JP4285805B2 - 膜分離装置及び膜分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理にて、固液分離を行う膜分離装置、及びこれを用いた膜分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、浄水処理、下排水処理、或いは産業排水の処理等、濁度の高い被処理水の固液分離を行う方法として、砂濾過や重力沈殿等が行われている。しかしながら、これら方法による固液分離は、得られる処理水の水質が不充分となる場合が生じることや、固液分離のために広大な用地を必要とするといった不都合を有している。
この様な不都合を解決する方法として、近年精密濾過膜、限外濾過膜等の分離膜を配設した膜モジュールを用いて被処理水の固液分離を行う方法が種々検討されている。分離膜を用いて被処理水の濾過処理を行うと、水質の高い処理水を得ることができる。
【0003】
分離膜を用いて被処理水の固液分離を行う場合、濾過処理を継続するに従って懸濁物質による分離膜表面の目詰まりが進行するため、濾過流量の低下、或いは膜間差圧の上昇が生じる。このような状態を回復させるため、膜モジュールの下方に散気管を配設し、散気管からエアーの散気を行い、分離膜を揺動させることにより膜表面の懸濁物質を引き剥がす方法が行われている。
しかしながら、膜モジュールを用いて排水の濾過を行う方式においても、運転が長期にわたった場合、懸濁物質が膜表面を閉塞し、濾過流量が低下するため、低下した濾過流量を回復するための、頻繁なメンテナンス作業が必要になるといった不都合があった。
【0004】
これに対し、特開平8−257378号公報には、膜モジュールの下方に囲い壁を設けて気液混合流をほぼ平行流とする方法が提案されているものの、気液混合流が平行流の場合、乱流の時と比較して膜面のスクラビング効果が低いという不都合を有していた。
【0005】
また、特開平8−24596号公報のように、散気部材を移動させる方式が提案されている。この方式の場合、移動する散気部材より発生される気泡も移動するため、乱流となりやすく、洗浄効果の向上は期待できるものの、移動させるための動力を必要とし、かつ可動部材の故障等の懸念があり、頻繁なメンテナンス作業が必要になるといった不都合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述した不都合を解決するためになされたものであり、長期にわたる濾過を行っても懸濁物による膜面の閉塞が少ない膜分離装置、及びこれを用いた膜分離方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、分離膜の膜面が鉛直方向になるように配設された平型の膜モジュールと、前記分離膜の下方に設けられて気体を散気し、該気体により生起される気液混合流により前記分離膜の膜面洗浄を行うための散気装置と、該散気装置より散気される気体を分離膜の膜面に導くための遮蔽壁とを備えて処理槽内に設置される膜分離装置であって、膜分離装置の上方から見て、前記分離膜が相対した少なくとも一対の遮閉壁の内側に位置するとともに、前記遮閉壁に水を通過させることができる通水孔が設けられている膜分離装置にある。
該膜分離装置においては、通水孔の総面積が遮閉壁の総側面積の1〜60%であることが好ましい。
本発明の膜分離方法においては、該膜分離装置を構成する散気装置からの気体の吐出量が、該膜分離装置の水平方向の断面積あたり10〜150Nm3/m2/hrである。
また、本発明の膜分離方法においては、該膜モジュールにおける、散気装置からの気体により生起される気液混合流の水平方向の平均移動流速が、0.01〜1.5m/secである。
本発明で使用する分離膜は、ポリオレフィン製中空糸膜であることが好ましく、該分離膜が中空糸を緯糸とする編織物からなり、該中空糸の端部の開口状態を保ちつつ膜固定部材のスリットに液密に固定されてなる中空糸膜であって、このスリットの断面形状がほぼ矩形である中空糸膜であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の形態例を説明するが、本発明がそれらに限定解釈されるものではないことはもちろんである。図2は本発明の膜分離装置の例を示す図である。
