JP4284696B2 - セメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、SEC工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート中の細骨材や粗骨材の表面を水セメント比の小さいセメントペーストで造殻することで、セメントの分散性を高め、ひいてはコンクリートの品質と耐久性を高めることができるSEC(Sand Enveloped with Cement、登録商標)工法(以下、SEC工法をセメント造殻方法と呼ぶ)が知られている。
【0003】
かかるセメント造殻方法は、コンクリートの混練工程が一次練り工程と二次練り工程に分かれており、一次練り工程では、骨材に一次水とセメントとを加えて混練する。
【0004】
このようにすると、骨材の周囲にセメントペーストが付着し造殻されることとなる。
【0005】
次に、造殻された骨材に二次水を加えて二次混練を行う。
【0006】
かかる二段階の混練工程により、セメントの分散性が向上しコンクリートの品質を高めることが可能となる。
【0007】
ところで、セメント造殻方法の実効化を図るには、一次練りにおける一次水を正確に計量することが必要となるが、骨材は、その貯蔵状況や気候条件等によって含水状態が異なり、湿潤状態の骨材を用いるとコンクリート中の水量が骨材の表面水の量だけ増加し、乾燥状態の骨材を用いるとコンクリート中の水量は有効吸水量だけ減少する。すなわち、一次練りにおける一次水を計量するにあたっては、骨材の湿潤状態を考慮しなければならない。
【0008】
【非特許文献1】
アイザワコンクリート、[online]、[平成15年4月24日検索]、インターネット<URL : http://www.aizawa-group.co.jp/news/sec.html>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、骨材の湿潤状態を評価する指標である表面水率は、従来、細骨材が貯蔵されたストックビンと呼ばれる貯蔵容器から少量の試料を採取してその質量及び絶乾状態での質量を計測し、次いで、これらの計測値と予め測定された表乾状態の吸水率とを用いて算出していた。
【0010】
しかしながら、このような測定方法では、絶乾状態の質量を計測するのにバーナー等による加熱作業が必要となるため、経済性や時間の面で非現実的であるという問題を生じていた。
【0011】
また、このような問題を補うべく、練混ぜ状況をオペレータが目視で確認したり、ミキサの負荷電流を参考にすることによって練混ぜ水量の調整を行うといった方法を採用することがあるが、かかる方法自体が精度の低いものであり、結局、強度面で20%近い大きな安全率を見込まざるを得なくなり、不経済な配合となるという問題も生じていた。
【0012】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、セメント造殻方法において一次練りにおける一次水を正確に計量可能なセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法は請求項1に記載したように、セメント、骨材及び一次水を一次混練し、次いで、一次混練された一次混練物に二次水を加えて二次混練を行うセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法において、
前記一次水の質量を、前記セメント及び前記骨材の質量並びにそれらの拘束水率を用いて単位容量あたりの質量Mw1として決定し、
次いで、Mw1を用いて以下の式、すなわち、
Mws=N・(Mw1―Ms・βmax)―Mwx (1)
ここで、N ;混練ぜ容量
Ms ;示方配合に示された骨材の質量(単位容量あたり)
Mwx ;洗浄水の質量
βmax ;想定される最大表面水率
(表面水率 ;表面水の質量/表乾状態における骨材の質量)
から水浸計量水の質量Mwsを算出し、
次いで、Mwsを用いて以下の式、すなわち、
Mss=ρs・(Mws/ρw)・αmax・(1+βmin)
/(1―αmax・(1+(ρs/ρw)・βmin)) (2)
ここで、βmin;想定される最小表面水率
ρs ;表乾状態における前記骨材の密度
ρw ;水の密度
αmax;水浸骨材計量の際に想定される最大充填率
から水浸計量用骨材の質量Mssを算出し、
次いで、前記水浸計量用骨材を骨材貯留手段から分取するとともに該水浸計量用骨材を前記水浸計量水とともに所定の容器に入れて水浸骨材とし、
次いで、前記水浸骨材の容量Vsubを計測し、
