JP4284969B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等を利用したプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に係り、特に、記録シートの片面または両面に高光沢の画像を形成する両面出力を良好に行うことが可能な画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル式電子写真方式を利用したカラープリンタやカラー複写機は、カラー画像を形成する用途が増えてきていることなどから普及している。また、最近ではそのカラー画像の画質も向上してきており、しかも近年市場の広がりが目立つデジタルスチルカメラの画像出力用として使用されることも増えてきている。このことから、電子写真方式等を利用したプリンタ、複写機等のような画像形成装置として、通常の画質からなる画像の出力が可能であることに加えて、銀塩写真に匹敵するような高光沢の画質からなる画像の出力も可能なものが要求されるようになっている。
【0003】
そこで、従来においても、例えば、光沢性に優れたカラー画像が得られる画像形成方法の提案がされている(特許文献1)。その画像形成方法とは、熱源を内蔵する部材下に移動するベルト状搬送体により、転写体(記録シート)の表面の熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層上に付着したカラートナーを加熱して透明樹脂層中に溶融させ、次いで冷却して固着させ、さらに転写体をベルト状搬送体から分離してカラー画像を形成する方法である。
【0004】
また、光沢画像の形成と非光沢画像の形成の選択ができる画像形成装置についての提案もされている(特許文献2)。その画像形成装置とは、転写材の搬送経路にそって第1の定着器と第2の定着器を直列に配置し、その定着器の一方がローラ定着器であり、他方がベルト定着器であるとともに、非光沢モードにおいてはローラ定着器のみを作用させ、光沢モードにおいては少なくともベルト定着器を作用させるようにした装置である。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−216322号公報
【特許文献2】
特開平5−158364号公報
【特許文献3】
特開平11−174744号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したような画像形成装置に対して、高光沢の画像を単に記録シートの片面に形成する片面画像形成のみではなく、その高光沢の画像を両面に形成したり、あるいは、片面に高光沢の画像を形成するとともにその他面に通常の画質(非光沢、低光沢など)からなる画像を形成する両面画像形成を行うことができる機能を具有することが要求されてきている。例えば、両面にデジタルスチルカメラの写真画像を形成する場合とか、あるいは、ハガキの片面にデジタルスチルカメラの写真画像などを形成し、その他面に宛名などの画像を形成する場合である。このような両面画像形成を通常の画質の片面および両面画像形成とは別に選択して良好に行える画像形成装置は特に存在していなかった。
【0007】
この点、特許文献1に記載のカラー画像形成方法では、その両面画像形成の構成については明らかにされていない。仮に、そのカラー画像形成方法により両面画像形成を行った場合には、少なくとも1度は転写体における透明樹脂層の面がベルト状搬送体に圧接配置される加圧ロールと接触する状態で通過することになり、しかも加圧ロールの表面は離型性が低いため、ベルト状搬送体で加熱されて溶融した透明樹脂層の熱可塑性樹脂の粘着性により転写体が加圧ロールに巻き付いてしまうというトラブルが発生するおそれがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の画像形成装置では、転写材の片面に高光沢の画像または非光沢の画像を形成する片面画像形成動作の構成については明らかであるが、やはり両面画像形成の構成については明らかにされていない。仮にその画像形成装置で両面画像形成を行おうとした場合には、両面画像形成時のみならず通常の画質の片面画像形成時にも常に転写材が直列に配置された2つの定着器またはその一方の定着器を迂回する搬送路を含む通路を通過しなければならず、画像出力時間が長くなる傾向にある。
【0009】
ちなみに、従来、高速の両面コピーやプリントが可能な画像形成装置についての提案がされている(特許文献3)。この画像形成装置は、第1の画像形成部および第2の画像形成部を上下の位置関係となるように配置し、第1の画像形成部において一方の面に第1の画像形成を行ったシート材をUターン部にそって表裏反転させて第2の画像形成部へと導き、シート材の他方の面に第2の画像形成を行うようにしたものである。また、その第1、第2の画像形成部のいずれか一方または両方を、電子写真を利用した画像形成部、あるいはインクジェットプリントを利用した画像形成部とするものである。
【0010】
しかし、このような画像形成装置を前記した画像形成方法や装置に適用して両面画像形成を行うように構成した場合には、シート材を通常の画質の片面画像形成時にも両面画像形成時と同じ搬送路を通過させなければならず画像出力時間が長くなり、無駄が多くなる傾向にある。また、Uターン部を実施例のような吸引ローラで構成した場合には、シート材がカールするため(段落0021に記載)、第2の画像を湾曲したシート材に形成することになるため良好な画像形成ができないおそれがある。
【0011】
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、その主な目的とするところは、少なくとも記録シートの片面に高光沢の画像を形成しその他面に非光沢または低光沢の画像を形成する両面画像形成を良好に行うことができる画像形成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得る本発明(第1発明)の画像形成装置は、トナー像を形成して記録シートに転写する作像装置と、この作像装置でトナー像が転写された記録シートを加熱加圧して定着処理をする第1の定着装置と、この第1の定着装置で定着処理された記録シートを、複数のベルト支持ロールに張架されて回転する定着ベルトにそのトナー像形成面が当接する状態で加熱加圧するとともにその定着ベルトの張架部分に密着させた状態のままで所定の距離だけ搬送してから剥離して定着処理をする第2の定着装置と、前記第1の定着装置で定着処理された後の記録シートを反転させた状態で前記作像装置に再び搬送する反転搬送路と、画像出力モードとして、記録シートの片面または両面に高光沢の画像を形成して出力する特別出力モードを選択して指定する出力モード選択手段とを有し、かつ、前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、前記記録シートを前記作像装置および第1の定着装置に搬送してその一方のシート面に第1の画像を出力した後に前記反転搬送路に搬送し、続いて、当該記録シートを前記作像装置および第1の定着装置に搬送してその他方のシート面に第2の画像を形成した後に前記第2の定着装置に搬送して第2の定着処理をする両面画像形成動作が実行されることを特徴とするものである。
