水重量部)重量部とを湿式粉砕機で微粒子化したサスペンジョン部を混合する(1)〜(5)のいずれか一つに記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤の製造方法、
を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の水難溶性防腐防カビ剤(a)とは、水に対する溶解度が25℃で100ppm以下の防腐防カビ剤を言う。
このような水難溶性木材防腐防カビ剤としては、例えば、1−[2−(2’,4’−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4トリアゾール (プロピコナゾール)、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール (テブコナゾール)、
【0013】
2−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピル−エチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール (シプロコナゾール)、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカルボナートが挙げられ、さらに3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバマート (IPBC)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等がより好適なものとして挙げられる。本発明の木材保存剤には、これらの水難溶性木材防腐防カビ剤を1種以上用いることも可能である。
【0014】
本発明で使用される水難溶性炭化水素系溶剤(b)は、互いに同一若しくは異なる1〜4の炭素数2〜10のアルキル基で置換された芳香族系炭化水素系溶剤であり、具体的には例えばアルキルベンゼン、アルキルナフタレン若しくはジフェニルエタン誘導体等が挙げられ、好ましくはアルキルナフタレン若しくはジフェニルエタン誘導体が用いられる。
【0015】
アルキルナフタレンとしては、ナフタレン骨格に互いに同一もしくは異なる1〜4種の炭素数2〜10のアルキル基が付加されているものが好ましく、例えばメチルナフタレン、ジメチルナフタレン、ジメチルモノプロピルナフタレン(例えば商標名:PAD−1、日鉱石油化学株式会社製)、ジメチルジプロピルナフタレン(例えば商標名:PAD−2、日鉱石油化学株式会社製)、モノメチルモノプロピルナフタレン(例えば商標名:PAD−3、日鉱石油化学株式会社製)が挙げられ、さらにジイソプロピルナフタレン(例えば商標名:KMC−113、呉羽化学工業株式会社製)が好適なものとして挙げられる。アルキルナフタレン中のアルキル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でも良く、2以上のアルキル基を有する場合は、同種のみならず異種のアルキル基を有していても良い。
【0016】
ジフェニルエタン誘導体としてはフェニル基が互いに独立した1〜3種の炭素数1〜10のアルキル基で置換されたものが好ましい。例えばフェニルキシリルエタン(例えば商標名:ハイゾールSAS−296、日本石油株式会社製)が好適なものとして挙げられる。
本発明の水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)とは、水及び油に対する溶解度が25℃で100ppm以下の木材防腐防カビ剤を言う。
【0017】
このような水及び油難溶性木材防腐防カビ剤としては、例えば、メチル−2−ベンツイミダゾールカルバマート (BCM)、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル (TPN)等が好適なものとして挙げられる。本発明の木材保存剤には、これらの水及び油難溶性木材防腐防カビ剤を1種以上用いることも可能である。
【0018】
本発明で使用される界面活性剤(d)、界面活性剤(d1)及び界面活性剤(d2)としては、ノニオン系、アニオン系界面活性剤が用いられる。具体的には例えばポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ジアルキルスルホこはく酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル等でありこれらを単独で用いても、併用しても良い。
【0019】
ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルとしては、好ましくは、ポリオキシエチレン(5〜40モル)のトリスチリルフェニルエーテル等が挙げられ、例えば、ポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(例えば商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)、ポリオキシエチレン(19モル)トリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(14モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOROPOL T−15、東邦化学工業株式会社製)等が好適なものとして挙げられる。