次いで、前記Mws及び前記容量Vsubを用いて以下の式、すなわち、
βs=(Vsub―Mws/ρw―Mss/ρs)
/(Mss/ρw―Vsub+Mws/ρw) (3)
から前記水浸計量用骨材の表面水率βsを算出し、
次いで、算出された表面水率βsを用いて以下の式、すなわち、
ΔMw1=N・(Mw1―Ms・βs)―Mwx―Mws (4)
から補正水の質量ΔMw1を算出する一方、
以下の式、すなわち、
Msw=N・Ms・(1+βmin)―Mss (5)
から通常計量用骨材の質量Mswを算出するとともに該通常計量用骨材を前記骨材貯留手段から取り出し、
次いで、Mswを用いて以下の式、すなわち、
ΔMs=N・Ms・(1+βs)―Mss―Msw (6)
から補正骨材の質量ΔMsを算出し、
次いで、前記水浸骨材、前記通常計量用骨材、前記セメント、前記補正水及び前記補正骨材を混練手段内に投入するとともに前記容器内を前記洗浄水で洗浄して洗浄後の処理水及びそれに含まれる骨材を前記混練手段に投入し、
次いで、前記混練手段を作動させて一次混練するものである。
【0014】
また、本発明に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法は請求項2に記載したように、セメント、骨材及び一次水を一次混練し、次いで、一次混練された一次混練物に二次水を加えて二次混練を行うセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法において、
前記一次水の質量を、前記セメント及び前記骨材の質量並びにそれらの拘束水率を用いて単位容量あたりの質量Mw1として決定し、
次いで、Mwlを用いて以下の式、すなわち、
Mws′≦N・(Mw1―Ms・βmax)―Mwx (1′)
ここで、N ;混練ぜ容量
Ms ;示方配合に示された骨材の質量(単位容量あたり)
Mwx ;洗浄水の質量
βmax ;想定される最大表面水率
(表面水率 ;表面水の質量/表乾状態における骨材の質量)
を満たす水浸計量水の質量Mws′を任意に定めるとともに、該水浸計量水を使って水浸骨材とするための水浸計量用骨材の質量Mss′を任意に定め、
次いで、前記水浸計量用骨材を骨材貯留手段から分取するとともに該水浸計量用骨材を前記水浸計量水とともに所定の容器に入れて水浸骨材とし、
次いで、前記水浸骨材の容量Vsub′を計測し、
次いで、前記Mws′及び前記容量Vsub′を用いて以下の式、すなわち、
βs′=(Vsub′―Mws′/ρw―Mss′/ρs)
/(Mss′/ρw―Vsub′+Mws′/ρw) (3′)
ここで、ρs ;表乾状態における前記骨材の密度
ρw ;水の密度
から前記水浸計量用骨材の表面水率βs′を算出し、
次いで、算出された表面水率βs′を用いて以下の式、すなわち、
ΔMw1′=N・(Mw1―Ms・βs′)―Mwx―Mws′ (4′)
から補正水の質量ΔMw1′を算出する一方、
以下の式、すなわち、
Msw′=N・Ms―Mss′ (5′)
から通常計量用骨材の質量Msw′を算出するとともに該通常計量用骨材を前記骨材貯留手段から取り出し、
次いで、Msw′を用いて以下の式、すなわち、
ΔMs′=N・Ms・(1+βs′)―Mss′―Msw′ (6′)
から補正骨材の質量ΔMs′を算出し、
次いで、前記水浸骨材、前記通常計量用骨材、前記セメント、前記補正水及び前記補正骨材を混練手段内に投入するとともに前記容器内を前記洗浄水で洗浄して洗浄後の処理水及びそれに含まれる骨材を前記混練手段に投入し、
次いで、前記混練手段を作動させて一次混練するものである。
【0015】
請求項1の発明に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法においては、まず一次水の質量を、セメント及び骨材の質量並びにそれらの拘束水率を用いて単位容量あたりの質量Mw1として決定する。
【0016】
次に、Mw1を用いて以下の式、すなわち、
Mws=N・(Mw1―Ms・βmax)―Mwx (1)
ここで、N ;混練ぜ容量
Ms ;示方配合に示された骨材の質量(単位容量あたり)
Mwx ;洗浄水の質量
βmax ;想定される最大表面水率
(表面水率 ;表面水の質量/表乾状態における骨材の質量)
から水浸計量水の質量Mwsを算出する。
【0017】
骨材は、粗骨材を排除するものではないが、本発明では、表面水のばらつきが大きい細骨材を主として対象とする。その場合には、Msは、単位容量、例えば1m3のコンクリートに必要な混練材料として示方配合に示された細骨材の質量となる。
【0018】
以下の説明では、骨材を細骨材として説明する。
【0019】
