本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、簡単な構成により複数の無線タグ通信装置相互間で好適に情報通信を可能とする技術を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、所定の送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じて無線タグから返信される返信信号を受信することでその無線タグとの間で情報の通信を行う無線タグ通信装置と、単数乃至は複数の前記無線タグと、から成る無線通信システムであって、前記無線タグは、伝達先である無線タグ通信装置の識別符号を記憶するための伝達先識別符号格納部を備えた、通信に係る少なくとも1つの識別符号を含む所定のメッセージを記憶するためのメッセージ格納部を複数有するものであり、前記無線タグ通信装置は、その無線タグに、他の特定の無線タグ通信装置へ伝達するための、前記伝達先であるその無線タグ通信装置の識別符号を含む所定のメッセージを書き込むために、その無線タグへ所定の送信信号を送信する送信部を含むものであり、前記無線タグ通信装置は、その送信部により、前記無線タグに書き込まれたメッセージを読み取るためにその無線タグへ所定の読取指令を送信すると共に、前記無線タグに所定のメッセージを書き込むためにその無線タグへ所定の書込指令を送信するものであり、前記無線タグは、前記読取指令の送信元である無線タグ通信装置の識別符号が前記伝達先識別符号格納部に記憶された識別符号と一致する場合には、その読取指令の送信元である無線タグ通信装置宛のメッセージを送信することで、何れかの前記無線タグ通信装置から他の特定の無線タグ通信装置へのメッセージの伝達を行うことを特徴とするものである。
また、前記目的を達成するために、本第2発明の要旨とするところは、前記第1発明の無線通信システムの通信対象である無線タグであって、前記メッセージを記憶するための複数のメッセージ格納部を有することを特徴とするものである。
このように、前記第1発明によれば、前記無線タグは、伝達先である無線タグ通信装置の識別符号を記憶するための伝達先識別符号格納部を備えた、通信に係る少なくとも1つの識別符号を含む所定のメッセージを記憶するためのメッセージ格納部を複数有するものであり、前記無線タグ通信装置は、その無線タグに、他の特定の無線タグ通信装置へ伝達するための、前記伝達先であるその無線タグ通信装置の識別符号を含む所定のメッセージを書き込むために、その無線タグへ所定の送信信号を送信する送信部を含むものであり、前記無線タグ通信装置は、その送信部により、前記無線タグに書き込まれたメッセージを読み取るためにその無線タグへ所定の読取指令を送信すると共に、前記無線タグに所定のメッセージを書き込むためにその無線タグへ所定の書込指令を送信するものであり、前記無線タグは、前記読取指令の送信元である無線タグ通信装置の識別符号が前記伝達先識別符号格納部に記憶された識別符号と一致する場合には、その読取指令の送信元である無線タグ通信装置宛のメッセージを送信することで、何れかの前記無線タグ通信装置から他の特定の無線タグ通信装置へのメッセージの伝達を行うものであることから、中継用の無線タグに他の特定の無線タグ通信装置宛のメッセージを書き込むことで、比較的離れた位置に配設された無線タグ通信装置との間でも通信を行うことができる。すなわち、通常行われる無線タグとの通信に使用されるものと同じ構成により複数の無線タグ通信装置相互間で好適に情報通信を可能とする技術を提供することができる。
ここで、前記第1発明において、好適には、前記メッセージは、伝達元である無線タグ通信装置の識別符号を含むものである。このようにすれば、伝達先の無線タグ通信装置において、伝達元の無線タグ通信装置を知ることができる。
また、好適には、前記送信部は、前記無線タグとの間で情報の通信を行った結果、その無線タグに書き込まれたメッセージに含まれる伝達先である無線タグ通信装置の識別符号が自己の識別符号であった場合には、そのメッセージを消去するためにその無線タグへ所定の消去指令を送信するものである。このようにすれば、前記メッセージの伝達先である無線タグ通信装置にそのメッセージの消去を行わせることで、伝達相手宛の通信を確実に成り立たせることができることに加え、メッセージを消去することで前記無線タグのメッセージ格納部を繰り返し利用することが可能になる。
また、好適には、前記送信部は、前記無線タグとの間で情報の通信を行った結果、その無線タグに書き込まれたメッセージに含まれる伝達元である無線タグ通信装置の識別符号が自己の識別符号であった場合には、そのメッセージを消去するためにその無線タグへの所定の消去指令の送信が許可されるものである。このようにすれば、前記メッセージの伝達元である無線タグ通信装置にメッセージ消去権限を持たせることで、伝達相手宛の通信が成り立たなかった場合のキャンセルが可能とされ、メッセージを消去することで前記無線タグのメッセージ格納部を繰り返し利用することが可能になる。
また、好適には、前記送信部は、前記無線タグとの間で情報の通信を行った結果、その無線タグに書き込まれた他の無線タグ通信装置からのメッセージを正常に受信した場合には、所定の返答情報を含む前記メッセージを書き込むためにその無線タグへ所定の送信信号を送信するものである。このようにすれば、前記メッセージの伝達元である無線タグ通信装置に対して、そのメッセージを正常に受信したことを通知できる。
また、好適には、前記送信部は、周囲の無線タグに対して、その無線タグに書き込まれたメッセージに含まれる伝達先である無線タグ通信装置の識別符号が自己の識別符号であった場合にのみ返信を求めるメッセージ確認指令を送信するものである。このようにすれば、前記メッセージ確認指令を送信し、その指令に対する返信信号を得ることで、自己宛のメッセージを記憶している無線タグを発見することが容易になる。
また、好適には、前記送信部は、周囲の無線タグに対して、所定の時間間隔で前記メッセージ確認指令を繰り返し送信するものである。このようにすれば、前記メッセージ確認指令を一定時間繰り返し送信することで、自己宛のメッセージがあるか否かを時間遅れなく検知できる。
また、好適には、目的とする無線タグ通信装置までの経路情報を備えたものである。このようにすれば、同じ前記無線タグと通信する無線タグ通信装置以外の無線タグ通信装置であっても、目的とする無線タグ通信装置までの通信を、複数の前記無線タグ及び前記無線タグ通信装置を介して、実現することができる。
また、前記第2発明において、好適には、前記メッセージ格納部は、前記伝達元である無線タグ通信装置の識別符号を記憶するための伝達元識別符号格納部を備えたものである。このようにすれば、伝達元である無線タグ通信装置の識別符号を好適に読み出すことができる。
また、好適には、前記消去指令を受信した際、その消去指令の送信元である無線タグ通信装置の識別符号が前記伝達先識別符号格納部に記憶された識別符号と一致する場合には、その識別符号を含むメッセージを消去するものである。このようにすれば、前記メッセージを受信した通信相手のみ、そのメッセージを消去することが可能とされ、伝達相手宛の通信を確実に成り立たせることができる。
また、好適には、前記消去指令を受信した際、その消去指令の送信元である無線タグ通信装置の識別符号が前記伝達元識別符号格納部に記憶された識別符号と一致する場合には、その識別符号を含むメッセージを消去するものである。このようにすれば、前記メッセージの伝達元である無線タグ通信装置にメッセージ消去権限を持たせることで、伝達相手宛の通信が成り立たなかった場合のキャンセルが可能とされる。
また、好適には、前記無線タグ通信装置相互間でのメッセージ伝達に関する所定の中継局識別符号を有するものである。このようにすれば、中継用の無線タグと他の無線タグとの識別が可能とされる。
また、好適には、前記メッセージ確認指令を受信した際、そのメッセージ確認指令の送信元である無線タグ通信装置の識別符号が前記伝達先識別符号格納部に記憶された識別符号と一致する場合には、その識別符号を含むメッセージをその無線タグ通信装置へ返信するものである。このようにすれば、伝達先である無線タグ通信装置にその無線タグ通信装置宛のメッセージを通知することができる。