該膜分離装置は、図2に示すように、分離膜13の膜面が鉛直方向になるように配設された平型の膜モジュール3が複数平行に配列されてなる膜モジュール集合体2と、前記分離膜13の下方に設けられて気体を散気し、散気された気体により生起される気液混合流により前記分離膜13の膜面洗浄を行うための散気装置4と、該散気装置4より散気される気体を分離膜13の膜面に導くための板状の遮蔽壁6a、6bとを備えて処理槽内に設置される膜分離装置20であって、該膜分離装置20の上下方向が開放されているとともに、膜分離装置20の上方から見て、前記膜モジュール集合体2を構成する分離膜13の全てが壁面が互いに平行な相対した一対の遮閉壁6a、6bの内側に位置するとともに、前記遮閉壁6a、6bの一面側から他面側に水を通過させることができる通水孔7が遮閉壁6a、6bのそれぞれの壁内に設けられ、しかも前記遮閉壁6a、6bの壁面が分離膜13の膜面に実質的に平行である膜分離装置である。
【0009】
図1に示すように、処理槽1内に膜分離装置20が配置される。処理槽1内に導入された被処理液1aは、処理槽内において曝気されつつ生物処理される。
生物処理された被処理液1aは分離膜13により固液分離されて浄化され、浄化された水は、膜モジュール3に連通する取出流路2’から処理槽1の外へ取り出される。
【0010】
処理槽1内に、膜分離装置20を1個配置してもよいし、また膜分離装置20の2個以上を連続的に或いは所定間隔をおいて配置してもよい。
膜分離装置20の少なくとも上下方向が解放されているので、被処理液1aは遮閉壁と遮蔽壁との間を上下方向に移動できる。膜分離装置20は概略直方体の形状をなしており、その内部には、被処理液1aを効率よく浄化するために、通常複数個の膜モジュール3が配設されて膜モジュール集合体2とされる。
【0011】
本発明に使用される膜モジュール3としては、平膜タイプ、中空糸膜タイプ、管状膜タイプ、袋状膜タイプ等の形状の分離膜を適用することができる。また、その材質としては、セルロース、ポリオレフィン、ポリスルホン、PVDF(ポリビニリデンフロライド)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、セラミックス等を適用することができる。
【0012】
また、膜モジュール3を構成する分離膜13の孔径としては、特に限定されるものではなく、一般に限外濾過膜と呼ばれる孔径0.001〜0.1μmのもの、または一般に精密濾過膜と呼ばれる孔径0.1〜1μmのもの、あるいはそれ以上の孔径のものを用いることが可能であり、固液分離の対象となる物質の粒径に応じて選択され、例えば活性汚泥の固液分離に用いるならば、0.5μm以下とするのが好ましく、また、浄水の濾過のように、除菌が必要な場合は0.1μm以下とするのが好ましい。
【0013】
膜モジュール3は分離膜13と、該分離膜13を固定する膜固定部材14とにより概略構成される。膜モジュール3としては、モジュールのコンパクト性、濾液取り出し時の圧損の低減、モジュール配設時の加工の容易性、等を総合的に加味すると、分離膜13の膜面が、図2に示すように、鉛直方向になるように配設された平型の膜モジュール3が好ましく、特に分離膜13の両端に膜固定部材14を持ち、且つ固定部材14が濾液を集める集水部を兼ねたものが好ましい。
【0014】
図4は、膜モジュール3として用いるのに好適な中空糸膜モジュールの一例を示し、該モジュールにおいては分離膜13が中空糸膜である。この中空糸膜モジュールは、中空糸12を緯糸とする編織物を、その端部を開口状態に保ちつつ合成樹脂で固定部材14のスリット16に液密に固定されてなり、この合成樹脂の中空糸膜に垂直な断面の形状が細長いほぼ矩形のものであり、この合成樹脂が固定部材14のスリット16に取り付けられて構成されている。合成樹脂(例えば、エポキシ樹脂)は、中空糸膜をスリット16内に固定するとともに、固定部材14の内部路15を外部から液密に仕切る。
