JP4291045B2 - パーキングブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリップ部材を解除位置から作動位置に操作することによって、制動部に力を伝達して制動力を発生させるようにしたパーキングブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のパーキングブレーキ装置としては、操作者の前方に位置する車両のインテリア装備品に操作レバーを作動位置と解除位置との間を回動し得るように取り付け、操作者がその操作レバーを車室内側へ引くことにより、ブレーキワイヤを介して制動部に力が伝達されて制動力が発生するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−145028号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のパーキングブレーキ装置では、操作レバーを作動位置と解除位置との間を回動し得るように取り付けているので、操作レバーが解除位置と作動位置とではその姿勢が車室内側へ傾いたものとなる。そのため、操作者が操作レバーを解除位置から作動位置に引くとき、操作レバーを把持する操作者の手首に対して、操作レバーが相対的に徐々に傾くようになり、手首を操作レバーに合わせて徐々に傾けながら行う必要があることから、手首に負担がかかり、操作性の点で改良の余地があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点に着目してなされたもので、グリップ部材をほぼ一定の姿勢に維持しながら解除位置から作動位置に変位させるようにして、手首に負担がかからないようにして、操作性を向上することができるパーキングブレーキ装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]グリップ部材(20)を解除位置から作動位置に移動操作することによって、制動部に力を伝達して制動力を発生させるようにしたパーキングブレーキ装置において、
前記グリップ部材(20)は、支持機構(30a)を介して据付部(13)に取り付けられるとともに、姿勢変換機構によって起立姿勢と前倒姿勢とに変換され、
前記支持機構(30a)は、アッパリンク(30)、ロアリンク(40)、フロントリンク(50)およびリヤリンク(60)を備えるリンク機構によって前記グリップ部材(20)をほぼ一定の姿勢に保ちながら、該グリップ部材(20)を前記解除位置と前記作動位置とに移動可能に支持するものであり、
前記アッパリンク(30)と前記ロアリンク(40)とは、上下にかつ相互にほぼ平行に配され、
前記ロアリンク(40)は、前記据付部(13)に固設され、
前記フロントリンク(50)と前記リヤリンク(60)とは、前後にかつ相互にほぼ平行に配され、前記フロントリンク(50)と前記リヤリンク(60)との各基端部同士を前記ロアリンク(40)に連接する一方、前記フロントリンク(50)と前記リヤリンク(60)の各先端部同士を前記アッパリンク(30)に連接し、
前記グリップ部材(20)は、前記アッパリンク(30)に固設され、
前記姿勢変換機構は、前記リヤリンク(60)を前記ロアリンク(40)に係合することで、前記アッパリンク(30)の一端部を前記リヤリンク(60)を介して前記ロアリンク(40)に拘束する拘束位置と、前記リヤリンク(60)を前記ロアリンク(40)から外すことで、前記アッパリンク(30)の一端部を前記リヤリンク(60)を介して前記ロアリンク(40)に拘束しない非拘束位置とに変位させるものであり、
さらに、前記姿勢変換機構は、前記グリップ部材(20)を前記解除位置から前記作動位置へ変位させる方向とは反対方向へ変位させようとする衝撃力が生じると、前記アッパリンク(30)を前記拘束位置から前記非拘束位置に変位させることで、前記グリップ部材(20)を前記起立姿勢から前記前倒姿勢に変換させる
ことを特徴とするパーキングブレーキ装置。
【0010】
[2]前記リヤリンク(60)を案内するためのガイド機構(55)を備え、
前記ガイド機構(55)は、前記アッパリンク(30)が前記拘束位置から前記非拘束位置へ変位する際に前記リヤリンク(60)の跳ね上がりを抑えるように該リヤリンク(60)を案内する