【0013】
この第1発明の画像形成装置においては、前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、記録シートとして片面に熱可塑性樹脂からなる受像層を設けた光沢出力用記録シートを使用し、この光沢出力用記録シートを、その受像層のないシート面側に前記第1の画像を出力しかつその受像層のあるシート面に前記第2の画像を出力するように搬送供給するように構成することが好ましい。この場合には、受像層のあるシート面に高光沢の画像を形成し、その受像層のないシート面に非光沢または低光沢の画像を形成するという両面出力をスムーズに行うことができる。しかも、この際、先にその非光沢または低光沢の画像の形成を行い、その後でその高光沢の画像の形成(特に第2定着を含む形成)を行うようにすれば、画像形成の途上で高光沢画像が乱されたり、受像層の存在による記録シートの加圧部材等への巻きつきが発生することが抑制されるようになる。
【0014】
また、上記課題を解決し得る本発明(第2発明)の画像形成装置は、トナー像を形成して記録シートに転写する第1の作像装置と、この第1の作像装置でトナー像が転写された記録シートを加熱加圧して定着処理をする第1の定着装置と、この第1の定着装置で定着処理された記録シートを、複数のベルト支持ロールに張架されて回転する定着ベルトにそのトナー像形成面が当接する状態で加熱加圧するとともにその定着ベルトの張架部分に密着させた状態のままで所定の距離だけ搬送してから剥離して定着処理をする第2の定着装置と、前記第1の定着装置で定着処理された後の記録シートを反転させた状態で前記第1の作像装置に再び搬送する反転搬送路と、記録シートの片面に定着処理が不要の画像を形成する第2の作像装置と、画像出力モードとして、記録シートの片面または両面に高光沢の画像を形成して出力する特別出力モードを選択して指定する出力モード選択手段とを有し、かつ、前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、前記記録シートを前記第1の作像装置および第1の定着装置に搬送してその一方のシート面に第1の画像を出力した後に前記第2の定着装置に搬送して第2の定着処理をし、続いて前記第2の作像装置に搬送してその他方のシート面に第2の画像を形成する両面画像形成動作が実行されることを特徴とするものである。この画像形成装置によれば、第1発明の画像形成装置よりも高光沢のある両面画像形成を高速(短時間)で行うことができる。
【0015】
さらに、上記課題を解決し得る本発明(第3発明)の画像形成装置は、第2発明の画像形成装置において、前記第2の作像装置を前記第2の定着装置における定着ベルトの記録シートを密着させた状態のままで搬送する領域の面と対向した位置に設置し、かつ、前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、前記記録シートを前記第1の作像装置および第1の定着装置に搬送してその一方のシート面に第1の画像を出力した後に前記第2の定着装置に搬送して第2の定着処理をするととともに前記第2の作像装置により定着ベルトに密着している記録シートの他方のシート面に第2の画像を形成する両面画像形成動作が実行されることを特徴とするものである。この画像形成装置によれば、第2発明の画像形成装置よりも高光沢のある両面画像形成をさらに高速(短時間)で行うことが可能となる。
【0016】
この第2発明または第3発明の画像形成装置における第2の作像装置としては、インクジェット記録装置、溶融熱転写方式の画像記録装置、昇華型熱転写方式の画像記録装置などが適用可能である。しかし、この画像形成装置では加熱源を要する2つの定着装置をすでに有していることから第2の作像装置としては消費電力ができる限り少ない作像装置が好ましく、例えばこの観点からするとインクジェット記録装置であることが好ましい。
【0017】
また、第2の作像装置としてインクジェット記録装置を使用する場合、そのインクジェット記録装置による記録シートへの第2の画像の形成は、例えば記録シートに噴射されるインクの乾燥が速くなる観点から、その記録シートの表面温度が50℃以上であるときに行うように構成するとよい。この記録シートの表面温度は、第2の定着装置による定着処理時の加熱の余熱でまかなうことが可能である。
【0018】
さらに、第2発明または第3発明の画像形成装置においては、前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、記録シートとして片面に熱可塑性樹脂からなる受像層を設けた光沢出力用記録シートを使用し、この光沢出力用記録シートを、その受像層のあるシート面側に前記第1の画像を出力しかつその受像層のないシート面に前記第2の画像を出力するように搬送供給することが好ましい。
【0019】
前記光沢出力用記録シートとしては、その受像層のないシート面に表面平滑な平滑層を設けた両面光沢出力用記録シートを使用することがより好ましい。この場合には、記録シートの両面に高光沢の画像形成を行うことが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
《実施の形態1》
図1は本発明の実施の形態1に係るカラー画像形成装置を示すものである。
【0021】
このカラー画像形成装置は、その筐体1の内部に、中間転写方式を利用した作像システム2、記録シートPを供給する給紙ユニット3、第1定着装置4、制御ユニット7等が配設されている。また、その筐体1の外部には、第2ベルト定着装置5、原稿読取装置8、操作表示ユニット100等が配設されている。
【0022】
原稿読取装置8は、複写すべき原稿を光源により照明しつつ、その原稿からの画像の反射光をCCD(電荷結合素子)センサで読み取り、所要の画像信号処理を施した後に画像データとして入力するものである。この原稿読取装置で読み取った画像データは送信ケーブルを通じて筐体1の内部に設置される図示しない画像処理ユニットに送信される。また、この画像形成装置では、記憶媒体に記録された画像データを入力する記憶媒体読取装置や、外部接続機器(例えばパーソナルコンピュータ)で作成された画像データ(文字データを含む)を通信ケーブル、無線等の情報伝達手段にて入力する通信用入力装置などが設けられており、これらの画像データを取り込めるようになっている。特に、デジタルスチルカメラの撮像データを取り込めるようにもなっている。
【0023】
この原稿読取装置8や記憶媒体読取装置、通信用入力装置から入力される各種の画像データは、画像処理ユニットにおいてそれぞれ所定の画像処理(色変換処理、解像度処理、変倍処理、加工・編集処理等)をして作像用データに変換される。また、その変換された作像用データは、後述する作像システム2における露光装置13に送信されて作像工程に供されるようになっている。
