JP4284861B2 - 表面処理方法、インクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法 - Google Patents

表面処理方法、インクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面処理方法、それを用いるインクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法、インクジェットプリンタ用ヘッド及び表面処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマ放電による表面処理は真空中または減圧された環境において行われていたが、近年、大気圧もしくはその近傍での処理が可能となってきた。例えば、特公平2−48626号、同4−74372号、同6−72308号、同7−48480号、特開平2−281734号、同3−229886号、同3−236475号等に開示の技術が挙げられる。
【0003】
更に、近年に至っては被処理物の特定の部分のみを処理する方法として、大気圧下でのプラズマにより生成した放電ガスの励起活性種を所望の処理領域のみに吹き付ける吹き出し型プラズマ処理法が見い出されている。例えば、特開平3−219082号(岡崎幸子他)、同6−2149号(松下電工)、同4−358076号、同9−232293号(セイコーエプソン)、同11−251304号(松下電工)、同11−260597号(松下電工)、同11−335868号(セイコーエプソン)等が挙げられる。
【0004】
上記記載のような従来技術においては、従来の吹き出し型大気圧プラズマでは被処理物と励起活性種との接触はガス流量及びガス管路等に依存した制御されていないガス流れに支配されており、低ガス流量での処理時や複雑な形状をした処理部、吹き出し口から離れた処理部、直接的にガスの噴射が当たらないような処理部を効率的に、また選択的に処理することはできない等の問題点があった。
【0005】
そこで、上記のような問題点の解決が要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、放電ガスを用いて被処理物の表面処理において、放電ガスの吹き出し口から離れた箇所もムラなく処理、且つ、複雑形状を有する被処理物の処理等が可能であり、処理効率の大幅な向上、処理時間の短縮或いは放電出力の低減を可能にし、更には、被処理物の処理によるダメージ低減を可能にし、その結果、生産性の大幅な向上、具体的には高速処理化、省エネ・低ランニングコスト化によるコストダウン、高品質表面処理を可能にする表面処理方法、それを用いるインクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法、インクジェットプリンタ用ヘッド及び表面処理装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の項目1〜6によって達成された。
【0008】
1.大気圧または、その近傍の圧力下、各々の電極表面に誘電体(絶縁体ともいう)を被覆または対向するように配置した高圧電極と接地電極Aとの間に形成される放電空間を有する放電部を有し、該放電部の一方の側に設けたガス流入口から該放電空間に放電用ガスを導入し、前記高圧電極と前記接地電極A間に通電して、前記放電空間内で前記放電用ガスの存在下に放電を行い、放電ガスを発生させ、前記放電空間を通過して前記放電部の他方の側に設けられた吹き出し口より吹き出した前記放電ガスを用いて被処理物の表面を処理する表面処理方法において、
前記被処理物が直接または間接的に接するように接地電極Bを配置する、或いは前記被処理物の表面処理後の前記放電ガスの流れる方向に該接地電極Bを配置することを特徴とする表面処理方法。
【0009】
2.接地電極Bの表面に誘電体が被覆または配置されていることを特徴とする前記1に記載の表面処理方法。
【0010】
3.高分子で被覆された被処理物の表面を改質することを特徴とする前記1または2に記載の表面処理方法。
【0012】