ことを特徴とする[1]に記載のパーキングブレーキ装置。
【0011】
[3]前記グリップ部材(20)の操作力を前記制動部へ伝達するための伝達部材(BW)と、前記支持機構(30a)を介して前記グリップ部材(20)を変位不能に拘束するためのロック機構(70)とを備え、
前記伝達部材(BW)は、前記フロントリンク(50)に連結され、
前記ロック機構(70)は、前記ロアリンク(40)と前記フロントリンク(50)とを相対変位不能に拘束して、前記制動力を維持するものである
ことを特徴とする[1]または[2]に記載のパーキングブレーキ装置。
【0012】
次に前記各項に記載された発明の作用を説明する。
支持機構(30a)はグリップ部材(20)を解除位置と作動位置とに移動可能に支持する。このとき、支持機構(30a)はグリップ部材(20)をほぼ一定の姿勢に保ちながら行う。例えば、操作者の斜め前方にグリップ部材(20)が配され、グリップ部材(20)が解除位置で起立した姿勢になっていれば、グリップ部材(20)を解除位置から作動位置に移動するとき、グリップ部材(20)はその起立した姿勢に保たれている。
【0013】
また、操作者の脇にグリップ部材(20)が配され、グリップ部材(20)が解除位置で倒伏した姿勢になっていれば、グリップ部材(20)を解除位置から作動位置に移動するとき、グリップ部材(20)はその倒伏した姿勢に保たれている。支持機構(30a)としては、様々なものがある。
【0014】
支持機構(30a)がリンク機構であって、その複数のリンク部材(30〜60)の中の1つにグリップ部材(20)が固設されたものでは、リンク機構は、4以上のリンク部材から構成されているものであればよい。グリップ部材(20)を解除位置から作動位置に移動操作すると、4以上のリンク部材が相互に連動し、4以上のリンク部材の中の1つのリンク部材がほぼ一定の姿勢に保ちながら移動する。それによって、その1つのリンク部材に固設したグリップ部材(20)も、ほぼ一定の姿勢に保ちながら移動するようになる。
【0015】
支持機構(30a)が、ロアリンク(40)とフロントリンク(50)とリヤリンク(60)とアッパリンク(30)とを備えたものでは、支持機構(30a)は、平行四節リンク機構に類似した機構になっている。グリップ部材(20)を解除位置から作動位置に移動操作すると、フロントリンク(50)とリヤリンク(60)とがその各基端部を中心にしてその各先端部が同じように揺動する。それによって、アッパリンク(30)がほぼ一定の姿勢に保たれるように変位する。それによって、アッパリンク(30)に固設されたグリップ部材(20)も、ほぼ一定の姿勢に保たれるように移動する。
【0016】
グリップ部材(20)を起立姿勢と前倒姿勢とに変換するようにした姿勢変換機構を備え、姿勢変換機構は、リヤリンク(60)をロアリンク(40)に係合することで、アッパリンク(30)の一端部をリヤリンク(60)を介してロアリンク(40)に拘束する拘束位置と、リヤリンク(60)をロアリンク(40)から外すことで、アッパリンク(30)の一端部をリヤリンク(60)を介してロアリンク(40)に拘束しない非拘束位置とに変位させるものでは、グリップ部材(20)の操作時には、アッパリンク(30)は拘束位置にあって、アッパリンク(30)の一端部がリヤリンク(60)を介してロアリンク(40)に拘束された状態になっている。したがって、アッパリンク(30)は、リンク機構の一部として本来の機能を果たしている。アッパリンク(30)に固設されたグリップ部材(20)は、ほぼ一定の姿勢を保ちながら解除位置と作動位置とに変位可能になっている。それにより、グリップ部材(20)の操作に支障を来すことはない。
【0017】
例えば、グリップ部材(20)が起立姿勢にあって、走行中に正面衝突をしたとき、車室内の収容物、運転者や乗客がグリップ部材(20)に衝突して、グリップ部材(20)を解除位置から作動位置へ変位させる方向とは反対方向の衝撃力がかかる場合がある。このとき、アッパリンク(30)が拘束位置から非拘束位置に変位する。それによって、リヤリンク(60)がロアリンク(40)から外れ、アッパリンク(30)の一端部がリヤリンク(60)を介してロアリンク(40)に拘束されない状態になる。それにより、アッパリンク(30)に固設されたグリップ部材(20)が起立姿勢から前倒姿勢に変換し、衝撃力が吸収されるようになる。
