JP4286516B2 - 印刷インキ組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大豆油を20質量%以上含有し、揮発性有機化合物含量を低減させた、環境調和型印刷インキ組成物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
印刷インキは、印刷インキ組成物中の不飽和結合を有する植物油の酸化重合と、揮発性有機化合物の浸透により、乾燥を行っている。浸透乾燥、及び酸化乾燥型印刷インキは印刷物を重ねたときに印刷面のインキが上の印刷物に付着しないよう、インキの乾燥性についてはある程度の早さが必要であり、密着性も必要である。
【0003】
従来、合成紙を含む非吸収原反用印刷インキ組成物中の植物油成分としては、桐油、亜麻仁油等の乾性油が用いられてきた。大豆油のような半乾性油を主成分とする場合は、密着性、乾燥性が劣り、その結果、耐スクラッチ性も劣るという問題があった。しかし、環境面からは、地球環境、及び健康への悪影響が少ないとされる大豆油を主成分とする非吸収原反用印刷インキ組成物が求められてきた。米国大豆協会の認定基準から、枚葉インキではインキ中に大豆油を20%以上含有すれば大豆油インキと認められ、揮発性有機化合物(石油系溶剤)の含有量が少ない、環境に優しく好ましいインキであるとされる。
【0004】
一方、揮発性有機化合物は、溶剤成分として、インキの初期のセット性に重要な役割を果たすが、印刷現場の環境を悪化させ、更には地球環境にも悪影響を及ぼすとして問題になってきている。また、揮発性有機化合物は合成紙を膨潤させる性質があり、この点からも揮発性有機化合物を極力低減させ、植物油による酸化重合機構で乾燥する、合成紙を含む非吸収原反用印刷インキ組成物が求められてきた。
【0005】
従来公知の紙用印刷インキ組成物として、植物油を主成分とし、揮発性有機化合物の含有量を3質量%以下に抑えたものが提案されているが(例えば、特許文献1参照。)、この印刷インキ組成物を、合成紙を含む非吸収原反の印刷に用いた場合、密着性、乾燥性、耐スクラッチ性等が劣っており、合成紙を含む非吸収原反に対する印刷においては、桐油、亜麻仁油のような乾性油を主に用いることが余儀なくされている。
【0006】
従って、本発明は、大豆油を20質量%以上含有し、乾燥性、密着性、耐スクラッチ性に優れた、環境対応型の非吸収原反用印刷インキ組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−288394号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の分子量を有するロジン変性フェノール樹脂と植物油の組み合わせにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルと重量平均分子量が4万超〜10万のロジン変性フェノール樹脂とを含有するワニス(A)、アルキッド樹脂と重量平均分子量が1万〜2万のロジン変性フェノール樹脂とを含有するワニス(B)、大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステルと重量平均分子量が1万〜4万のロジン変性フェノール樹脂とを含有するワニス(C)、並びにワックスを含有する非吸収原反用印刷インキ組成物であって、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルの含量が20%以上であり、揮発性有機化合物含有量が5質量%未満である非吸収原反用印刷インキ組成物である。