【0024】
作像システム2は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナー像を専用に形成する直列に配置された作像ユニット10Y、10M、10C、10Kと、この4つの作像ユニット10(Y,M,C,K)で形成されるトナー像を担持して記録シートPへの転写位置まで搬送する中間転写ベルト20とで主に構成されている。
【0025】
作像ユニット10はいずれも、基本的に、表面に有機感光層等が形成されて矢印A方向に回転する感光ドラム11を有し、その感光ドラム11に対して次のような電子写真プロセスにより未定着のトナー像を形成するものである。すなわち、まず回転する感光ドラム11の表面が、ロール型等の帯電装置12によって一様に帯電処理された後、その帯電表面に露光装置13から作像データ信号に基づくレーザビームLBが走査露光されて静電潜像が形成される。次いで、その潜像が現像装置14から供給される現像剤のトナー成分により現像されて所定の色のトナー像として顕像化される。このようにして各作像ユニット10で形成されるトナー像は、その各感光ドラム11と一次転写ロール15の間を通過する中間転写ベルト20に対し静電的に一次転写されるようになっている。転写後の感光ドラム11の表面は、ドラム用クリーニング装置16により清掃された後、ランプ方式等の除電装置17により除電される。図中の符号18(Y,M,C,K)は、各現像装置14に補給すべきトナーがそれぞれ収容されているトナーカートリッジである。
【0026】
中間転写ベルト20は、導電材等を含有させて体積抵抗率を調整したポリイミドフィルム等からなる無端状のベルトである。そして、この中間転写ベルト20は、駆動ロール21、二次転写部のバックアップロール22、複数の従動ロール23、24、…に張架されるとともにその従動ロール23、24の間で前記各作像ユニット10の感光ドラム11とそれぞれ接するような状態で配設され、矢印B方向に回転するようになっている。
【0027】
給紙ユニット3は、複数枚の記録シートPをそのサイズごとに分けて積載収容する複数の給紙カセット31a,31bを有するものである。この給紙ユニット3は、その給紙カセット31から用紙送出装置32により記録シートPを1枚ずつ送り出し、複数の搬送ロール対やガイド部材等にて構成される給紙搬送路R1を通してレジストロール対33まで搬送した後、そのレジストロール対33により記録シートPを二次転写タイミングに合わせて二次転写位置に送り込むようになっている。二次転写位置に送り込まれた記録シートPは、ガイド部材からなる画像転写定着用搬送路R2に案内されて二次転写位置を通過した後にそのまま第1定着装置4に導入されるように搬送される。
【0028】
記録シートPは、この画像形成装置内を搬送可能であってトナー像の転写および定着が可能なものであれば特に制約されるものではない。また、記録シートPについては、後述するように選択される出力モードに応じた記録シートをそれぞれ使用するように設定されており、その必要な種類の記録シートを所定の給紙カセット31等に収容するようになっている。
【0029】
前記したように中間転写ベルト20に転写されたトナー像は、そのベルト20に担持された状態で上記バックアップロール22と対向配置される二次転写ロール25とベルト20の間の二次転写位置まで搬送され、その二次転写位置に給紙ユニット3にて給紙カセット31から搬送供給される所定サイズの記録シートP(ここでは前記した普通紙P1が供給されるものとする)に対して静電的に二次転写される。二次転写後の中間転写ベルト20の表面は、ベルト用クリーニング装置26により清掃される。
【0030】
この画像形成装置では、前記4つの作像ユニット10(Y,M,C,K)でそれぞれ形成する4色のトナー像を中間転写ベルト20に順次転写した後に、その多重トナー像を記録シートPに一括して二次転写することにより、フルカラー画像を形成することが可能である。また、4つの作像ユニット10(Y,M,C,K)のうちで一部の作像ユニット、例えばブラック用の作像ユニット10Kのみを作動させてブラックトナー像を形成し、中間転写ベルト20を介して記録シートPに転写させることにより白黒画像等の単色画像を形成するか、あるいは2〜3色のトナー像を混合した多色画像を形成することも可能である。
【0031】
第1定着装置4は、基本的に加熱ロール41と加圧ベルト42とを圧接配置したものである。加熱ロール41は、肉厚1.5mm程度のアルミニウム等からなる金属製円筒ロール(外径25mm)に弾性層(例えばJIS−Aゴム硬度が33°程度で厚さが0.5mmのシリコーンゴム層)及び離型層(例えば厚さが30μmのPFAチューブ)を被覆形成し、そのロール内部に加熱ロールを加熱するハロゲンランプ等の加熱源を配置したものである。加圧ベルト42は、厚さが75μm程度のポリイミドフィルム等からなる外径35mm程度のベルト基材に離型層(例えば厚さが30μmのPFAチューブ)を形成したものである。また、加圧ベルト42の内部には、そのベルトを加熱ロール41に押圧してニップを形成する加圧パッドが配置されている。この加圧パッドは、押圧荷重が33kgで押圧して加熱ロール41と加圧ベルト42の間に6.5mm幅程度の定着ニップ部を形成している。
【0032】
第2定着装置5は、第1定着装置4の記録シート搬送方向の下流側となる部位に配置されるものであり、特に高光沢の画質からなる画像を得るために有効な定着装置である。この第2定着装置5は、基本的に、図1や図2に示すように、矢印C方向に回転する加熱ロール51と、剥離ロール52と、ステアリングロール53と、この各ロール51〜53に架け回された定着ベルト54と、この定着ベルト54を加熱ロール51に押圧してニップを形成する加圧ロール55と、定着ベルト54のニップ下流側の部位を冷却する冷却器56等を備えている。
【0033】
加熱ロール51は、熱伝導性の高い金属製円筒ロール51aに離型層(例えばPFA等のフッ素樹脂製チューブ)51bを被覆形成し、そのロール内部にハロゲンランプ等の加熱源57を配置したものである。剥離ロール52は、定着ベルト54から記録シートPをそのシート自身の剛性により剥離させるためのものである。このロール52の外形寸法は、定着ベルト54と記録シートPの付着力、及び定着ベルト54の剥離ロール52への巻き付き角度によって決定される。ステアリングロール53は、定着ベルト54の回転時に発生する片寄り走行によりベルト端部が破損することを防止するために定着ベルト54の進行方向を調整するためのものである。具体的には、そのロール53の一方の軸を位置的に固定し、その他方の軸を図示しない変位機構により加熱ロール51の軸線に対して傾くように変位させる仕組みになっている。加圧ロール55は、熱伝導性の高い金属製円筒ロール55aに弾性層(例えばJIS−Aゴム硬度が40°程度のシリコーンゴム層)55b及び離型層(例えばPFA等のフッ素樹脂製チューブ)55cを被覆形成し、そのロール内部にハロゲンランプ等の加熱源57を配置したものである。