洗浄水は、水浸方式による計量後、水浸骨材が収容されていた容器の内面に付着残留している骨材を洗い流して混練手段に確実に投入するために必要となるものである。
【0020】
なお、洗浄水の質量が単位容量あたりの質量Mwx′として把握されている場合には、Mwx=N・Mwx′とすればよい。
【0021】
ここで、セメント造殻工法においては、セメントや細骨材の質量及びそれらの拘束水率によって一次混練に使用する一次水の質量が一義的に決定されるため、一次混練時における水量は、そのように決定された一次水の質量に一致させる必要がある。そして、一致しない場合の水量補正の仕方としては、余剰水を取り除くよりも、不足水を補充する方が精度上あるいは作業上、望ましい。
【0022】
したがって、水浸計量水の質量Mwsを決定するにあたっては、後工程における水量補正が不足水を補充する水量補正となるようにしなければならない。骨材の湿潤状態を最大の表面水率と想定するのはそのためである。
【0023】
なお、表面水率は、一般的には3%、6%というように百分率で表記されることが多いが、本発明においては、式を簡素化するため、%表示ではなく、表乾状態における骨材の質量に対する表面水の質量の比率、すなわち、0.03、0.06と定義する。
【0024】
ここで、セメント造殻工法とは、従来技術の欄でも定義したようにコンクリート中の細骨材や粗骨材の表面を水セメント比の小さいセメントペーストで造殻する工法をいうものであって、いわゆるSEC(Sand Enveloped with Cement、登録商標)工法を指す。
【0025】
次に、Mwsを用いて以下の式、すなわち、
Mss=ρs・(Mws/ρw)・αmax・(1+βmin)
/(1―αmax・(1+(ρs/ρw)・βmin)) (2)
ここで、βmin;想定される最小表面水率
ρs ;表乾状態における前記骨材の密度
ρw ;水の密度
αmax;水浸骨材計量の際に想定される最大充填率
から水浸計量用骨材の質量Mssを算出する。
【0026】
(2)式は以下のように導くことができる。
【0027】
まず、上述したように水浸計量を行う場合における充填率(細骨材容量/全容量)を最大値として考える。これは、細骨材が完全に水没した状態のものが水浸骨材であるため、細骨材が水の表面から突出しない状態を充填率の限界と考えるべきだからである。
【0028】
この場合、水浸状態における砂と水の比率は、Mssを未知数として以下の関係が成り立つ。ここで、Mssが湿潤砂であることに注意する。
【0029】
この比率関係をMssについて解けば、(2)式を導くことができる。
【0030】
ここで、Mss/(1+β)が骨材の表乾質量、Mss・β/(1+β)が骨材の表面水質量であることは言うまでもないが、後工程において不足水を補充する水量補正となるようにするには、表面水率βが小さく水浸骨材中の骨材割合が高いと想定した方が都合がよい。
【0031】
そのため、水浸計量用骨材の質量Mssを算出する場合における細骨材の表面水率βは、(2)式に示すように最小表面水率βminとしてある。
【0032】
次に、質量Mssの水浸計量用骨材を骨材貯留手段から分取するとともに、該水浸計量用骨材を質量Mwsの水浸計量水とともに所定の容器に入れ、水浸骨材とする。
【0033】
次に、水浸骨材の容量Vsubを計測する。
【0034】
容器は、上述した水浸計量用骨材と水浸計量水とを水浸骨材として収容することが可能でかつ、その水浸骨材の容量を計測できるものであればどのような容器でもよい。
【0035】
また、水浸骨材の容量Vsubを計測する手段についても任意であるが、例えば、水浸骨材の液位を計測する液位計測手段、具体的には電極式変位センサを用いることができる。
【0036】
次に、Mws及び容量Vsubを用いて以下の式、すなわち、
から水浸計量用骨材の表面水率βsを算出する。
【0037】
(3)式は以下のように導くことができる。
【0038】
すなわち、水浸計量用骨材の質量Mssに対する容量と水浸計量水の質量Mwsに対する容量の合計が水浸骨材の容量Vsubになるので、βsを未知数として、以下の式が成り立つ。
Mss/(1+βs)/ρs+(Mss・βs/(1+βs)+Mws)/ρw=Vsub
【0039】
これをβsについて解けば、(3)式を導くことができる。
【0040】
次に、算出された表面水率βsを用いて以下の式、すなわち、
ΔMw1=N・(Mw1―Ms・βs)―Mwx―Mws (4)
から補正水の質量ΔMw1を算出する。
【0041】
なお、洗浄水の質量が単位容量あたりの質量Mwx′として把握されている場合には、Mwx=N・Mwx′とすればよい。