本発明の第2の発明は、大豆油及び/又はその脂肪酸エステル、重量平均分子量が1万〜10万のロジン変性フェノール樹脂、ワックス、アルキッド樹脂、並びに大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステルを含有し、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルの含量が20%以上であり、揮発性有機化合物含有量が5質量%未満である非吸収原反用印刷インキ組成物の製造方法であって、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルと重量平均分子量が4万超〜10万のロジン変性フェノール樹脂とを混合してワニス(A)を調製する工程、アルキッド樹脂と重量平均分子量が1万〜2万のロジン変性フェノール樹脂とを混合してワニス(B)を調製する工程、大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステルと重量平均分子量が1万〜4万のロジン変性フェノール樹脂とを混合してワニス(C)を調製する工程を含むことを特徴とする非吸収原反用印刷インキ組成物の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の非吸収原反用印刷インキ組成物は、20質量%以上の大豆油及び/又はその脂肪酸エステル、重量平均分子量が1万〜10万のロジン変性フェノール樹脂、大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステル、並びにワックスを含有し、揮発性有機化合物含有量が5質量%未満であることを特徴とする非吸収原反用印刷インキ組成物である。この印刷インキ組成物は、酸化重合機構で乾燥し、乾燥性、耐スクラッチ性、密着性に優れる。
【0010】
本明細書において非吸収原反とは、例えば、合成紙、アルミホイル紙、アルミ蒸着紙、フィルム、特殊塗工紙(パール紙、シルバー紙等)等の特殊紙及び金属板等の溶剤や水分を吸収しない原反である。
【0011】
本明細書において合成紙とは、石油系合成樹脂を主原料とし、その特徴を残しつつ、木材パルプを主原料とする紙の外観や広範囲の印刷加工適正等の性質を付与したものをいう。
合成紙はその製造方法により、フィルム法合成紙及びファイバー法合成紙に分類される。フィルム法には、合成樹脂に充填剤等を配合してフィルム化することによりフィルムそのものに不透明性、印刷、筆記性を持たせる内部紙化法、合成樹脂フィルムの表面加工によって紙として必要な印刷、筆記性を持たせる表面加工法がある。ファイバー法は、パルプ紙と同様に樹脂ファイバーの絡み合ったシートを作り不透明性、印刷、筆記性を持たせる方法である。
【0012】
本発明に係る非吸収原反用印刷インキ組成物は、非吸収原反の中でも特に合成紙に対する印刷に用いられることが好ましく、より好ましくはフィルム法合成紙に用いられ、特に好ましくは内部紙化法、表面加工法によって製造されたフィルム法合成紙に用いられる。さらに紙等の吸収原反にも印刷可能である。
【0013】
本発明に係る印刷インキ組成物は、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルを20質量%以上含有するものであり、25質量%以上含有するものが好ましい。大豆油は地球環境及び健康への悪影響が少ないとされており、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルを20質量%以上含有する印刷インキ組成物は環境対応型であり好ましい。また、本発明に係る印刷インキ組成物は、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルを45質量%以下含有するものが好ましく、さらに30質量%以下含有するものがより好ましい。これは、大豆油が多く含有されると乾燥性、密着性、スクラッチ性が劣るからである。
【0014】
本発明に係る印刷インキ組成物に用いられる大豆油の脂肪酸エステルとしては、大豆油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸エチルエステル、大豆油脂肪酸プロピルエステル、大豆油脂肪酸ブチルエステル等が挙げられる。このうち、大豆油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸ブチルエステルが好ましく用いられる。
【0015】
本発明に係る印刷インキ組成物に用いられるロジン変性フェノール樹脂は、平均の重量平均分子量が1万〜10万であるロジン変性フェノール樹脂であり、石油樹脂で内部変性された石油樹脂変性ロジン変性フェノールを含むものである。石油樹脂変性する場合、ロジン変性フェノール樹脂に対する変性量は5〜15%が好ましい。石油樹脂変性ロジン変性フェノール樹脂の併用は、印刷物の光沢の向上に寄与するが、全ロジン変性フェノール樹脂中の石油樹脂変性ロジン変性フェノール樹脂の割合は50%以下が好ましい。
