JP4285839B2 - 燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジン用の燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリに関するものであり、具体的には、圧縮点火（ディーゼル）エンジンに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
高圧共同軌道（High Pressure Common Rail。以下「ＨＰＣＲ」という。）燃料システムで動作するディーゼルエンジンでは、低圧供給ポンプは燃料タンクから燃料を引きだして、共通燃料軌道（Common fuel rail）を加圧する高圧ポンプに燃料を供給する。低圧ポンプの吸引側に燃料フィルタを配置するのは望ましくない。というのは、ギヤ、ロータ、ベーンポンプなどの低圧供給ポンプは、高レベル吸引力を生成するとキャビテーションを起こすかもしれないからである。したがって、燃料フィルタは、通常、低圧供給ポンプと高圧供給ポンプとの間に配置されている。
【０００３】
低圧供給ポンプが高圧ポンプと同じ装置内に組込まれているＨＰＣＲポンプでは、フィルタは離間して配置されており、低圧ポンプの出口から燃料フィルタに、逆にフィルタから高圧ポンプの入口に燃料を送るために、複数の燃料管が必要となる。これらの管、すなわち管系は、組立や個々の要素のコストが高くなる。例えば農耕用車両のような分野では、管が露呈していると農場でさまざまなものに当たるという危険があり、これにより修理費が高くつく。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、高圧ポンプ及び低圧ポンプを燃料フィルタを介して互いに接続するのに必要な外部の配管を削減することで上記の問題点を緩和する燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリは、貯蔵部から燃料を引きだすエンジン駆動式低圧ポンプと加圧下の低圧燃料ポンプにより引きだされた燃料を共通燃料軌道に供給するように接続されたエンジン駆動式高圧ポンプとを統合したポンプ装置と、低圧および高圧ポンプ管の燃料経路に接続された燃料フィルタ手段とを含む。
【０００６】
燃料フィルタ手段は、ポンプ装置のハウジングに直接接続され、濾過要素を含むフィルタを取付けるプレートを備えた燃料フィルタヘッドを含む。この燃料フィルタヘッドは、第１の内部流路と第２の流路をもつように形成され、第１内部流路を介して低圧ポンプにより加圧された燃料がフィルタ要素の一方の側に供給され、第２の流路はフィルタ要素の他の側に接続されて、濾過された燃料を高圧ポンプに供給するように構成されている。
【０００７】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリの実施の形態について図面に基づいて説明する。
【０００８】
図１は、上述したＨＰＣＲ燃料システムで動作する直列形ディーゼルエンジン１０を表している。クランク軸、ピストン、連結悍などのエンジンの内部部品の大半は当業者には周知なので、詳細には説明しない。このエンジンは、エンジンブロック１１、シリンダーヘッド１２及びロッカーカバー１４を備えるプッシュロッド式エンジンである。吸気マニホールド１６は、エンジンシリンダに空気を供給し、複数のインジェクタ（図示省略）に接続された共通燃料軌道１８は、燃焼用の燃料を供給する。燃料軌道１８中の燃料は、ポンプ装置２２により加圧される。このポンプ装置２２は、図１乃至図３を参照して以下、より詳細に説明される。図１に示すように、ポンプ装置２２は、エアコンプレッサ２４とパワーステアリングポンプ２６の下方の限定された空間に取付けられている。空間が限られているので、ポンプ２２は、接続すべき外部管類を最小にするように設計する必要がある。
【０００９】
図２乃至図５に示すポンプ装置２２は、共通ハウジング内に２つの別々のポンプ（図示省略）を備えている。第１のポンプは、貯蔵部またはタンクから燃料を引き出す低圧ギヤポンプであるが、第２のポンプは、共通燃料軌道１８を加圧する高圧ポンプである。こうしたポンプ装置は既に公知であり、従来からこれらの２つのポンプのそれぞれは、外部に入口接続部及び出口接続部を備えている。これらのポンプはハウジングの中で接続してはならない。というのは、低圧ポンプの出口と高圧ポンプの入口との間に燃料フィルタを取付けることが必要だからである。
