JP4291172B2 - 導電性ローラ及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置 - Google Patents

導電性ローラ及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置 Download PDF

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本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において用いられる導電性ローラ及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置に関する。
従来の電子写真複写機、レーザープリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体(感光体)に対して帯電処理を行う帯電ローラ、及び、感光体上のトナーに対して転写処理を行う転写ローラとして、導電性ローラが用いられている。図4は、従来の帯電ローラを有する電子写真方式の画像形成装置の説明図である。
図4において、120は、従来の電子写真方式の画像形成装置である。従来の電子写真方式の画像形成装置120は、静電潜像が形成される感光体ドラム101、感光体ドラム101に接触して帯電処理を行う帯電ローラ102、レーザ光等の露光手段103、感光体ドラム101の静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ104、帯電ローラ102にDC電圧を印加するためのパワーパック105、感光体ドラム101上のトナー像を記録紙107に転写処理する転写ローラ106、転写処理後の感光体ドラム101をクリーニングするためのクリーニング装置108、及び、感光体ドラム101の表面電位を測定する表面電位計109から構成されている。
また、従来の電子写真方式の画像形成装置120は、プロセスカートリッジ着脱方式の装置となっている。即ち、従来の電子写真方式の画像形成装置120は、感光体ドラム101、帯電ローラ102、現像ローラ104、及び、クリーニング装置108を含むプロセス機器を一括して画像形成装置本体に対して着脱自在のプロセスカートリッジ110としている。このプロセスカートリッジ110は、少なくとも、感光体ドラム101及び帯電ローラ102を備えていればよい。このプロセスカートリッジ110は、画像形成装置に対して所定の箇所に装着されることにより、画像形成装置本体側の駆動系及び電気系と接続状態となる。なお、図4では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、本明細書において必要としないので、省略してある。
次に、従来の電子写真方式の画像形成装置120の基本的な作像動作について説明する。
感光体ドラム101に接触された帯電ローラ102に対してDC電圧をパワーパック105から給電すると、感光体ドラム101の表面は、一様に高電位に帯電する。その直後に、画像光が感光体ドラム101の表面に露光手段103により照射されると、感光体ドラム101の照射された部分は、その電位が低下する。このような帯電ローラ102による感光体ドラム101の表面への帯電メカニズムは、帯電ローラ102と感光体ドラム101との間の微少空間におけるパッシェンの法則に従った放電であることが知られている。
画像光は、画像の白/黒に応じた光量の分布であるので、かかる画像光が照射されると、画像光の照射によって感光体ドラム101の面に記録画像に対応する電位分布、即ち、静電潜像が形成される。このように静電潜像が形成された感光体ドラム101の部分が現像ローラ104を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電画像を可視像化したトナー像が形成される。かかるトナー像が形成された感光体ドラム101の部分に、記録紙107が所定のタイミングでレジストローラ(図示せず)により搬送され、前記トナー像に重なる。そして、このトナー像が転写ローラ106によって記録紙に転写された後、該記録紙107は、感光体ドラム101から分離される。分離された記録紙107は、搬送経路を通って搬送され、定着ユニット(図示せず)によって、加熱定着された後、機外へ排出される。このようにして転写が終了すると、感光体ドラム101は、その表面がクリーニング装置108によりクリーニング処理され、さらに、クエンチングランプ(図示せず)により、残留電荷が除去されて、次回の作像処理に備えられる。
従来の帯電ローラを用いた帯電方式には、感光体ドラムに帯電ローラを接触させる接触帯電方式のもの(特許文献1,2を参照。)があるが、このような従来の接触帯電方式には、
(1)帯電ローラを構成している物質が帯電ローラから染み出し、これが被帯電体の表面に付着移行して帯電ローラ跡を残すこと、