【0020】
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、好ましくは平均分子量が500〜20,000、より好ましくは2,000〜15,000、さらにより好ましくは4,000〜12,000のものが挙げられる。また当該ブロックポリマー中のポリオキシエチレンの比率は5〜70%が好ましく、より好ましくは20〜65%である。
【0021】
ジアルキルスルホこはく酸塩としては、好ましくは炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基をもつものが好ましく、ジイソブチルスルホこはく酸塩、ジアミルスルホこはく酸塩、ジシクロヘキシルスルホこはく酸塩、ジヘキシルスルホこはく酸塩、ジオクチルスルホこはく酸塩、ジトリデシルスルホこはく酸塩等が好適なものとして挙げられる。
【0022】
ここでいう塩としては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。より具体的には、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム塩(例えば商標名:エアロールCT−1、東邦化学工業株式会社製)、ジアルキルスルホこはく酸ナトリウム(例えば商標名:Newcol 290M、日本乳化剤株式会社製)、ジアルキルスルホこはく酸マグネシウム塩(例えば商標名:ニューカルゲンEP−3、竹本油脂株式会社製)等が好適なものとして挙げられる。
【0023】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、炭素数5〜20の脂肪酸とソルビタンのエステルが好ましく、モノパルチミン酸ソルビタン(例えば商標名:NIKKOL SP−10、日光ケミカルズ株式会社製)、セスキステアリン酸ソルビタン(例えば商標名:NIKKOL SS−15、日光ケミカルズ株式会社製)が挙げられ、さらにモノオレイン酸ソルビタン(例えば商標名:シルバンS−80、松本油脂製薬株式会社製)、トリオレイン酸ソルビタン(例えば商標名:RY−425、松本油脂製薬株式会社製)、トリステアリン酸ソルビタン(例えば商標名:NIKKOL SS−30、日光ケミカルズ株式会社製)等が好適なものとして挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種又は複数組み合わせて用いることができる。
本発明の木材保存剤は、これらの他に水(e)を必須とする。
【0024】
本発明の木材保存剤の安定性を阻害しない範囲で界面活性剤(d)以外の公知慣用の界面活性剤を添加し得る。当該界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンキャスターオイルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンエステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビット脂肪酸エステル類等のノニオン界面活性剤が挙げられる。また、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、農薬製剤に通常使用されるアニオン界面活性剤を少量添加することもできる。
【0025】
また、本発明の木材保存剤の安定性を阻害しない範囲で水難溶性炭化水素系溶剤(b)以外の有機溶剤を添加し得る。当該有機溶剤としては、ケトン類、脂肪酸エステル類、フタル酸エステル類、植物油等が挙げられる。
【0026】
本発明の木材保存剤は、上記成分以外に、必要に応じて公知慣用の消泡剤、凍結防止剤、防腐剤、増粘剤等の添加剤を含んでいてもよい。消泡剤としては例えばシリコン系のものが、凍結防止剤としては例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール類や、グリコールエーテル類、尿素等が、好適に使用される。さらに防腐剤としては例えばベストサイド1000(大日本インキ化学工業株式会社製)、ベストサイド300(大日本インキ化学工業株式会社製)等の工業用途の水系混合物に使用される防腐剤が挙げられる。また、増粘剤としてはキサンタンガム、ウエランガム等のヘテロポリサッカライドガム、ベントナイト等の無機鉱物、コロイダルシリカ等が好適に使用される。
【0027】
次に本発明の木材保存剤の製造方法の概要を説明する。
本発明のサスポエマルジョン型の木材保存剤の製造法は、水難溶性木材防腐防カビ剤(a)と、水難溶性炭化水素系溶剤(b)と、界面活性剤(d1)と、水(e1)とを含むエマルジョン部と、水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)と、界面活性剤(d2)と、水(e2)とを含むサスペンジョン部の作製を別々に行い、最後にこの2液を混合する。
【0028】