【0016】
本発明に用いられるロジン変性フェノール樹脂の含有量は、印刷インキに対して15〜40質量%であることが好ましく、特に20〜30質量%であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る印刷インキ組成物には、大豆油以外の植物油を含有させることが好ましい。大豆油以外の植物油としては、亜麻仁油及び重合亜麻仁油、桐油、ひまし油、脱水ひまし油、コーン油、サフラワー油、カノール油等の油類及び合成油が例として挙げられる。また、本発明ではこれら植物油を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0018】
前記の植物油の中でも、乾燥性向上のため、亜麻仁油、桐油が好ましく、桐油が特に好ましい。
【0019】
本発明に用いられる大豆油以外の植物油の含有量は、印刷インキに対して40質量%以下であることが好ましく、さらに5〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
【0020】
本発明に係る印刷インキ組成物に用いられる大豆油以外の植物油の脂肪酸エステルとしては、アマニ油脂肪酸メチルエステル、アマニ油脂肪酸エチルエステル、アマニ油脂肪酸プロピルエステル、アマニ油脂肪酸ブチルエステル、パーム油脂肪酸メチルエステル、パーム油脂肪酸エチルエステル、パーム油脂肪酸プロピルエステル、パーム油脂肪酸ブチルエステル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマシ油脂肪酸エチルエステル、ヒマシ油脂肪酸プロピルエステル、ヒマシ油脂肪酸ブチルエステル、トール油脂肪酸メチルエステル、トール油脂肪酸エチルエステル、トール油脂肪酸ブチルエステル等が挙げられる。
【0021】
前記の植物油脂肪酸エステルの中でもアマニ油脂肪酸メチルエステル、アマニ油脂肪酸ブチルエステル、トール油脂肪酸メチルエステル、トール油脂肪酸ブチルエステルが好ましく用いられる。
【0022】
本発明に係る印刷インキ組成物に含有される植物油脂肪酸エステルの含有量は、印刷インキに対して40質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは5〜10質量%で、乾燥速度を向上させることができる。40質量%より多いと適正な乳化特性を保ち難くなる場合がある。
【0023】
本発明に係る印刷インキ組成物製造の過程で、ワニスを調製する際、ロジン変性フェノール樹脂を溶解させる植物油の種類によって、異なる重量平均分子量を有するロジン変性フェノール樹脂を組み合わせることでインキの特性を変更することが可能である。すなわち、大豆油、それ以外の植物油等を用いて印刷適性に優れた印刷インキ組成物を製造する際、ワニス成分としてロジン変性フェノール樹脂を用いる必要があるが、この時、大豆油及びそれ以外の植物油等に対して重量平均分子量1万〜4万のロジン変性フェノール樹脂と、重量平均分子量4万超〜10万のロジン変性フェノール樹脂を組み合わせることにより、乾燥性、密着性、耐スクラッチ性に優れた印刷インキ組成物が得られる。ここで、重量平均分子量1万〜4万のロジン変性フェノール樹脂は、大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステルを用いてワニスを調製する際に用いられ、特に、乾燥性、耐スクラッチ性、密着性の向上に寄与し、また重量平均分子量4万超〜10万のロジン変性フェノール樹脂は、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルを用いてワニスを調製する際に用いられ、大豆油含有印刷インキ組成物の非吸収原反への印刷を可能にするものである。
【0024】