尚、分離膜13に垂直な面でスリット16を断面した場合、スリット16の断面形状がほぼ矩形であるので、膜面が鉛直方向になっている分離膜13の端部を固定部材14に液密に固定できる。
このような中空糸膜モジュールの場合には、中空糸膜が汚泥等により集束固着一体化し難く、散気装置4によるスクラビングが効果的に実施できる。
中空糸膜モジュールは例えば、図26に示すように、通常糸11を縦糸とし、中空糸12を緯糸とし、中空糸12の端部に開口10を有する織物を用いて作製できる。
【0015】
図2に示すように、分離膜13の下方には、散気装置4が配置される。散気装置4は、その形態は特に限定されるものではないが、金属、樹脂等からなる管状体に気体を吐出させる吐出口4aを多数設けた散気管を用い、ブロワー5より空気を供給するのが、製作が容易且つ安価なことから好ましい。
【0016】
散気管4の気体吐出口4aから散気された気体は気泡4bとなって、被処理水液1a中を通って膜モジュール3の膜面に達し、さらに該膜面の近傍を通過して水面から大気中に放出される。この際、気泡4bは被処理液1a中を通って水面まで上方に移動するため、被処理液1aと気泡4bからなる、上向する気液混合流が発生する。この気泡4bおよび気液混合流が分離膜13の膜面をスクラビングすることにより固形分の膜面への付着が防止され、膜面の急速な目詰まりを防止することができる。
【0017】
また、膜モジュール3の周囲には散気装置4より吐出される気体が、分離膜13の膜面にあたるように気体を導くための遮閉壁を設ける。この際、遮閉壁は膜分離装置を上方から見て、分離膜13を備えた膜モジュール3が相対した一対の遮閉壁の内側となるようにすることが好ましい。
【0018】
膜モジュール3が、壁面同士が実質的に平行な相対した一対の遮閉壁の内側となるようにする際、図2、6に示すように分離膜13の膜面にその壁面が平行な相対する一組の遮閉壁6a、6bを膜モジュール集合体2の周囲に配設して膜モジュール集合体2を遮閉壁の6a、6bが二方向から挟み込むようにしてもよいし、図3、5に示すように分離膜13の膜面にその壁面が平行な相対する一組の遮閉壁の6a、6bと、固定部材14の外側に壁面同士が平行な相対する一組の遮閉壁6c、6dとを配設して膜モジュール集合体2の側面の四方を遮閉壁6a〜6dが取り囲むようにしてもよい。また、図7に示すように固定部材14の外側にのみ壁面同士が平行な相対する一組の遮閉壁の6c、6dを配設して膜モジュール集合体2の二側面を遮閉壁6c、6dが取り囲むようにしてもよい。
【0019】
これらのうち、図7に示すように遮閉壁を配設する場合に比較して、図2、6に示すように、遮閉壁の壁面が分離膜13の膜面に平行となるように配設する場合が膜面のスクラビング効果が大きく、図2、6に示すように遮閉壁を配設する場合よりも、図3、5に示すように遮閉壁を四方に配設する場合が膜面のスクラビング効果が大きい。いずれの場合も膜分離装置を上方から見た場合、図5〜7に示すように、膜モジュール集合体2が、相対して壁面同士が実質的に平行な少なくとも一対の遮閉壁の内側に位置するように遮閉壁を配設する。
【0020】
膜モジュール集合体2を水平方向から見た際、図8に示すように、遮閉壁6が膜モジュール集合体2と散気装置4との両方の側面全体を覆うようにしても良い。また、図9〜13に示すように、膜モジュール集合体2、散気装置4の一方又は両方の側面の一部又は全体を覆うように配置しても構わない。即ち、図9は遮閉壁6が散気装置4を覆わないが膜モジュール集合体2の側面一部を覆って散気装置4の方向に延びる例であり、図10は遮閉壁6が散気装置4を覆わないが膜モジュール集合体2の側面全体を覆う例であり、図11は遮閉壁6が膜モジュール集合体2の側面を覆わないが散気装置4の側面全体を覆い、且つ遮閉壁6の上部が膜モジュール集合体2の近傍まで突出している例であり、図12は遮閉壁6が散気装置4を覆わないが膜モジュール集合体2の側面全体を覆い且つ遮閉壁6の下部が散気装置4の側に突出している例であり、図13は遮閉壁6が散気装置4の側面全体を覆い且つ遮閉壁6の上部が膜モジュール集合体2の側面の一部を覆う例である。
