JP4281150B2 - トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体 - Google Patents
トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体に関し、さらに詳しくは、有機溶剤に対する溶解性や各種樹脂に対する相溶性に優れ、良好な化学性能および物理性能を有する塗料、インク、接着剤、成形品などに好適な熱硬化性組成物、並びにフォトレジストとして高解像性を実現するコントラスト増強剤を与えうるトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートは化学性能、物理性能の面から、種々の熱硬化性組成物の硬化剤として有用と考えられてきた。しかし、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートはカルボキシル基の高い水素結合性のために結晶性が高く高融点であり、一般の有機溶剤への溶解性や各種樹脂に対する相溶性が低く、扱いづらいといった問題点があった。また、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを他の化合物との混合液の状態で使用する場合には、カルボキシル基とエポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、アミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、アセタール基及びケタール基等の反応性官能基とは反応性が高いため、カルボキシル基含有化合物と該反応性官能基を含有する化合物とが共存する組成物においては、貯蔵中にゲル化を起こしたり、可使時間が短くなるなど、その安定性が問題となった。このような問題を解決する方法として、例えばカルボキシル基をt−ブチルエステルとしてブロック化し、加熱によりイソブテン脱離分解により遊離のカルボキシル基に再生するといった方法が提案されている(特開平1−104646号公報)。しかしながら、この方法は、t−ブチルエステル基の熱分解に170〜200℃程度の高温を必要とし、昨今の省資源や省エネルギー化の観点から、必ずしも十分に満足しうる方法とはいえない。また、分解して生成したイソブテンによる発泡跡も問題となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶解性に劣るトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを特定のビニルエーテル化合物で変性させることにより、一般の有機溶剤に対する溶解性や各種樹脂に対する相溶性を上げ、また、種々の硬化性樹脂と組み合わせることにより、一液型硬化性組成物の硬化剤として利用可能な、また、フォトレジストとして高解像性を実現するコントラスト増強剤として利用可能なトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体を得ることを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有するトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートのカルボキシル基とビニルエーテル化合物とを反応させて得られる新規なトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体が、その目的を達成しうることを見い出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(1)
【0005】
【化2】
【0006】
(式中のR1、R2及びR3はそれぞれ水素原子、R4は炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であって、Y1は酸素原子である)で表されることを特徴とするトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体は、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートとビニルエーテル化合物とを反応させることにより得ることができる。
本発明のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体の合成に使用されるビニルエーテル化合物としては、下記一般式(2)
【0008】
【化3】
【0009】
(式中のR1、R2、R3、R4及びY1は前記と同じ意味を持つ。)で表される化合物が使用できる。一般式(2)の化合物は、モノビニルエーテル化合物が好ましく、その具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、セカンダリーブチルビニルエーテル、ターシャリーブチルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどの脂肪族ビニルエーテル化合物などが挙げられる。これらのビニルエーテル化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
上記トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートと上記ビニルエーテル化合物を反応させる際の反応比は、前者のカルボキシル基と後者のビニルエーテル基の当量比が、通常約1:1〜1:2であればよく、好ましくは1:1〜1:1.5であり、特に好ましくは1:1〜1:1.2である。この反応の反応温度は、通常室温ないし150℃の範囲の温度であればよく、好ましくは50〜100℃である。また、この反応の反応時間は、反応進行状況に応じて適宜選定すればよいが、通常1〜100時間でよい。この際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することができる。そのような酸触媒としては例えば、一般式(3)
【0011】
【化4】
(R5−O−)m―P(O)―(OH)3−m ・ ・ ・ (3)
【0012】
(式中のR5は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、mは1又は2である。)で表される酸性リン酸エステルが挙げられる。より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノールといった第一級アルコール類、及びイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノールといった第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。これらの酸触媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸触媒の使用量は、特に制限ないが、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートとビニルエーテル化合物の合計量100重量部に対し、通常0.0005〜0.05重量部が好ましく、特に0.001〜0.01重量部が好ましい。
【0013】