本発明に係る印刷インキ組成物に用いられるワックスとしては、従来公知のものの使用が可能であるが、ワックスに添加される揮発性有機化合物の含有量の少ないものが好ましい。例としては、ポリエチレンワックス、PTFEワックス、サゾールワックス等が挙げられる。ワックスは、すべり性を向上させることにより、耐スクラッチ性を向上させる機能を有するが、本発明においては、粒径の異なる3種以上のワックスを用いると、耐スクラッチ性がより向上するため好ましい。例えば、ポリエチレンワックス(粒径2〜4μm)、マイクロクリスタリンワックス(粒径0.5〜2μm)、フロンワックス(粒径5〜10μm)を組み合わせて用いると、耐スクラッチ性が極めて優れた印刷インキ組成物が得られる。ワックスの含有量としては3〜6質量%、特に4〜6質量%であることが、耐スクラッチ性向上の観点から好ましい。
【0025】
本発明に係る印刷インキ組成物には、耐スクラッチ性、原反との密着性、乳化安定性向上等の観点から、アルキッド樹脂を含有させることが好ましい。アルキッド樹脂とは、多塩基酸と多価アルコールとの縮合物を骨格として、これを油脂、脂肪酸、ロジン酸系単量体などで変性した、熱硬化性樹脂をいう。アルキッド樹脂としては、品名:99X0069(大日本インキ化学工業社製)等が例として挙げられる。本発明に係る印刷インキ組成物中のアルキッド樹脂含有量としては、5〜15質量%が好ましく、7〜12質量%が特に好ましい。
アルキッド樹脂を用いて印刷適性に優れた印刷インキ組成物を製造する際、アルキッド樹脂と重量平均分子量1万〜2万のロジン変性フェノール樹脂とを組み合わせてワニスを製造することにより、密着性、耐スクラッチ性、乳化安定性に優れた印刷インキ組成物が得られる。
【0026】
本発明に係る印刷インキ組成物には、必要に応じドライヤー、キレート化剤等の印刷インキ用の各種添加剤を含有させてもよいが、添加剤に含有される揮発性有機化合物の含有量の少ない添加剤が好ましい。
ドライヤーとしては、コバルト、マンガン、鉛、亜鉛、鉄、カルシウム、セリウム、レアアース等の金属と、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、桐油酸、亜麻仁油酸、樹脂酸等のカルボン酸との塩である金属石鹸や、上記金属とのホウ酸塩等が例として挙げられる。
キレート化剤としては一般にアルミニウムキレートと呼ばれるもので、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−iso−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシドの誘導体で、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基のそれぞれの基の1つが、エチルアセテート、またはメチルアセテートで置換された化合物が例として挙げられる。
【0027】
本発明に係る非吸収原反用印刷インキ組成物は、含有する揮発性有機化合物が5質量%以下であることを特徴としている。5質量%以下であれば、環境調和型の印刷インキとして優れたものである。この揮発性有機化合物は、意図的に添加するものではなく、ワックスや、必要に応じて添加される助剤、例えば、ドライヤー、キレート化剤等が揮発性有機化合物を含有する場合に、これらに起因する揮発性有機化合物が最終の印刷インキ組成物に含有されることを示す。各種助剤も揮発性有機化合物を実質的に含有しないものを用いるのが特に好ましい。揮発性有機化合物含有量を5質量%以下にするためには、予め例えばメソッド24(Method24(米国環境局):サンプルを110±5℃で1時間加熱、カールフィッシャー測定法等で測定した水分量を除いた蒸発量を揮発性有機化合物含有量と見なす方法)でワックスや助剤の揮発性有機化合物含有量を測定し、揮発性有機化合物含有量の少ないワックスや助剤を選択すればよい。
【0028】
本発明に係る印刷インキ組成物の製造におけるワニスの調製は、例えば以下の方法で行うことができる。すなわち、大豆油50〜60質量部、樹脂成分として重量平均分子量4万超〜10万のロジン変性フェノール樹脂を30〜40質量部、更に必要に応じて、キレート化剤としてアルミニウムキレート0.5〜2質量部をこの順に仕込み、昇温し、200℃で1時間のクッキング条件でワニスを製造できる。
また、大豆油以外の植物油又はその脂肪酸エステル50〜60質量部、樹脂成分として重量平均分子量1万〜4万のロジン変性フェノール樹脂を30〜40質量部、更に必要に応じて、キレート化剤としてアルミニウムキレート0.5〜2質量部をこの順に仕込み、昇温し、200℃で1時間のクッキング条件でワニスを製造できる。
