JP4290625B2 - アルミニウム合金押出材を用いた熱交換器用ヘッダータンク及びそれを備えた熱交換器 - Google Patents

アルミニウム合金押出材を用いた熱交換器用ヘッダータンク及びそれを備えた熱交換器 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金押出管からなる熱交換器用ヘッダータンク及びそれを備えた熱交換器に関する。
近年、環境問題から自動車用熱交換器の部材は、軽量薄肉化が求められており、それに伴い高強度材料が必要となってきている。
従来、この種の熱交換器は、離間して配置される左右一対のヘッダータンクと、これらヘッダータンクの間に互いに並行に間隔をあけて設けられたアルミニウム合金製の複数のチューブと、これら隣接するチューブとチューブの間に架設されるように設けられた波形のフィンとから構成されている。そして、熱交換器において前記ヘッダータンクとチューブは、ヘッダータンクの側面に複数形成されたスロットに各チューブの両端部を差し込み、差し込み部分周りに配置したろう材を用いて両者を相互にろう付けするとともに、熱交換器においてチューブとフィンは、互いの接触部分周りに配置したろう材を用いて両者を相互にろう付けすることで組み立てられている。
前記構造の熱交換器は、各チューブの内部空間とヘッダータンクの内部空間に冷媒を循環させ、前記フィンを介して効率良く熱交換ができるように構成されている。
ところで、一般に、ろう付けによって製造される自動車用熱交換器用ヘッダータンク材は、ろう材と芯材を張り合わせたブレージングシートが用いられているが、一部の熱交換器では比較的押出性に優れるJIS3003合金系の押出材が使用されている。
しかし、熱交換器のろう付け工程では材料が600℃前後まで加熱されるために、材料自体が鈍ってしまい、前述の材料ではろう付け後に材料強度が不足する傾向にある。そのため、ろう付け後の現行押出材の強度では、ヘッダータンクの薄肉化を更に図ることができないという課題があった。
一方、この種の押出材からなるろう材被覆管において、押出加工性と強度に優れたAl−Mn系のアルミニウム合金にCuを0.3〜0.5%添加した合金が用いられることもある。また、前記ろう材には、Siを15〜30%程度有し、残部がAlの組成を有するAl−Si系合金粉末、あるいはSiを15〜30%、Znを2〜10%含有し、残部Alの組成を有するAl−Si−Zn系合金粉末が使用されている。
しかし、先の組成の材料からなるアルミニウム合金押出ヘッダータンク、チューブにあっては、Cuを多く含んでいて、強度面においては優れているものの、押出性に難点があり、薄肉化された場合に押出性に難点を有するとともに、軽量薄肉化された実環境で使用された場合、耐食性の面でも問題を生じるおそれがあった。
これらの背景に鑑み、従来、Mn:0.5〜1.3%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.3〜1%、Ti:0.1〜0.3%を含有し、残部Al及び不可避不純物の組成を有する熱交換器用アルミニウム合金押出ヘッダータンクが提案されている。(特許文献1参照)
特開2002−294378号公報
しかし、先の特許文献1に記載の熱交換器用アルミニウム合金押出ヘッダータンクにあっては、耐食性については良好な反面、これまで以上に薄肉軽量化した場合に強度が不足する傾向にあり、更に押出性の面で不足を生じる場合があるという問題を有していた。
一方、アルミニウム部材を接合する方法としてろう付法が知られており、このろう付法では、ろう材を芯材にクラッドしてブレージングシートとして提供したり、線材や板材等として提供することがなされている。また、この他にろう材を粉末状にし、これを接合面に塗布してろう付する粉末ろう材も開発されている。
この粉末ろう材は、接合部の形状等の制約が小さく、複雑形状品等のように従来のろう材では配置が困難な箇所にも容易に適用できるものとして注目されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、アルミニウム合金押出材を用いて押出性、耐食性に優れた上に、これまで以上に薄肉化しても強度の低下が少なく、良好なろう付けができるアルミニウム合金押出管からなる熱交換器用ヘッダータンクおよびそれを備えた熱交換器の提供を目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の押出材からなることを特徴とする。