さらに、図14、15に示すように、相対する遮閉壁6の上部が高低差を持つようにしても構わない。
【0021】
2枚の遮閉壁を用いる場合は、その壁面が、図6に示すように、平型の膜モジュールの分離膜13の膜面に平行となるように遮閉壁6a、6bを配置しても、図7に示すように、分離膜13の膜面に直交する方向に遮閉壁6c、6dを配置しても構わない。しかし、図4に示すような両端に膜固定部材14を持つような膜モジュール3を互いに近接するように、複数配置して使用する場合、膜固定部材14が遮閉壁と同様の機能を果たす。このため、遮閉壁の壁面が分離膜13の膜面に対し平行となるように、遮閉壁を配置するのが好ましい。
【0022】
遮閉壁の材質としては、樹脂、金属、セラミック等、特に限定されるものではない。また形状としては平板状、波板状等を用いることができる。
【0023】
ここで、遮閉壁には、膜モジュール集合体2の中から外へ、もしくはその逆方向へ被処理液が移動することにより乱流を生起するように、遮閉壁の少なくとも一部に通水孔7を設ける。また、図2に示すように2枚の遮閉壁6a、6bを用いる場合は、通水孔7は遮閉壁6a、6bの両方に設けても、片方のみに設けても構わない。膜モジュール3の複数個を用いた場合、膜モジュール3毎の洗浄の均一性を確保する見地より、図2に示すように、両側の遮閉壁6a、6bに通水孔7を設けることが好ましい。
【0024】
また、図3に示すように4枚の遮閉壁6a、6b、6c、6dを設ける場合は、通水孔7を設ける遮閉壁は全部であっても、一部であっても構わないが、複数の膜モジュール3を用いる場合、膜モジュール毎の洗浄の均一性を確保する見地より、相対する2枚の遮閉壁6a、6b、或いは、6c、6dに通水孔7を設けることが好ましい。尚、図3においては、通水孔の図示を省略している。
【0025】
図16〜24は、通水孔7の形状の例を示す図である。通水孔7の形状は特に限定されるものではなく、図16〜19に示すスリット状、図20に示す円形状、図21に示す星型形状、図22に示す楕円形状、図23に示す多角形状、図24に示すような不定形状等、いずれの形状とすることができる。また、その分布も特に限定されるものではなく、規則的に配置しても、不規則に配置しても構わない。
【0026】
通水孔の総面積の割合は、通水孔を設ける前の遮閉壁の総面積(即ち、遮閉壁の総側面積)に対し、水平方向の被処理液の移動を確保するために、下限としては1%とするのが好ましい。また、気泡および気液混合流が過剰に膜モジュール3の配設部より外側に逃げて、膜面の洗浄効果が低下するのを防ぐため、上限としては60%とすることが好ましい。
【0027】
尚、打抜加工、切削加工或いは穿孔加工等により板状体に貫通孔を形成し、これを通水孔7とすることで、通水孔7を有する遮蔽壁を作製できる。通水孔7のそれぞれの孔面積は約10mm2以上であることが好ましい。
【0028】
また、散気を行う際の気体の吐出量としては、膜面の洗浄効果を考慮すると、膜分離装置の水平方向の断面積あたり、10〜150Nm3/m2/hrとすることが好ましく、更に酸素の溶解量、経済性をも考慮すると、20〜100Nm3/m2/hrとすることがより好ましい。
【0029】
なお、膜分離装置の水平方向の断面積とは、膜モジュール3から散気装置4の周囲に配置した2枚の相対する遮閉壁、もしくは4枚の遮閉壁の内側部分によって概略構成される直方体の水平方向の断面積を言う。例えば、図6に示す膜分離装置において、膜分離装置の水平方向の断面積とは、一方の遮閉壁6aの内側の線l1と、遮閉壁6aと相対する他方の遮閉壁6bの内側の線l2と、一方の遮閉壁6aの左端部と他方の遮閉壁6bの左端部とを結ぶ線l3と、一方の遮閉壁6aの右端部と他方の遮閉壁6bの右端部とを結ぶ線l4と、によって囲まれた長方形の面積である。
【0030】