水難溶性木材防腐防カビ剤(a)を0.1〜30重量部、水難溶性炭化水素系溶剤(b)を0.1〜50重量部、界面活性剤(d1)1.0〜15重量部を混合し、水(e1)10〜97.8重量部中に加えて撹拌混合し、更に乳化機又は湿式粉砕機により粒径を0.1〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmまで微粒子化しエマルジョン部を製造する。次に界面活性剤(d2)1〜(15重量部−エマルジョン部で使用した界面活性剤重量部)重量部、水(e2)10〜(97.8重量部−エマルジョン部で使用した水重量部)重量部を混合した水溶液に水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)0.1〜30重量部を混合撹拌して分散させ湿式粉砕し粒径を0.1〜2μm、より好ましくは0.1〜1μmまで微粒化しサスペンジョン部を製造する。但し、上述した界面活性剤(d1)と界面活性剤(d2)は合計で1〜15重量部であり、水(e1)と水(e2)は合計で25〜97.8重量部である。
【0029】
最後にエマルジョン部とサスペンジョン部2液を混合してサスポエマルジョンの製造は完了する。このときサスポエマルジョンの粒径は0.1〜5μm、より好ましくは0.1〜3μmである。
ただし上述した粒径の範囲は、上限を越えると保存安定性が悪くなり好ましくなく、また、下限は実際に工業的に得られるものであり、本来は特に下限は限定されない。
【0030】
ここでいう乳化機としては、公知慣用のホモジナイザー、高圧乳化機、超音波乳化機等が挙げられる。
また湿式粉砕機としては、公知慣用のボールミル、ジェット粉砕機、衝撃微粉砕機等が挙げられるが、特に好ましくは微小球形の剛体ビーズ(ガラス、セラミック等)と共に混合スラリーを高速撹拌して微粉砕する方法のものが挙げられ、例えばダイノミルKDL型、WILLY A.BACHOFEN AG Maschinenfabrik Basel社製、アシザワLMZ型、アシザワ株式会社製、サンドグラインダー、アイメックス株式会社製等が挙げられる。
【0031】
また、界面活性剤(d)は、エマルジョン部作製とサスペンジョン部作製において同じ物を使用することが好ましいが、複数の界面活性剤を使用する場合は、添加組成の割合、種類が若干異なっていても良い。
【0032】
本発明のサスポエマルジョン型の木材保存剤中における水難溶性木材防腐防カビ剤(a)の配合割合は、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜30重量部であるが、水難溶性炭化水素系溶剤(b)に対する溶解度や、使用上問題とならない範囲で設定される。また、水難溶性炭化水素系溶剤(b)の配合割合は、0.1〜50重量部、より好ましくは5〜40重量部である。また、水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)の配合割合は、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜10重量部であるが、水難溶性木材防腐防カビ剤(a)との配合割合と防カビ効果の関係や使用上問題とならない範囲で設定されれば良い。また、界面活性剤(d)の配合割合は、1〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部である。さらにまた、水(e)の配合割合は10〜97.8重量部、より好ましくは20〜60重量部である。
【0033】
エマルジョン部とサスペンジョン部をそれぞれ製造し、木材処理槽の中でエマルジョン部とサスペンジョン部とを水に混合させるタンクミックスといわれる方法が知られている。しかしながら、タンクミックスの方法によると水難溶性木材防腐防カビ剤(a)、水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)を含むような木材保存剤の場合は、木材処理槽の中の多量の水にそれらの調製物を添加するとただちに水難溶性部分が沈降する為、木材を均一に処理できず、充分な木材保存効果が得られなかった。
【0034】
本発明のサスポエマルジョン型の木材保存剤は、(1)処理液として水に均一に分散させるときの水中拡散性、分散安定性、懸垂性が優れていることから安定した防腐防カビ効果が得られる、(2)高温・低温の温度変化の激しい条件下でさえ、長期にわたって良好な保存安定性を有し、(3)相乗効果により抗菌スペクトルが広がる、と言った優れた効果を有する。
【0035】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、それらは本発明の範囲を何等限定するものではない。
(実施例1)
3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバマート (IPBC)1.5重量部、ジイソプロピルナフタレン(商標名:KMC−113、呉羽化学工業株式会社製)34重量部、トリオレイン酸ソルビタン(商標名:RY−425、松本油脂製薬株式会社製)0.6重量部及びポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)1.4重量部を溶融混合した後、水35.45重量部にジオクチルスルホこはく酸ナトリウム(商標名:エアロールCT−1、東邦化学工業株式会社製)0.7重量部、平均分子量が10,000でポリオキシエチレンの比率が約70%のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(商標名:ニューカルゲン70100PB、竹本油脂株式会社製)1.2重量部、プロピレングリコール5重量部、ベストサイド1000(大日本インキ化学工業株式会社製)0.05重量部、SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.1重量部を混合した混合物中に添加しTKホモミキサー(特殊化学工業株式会社製)で10,000rpmで3分間乳化させエマルジョン部を得た。