4.インク流路が設けられている圧電セラミックを有するインクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法において、該インク流路の内部が前記1〜3のいずれか1項に記載の表面処理方法を用いて親水化処理することを特徴とするインクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、従来公知の放電ガスを用いて被処理物の表面処理方法において、前記被処理物が直接または間接的に接するように接地電極Bを配置する、或いは前記被処理物の表面処理後の該放電ガスの流れる方向に前記接地電極Bを配置することにより、従来公知の表面処理方法においては難しいとされていた放電ガスの吹き出し口から離れた箇所や複雑形状を有する被処理物等もムラなく表面処理を施すことが可能となった。
【0015】
そればかりではなく、処理効率の大幅向上も達成でき、これにより処理時間の短縮或いは放電出力の低減が可能となり、さらには被処理物の過放電等による表面基質のダメージ低減も可能となった。
【0016】
また、本発明の表面処理方法を用いることにより、被処理物の表面処理生産性の大幅な向上が図れ、具体的には高速処理化、省エネ・低ランニングコスト化によるコストダウン、また高品質表面処理をすることが可能となった。
【0017】
上記記載の接地電極Bを設けたことによって本発明に記載の効果が得られるようになった理由については、前記放電空間内での放電時に、微小放電が新たに配置された接地電極Bと前記高圧電極との間で起こるために、放電ガスの排出口から離れている被処理物の表面処理や特殊な形状を有する被処理物の表面についてもムラなく表面処理が行われ、併せて、被処理物表面への過放電等による望ましくないダメージも軽減されるのではと本発明者等は推定している。
【0018】
本発明の表面処理方法に使用される電極について説明する。
本発明の表面処理方法で用いられる放電処理に用いられる電極については、通常は金属例えばステンレス、アルミニウム、銅、銀等が用いられるが、電極の形は平板状でも、円筒状、棒状であってもよい。通常は、放電の効率を上げ安定に放電を起こさせるため、又電極の劣化を防ぐため、その表面に絶縁体(誘電体)を配設したものが電極として用いられる。
【0019】
放電電極(例えば、高圧電極、それに対向している接地電極A)に用いられる誘電体(被覆絶縁物)としては、高分子樹脂(ポリイミド樹脂やポリエステル樹脂など)、ガラス、セラミック、雲母などの絶縁物による固体誘電体であれば特に限定されない。誘電体の厚みは電源周波数に応じて薄くしてゆくのがよいが、高圧電極上の誘電体の厚みとしては、5mm以下が適当であり、0.1〜2mmがより好ましい。また、接地電極A上の誘電体の厚みとしては、2mm以下が好ましく、更に好ましくは0.1〜1mmである。熱伝導(冷却効率)および誘電率は高いほど好ましく、その観点からセラミック若しくはセラミックとガラスの複合材が特に好ましい。セラミックの場合、緻密性が必要となるため焼結体が最も好ましく、溶射による被覆セラミック等、焼結しないセラミック被覆の場合であれば無機材料若しくは一部有機物を含む無機材料による封孔処理を施すことが好ましい。
【0020】
また、本発明に記載の効果を得る観点から、請求項1に記載の接地電極Aも誘電体が被覆または配置されていることが好ましい。接地電極A上の誘電体の厚みとしては、2mm以下が好ましく、更に好ましくは0.1〜1mmである。
【0021】
本発明で放電ガスの発生に用いられる放電処理装置に用いられる高圧電極、接地電極Aについて図1〜図4を用いて説明する。
【0022】
本発明に係る、各々の電極表面に誘電体を被覆または対向するように配置した高圧電極1、接地電極Aの配置形態の一例としては、例えば、図1に示すような平行平板型、図2示すようなバンド型、図3に示すようなトーチ型、図4に示すような弦巻型等を挙げることができる。
【0023】
図1〜図4の各々において、誘電体3を有する高圧電極1から、誘電体3を有する接地電極Aに通電され、ガス流入口5aから導入された放電用ガスに通電して放電ガス4(励起活性種、例えば、ラジカル、イオン、プラズマ等を含む)を発生させ、放電ガス4をガス吹き出し口5bの方向に吹き出させて、被処理物6の表面処理を行う。ここで、放電用ガスの種類、放電条件により、被処理物の表面を親水化処理することも出来るし、反対に疎水化処理を施すこともできる。
【0024】
上記記載の図1〜図4に示すいずれの電極配置も本発明において好ましく用いる事が出来るが、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
本発明に記載の効果を更に好ましく得る観点から、上記記載の高圧電極1と接地電極Aにおける電極間距離は20mm以下が好ましく、より好ましくは10mm以下、特に好ましくは7mm以下である。