このとき、膜モジュール3の部分における気液混合流の水平方向の平均移動流速は、前述した範囲内にて遮閉壁の通水孔7の面積を調整し、かつ前述した範囲内にて散気量を調整することにより調節することが可能である。しかし、乱流を生起して洗浄効果を高める見地より、水平方向の平均移動流速の下限としては0.01m/secとすることが好ましく、0.05m/secとすることがより好ましい。また、膜モジュール3に過剰な力を与えて破損することを防止する見地より、上限としては1.5m/secとすることが好ましく、1m/secとすることがより好ましい。
【0031】
膜モジュール3の部分における気液混合流の流速は、鉛直方向(垂直方向)成分v1(図1に図示)と水平方向の成分v2(図1に図示)とに分解される。
本発明でいう膜モジュール3の部分における気液混合流の水平方向の平均移動速度とは、水平方向成分v2の、分離膜13の膜面における平均値である。膜面における気液混合流の水平方向の移動速度は、例えば被処理液中の粒子や気泡の移動速度を光学的手法により測定する方法や、ファラデー効果による誘導電流を利用した電磁流向流速計等により、膜モジュール近傍の気液混合流の移動速度を測定することにより近似できる。また、平均移動速度とは、少なくとも膜モジュ−ル3の中央部と端部の2点、好ましくはそれ以上の点数において、5〜60分の間隔をもって少なくとも2回、好ましくはそれ以上の回数で、前述した方法により測定した気液混合流の移動速度の平均値を言う。
【0032】
本発明の膜分離装置の運転方法としては、浸積吸引濾過法、水頭差による重力濾過法などが用いられる。
図4に示す中空糸膜モジュールを膜モジュール3として用いた膜分離装置の運転方法を図1、4に基づき説明する。この場合、固定部材14の内部路15は取出流路2’を介して吸引ポンプに接続される。吸引ポンプを作動し、散気装置4より空気を散気しながら、被処理液1aを中空糸膜で吸引濾過する。そうすると、汚泥のみが中空糸膜の表面に捕らえられ水分と汚泥とが分離される。こうして汚泥の除去された濾過水は、中空糸膜を構成する孔を通って各中空糸12内部の中空に至る。そして、中空に至った濾過水は、中空から端部の開口10、該開口10から固定部材14のスリット16、スリット16から内部路15に至り、そして配管2’を経由して処理槽1外に排水される。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例において、気液混合流の水平方向の平均移動速度の測定は、平型中空糸膜モジュールの2枚の編み地間の中央部および端部と、編み地の外側の中央部および端部の計4箇所の膜面近傍に、2成分流向流速計 Model ACM250−A(ALEC ELECTRONICS Co.LTD製)のセンサーを配置し、4点の移動速度の測定を、30分の間隔をおいて5回実施し、合計20点の移動速度の平均値を算出して平均移動速度とした。
【0034】
実施例1
次のようにして、図3に示す膜分離装置であって、遮蔽壁として図17に示す形状の通水孔を有する膜分離装置を作製した。
即ち、平均孔径0.1μmの精密濾過用ポリエチレン中空糸膜(分離膜13)をスクリーン状に展開固定した中空糸膜モジュール3(商品名:ステラポアL、三菱レイヨン(株)製)5本を、スクリーンが垂直方向を向き、隣り合う膜モジュール3同士の中心間隔が6cmとなるように横方向に並べて膜モジュール集合体2とした。そして、膜モジュール集合体2の下方に、膜モジュール3の下端部より45cmの距離に散気装置4を設け、その周囲を、高さ100cm、幅80cm、厚さ1cmの樹脂板2枚と、高さ100cm、幅30cm、厚さ1cmの樹脂板2枚とを用いて樹脂板が互いに接するように膜モジュール集合体2を囲って、図3に示す膜分離装置を得た。
【0035】
尚、遮蔽壁6a、6b、6c、6dとして用いた前記樹脂板には、図17に示すように、長さ90cm、幅1cmの垂直方向のスリット状の通水孔7を、横方向のスリット同士の間隔が10cmとなるよう、長辺を形成する2枚の樹脂板6a、6bにはそれぞれ7つ、短辺を形成する2枚の樹脂板6c、6dにはそれぞれ2つ、合計18個設けた。これにより、通水孔7の総面積は、遮閉壁6a、6b、6c、6dの総側面積に対し7.4%となる。
【0036】