【００１０】
したがって、従来ではポンプへの接続をすべて形成するには４つの管が必要となる。すなわち、燃料貯蔵部から低圧ポンプの入口に至る管と、低圧ポンプの出口から燃料フィルタに至るフィルタ供給管と、燃料フィルタから高圧ポンプの入口に戻るフィルタ戻り管と、高圧ポンプから共通燃料供給軌道に至る高圧管と、である。
【００１１】
本発明によると、上記の管の１つが不必要になる。フィルタ戻り管を取り除くことも可能であるが、例示実施例では、低圧ポンプの出口からフィルタへの外部管が不必要になっている。
【００１２】
図２及び図３では、ポンプ装置２２に取外し可能に接続されているフィルタヘッド３０が示されている。フィルタヘッド３０は、一般にＬ字形状であり、ポンプ装置２２にボルト締めされた第１プレート３０ａと、フィルタ取付けプレートとしての機能をもつ第２プレート（フィルタ取付けプレート）３０ｂとを備えている。濾過要素（図示省略）を含む使い捨てフィルタ４８は、ねじ付き中央開口部４６を介して、ねじ付き接続部５０によりフィルタ取付けプレート３０ｂに取付けられている。必要に応じて、電気燃料ヒータ（図示省略）をフィルタハウジング４８とフィルタ取付けプレート３０ｂとの間に取り付けることができる。
【００１３】
高圧ポンプは、装置２２内に備えられている。他方、低圧ポンプは、フィルタヘッドの第１プレート３０ａにくぼませて形成した作動室３２を備えている。２つの噛合いギヤ（図示省略）は、作動室３２内に配置され、ポンプ装置２２内から駆動される。ギヤは、図４の矢印３４の方向に回転するので、燃料タンクからの燃料供給管用の接続部（図示省略）に至る通路３６の開口部３８を通して燃料が引きだされる。
【００１４】
低圧ギヤポンプにより押し出された燃料は、通路４０の開口部４２を介して作動室３２から出ていく。この通路４０は、フィルタハウジング４８の濾過要素の一方の側のフィルタ取付けプレート３０ｂの開口部４４に至る。円筒形状のフィルタ要素４８を介して径方向内方に進んだ後で、濾過された燃料は、フィルタ取付けプレート３０ｂの中央開口部４６を通って出ていき、フィルタ取付けプレート３０ｂの他の通路５４により開口部５６に流れていく。この開口部５６は、濾過された燃料を装置２２の高圧ポンプの入口６２に導くフィルタ戻り管（図示省略）の接続部（図示省略）に接続される。
【００１５】
フィルタヘッド３０は、アルミニウム又は他の金属で鋳造して形成され、都合がよいことに鋳造過程中でさまざまな内部通路を形成することが可能である。その代わりとして、鋳造物にこうした通路を加工して、それらの端部を接続することもできる。
【００１６】
高圧ポンプへの入口が第１プレート３０ａの下にあるようにポンプ装置を設計する場合、フィルタ戻り管をさらに不要にし、フィルタヘッドの鋳造物に形成された他の通路と置換することが可能である。
【００１７】
ポンプ装置の他のさまざまな部品が図示されているが、本明細書では詳細な説明を省略する。というのは、こうした部品は、ロバートボッシュにより製造された市販のポンプ装置に組込まれているからである。
本発明を利用することで、ポンプ装置に直接フィルタヘッドを取付けたり、又はポンプ装置のハウジングの一部としてそのフィルタヘッドを形成したりすることで、フィルタとの間の少なくとも１つの外部管が不要になる。
燃料フィルタヘッド中の第１の内部流路が低圧ポンプの出口とフィルタとの間で固定的に内部接続するように、低圧ポンプのハウジングの一部としてフィルタヘッドを形成するのが好ましい。燃料フィルタヘッドが作動室の複数の壁部の１つを構成するようにした方が一層好ましい。この場合は、フィルタヘッドから高圧ポンプの入口への接続は、外部管により形成されるが、代わりになるべきものとして、フィルタヘッドを高圧ポンプの入口の上に配置して直接連通して、フィルタとの間の外部管類を完全に不要とするように、ＨＰＣＲポンプ装置を設計することも可能である。
【００１８】
代替的に、燃料フィルタヘッド中の第２の流路が高圧ポンプの入口と固定的に接続すること、そして、低圧ポンプの出口からフィルタに至る外部管を備えることも可能である。
【００１９】
本発明の好適実施例を説明してきたが、当業者には明らかなように、他の実施例も本発明の範囲から逸脱しない限り、採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリにおけるＨＰＣＲポンプ装置を装備したエンジンを示す斜視図である。