また、好適には、前記メッセージ確認指令を受信した際、そのメッセージ確認指令の送信元である無線タグ通信装置の識別符号が前記伝達先識別符号格納部に記憶された識別符号と一致する場合には、その中継用の無線タグの無線タグの識別符号をその無線タグ通信装置へ返信するものである。このようにすれば、伝達先である無線タグ通信装置にその無線タグ通信装置宛のメッセージを記憶していることを通知することができる。
また、好適には、隣接する無線タグ通信装置の識別情報を記憶する複数の隣接局識別情報格納部を備えたものである。このようにすれば、中継タグと通信可能な無線タグ通信装置の識別情報を、他の通信可能な無線タグ通信装置が知ることができる。
また、好適には、目的とする無線タグ通信装置までの経路を示す経路情報を格納する経路情報格納部を備えたものである。このようにすれば、目的とする無線タグ通信装置までの通信を、複数の前記無線タグ及び前記無線タグ通信装置を介して、実現することができる。
また、前記第1発明は、好適には、何れかの前記無線タグ通信装置から他の無線タグ通信装置へのメッセージの伝達を中継用の前記無線タグを介して行うものであり、その中継用の無線タグは、その中継用の無線タグが管理すべき無線タグの個数情報を含む他の無線タグの管理情報を記憶するものであり、前記無線タグ通信装置は、その中継用の無線タグに記憶された他の無線タグの管理情報を読み出すものであることから、前記無線タグ通信装置は、特別の通信プロトコルや通信装置等を用いることなく好適に無線タグ通信装置相互間でメッセージの伝達を行うことができる。すなわち、通常行われる無線タグとの通信に使用されるものと同じ構成により複数の無線タグ通信装置相互間で好適に情報通信を可能とする技術を提供することができる。また、前記無線タグを貼り付けた物品等に関して、全ての無線タグとの間で情報の通信を行うことなくそれらの物品の個数を知ることができる。
10、80、90:無線通信システム、12:無線タグ通信装置、14,102:無線タグ、16:DSP、17:送信部、18:基準周波数発生部、20:PLL、22:VCO、24:主搬送波変調部、26:送信信号増幅部、28:アンテナ、29:受信部、30:I相信号変換部、32:Q相信号変換部、34:送受信分離部、36:I相信号BPF、38:I相信号増幅部、40:Q相信号BPF、42:Q相信号増幅部、44:RSSI回路、46:送信信号生成部、48:信号処理部、50:アンテナ部、52:IC回路部、54:整流部、56:電源部、58:クロック抽出部、60:メモリ部、62:変復調部、64:制御部、66:中継局識別符号格納部、68:メッセージ格納部、70:伝達元識別符号格納部、72:伝達先識別符号格納部、82:記憶装置、84:隣接局識別符号格納部、86:経路情報格納部、92:第1工場、94:物品群、96:第2工場、100:搬送車、104:電池(電源装置)
図1は、本発明の一実施例である無線通信システム10を示す図である。この無線通信システム10は、複数(図1では3台)の無線タグ通信装置12a、12b、12c(以下、特に区別しない場合には単に無線タグ通信装置12と称する)と、単数乃至は複数(図1では1つ)の無線タグ14とを備えて構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ通信装置12はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置12から質問波Fc(送信信号)が上記無線タグ14に向けて送信されると、その質問波Fcを受信した上記無線タグ14において所定の情報信号(データ)によりその質問波Fcが変調され、応答波Fr(返信信号)として上記無線タグ通信装置12に向けて返信されることで、その無線タグ通信装置12と無線タグ14との間で情報の通信が行われる。また、本実施例の無線通信システム10は、何れかの無線タグ通信装置12から他の無線タグ通信装置12へのメッセージの伝達を中継用の無線タグ14を介して行うものである。
図2は、上記無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図2に示すように、上記無線タグ通信装置12は、上記無線タグ14に対する情報の読み書きや、中継用の無線タグ14を介した他の無線タグ通信装置12との通信等を実行するためにその無線タグ14との間で情報の通信を行うものであり、所定の送信信号を出力したり、上記無線タグ14からの返信信号を復調する等の信号処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)16と、上記質問波Fcの主搬送波を発生させる基準周波数発生部18と、その基準周波数発生部18により発生させられる基準波とDSP16からの制御信号とに基づいて主搬送波の周波数を設定するPLL(Phase Locked Loop)20と、その主搬送波の周波数をPLL20からの制御電圧に応じて制御するVCO(Voltage Controlled Oscillator)22と、そのVCO22により制御された所定の周波数の主搬送波を所定の制御信号TX‐ASKに基づいて振幅変調して送信信号を生成する主搬送波変調部24と、その主搬送波変調部24から出力される送信信号を所定の制御信号TX‐PWRに基づいて増幅する送信信号増幅部26と、その送信信号増幅部26から出力される送信信号を質問波Fcとして通信対象である無線タグ14に向けて送信すると共に、その質問波Fcに応じてその無線タグ14から返信される応答波Frを受信する送受信共用のアンテナ28と、そのアンテナ28により受信された受信信号を互いに直交するI相信号及びQ相信号に変換するI相信号変換部30及びQ相信号変換部32と、上記送信信号増幅部26から出力される送信信号を上記アンテナ28に供給すると共に、そのアンテナ28により受信された受信信号を上記I相信号変換部30及びQ相信号変換部32に供給する送受信分離部34と、そのI相信号変換部30から出力されるI相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するI相信号BPF(Band Pass Filter)36と、そのI相信号BPF36から出力されるI相信号を増幅するI相信号増幅部38と、上記Q相信号変換部32から出力されるQ相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するQ相信号BPF40と、そのQ相信号BPF40から出力されるQ相信号を増幅するQ相信号増幅部42と、上記I相信号増幅部38及びQ相信号増幅部42から出力されるI相信号及びQ相信号の強度を検出するRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路44とを、備えて構成されている。ここで、上記送受信分離部34としては、サーキュレータ若しくは方向性結合器等が好適に用いられる。
上記DSP16は、CPU、ROM、及びRAM等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータであり、前記アンテナ28から通信対象である無線タグ14に向けて所定の送信信号を送信させるための送信信号生成部46と、その送信信号に応じて前記無線タグ14から返信されて前記アンテナ28により受信された受信信号を処理するための信号処理部48とを、機能的に備えている。なお、前記無線タグ14へ向けた信号の送信に寄与する基準周波数発生部18、PLL20、VCO22、主搬送波変調部24、送信信号増幅部26及び送信信号生成部46から送信部17が構成されると共に、無線タグからの返信信号の受信に寄与するI相信号変換部30、Q相信号変換部32、I相信号BPF36、I相信号増幅部38、Q相信号BPF40、Q相信号増幅部42、RSSI回路44及び信号処理部48から受信部29が構成されている。