【0034】
定着ベルト54は、熱硬化型のポリイミド製の無端状フィルム(75μm以上)に表面が平滑なシリコーンゴム等の表面層(30μm以上)を被覆形成したものである。冷却器56は、実際には定着ベルト54と密着している記録シートPを冷却するためのものである。この冷却器56は、加熱ロール51と剥離ロール52の間となる定着ベルト54の内周面領域に配置され、その内周面に接触してベルト54の熱を吸収するものであり、例えば放熱板等で構成されている。この冷却器56の冷却目標温度は、使用するトナーや記録シートの受像層等の種類等によっても異なるが、一般に定着ベルト54上の記録シートPの温度が60〜80℃になるような温度である。
【0035】
第1定着装置4と第2定着装置5の間には、第1定着終了後の記録シートPを第2定着装置5に搬送する第2定着用搬送路R3と、その記録シートPを第2定着用搬送路R3の途中で分岐させて筐体1の外部に排出搬送する排出用搬送路R4が設けられている。さらに、排出用搬送路R4から排出される記録シートPを一旦途中まで排出させた後にスイッチバックして表裏反転させた状態で引き込んで画像転写定着用搬送路R2に再送する反転再送路R5が設けられている。反転再送路R5は、排出用搬送路R3の途中で分岐して給紙用搬送路R1のレジストロール対33の手前位置で合流するような状態で設けられている。この各搬送路R3〜R5はいずれも搬送ロール対とガイド部材等で構成されている。第2定着用搬送路R3と排出用搬送路R4の分岐点と排出用搬送路R4と反転再送路R5の分岐点には、記録シートPを所定の搬送路側に切り換えて送りこむための搬送方向切換ゲート35、36がそれぞれ設けられている。図中の符号37はいずれも排出ロール対で、38は第1排出トレイである。
【0036】
前記したようにトナー像の二次転写された記録シートPは、第1定着装置4に送りこまれて加熱ロール41と加圧ベルト42の定着ニップ部を通過することにより加熱加圧される。これにより、トナー像が記録シートPに定着される。第1定着装置4による第1定着が終了した記録シートPは、以下の3つのいずれかの工程パターンを経ることになる。1つは、搬送方向切換ゲート35の案内により第2定着用搬送路R3を通して第2定着装置5に搬送されて第2定着が施される。2つめは、搬送方向切換ゲート35の案内により排出用搬送路R4側に送り込まれて排出ロール対37により装置外部(排出トレイなど)に排出される。3つめは、一部の両面画像形成時の工程パターンであり、排出用搬送路R4から搬送方向切換ゲート36の案内により反転再送路R5を通して給紙用搬送路R2に反転した状態で再送され、そのシート裏面への画像形成(トナー像の二次転写)が行われる。
【0037】
また、第2定着装置5による第2定着は次のように行われる。まず、第1定着後の記録シートPが第2定着装置5に送り込まれると、その記録シートPは定着ベルト54と加圧ロール55の間のニップを通過することにより加熱加圧され、そのニップを通過した後も定着ベルト54に密着した状態のままで搬送される。続いて、定着ベルト54に密着した記録シートPは、冷却器56により所定の温度(60〜80℃)まで冷却された後、剥離ロール52のある部位において定着ベルト47から剥離される。これにより、第1定着装置により定着されたトナー像は、定着ベルト54の平滑表面が転写されて光沢感が付与された状態で記録シートPに再び定着される。第2定着後の記録シートPは、排出ロール対59により第2排出トレイ39上に排出される。
【0038】
制御ユニット7は、画像形成装置のシステム全体の動作についての制御を行うものであり、作像システム2、給紙ユニット3、第1定着装置4、第2定着装置5、画像読取装置8、操作表示ユニット100等に対して所要の制御信号を送出するようになっている。この制御ユニット7は、CPU,ROM,RAM等にて構成されるマイクロコンピュータからなるものであり、ROM等のメモリに格納されている制御プログラムと操作表示ユニット100から入力される選択指示情報の内容に従って制御動作を実行するようになっている。後述する各動作に関する制御プログラムもROM等のメモリに格納されている。
【0039】
操作表示ユニット100は、画像形成装置を使用する際の各種条件の設定や選択、決定、実行指示を入力するキー等が設けられた操作部110と、画像形成装置の設定および動作状態や各種条件の選択メニューや操作部110で入力された情報等を表示させる表示部120とで構成されている。表示部120は、一般的な液晶表示画面やランプであってもよいが、通常は、情報の表示に加えて情報の選択指示や入力も行うことができるタッチパネル式の液晶表示画面が使用される。この操作表示ユニット100の操作部110で入力された指示情報は制御ユニット7に送信される。また、操作表示ユニット100の表示部120には、制御ユニット7等の制御動作により所定の表示が行われる。
【0040】
そして、このカラー画像形成装置においては、図3に示すように、操作表示ユニット100から所定の指示を行うことにより、一般の画質(非光沢、低光沢の画質)の画像出力(コピー、プリント)を行う通常出力モードと、高光沢性を付与した画像出力を記録シートの片面に行う特別出力モード(光沢付与モード)とのいずれかを選択できるようになっている。また、この一般出力モードと特別出力モードのいずれも片面出力と両面出力のいずれかを選択できるようにもなっている。このときの選択指示は、タッチパネル式の液晶表示画面からなる表示部120から所定の入力画面等を表示して直接行うか、または操作部110からの選択入力操作などと併用して行う。
【0041】
また、このカラー画像形成装置においては、図3に示すように、上記した各出力モードに応じて作像工程と定着工程の順番や種類が適宜組み合わせられた所定の画像形成プロセスパターンに従った画像形成動作がそれぞれ実行されるようになっている。このような動作に関する制御プログラムについては、前記した制御ユニット7のROM等に格納されている。
【0042】
さらに、このカラー画像形成装置においては、所望の画質からなる画像出力を確実に行う観点等から上記した各出力モードに対応した記録シートPをそれぞれ使用するように設定されている。
【0043】
一般出力モードに対する記録シートPとしては、非光沢の画像出力を行うのであればA4版、B5版等の規定サイズからなる普通紙等のシート自体が光沢性のほとんどないものを使用し、低光沢の画像出力を行うのであればコート紙等のシート自体に表面平滑で少し光沢性があるものを使用する。
【0044】
一方、特別出力モードに対する記録シートPとしては、図4に例示するようにシート状基材71の片面に熱可塑性樹脂からなる透明な受像層72を設けた光沢出力用記録シートP2を使用する。このような光沢出力用記録シートP2は、その受像層72が形成された面が全面にわたって均一な光沢感を有するものとなる。なお、特別出力モードでは記録シートPとしてコート紙を使用してもある程度の光沢性がある画像出力を行うことができる。