【0018】
リヤリンク(60)を案内するためのガイド機構(55)を備え、ガイド機構(55)は、リヤリンク(60)の跳ね上がりを抑えるようにリヤリンク(60)を案内するものでは、グリップ部材(20)に前記衝撃力がかかって、アッパリンク(30)に固設されたグリップ部材(20)が起立姿勢から前倒姿勢になるとき、アッパリンク(30)に連動して、リヤリンク(60)が跳ね上がるおそれがあるが、リヤリンク(60)はガイド機構(55)に案内され、跳ね上がりを抑えられる。
【0019】
グリップ部材(20)の操作力を制動部へ伝達するための伝達部材(BW)と、支持機構(30a)を介してグリップ部材(20)を変位不能に拘束するためのロック機構(70)とを備えたものでは、グリップ部材(20)を解除位置から作動位置に移動操作すると、フロントリンク(50)が揺動する。したがって、操作力が、フロントリンク(50)を揺動する力となって、フロントリンク(50)に連結された伝達部材(BW)を介して制動部に伝達され、制動力を生じさせる。
【0020】
一方、ロック機構(70)がロアリンク(40)とフロントリンク(50)とを相対変位不能に拘束すると、ロアリンク(40)に対してフロントリンク(50)が揺動不能となり、それによって、伝達部材(BW)の張力が維持され、制動力を生じさせた状態に維持することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。
図1〜図4は本発明の一の実施の形態を示している。
図1は本発明の一実施の形態に係るパーキングブレーキ装置の正面図であって、グリップ部材が解除位置にあるときの図、図2は同じくラチェットポールがラチェットギアに係合し始めたときの図、図3はリップ部材が作動位置にあるときの図である。
【0022】
図1〜図3に示すように、自動車のインストルメントパネル10の中央部にコンソールボックス12が形成されている。コンソールボックス12の、運転席側の側縁部には、パーキングブレーキ装置のグリップ部材20が配設される。グリップ部材20は、コンソールボックス12である据付部13に支持機構30aを介して取り付けられている。支持機構30aは、グリップ部材20をリンク機構によってほぼ一定の起立姿勢に保ちながら、グリップ部材20を解除位置と作動位置とに移動可能に支持している。リンク機構を構成する複数のリンク部材の中の1つにグリップ部材20が固設されている。
【0023】
支持機構30aは、アッパリンク30、ロアリンク40、フロントリンク50およびリヤリンク60を備えている。グリップ部材20は合成樹脂製であり、鋼板製の本体を被覆して成る。グリップ部材20の本体はアッパリンク30に成っている。支持機構30aは、平行四節リンク機構に類似した機構で構成されている。すなわち、アッパリンク30とロアリンク40とは、上下にかつ相互にほぼ平行に配されている。フロントリンク50とリヤリンク60とは、前後にかつ相互にほぼ平行に配されている。
【0024】
フロントリンク50とリヤリンク60との各基端部同士がロアリンク40に連接されている。ロアリンク40は、据付部13に固設されている。ロアリンク40にはフロントリンク50の基端部53が枢軸31によって揺動可能に支持されている。また、リヤリンク60の基端部には係合部64が形成され、ロアリンク40には係合凹部44が形成されている。ロアリンク40の係合凹部44にリヤリンク60の係合部64が係合することによって、ロアリンク40に、リヤリンク60の基端部が揺動可能に支持されている。
【0025】
さらに、フロントリンク50とリヤリンク60の各先端部同士がアッパリンク30に連接されている。フロントリンク50の先端部が枢軸32によってアッパリンク30に揺動可能に支持されている。また、リヤリンク60の先端部には枢軸部63が一体的に形成され、アッパリンク30には軸受け凹部33が形成されている。リヤリンク60の枢軸部63がアッパリンク30の軸受け凹部33に回動可能に嵌合することで、リヤリンク60の先端部である枢軸部63がアッパリンク30に揺動可能に支持されている。
【0026】
リヤリンク60に一体的に形成された枢軸部63は、前記枢軸31、32の回動軸としての機能と同じ機能を有していて、その軸方向の長さがリヤリンク60の板厚と同じであって、枢軸31、32のような一般的な軸部材に対してその軸方向で嵩張らないという利点を有している。