さらに、アルキッド樹脂50〜60質量部、樹脂成分として重量平均分子量1万〜2万のロジン変性フェノール樹脂を30〜40質量部、更に必要に応じて、キレート化剤としてアルミニウムキレート0.5〜2質量部をこの順に仕込み、昇温し、200℃で1時間のクッキング条件でワニスを製造できる。
【0029】
本発明に係る印刷インキを製造するには、従来技術と同様でよい。例えば、前記の手順で予め調整されたワニスに、有機顔料、無機顔料のような顔料、ワックス成分、追加のワニス成分、追加の植物油、金属石鹸のような乾燥促進剤等を添加して、3本ロール等で練肉することによって製造できる。
【0030】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(ワニス調製例A)
ロジン変性フェノール樹脂(重量平均分子量10万)40質量%、大豆油50質量%、大豆油脂肪酸エステル10質量%を200℃で1時間加熱してワニス(A)を調製した。
【0032】
(ワニス調製例B)
ロジン変性フェノール樹脂(重量平均分子量2万)40質量%、アルキッド樹脂30質量%及び亜麻仁油29質量%、アルミキレート1質量%を200℃で1時間加熱してワニス(B)を調製した。
【0033】
(ワニス調製例C)
ロジン変性フェノール樹脂(重量平均分子量4万)30質量%、桐油36質量%、重合亜麻仁油34質量%を200℃で1時間加熱してワニス(C)を調製した。
【0034】
なお、重量平均分子量の測定方法としては、以下の機器、条件を使用した。
GPC装置
メーカー:東ソー株式会社
品番:SC−8020
使用カラム:SUPER H4000
使用溶媒:THF
標準資料:ポリスチレン
サンプル濃度:0.1〜0.5%
【0035】
(実施例1インキの製造)
上記ワニス(A)を40質量%、ワニス(B)8質量%、ワニス(C)を8質量%、顔料として、フタロシアニンブルーを17.5質量%、大豆油を18質量%、ワックスを5.0質量%、乾燥剤等の助剤3.5質量%を三本ロールミルにて練肉することによって実施例1インキを製造した。揮発性有機化合物の含有量は1%未満であった。
【0036】
なお、揮発性有機化合物含有量の測定方法としては、米国環境局Method24(サンプルを110±5℃で1時間加熱、カールフィッシャー測定法等で測定した水分量を除いた蒸発量を揮発性有機化合物含有量と見なす方法)による。
【0037】
(実施例2インキの製造)
上記ワニス(A)を40質量%、ワニス(B)を8質量%、ワニス(C)を8質量%、顔料として、フタロシアニンブルーを17.5質量%、大豆油又は/及び大豆油以外の植物油13質量%、アルキッド樹脂を5質量%、ワックスを5.0質量%、乾燥剤等の助剤3.5質量%を三本ロールミルにて練肉することによって実施例2インキを製造した揮発性有機化合物の含有量は実施例1と同様の方法により測定し1%未満であった。
【0038】
(比較例1インキの製造)
上記ワニス(B)を38質量%、ワニス(C)16.0質量%、フタロシアニンブルー17.5質量%、大豆油以外の植物油20.0質量%、ワックスを5質量%、乾燥剤等の助剤3.5質量%を三本ロールミルにて練肉することによって比較例1インキを製造した。
【0039】
(比較例2インキの製造)
上記ワニス(B)を38質量%、ワニス(C)16質量%、フタロシアニンブルー17.5質量%、大豆油20質量%、ワックスを5質量%、乾燥剤等の助剤3.5質量%を三本ロールミルにて練肉することによって比較例2インキを製造した。
【0040】
以上により製造したインキに対して、印刷適性、機上安定性、乾燥性、密着性、及び耐スクラッチ性を以下の手順で評価した。
(印刷適性)
印刷適性としては水幅の広さを評価した。装置としてローランド704を使用し、試料インキを非吸収原反(ユポコーポレーション製FGS130)に印刷した。
一定インキ目盛り、一定速度で印刷中に水量目盛りを上下させ、印刷面に汚れが発生する上限水量a、下限水量bを確認した。水幅はa−bで表され、広いほど水幅があり優れている。