【0045】
ここで、シート状基材71としては、特に限定されるものでなく普通紙やコート紙などが使用できるが、特に写真調の画像出力を行う際には高級感を持たせるために白色度が高く150から250μm程度の厚みがある基材を使用するとよい。熱可塑性樹脂としては、スチレン(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、ポリウレタン等の単独のものあるいは混合したものが使用される。なかでも透明性、機械的強度を考慮すると、ポリエステル樹脂が好ましい。受像層72は、5〜20μm程度の厚さに形成される。厚みがこの範囲を下回ると、トナー(像)を受像層中に十分埋め込むことができず、表面に凹凸がある画像になって十分な光沢が得られなくなる。反対に、厚みがこの範囲を超えると、記録シートP2を湾曲させたときに受像層72にクラックが発生しやすくなり画像の耐久性が低下してしまう。
【0046】
また、受像層72には、第1定着装置4の加熱ロール41および加圧ベルト42や第2定着装置5の定着ベルト54からの離型性を確保して、記録シートP2がそれらのロールやベルトに巻きつくことやトナーのオフセットが発生することを防止するために離型剤を含有させてもよい。その離型剤としては、例えば低分子量ポリオレフィン類、シリコーン類、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、植物系ワックス、動物系ワックス、石油系ワックスやそれらの変性物などが使用できるが、好ましくはカルナバワックス、パラフィン系ワックスや低分子量ポリオレフィン系ワックスである。この離型剤は、受像層中に0.5〜10重量%の割合で含有させるとよい。
【0047】
以下、前述した各出力モードが選択されたときの画像形成装置の主な各動作(作像工程以降の動作)について説明する。
【0048】
まず、図3に示すように、通常出力モードの片面出力が選択された場合には、例えば普通紙やコート紙等の記録シートP1が収容されている給紙カセット31Aから記録シートP1が給紙搬送路(図中では「パス」と記す)R1を通して給紙されて画像転写定着搬送路R2を搬送されることにより、その記録シートP1の片面に作像システム2で作成される所定のトナー像(非光沢または低光沢の像)が転写された後に第1定着装置4で定着される。続いて、この定着後の記録シートP1は搬送方向切換ゲート35により排出用搬送路R4に搬送され、そのまま第1排出トレイ38にフェイスアップの状態(画像面が上面になった状態)で排出されて収容される。これにより、記録シートP1の片面に非光沢または低光沢の画像が形成される。
【0049】
また、通常出力モードの両面出力が選択された場合には、前述した片面出力における記録シートP1の片面への画像形成(第1トナー像の形成および転写と第1定着)が同様に行われる。続いて、その記録シートP1が搬送方向切換ゲート36により排出用搬送路R4から反転搬送路R5に送り込まれて作像システム2側に再送されて画像転写定着搬送路R2を再び搬送されることにより、その記録シートP1の他面に作像システム2で作成される所定の第2トナー像(非光沢または低光沢の像)が転写された後に第1定着装置4で定着される。そして、この定着後の記録シートP1は搬送方向切換ゲート35により排出用搬送路R4に搬送され、そのまま第1排出トレイ38に排出されて収容される。これにより、記録シートP1の両面に非光沢または低光沢の画像が形成される。この両面出力の場合は、各面の画像形成時における定着工程はいずれも第1定着装置4のみを通過するのみであるため、複数の定着装置を通過する場合のような時間的ロスがなく比較的速い両面画像形成が行える。
【0050】
一方、図3に示すように、特別出力モードの片面出力が選択された場合には、例えば光沢出力用記録シートP2が収容されている給紙カセット31Bからその記録シートP2が給紙搬送路R1を通して給紙されて画像転写定着搬送路R2を搬送されることにより、その記録シートP1の受像層72がある面に作像システム2で作成される所定のトナー像(高光沢を要求する像)が転写された後に第1定着装置4で定着される。ここで、この受像層面側にトナー像を転写させるためには記録シートP2をその受像層72が中間転写ベルト20側に位置するように給紙する必要があり、この装置では給紙カセット31Bに受像層72のある面を上面にした状態で収容しておく必要がある。続いて、この定着後の記録シートP2は搬送方向切換ゲート35により第2定着用搬送路R3に搬送されて第2の定着装置5で再定着された後、第2排出トレイ39にフェイスダウンの状態で排出されて収容される。これにより、光沢出力用記録シートP2の片面に高光沢の画像が形成される。
【0051】
特に、この光沢出力用記録シートP2の片面(受像層72のある面)に高光沢の画像が形成されるのは、以下の理由によるものと推測される。
【0052】
すなわち、この特別出力モードの片面出力においては、図5aに示すように、そのトナー像が第1定着において加熱溶融されて受像層72の表面に少し埋没するとともにその表面から少し突出した状態(トナー像Ta)になるが、図5bに示すように、第1定着後のトナー像T1が第2定着において受像層72にほぼ完全に埋没しかつ表面が平滑な状態(トナー像Tb)となる。これは、図6に示すように、第2定着装置5において加熱ロール51と加圧ロール55により加熱加圧されて溶融した記録シートP2の受像層72とその受像層71に同じく溶融されて押し込まれた状態にある第1定着後のトナー像Taとが冷却器56によって冷却されることで、そのトナー像Taを含む受像層72の全面を定着ベルト54の表面にならった平滑な表面状態で固化させているためであると推測される。この結果、20度光沢度で70以上となる高い光沢が得られる写真調画像(トナー像Tb)の形成が可能になっている。
【0053】
また、この特別出力モードにおいて第2定着装置5に搬入される記録シートP2上のトナー像は、第1定着装置4により一度定着されているため、フェイスダウン状態で第2定着用搬送路R3を搬送される途上でガイド部材や搬送ロール等に接触した場合であっても、その像が乱されて画質低下を招くおそれがない。
【0054】
また、特別出力モードの両面出力が選択された場合には、給紙カセット31Bからその記録シートP2が給紙搬送路R1を通して給紙されて画像転写定着搬送路R2を搬送されることにより、その記録シートP1の受像層72のない面に作像システム2で作成される所定のトナー像(高光沢を要求しない非光沢または低光沢の像)が転写された後に第1定着装置4で定着される。この際、受像層72のない面側に第1トナー像を転写させるためには記録シートP2をその受像層72が二次転写ロール22側に位置するように給紙する必要があり、この装置では給紙カセット31Bに受像層72のある面を下面にした状態で収容しておくことになる。
【0055】