【0042】
一方、以下の式、すなわち、
Msw=N・Ms・(1+βmin)―Mss (5)
から通常計量用骨材の質量Mswを算出するとともに、該通常計量用骨材を骨材貯留手段から取り出す。
【0043】
次に、Mswを用いて以下の式、すなわち、
ΔMs=N・Ms・(1+βs)―Mss―Msw (6)
から補正骨材の質量ΔMsを算出する。
【0044】
次に、水浸骨材、通常計量用骨材、セメント、補正水及び補正骨材を混練手段内に投入するとともに、上述した容器内を洗浄水で洗浄し、洗浄後の処理水及びそれに含まれる骨材を混練手段に投入する。
【0045】
次に、混練手段を作動させて一次混練する。
【0046】
請求項2の発明に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法においては、まず一次水の質量を、セメント及び骨材の質量並びにそれらの拘束水率を用いて単位容量あたりの質量Mw1として決定する。
【0047】
次に、Mwlを用いて以下の式、すなわち、
Mws′≦N・(Mw1―Ms・βmax)―Mwx (1′)
ここで、N ;混練ぜ容量
Ms ;示方配合に示された骨材の質量(単位容量あたり)
Mwx ;洗浄水の質量
βmax ;想定される最大表面水率
(表面水率 ;表面水の質量/表乾状態における骨材の質量)
を満たす水浸計量水の質量Mws′を任意に定める。
【0048】
ここで、セメント造殻工法においては、セメントや細骨材の質量及びそれらの拘束水率によって一次混練に使用する一次水の質量が一義的に決定されるため、一次混練時における水量は、そのように決定された一次水の質量に一致させる必要がある。そして、一致しない場合の水量補正の仕方としては、余剰水を取り除くよりも、不足水を補充する方が精度上あるいは作業上、望ましい。
【0049】
したがって、水浸計量水の質量Mws′を決定するにあたっては、後工程における水量補正が不足水を補充する水量補正となるようにしなければならない。骨材の湿潤状態を最大の表面水率と想定するのはそのためである。
【0050】
それゆえ、(1′)を満たすように水浸計量水の質量Mws′を定めれば、後工程における水量補正が余剰水の除去になるおそれはない。
【0051】
なお、骨材、洗浄水、表面水率の表記に関する説明は請求項1の発明と同様であり、以下の説明では骨材を細骨材として説明する。また、上述したように、洗浄水の質量が単位容量あたりの質量Mwx′として把握されている場合には、Mwx=N・Mwx′とすればよい。
【0052】
次に、上述の水浸計量水を使って水浸骨材とするための水浸計量用骨材の質量Mss′を任意に定める。
【0053】
水浸計量用骨材の質量は、該水浸計量用骨材が上述の水浸計量水に完全に水没ように適宜定めればよい。
【0054】
次に、質量Mss′の水浸計量用骨材を骨材貯留手段から分取するとともに、該水浸計量用骨材を質量Mws′の水浸計量水とともに所定の容器に入れ、水浸骨材とする。
【0055】
次に、水浸骨材の容量Vsub′を計測する。
【0056】
なお、水浸骨材を収容する容器や水浸骨材の容量Vsubを計測する手段については、請求項1と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0057】
次に、Mws′及び容量Vsub′を用いて以下の式、すなわち、
ここで、ρs ;表乾状態における前記骨材の密度
ρw ;水の密度
から水浸計量用骨材の表面水率βs′を算出する。なお、(3′)の導き方は(3)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0058】
次に、算出された表面水率βs′を用いて以下の式、すなわち、
ΔMw1′=N・(Mw1―Ms・βs′)―Mwx―Mws′ (4′)
から補正水の質量ΔMw1′を算出する。
【0059】
なお、洗浄水の質量が単位容量あたりの質量Mwx′として把握されている場合には、Mwx=N・Mwx′とすればよい。
【0060】
一方、以下の式、すなわち、
Msw′=N・Ms―Mss′ (5′)
から通常計量用骨材の質量Msw′を算出する。なお、水浸計量用骨材の質量を定めるにあたり、上述したように表面水率を考慮せずに一定にしたと同様、ここでも表面水率は考慮しないが、後工程において表面水率を考慮して骨材量を補正するので問題とはならない。
【0061】
つまり、請求項1に係る発明では、表面水率を想定しながら水浸計量水や水浸計量用骨材を算出したが、その場合には、骨材が変わるごとにそれらの値が大きく変動するとともにそれに伴って水浸骨材の容量も大きく変動し、その結果、容量の異なる複数の容器を準備しなければならなくなる懸念がある。