【0026】
本発明においては、大気圧又はその近傍下の70.9kPa〜101.32kPaの気圧下で、且つ、50W・min/m2以上500W・min/m2未満で、一対の電極間を搬送されている材料に対して放電させ真空下で起こるグロー放電に似た放電が起こり励起活性種(プラズマ、ラジカル、イオンなどを含む)を含む放電ガスが発生し、前記励起活性種により被処理物表面を表面処理する。またガス中放電プラズマ処理の放電強度は、アーク放電も起こらず安定した効果的な処理を行うには、50W・min/m2以上500W・min/m2未満が好ましい。この範囲でガス中放電プラズマ処理を行うことにより、処理の均一性、ダメージなく仕上げることが出来る。さらに、処理する際の交流の周波数は500Hz〜数百MHzの範囲に調整し、
被処理物が励起活性種により処理される面は電極の陽極に対位しているが、この場合、両電極間に500Hz〜数百MHzの周波数で、交流の周波数は500Hz〜数百MHzが好ましく、3kHz〜13.56MHzがより好ましい。
【0027】
本発明に記載の効果を得る観点から、電源周波数は、500Hz〜数百MHzの範囲が好ましいが、更に好ましくは、1kHz〜60MHzの範囲であり、特に好ましくは、3kHz〜13.56MHzの範囲である。
【0028】
又、これらの印加電圧の波形としては(電圧波形)、正弦波形が好ましいが、電圧印加/非印加を繰り返すパルス波形も勿論有効であり、特に被処理物が熱に弱くプラズマ発熱量を余りあげたくないときはパルス化が有効である。しかしながら、プラズマ化率の低下による効率低下があるため、熱的問題がない場合は電圧印加/非印加のON/OFF比(デューティ比)は大きい方がより好ましい。
【0029】
より効率的な処理(≒短時間処理)を望む場合は、電極誘電体の耐久性が得られる範囲で出力を上げることが有効であり、印加電圧を上げる或いは誘電体の誘電率(ε)を上げるなどの手段を行うとよい。また、同時に熱発生を伴うため、熱伝導率が高いものが好ましい。
【0030】
上記の観点から、例えば、ホワイトアルミナが高誘電率、高熱伝導性であるために非常に有効である。
【0031】
本発明に係る放電用ガスについて説明する。
本発明に係る放電用ガスとしては、所望の処理に併せてガス条件を自由に設定することが出来るが、放電を均一に保ち、且つ、放電ガスを安定して発生させるためには、不活性ガスのアルゴンまたはヘリウムなどの希ガスを主成分(ここで、主成分とは体積%で50%以上含有される場合と定義する)にするのが好ましく、目安としては80%以上を不活性ガスとするのが好ましい。
【0032】
上記記載の所望の処理としては、例えば、親水化処理、疎水化処理等が挙げられる。本発明においては、親水化処理を目的とする場合は、酸素、窒素、炭酸ガス、水、アルコール、ケトン類等を上記の不活性ガスと混合して用いるのが好ましい、また、疎水処理を目的とする場合は、フッ素含有低分子量ガス(例えば、4フッ化メタン、6フッ化プロピレン等)、低分子量の炭化水素ガス(例えば、メタン、エタン、エチレン、アセチレン等)等が利用できる。
【0033】
また、放電用ガスに通電し、発生した放電ガスを用いて被処理物の表面に重合膜を形成させたい場合は、重合性を有する炭化水素系ガス、重合性を有するフッ素含有ガス、有機モノマーガス等、また常温で液体の重合性モノマーの場合はキャリアーガスを通気してバブリングさせる方法が利用できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図5、図6、図7及び図8を用いて、上記記載の図1〜図4で示した本発明に用いられる放電処理装置(放電ガス発生装置ともいう)の中から、図1で示される放電処理装置を例にとり、本発明の表面処理方法の実施を詳細に説明する。
【0035】
図5、図6は各々、図1で示した平行平板型の放電処理装置を用いる本発明の表面処理方法の一形態を示している。図5においては、図1で示した平行平板型の放電処理装置と反応槽2が連結され、ガス吹き出し口5bの方向に吹き出された放電ガス4は反応槽2に置かれた被処理物6の表面処理を行った後、反応槽2に設けられたガス排出口2aから排出される。ここで、本発明の最大の特徴は、被処理物6が接地電極Bに直接接した状態で表面処理を受けることである。
【0036】