【0027】
フロントリンク50の基端部53は、図示しない作動レバーに連なるブレーキワイヤである伝達部材BWが接続される。伝達部材BWは、グリップ部材20の操作力を制動部へ伝達するためのものである。伝達部材BWの戻り力によって、グリップ部材20が作動位置から解除位置に戻る方向に付勢されている。
【0028】
パーキングブレーキ装置は、グリップ部材20を起立姿勢と前倒姿勢とに変換するようにした姿勢変換機構を備えている。姿勢変換機構は、リヤリンク60の係合部64をロアリンク40の係合凹部44に係合することで、アッパリンク30の後端部をリヤリンク60を介してロアリンク40に拘束する拘束位置と、リヤリンク60の係合部64をロアリンク40の係合凹部44から外すことで、アッパリンク30の後端部をリヤリンク60を介してロアリンク40に拘束しない非拘束位置とに変位させるものである。
【0029】
この姿勢変換機構は、グリップ部材20を解除位置から作動位置へ変位させる方向とは反対方向へ変位させようとする衝撃力が生じると、アッパリンク30を拘束位置から非拘束位置に変位させ、アッパリンク30を枢軸32を中心にしてその後端部を上方に揺動可能にすることで、アッパリンク30と一体的なグリップ部材20を図1に示す起立姿勢から図4に示す前倒姿勢に変換させるように成っている。
【0030】
パーキングブレーキ装置は、リヤリンク60を案内するためのガイド機構55を備えている。ガイド機構55は、フロントリンク50に設けられている。リヤリンク60には、ピン部材65が固設されている。ガイド機構55は、グリップ部材20を解除位置と作動位置とに移動するとき、リヤリンク60と一体的に変位するピン部材65の移動軌跡に沿うように円弧状の溝に形成されている。ガイド機構55は、アッパリンク30が拘束位置から非拘束位置へ変位する際に、ピン部材65をその円弧状の溝に沿って案内することで、図4に示すように、リヤリンク60の跳ね上がりを抑えるようにしている。
【0031】
ロアリンク40には、枢軸31を中心とした扇形のラチェットギア43と、ラチェットギア43に連続する平坦面43aとが形成されている。パーキングブレーキ装置はロック機構70を備えている。ロック機構70は、ロアリンク40とフロントリンク50とを相対変位不能に拘束して、制動力を維持するとともに、支持機構30aを介してグリップ部材20を変位不能に拘束するためのものである。
【0032】
ロック機構70のラチェットポール72は、ラチェットギア43に順次係合し得る爪部73を一端に持っていて、枢軸71によってフロントリンク50に回動可能に取り付けられる。爪部73は、作動位置ではラチェットギア43の何処かに係合するようになっている。
【0033】
また、ラチェットポール72には長孔75が形成され、長孔75には枢軸71が嵌合している。それにより、ラチェットポール72は長孔75の長手方向に移動可能に支持されている。ラチェットポール72は、長手方向に移動することで、付勢部材80によりその爪部73がラチェットギア43に係合する係合方向に付勢される一方、その爪部73がラチェットギア43から外れる非係合方向に付勢されている。付勢部材80は、略Ω状断面形状の板ばねであって、フロントリンク50とラチェットポール72との間に架設されている。
【0034】
次に本実施の形態の作用を説明する。
図1および図5に示すように、グリップ部材20は、解除位置にあるとき、起立姿勢でコンソールボックス12に沿うようになっている。また、ラチェットポール72の爪部73は、平坦面43aに係合している。付勢部材80により、ラチェットポール72は図1において反時計方向に付勢されている。
【0035】
解除位置にあるグリップ部材20を、伝達部材BWからの反力に抗して、車室内側に引くことで、解除位置から作動位置に移動すると、図2に示すように、ラチェットポール72の爪部73が平坦面43aからラチェットギア43に移動して、付勢部材80の付勢力により、ラチェットギア43に順次係合していく。グリップ部材20を解除位置から作動位置に移動操作すると、フロントリンク50が枢軸31を中心に揺動する。したがって、グリップ部材20の操作力が、フロントリンク50を揺動する力となって、フロントリンク50に連結された伝達部材BWを介して制動部に伝達され、制動力を生じさせる。
