JP4284549B2 - 光ファイバケーブルおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
calFiber)(以下、場合により「POF」と略称する)に大別される。このうち、プラスチック光ファイバは、石英ガラス光ファイバに比較してコア径が大きく、端末処理等の作業性に優れていることから各種用途が拡大している。特に、断面方向における屈折率に分布を持たせたグレーデッドインデックス(Graded Index)型(屈折
率分布型)プラスチック光ファイバ(以下、場合により「GI−POF」と略称する)は、高速大容量の伝送能力を備えるため、次世代通信における光ファイバとして期待されている。
上記のような光ファイバケーブルまたはコードは、光ファイバと繊維抗張力体との外周に、熱可塑性樹脂を押出し成形して外被チューブを形成している。
ば直径(線径)が1mm未満のGI−POFにポリエチレン等によって1次被覆したジャケットが、高温条件下にさらされると熱収縮するため、GI−POFの表面にマイクロベントが発生する。その結果、光の伝送損失が増加するといった熱的耐久性の問題があった。
本発明の光ファイバケーブルによれば、POFの外周を開裂チューブによって囲み、この開裂チューブの外周に繊維抗張力体を配して、樹脂製の外被チューブで覆うようにしたので、外被チューブを被覆形成する際の熱が開裂チューブによってPOFに伝達されにくくなるので、POFの伝送損失の増大を防ぐことができる。
ーブの内部に空隙を介して収容されているので、POFにマイクロベントが発生することが防止され、マイクロベントによる伝送損失の増加も防ぐことができる。
さらに、POFは開裂チューブで囲まれていて、繊維抗張力体と直接接しないので、繊維抗張力体に含有されている繊維集束剤と、POFとが化学反応して物性劣化が生じることも防止される。
また、前記外被チューブは、アニール処理によって内部の残留応力が除去され、熱による寸法変化が低減されたチューブであることが好ましい。これによれば、外被チューブが熱収縮しにくくなるので、POFのマイクロベントによる伝送損失の増大をより確実に防止することができる。
また、こうして得られた光ファイバケーブルは、POFが開裂チューブの内部に収容され、繊維抗張力体と直接接しないので、繊維抗張力体に含有されている繊維集束剤とPOFとの化学反応による物性劣化を防止することができる。また、POFは開裂チューブの内部に空隙を介して収容されているので、マイクロベントによる伝送損失の増加を防ぐことができる。
ブルを直ちに冷却液槽に浸漬することが好ましい。これによれば、押出し成形された外被チューブを直ちに冷却するので、温度上昇によるPOFの伝送損失の増大をさらに効果的に防ぐことができる。
このプラスチック光ファイバケーブル10は、POF20と、このPOF20の外周を、空隙を介して囲む樹脂製の開裂チューブ30と、この開裂チューブ30の外周に配置された繊維抗張力体40と、この繊維抗張力体40のさらに外周を囲む樹脂製の外被チューブ50とで構成されている。
を用いることが、剛性、柔軟性、繰り返し曲げによる繊維の破断を防止する点から好ましい。
これらの繊維抗張力体40は、一般に集束剤を含んでいる。本発明では、POF20が上記開裂チューブ30に囲まれて、上記繊維抗張力体40に直接接触することが防止されるので、集束剤によるPOF20の劣化を防止できる。
外被チューブ50もアニール処理によって内部の残留応力が除去され、熱による寸法変化が低減されていることが好ましい。このアニール処理は、後述する製造工程の後、光ファイバケーブル10をリールに巻き取っておき、その状態で好ましくは60〜70℃で10〜48時間熱処理をすることによって行なうことができる。光ファイバケーブル10をリールに巻き取ることにより、外被チューブ50はその長さを拘束された状態となる。
また、32は開裂チューブ30のスリット形成前の樹脂チューブの繰り出しリールであり、このリール32から繰り出された樹脂チューブ33が、ガイドリール121,122、123を介してチューブ挿入装置200に導入されている。なお、樹脂チューブ33は、前述したような条件であらかじめアニール処理されていることが好ましい。
さらに、21はPOFの巻取りリールであり、このリール21から繰り出されたPOF20が、ガイドローラ131、132、133を介してチューブ挿入装置200に導入されている。
一方、前記樹脂チューブ33は、支持板211に取付けられたガイドローラ216に導かれ、その上部後方に配置されたカッタ217でスリットを形成されるようになっている。