図3は、前記無線タグ14の構成を説明する図である。この図3に示すように、前記無線タグ14は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部50と、そのアンテナ部50により受信された信号を処理するためのIC回路部52とを、備えて構成されている。そのIC回路部52は、上記アンテナ部50により受信された質問波Fcを整流する整流部54と、その整流部54により整流された質問波Fcのエネルギを蓄積し、上記IC回路部52の各ブロックに供給するための電源部56と、上記アンテナ部50により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部64に供給するクロック抽出部58と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部60と、上記アンテナ部50に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部62と、上記整流部54、クロック抽出部58、及び変復調部62等を介して前記無線タグ14の作動を制御するための制御部64とを、機能的に含んでいる。この制御部64は、前記無線タグ通信装置12との間で通信を行うことにより上記メモリ部60に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部50により受信された質問波Fcを上記変復調部62において上記メモリ部60に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Frとして上記アンテナ部50から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。また、前記無線タグ通信装置12相互間の通信に関して前記無線タグ14を中継用の無線タグ(以下、中継タグと称する)として機能させる制御を実行する。
図4は、前記無線タグ14のメモリ部60に備えられたその無線タグ14を中継タグとして機能させるための構成を説明する図である。このメモリ部60は、好適には、FRAM(Ferroelectric Random Access Memory:ラムトロンインターナショナル社登録商標)をはじめとする強誘電物質から成る不揮発性メモリにより構成されるものであり、図4に示すように、前記無線タグ通信装置12相互間でのメッセージ伝達に関する所定の中継局識別符号である中継タグIDを記憶するための中継局識別符号格納部66と、前記無線タグ通信装置12相互間で伝達されるメッセージを記憶するための複数のメッセージ格納部68a、68b、68c、・・・、68n−1、68n(以下、特に区別しない場合には単にメッセージ格納部68と称する)とを、有するものである。これら複数のメッセージ格納部68a、68b、68c、・・・、68n−1、68nは、メッセージの伝達元である無線タグ通信装置12の識別符号である差出人アドレスを記憶するための伝達元識別符号格納部70a、70b、70c、・・・、70n−1、70n(以下、特に区別しない場合には単に伝達元識別符号格納部70と称する)と、メッセージの伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号である宛先アドレスを記憶するための伝達先識別符号格納部72a、72b、72c、・・・、72n−1、72n(以下、特に区別しない場合には単に伝達先識別符号格納部72と称する)とをそれぞれ備えており、1つのメッセージに対して上記伝達元識別符号格納部70及び伝達先識別符号格納部72にぞれぞれ1つずつの差出人アドレス及び宛先アドレスが記憶される。すなわち、中継タグである無線タグ14のメモリ部60には、前記無線タグ通信装置12相互間の複数の通信におけるメッセージが記憶できるようになっている。
図5は、中継タグとして機能する無線タグ14を用いた無線タグ通信装置12相互間の通信について説明する図である。この図5では、2つの無線タグ14a、14bを中継タグとして用いて3台の無線タグ通信装置12a、12b、12c相互間において通信を行う態様を説明している。また、無線タグ14c乃至14iは、中継タグとしては機能しない通常のRFID通信用の無線タグである。
前記無線タグ通信装置12のDSP16に備えられた送信信号生成部46は、前記無線タグ14に他の無線タグ通信装置12へ伝達する所定のメッセージを書き込むためにその無線タグ14へ所定の送信信号を生成し、送信する。すなわち、中継タグとして機能する無線タグ14に所定のメッセージを書き込むためにその無線タグ14へ所定の書込指令を送信する。この書込指令により前記無線タグ14のメモリ部60に書き込まれるメッセージは、伝達元である無線タグ通信装置12の識別符号である差出人アドレス及び伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号である宛先アドレスを含むものであり、斯かる書込指令によって上記メッセージ格納部68に所定のメッセージが記憶されると共に、そのメッセージに対応して上記伝達元識別符号格納部70及び伝達先識別符号格納部72にぞれぞれ1つずつの差出人アドレス及び宛先アドレスが記憶される。図5では、上記無線タグ14aが無線タグ通信装置12a及び12b相互間の通信における中継タグとして、上記無線タグ14bが無線タグ通信装置12a及び12c相互間の通信における中継タグとしてそれぞれ機能する。また、上記無線タグ通信装置12a乃至12cと無線タグ14c乃至14iとの間における通信に関しては、通常のRFID通信プロトコルが用いられる。
また、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ14に書き込まれたメッセージを読み取るためにその無線タグへ所定の読取指令を送信する。例えば、周囲の無線タグ14に対して、その無線タグ14に書き込まれたメッセージに含まれる伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号が自己の識別符号であった場合にのみ返信を求めるメッセージ確認指令を送信する。好適には、周囲の無線タグ14に対して、所定の時間間隔で上記メッセージ確認指令を繰り返し送信する。中継タグとして機能する無線タグ14a、14bが斯かるメッセージ確認指令を受信した際、そのメッセージ確認指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号と一致する場合には、その識別符号を含むメッセージをその無線タグ通信装置12へ返信する。或いは、その識別符号を含むメッセージを記憶している旨を前記無線タグ通信装置12へ返信し、その無線タグ通信装置12からの読取指令を受けた段階でそのメッセージを伝達する。このようにして、所定のメッセージが中継タグである無線タグ14a、14bを介して所望される伝達先の無線タグ通信装置12へ伝達される。
また、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果、その無線タグ14に書き込まれたメッセージに含まれる伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号が自己の識別符号であった場合には、そのメッセージを消去するためにその無線タグ14へ所定の消去指令を生成し、送信する。中継タグとして機能する無線タグ14a、14bが斯かる消去指令を受信した際、その消去指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号と一致する場合には、その識別符号を含むメッセージを消去する。すなわち、前記メッセージの伝達先である無線タグ通信装置12により、既に伝達の完了したメッセージの消去が行われる。