本発明において、前記組成に加え、Ti:0.01〜0.1%、Zr:0.01〜0.05%、Zn:0.2〜0.5%のうちの1種以上を更に含有するアルミニウム合金の押出材からなるものでも良い。
本発明は、チューブを差し込むためのスロットが側面に設けられ、少なくともチューブを差し込むためのスロットが設けられた部分の外表面に、Si:5〜60%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のAl−Si系合金の粉末ろうと、フラックスおよびバインダを含有するろう付け組成物が塗布されてなり、重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の押出材からなることを特徴とするものでも良い。
前記構造の場合、前記押出材が、Ti:0.01〜0.1%、Zr:0.01〜0.05%、Zn:0.2〜0.5%のうちの1種以上を更に含有するアルミニウム合金の押出材からなるものでも良い。
前記粉末ろうにZn:1〜30%が含有されたものでも良い。
本発明は、前記フラックスが、Znを含有したフッ化物系フラックスであっても良い。
本発明において、チューブを差し込むためのスロットが側面に設けられ、少なくともチューブを差し込むためのスロットが設けられた部分の外表面に、Si粉末とZnを含有したフッ化物フラックスおよびバインダを含有するろう付用組成物が塗布されてなり、重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の押出材からなることを特徴とするものでも良い。
本発明は前述した種々の特徴を有するヘッダータンクを備えた熱交換器を提供する。
本発明によれば、重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するヘッダータンクを有しているので、押出性に優れ、引張強さが強く、耐食性も良好なヘッダータンクとすることができ、これにより、引張強さが強く、耐食性も良好であり、押出による製造面においても有利なヘッダータンク並びにそれを備えた熱交換器を提供することができる。
以下に本発明において限定する事項について説明する。
図1に示す熱交換器Aは、離間して左右に配置されている一対のヘッダータンク1、1と、これらヘッダータンク1、1の間に互いに並行に間隔をあけて設けられたアルミニウム合金製の複数の偏平型のチューブ3と、これら隣接するチューブ3とチューブ3の間に架設されるように設けられた波形のフィン5とから構成されている。
そして、熱交換器Aにおいて前記ヘッダータンク1とチューブ3は、ヘッダータンク1の側面に複数整列形成されたスロット(差込孔)1Aに各チューブ3の端部3Aを差し込み、差込部分3Aの周りに配置したろう材6を用いて両者を相互にろう付けするとともに、熱交換器Aにおいてチューブ3とフィン5は、互いの接触部分の周りに配置したろう材7を用いて両者を相互にろう付けすることで組み立てられている。
前記構造の熱交換器Aは、各チューブ3の内部空間とヘッダータンク2の内部空間に冷媒を循環させ、前記フィン5を介して効率良く熱交換ができるように構成されている。
前記構造の熱交換器Aにおいてヘッダータンク1は、好ましくは、重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の押出材から構成されている。
また、このヘッダータンク1を構成する押出材は、前記組成に加え、Ti:0.01〜0.1%、Zr:0.01〜0.05%、Zn:0.2〜0.5%のうちの1種以上を更に含有する組成のアルミニウム合金から構成することができる。なお、以下の表記において合金組成の範囲を〜の符号で示す場合、特に注記しない限りは下限値と上限値を含むことを意味するので、以上、以下を意味する。従って例えば、Mn:1.2〜1.6%と表記した場合に、1.2%以上、1.6%以下を意味する。
以下に前記ヘッダータンク1を構成するアルミニウム合金押出材の主要添加元素の添加理由について説明する。