支持板211の押し込みローラ215の下方には、押し込みローラ215と対向して支持ローラ219が取付けられ、押し込みローラ215と支持ローラ219との間に、上記樹脂チューブ33およびPOF20が導入されるようになっている。
したがって、POF20は、押し込みローラ215の溝215bに案内されて開裂された樹脂チューブ33、すなわち前記開裂チューブ30内に挿入され、この押し込みローラ215と支持ローラ219の間を通過すると、開裂チューブ30で包まれた状態となる。
なお、送りローラ222、支持ローラ219、ガイドローラ216は、図示しない駆動装置により、タイミングベルトを介して、送り方向に同期回転するようになっている。また、前記繊維抗張力体の繊維束42は、チューブ挿入装置200を通ることなく、後述する冷却装置300に直接導入される。
そして、POF20を内包する開裂チューブ30は、上記パイプ312内に挿通されている。この場合、開裂チューブ30を適度に張設することにより、開裂チューブ30がパイプ312の内壁に接触しないようにされている。
なお、箱体310の材質としてはステンレス鋼、アルミニウム等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が好ましく使用される。パイプ312の材質としては銅、真鍮、ステンレス鋼等が好ましく使用される。断熱材としてはウレタンフォーム、スチレンフォーム等が好ましく使用される。
なお、前記繊維抗張力体の繊維束42は、この冷却装置300を通す必要はないが、外被チューブ50を被覆する次の工程において、開裂チューブ30の外周に配置させる必要があるため、図7,8では省略したが、開裂チューブ30の外周を囲むように配置された状態で、冷却装置300内を通過してもよい。
配置されることが好ましい。これは冷却装置300を通過させることにより冷却されたPOF20が、温まることを抑制するためである。具体的には、押出し成形装置400のノズル410のPOF導入部におけるPOF20の冷却温度が、好ましくは5℃以下、より好ましくは−10℃以下となるように調節される。このために冷却装置300の導出部からノズル410のPOF導入部までの、POF20の通過時間(冷却装置300の導出部からノズル410のPOF導入部までの距離をPOF20の送り速度で除した値)は2秒以下が好ましく、1秒以下が特に好ましい。この押出し成形装置400のノズル410は、図9に示すように、中心筒420と、この中心筒420の外周に所定の間隙421を設けて配置された外筒430とを有している。
このとき、溶融した熱可塑性樹脂の熱が繊維抗張力体40に伝達されるが、POF20は、開裂チューブ30内に配置されているので、上記熱がPOF20に伝わりにくくなる。また、POF20は、あらかじめ冷却装置300で冷却されているので、多少の熱が伝わっても、過度の温度上昇を防ぎ、伝送損失の増大を防ぐことができる。
なお、光ファイバケーブル10を形成する際には、後述する引き取り機600の引き取り速度、チューブ挿入装置200の送り速度、POF20及び開裂チューブ30の繰り出しロール21,32の繰り出し速度がそれぞれ同じ速度となるように、各装置を電気的に連動制御することが望ましい。
こうして形成された光ファイバケーブル10は、図示しない巻取りリールに巻き取られて保存される。なお、巻取りリールに巻き取った後、前述したような条件でアニール処理を行なうことにより、外被チューブ50の内部の残留応力を除去し、熱による寸法変化を低減することが好ましい。
この光ファイバケーブル11は、POF20を内包する開裂チューブ30を2本平行に配列し、それらの外周を繊維抗張力体40で囲み、この繊維抗張力体40のさらに外周を外被チューブ50で被覆した構造をなしている。このように、POF20を内包する開裂チューブ30を複数本配置することにより、複数本のPOF20を有するケーブルとすることができる。
この光ファイバケーブル12は、POF20を内包する開裂チューブ30を4本設けて、これらの外周を押えテープ60で結束させている。押えテープ60としては、例えばPETテープ、ポリエステル製不織布、紙、フッ素樹脂テープ等を用いることができる。そして、結束された開裂チューブ30の外周を繊維抗張力体40で囲み、この繊維抗張力体40のさらに外周を外被チューブ50で被覆した構造をなしている。