続いて、その記録シートP2が搬送方向切換ゲート36により排出用搬送路R4から反転搬送路R5に送り込まれて作像システム2側に再送されて画像転写定着搬送路R2を再び搬送されることにより、その記録シートP2の他面(受像層72がある面)に作像システム2で作成される所定の第2トナー像(高光沢を要求する像)が転写された後に第1定着装置4で定着される。そして、この定着後の記録シートP1は搬送方向切換ゲート35により第2定着用搬送路R3に搬送されて第2の定着装置5で再定着された後、第2排出トレイ39に排出されて収容される。これにより、光沢出力用記録シートP2の両面に画像が形成されるが、特にこの場合には、その受像層72のある面に高光沢の画像が形成される一方で、その受像層72のない面に非光沢または低光沢の画像が形成される。このような特別出力モードの両面出力は、例えば、年賀状のような写真入りハガキを作成するに当たり、その片面に写真等を含む高光沢の画像を形成する一方、その反対面に宛名書き、写真の撮影情報等の非光沢または低光沢の画像を形成するような用途に適用できる。
【0056】
この実施形態1に係る画像形成装置によれば、その記録シート両面への画像出力は1つの作像システム2により行うことができるため、その片面に高光沢の画像を形成する両面出力を行うことが可能な画像形成装置としてコンパクトで低コストなものを提供することができる。また、その両面出力は、先に非光沢または低光沢の画像を記録シートの片面に形成させ、その後で高光沢の画像を形成して2度の定着を行うようにしているため、高光沢の画像が途中で各種部品に接触等して乱されることや、その記録シートが加圧ロール等へ巻きつくことが発生することがない。
【0057】
《実施の形態2》
図7は本発明の実施の形態2に係るカラー画像形成装置を示すものである。
【0058】
この画像形成装置は、第2定着装置5の下流側に第2作像システムとしてのインクジェット記録装置6を増設した以外は実施の形態1に係る画像形成装置と同じ構成からなるものである。このため、実施の形態1に係る画像形成装置と共通する構成部分には同じ符号を付し、その説明については省略する。
【0059】
インクジェット記録装置6は、第2定着装置5の記録シート排出側に連結して設置されるものであり、基本的に、図7〜9に示すように印字ヘッド61と、第2定着装置5から排出される記録シートPを平らな状態に支持する上面がフラット状のシート支持プレート62と、この支持プレート62の上面において印字ヘッド61の下方を通過させるように搬送する搬送用ロール63、64とで主に構成されている。印字ヘッド61は、記録シートPの搬送方向Sと直交する方向に設置されるライン式ヘッド65Y,65M,65C,65Kであり、一定の速度で搬送される記録シートの片面に対してY,M,C,Kの色のインクからなる画像を行単位で印字するものである。このライン式の印字ヘッド61は、第1の作像システム2と同様に画像処理ユニットから送信される画像信号に基づいてインクを吐出することでインク画像を形成するものであり、そのすべての色のインクからなる画像を形成することによりフルカラーのインク画像が得られる。
【0060】
このインクジェット記録装置6により画像形成を行う場合には、記録シートPとして、図10に示すように前記光沢出力用記録シートP2の受像層72のない面にインク吸収層73を形成した第2光沢出力用記録シートP3が使用される。このインク吸収層73は、印字ヘッド61から吐出されるインクのにじみ防止と吸収性向上等のために設けられるものであり、無機顔料をバインダー樹脂とともにコーティングすることで形成される。無機顔料としてはシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が使用されるが、なかでも多孔質のシリカ、アルミナが好適である。このインク吸収層73を設けた場合には、非光沢または低光沢の画像を形成することができる。
【0061】
また、このインク画像を形成する記録シートの面も高光沢の画像を形成するようにするためには、インク吸収層73上にさらに表面平滑となる平滑層74を設けた両面光沢出力用記録シートP4を使用する。この平滑層74は、インク吸収層73を形成する前記材料を同様に用いてキャストコート法などにより表面平滑な層として形成することができる。なお、この平滑層74とインク吸収層73はいずれも、第1定着装置4と第2定着装置5を通過する際の熱により軟化しない材料で構成する必要がある。
【0062】
そして、この画像形成装置においても、実施の形態1の場合と同様に、操作表示ユニット100から所定の指示を行うことにより、一般の画質(非光沢、低光沢の画質)の画像出力(コピー、プリント)を行う通常出力モードと、高光沢性を付与した画像出力を記録シートの少なくとも片面に行う特別出力モード(光沢付与モード)とのいずれかを選択できるようになっている(図11)。
【0063】
このうち通常出力モードにおける片面出力および両面出力の動作と特別出力モードにおける片面出力の動作については、図11に示すように、実施の形態1に係る装置の場合(図3参照)と同じであるため、以下に、その異なる特別出力モードにおける両面出力の動作について説明する。
【0064】
この画像形成装置において特別出力モードにおける両面出力が選択された場合には、図11に示すように、第2光沢出力用記録シートP3または両面光沢出力用記録シートP4が収容されている給紙カセット31Bからその記録シートP3又はP2が給紙搬送路R1を通して給紙されて画像転写定着搬送路R2を搬送されることにより、その記録シートP1の受像層72のある面に作像システム2で作成される所定のトナー像(高光沢を要求する像)が転写された後に第1定着装置4で定着される。しかる後、その記録シートP1は搬送方向切換ゲート35により第2定着用搬送路R3に搬送されて第2の定着装置5で再定着される。
【0065】
続いて、その第2定着後の記録シートP2がインクジェット記録装置6に搬入されて所定の像(第2のインク像)が形成された後、第2排出トレイ39にフェイスダウンの状態で排出されて収容される。
【0066】
ここで、インクジェット記録装置6による印字は、図12に示すように、第2定着装置5を通過して受像層72に埋め込まれた状態の高光沢なトナー像(Tb)が形成された記録シートP3,P4が、搬送ロール63等で抑えられてシート支持プレート62上を平らな状態でかつインク吸収層73等を上面にして一定の速度で搬送され、ライン式印字ヘッド61を通過する際に所定の色のインクが吐出されることで行われる。この結果、インク吸収層73等のある面に所定のインク像Itが形成される。また、この印字の際、記録シートP3,P4は第2定着装置5を通過した後であるため、その温度は60〜80℃程度と高温の状態にあり、これによりインク像Itが比較的速く乾燥するようになる。この乾燥には、印字前の記録シートの表面温度を50℃以上に保っておくことが好ましい。そして、このような速いインクの乾燥が行われた場合には、高速で印字を行った場合でも、第2排紙トレイ39上で重なった状態で収容された際にインク像Itが他の記録シートに移って汚染するおそれがない。