Mn:本実施例構造のヘッダータンク1においてMnを添加するのは、金属間化合物(例えば、Al−Mn化合物、Al−Si−Mn化合物、Al−Cu−Mn化合物)を晶出または析出させてヘッダータンク1の強度を向上させるためである。但し、Mnの含有量を過剰にし過ぎると、必要量以上の金属間化合物を析出させてしまい、押出時にピックアップなどが発生するとともに、ダイス破損、押出圧力異常上昇などの不具合が発生し、押出性が低下する。このためMn含有量は1.2〜1.6%の範囲とする。この中でも1.25〜1.4%の範囲がより好ましい。
Si:Siについては、先に説明したMnとともにAl−Si−Mn金属間化合物を生成させるので、強度と押出性に影響があり、前述のAl−Mn金属間化合物が必要以上に生成されて押出性を低下させないように適度な量のAl−Si−Mn金属間化合物を生成させる必要がある。また、Al−Si−Mn金属間化合物の生成自体が強度を向上させる作用も奏する。逆にSiが過剰になりすぎると合金融点の低下やSi晶出物の生成により押出性が低下する。また、合金融点の低下に伴ってピックアップが発生する。これらのためSi含有量は0.8〜1.2%%の範囲とする。この中でも0.9〜1.1%の範囲がより好ましい。
Cu:Cuは先のMnとともにAl−Cu−Mn金属間化合物を生成し、押出性を低下させるような必要量以上のAl−Mn金属間化合物の生成を抑制し、押出性の改善に寄与する。ただし、Cuが多くなりすぎると粒界腐食が発生し易くなり、耐食性が低下する。このためCu含有量は0.1〜0.3%未満の範囲とする。この中でも0.12〜0.25%の範囲がより好ましい。
Ti:Tiは押出成形時に素地中に層状に分布し、Ti濃度が低い部は高い部に比べて電位が卑になるため優先的に腐食が進行し、腐食形態が層状となり、深い孔食の発生が抑制されるために耐食性が向上し、また金属間化合物として晶出または析出して強度を向上させる作用を有するので添加する。添加する場合の好ましい範囲は、0.01〜0.1%の範囲である。
Zn:ZnはTi低濃度の部の電位を下げ、Tiによる層状腐食の効果を促進させ、耐食性の一層の向上を図るために添加するが、その含有量が0.2%未満では所望の効果が得られず、一方、0.5%を越えて含有すると腐食速度が増加して耐食性が劣るようになるので好ましくない。したがって、Znを添加する場合の好ましい含有量は0.2〜0.5%に定めた。
Zr:Zrはろう付け時に発生する結晶粒を偏平にし、腐食形態を層状にし、耐食性を向上させるとともに、金属間化合物として晶出または析出して強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添加するが、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、一方、0.05%を越えて含有すると、巨大な金属間化合物が生成しやすくなるために押出加工性が低下するので好ましくない。したがって、Zrを添加する場合の好ましい含有量は0.01〜0.05%に定めた。
次に、前記ヘッダータンク1のスロット1Aの周囲に配置されたろう材6は、Si:5〜60%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のAl−Si系合金の粉末ろうと、フラックスおよびバインダを含有するろう付け組成物からなる。
更に前記粉末ろうに、前記Siに加えてZn:1〜30%を更に含有させたものを用いても良い。また、前記フラックスとしては、Znを含有したフッ化物系フラックスを用いることができる。
本実施形態で用いるAl−Si系合金は、共晶、亜共晶、過共晶のいずれでも良いが、過共晶Al−Si系合金を用いる場合は、Siを主成分とするAl合金であり、Si以外に少量の添加元素を含有するものであってもよい。また、当然にSiのみを含有し、残部が不純物およびAlからなるものであってもよい。共晶点になるSi含有量はその他の添加成分によっても異なるが、通常は、重量%で12%前後であり、過共晶15%越〜60%をSi含有量の望ましい範囲としている。