(2)帯電ローラに交流電圧を印加したときに、被帯電体に接触している帯電ローラが振動するので、帯電音が発生すること、
(3)感光体ドラム上のトナーが帯電ローラに付着する(特に、上述の染み出しによって、よりトナー付着がおこりやすくなる。)ので、帯電ローラの帯電性能が低下すること、
(4)帯電ローラを構成している物質が感光体ドラムへ付着すること、及び、
(5)感光体ドラムを長期停止したときに、帯電ローラが永久変形すること、
といった問題があった。
このような問題を解決する技術として、帯電ローラを感光体ドラムに近接させるようにした近接帯電方式による帯電装置(特許文献3,4を参照。)が提案されている。この近接帯電方式による帯電装置は、帯電ローラを感光体ドラムに最近接距離(50〜300μm)になるように対向させて、帯電ローラに電圧を印加することにより、感光体ドラムの帯電を行うようにしたものである。この近接帯電方式による帯電装置では、ローラと感光体ドラムとが接触していないので、従来の接触帯電方式による帯電装置において問題となっていた、帯電ローラを構成している物質が感光体ドラムへ付着すること、及び、感光体ドラムが長期停止したときに永久変形すること、といった問題はない。また、この近接帯電方式による帯電装置では、帯電ローラに付着するトナーが少なくなるので、感光体ドラム上のトナー等が帯電ローラに付着することが少ない。したがって、近接帯電方式による帯電装置は、優れた帯電装置といえる。
前記特許文献3,4に記載された近接帯電方式による帯電装置では、帯電ローラと感光体ドラムとの間に空隙を保持するために、スペーサリング層が帯電ローラの両端部に設けられている。しかしながら、これらの近接帯電方式による帯電装置では、空隙を精密に設定する工夫がなされていないので、帯電ローラ及びスペーサリングの寸法精度がばらつくことによって空隙が変動し、そのために、感光体ドラムの帯電電位が均一にならずに変動するという問題があった。
かかる問題を解決するために、所定の厚みを持ったテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置(特許文献5を参照。)が提案されたが、このテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置では、これを長期間にわたって使用すると、テープ状の空隙保持手段が磨耗し、また、帯電ローラとテープ状の空隙保持手段との間にトナーが進入し固着するので、感光体ドラムの表面と帯電ローラの表面との間に空隙を保持できないという問題があった。また、このテープ状の空隙保持手段を備えた帯電装置では、テープ状の空隙保持手段の厚みがばらつくので、高精度の空隙を形成することができないという問題があった。
特開昭63−149668号公報 特開平1−267667号公報 特開平3−240076号公報 特開平4−358175号公報 特開平5−107871号公報
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、長期間にわたって使用しても、潜像担持体と導電性ローラとの間に安定した空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させることができる導電性ローラ及びそれを有するプロセスカートリッジ、並びに、そのプロセスカートリッジを有する画像形成装置を提供することを目的としている。
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の両端に当接するように該導電性支持体に挿入されて設けられた空隙保持部材と、を有する導電性ローラにおいて、
(イ)前記空隙保持部材が、電気絶縁性の樹脂材料でリング状に成形された樹脂成形体で構成され、かつ、
(ロ)前記リング状に成形された樹脂成形体の外周表面には、該樹脂成形体の外周面に付着したトナー粒子を、前記導電性ローラの回転によって該導電性ローラの軸線方向の端部に搬送させるために、該導電性ローラの軸線に対して斜め方向に形成された互いに平行な凹溝が、多数本設けられている
ことを特徴とする導電性ローラである。
請求項に記載された発明は、請求項に記載された発明において、前記凹溝が、前記空隙保持部材の一周全ての位置において、前記導電性ローラの軸方向に該凹溝のみが存在する部分がないような該導電性ローラの軸線に対する角度θで配置されていることを特徴とするものである。
請求項に記載された発明は、請求項1又は2のいずれかに記載された発明において、前記凹溝の溝幅が5μmよりも大きいことを特徴とするものである。
請求項に記載された発明は、請求項1〜のいずれかに記載された発明において、前記導電性ローラが帯電ローラであることを特徴とするものである。