また、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果、その無線タグ14に書き込まれたメッセージに含まれる伝達元である無線タグ通信装置12の識別符号が自己の識別符号であった場合には、そのメッセージを消去するためにその無線タグ14への所定の消去指令の送信が許可されるものである。中継タグとして機能する無線タグ14a、14bが斯かる消去指令を受信した際、その消去指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達元識別符号格納部70に記憶された識別符号と一致する場合には、その識別符号を含むメッセージを消去する。すなわち、前記メッセージの伝達元である無線タグ通信装置12により、伝達の所望されなくなったメッセージの消去が行われる。
また、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果、その無線タグ14に書き込まれた他の無線タグ通信装置12からのメッセージを正常に受信した場合には、所定の返答情報を含む前記メッセージを書き込むためにその無線タグ14へ所定の送信信号を送信する。すなわち、前記メッセージの伝達元である無線タグ通信装置12を伝達先として返答メッセージ(ACK情報)を書き込むための書込指令をその無線タグ14へ送信する。このようにして、所定の返答メッセージが中継タグである無線タグ14a、14bを介して伝達元の無線タグ通信装置12へ返信される。
図6は、前記無線タグ通信装置12のDSP16による前記無線タグ14との間のRFID通信について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、他の無線タグ通信装置12へ伝達すべきメッセージがあるか否かが判断される。このSA1の判断が肯定される場合には、SA2において、他の無線タグ通信装置12に伝達する所定のメッセージを書き込むための書込指令が中継タグである無線タグ14に送信された後、SA3以下の処理が実行されるが、SA1の判断が否定される場合には、SA3において、周囲の無線タグ14に対して、その無線タグ14に書き込まれたメッセージに含まれる伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号が自己の識別符号であった場合にのみ返信を求めるメッセージ確認指令が送信される。次に、SA4において、自局宛のメッセージが中継タグである無線タグ14から返信されたか否かが判断される。このSA4の判断が否定される場合には、SA7以下の処理が実行される。SA4の判断が肯定される場合には、SA4’において、自局宛のメッセージを持つ中継タグに対しメッセージを読み込むための読取指令を送信し、SA4”において、前記中継タグから送られる自局宛メッセージを読み込んだ後、SA5において、読み込み済みのメッセージを消去するための消去指令が中継タグである無線タグ14に送信される。次に、SA6において、前記無線タグ14に書き込まれた他の無線タグ通信装置12からのメッセージを正常に受信した旨のメッセージを書き込むための書込指令がその無線タグ14に送信された後、SA3に戻って、他に自局宛のメッセージがあるかどうかが確認される。そして、SA4において、自局宛のメッセージが無いと判断される場合には、SA7において、消去すべき自局からのメッセージを持つ中継タグである無線タグ14が存在するか否かが判断される。これは、一定時間以上前に伝達した他の無線タグ通信装置12へのメッセージが伝達先によって読まれたかを判断するもので、該当メッセージがある場合に、そのメッセージを読むための読取指令を生成、送信し、中継タグからの返信信号を受信する。このSA7において、メッセージが返信されてきた場合には、この判断が肯定され、SA8において、自局からのメッセージを消去するための消去指令が中継タグである無線タグ14に送信された後、SA7に戻って、他に消去すべき時局からのメッセージがあるか否かが判断される。そして、SA7において、中継タグから該当するメッセージが無いことが返信された場合には、この判断が否定され、SA9において、中継タグとして機能しない一般の無線タグ14との間のRFID通信動作が行われた後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、SA2、SA3、SA5、SA6、及びSA8が前記送信信号生成部46の動作に対応する。
図7は、前記無線タグ14の制御部64における中継タグとしての動作について説明するフローチャートであり、前記アンテナ50により所定の信号が受信された場合に実行されるものである。
先ず、SB1において、前記無線タグ通信装置12から受信した信号が書込指令であったか否かが判断される。このSB1の判断が肯定される場合には、SB2において、書込指令によって送られてきたメッセージがメッセージ格納部68に書き込まれた後、本ルーチンが終了される。SB1の判断が否定される場合、SB3において、メッセージ確認指令が受信されたか否かが判断される。SB3の判断が肯定される場合には、SB4において、受信されたメッセージ確認指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号と一致するか否かが判断される。このSB4の判断が否定される場合には、本ルーチンが終了されるが、SB4の判断が肯定される場合には、SB5において、該当するメッセージを保持していることを前記伝達先識別符号格納部72に記憶された伝達先である無線タグ通信装置12示すために、中継局識別符号が送信された後、このルーチンが終了される。SB3の判断が否定される場合には、SB6において、読取指令が受信されたか否かが判断される。SB6の判断が肯定される場合には、SB7において、読取指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号、或いは前記伝達元識別符号格納部70に記憶された識別符号と一致するか否かが判断される。このSB7の判断が肯定される場合には、SB8において、読取指令の送信元である無線タグ通信装置12宛てのメッセージが送信された後、本ルーチンが終了される。SB7の判断が否定される場合には、SB9において、読取指令の送信元である無線タグ通信装置12宛てのメッセージが無いことを無線タグ通信装置12に送信された後、本ルーチンが終了される。SB6が否定される場合には、SB10において、前記無線タグ通信装置12から消去指令が受信されたか否かが判断される。このSB10の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、SB10の判断が肯定される場合には、SB11において、受信された消去指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号と一致するか否かが判断される。このSB11の判断が肯定される場合には、SB13において、該当するメッセージが消去された後、本ルーチンが終了させられるが、SB11の判断が否定される場合には、SB12において、受信された消去指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達元識別符号格納部70に記憶された識別符号と一致するか否かが判断される。このSB12の判断が肯定される場合には、SB13の処理が実行されるが、SB12の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられる。
このように、本実施例によれば、前記無線タグ14に他の無線タグ通信装置12へ伝達する所定のメッセージを書き込むためにその無線タグ14へ所定の送信信号を生成する送信信号生成部46(SA2、SA3、SA5、SA6、及びSA8)を含むことから、中継用の無線タグ14に他の無線タグ通信装置12宛のメッセージを書き込むことで、比較的離れた位置に配設された無線タグ通信装置12との間でも通信を行うことができる。すなわち、通常行われる無線タグ14との通信に使用されるものと同じ構成により複数の無線タグ通信装置12相互間で好適に情報通信を可能とする技術を提供することができる。
また、前記メッセージは、伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号を含むものであるため、その伝達先の無線タグ通信装置12を特定して通信を行うことができる。