評価は、標準品である比較例1の結果を3とし、それよりやや優れるものを4、非常に優れるものを5、やや劣るものを2、非常に劣るものを1とする、5段階で行った。
【0041】
(機上安定性)
機上安定性を評価するために、以下の条件でインコメータースタビリティー試験を行った。
条件
a インコメーター回転数 800r/min、1200r/min
b インコメーターローラ温度 32℃(90°F)
c 測定時間 1,3,5,7,10分
d インキ盛り量 1.32ml
e 室温 常温
インコメーターのローラーを400r/minで洗浄後、測定回転数にて0点を合わせた。試料インキをローラーにつけ、インキが均一になるまで約30秒間ローラーを400r/minで回転させた。その後、測定する回転数に合わせて回転させ、ストップウォッチを用いて測定時間毎にタックバリュー(T.V)を測定した。以下に定義するインコメータースタビリティー(ΔT.V)の数値を算出し、数値が小さいほど機上安定性に優れている。
ΔT.V=(T.V10分値)−(T.V1分値)
評価は、標準品である比較例1の結果を3とし、それよりやや優れるものを4、非常に優れるものを5、やや劣るものを2、非常に劣るものを1とする、5段階で行った。
【0042】
(乾燥性)
乾燥性を評価するために、試料インキが乾燥して圧力をかけても硫酸紙に移らなくなるまでの時間を測定した。乾燥試験機として、朝陽会式乾燥機を使用した。
展色用硫酸紙(約2×30cm、本州製紙製ドリープW<45>)に、伸ばしヘラを用いて試料インキを展色し、直ちに当て紙用硫酸紙(約32×30cm、本州製紙製ドリープW<45>)を展色物の展色面と重ね合わせた。当て紙用硫酸紙が外側に来るように、乾燥試験機の回転ドラムに巻きつけ、おもり及び押し圧歯車のついた支持棒を送りねじの左側に移動し、押し圧歯車を当て紙用硫酸紙の上に静かに下ろした。変速レバーを1/10又は1/20r/minにセットし、駆動スイッチを入れた。送りねじの右側まで移動し、スイッチが切れたら当て紙を重ねた展色物を取り出し、当て紙用硫酸紙に押し歯車の歯形がほとんど移らなくなった時間を記録した。当て紙用硫酸紙に試料インキがほとんど移らなくなる時間を試料インキの乾燥時間とし、乾燥時間が短いほど乾燥性に優れている。
評価は、標準品である比較例1の結果を3とし、それよりやや優れるものを4、非常に優れるものを5、やや劣るものを2、非常に劣るものを1とする、5段階で行った。
【0043】
(密着性)
密着性を評価するために、密着性試験(セロテープ法)を行った。
試料インキを非吸収原反(ユポコーポレーション製FGS130)に印刷した印刷物にセロテープ(登録商標)(ニチバン製18mm幅)をよくこすりつけて、セロテープ(登録商標)の一端を指でつかみ、片方の手で原反を押さえながら一気にはがす。この時、剥がしたセロテープ(登録商標)に付着するインキの状態を観察した。セロテープ(登録商標)へのインキの付着量が少ない方が密着性に優れている。
評価は、標準品である比較例1の結果を3とし、それよりやや優れるものを4、非常に優れるものを5、やや劣るものを2、非常に劣るものを1とする、5段階で行った。
【0044】
(耐スクラッチ性)
耐スクラッチ性は、ガラス板を用いたつめ法により試験した。
試料インキを非吸収原反(ユポコーポレーション製FGS130)に展色した展色物をガラス版に広げ、手で展色物を押さえて、塗膜を爪で一定の力でひっかいた。試験品の塗膜の取れ方を標準品と比較し、塗膜が残っている方が耐スクラッチ性に優れている。
評価は、標準品である比較例1の結果を3とし、それよりやや優れるものを4、非常にすぐれるものを5、やや劣るものを2、非常に劣るものを1とする、5段階で行った。
【0045】
以上のように、印刷適性、機上安定性、乾燥性、密着性、及び耐スクラッチ性を試験し、5段階で評価した結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1より、大豆油を20質量%以上含有する実施例1の印刷インキは、標準品である比較例1と比較して、印刷適性及び機上安定性に非常に優れており、乾燥性、密着性及び耐スクラッチ性においても遜色ない結果が得られた。
【0048】