接地電極Bを用いない従来の表面処理方法においては、放電ガス4の吹き出し口に近い、被処理物の表面のポイントa3〜a5は良好な処理がされるが、前記吹き出し口から離れているポイントa1、a2、a6、a7等は十分に表面処理されない傾向があったが、本発明の表面処理方法を用いるとポイントa1〜a7まで均一、且つ、ムラなく表面処理することが出来るようになった。
【0037】
図6においても、図5に示されているのと同様な表面処理が行われるが、図5との最大の違いは、図5では、被処理物6の放電ガス4で処理される面の反対側の面のほぼ100%が接地電極Bと接しているが、図6では、被処理物6の放電ガス4で処理される面の反対側面の一部にのみ接地電極Bを配置していることである。
【0038】
図6の接地電極Bは被処理物の表面のポイントa4〜a7の反対面側に配置されている。この場合に、本発明の表面処理方法を用いるとa4〜a7の領域だけを選択的に表面処理し、且つ、接地電極Bが反対面側に配置されていないポイントa1〜a4の領域は殆ど未処理の状態を保つように、選択的に表面処理することができるようになった。
【0039】
図7、図8は、本発明の表面処理方法を用いて、インクジェットプリンタ用ヘッドの内部に設けられたインク流路の表面処理(この場合は親水化処理)を行う一形態を各々、示している。
【0040】
図7においては、被処理物9(具体的には、インクジェットヘッドを構成する圧電性セラミックを表す)の上部に設けられた図1に示すような平行平板型の放電処理装置を用い、発生した放電ガス4をインク流路8に導入し、インク流路8の内側に被覆または配置された保護膜7の表面処理を行い、インク流路8に設けられたガス排出口9aからガス排出経路9cを通過して排出される。
【0041】
ここで、接地電極Bは誘電体11を介して間接的に被処理物9に接する。本発明に記載の効果を好ましく得る観点からは、図7に示すように接地電極Bは直接的に被処理物9に接するよりも、誘電体11を介して間接的に接するほうが、チャージアップなどによる保護膜7のダメージなどが低減されるために好ましい。
【0042】
図8は、高圧電極1、それに対向する接地電極Aを有する放電処理装置、被処理物9の配置、内部のインク流路8、前記インク流路8の内部に設けられた保護膜7の構成など、基本的な構成は図7と同様である。
【0043】
図8が図7の構成において異なるのは、接地電極Bが、誘電体12に設けられたガス排出口9aから排出された放電ガス4のガス排出経路9cに接地電極Bが配置されていることであり、接地電極Bは被処理物9とは空間的に離れている点が大きな相違点である。
【0044】
以上から、本発明の表面処理方法を適用することにより、従来公知の技術文献に開示されているような、単に被処理物をプラズマ放電装置内部において全体をプラズマ処理するだけでは行えない、放電ガスの吹き出し口近辺から離れた個所までムラなく均一な表面処理が可能であり、且つ、微細で複雑な内部空間を有する被処理物の細孔内部についても均一で、ムラのない表面処理を行うことが出来る表面処理方法を提供し、また、それを用いて作製したインクジェットプリンタ用ヘッドはインク流路内の親水化処理が入口から内部まで均一にムラなく行われる為に、インク流路に気泡排出性(インクによる置換)が極めて良好な性能を示すことがわかった。また、本発明の表面処理方法は表面処理が短時間で均一且つ、ムラなく行われる為に、生産性向上の観点からも優れていることが判る。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0046】
実施例1
《表面処理試料の作製》
放電処理装置として、図1に示すような吹き出し型プラズマ装置(平行平板型)を用い、放電ガスの流入口とガス排出口を配した反応容器内に高分子フィルムサンプル(ポリエチレンテレフタレート)をセットし、前記高分子フィルムサンプル表面に放電ガスを吹き付けて親水化処理し、表面処理試料1を作製した。次いで、図5に記載のように接地電極を高分子フィルムサンプルに配置した以外は、同様にして表面処理試料2を作製した。
【0047】
また、図6に記載のように接地電極を高分子フィルムサンプルの裏側の一部分に配置した以外は同様にして、表面処理試料3を作製した。
【0048】
尚、表面処理時に接地電極を配置する時は、前記の高分子フィルムサンプルのもう片方の面(放電ガスに被爆する面の反対側の面を表す)に絶縁物(パイレックスガラス:厚み0.5mm)で表面被覆処理した接地電極を配置した。
【0049】
処理条件:平行平板型プラズマジェット装置