また、前記メッセージは、伝達元である無線タグ通信装置12の識別符号を含むものであるため、その伝達先の無線タグ通信装置12において、伝達元の無線タグ通信装置12を知ることができる。
また、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果、その無線タグ14に書き込まれたメッセージに含まれる伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号が自己の識別符号であった場合には、そのメッセージを消去するためにその無線タグ14へ所定の消去指令を生成し、送信するものであるため、前記メッセージの伝達先である無線タグ通信装置12にそのメッセージの消去を行わせることで、伝達相手宛の通信を確実に成り立たせることができることに加え、メッセージを消去することで前記無線タグ14のメッセージ格納部68を繰り返し利用することが可能になる。
また、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果、その無線タグ14に書き込まれたメッセージに含まれる伝達元である無線タグ通信装置12の識別符号が自己の識別符号であった場合には、そのメッセージを消去するためにその無線タグ14への所定の消去指令の生成、送信が許可されるものであるため、前記メッセージの伝達元である無線タグ通信装置12にメッセージ消去権限を持たせることで、伝達相手宛の通信が成り立たなかった場合のキャンセルが可能とされ、メッセージを消去することで前記無線タグ14のメッセージ格納部68を繰り返し利用することが可能になる。
また、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ14との間で情報の通信を行った結果、その無線タグ14に書き込まれた他の無線タグ通信装置12からのメッセージを正常に受信した場合には、所定の返答情報を含む前記メッセージを書き込むためにその無線タグ14へ所定の送信信号を生成、送信するものであるため、前記メッセージの伝達元である無線タグ通信装置12に対して、そのメッセージを正常に受信したことを通知できる。
また、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ14に書き込まれたメッセージを読み取るためにその無線タグ14へ所定の読取指令を生成、送信すると共に、前記無線タグ14に所定のメッセージを書き込むためにその無線タグ14へ所定の書込指令を送信するものであるため、実用的な態様で前記無線タグ14に対して情報の書き込み及び読み取りを行うことができる。
また、前記送信信号生成部46は、周囲の無線タグ14に対して、その無線タグ14に書き込まれたメッセージに含まれる伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号が自己の識別符号であった場合にのみ返信を求めるメッセージ確認指令を生成、送信するものであるため、前記メッセージ確認指令を送信し、その指令に対する返信信号を得ることで、自己宛のメッセージを記憶している無線タグ14を発見することができる。
また、前記送信信号生成部46は、周囲の無線タグ14に対して、所定の時間間隔で前記メッセージ確認指令を繰り返し生成、送信するものであるため、前記メッセージ確認指令を一定時間繰り返し送信することで、自己宛のメッセージがあるか否かを時間遅れなく検知できる。
また、前記中継用の無線タグ14は、前記メッセージを記憶するための複数のメッセージ格納部68を有することから、前記無線タグ通信装置12相互間の通信における中継用の無線タグ14としての機能を果たすことができる。また、複数のメッセージ格納部68を有することで、複数のメッセージを格納することができ、複数組の無線タグ通信装置12相互間の通信における中継を行うことができる。すなわち、通常行われる無線タグ14との通信に使用されるものと同じ構成により複数の無線タグ通信装置12相互間で好適に情報通信を可能とする技術を提供することができる。
また、前記メッセージ格納部68は、前記伝達元である無線タグ通信装置12の識別符号を記憶するための伝達元識別符号格納部70を備えたものであるため、その伝達元である無線タグ通信装置12の識別符号を好適に読み出すことができる。
また、前記メッセージ格納部68は、前記伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号を記憶するための伝達先識別符号格納部72を備えたものであるため、その伝達先である無線タグ通信装置12の識別符号を好適に読み出すことができる。
また、前記消去指令を受信した際、その消去指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号と一致する場合には、その識別符号を含むメッセージを消去するものであるため、前記メッセージを受信した通信相手のみ、そのメッセージを消去することが可能とされる。
また、前記消去指令を受信した際、その消去指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達元識別符号格納部70に記憶された識別符号と一致する場合には、その識別符号を含むメッセージを消去するものであるため、前記メッセージの伝達元である無線タグ通信装置12にメッセージ消去権限を持たせることで、伝達相手宛の通信が成り立たなかった場合のキャンセルが可能とされる。
また、前記メッセージ確認指令を受信した際、そのメッセージ確認指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号と一致する場合には、中継タグの中継局識別符号(中継タグID)をその無線タグ通信装置12へ返信するものであるため、伝達先である無線タグ通信装置12にその無線タグ通信装置12宛のメッセージを記憶していることを通知することができる。
また、前記メモリ部60は、前記無線タグ通信装置12相互間でのメッセージ伝達に関する所定の中継局識別符号を有するものであるため、中継用の無線タグ14と他の無線タグ14との識別が可能とされる。
また、前記メッセージ格納部68は、強誘電物質から成る不揮発性メモリにより構成されるものであるため、書き込み、読み出し共に同じ消費電力で行うことができ、メッセージ伝達可能距離を長くすることができる。
また、何れかの前記無線タグ通信装置12から他の無線タグ通信装置12へのメッセージの伝達を中継用の前記無線タグ14を介して行う無線通信システム10であることから、前記無線タグ通信装置12は、特別の通信プロトコルや通信装置等を用いることなく好適に無線タグ通信装置12相互間でメッセージの伝達を行うことができる。すなわち、通常行われる無線タグ14との通信に使用されるものと同じ構成により複数の無線タグ通信装置12相互間で好適に情報通信を可能とする技術を提供することができる。
また、何れかの前記無線タグ通信装置12から他の無線タグ通信装置12へのメッセージの伝達を中継用の前記無線タグ14を介して行う無線通信方法であることから、前記無線タグ通信装置12は、特別の通信プロトコルや通信装置等を用いることなく好適に無線タグ通信装置12相互間でメッセージの伝達を行うことができる。すなわち、通常行われる無線タグ14との通信に使用されるものと同じ構成により複数の無線タグ通信装置12相互間で好適に情報通信を可能とする技術を提供することができる。