【0062】
それに対し、請求項2に係る発明では、常に同じ容器を使用することの作業性の便宜を優先すべく、水浸計量水及び水浸計量用骨材の各質量を一定にした。
【0063】
このようにすれば、水浸計量用骨材の表面水率の影響で水浸骨材の容量に変動はあるものの、その変動は、容器を変えずとも対応することが可能となる。
【0064】
次に、質量Msw′の通常計量用骨材を骨材貯留手段から取り出す。
【0065】
次に、Msw′を用いて以下の式、すなわち、
ΔMs′=N・Ms・(1+βs′)―Mss′―Msw′ (6′)
から補正骨材の質量ΔMs′を算出する。
【0066】
次に、水浸骨材、通常計量用骨材、セメント、補正水及び補正骨材を混練手段内に投入するとともに、上述した容器内を洗浄水で洗浄し、洗浄後の処理水及びそれに含まれる骨材を混練手段に投入する。
【0067】
次に、混練手段を作動させて一次混練する。
【0068】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
(第1実施形態)
【0070】
図1は、本実施形態に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法の手順を示したフローチャートである。同図でわかるように、本実施形態に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法においては、その一次混練工程において、まず、公知のセメント造殻工法に従って単位容量あたりの一次水の質量Mw1を算出する(ステップ101)。
【0071】
次に、Mw1を用いて以下の式、すなわち、
Mws=N・(Mw1―Ms・βmax)―Mwx (1)
ここで、N ;混練ぜ容量
Ms ;示方配合に示された細骨材の質量(単位容量あたり)
Mwx ;洗浄水の質量
βmax ;想定される最大表面水率
(表面水率 ;表面水の質量/表乾状態における細骨材の質量)
から水浸計量水の質量Mwsを算出する(ステップ102)。
【0072】
次に、Mwsを用いて以下の式、すなわち、
ここで、βmin;想定される最小表面水率
ρs ;表乾状態における細骨材の密度
ρw ;水の密度
αmax;水浸骨材計量の際に想定される最大充填率
から水浸計量用骨材の質量Mssを算出する(ステップ103)。
【0073】
次に、質量Mssの水浸計量用骨材を骨材貯留手段である細骨材貯留ビンから分取するとともに、該水浸計量用骨材を質量Mwsの水浸計量水とともに所定の容器に入れ、水浸骨材とする。本実施形態では、骨材が細骨材であるので、水浸細骨材ともいえる。
【0074】
次に、電極式変位センサ等を用いて水浸骨材の容量Vsubを計測する(ステップ104)。
【0075】
次に、Mws及び容量Vsubを用いて以下の式、すなわち、
から水浸計量用骨材の表面水率βsを算出する(ステップ105)。
【0076】
次に、算出された表面水率βsを用いて以下の式、すなわち、
ΔMw1=N・(Mw1―Ms・βs)―Mwx―Mws (4)
から補正水の質量ΔMw1を算出する(ステップ106)。
【0077】
一方、以下の式、すなわち、
Msw=N・Ms・(1+βmin)―Mss (5)
から通常計量用骨材の質量Mswを算出するとともに、該通常計量用骨材を骨材貯留手段から取り出す(ステップ107)。
【0078】
次に、Mswを用いて以下の式、すなわち、
ΔMs=N・Ms・(1+βs)―Mss―Msw (6)
から補正骨材の質量ΔMsを算出する(ステップ108)。
【0079】
次に、水浸骨材、通常計量用骨材、セメント、補正水及び補正骨材を混練手段内に投入するとともに、上述した容器内を洗浄水で洗浄し、洗浄後の処理水及びそれに含まれる細骨材を混練手段に投入する(ステップ109)。
【0080】
次に、混練手段を作動させて一次混練する(ステップ110)。
【0081】
なお、二次混練における二次水の計量については、公知のセメント造殻工法にしたがって行えばよい。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法によれば、一次混練における一次水及び細骨材を計量するにあたり、細骨材の一部を分取し、該分取された細骨材を水浸方式で計量することで正確な表面水率を算出し、次いで、該表面水率を用いて補正水及び補正骨材を算出するようにしたので、一次水は、細骨材の表面水が考慮された形で正確に計量されることとなる。
【0083】