ここで、Si含有量が15%以下であると、ろう材は共晶または亜共晶合金となり、母材を溶解させる作用が少なくなり、ろう材量を低減する効果が小さいなる。一方、Si含有量が60%を越えると、母材に対する侵食が過度になり強度低下等の問題が生じ、またろう材の融点が1150℃以上となり、粉末ろう材の製作時の溶解が困難となるため、過共晶Al−Si系合金を用いる場合のSi含有量として15越〜60wt%が好ましい範囲とした。なお、同様の理由で、過共晶Al−Si系合金を用いる場合に、下限を20%、上限を30%とするのが一層望ましい。これらの望ましい範囲では、母材に対する適度な溶解が生じるため、良好なろう付性を維持したままでろう材量をより効果的に減少させることが可能になる。
上記観点から本実施形態において成分を定めたAl−Si系合金は、常法により粉末化することができるが、適当な粒径(例えば、最大粒径75μm)に調整する。このアルミニウム合金粉末は、所望のフラックス及びバインダと混合し、粉末ろう材とすることができ、これらは適宜の混合比で混合される。上記フラックスには、フッ化物や塩化物フラックス等を用いることができるが本実施形態としては、特にその種別が限定されるものではない。
上記粉末ろう材を接合部に付着させる際には、先に説明の如く混合したバインダと必要に応じて添加する溶剤を利用して付着を容易にすることができる。溶剤としては、水、アルコール類(特に炭素数1〜8の脂肪族アルコール)などを用いることが出来る。また、バインダーとしては、接合部の特性を低下させないで、粉末を良好に固着できるものであればよく、カルボキシル基を有する水溶性高分子化合物または、アクリル系、メタクリル系樹脂等を挙げることができる。上記した合金粉末は、適当に混合されて、接合材に付着させる。その方法も本発明としては特に限定されないが、例えば、スプレー法、シャワー法、フローコーター法、ロールコータ法、刷毛塗り法、浸漬法といった手段を利用することができる。
粉末ろう材をヘッダータンク1に付着させた後は、ヘッダータンク1の各スリット1Aにチューブ3を差し込み、フィン5を組み付けた後、適当な雰囲気で適温に加熱して、ろう材を溶解させる。この際の加熱温度としては580〜620℃が望ましい。580℃以下ではろう材および母材の一部溶解が進まず、良好なろう付が難しく、一方、620℃を越えると、著しい侵食が生じるおそれがあるため、上記温度範囲が望ましい。
本実施形態において過共晶Al−Si系合金ろう材を用いる場合は、Siが過剰となっているので、ろう付時にそのSiがヘッダータンク1の付着部分に拡散流入し、ヘッダータンク1の母材の融点を低下させ、その一部を溶融(浸食)する。この溶融した母材の一部が塗布されていた粉末ろうとともに流動し、ヘッダータンク1とチューブ3の接合部の隙間充填を行い、フィレットの形成を行う。すなわち、母材の一部にもろうとして作用し、接合に必要なろう材量を補完するので粉末ろう材の塗布(必要)量を減少させることができる。その結果、粉末ろう材の使用量、塗布回数を低減することでコストダウンが可能になる。
本実施形態の構造によれば、重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するヘッダータンク1を有しているので、押出性に優れ、引張強さが強く、耐食性も良好なヘッダータンクとすることができ、これにより、引張強さが強く、耐食性も良好であり、押出による製造面においても有利な熱交換器Aを提供することができる。
また、チューブ3を差し込むためのスロット1Aが側面に設けられ、チューブ3を差し込むためのスロット1Aが設けられた部分の外表面に、Si:5〜60%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のAl−Si系合金の粉末ろうと、フラックスおよびバインダを含有するろう付け組成物が塗布されてなり、このろう付け組成物により先に記載の合金からなるヘッダータンク1にチューブ3が接合されているので、ろう付け強度を高くすることができる。
次に本発明において、ヘッダータンクの形状は図3に示す断面四角形状に限らず、図4に示す丸形のパイプ状のヘッダータンク8であっても良く、この場合はスロット8Aを複数備えたヘッダータンク8のスロット8Aが形成された側の面に上述のろう材を塗布形成した構造であっても良い。
また、ヘッダータンクは1つの部材(ピース)からなる構成である必要はなく、図5に示すように縦割り半パイプ状のヘッダータンク半体9A、9Bを組み合わせてパイプ状とした構造の2ピース型のヘッダータンク9であっても良い。