【0067】
このようにして、記録シートP3又はP4の両面に画像が形成されるが、特にこの場合には、その受像層72のある面に高光沢の画像が形成される一方で、その受像層72のない面に非光沢もしくは低光沢の画像または高光沢の画像が形成される。このときインク吸収層73のある記録シートP3を使用した場合には、そのインク吸収層のある面に非光沢もしくは低光沢の画像が形成されることになる。また、平滑層74のある記録シートP4を使用した場合には、その平滑層74のある面に高光沢の画像が形成されることにある。このような特別出力モードの両面出力は、実施の形態1の場合と同様に、例えば、年賀状のような写真入りハガキやLサイズ、2Lサイズ、A4版サイズの写真プリントを作成するに当たり、その片面に写真等を含む高光沢の画像を形成する一方、その反対面に宛名書き、写真の撮影情報等の非光沢または低光沢の画像を形成するような用途に適用できる。
【0068】
この実施形態2に係る画像形成装置によれば、新たに第2の作像システムとしてのインクジェット記録装置6を増設したにもかかわらず、その装置容積が非常に小さいインクジェット記録装置6を裏面用の作像システムとして使用していることにより、記録シートの片面に高光沢の画像を形成する両面出力を行うことが可能な画像形成装置としてコンパクトで低コストであって、しかも高速の両面出力を行うことができるものを提供することができる。すなわち、この画像形成装置の場合には、特に特別出力モードにおける両面出力が、実施形態1の装置の場合に比べて、片面画像形成が終了した記録シートの反転搬送や第2面への画像形成時に定着工程が不要であることから高速で行うことができる。
【0069】
また、インクジェット記録装置6としてライン式のものを適用していることによりその印字記録が速く、両面出力の所要時間が片面出力に要する時間とほぼ同じ時間で済むようになる。さらに、この両面出力時には、記録シートを湾曲させたような状態で反転させる必要がなく、また、第1定着装置4と第2定着装置5の通過が1回だけで済むため、その記録シートが搬送途中で加圧ロール等へ巻きつくおそれはほとんどない。また、インクジェット記録装置6による印字がフェイスダウン状態で搬送される記録シートの上面に対して行うことができるため、印字ヘッド61からのインク吐出方向をほぼ鉛直方向に設定できるため、インクの供給やインク吐出方向の制御等が容易となる。
【0070】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置においては、インクジェット記録装置6の印字ヘッド61としてライン式印字ヘッド65に代えて、図13に例示するように、記録シートの搬送方向Sと直交する方向に平行して設置された搬送ガイド66に対して両矢印方向Mに往復移動するスキャン式の印字ヘッド69を適用することも可能である。図中の符号68はY,M,C,Kの各色のインクタンクである。
【0071】
このスキャン式の印字ヘッド69による印字は、その印字ヘッドのノズル形成幅に応じた送り量に応じて記録シートP3,P4を間欠的に搬送し、その停止している間に印字ヘッド69を搬送ガイド66にそってスキャン移動させて印字を行う。この関係で、その印字速度は、前記ライン式の印字ヘッド65の場合に比べて遅くなる。また、その間欠移動をするため、図14に示すように、その印字ヘッド69を、そのインク吐出位置から第2定着装置5における記録シートの定着ベルト54からの剥離地点までの距離Lが記録シートの最大送り方向長さよりも長くなる位置に配置する必要がある。
【0072】
また、実施の形態2に係る画像形成装置においては、図15に例示するように、インクジェット記録装置6を第2定着装置5における定着ベルト54の記録シートを密着させた状態のままで搬送する領域の面と対向した位置に設置するようにしてもよい。すなわち、定着ベルト54を挟んで冷却装置56と対向する上方位置に設置する。この場合には、加熱ロール51からの熱等の影響を少なくするため、加熱ロール51のある側の空間と仕切るため断熱用隔壁78を設けるとよい。これにより、熱によるインクの不要な乾燥等を防止できる。
【0073】
このような位置にインクジェット記録装置6を設置した場合には、図16に示すように、そのインクジェット記録装置6による印字を第2定着装置5による定着とほぼ同時に並行して行うことができ、しかも独立した位置に配置されたインクジェット記録装置6の場合のようにその印字のために記録シートを搬送させる必要もなくなるため、特別出力モードにおける両面出力をより短時間で行うことが可能となる。また、インクジェット記録装置6を第2定着装置5とは独立した位置に設置する場合に比べて、その設置スペースが少なくて済み、画像形成装置の更なるコンパクト化に有利となる。
【0074】
《他の実施の形態》
実施の形態1、2では、作像システム2としてドラム形態の感光体(11)を使用する場合について例示したが、本発明においてはベルト形態の感光体を適用してもよい。さらに、作像システム2としては、感光ドラム11を1つにし、その感光ドラムの周囲に4つの現像装置(前記4色の現像剤を個々に収容するもの)を順次対向配置させる構成や、その感光ドラムに4つの現像装置を1つずつ変位移動させて対向させる構成のものを使用してもよい。
【0075】
さらに、実施の形態1、2では、第2定着装置5として冷却器56を備えたベルト定着装置を使用する場合について例示したが、本発明では、冷却器56を使用せず自然冷却を行うように構成した第2定着装置を使用してもよい。また、第2定着装置5は、筐体1の内部に配置して使用するように構成しても構わない。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像形成装置によれば、従来技術のような問題を発生させることなく、少なくとも記録シートの片面に高光沢の画像を形成しその他面に非光沢または低光沢の画像を形成する両面画像形成を良好に行うことができる。もちろん、非光沢または低光沢の画像形成についても、何ら性能低下などを招くこともなく良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係るカラー画像形成装置を示す概要図。
【図2】 第2定着装置の構成を示す概要図。
【図3】 実施の形態1に係る各出力モードにおける片面出力および両面出力の動作内容を示すフローチャート。
【図4】 記録シートとしての光沢出力用記録シートを示す概略断面図。
【図5】 光沢出力用記録シートに画像出力を行って定着処理をしたときの状態を示すもので、(a)は第1定着後の状態を示す概略断面図、(b)は第2定着後の状態を示す概略断面図。
【図6】 第2定着装置による定着処理の状態を示す要部説明図。
【図7】 実施の形態2に係るカラー画像形成装置を示す概要図。
【図8】 第2定着装置とインクジェット記録装置の構成を示す概要図。
【図9】 インクジェット記録装置の構成を示す概略平面図。
【図10】 記録シートとしての第2光沢出力用記録シートおよび両面光沢出力用記録シートを示す概略断面図。