【0036】
次に水15.08重量部、ポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(例えば商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)0.4重量部、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム(商標名:エアロールCT−1、東邦化学工業株式会社製)0.1重量部、平均分子量が10,000でポリオキシエチレンの比率が約70%のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(例えば商標名:ニューカルゲン70100PB、竹本油脂株式会社製)0.2重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.02重量部を混合溶解させた溶液にメチル−2−ベンツイミダゾールカルバマート (BCM)4.2重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、サスペンジョン部を得た。
【0037】
最後に得られたエマルジョン部80.0重量部、サスペンジョン部20重量部を混合し均質なサスポエマルジョンを得た。
【0038】
(実施例2)
4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商標名:ケーソン287、ロームアンドハース株式会社製)2.0重量部、フェニルキシリルエタン(商標名:ハイゾールSAS−296、日本石油株式会社製)33.58重量部、モノオレイン酸ソルビタン(商標名:シルバンS−80、松本油脂製薬株式会社製)0.6重量部及びポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(例えば商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)1.4重量部を溶融混合した後、水35.37重量部にジアルキルスルホこはく酸ナトリウム(商標名:Newcol 290M、日本乳化剤株式会社製)0.7重量部、平均分子量が5,000でポリオキシエチレンの比率が約50%のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(商標名:ニューカルゲン5050PB、竹本油脂株式会社製)1.2重量部、プロピレングリコール5重量部、ベストサイド1000(大日本インキ化学工業株式会社製)0.05重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.1重量部を混合した混合物中に添加しTKホモミキサー(特殊化学工業株式会社製)で10,000rpmで3分間乳化させエマルジョン部を得た。
【0039】
次に水15.28重量部、ポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(例えば商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)0.4重量部、ジアルキルスルホこはく酸ナトリウム(商標名:Newcol 290M、日本乳化剤株式会社製)0.1重量部、平均分子量が5,000でポリオキシエチレンの比率が約50%のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(商標名:ニューカルゲン5050PB、竹本油脂株式会社製)0.2重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.02重量部を混合溶解させた溶液にメチル−2−ベンツイミダゾールカルバマート (BCM)4.0重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、サスペンジョン部を得た。
【0040】
最後に得られたエマルジョン部80.0重量部、サスペンジョン部20重量部を混合し均質なサスポエマルジョンを得た。
【0041】
(実施例3)
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商標名:スケーンM8、ロームアンドハース株式会社製)2.5重量部、ジメチルモノプロピルナフタレン(商標名:PAD−1、日鉱石油化学株式会社製)33.08重量部、トリステアリン酸ソルビタン(商標名:NIKKOL SS−30、日光ケミカルズ株式会社製)0.5重量部及び、ポリオキシエチレン(14モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOROPOL T−15、東邦化学工業株式会社製)1.5重量部を溶融混合した後、水35.37重量部、にジアルキルスルホこはく酸マグネシウム塩(商標名:ニューカルゲンEP−3、竹本油脂株式会社製)0.7重量部、平均分子量が8,800でポリオキシエチレンの比率が約85%のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(商標名:PEPOL B−188、東邦化学工業株式会社製)1.2重量部、プロピレングリコール5重量部、ベストサイド1000(大日本インキ化学工業株式会社製)0.05重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.1重量部を混合した混合物中に添加しダイノミルKDL型(W.A.B.社製)をビーズ充填率0%、周速10m/sの条件で乳化させエマルジョン部を得た。