なお、本発明の場合、前記Al−Si系合金の粉末ろう材の代わりに、純Si粉末を用いた粉末ろう材の使用も考えられる。
この場合、Si粉末とZnを含有したフッ化物フラックスおよびバインダを含有するろう付用組成物を用いることもできる。ここで用いるSi粉末として、最大粒径100μm以下のものを用いることができ、Si粉末の塗布量は1〜50g/mの範囲、Zn含有フラックスの塗布量を5g/m〜50g/mの範囲とすることが好ましい。また、Zn含有フラックスは、ZnF、ZnCl、KZnFのうち、少なくとも1種以上のZn化合物を含むものとすることが好ましい。
このようなろう材を用いると、Si粉末とZn含有フラックスが混合されて塗布されてるので、ろう付け時にSi粉末が溶融してろう液となり、このろう液にフラックス中のZnが均一に拡散し、チューブ表面に均一に広がる。このろう液のような液相内でZnの拡散速度は固相内の拡散速度より著しく大きいので、ヘッダータンク1の表面のZn濃度をほぼ一定とすることができ、これにより均一な犠牲陽極層が形成され、熱交換器用チューブの耐食性を向上させる。
純Si粉末を用いた場合、ヘッダータンク1の母材の一部を浸食し、ろうとなってフィレットを形成する前に母材深さ方向への浸食が著しく、母材厚さの極端に薄い箇所ができるため、腐食による貫通孔が発生し易くなったり、接合部材の強度低下を招いたりして耐食面、強度面において問題が生ずるおそれがあるため、使用条件は難しい。
したがって、Al−Si系合金においてもSiが過量のものは上記と同様の理由で避ける必要があるが、前記組成のヘッダータンク1を用いるならば、母材の一部がろうとなってろう付後の母材板厚が多少減少しても、熱交換器として必要な強度を確保することができる。
「実施例1」
以下の表1に示す合金組成でアルミニウム合金のビレットを製作し、厚さ2mm、外径25mmの中空丸型ヘッダータンクを押出成型し、押出性の確認を行った。押出成型して得た各ヘッダータンクにろう付け相当の熱処理(600℃×3分保持)を施した後、引張強さ(TS)を測定した
また、ろう付け相当熱処理後のヘッダータンクをSWAAT(JIS Z2371に規定)にて5日間の腐食試験を行い、腐食形態の確認を行った。その結果を以下の表1に併せて示す。
Figure 0004290625
「実施例2」
以下の表2に示す合金組成でアルミニウム合金のビレットを製作し、厚さ1mm、幅20mmのフラットバーを押出成型した。このフラットバーから図5に示す水平板(厚さ1mm、幅20mm、長さ20mm)10と垂直板(厚さ1mm、幅20mm、長さ50mm)11を切り出し、ろう付け組成物(Al−25Si粉末ろう100g/m+フッ化物系フラックス20g/m+バインダ10g/m)を垂直板11の両面に塗布後、逆T字型に組み付け、ろう付け(600℃×3分保持)して図5に示す逆T字型の試験片を作製した。この試験片において水平板10と垂直板11との当接部分両側の周りに広がっている部分がフィレット12となっている。
この逆T字型の試験片において、垂直板11を水平板10から引き離す方向に両者を引っ張る引張試験を行い、接合部近傍(図5に示す鎖線Hの位置、垂直板11においてフィレット12の端部近傍)で破断した試験片の引張強さ(TS)を測定した。また、フラットバー(素材)単体でのろう付け後の引張強さも測定した。
なお、フラットバー(素材)単体でのろう付け後の引張強さとは、JISZ2201 13号試験片に相当する形状において引張試験した結果を示す。
以下の表2にそれらの試験結果を示す。
Figure 0004290625
先の表1に示す結果から、Mnを1.7%含む試料4はMn量が多すぎて押出時の圧力が異常に上昇し、押出性に問題を生じた。試料6はCuを0.4%含ませた試料であるが、粒界腐食が発生し、腐食形態に問題を生じた。熱交換器の腐食発生において最も問題視するべき不具合は、チューブやヘッダの一部に孔があいてしまうことである。この点に鑑み、粒界腐食は結晶粒の粒界に沿って、細く、長く、深さ方向に腐食が進行する。よって粒界腐食は孔食と比べ、同じ体積量の腐食が発生した場合、貫通してしまう危険性が高いため、孔食よりも留意する必要がある。
試料11はCuを0.05%含む試料であるが、TSが低下した。