請求項に記載された発明は、請求項に記載の導電性ローラが被帯電体上に近接配置されるように設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項に記載された発明は、請求項に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項1に記載された発明によれば、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の両端に当接するように該導電性支持体に挿入されて設けられた空隙保持部材と、を有する導電性ローラにおいて、(イ)前記空隙保持部材が、電気絶縁性の樹脂材料でリング状に成形された樹脂成形体で構成され、かつ、(ロ)前記リング状に成形された樹脂成形体の外周表面には、該樹脂成形体の外周面に付着したトナー粒子を、前記導電性ローラの回転によって該導電性ローラの軸線方向の端部に搬送させるために、該導電性ローラの軸線に対して斜め方向に形成された互いに平行な凹溝が、多数本設けられているので、該導電性ローラの回転により該凹溝を通して該空隙保持部材上のトナー粒子等の粒子を該導電性ローラの端部へ搬送させることができ、そのために、トナー粒子などの進入・固着を防止することができ、よって、長期間にわたって使用しても、潜像担持体と導電性ローラとの間に安定した空隙を維持して、像担持体の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させることができる。
請求項2に記載された発明によれば、前記凹溝が、前記空隙保持部材の一周全ての位置において、前記導電性ローラの軸方向に該凹溝のみが存在する部分がないような該導電性ローラの軸線に対する角度θで配置されているので、該凹溝に感光体が落ち込んだときに生じる微振動の発生を防止することができ、そのために、安定した画像品質を得ることができる。
請求項3に記載された発明によれば、前記凹溝の溝幅が5μmよりも大きいので、トナー粒子等の粒子が凹溝に留まって目詰まりが発生することを防止することができ、そのために、長期間にわたってトナー粒子等の粒子を該導電性ローラの端部へ良好に搬送させることができる。
請求項4に記載された発明によれば、導電性ローラを帯電ローラとしたので、感光体表面を非接触で帯電させることができ、そのために、帯電ローラの汚れ等を防止すると共に、帯電ローラを硬い材質で形成することにより高精度にすることができ、よって、帯電ムラを防止することができる。
請求項5に記載された発明によれば、請求項4に記載の導電性ローラが被帯電体上に近接配置されるように設けられたプロセスカートリッジとしたので、長期に渡って安定した画質を得ることができ、且つ、交換もユーザメンテナンスが可能であり簡素化される。
請求項6に記載された発明によれば、請求項6に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置としたので、信頼性が高く、かつ、高画質な画像を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す導電性ローラの断面図である。図2は、導電性ローラ感光体ドラム上に配置した状態を示す模式図である。図3は、図2に示す導電性ローラの部分拡大説明図である。
図1において、10は、導電性ローラである。導電性ローラ10は、導電性支持体1と、該導電性支持体1上に形成された電気抵抗調整層2と、該電気抵抗調整層2の両端に当接するように該導電性支持体に挿入されて設けられた空隙保持部材3,3と、を有している。そして、(イ)前記空隙保持部材3,3は、電気絶縁性の樹脂材料でリング状に成形された樹脂成形体で構成され、かつ、(ロ)前記リング状に成形された樹脂成形体の外周表面には、該樹脂成形体の外周面に付着したトナー粒子を、前記導電性ローラ10の回転によって該導電性ローラ10の軸線方向の端部に搬送させるために、該導電性ローラ10の軸線に対して斜め方向に形成された互いに平行な凹溝4は、多数本設けられている。
このように、(イ)前記空隙保持部材3,3が、電気絶縁性の樹脂材料でリング状に成形された樹脂成形体で構成され、かつ、(ロ)前記リング状に成形された樹脂成形体の外周表面には、該樹脂成形体の外周面に付着したトナー粒子を、前記導電性ローラ10の回転によって該導電性ローラ10の軸線方向の端部に搬送させるために、該導電性ローラ10の軸線に対して斜め方向に形成された互いに平行な凹溝4が、多数本設けられていると、該導電性ローラ10の回転により該凹溝4を通して該空隙保持部材3,3上のトナー粒子等の粒子を該導電性ローラ10の端部へ搬送させることができ、そのために、トナー粒子等の粒子の進入・固着を防止することができ、よって、長期間にわたって使用しても、潜像担持体と導電性ローラ10との間に安定した空隙を維持して、像担持体5の表面を均一に帯電させることができると共に、耐久性を向上させることができる。