散気条件は、ブロワー5を用いて膜分離装置の水平方向の断面積あたり75m3/m2/hrの強度にて空気を供給した。このとき、前述の方法にて測定した膜モジュール3の部分における水平方向の気液混合流の平均移動速度は0.3m/secであった。
【0037】
濾過条件は、MLSS濃度8000〜12000mg/Lの活性汚泥を、膜透過流束LV=0.01m3/m2/hrにて、吸引ポンプを用いて、濾過時間/停止時間=13分/2分の間欠運転にて、1年間継続して濾過処理を実施した。
【0038】
実施例2
実施例1と同様の中空糸膜モジュール3を用い、下記の条件のみ変更して濾過処理を実施した。すなわち、実施例1と同じ樹脂板4枚を用いて同様に膜モジュール集合体2を囲うが、スリット状の通水孔7を形成するのは短辺を形成する樹脂板6c、6dのみにした。通水孔7の長さ、幅、数は実施例1と同様とし、合計4個とした。これにより、通水孔7の総面積は、遮蔽壁6a、6b、6c、6dの総側面積に対し1.6%となる。
【0039】
散気条件は、実施例1と同様にブロワー5を用いて膜分離装置の水平方向の断面積あたり75m3/m2/hrの強度にて空気を供給した。このとき、前述の方法にて測定した膜モジュール部における水平方向の気液混合流の平均移動速度は0.1m/secであった。また濾過条件も、実施例1と全く同一の条件にて行った。
【0040】
実施例3
実施例1と同様の中空糸膜モジュール3を用い、下記の条件のみ変更して濾過処理を実施した。すなわち、実施例位置と全く同様に樹脂板を配置するが、樹脂板に、長さ95cm、幅3cmのスリットを、横方向のスリット同士の間隔が2cmとなるよう、長辺を形成する2枚の樹脂板にはそれぞれ15個、短辺を形成する2枚の樹脂板にはそれぞれ5個、合計40個設けた。これにより、通水孔7の総面積は、遮閉壁6a、6b、6c、6dの総側面積に対し51.8%となる。
【0041】
散気条件は、実施例1と同様にブロワー5を用いて膜分離装置の水平方向の断面積あたり75m3/m2/hrの強度にて供給した。このとき、前述の方法にて測定した膜モジュール部における水平方向の気液混合流の平均移動速度は0.1m/secであった。また濾過条件も、実施例1と全く同一の条件にて行った。
【0042】
比較例
実施例1と同様の中空糸膜モジュールを用い、下記の条件のみ変更して濾過処理を実施した。すなわち、膜モジュールの周囲を、実施例1と全く同様に樹脂板にて囲うが、樹脂板には通水孔を全く形成しなかった。
【0043】
散気条件は、実施例1と同様にブロワーを用いて膜分離装置の水平方向の断面積あたり75m3/m2/hrの強度にて供給した。このとき、前述の方法にて測定した膜モジュール部における水平方向の気液混合流の平均移動速度は0.005m/secであった。また、濾過条件も、実施例1と全く同一の条件にて行った。
【0044】
上記実施例および比較例における膜モジュールの濾過運転時の2次側の吸引差圧は、図25に示す通りであり、実施例においては経時的な吸引差圧の上昇が比較例に対して緩やかであり、目詰まりの進行が遅く、従って洗浄の効率が高いことは明らかである。
【0045】
【発明の効果】
本発明の膜分離装置、及び膜分離方法によれば、分離膜の表面近傍の気液混合流を乱流とし、分離膜の膜面の洗浄効率を高めることによって、長期間にわたって膜面の目詰まりが少なく、高い流量で固液分離を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の膜分離装置を処理槽内に設置した状態の例を示す概念図である。
【図2】 本発明の膜分離装置の例を示す斜視図である。
【図3】 本発明の膜分離装置の他の例を示す斜視図である。
【図4】 本発明に使用する膜モジュールの例を示す斜視図である。