【0042】
次に水14.28重量部、ポリオキシエチレン(14モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOROPOL T−15、東邦化学工業株式会社製)0.4重量部、ニューカルゲン EP−3(竹本油脂株式会社製)0.1重量部、平均分子量が8,800でポリオキシエチレンの比率が約85%のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(商標名:PEPOL B−188、東邦化学工業株式会社製)0.2重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.02重量部を混合溶解させた溶液に2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル (TPN)5.0重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、サスペンジョン部を得た。
【0043】
最後に得られたエマルジョン部80.0重量部、サスペンジョン部20重量部を混合し均質なサスポエマルジョンを得た。
【0044】
(比較例1)
3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバマート (IPBC)1.5
重量部、キシレン、トルエン及び1−若しくは2−メチルナフタレン芳香族化合物混合物(ソルベッソ150;芳香族留分、エクソン化学株式会社製)33重量部及びポリオキシエチレンキャスターオイルエーテル:ニューカルゲンD−230(竹本油脂株式会社製)3重量部溶解混合した後、水36.35重量部にポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸エステル化塩:ソルポール7678(東邦化学工業株式会社製)1重量部、プロピレングリコール5重量部、ベストサイド1000(大日本インキ化学工業株式会社製)0.05重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.1重量部を混合した混合物中に添加しTKホモミキサー(特殊化学工業株式会社製)で10,000rpmで3分間乳化させエマルジョン部を得た。
【0045】
次に水15.18重量部、ポリオキシエチレンキャスターオイルエーテル:ニューカルゲンD−230(竹本油脂株式会社製)0.5重量部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテルリン酸エステル化塩:ソルポール7678(東邦化学工業株式会社製)0.1重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.02重量部を混合溶解させた溶液メチル−2−ベンツイミダゾールカルバマート (BCM)4.2重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、サスペンジョン部を得た。
【0046】
最後に得られたエマルジョン部80.0重量部、サスペンジョン部20重量部を混合し均質なサスポエマルジョンを得た。
【0047】
(比較例2)
4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商品名:ケーソン287、ロームアンドハース株式会社製)2.0重量部、キシレン、トルエン及び1−若しくは2−メチルナフタレン芳香族化合物混合物(ソルベッソ200;高沸点芳香族留分、エクソン化学株式会社製)30.5重量部及びポリオキシエチレンキャスターオイルエーテル:SORPOL CA−20(東邦化学工業株式会社製)5重量部溶融混合した後、水36.35重量部にポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル化塩:ソルポール7556(東邦化学工業株式会社製)1重量部、プロピレングリコール5重量部、ベストサイド1000(大日本インキ化学工業株式会社製)0.05重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.1重量部を混合した混合物中に添加しTKホモミキサー(特殊化学工業株式会社製)で10,000rpmで3分間乳化させエマルジョン部を得た。
【0048】
次に水14.48重量部、ポリオキシエチレンキャスターオイルエーテル:SORPOL CA−20(東邦化学工業株式会社製)0.5重量部、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル化塩(商標名:ソルポール7556、東邦化学工業株式会社製)1重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.02重量部を混合溶解させた溶液にメチル−2−ベンツイミダゾールカルバマート (BCM)4.0重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、サスペンジョン部を得た。