前記空隙保持部材3,3を構成する前記リング状に成形された樹脂成形体の外周表面に前記導電性ローラ10の軸線に対して斜め方向に形成された互いに平行な凹溝4が多数本設けられていることは、前述のとおりであるが、このように、前記空隙保持部材3,3を構成する前記リング状に成形された樹脂成形体の外周表面に前記導電性ローラ10の軸線に対して斜め方向に形成された互いに平行な凹溝4が多数本設けられていると、該導電性ローラ10の回転により該凹溝4を通して該空隙保持部材3,3上のトナー粒子等の粒子を該導電性ローラ10の端部へ搬送させる頻度が多くなる。
図2に示すように、本発明における導電性ローラ10は、感光体ドラム5に任意の圧力で当接されて配置される。空隙保持部材3,3は、画像形成領域を外した非画像形成領域に形成されている。この状態で導電性ローラ10を帯電ローラとして使用する場合には、導電性ローラ10に電圧を印加することにより、感光体ドラム5の帯電を行うことができる。導電性ローラ10を現像ローラ及び転写ローラとして使用する場合にも、同様の形態で行うことができる。また、その際には、
抵抗調整層幅<感光層幅
であることが好ましい。
導電性ローラ10と感光体ドラム5間の空隙Gは、所定の値に保つ必要があり、好ましくは、100μm以下である。空隙Gが大きくなると、感光体ドラム5の電気的劣化や異常放電が発生しやすくなるので、導電性ローラ10への電圧印加条件を高くする必要がある。空隙保持部材3,3は、電気絶縁性の樹脂材料でリング状に成形された樹脂成形体で構成されている。このように電気絶縁性の樹脂材料でリング状に形成された樹脂成形体で構成された空隙保持部材3,3は、電気抵抗調整層2の両端に当接するように、導電性支持体1に挿入される。この際、空隙保持部材3,3と電気抵抗調整層2及び/又は導電性支持体1との間を接着剤で固着すると、長期間に渡って使用した際に空隙保持部材3,3が脱離することを避けることができる。
空隙保持部材3,3を構成する材料は、体積固有抵抗が1013Ω・cm以上の絶縁性材料である。このように、空隙保持部材3,3を構成する材料が体積固有抵抗が1013Ω・cm以上の絶縁性材料であると、感光体ドラム5の基層(図示せず)とのショート電流の発生を防止することができる。
前記空隙保持部材3,3を構成する材料は、電気絶縁性の樹脂材料であるが、好ましくは、感光体を傷つけない程度に軟らかく、また、成形加工が容易である樹脂材料である。かかる樹脂材料は、例えば、高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン共重合体(AS、ABS)等の樹脂、或いは、PC、ポリウレタン、フッ素樹脂等の樹脂である。本発明における空隙保持部材3,3は、このような記樹脂を射出成形、押出成形等の成形手段によりリング状に成形される。
本発明における凹溝4は、図2,3に示されているように、空隙保持部材3,3の一周全ての位置において、導電性ローラ10の軸方向に該凹溝4のみが存在する部分がないような該導電性ローラ10の軸線に対する角度θで配置されている。このように、凹溝4が、空隙保持部材3,3の一周全ての位置において、導電性ローラ10の軸方向に該凹溝4のみが存在する部分がないような該導電性ローラ10の軸線に対する角度θで配置されていると、該凹溝4に感光体ドラム5が落ち込んだときに生じる微振動の発生を防止することができ、そのために、安定した画像品質を得ることができる。このような凹溝4は、例えば、空隙保持部材3,3を所定の寸法に成形した後、その表面に切削加工を施すことにより形成する。
本発明においては、前記凹溝4の溝幅は5μm(トナー平均粒径)も大きい。このように、前記凹溝4の溝幅が5μm(トナー平均粒径)も大きいと、トナー粒子等の粒子が凹溝に留まって目詰まりが発生することを防止することができ、そのために、長期間にわたってトナー粒子等の粒子を該導電性ローラ10の端部へ良好に搬送させることができる。
本発明においては、電気抵抗調整層2の体積固有抵抗は、好ましくは、106 〜109 Ωcmである。電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が109 Ωcmを越えると、帯電能力や転写能力が不足してしまい、また、電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が106 未満であると、感光体全体への電圧集中によるリークが生じてしまう。しかしながら、本発明のように、電気抵抗調整層2の体積固有抵抗が106 〜109 Ωcmであると、十分な帯電能力及び転写能力を確保することができると共に、感光体への電力集中による異常放電の発生を防止することができ、それらのために、均一画像が得られる。