【図5】 膜分離装置の平面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図6】 膜分離装置の平面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図7】 膜分離装置の平面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図8】 膜分離装置の側面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図9】 膜分離装置の側面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図10】 膜分離装置の側面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図11】 膜分離装置の側面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図12】 膜分離装置の側面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図13】 膜分離装置の側面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図14】 膜分離装置の側面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図15】 膜分離装置の側面図であって、遮閉壁の配置の例を示す。
【図16】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図17】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図18】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図19】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図20】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図21】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図22】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図23】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図24】 遮蔽壁に設けた通水孔の形状の例を示す正面図である。
【図25】 濾過試験による経時的な膜間差圧の挙動を示すグラフである。
【図26】 中空糸膜を製造するための織物の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・処理槽、1a・・被処理液、2・・膜モジュール集合体、2’・・取出流路、3・・膜モジュール、4・・散気装置、4a・・吐出口、4b・・気泡、5・・ブロワー、6、6a、6b・・遮閉壁(樹脂板)、7・・通水孔、10・・開口、11・・通常糸、12・・中空糸、13・・分離膜、14・・膜固定部材、15・・流路、16・・スリット、20・・膜分離装置
Claims (4)
- 分離膜の膜面が鉛直方向になるように配設された平型の膜モジュールと、前記分離膜の下方に設けられて気体を散気し、該気体により生起される気液混合流により前記分離膜の膜面洗浄を行うための散気装置と、該散気装置より散気される気体を分離膜の膜面に導くための遮蔽壁とを備えて処理槽内に設置される膜分離装置であって、膜分離装置の上方から見て、前記分離膜が相対した二対の遮閉壁で四方を囲まれた内側に位置するとともに、前記遮閉壁に水を通過させることができる鉛直方向に沿ったスリット状の通水孔が設けられている膜分離装置。
- 通水孔の総面積が、遮閉壁の総側面積の1〜60%である、請求項1記載の膜分離装置。
- 請求項1または2記載の膜分離装置を用いて、散気装置からの気体の吐出量を膜分離装置の水平方向の断面積あたり10〜150Nm3/m2/hrとする、膜分離方法。
- 請求項1または2記載の膜分離装置を用いて、膜モジュールにおける、散気装置からの気体により生起される気液混合流の水平方向の平均移動流速を0.01〜1.5m/secとする、膜分離方法。
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