【0049】
最後に得られたエマルジョン部80.0重量部、サスペンジョン部20重量部を混合し均質なサスポエマルジョンを得た。
【0050】
(比較例3)
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商標名:スケーンM8、ロームアンドハース株式会社製)2.5重量部、キシレン33.08重量部、トリステアリン酸ソルビタン(商標名:NIKKOL SS−30、日光ケミカルズ株式会社製)0.5重量部及び、ポリオキシエチレン(14モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOROPOL T−15、東邦化学工業株式会社製)1.5重量部を溶融混合した後、水35.37重量部、にジアルキルスルホこはく酸マグネシウム塩(商標名:ニューカルゲンEP−3、竹本油脂株式会社製)0.7重量部、平均分子量が8,800でポリオキシエチレンの比率が約85%のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(商標名:PEPOL B−188、東邦化学工業株式会社製)1.2重量部、プロピレングリコール5重量部、ベストサイド1000(大日本インキ化学工業株式会社製)0.05重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.1重量部を混合した混合物中に添加しTKホモミキサー(特殊化学工業株式会社製)で10,000rpmで3分間乳化させエマルジョン部を得た。
【0051】
次に水14.28重量部、ポリオキシエチレン(14モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOROPOL T−15、東邦化学工業株式会社製)0.4重量部、ジアルキルスルホこはく酸マグネシウム塩(商標名:ニューカルゲンEP−3、竹本油脂株式会社製)0.1重量部、平均分子量が8,800でポリオキシエチレンの比率が約85%のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(商標名:PEPOL B−188、東邦化学工業株式会社製)0.2重量部、泡消剤SM5512(トーレ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)0.02重量部を混合溶解させた溶液に2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(TPN)5.0重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、サスペンジョン部を得た。
【0052】
最後に得られたエマルジョン部80.0重量部、サスペンジョン部20重量部を混合し均質なサスポエマルジョンを得た。
【0053】
(比較例4)
4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商標名:ケーソン287、ロームアンドハース株式会社製)2.0重量部、フェニルキシリルエタン(商標名:ハイゾールSAS−296、日本石油株式会社製)94.4重量部、トリオレイン酸ソルビタン(商標名:RY−425、松本油脂製薬株式会社製)0.6重量部、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム(商標名:エアロールCT−1、東邦化学工業株式会社製)1.5重量部及びポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)1.5重量部を溶融混合し、エマルジョン部を得た。
また、水94.0重量部、ポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)2.0重量部を混合溶解させた溶液にメチル−2−ベンゾイミダゾールカルバマート (BCM)4.0重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、サスペンジョン部を得た。
最後にエマルジョン部50重量部、サスペンジョン部50重量部の割合で合計50kgを、試験例5に示す生物効果試験用の処理槽の中に入れ、更に水を4950kgを入れた。その結果は(表6)に示す。水に添加後、分散物は速やかに沈降した。
【0054】
(比較例5)
3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバマート (IPBC)2.0重量部、フェニルキシリルエタン(商標名:ハイゾールSAS−296、日本石油株式会社製)94.4重量部、トリオレイン酸ソルビタン(商標名:RY−425、松本油脂製薬株式会社製)0.6重量部、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム(商標名:エアロールCT−1、東邦化学工業株式会社製)1.5重量部及びポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)1.5重量部を10,000rpmで3分間乳化させ溶融混合し、乳化剤を得た。