【0036】
作動位置ではラチェットギア43の何処かに係合する。それにより、フロントリンク50はロアリンク40に対して拘束された状態になり、また、グリップ部材20は作動位置に拘束される。それによって、グリップ部材20の操作力が、伝達部材BWを介して制動部に伝達された状態のままになり、制動力を生じた状態に維持することができる。図3では、実線で示したラチェットポール72の爪部73がラチェットギア43の後端部に係合している。
【0037】
グリップ部材20を支持するための支持機構30aは、平行四節リンク機構に類似した機構になっているので、グリップ部材20を解除位置から作動位置に移動操作するとき、フロントリンク50とリヤリンク60とがその各基端部を中心にしてその各先端部が同じように揺動する。それによって、アッパリンク30がほぼ一定の姿勢に保たれるように変位し、アッパリンク30に固設されたグリップ部材20も、ほぼ一定の起立姿勢に保ちながら移動する。それによって、操作者は主に、肘を引くだけでグリップ部材20を操作することができる。このとき、手首に対してグリップ部材20が相対的に傾くことがなく、手首の動きを使わずに操作することができ、手首の負担が減少する。
【0038】
グリップ部材20が作動位置に拘束されているとき、伝達部材BWは引き込まれていることから、図外の制動部に制動力が生じている。グリップ部材20が作動位置に拘束されているとき、グリップ部材20をさらに車室内側に引く操作により、ラチェットポール72が長孔75の長手方向に移動して、付勢部材80の付勢方向が係合方向から非係合方向となり、図3において、ラチェットポール72を想像線で示すように、ラチェットポール72の爪部73がラチェットギア43から外れる。それにより、フロントリンク50がロアリンク40に対して拘束された状態が解除される。
【0039】
次に、伝達部材BWの戻り力により、グリップ部材20を車室内側に引く方向とは反対方向に操作すれば、グリップ部材20が作動位置から解除位置に移動し、伝達部材BWは引き戻されることから、制動力が消滅するようになる。グリップ部材20を作動位置から解除位置に移動操作するときにおいても、グリップ部材20は、ほぼ一定の起立姿勢を保ちながら移動する。それによって、同じく、操作者は主に、肘を伸ばすようにするだけでグリップ部材20を操作することができ、手首の動きを使わずに済む。
【0040】
グリップ部材20を解除位置に戻した前後に、アッパリンク30の付勢方向切換用突起35がラチェットポール72を押して、ラチェットポール72が長孔75の長手方向に移動し、付勢部材80の付勢方向が非係合方向から係合方向となり、ラチェットポール72の爪部73が平坦面43aに係合した元の状態に戻る。
【0041】
以上のように、グリップ部材20を解除位置と作動位置との間に移動操作するとき、リヤリンク60の基端部である係合部64はロアリンク40の係合凹部44に係合していて、アッパリンク30は拘束位置にあって、アッパリンク30の一端部がリヤリンク60を介してロアリンク40に拘束された状態になっているため、アッパリンク30は、リンク機構の一部として本来の機能を果たしている。したがって、アッパリンク30に固設されたグリップ部材20は、ほぼ一定の起立姿勢を保ちながら解除位置と作動位置とに移動可能になっている。それにより、グリップ部材20の操作に支障を来すことはない。
【0042】
例えば、車両の前面衝突などのとき、車内の収容物が車室内側に引く方向とは略反対方向からグリップ部材20に衝突して、グリップ部材20に衝撃力がかかると、本装置は次のように作用する。図1に示すように、グリップ部材20が解除位置にあって、車両の前面衝突などの慣性により、車室内の収容物、乗客や運転者が車室内の運転席側からグリップ部材20の方向(グリップ部材20を車室内側に引く方向とは略反対方向)に移動し、グリップ部材20に当たるおそれがある。収容物等がグリップ部材20に当たることで、車室内側に引く方向とは略反対方向の衝撃力がグリップ部材20にかかると、図4に示すように、リヤリンク60の係合部64がロアリンク40の係合凹部44から外れ、アッパリンク30は拘束位置から非拘束位置に変位し、アッパリンク30の一端部がリヤリンク60を介してロアリンク40に拘束されない状態になる。それにより、アッパリンク30が枢軸32を中心に図4において反時計方向に揺動し、グリップ部材20が起立姿勢から前倒姿勢に変換する。グリップ部材20が前倒することによって、衝撃力が吸収されるようになる。