したがって、セメント造殻工法の一次混練において一次水の計量の精度が向上し、セメントの分散性が高くなり均質なコンクリートを製造することができるというセメント造殻工法の作用効果をさらに高めることが可能となる。
【0084】
【実施例】
上述の実施形態にしたがってセメント造殻工法における一次混練の計量を行う具体的手順の一例を以下に説明する。
【0085】
セメント造殻工法を用いて製造するコンクリートの示方配合を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
まず、セメント造殻工法に従い、セメントの拘束水率Xcを24%、細骨材の拘束水率Xsを2.94%とし、単位容量あたりの一次水の質量Mw1を以下のように算出する。
【0088】
次に、βmaxを0.1、洗浄水を5kgとし、(1)式により以下のようにMwsを算出する。
【0089】
次に、αmaxを0.5、βminを0とし、(2)式により以下のようにMssを算出する。
Mss=ρs・(Mws/ρw)・αmax・(1+βmin)
/(1―αmax・(1+(ρs/ρw)・βmin))
=2.62×33.8×0.5×(1+0)/(1-0.5)
=88.6 kg
【0090】
次に、質量Mssの水浸計量用骨材を細骨材貯留ビンから分取するとともに、該水浸計量用骨材を質量Mwsの水浸計量水とともに所定の容器に入れ、水浸骨材とする。
【0091】
次に、水浸骨材の容量Vsubを計測し、その計測結果を用いて(3)式で表面水率βsを算出するが、ここでは算出結果が0.05であったと仮定し、次に、(4)式から以下のように補正水の質量ΔMw1を算出する。
【0092】
一方、通常計量用骨材の質量Mswを、表面水率βminを0とし、以下のように(5)式で算出する。
【0093】
次に、補正骨材の質量ΔMsを(6)式を用いて以下のように算出する。
【0094】
ちなみに、二次水Mw2に対する補正水ΔMw2については、単位容量あたりの粗骨材の質量、粗骨材の表面水率βgを0.05、単位容量あたりの混和剤をMadとして、以下のように算出すればよい。
【0095】
(第2実施形態)
【0096】
図2は、本実施形態に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法の手順を示したフローチャートである。同図でわかるように、本実施形態に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法においては、その一次混練工程において、まず、公知のセメント造殻工法に従って単位容量あたりの一次水の質量Mw1を算出する(ステップ111)。
【0097】
次に、Mw1を用いて以下の式、すなわち、
Mws′≦N・(Mw1―Ms・βmax)―Mwx (1′)
ここで、N ;混練ぜ容量
Ms ;示方配合に示された骨材の質量(単位容量あたり)
Mwx ;洗浄水の質量
βmax ;想定される最大表面水率
(表面水率 ;表面水の質量/表乾状態における骨材の質量)
を満たす水浸計量水の質量Mws′を任意に定める(ステップ112)。
【0098】
次に、上述の水浸計量水を使って水浸骨材とするための水浸計量用骨材の質量Mss′を任意に定める(ステップ113)。水浸計量用骨材の質量は、該水浸計量用骨材が上述の水浸計量水に完全に水没ように適宜定めればよい。
【0099】
次に、質量Mss′の水浸計量用骨材を骨材貯留手段である細骨材貯留ビンから分取するとともに、該水浸計量用骨材を質量Mws′の水浸計量水とともに所定の容器に入れ、水浸骨材とする(ステップ114)。
【0100】
次に、水浸骨材の容量Vsub′を計測する(ステップ115)。
【0101】
なお、水浸骨材を収容する容器や水浸骨材の容量Vsub′を計測する手段については、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0102】
次に、Mws′及び容量Vsub′を用いて以下の式、すなわち、
ここで、ρs ;表乾状態における前記骨材の密度
ρw ;水の密度
から水浸計量用骨材の表面水率βs′を算出する(ステップ116)。
【0103】
次に、算出された表面水率βs′を用いて以下の式、すなわち、
ΔMw1′=N・(Mw1―Ms・βs′)―Mwx―Mws′ (4′)
から補正水の質量ΔMw1′を算出する(ステップ117)。
【0104】
一方、以下の式、すなわち、
Msw′=N・Ms―Mss′ (5′)
から通常計量用骨材の質量Msw′を算出するとともに、質量Msw′の通常計量用骨材を細骨材貯留ビンから取り出す(ステップ118)。
【0105】
次に、Msw′を用いて以下の式、すなわち、