電気抵抗調整層2を構成する材料は、特に限定されるものではないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン共重合体(AS、ABS)等の樹脂、或いは、PC、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂があげられる。これらの樹脂は、加工性が良いので好ましい。かかる樹脂に分散させる高分子型イオン導電材料としては、ポリエーテルエステルアミドを含有する高分子化合物が好ましい。ポリエーテルエステルアミドは、イオン導電性の高分子材料であるので、マトリックスポリマー中に分子レベルで均一に分散、固定化される。したがって、金属酸化物、カーボンブラック等の電子伝導系導電剤を分散した組成物に見られるような分散不良に伴う電気抵抗値のばらつきが生じない。また、ポリエーテルエステルアミドは、高分子材料であるので、ブリードアウトが生じ難い。電気抵抗値を所望の値にするためには、それらの配合量は、好ましくは、熱可塑性樹脂30〜70重量%、及び、高分子型イオン導電剤70〜30重量%である。
前記電気抵抗調整層2を構成する樹脂組成物は、各材料の混合物を二軸混練機、ニーダー等で溶融混練することによって、容易に調整できる。前記電気抵抗調整層2を導電性支持体1の上に形成するには、前記半導電性樹脂組成物を導電性支持体1の上に押出成形、射出成形等の手段により被覆することによって行う。また、任意の段階で、表面に切削加工、又は、研削加工を施して、必要とされる表面精度を得ることができる。
導電性支持体1上に電気抵抗調整層2のみを形成して導電性ローラ10を構成すると、電気抵抗調整層2にトナー等が固着して性能低下する場合がある。このような不具合は、電気抵抗調整層2に表面層(図示せず)を形成することで、無くすことができる。本発明においては、表面層の体積固有抵抗は、好ましくは、電気抵抗調整層2の体積固有抵抗より大きくされている。このように、表面層の体積固有抵抗が電気抵抗調整層2の体積固有抵抗より大きくされていると、感光体欠陥部への電圧集中及び異常放電の発生を防止することができる。ただし、表面層の電気抵抗値を高くしすぎると帯電能力や転写能力が不足してしまうので、表面層と電気抵抗調整層2との電気抵抗値の差を103 Ωcm以下にすることが好ましい。表面層を形成する材料は、好ましくは、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル等の樹脂である。これらの樹脂は、非粘着性に優れているので、トナーの固着防止の面で好ましい。また、かかる樹脂は、電気的に絶縁性であるので、樹脂に対して各種導電材料を分散することによって表面層の電気抵抗を調整することができる。表面層の電気抵抗調整層2上への形成は、上記表面層を構成する樹脂材料を有機溶媒に溶解して塗料を作製し、この塗料をスプレー塗装、ディッピング、ロールコート等の手段によって行う。表面層の膜厚は、好ましくは、10〜30μmである。
導電性ローラ10は、電気特性(電気抵抗値)が重要であるので、表面層を導電性にする必要がある。導電性にした表面層は、表面層を構成する樹脂材料中に導電剤を分散することにより形成される。導電剤は、特に制約を受けるものではないが、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理等を施したカラー用カーボン、熱分解カーボン、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、及び、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーが挙げられる。また、導電性付与材としては、イオン導電性物質もあり、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、更に、変性脂肪酸ジメチルアンモニウムエトサルファート、ステアリン酸アンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート等の有機イオン性導電性物質がある。
本発明の導電性ローラは、好ましくは、帯電ローラとされる。このような導電性ローラは、感光体表面を非接触で帯電させることができ、そのために、帯電ローラの汚れ等を防止すると共に、帯電ローラを硬い材質で形成することにより高精度にすることができ、よって、帯電ムラを防止することができる。
本発明においては、請求項5に記載の導電性ローラは、被帯電体上に近接配置されるように設けらた着脱可能なプロセスカートリッジ(図4における110を参照。)とする。このように、請求項5に記載の導電性ローラが被帯電体上に近接配置されるように設けられたプロセスカートリッジとすると、長期に渡って安定した画質を得ることでき、且つ、交換もユーザメンテナンスが可能であり簡素化される。
本発明においては、請求項6に記載のプロセスカートリッジ(図4における110を参照。)を有する画像形成装置とする。このように、請求項6に記載のプロセスカートリッジを有する画像形成装置とすると、信頼性が高く、かつ、高画質な画像を得ることができる。
本実施の形態においては、導電性ローラ10を具体化した帯電ローラについて主として説明したが、本発明における導電性ローラ10は、本発明の目的に反しない限り、現像ローラ又は転写ローラとしてもかまわない。