【0055】
(比較例6)
4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商標名:ケーソン287、ロームアンドハース株式会社製)2.0重量部、フェニルキシリルエタン(商標名:ハイゾールSAS−296、日本石油株式会社製)94.4重量部、トリオレイン酸ソルビタン(商標名:RY−425、松本油脂製薬株式会社製)0.6重量部、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム(商標名:エアロールCT−1、東邦化学工業株式会社製)1.5重量部及びポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)1.5重量部を10,000rpmで3分間乳化させ溶融混合し、乳化剤を得た。
【0056】
(比較例7)
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商標名:スケーンM8、ロームアンドハース株式会社製)2.0重量部、フェニルキシリルエタン(商標名:ハイゾールSAS−296、日本石油株式会社製)94.4重量部、トリオレイン酸ソルビタン(商標名:RY−425、松本油脂製薬株式会社製)0.6重量部、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム(商標名:エアロールCT−1、東邦化学工業株式会社製)1.5重量部及びポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)1.5重量部を10,000rpmで3分間乳化させ溶融混合し、乳化剤を得た。
【0057】
(比較例8)
水94.0重量部、ポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)2.0重量部を混合溶解させた溶液にメチル−2−ベンゾイミダゾールカルバマート (BCM)4.0重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、フロアブル剤を得た。
【0058】
(比較例9)
水94.0重量部、ポリオキシエチレン(16モル)トリスチリルフェニルエーテル(商標名:SOPROPHOR BSU、ローヌプーラン株式会社製)2.0重量部を混合溶解させた溶液に2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル (TPN)4.0重量部を加えて分散させ、これを湿式粉砕機にて粉砕し、フロアブル剤を得た。
【0059】
(試験例1) 保存安定性の測定
調製したサスポエマルジョン剤を500mlのガラス瓶に入れ、20℃、50℃及び−5℃の恒温器に30日間静置保存したサスポエマルジョン剤、並びに−5℃3日、室温1日及び40℃3日を1サイクルとして繰り返し30日間保存したサスポエマルジョン剤の平均粒子径(μm)を測定した。測定は、粒度分布測定装置(LS230:コールター社製)を用いて粒子径の経時変化を調べた。また、光学顕微鏡(×400)を用いて凝集物の形成の有無を確認した。この結果を(表1)〜(表4)に示した。
【0060】
平均粒子径が経時的に大きくなるものについては、エマルジョンの破壊、エマルジョン部とサスペンジョン部の凝集が考えられ、保存安定性の面で実用性上問題がある。また、光学顕微鏡を使った目視による製剤状態の観察により、凝集物の存在がわかる。
【0061】
(試験例2) 粘度測定
試験例1で用いたサスポエマルジョン剤のガラス瓶の倒立を10回繰り返し行った後、粘度を測定した。測定にはB型粘度計(BM型、東京計器株式会社製)を用い、測定条件はローターNo.3、ローター回転数60rpm、製剤温度20±0.4℃で行った。この結果を(表1)〜(表4)に示した。粘度は経時的変化が少ないものほど良好である。
【0062】
(試験例3) 水中における分散性の測定
500mlビーカーに水400mlを入れ、ピペットにてサスポエマルジョン剤を滴下して拡散状態を観察し、次の4段階での評価を行った。この結果を(表1)〜(表4)に示した。拡散状態は良好なものほど好ましい。
【0063】
◎:分散状態が極めて良好。薬剤は水面・水中で拡散するように分散する。
○:分散状態が良好。薬剤は水面で拡散し、水の中で一部拡散しながら液滴の形で水中を落ちていくが、底に着くまでには分散してしまう。
△:分散状態がやや悪い。薬剤の大部分が液滴の形で底まで落ちるが、ビーカーを棒などで撹拌すれば分散する。
×:分散状態が悪い。薬剤は液滴の形で底まで落ち、ビーカーを棒などで撹拌しても容易に分散しない。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
*サイクル −5℃3日、室温1日及び40℃3日を1サイクルとして繰り返し行う。
【0069】
(試験例4) 懸垂性
調整したサスポエマルジョン剤を250ml共栓付メスシリンダーに2.5g秤量し、pH5、硬度5水を250ml入れ30回良く転倒した。30℃で3日間静置後、希釈液4/5の高さから10mlホールピペットで静かに10ml採取した(A液)。その後共栓付メスシリンダーを30回強く転倒し、1分間静置した。静置後希釈液1/2の高さから同様に10ml採取した(B液)。A液、B液に含まれる有効成分の量を高速液体クロマトグラフィー(ガリバーシリーズ:日本分光株式会社製)で分析した。