電極面積 :50mm×100mm
放電ギャップ :2mm
誘電体(厚さ1mm):アルミナセラミック(比誘電率≒9〜10)
ガス種及び流量 :He(1L/分)+O2(0.05L/分)
処理室内圧力(P) :0.103MPa
放電出力300W/印加電圧6〜7kV/電源周波数5kHz
プラズマ処理時間 :5sec
上記に記載の放電処理装置を用いて表面処理した結果は下記のような水の接触角を測定して、親水化処理の程度を4段階のランク評価を行った。接触角の測定はDAT接触角測定器(FIBLO社製(スウェーデン))を用いて行った。
【0050】
評価ランクの詳細は以下の通りである。
◎:改質効果は十分。(目安:水接触角20°未満)
○:改質効果あるが、少しばらつきがある。(水接触角20°以上40°未満)
△:改質効果あるが、不十分。(水接触角40°〜60°)
×:改質効果がほとんどない。(水接触角60°をこえる)
得られた結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004284861
【0052】
表1から、接地電極を配置していない比較の試料と比べて、ポイントa1〜a7の反対面側に接地電極を配置した本発明の試料2はa1〜a7まで十分な改質効果を示すことがわかる。また、また、本発明の試料3は、接地電極Bを配置した反対面上のポイントa4〜a7のみを選択的に且つ、十分な改質効果を持たせるように処理し、且つ、接地電極Bが配置されていないポイントa1〜a3については、実質的に表面処理されない状態のまま残っていることが明らかである。
【0053】
実施例2
《インクジェットプリンタ用ヘッドのインク流路の親水化処理試料の作製》
(試料1の作製)
特開2000−71451号に準じ、図7に記載のようなインクジェットヘッドを作製した。即ち、チタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電性セラミック基板上に、ダイシングソーによりインク流路となる貫通した微細な溝を下記I型のように形成したインクジェットヘッド圧電セラミック基板を作製した。
【0054】
I型 :105μm間隔
1流路のサイズ :105μm×420μm×7mm(流路長さ)
ノズルプレートの開口径:43μm
流路数 :64個
次いで、圧電セラミック基板にアルミニウム電極を蒸着により形成し、更に研磨加工し溝内部に電極を残した。これらの基板、およびチタン酸ジルコン酸鉛からなる圧電素子カバーに、電極を被覆保護し、かつ絶縁性を保持するためにパリレンC(スリーボンド株式会社より入手した)を用いてCVD法にて3μmのパリレン膜からなる電極保護膜を形成した。
【0055】
更にチタン酸ジルコン酸鉛からなるカバーをエポキシ接着剤にて接着しインク流路を形成した後、開口径φ43μmのポリイミド樹脂製ノズルプレートを実装しインクヘッドとした。
【0056】
このパリレン膜は疎水性のため、親水性であるインクは濡れ性がわるく、パリレン表面のままではインク流路表面を完全にインクで置換することができない。その為、親水化処理を施し、パリレン表面を親水化させてインクの濡れ性を向上させ、流路表面をインクで置換しやすくする。
【0057】
該インクヘッドI型につき、
図7に示すようなインク流路の放電用ガス導入口側に、放電用ガス導入管および該導入管の外側に配置された表面に誘電体が配設された電極からなる導入装置、およびインク流路のガス排出口(ノズルプレート側)には5mmの距離を置いて対向するように電極表面に誘電体を配設した接地電極からなる表面処理装置を用いてインク流路内部表面のプラズマ処理し、親水化効果並びに圧電性セラミックの分極特性への影響(ダメージ)を調べることにより、本発明の効果を確認することとした。尚放電用ガス導入管はパイレックスガラス(厚さ1mm)管をインクジェットヘッド試料の64個のインク流路の全てをカバーできるように加工し、ステンレス電極を導入口の反対側に配置したものを、放電用ガスが漏れないように試料のガス導入口に密着させ用いた。対極となる電極はやはり厚み1mmのパイレックスガラスをステンレス表面に配設したものである。
【0058】
表面処理(プラズマ処理)条件は下記のように設定した。
(電源) :50kHz高周波電源(神鋼電機製)
(ガス) :He;0.95L/min、酸素;0.05L/min
(放電条件) :印加電圧6kV、放電出力800W
(電極誘電体):パイレックスガラス(厚み1mm)