(実施例1)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の両端部に当接するように、高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックPP HY540、日本ポリケム社製)からなるリング状の空隙保持部材を導電性支持体に挿入接着した後、切削によって前記空隙保持部材の外径(最大径)を12.12mmとすると共に、前記抵抗調整層の外径を12.12mmとした。次に、空隙保持部材の表面に切削加工により幅0.02mm、深さ0.02mmの凹溝を導電性ローラの軸線(芯軸)に対して45°傾斜させて3mm間隔に設けた。続いて、この抵抗調整層の表面に、アクリルシリコーン樹脂(3000VH−P、川上塗料社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、カーボンブラック(全固形分に対して35重量%)からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×109 Ωcm)により膜厚約10μmの表面層を形成して導電性ローラ
を得た。
(実施例2)
空隙保持部材の表面に切削加工により幅0.05mm、深さ0.05mmの凹溝を芯軸に対して60°傾斜させて2mm間隔で設けた以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを得た。
(実施例3)
空隙保持部材の表面に切削加工により幅0.2mm、深さ0.2mmの凹溝を芯軸に対して30°傾斜させて3mm間隔で設けた以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを得た。
(実施例4)
空隙保持部材の表面に切削加工により幅0.1mm、深さ0.1mmの凹溝を芯軸に対して45°傾斜させて5mm間隔で設けた以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを得た。
(実施例5)
空隙保持部材の表面に切削加工により幅0.07mm、深さ0.07mmの凹溝を芯軸に対して75°傾斜させて3mm間隔で設けた以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを得た。
(比較例1)
エピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG、ダイソー社製)100重量部及び過塩素酸アンモニウム3重量部を配合してゴム組成物とし、このゴム組成物(体積固有抵抗:4×108 Ωcm)をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に押出成形により被覆してゴム被覆層を形成した後、このゴム被覆層に加硫処理を施し、続いて、この加硫処理を施したゴム被覆層を研削により外径12mmに仕上げて電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の表面に、ポリビニルブチラール樹脂(デンカブチラール3000−K、電気化学工業社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して25重量%)からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×1010Ωcm)により、膜厚10μmの表面層を形成した。そして、この両端周囲に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)で構成されるテープ状部材(ダイタックPF025−H、大日本インキ社製)を貼り付けて導電性ローラを得た。
(比較例2)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、四級アンモニウム塩基を含有するイオン導電性の高分子化合物(レオレックスAS−1720、第一工業製薬製)50重量%からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108 Ωcm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの芯軸に射出成形により被覆して被覆層を形成した後、この被覆層を切削加工によって外径12.0mmに仕上げて電気抵抗調整層を形成した。そして、この抵抗調整層の表面に、フッ素樹脂(ルミフロンLF−600、旭硝子社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して45重量%)からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×1010Ωcm)により、膜厚約10μmの表面層を形成した。次に、前記電気抵抗調整層の両端部に当接するように、ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチック社製)で構成されるリング状の空隙保持部材を導電性支持体に挿入接着して、導電性ローラを得た。