なお、本実施例において、中継タグは、前記メッセージ確認指令を受信した際、そのメッセージ確認指令の送信元である無線タグ通信装置12の識別符号が前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号と一致する場合は、中継タグの中継局識別符号をその無線タグ通信装置12へ返信するものであったが、前記伝達先識別符号格納部72に記憶された識別符号を含むメッセージそのものを返信するものであっても良い。この場合、無線タグ通信装置12がメッセージを正しく受信できれば、無線タグ通信装置12は、SA4’及びSA4”の処理を省略することが可能である。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明に用いる図面に関して、前述した実施例と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図8は、本発明の第2実施例である無線通信システム80を示す図である。この無線通信システム80は、識別符号が「AA01」である無線タグ通信装置12a、識別符号が「AA02」である無線タグ通信装置12b、識別符号が「AA03」である無線タグ通信装置12c、識別符号が「AA04」である無線タグ通信装置12d、識別符号が「BB0A」である無線タグ14a、識別符号が「BB0B」である無線タグ14b、識別符号が「BB0C」である無線タグ14c、及び識別符号が「BB0D」である無線タグ14dから構成されている。また、上記無線タグ通信装置12aは、上記無線通信システム80による通信に関する情報を記憶するための記憶装置82を備えており、その無線通信システム80におけるサーバとして機能する。なお、図8では、上記無線通信システム80を構成する無線タグ通信装置12及び無線タグ14のうち、識別符号が「AA01」である無線タグ通信装置12a、識別符号が「AA03」である無線タグ通信装置12c、識別符号が「AA04」である無線タグ通信装置12d、識別符号が「BB0B」である無線タグ14b、識別符号が「BB0C」である無線タグ14c、及び識別符号が「BB0D」である無線タグ14dが配置された場合を示している。
図9は、本実施例の無線タグ14のメモリ部60に備えられたその無線タグ14を中継タグとして機能させるための構成を説明する図である。この図9に示すように、本実施例の無線タグ14のメモリ部60には、前述した中継局識別符号格納部66及びメッセージ格納部68等の構成に加えて、隣接する複数の無線タグ通信装置12それぞれの識別符号である隣接質問器アドレスと更新時刻(書き込みを行った時刻)を対にして記憶する隣接局識別符号格納部84と、上記無線通信システム80に備えられたサーバ(図8では無線タグ通信装置12a)への経路情報を記憶する経路情報格納部86とを、備えて構成されている。
図8のように構成された無線通信システム80では、識別符号が「BB0B」である無線タグ14bが識別符号が「AA01」である無線タグ通信装置12a及び識別符号が「AA03」である無線タグ通信装置12cの通信範囲内に配置されている。このため、中継タグとして機能する無線タグ14bの隣接局識別符号格納部84には、無線タグ14bのアドレス「AA01」と、無線タグ14cのアドレス「AA03」とが更新時刻と共に常に更新された状態で格納されている。また、識別符号が「BB0C」である無線タグ14cが識別符号が「AA03」である無線タグ通信装置12c及び識別符号が「AA04」である無線タグ通信装置12dの通信範囲内に配置されている。このため、中継タグとして機能する無線タグ14cの隣接局識別符号格納部84には、無線タグ14cのアドレス「AA03」と、無線タグ14dのアドレス「AA04」とが更新時刻と共に常に更新された状態で格納されている。また、識別符号が「BB0D」である無線タグ14dが識別符号が「AA04」である無線タグ通信装置12dの通信範囲内に配置されている。このため、中継タグとして機能する無線タグ14dの隣接局識別符号格納部84には、無線タグ14dのアドレス「AA04」が更新時刻と共に常に更新された状態で格納されている。
また、中継タグとして機能する無線タグ14bからは、サーバとして機能する無線タグ通信装置12aに直接アクセスできることから、その無線タグ14bの経路情報格納部86には、無線タグ通信装置12aの識別符号である「AA01」が経路情報として格納されている。また、中継タグとして機能する無線タグ14cからは、無線タグ通信装置12c及び無線タグ14bを介してサーバとして機能する無線タグ通信装置12aにアクセスできることから、その無線タグ14cの経路情報格納部86には、無線タグ通信装置12cの識別符号である「AA03」、無線タグ14bの識別符号である「BB0B」、及び無線タグ通信装置12aの識別符号である「AA01」を並べた「AA03BB0BAA01」が経路情報として格納されている。また、中継タグとして機能する無線タグ14dからは、無線タグ通信装置12d、無線タグ14c、無線タグ通信装置12c、及び無線タグ14bを介してサーバとして機能する無線タグ通信装置12aにアクセスできることから、その無線タグ14dの経路情報格納部86には、無線タグ通信装置12dの識別符号である「AA04」、無線タグ14cの識別符号である「BB0C」、無線タグ通信装置12cの識別符号である「AA03」、無線タグ14bの識別符号である「BB0B」、及び無線タグ通信装置12aの識別符号である「AA01」を並べた「AA04BB0CAA03BB0BAA01」が経路情報として格納されている。同様に、上記無線タグ通信装置12cは「BB0BAA01」を、無線タグ通信装置12dは「BB0CAA03BB0BAA01」をそれぞれ経路情報として保持している。
図10は、図8に示す無線通信システム80に新たに起動された無線タグ通信装置12bが追加された場合について説明する図である。この無線タグ通信装置12bの通信範囲内には無線タグ14dが配置されている。このため、上記無線タグ通信装置12bによる中継タグの探索動作によりその無線タグ14dが検出される。このようにして、上記無線タグ通信装置12bにより無線タグ14dが検出されると、その無線タグ通信装置12bから無線タグ14dに向けて隣接質問器アドレスを書き込むための書込指令が送信され、中継タグとして機能する無線タグ14dの隣接局識別符号格納部84に無線タグ通信装置12bのアドレスである「AA02」が更新時刻と共に追加される。続いて、上記無線タグ14dの経路情報格納部86に格納された経路情報が上記無線タグ通信装置12bにより読み出される。斯かる無線タグ通信装置12bは起動直後であり、サーバとして機能する無線タグ通信装置12aへの経路情報を有していないことから、上記無線タグ14dに格納された経路情報である「AA04BB0CAA03BB0BAA01」にその無線タグ14dの識別符号である「BB0D」を加えた「BB0DAA04BB0CAA03BB0BAA01」が上記無線タグ通信装置12bからサーバである無線タグ通信装置12aへの経路情報として無条件で記憶される。なお、上記無線タグ通信装置12bがもし何処からか移動してきており、何らかの経路情報を予め保持していた場合であっても、その無線タグ通信装置12bの経路情報の先頭に記載されている識別符号により識別される中継タグが通信範囲内に存在しないことから、上記無線タグ14dを介した経路が新たな経路情報として記憶される。上記無線タグ通信装置12bは、経路情報の更新に続いて、中継タグとして機能する他の無線タグ14を探索するための通信を行うが、図10に示す構成では、上記無線タグ通信装置12bの通信範囲内に配置された中継タグとして機能するタグは無線タグ14dのみであるため、他の無線タグ14は検出されず探索動作は終了させられる。