【図11】 実施の形態2に係る各出力モードにおける片面出力および両面出力の動作内容を示すフローチャート。
【図12】 インクジェット記録装置の印字状態を示す一部概略断面図。
【図13】 インクジェット記録装置の他の構成例を示す概略平面図。
【図14】 図13の記録装置の設置条件を示す説明図。
【図15】 インクジェット記録装置の他の設置例を示す概略平面図。
【図16】 図16の設置例に係る各出力モードにおける片面出力および両面出力の動作内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
2…作像システム(作像装置)、4…第1の定着装置、5…第2の定着装置、6…インクジェット記録装置(第2の作像装置)、100…操作表示ユニット(出力モード選択手段)、54…定着ベルト、72…受像層、74…平滑層、P…記録シート、R5…反転搬送路、P2…光沢出力用記録シート、P4…両面光沢出力用記録シート、T…トナー像。
Claims (8)
- トナー像を形成して記録シートに転写する作像装置と、
この作像装置でトナー像が転写された記録シートを、圧接されて回転する加熱回転体及び加圧回転体の間にそのトナー像転写面が加熱回転体に当接する状態で導入して加熱加圧する第1の定着処理をする第1の定着装置と、
この第1の定着装置で第1の定着処理がされた定着トナー像面を有する記録シートを、加熱ロールを含む複数のベルト支持ロールに張架されて回転する定着ベルトと前記定着ベルトの加熱ロールに支持される外周面に圧接して回転する加圧回転体との間にその定着トナー像面が下向きの状態でかつ前記加熱ロールに支持される定着ベルトの外周面に当接する状態で導入して加熱加圧するとともに、その定着ベルトの上向き状態の張架部分に密着させた状態のままで冷却させながら所定の距離だけ搬送してから剥離して第2の定着処理をする第2の定着装置と、
前記第1の定着装置で第1の定着処理がされた後の記録シートを反転させた状態で前記作像装置に再び搬送する反転搬送路と、
画像出力モードとして、記録シートの片面に高光沢の画像を形成して両面出力する特別出力モードを選択して指定する出力モード選択手段とを有し、
かつ、前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、前記記録シートを前記作像装置および第1の定着装置に搬送してその一方のシート面に転写された第1のトナー像に前記第1の定着処理をした後に前記反転搬送路に搬送し、続いて、当該記録シートを反転させた状態で前記作像装置および第1の定着装置に搬送して前記他のシート面に転写された第2のトナー像を前記第1の定着処理をした後に前記第2の定着装置に搬送して第2の定着トナー像面を下向きの状態で前記定着ベルトに当接させて前記第2の定着処理をする両面画像形成動作が実行されることを特徴とする画像形成装置。 - 前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、記録シートとして片面に熱可塑性樹脂からなる受像層を設けた光沢出力用記録シートを使用し、この光沢出力用記録シートを、その受像層のないシート面側に前記第1の画像を出力しかつその受像層のあるシート面に前記第2の画像を出力するように搬送供給する請求項1に記載の画像形成装置。
- トナー像を形成して記録シートに転写する第1の作像装置と、
この作像装置でトナー像が転写された記録シートを、圧接されて回転する加熱回転体及び加圧回転体の間にそのトナー像転写面が加熱回転体に当接する状態で導入して加熱加圧する第1の定着処理をする第1の定着装置と、
この第1の定着装置で第1の定着処理がされた定着トナー像面を有する記録シートを、加熱ロールを含む複数のベルト支持ロールに張架されて回転する定着ベルトと前記定着ベルトの加熱ロールに支持される外周面に圧接して回転する加圧回転体との間にその定着トナー像面が下向きの状態でかつ前記加熱ロールに支持される定着ベルトの外周面に当接する状態で導入して加熱加圧するとともに、その定着ベルトの上向き状態の張架部分に密着させた状態のままで冷却させながら所定の距離だけ搬送してから剥離して第2の定着処理をする第2の定着装置と、
前記第1の定着装置で第1の定着処理がされた後の記録シートを反転させた状態で前記作像装置に再び搬送する反転搬送路と、
記録シートの片面に定着処理が不要の画像を形成する第2の作像装置と、
画像出力モードとして、記録シートの片面に高光沢の画像を形成して両面出力する特別出力モードを選択して指定する出力モード選択手段とを有し、
かつ、前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、前記記録シートを前記作像装置および第1の定着装置に搬送してその一方のシート面に転写された第1のトナー像に前記第1の定着処理をした後に前記第2の定着装置に搬送して当該第1の定着処理がされた定着トナー像に第2の定着処理をし、続いて、前記第2の作像装置に搬送してその他方のシート面に前記定着処理が不要の画像を形成する両面画像形成動作が実行されることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項3に記載の画像形成装置において、前記第2の作像装置を前記第2の定着装置における定着ベルトの記録シートを密着させた状態のままで搬送する領域の面と対向した位置に設置し、
かつ、前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、前記記録シートを前記第1の作像装置および第1の定着装置に搬送してその一方のシート面に第1の画像を出力した後に前記第2の定着装置に搬送して第2の定着処理をするととともに前記第2の作像装置により定着ベルトに密着している記録シートの他方のシート面に第2の画像を形成する両面画像形成動作が実行されることを特徴とする画像形成装置。 - 前記第2の作像装置はインクジェット記録装置である請求項3または4に記載の画像形成装置。
- 前記インクジェット記録装置による記録シートへの第2の画像の形成は、その記録シートの表面温度が50℃以上であるときに行う請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記出力モード選択手段で特別出力モードの両面出力が選択された場合は、記録シートとして片面に熱可塑性樹脂からなる受像層を設けた光沢出力用記録シートを使用し、この光沢出力用記録シートを、その受像層のあるシート面側に前記第1の画像を出力しかつその受像層のないシート面に前記第2の画像を出力するように搬送供給する請求項3〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記光沢出力用記録シートとして、その受像層のないシート面に表面平滑な平滑層を設けた両面光沢出力用記録シートを使用する請求項7に記載の画像形成装置。
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