ΔMs′=N・Ms・(1+βs′)―Mss′―Msw′ (6′)
から補正骨材の質量ΔMs′を算出する(ステップ119)。
【0106】
次に、水浸骨材、通常計量用骨材、セメント、補正水及び補正骨材を混練手段内に投入するとともに、上述した容器内を洗浄水で洗浄し、洗浄後の処理水及びそれに含まれる骨材を混練手段に投入する(ステップ120)。
【0107】
次に、混練手段を作動させて一次混練する(ステップ121)。
【0108】
なお、二次混練における二次水の計量については、公知のセメント造殻工法にしたがって行えばよい。
【0109】
以上説明したように、本実施形態に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法によれば、一次混練における一次水及び細骨材を計量するにあたり、細骨材の一部を分取し、該分取された細骨材を水浸方式で計量することで正確な表面水率を算出し、次いで、該表面水率を用いて補正水及び補正骨材を算出するようにしたので、一次水は、細骨材の表面水が考慮された形で正確に計量されることとなる。
【0110】
したがって、セメント造殻工法の一次混練において一次水の計量の精度が向上し、セメントの分散性が高くなり均質なコンクリートを製造することができるというセメント造殻工法の作用効果をさらに高めることが可能となる。
【0111】
【実施例】
上述の実施形態にしたがってセメント造殻工法における一次混練の計量を行う具体的手順の一例を以下に説明する。なお、セメント造殻工法を用いて製造するコンクリートの示方配合は表1に示したものと同様である。
【0112】
まず、セメント造殻工法に従い、セメントの拘束水率Xcを24%、細骨材の拘束水率Xsを2.94%とし、単位容量あたりの一次水の質量Mw1を以下のように算出する。
【0113】
次に、βmaxを0.1、洗浄水を5kgとし、(1′)式により以下のようにMws′を定める。すなわち、
となるので、Mws′≦33.8 kgを満たす水浸計量水を25 kgとして定める。
【0114】
次に、 上述の水浸計量水を使って水浸骨材とするための水浸計量用骨材の質量Mss′を50 kgと定める。
【0115】
次に、質量Mss′の水浸計量用骨材を細骨材貯留ビンから分取するとともに、該水浸計量用骨材を質量Mws′の水浸計量水とともに所定の容器に入れ、水浸骨材とする。
【0116】
次に、水浸骨材の容量Vsub′を計測し、その計測結果を用いて(3′)式で表面水率βs′を算出するが、ここでは算出結果が0.05であったと仮定し、次に、(4′)式から以下のように補正水の質量ΔMw1を算出する。
【0117】
一方、通常計量用骨材の質量Msw′を以下のように(5′)式で算出する。
【0118】
次に、補正骨材の質量ΔMs′を(6′)式を用いて以下のように算出する。
【0119】
ちなみに、二次水Mw2′に対する補正水ΔMw2′については、単位容量あたりの粗骨材の質量、粗骨材の表面水率βgを0.05、単位容量あたりの混和剤をMadとして、以下のように算出すればよい。
【0120】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法によれば、一次混練における一次水及び細骨材を計量するにあたり、細骨材の一部を分取し、該分取された細骨材を水浸方式で計量することで正確な表面水率を算出し、次いで、該表面水率を用いて補正水及び補正骨材を算出するようにしたので、一次水は、細骨材の表面水が考慮された形で正確に計量されることとなる。
【0121】
したがって、セメント造殻工法の一次混練において一次水の計量の精度が向上し、セメントの分散性が高くなり均質なコンクリートを製造することができるというセメント造殻工法の作用効果をさらに高めることが可能となる。
【0122】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法のフローチャート。
【図2】第2実施形態に係るセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法のフローチャート。
Claims (2)
- セメント、骨材及び一次水を一次混練し、次いで、一次混練された一次混練物に二次水を加えて二次混練を行うセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法において、
前記一次水の質量を、前記セメント及び前記骨材の質量並びにそれらの拘束水率を用いて単位容量あたりの質量Mw1として決定し、
次いで、Mw1を用いて以下の式、すなわち、
Mws=N・(Mw1―Ms・βmax)―Mwx (1)