(比較例3)
ABS樹脂(デンカABS GR−0500、電気化学工業社製)50重量%、及び、
ポリエーテルエステルアミド(IRGASTAT P18、チバスペシャリティケミカルズ社製)50重量%を配合して樹脂組成物(体積固有抵抗:2×108 Ω・cm)とし、この樹脂組成物をステンレスからなる外径8mmの導電性支持体(芯軸)に射出成形により被覆して、外径12.0mmの電気抵抗調整層を形成した。そして、この電気抵抗調整層の表面に、フッ素樹脂(ルミフロンLF−600、旭硝子社製)、イソシアネート系硬化剤、及び、酸化スズ(全固形分に対して45重量%)からなる樹脂組成物(体積固有抵抗:2×1010Ωcm)により、膜厚約10μmの表面層を形成した。次に、ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)で構成される外径12.12mmのリング状の空隙保持部材に切削加工により幅を0.2mm、深さ0.2mmの凹溝を芯軸と平行に3mm間隔で設け、この凹溝を設けたリング状の空隙保持部材を、前記電気抵抗調整層の両端部に当接するように、導電性支持体に挿入接着して、導電性ローラを得た。
(比較例4)
ポリアミド樹脂(ノバミッド1010C2、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)で構成される外径12.12mmのリング状の空隙保持部材に切削加工により幅を0.002mm、深さ0.002mmの凹溝を芯軸に対して45°傾斜させて1mm間隔で設け、この凹溝を設けたリング状の空隙保持部材を前記電気抵抗調整層の両端部に挿入接着した以外は、比較例3と同様にして導電性ローラを得た。
以上、実施例1〜5及び比較例1〜4で得た導電性部材を、帯電部材として、画像形成装置(図4を参照。)に搭載し、帯電部材と感光体との間の空隙量を測定した。次いで、印加する電圧をDC=−800V、AC=2400Vpp(周波数=2KHz)に設定して、600,000枚を通紙することによって、(1)帯電部材と感光体と間の空隙量、(2)空隙保持部材の状態、及び、(3)画像、について評価を行った。評価環境は、23℃、60%RHとし、そして、評価用トナーは、PxPトナー(粒径5μm)を用いた。評価結果は、次の表1に示される。
Figure 0004291172
表1によれば、実施例1〜5で得た導電性ローラでは、全項目で良好な結果が得られたが、比較例1〜4で得た導電性ローラでは、導電性部材に不具合があることがわかる。
本発明の一実施の形態を示す導電性ローラの断面図である。 導電性ローラ感光体ドラム上に配置した状態を示す模式図である。 図2に示す導電性ローラの部分拡大説明図である。 従来の帯電ローラを用いた画像形成装置の説明図である。
符号の説明
1 導電性支持体
2 電気抵抗調整層
3 空隙保持部材
4 凹溝
5 感光体ドラム
G 空隙
10 導電性ローラ

Claims (6)

  1. 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された電気抵抗調整層と、該電気抵抗調整層の両端に当接するように該導電性支持体に挿入されて設けられた空隙保持部材と、を有する導電性ローラにおいて、
    (イ)前記空隙保持部材が、電気絶縁性の樹脂材料でリング状に成形された樹脂成形体で構成され、かつ、
    (ロ)前記リング状に成形された樹脂成形体の外周表面には、該樹脂成形体の外周面に付着したトナー粒子を、前記導電性ローラの回転によって該導電性ローラの軸線方向の端部に搬送させるために、該導電性ローラの軸線に対して斜め方向に形成された互いに平行な凹溝が、多数本設けられている
    ことを特徴とする導電性ローラ。
  2. 前記凹溝が、前記空隙保持部材の一周全ての位置において、前記導電性ローラの軸方向に該凹溝のみが存在する部分がないような該導電性ローラの軸線に対する角度θで配置されていることを特徴とする請求項に記載の導電性ローラ。
  3. 前記凹溝の溝幅が5μmよりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ローラ。
  4. 前記導電性ローラが帯電ローラであることを特徴とする請求項1〜に記載の導電性ローラ。
  5. 請求項4に記載の導電性ローラが被帯電体上に近接配置されるように設けられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 請求項5に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置。
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