(環境条件) :大気圧近傍(101.32±10.13kPa)、気温25℃に設定
インク流路の改質(親水化処理)効果の確認は、インク流路に水を供給し、顕微鏡により流路内壁に残る気泡を目視観察し、処理が十分であれば気泡は全くなく、不十分であれば流路壁面及びノズルプレート裏面付近に気泡が付着して残るので、評価は気泡無し、気泡多いの2ランクで行った。
【0059】
試料 表面処理条件(放電処理の有無) 目視観察 備考
1 プラズマ未処理 気泡多い 比較例
2 プラズマ処理有り、接地電極無し 気泡多い 比較例
3 プラズマ処理有り、接地電極有り 気泡無し 本発明
上記から、比較の試料に比べて、ムラなく、しかも均一に親水化処理が行われているので気泡が著しく減少していることが明らかである。
【0060】
【発明の効果】
本発明により、ムラがなく、且つ、複雑形状を有する被処理物の処理が可能であり、処理効率の大幅な向上、処理時間の短縮或いは放電出力の低減を可能にし、被処理物の処理によるダメージ低減を可能にし、その結果、生産性の大幅な向上、具体的には高速処理化、省エネ・低ランニングコスト化によるコストダウン、高品質表面処理を可能にする表面処理方法、それを用いるインクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法、インクジェットプリンタ用ヘッド及び表面処理装置を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理方法に用いられる平行平板型の放電処理装置の一形態を示す図である。
【図2】本発明の表面処理方法に用いられる、放電ガス発生空間に高圧電極を配置したバンド型の放電処理装置の一形態を示す図である。
【図3】本発明の表面表面処理方法に用いられるトーチ型の放電処理装置の一形態を示す図である。
【図4】本発明の表面処理方法に用いられる、高圧電極とそれに対向する接地電極が各々、弦巻型に配置されている放電処理装置の一形態を示す図である。
【図5】本発明の表面処理方法を実施する一形態を示す図である。
【図6】本発明の表面処理方法を実施する別の一形態を示す図である。
【図7】本発明の表面処理方法をインクジェットプリンタ用ヘッドに施している一形態を示す図である。
【図8】本発明の表面処理方法をインクジェットプリンタ用ヘッドに施している別の一形態を示す図である。
【符号の説明】
1 高圧電極
A 接地電極
3 誘電体
4 放電ガス
5a ガス流入口
5b ガス吹き出し口
5c ガス排出口
6 被処理物
B 接地電極
G 接地
7 保護膜
8 インク流路
9 被処理物
9a ガス排出口
9c ガス排出経路
11 誘電体
12 誘電体
13 高周波電源

Claims (4)

  1. 大気圧または、その近傍の圧力下、各々の電極表面に誘電体(絶縁体ともいう)を被覆または対向するように配置した高圧電極と接地電極Aとの間に形成される放電空間を有する放電部を有し、該放電部の一方の側に設けたガス流入口から該放電空間に放電用ガスを導入し、前記高圧電極と前記接地電極A間に通電して、前記放電空間内で前記放電用ガスの存在下に放電を行い、放電ガスを発生させ、前記放電空間を通過して前記放電部の他方の側に設けられた吹き出し口より吹き出した前記放電ガスを用いて被処理物の表面を処理する表面処理方法において、
    前記被処理物が直接または間接的に接するように接地電極Bを配置する、或いは前記被処理物の表面処理後の前記放電ガスの流れる方向に該接地電極Bを配置することを特徴とする表面処理方法。
  2. 接地電極Bの表面に誘電体が被覆または配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 高分子で被覆された被処理物の表面を改質することを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理方法。
  4. インク流路が設けられている圧電セラミックを有するインクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法において、該インク流路の内部が請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理方法を用いて親水化処理することを特徴とするインクジェットプリンタ用ヘッドの製造方法。
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