ここで、N ;混練ぜ容量
Ms ;示方配合に示された骨材の質量(単位容量あたり)
Mwx ;洗浄水の質量
βmax ;想定される最大表面水率
(表面水率 ;表面水の質量/表乾状態における骨材の質量)
から水浸計量水の質量Mwsを算出し、
次いで、Mwsを用いて以下の式、すなわち、
Mss=ρs・(Mws/ρw)・αmax・(1+βmin)
/(1―αmax・(1+(ρs/ρw)・βmin)) (2)
ここで、βmin;想定される最小表面水率
ρs ;表乾状態における前記骨材の密度
ρw ;水の密度
αmax;水浸骨材計量の際に想定される最大充填率
から水浸計量用骨材の質量Mssを算出し、
次いで、前記水浸計量用骨材を骨材貯留手段から分取するとともに該水浸計量用骨材を前記水浸計量水とともに所定の容器に入れて水浸骨材とし、
次いで、前記水浸骨材の容量Vsubを計測し、
次いで、前記Mws及び前記容量Vsubを用いて以下の式、すなわち、
βs=(Vsub―Mws/ρw―Mss/ρs)
/(Mss/ρw―Vsub+Mws/ρw) (3)
から前記水浸計量用骨材の表面水率βsを算出し、
次いで、算出された表面水率βsを用いて以下の式、すなわち、
ΔMw1=N・(Mw1―Ms・βs)―Mwx―Mws (4)
から補正水の質量ΔMw1を算出する一方、
以下の式、すなわち、
Msw=N・Ms・(1+βmin)―Mss (5)
から通常計量用骨材の質量Mswを算出するとともに該通常計量用骨材を前記骨材貯留手段から取り出し、
次いで、Mswを用いて以下の式、すなわち、
ΔMs=N・Ms・(1+βs)―Mss―Msw (6)
から補正骨材の質量ΔMsを算出し、
次いで、前記水浸骨材、前記通常計量用骨材、前記セメント、前記補正水及び前記補正骨材を混練手段内に投入するとともに前記容器内を前記洗浄水で洗浄して洗浄後の処理水及びそれに含まれる骨材を前記混練手段に投入し、
次いで、前記混練手段を作動させて一次混練することを特徴とするセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法。 - セメント、骨材及び一次水を一次混練し、次いで、一次混練された一次混練物に二次水を加えて二次混練を行うセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法において、
前記一次水の質量を、前記セメント及び前記骨材の質量並びにそれらの拘束水率を用いて単位容量あたりの質量Mw1として決定し、
次いで、Mwlを用いて以下の式、すなわち、
Mws′≦N・(Mw1―Ms・βmax)―Mwx (1′)
ここで、N ;混練ぜ容量
Ms ;示方配合に示された骨材の質量(単位容量あたり)
Mwx ;洗浄水の質量
βmax ;想定される最大表面水率
(表面水率 ;表面水の質量/表乾状態における骨材の質量)
を満たす水浸計量水の質量Mws′を任意に定めるとともに、該水浸計量水を使って水浸骨材とするための水浸計量用骨材の質量Mss′を任意に定め、
次いで、前記水浸計量用骨材を骨材貯留手段から分取するとともに該水浸計量用骨材を前記水浸計量水とともに所定の容器に入れて水浸骨材とし、
次いで、前記水浸骨材の容量Vsub′を計測し、
次いで、前記Mws′及び前記容量Vsub′を用いて以下の式、すなわち、
βs′=(Vsub′―Mws′/ρw―Mss′/ρs)
/(Mss′/ρw―Vsub′+Mws′/ρw) (3′)
ここで、ρs ;表乾状態における前記骨材の密度
ρw ;水の密度
から前記水浸計量用骨材の表面水率βs′を算出し、
次いで、算出された表面水率βs′を用いて以下の式、すなわち、
ΔMw1′=N・(Mw1―Ms・βs′)―Mwx―Mws′ (4′)
から補正水の質量ΔMw1′を算出する一方、
以下の式、すなわち、
Msw′=N・Ms―Mss′ (5′)
から通常計量用骨材の質量Msw′を算出するとともに該通常計量用骨材を前記骨材貯留手段から取り出し、
次いで、Msw′を用いて以下の式、すなわち、
ΔMs′=N・Ms・(1+βs′)―Mss′―Msw′ (6′)
から補正骨材の質量ΔMs′を算出し、
次いで、前記水浸骨材、前記通常計量用骨材、前記セメント、前記補正水及び前記補正骨材を混練手段内に投入するとともに前記容器内を前記洗浄水で洗浄して洗浄後の処理水及びそれに含まれる骨材を前記混練手段に投入し、
次いで、前記混練手段を作動させて一次混練することを特徴とするセメント造殻工法に用いるコンクリート材料の一次混練方法。
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