【0070】
懸垂率(%)=A液中の原体濃度/B液中の原体濃度
懸垂性は懸垂率の値が高いほど良好である。
【表5】
【0071】
(表1)、(表2)及び(表3)に示す結果より、実施例のサスポエマルジョン剤は比較例のものより、高温・低温の温度変化の激しい条件下でも粒子径及び粘度の経時変化が無く物理的に安定であることがわかる。
(表4)に示す結果より、実施例1〜3は低温(−5℃)及び高温(40℃)の繰り返しにおいても粒子径及び粘度の経時変化が無く物理的にも安定である。
(表5)に示す結果より、実施例のサスポエマルジョン剤は比較例のものより懸垂性に優れ、物理的に安定であることがわかる。
【0072】
(試験例5) 生物効果試験
鉄製8m3の防カビ処理槽に、各実施例、比較例で調製したサスポエマルジョン剤を50kg、水4950kgを入れ、100倍希釈液とした。この処理液に結束した木材(ダグラスファー:タルキ材3cm×4cm×4m、432本結束)を15分間浸漬した。処理30日後間静置したのち試験材を調査した。試験結果は下記の5段階で評価した。
【0073】
− :カビ発生無し
± :僅かにカビ発生
+ :カビが10%以下発生
++ :カビが10〜50%発生
+++ :カビが50%以上発生
【0074】
【表6】
【0075】
(表6)に示す結果より、実施例1〜3のサスポエマルジョン剤は防カビ効果に優れているといえる。
【0076】
(試験例6) 生物効果試験
試験法はダグラスファー辺材部を試験材とし、JIS−Z2911かび抵抗性試験方法に準じて行い、試験材に混合胞子懸濁液をまきかけ、温度28℃±2℃、湿度95〜99%に保った場所に置いて4週間培養した。その結果を(表7)に示す。
【0077】
【表7】
【0078】
(表7)に示す結果より、実施例1〜3のサスポエマルジョン剤は各単剤に比べて防カビ効果に優れているといえる。
【発明の効果】
本発明のサスポエマルジョン型の木材保存剤は優れた水中拡散性、分散安定性、懸垂性を有するため、有効な防腐防カビ活性を発揮する。また、本発明のサスポエマルジョン型の木材保存剤は、省力的で、処理がし易く、保存安定性に優れている。
Claims (6)
- 水に対する溶解度が25℃で100ppm以下である水難溶性木材防腐防カビ剤(a)と、水難溶性炭化水素系溶剤(b)と、水に対する溶解度と油に対する溶解度が25℃で100ppm以下である水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)と、界面活性剤(d)と、水(e)とを含有し、界面活性剤(d)がポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ジアルキルスルホこはく酸塩、ソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種以上であるサスポエマルジョン型の木材保存剤。
- 水難溶性木材防腐防カビ剤(a)が0.1〜30重量部、水難溶性炭化水素系溶剤(b)が0.1〜50重量部、水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)が0.1〜30重量部、界面活性剤(d)が1〜15重量部、水(e)が25〜97.8部であることを特徴とする請求項1に記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤。
- 水難溶性炭化水素系溶剤(b)が互いに同一若しくは異なる1〜4の炭素数2〜10のアルキル基で置換された芳香族系炭化水素系溶剤である請求項1又は2のいずれか一項に記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤。
- 水難溶性炭化水素系溶剤(b)が、互いに同一若しくは異なる1〜4の炭素数2〜10のアルキル基で置換されたアルキルナフタレン又はフェニル基が互いに同一若しくは異なる1〜3の炭素数1〜10のアルキル基で置換されたジフェニルエタン誘導体である請求項1〜3のいずれか一項に記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤。
- 粒径が0.1〜5μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤。
- 水難溶性木材防腐防カビ剤(a)0.1〜30重量部と、水難溶性炭化水素系溶剤(b)0.1〜50重量部と、界面活性剤(d1)1.0〜15重量部と、水(e1)10〜97.8重量部とを乳化機または湿式粉砕機を用いて乳化したエマルジョン部と、水及び油難溶性木材防腐防カビ剤(c)0.1〜30重量部と、界面活性剤(d2)1〜(15重量部−エマルジョン部で使用した界面活性剤重量部)重量部と、水(e2)10〜(97.8重量部−エマルジョン部で使用した水重量部)重量部とを湿式粉砕機で微粒子化したサスペンジョン部を混合する請求項1〜5のいずれかに記載のサスポエマルジョン型の木材保存剤の製造方法。
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