【0043】
このとき、ガイド機構55は、リヤリンク60の跳ね上がりを抑えるようにリヤリンク60を案内する。すなわち、グリップ部材20が起立姿勢から前倒姿勢になるとき、グリップ部材20と一体的に変位するアッパリンク30に連動して、リヤリンク60が跳ね上がるおそれがあるが、リヤリンク60のピン部材65がガイド機構55の溝に沿って案内され、跳ね上がるのを抑えられる。それにより、リヤリンク60が車室内へ突出することがなく、突起感を生じることがない。
【0044】
前記実施の形態に係るパーキングブレーキ装置においては、枢軸31と係合部64との間の距離に対して、枢軸32と枢軸部63との間の距離を長めにすることで、支持機構30aが平行四節リンク機構と類似な構成にしている。それによって、解除位置にあるグリップ部材20に対して、作動位置にあるグリップ部材20が車室内側へわずかに傾くようになり、グリップ部材20を解除位置から作動位置に移動操作するときに、操作者の手首に対してグリップ部材20が相対的にわずかに傾くため、操作者の手首の動きが、人間の一般的な作業動作時の動きにより近いものになり、手首の負担をさらになくして、操作性をさらに向上することができる。
【0045】
なお、実施の形態では、支持機構30aとして平行四節リンク機構に類似したものを示したが、支持機構30aは、このようなリンク機構に限らない。すなわち、4以上のリンク部材によって構成され、その中の1つのリンク部材がほぼ一定の姿勢を保ちながら変位するようにし、その1つのリンク部材に操作グリップを設けることができるものであればどのようなものであってもよい。
【0046】
また、実施の形態では、コンソールボックス12の運転席側の側縁部に、パーキングブレーキ装置のグリップ部材20を配設したものを示したが、運転席の脇にグリップ部材20を配設してもよい。この場合、操作者は、手首を使うことなくグリップ部材20を上方に引き上げることで、グリップ部材を解除位置から作動位置に移動操作することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明に係るパーキングブレーキ装置によれば、支持機構がグリップ部材をほぼ一定の姿勢に保ちながら、グリップ部材を解除位置と作動位置とに移動可能に支持するようにしたので、操作者がグリップ部材を解除位置から作動位置に引くとき、グリップ部材の傾きに合わせて手首を傾けながら行う必要がなく、手首に負担がかからないようにして、操作性を向上することができる。また、支持機構をリンク機構とし、その複数のリンク部材の中の1つにグリップ部材を固設するようにしたので、その1つのリンク部材をほぼ一定の姿勢で変位するようにリンク機構を適宜構成することで、据付部のスペースに応じた支持機構を提供することができる。
【0048】
さらに、支持機構が、ロアリンクとフロントリンクとリヤリンクとアッパリンクとを備え、平行四節リンク機構に類似した機構にしたので、グリップ部材を解除位置から作動位置に移動操作すると、フロントリンクとリヤリンクとがその各基端部を中心にしてその各先端部が同じように揺動し、アッパリンクがほぼ一定の姿勢に保たれるように変位し、アッパリンクに固設されたグリップ部材を、ほぼ一定の姿勢に保ちながら移動させることができる。
【0049】
グリップ部材を起立姿勢と前倒姿勢とに変換するようにした姿勢変換機構を備え、姿勢変換機構がアッパリンクを拘束位置と非拘束位置とに変位させるようにしたので、例えば、グリップ部材が起立姿勢にあって、走行中に正面衝突をしたとき、車室内の収容物等がグリップ部材に衝突した場合に、アッパリンクが非拘束位置に変位して、グリップ部材が起立姿勢から前倒姿勢に変換し、衝撃力を吸収することができ、収容物等およびグリップ部材の相互の損傷を防止することができる。
【0050】