表2に示す結果から、本発明に係る試料A、Bは素材自体の引張強さに比べ逆T字試験片の引張強さの方が高い数値を示した。これは、ろう材(フィレット)から拡散してきたSiにより接合部近傍の合金中にAl−Si−Mn金属間化合物が生成され、強度が向上した結果と考えられる。
なお、一般に断面積の変化する基材を引張試験した場合、断面積の最も小さな部分に応力集中する。従って今回の引張試験の場合、図12に示すフィレット部分の断面積が最も狭くなったH部分に応力が集中し、破断したものと思われる。
試料DはMnを少なくした試料であるが逆T字試験片とした場合の引張強さの向上は認められず、試料EはSiも少なくした試料であるが、引張強さ自体が大幅に低下した。
図1は本発明に係る熱交換器の一実施形態を示す斜視図。 図2は同熱交換器の一実施形態のヘッダータンクとパイプの接合部分を示す断面図。 図3は同熱交換器の一実施形態のヘッダータンクの部分を示す斜視図。 図4は本発明に係るヘッダータンクの他の実施形態を示す斜視図。 図5は本発明に係るヘッダータンクの別の実施形態を示す斜視図。 図6は実施例において施した引張試験を説明するための説明図。
符号の説明
A…熱交換器、1…ヘッダータンク、1A…スロット(差込孔)、3…チューブ、
5…フィン、6、7…ろう材、8、9…ヘッダータンク、8B…スロット(差込孔)。

Claims (8)

  1. 重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の押出材からなることを特徴とする熱交換器用ヘッダータンク。
  2. Ti:0.01〜0.1%、Zr:0.01〜0.05%、Zn:0.2〜0.5%のうちの1種以上を更に含有するアルミニウム合金の押出材からなることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金押出ヘッダータンク。
  3. チューブを差し込むためのスロットが側面に設けられ、少なくともチューブを差し込むためのスロットが設けられた部分の外表面に、Si:5〜60%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成のAl−Si系合金の粉末ろうと、フラックスおよびバインダを含有するろう付け組成物が塗布されてなり、
    重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の押出材からなることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金押出ヘッダータンク。
  4. 前記押出材が、Ti:0.01〜0.1%、Zr:0.01〜0.05%、Zn:0.2〜0.5%のうちの1種以上を更に含有するアルミニウム合金の押出材からなることを特徴とする請求項3に記載の熱交換器用アルミニウム合金押出ヘッダータンク。
  5. 前記粉末ろうにZn:1〜30%が含有されたことを特徴とする請求項3又は4に記載のアルミニウム合金押出ヘッダータンク。
  6. 前記フラックスが、Znを含有したフッ化物系フラックスであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金押出ヘッダータンク。
  7. チューブを差し込むためのスロットが側面に設けられ、少なくともチューブを差し込むためのスロットが設けられた部分の外表面に、Si粉末とZnを含有したフッ化物フラックスおよびバインダを含有するろう付用組成物が塗布されてなり、
    重量%でMn:1.2〜1.6%、Si:0.8〜1.2%、Cu:0.1〜0.3%未満を含有し残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の押出材からなることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金押出ヘッダータンク。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のアルミニウム合金押出ヘッダータンクを備えたことを特徴とする熱交換器。


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