前記無線タグ通信装置12bは、続いて、自局宛メッセージを探索するための通信を行う。具体的には、周囲の無線タグ14に対して、前記メッセージ確認指令を生成、送信するように前記送信信号生成部46を制御する。通常、配置されて起動された直後には自局宛のメッセージは検出されないため、前記無線タグ通信装置12bは、更に続いて、物品タグの探索すなわち中継タグとして機能しない一般の無線タグ14を探索するための通信を行う。これら物品タグには、中継タグとして機能する無線タグ14とは異なる範囲の識別符号が付与されているため、その識別符号の領域を限定した態様で「PING」及び「Scroll ID」等のコマンドを用いて探索を行うことにより、それら物品タグとして機能する無線タグ14を好適に検出することができる。なお、図8、図10、及び図11では、物品タグとして機能する無線タグ14は省略している。斯かる物品タグの探索動作により、物品タグとして機能する無線タグ14が検出された場合、その無線タグ14の識別符号及びそれを検出した主体である無線タグ通信装置12の識別符号が組み合わされてサーバである無線タグ通信装置12aへ伝達される。例えば、前記無線タグ通信装置12bにより識別符号が「CC0F」である無線タグ14fが検出された場合には、物品タグを検出したことを示す符号である「000A」、検出した主体である無線タグ通信装置12bの識別符号である「AA02」、及び検出された無線タグ14fの識別符号である「CC0F」が組み合わされた「000AAA02CC0F」というメッセージが中継タグとして機能する無線タグ14dに書き込まれる。このメッセージの差出人アドレスは伝達元の無線タグ通信装置12bの識別符号である「AA02」である。また、宛先アドレスは、前記経路情報から前記無線タグ14dからメッセージを受信し得る無線タグ通信装置12が判断され、前記無線タグ通信装置12dの識別符号「AA04」が用いられる。前記無線タグ通信装置12dが斯かるメッセージを受信すると、中継タグである無線タグ14dにそのメッセージを消去するための消去指令を送信した後、正常にメッセージを受信したことを示す返答メッセージであるACK情報を無線タグ通信装置12b宛に無線タグ14dを介して伝達すると共に、前記無線タグ通信装置12bから受信したメッセージ「000AAA02CC0F」を中継タグとして機能する無線タグ14cを介して無線タグ通信装置12c宛に伝達する。このようにしてメッセージの転送が繰り返されることで、前記無線タグ通信装置12bからのメッセージがサーバとして機能する無線タグ通信装置12aへ確実に伝達される。なお、物品タグの探索動作により無線タグ14が検出される度にサーバへその情報が伝達される必要はなく、物品タグとして機能する新たな無線タグ14が検出された場合及び見失われた場合にのみその情報を示すメッセージがサーバへ伝達されるのが好ましい。前記無線通信システム80に含まれる各無線タグ通信装置12は、斯かる一連の動作により、サーバとして機能する無線タグ通信装置12aに対して情報を伝達する経路を探索して保持することができる。また、サーバとして機能する無線タグ通信装置12aは、何れの物品タグが何れの無線タグ通信装置12の近傍に配置されているのか一括して把握することができ、複数の物品タグ乃至はそれら物品タグが貼られた物品を統合管理することができる。
図11は、図10に示す無線通信システム80に中継タグとして機能する無線タグ14aが追加された場合について説明する図である。この図11は、識別符号が「BB0A」である中継タグとして機能する無線タグ14aが、識別符号が「AA01」である無線タグ通信装置12a及び識別符号が「AA02」である無線タグ通信装置12bの通信範囲内に配置された場合を説明しており、前述した中継タグの探索動作によって、前記無線タグ通信装置12bが先に無線タグ14aを検出した場合、その無線タグ14の経路情報格納部86には、前記無線タグ通信装置12bを介した経路である経路情報「AA02BB0DAA04BB0CAA03BB0BAA01」が格納される。しかし、その後、前記無線タグ通信装置12aによって斯かる経路情報が読み出された場合、その無線タグ通信装置12a内において、中継タグの持つ経路情報と無線タグ通信装置自身が持つ経路情報の長さを比較し、サーバである無線タグ通信装置12aへ直接アクセスする方が経路が短いという判断がなされ、前記経路情報格納部86に格納される経路情報が新たな経路情報である「AA01」に更新される。更にその後、前記無線タグ通信装置12bによる中継タグの探索動作によって無線タグ14aの経路情報が読み出された場合には、同様の判断により、中継タグとして機能するその無線タグ14aを介してサーバである無線タグ通信装置12aへアクセスする経路が最短であることが判断され、その無線タグ通信装置12bに記憶される経路情報が「BB0AAA01」に更新される。このような動作により、中継タグとして機能する無線タグ14が増加した場合に最適な経路を選択することができる。
図12は、前記無線通信システム80に含まれる無線タグ通信装置12のDSP16による前記無線タグ14との間のRFID通信について説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、SC1において、変数iに1が代入される。次に、SDにおいて、図13に示す中継タグ探索制御が行われる。次に、SFにおいて、図15に示す自局宛メッセージ探索制御が行われる。次に、SC2において、中継タグとして機能しない一般の無線タグ14である物品タグ探索制御が行われる。次に、SC3において、変数iが10であるか否かが判断される。このSC3の判断が否定される場合には、SC4において、変数iに1が加算された後、SF以下の処理が再び実行されるが、SC3の判断が肯定される場合には、SC1以下の処理が再び実行される。以上の制御において、SD、SF、及びSC2が前記送信信号生成部46の動作に対応する。
図13に示す中継タグ探索制御では、先ず、SD1において、近傍に配置された中継タグとして機能する無線タグ14が探索される。次に、SD2において、通信範囲内に中継タグとして機能する無線タグ14が存在するか否かが判断される。このSD2の判断が否定される場合には、それをもって図12に示すメインルーチンへ復帰させられるが、SD2の判断が肯定される場合には、SD3において、検出された無線タグ14の隣接局識別符号格納部84に隣接する無線タグ通信装置12の識別符号を現在の時刻と共に書き込むための通信が行われる。次に、SEにおいて、図14に示す経路情報更新制御が行われる。次に、SD4において、通信範囲内に中継タグとして機能する他の無線タグ14が存在するか否かが判断される。このSD4の判断が肯定される場合には、SD3以下の処理が再び実行されるが、SD4の判断が否定される場合には、それをもって図12に示すメインルーチンへ復帰させられる。
図14に示す経路情報更新制御では、先ず、SE1において、検出された無線タグ14の経路情報格納部86に格納されたサーバへの経路情報を読み出すための通信が行われる。次に、SE2において、通信主体である無線タグ通信装置12に経路情報が記憶されているか否かが判断される。このSE2の判断が否定される場合には、SE9以下の処理が実行されるが、SE2の判断が肯定される場合には、SE3において、検出された無線タグ14の経路情報格納部86に格納されたサーバへの経路情報と、通信主体である無線タグ通信装置12に記憶された経路情報とが比較されて、その通信主体である無線タグ通信装置12を介した方が経路が短い(通信回数が少ない)か否かが判断される。このSE3の判断が肯定される場合には、SE4において、検出された無線タグ14の経路情報格納部86に通信主体である無線タグ通信装置12を介したサーバへの経路情報が書き込まれた後、図13に示す中継タグ探索ルーチンへ復帰させられるが、SE3の判断が否定される場合には、SE5において、経路情報における先頭の無線タグ通信装置12に記憶された隣接する無線タグ通信装置12の情報が更新されているか否かが更新時刻から判断される。このSE5の判断が否定される場合には、SE4以下の処理が実行されるが、SE5の判断が肯定される場合には、SE6において、通信主体である無線タグ通信装置12の経路情報における先頭の中継タグが近傍にあるか否かが判断される。このSE6の判断が否定される場合には、SE8において、検出された無線タグ14の経路情報格納部86に格納された経路情報に基づいて、通信主体である無線タグ12の経路情報が更新された後、図13に示す中継タグ探索ルーチンへ復帰させられる。SE6の判断が肯定される場合には、SE7において、通信主体である無線タグ通信装置12に記憶された経路情報よりも検出された無線タグ14を介してサーバにアクセスする経路の方が短いか否かが判断される。このSE7の判断が否定される場合には、それをもって図13に示す中継タグ探索ルーチンへ復帰させられるが、SE7の判断が肯定される場合には、SE8の処理を行った後、中継タグ探索ルーチンへ復帰させられる。SE9の判断が肯定される場合、すなわち中継タグの経路情報が空白であると判断される場合には、経路情報の生成に失敗し、図13に示す中継タグ探索ルーチンへ復帰させられるが、SE9の判断が否定される場合、すなわち中継タグの経路情報が空白ではないと判断される場合には、SE10において、検出された無線タグ14の経路情報格納部86に格納された経路情報に基づいて、通信主体である無線タグ通信装置12の経路情報が更新された後、図13に示す中継タグ探索ルーチンへ復帰させられる。