【図２】図１のＨＰＣＲポンプにフィルタヘッドを装備した状態を拡大して示す斜視図である。
【図３】図２のＨＰＣＲポンプ装備及びフィルタヘッドを示す分解斜視図である。
【図４】図３のフィルタヘッドを斜め上方から見た状態を示す、燃料流路を点線で示した斜視図である。
【図５】図３のフィルタヘッドを斜め下方から見た状態を示す、燃料流路を点線で示した斜視図である。
【符号の説明】
１０ ディーゼルエンジン
１１ エンジンブロック
１２ シリンダーヘッド
１４ ロッカーカバー
１６ 吸気マニホールド
１８ 共通燃料軌道
２２ ポンプ装置
２４ エアコンプレッサ
２６ ステアリングポンプ
３０ フィルタヘッド
３０ａ 第１プレート
３０ｂ 第２プレート（フィルタ取付けプレート）
３２ 作動室
３４ 矢印
３６、４０、５４ 通路
３８、４２、４４、５６ 開口部
４６ 中央開口部
４８ フィルタ要素
６２ 入口

Claims (8)

1. 貯蔵部から燃料を引きだす低圧ポンプを駆動する駆動部と上記低圧ポンプにより引きだされた燃料を共通燃料軌道（１８）に供給する高圧ポンプを駆動する駆動部とを組込んだポンプ装置（２２）と、上記低圧ポンプと上記高圧ポンプとの間の燃料流路に接続された燃料フィルタ手段（４８）とを備え、該燃料フィルタ手段（４８）は、上記ポンプ装置（２２）のハウジングに接続され濾過要素を内蔵するフィルタ（４８）を取付けるためのプレート（３０ｂ）を持つ燃料フィルタヘッド（３０）であって、上記低圧ポンプのハウジング（３２）の一部として形成される燃料フィルタヘッド（３０）を有し、該燃料フィルタヘッド（３０）には、上記低圧ポンプにより加圧された燃料を上記濾過要素の一方の側に供給する第１の内部流路（４０）と、上記濾過要素の他方の側に接続され濾過済み燃料を上記高圧ポンプに供給する第２の流路（５４）とが形成され、上記燃料フィルタヘッド（３０）の第１の内部流路（４０）として上記低圧ポンプの出口（４２）と上記フィルタ（４８）との間に固定的な内部接続部を設置したことを特徴とする燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ。
2. 上記燃料フィルタヘッド（３０）が、上記低圧ポンプの作動室（３２）の複数の壁部の一つとなるように構成したことを特徴とする請求項１に記載の燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ。
3. 上記燃料フィルタヘッド（３０）から上記高圧ポンプの入口（６２）への接続は、外部管によりなされることを特徴とする請求項１又は２に記載の燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ。
4. 上記ポンプ装置（２２）は、上記燃料フィルタヘッド（３０）が上記高圧ポンプの入口（６２）の上に更に配置して直接連通するように形成したことを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ。
5. 上記燃料フィルタヘッド（３０）の第２の流路（５４）は、上記高圧ポンプの入口に固定的に内部接続され、外部管により上記低圧ポンプの出口（４２）を上記フィルタ（４８）に接続することを特徴とする請求項１に記載の燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ。
6. 上記燃料フィルタヘッド（３０）は、鋳造物として形成されていることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載の燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ。
7. 上記第１の内部流路（４０）及び上記第２の流路（５４）は、鋳造物の一部として成形されていることを特徴とする請求項６に記載の燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ。
8. 上記鋳造物はアルミニウム製であることを特徴とする請求項６又は７に記載の燃料ポンプとフィルタとを組込んだアッセンブリ。

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