さらに、ガイド機構が、リヤリンクの跳ね上がりを抑えるようにリヤリンクを案内したので、リヤリンクが車室内への突出することがなく、突起感を生じないようになり、安全性が高まる。さらに、グリップ部材の操作力を制動部へ伝達するための伝達部材と、支持機構を介してグリップ部材を変位不能に拘束するためのロック機構とを備えたので、グリップ部材を解除位置から作動位置に移動操作すると、フロントリンクが揺動し、操作力が、フロントリンクを揺動する力となって、フロントリンクに連結された伝達部材を介して制動部に伝達され、制動力を生じさせることができる。さらに、ロック機構がロアリンクとフロントリンクとを相対変位不能に拘束することで、制動力を生じた状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るパーキングブレーキ装置の側面図であって、グリップ部材が解除位置にあるときの図である。
【図2】同じく、パーキングブレーキ装置の側面図であって、ラチェットポールがラチェットギアに係合し始めたときの図である。
【図3】同じく、パーキングブレーキ装置の側面図であって、グリップ部材が作動位置にあり、ラチェットポールがラチェットギアに係脱する様子を実線と想像線とでそれぞれ示した図である。
【図4】同じく、パーキングブレーキ装置の側面図であって、グリップ部材が起立姿勢から前倒姿勢に変換したときの図である。
【図5】同じく、パーキングブレーキ装置の据付状態を示す側面図である。
【符号の説明】
BW…伝達部材
10…インストルメントパネル
12…コンソールボックス
13…据付部
20…グリップ部材
30a…支持機構
30…アッパリンク
31、32…枢軸
33…軸受け凹部
35…付勢方向切換用突起
40…ロアリンク
43…ラチェットギア
43a…平坦面
44…係合凹部
50…フロントリンク
55…ガイド機構
60…リヤリンク
63…枢軸部
64…係合部
65…ピン部材
70…ロック機構
71…枢軸
72…ラチェットポール
73…爪部
75…長孔
80…付勢部材
Claims (3)
- グリップ部材を解除位置から作動位置に移動操作することによって、制動部に力を伝達して制動力を発生させるようにしたパーキングブレーキ装置において、
前記グリップ部材は、支持機構を介して据付部に取り付けられるとともに、姿勢変換機構によって起立姿勢と前倒姿勢とに変換され、
前記支持機構は、アッパリンク、ロアリンク、フロントリンクおよびリヤリンクを備えるリンク機構によって前記グリップ部材をほぼ一定の姿勢に保ちながら、該グリップ部材を前記解除位置と前記作動位置とに移動可能に支持するものであり、
前記アッパリンクと前記ロアリンクとは、上下にかつ相互にほぼ平行に配され、
前記ロアリンクは、前記据付部に固設され、
前記フロントリンクと前記リヤリンクとは、前後にかつ相互にほぼ平行に配され、前記フロントリンクと前記リヤリンクとの各基端部同士を前記ロアリンクに連接する一方、前記フロントリンクと前記リヤリンクの各先端部同士を前記アッパリンクに連接し、
前記グリップ部材は、前記アッパリンクに固設され、
前記姿勢変換機構は、前記リヤリンクを前記ロアリンクに係合することで、前記アッパリンクの一端部を前記リヤリンクを介して前記ロアリンクに拘束する拘束位置と、前記リヤリンクを前記ロアリンクから外すことで、前記アッパリンクの一端部を前記リヤリンクを介して前記ロアリンクに拘束しない非拘束位置とに変位させるものであり、
さらに、前記姿勢変換機構は、前記グリップ部材を前記解除位置から前記作動位置へ変位させる方向とは反対方向へ変位させようとする衝撃力が生じると、前記アッパリンクを前記拘束位置から前記非拘束位置に変位させることで、前記グリップ部材を前記起立姿勢から前記前倒姿勢に変換させる
ことを特徴とするパーキングブレーキ装置。 - 前記リヤリンクを案内するためのガイド機構を備え、
前記ガイド機構は、前記アッパリンクが前記拘束位置から前記非拘束位置へ変位する際に前記リヤリンクの跳ね上がりを抑えるように該リヤリンクを案内する
ことを特徴とする請求項1に記載のパーキングブレーキ装置。 - 前記グリップ部材の操作力を前記制動部へ伝達するための伝達部材と、前記支持機構を介して前記グリップ部材を変位不能に拘束するためのロック機構とを備え、
前記伝達部材は、前記フロントリンクに連結され、
前記ロック機構は、前記ロアリンクと前記フロントリンクとを相対変位不能に拘束して、前記制動力を維持するものである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパーキングブレーキ装置。
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