図15に示す自局宛メッセージ探索制御では、先ず、SF1において、通信主体である無線タグ通信装置12宛のメッセージを探索するためのメッセージ確認指令が生成され、送信される。次に、SF2において、SF1にて送信されたメッセージ確認指令に応じた無線タグ14からの返答が受信される。次に、SF3において、SF1にて送信されたメッセージ確認指令に応じて中継タグとして機能する無線タグ14から返答があったか否かが判断される。このSF3の判断が否定される場合には、それをもって図12に示すメインルーチンへ復帰させられるが、SF3の判断が肯定される場合には、SF4において、受信されえた無線タグ14からの返答に含まれる識別符号が隣接する中継タグの識別符号と一致するか否かが判断される。このSF4の判断が否定される場合には複数の中継タグから返答があり、混信したために識別符号が読み取れなかったと考えられるので、SF9以下の処理が実行されるが、SF4の判断が肯定される場合には隣接する一つの中継タグから返信があったものと考えられるので、SF5において、識別符号が読み取れた中継タグに対して、通信主体である無線タグ通信装置12宛のメッセージを読み取るための読取指令が送信され、その中継タグの持つメッセージを受信する。次に、SF6において、SF5にて読み取られたメッセージを消去するための消去指令が送信される。次に、SF7において、通信主体である無線タグ通信装置12宛のメッセージが正常にメッセージを受信したことを示す返答メッセージであるACK情報であるか否かが判断される。このSF7の判断が肯定される場合には、それをもって図12に示すメインルーチンへ復帰させられるが、SF7の判断が否定される場合には、SF5にて読み取られたメッセージが書き込まれていた無線タグ14にACK情報を書き込むための書込指令が送信された後、図12に示すメインルーチンへ復帰させられる。SF4の判断が否定される場合、すなわち受信された無線タグ14からの返答に含まれる識別符号が隣接する中継タグの識別符号と一致しないと判断される場合には、SF9において、隣接する中継タグとして機能する無線タグ14のうち何れかの無線タグ14の識別符号が指定される。次に、SF10において、通信主体である無線タグ通信装置12宛のメッセージを読み取るための読取指令が送信される。次に、SF11において、通信主体である無線タグ通信装置12宛のメッセージがあるか否かが判断される。このSF11の判断が否定される場合には、SF15以下の処理が実行されるが、SF11の判断が肯定される場合には、SF12において、SF10にて読み取られたメッセージを消去するための消去指令が送信される。次に、SF13において、SF10にて読み取られたメッセージがACK情報であるか否かが判断される。このSF13の判断が否定される場合には、SF14において、SF10にて読み取られたメッセージが書き込まれていた無線タグ14にACK情報を書き込むための書込指令が送信された後、SF15以下の処理が実行されるが、SF13の判断が肯定される場合には、SF15において、中継タグとして機能する他の隣接する無線タグ14が存在するか否かが判断される。このSF15の判断が肯定される場合には、SF16において、中継タグとして機能する次の隣接する無線タグ14が選択された後、SF10以下の処理が再び実行されるが、SF15の判断が否定される場合には、それをもって図12に示すメインルーチンへ復帰させられる。
このように、本実施例において、中継タグとして機能する無線タグ14は、隣接する無線タグ通信装置12それぞれの識別情報を記憶する隣接局識別情報格納部84を備えたものであるため、サーバとして機能する無線タグ通信装置12までの経路情報を好適に更新することができる。これにより、前記無線タグ通信装置12相互間の通信が更に好適に行われる。
また、中継タグとして機能する無線タグ14は、サーバとして機能する無線タグ通信装置12までの経路を示す経路情報を格納する経路情報格納部86を備えたものであるため、サーバとして機能する無線タグ通信装置12までの最短距離を示す経路情報を随時更新することができる。
また、無線タグ通信装置12も経路情報を保持し、隣接する中継タグとして機能する無線タグ14の経路情報を随時監視し、必要に応じて修正を行うものであるため、無線タグ通信装置12及び中継タグとして機能する無線タグ14の経路情報を、常に最適なものとすることができる。
図16は、本発明の第3実施例である無線通信システム90を示す図である。この無線通信システム90は、物品群94に貼り付けられた複数の無線タグ14の管理情報を記憶するための中継タグ(管理タグ)である無線タグ14aと、その第1工場92に備えられた無線タグ通信装置12aと、その第2工場96に備えられた無線タグ通信装置12bとを含んで構成されている。また、中継タグとして機能する無線タグ14aに記憶される管理情報は、それら無線タグ14aが管理すべき無線タグ14延いては物品群に含まれる物品の個数情報を含むものである。
以上のように構成された無線通信システム90では、物流システムの上流である上記第1工場92内において、物品群94の個数を示すそれら物品群94に貼り付けられた複数の無線タグ14の個数情報を含む管理情報がその第1工場92に備えられた無線タグ通信装置12aによって中継タグである無線タグ14aに記憶される。その後、搬送車100等によって第1工場92内の物品群94が物流システムの下流である第2工場96に搬送された場合、前記無線タグ14aに記憶された管理情報がその第2工場96に備えられた無線タグ通信装置12bによって読み出されると共に、上記物品群94に貼り付けられた複数の無線タグ14の探索動作が行われ、前記無線タグ14aに記憶された管理情報と照合されることで検品作業が行われる。これにより、サーバとの遣り取りを実行せずとも好適に物品管理を行うことができる。
このように、本実施例によれば、前記中継用の無線タグ14は、他の無線タグ14の管理情報を記憶するものであり、前記無線タグ通信装置12は、その中継用の無線タグ14に記憶された他の無線タグ14の管理情報を読み出すものであるため、それら無線タグ14を貼り付けた物品等に関して、全ての無線タグ14との間で情報の通信を行うことなくそれらの物品を管理することができる。
また、前記管理情報は、前記中継用の無線タグ14が管理すべき無線タグ14の個数情報を含むものであるため、それら無線タグ14を貼り付けた物品等に関して、全ての無線タグ14との間で情報の通信を行うことなくそれらの物品を個数を知ることができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、中継タグとして機能する無線タグ14は、前記無線タグ通信装置12から送信される質問波Fcのエネルギを電源として応答波Frを返信する所謂パッシブタグであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図17に示すように、図3に示す整流部54及び電源部56の代替として電源装置である電池104を有し、その電池104から供給される電気エネルギによって動作を行う所謂アクティブタグである無線タグ102であっても構わない。このようにすれば、比較的離れた位置に配設された無線タグ通信装置12まで電波を届けることができ、メッセージ伝達可能距離を長くすることができる。
また、前述の実施例において、前記送信信号生成部46は、前記無線タグ通信装置12のDSP16に機能的に備えられたものであったが、例えば、そのDSP16とは別体の制御装置として備えられたものであってもよい。また、斯かる送信信号生成部46による送信制御は、ディジタル信号処理によるものであるとアナログ信号処理によるものであるとを問わない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。