POF10としては、前記特開平8−5848号公報に記載された方法で製造されたフッ素樹脂製POF(商品名「ルキナ」、旭硝子社製)であって外径0.5mmのものを用いた。開裂チューブ30としては、難燃性ポリオレフィン樹脂(商品名:ANA−9952N、リケンテクノス社製)からなり、外径1.2mm、内径0.9mmのものを用いた。繊維抗張力体40としては、アラミド繊維(1580デニール、4本使用)からなるものを用いた。外被チューブ50は、同じく難燃性ポリオレフィン樹脂(商品名:ANA−9952N、リケンテクノス社製)を用い(成形温度は185℃)、厚さ0.5mm、外径2.6mmとなるように成形した。光ファイバケーブルの製造速度は15m/分とした。冷却装置300は、パイプ312として内径8mm、長さ30cmの銅パイプを用い、POF10の線速は15m/分、滞留時間1.2秒の条件で冷却し、冷却装置300から導出されるPOF20の表面温度が−10℃となるように調節した。
そして、得られた光ファイバケーブル10について、冷熱サイクル試験を実施した。すなわち、高温側保持温度60℃、低温側保持温度−5℃とし、各温度での保持時間及び昇降温時間を2時間とし、これを10サイクル繰り返し、それぞれの温度での伝送損失と、10サイクルの冷熱サイクル後での伝送損失とを、850nmLED光源を用いてパワーメーターで連続的に測定した。この結果を表1に示す。
実施例1において、開裂チューブ30を用いずに、POF10の外周に繊維抗張力体40を直接配置して、光ファイバケーブルを製造した。また、外被チューブ50のアニール処理も行なわなかった。こうして得られた光ファイバケーブルについて、実施例1と同様にして、冷熱サイクルの繰り返しによる伝送損失の測定を行なった。この結果を表1に示す。
また、外被チューブを長さ方向に拘束してアニール処理を行なった実施例1は、外被チューブをフリーな状態でアニール処理を行なった実施例2、および外被チューブのアニール処理を行なわない実施例3に比べて、冷熱サイクルによる伝送損失の増大がさらに低く抑えられた。
また、高温条件下にさらされて開裂チューブが熱収縮したとしても、POFは開裂チューブの内部に空隙を介して収容されているので、POFの表面にマイクロベントが発生す
ることが防止され、マイクロベントによる伝送損失の増加も防ぐことができる。
さらに、POFは開裂チューブで囲まれていて、繊維抗張力体と直接接しないので、繊維抗張力体に含有されている繊維集束剤と、POFとが化学反応して物性劣化が生じることも防止される。
さらにまた、開裂チューブによって光ファイバケーブルの引張り強度や曲げ強度が向上するため、繊維抗張力体として、金属線を用いる必要がなくなり、例えばアラミド繊維のような樹脂繊維や、ガラス繊維のような無機繊維だけで構成することが可能となる。
20:POF(プラスチック光ファイバ)、
30:開裂チューブ、 31:スリット、 33:樹脂チューブ、
40:繊維抗張力体、 50:外被チューブ、
200:チューブ挿入装置、 215:押し込みローラ、
217:カッタ、 218:スリッタ、 300:冷却装置、
400:押出し成形装置、500:冷却槽、600:引き取り機
Claims (6)
- プラスチック製の光ファイバと、軸方向に形成されたスリットにより開裂され、前記光ファイバの外周を、空隙を介して囲む樹脂製の開裂チューブと、この開裂チューブ外周に配置された繊維抗張力体と、この繊維抗張力体のさらに外周を囲む樹脂製の外被チューブとを有し、該開裂チューブが予めアニール処理を施されたものであることを特徴とする光ファイバケーブル。
- 前記外被チューブがアニール処理を施したものである請求項1に記載の光ファイバケーブル。
- 樹脂製のチューブに軸方向にスリットを形成して開裂させ、この開裂部分からプラスチック製の光ファイバを挿入し、こうして得られた光ファイバ入りの開裂チューブの外周に繊維抗張力体を配置しつつ、前記光ファイバ、前記開裂チューブおよび前記繊維抗張力体を押出しダイに挿入して、それらのさらに外周を覆うように外被チューブを押出し成形し、前記開裂チューブとして、アニール処理を施したチューブを用いることを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
- 前記外被チューブを被せて形成した光ファイバケーブルをリールに巻取り、その状態でアニール処理を行なう請求項3に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
- 前記光ファイバを内包する前記開裂チューブを押出しダイに挿入する前に、前記光ファイバおよび前記開裂チューブを冷却する請求項3又は4に記載の光ファイバケーブルの製造方法。
- 前記押出しダイによって前記外被チューブを押出し成形した後、そのケーブルを直ちに冷却液槽に浸漬する請求項3〜5のいずれか1つに記載の光ファイバケーブルの製造方法。
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