アルキッド樹脂の添加量を増加させた実施例2の印刷インキは、印刷適性及び機上安定性において比較例1より優れており、乾燥性、密着性及び耐スクラッチ性で比較例1と遜色ない結果を示した。さらに、実施例2を実施例1と比較すると、密着性及び耐スクラッチ性において実施例2が優れており、アルキッド樹脂を添加することによって密着性及び耐スクラッチ性が向上することが明らかとなった。
【0049】
また、重量平均分子量4万超〜10万のロジン変性フェノール樹脂と大豆油とを組み合わせて調製したワニス(A)を用いずに、インキの製造時に大豆油を20質量%使用した比較例2の印刷インキは、乾燥性、密着性、及び耐スクラッチ性において比較例1より劣っていた。従って、大豆油を20質量%以上含有する非吸収原反用印刷インキの製造において、特定の重量平均分子量のロジン変性フェノールと大豆油とを混合して調製したワニスを用いると好ましいことが明らかとなった。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、乾燥性、密着性、耐スクラッチ性に優れ、環境、健康に悪影響が少なく、大豆油を20質量%以上含有し、揮発性有機化合物の含有量を極力低減させた、環境対応型の非吸収原反用印刷インキ組成物を提供することができる。
Claims (8)
- 大豆油及び/又はその脂肪酸エステルと重量平均分子量が4万超〜10万のロジン変性フェノール樹脂とを含有するワニス(A)、
アルキッド樹脂と重量平均分子量が1万〜2万のロジン変性フェノール樹脂とを含有するワニス(B)、
大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステルと重量平均分子量が1万〜4万のロジン変性フェノール樹脂とを含有するワニス(C)、
並びにワックスを含有する非吸収原反用印刷インキ組成物であって、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルの含量が20%以上であり、揮発性有機化合物含有量が5質量%未満である非吸収原反用印刷インキ組成物。 - 非吸収原反が合成紙である請求項1に記載の非吸収原反用印刷インキ組成物。
- ロジン変性フェノール樹脂含有量が15〜40質量%である請求項1又は2に記載の非吸収原反用印刷インキ組成物。
- ワックス含有量が3〜6質量%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非吸収原反用印刷インキ組成物。
- ワックスが、平均粒径が異なる3種以上のワックスの混合物である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非吸収原反用印刷インキ組成物。
- アルキッド樹脂の含有量が5〜15質量%である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非吸収原反用印刷インキ組成物。
- 大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステルの含有量が40質量%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非吸収原反用印刷インキ組成物。
- 大豆油及び/又はその脂肪酸エステル、重量平均分子量が1万〜10万のロジン変性フェノール樹脂、ワックス、アルキッド樹脂、並びに大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステルを含有し、大豆油及び/又はその脂肪酸エステルの含量が20%以上であり、揮発性有機化合物含有量が5質量%未満である非吸収原反用印刷インキ組成物の製造方法であって、
大豆油及び/又はその脂肪酸エステルと重量平均分子量が4万超〜10万のロジン変性フェノール樹脂とを混合してワニス(A)を調製する工程、
アルキッド樹脂と重量平均分子量が1万〜2万のロジン変性フェノール樹脂とを混合してワニス(B)を調製する工程、
大豆油以外の植物油及び/又はその脂肪酸エステルと重量平均分子量が1万〜4万のロジン変性フェノール樹脂とを混合してワニス(C)を調製する工程を含むことを特徴とする非吸収原反用印刷インキ組成物の製造方法。
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