また、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶媒も使用することができる。そのような有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフサ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商標)等の芳香族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、モノメチルエーテル、酢酸メトキシブチル等のエステル及びエーテルエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチル正ブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。有機溶媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体は、加熱、あるいは紫外線や電子線のような活性線の照射によりビニルエーテル類の脱離を伴い、元のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを再生する。この遊離酸の再生反応は、酸触媒により助長される。そのような酸触媒としては、例えばハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノ及びジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノ及びジエステル類などのプロトン酸、BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲン化アルミニウム、モノアルキルハロゲン化アルミニウム、テトラアルキルスズなどの有機金属化合物、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノアセチルアセトナト・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−ブチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエチルアセトアセテート・ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、アセチルアセトナト・ビス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジクロロ・ビス(アセチルアセトナト)スズ、ジブチル・ビス(アセチルアセトナト)スズ、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(アセチルアセトナト)クロム、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛、トリス(アセチルアセトナト)コバルトなどの金属キレート化合物、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズエステルマレート、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マンガン、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛などの金属石鹸等のルイス酸等が挙げられる。また、光酸触媒としてはアデカオプトマーSPシリーズ(商品名、旭電化工業(株)製)等が利用できる。これらの酸触媒は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
本発明のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体は、種々の反応性官能基を有する樹脂の硬化剤として利用されるが、そのような反応性官能基としては、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、アミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、アセタール基及びケタール基などが挙げられる。
【0016】
また、そのような反応性官能基を有する樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、、脂環式エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどの単独重合体又は共重合体、ポリカルボン酸あるいはポリオールとエピクロルヒドリンとの反応により得られるポリグリシジル化合物などのエポキシ基含有化合物;一般式(4)
【0017】
【化5】
(R6)nSi(OR7)4−n ・ ・ ・(4)
【0018】
(式中のR6及びR7は、それぞれ炭素数1〜18のアルキル基又はアリール基、nは0、1又は2である。)で表される化合物の縮合体、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリ−n−ブトキシシランなどのα,β−不飽和シラン化合物の単独重合体又は共重合体、及びこれらの化合物の加水分解生成物などのシラノール基やアルコキシシラン基含有化合物;脂肪族ポリオール類、フェノール類、ポリアルキレンオキシグリコール類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのα,β−不飽和化合物の単独重合体又は共重合体、及びこれらのポリオール類のε−カプロラクトン付加物などのヒドロキシル基含有化合物;脂肪族、芳香族のジアミノ化合物やポリアミノ化合物及び前記ポリオールのシアノエチル化反応生成物を還元して得られるポリアミノ化合物などのアミノ基含有化合物;脂肪族、芳香族ポリイミノ化合物などのイミノ基含有化合物;p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)フマレート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート及びこれらのビュレット体やイソシアヌレート体、さらにはこれらのイソシアネート類と前記ポリオールとのアダクト化合物などのイソシアネート基含有化合物;前記イソシアネート基含有化合物のフェノール類、ラクタム類、活性メチレン類、アルコール類、酸アミド類、イミド類、アミン類、イミダゾール類、尿素類、イミン類、オキシム類によるブロック体などのブロック化イソシアネート基含有化合物;3−(メタ)アクリロイルオキシプロピレンカーボネートの単独重合体又は共重合体、前記エポキシ基含有化合物と二酸化炭素との反応により得られる多価シクロカーボネート基含有化合物などのシクロカーボネート基含有化合物;前記多価ヒドロキシル基含有化合物とハロゲン化アルキルビニルエーテル類との反応によって得られる多価ビニルエーテル化合物、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類と多価カルボキシル基含有化合物や前記ポリイソシアネート化合物との反応により得られるポリビニルエーテル化合物、ビニルオキシアルキル(メタ)アクリレート類とα,β−不飽和化合物との共重合体などのビニルエーテル化合物、及びこれらに対応するビニルチオエーテル化合物などのビニルエーテル基やビニルチオエーテル基含有化合物;メラミンホルムアルデヒド樹脂、グリコリルホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アミノメチロール基やアルキル化アミノメチロール基含有α,β−不飽和化合物の単独重合体又は共重合体などのアミノメチロール基やアルキル化アミノメチロール基含有化合物;多価ケトン、多価アルデヒド化合物、前記多価ビニルエーテル化合物などとアルコール類やオルソ酸エステル類との反応によって得られる多価アセタール化合物、及びこれらとポリオール化合物との縮合体、さらには前記ビニルオキシアルキル(メタ)アクリレートとアルコール類やオルソ酸エステルとの付加物の単独重合体又は共重合体などのアセタール基やケタール基含有化合物などが挙げられる。これらの樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
前記酸触媒の使用量としては、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体と反応性官能基を有する樹脂の合計量100重量部に対し、通常0.01〜10重量部が好ましく、特に0.1〜1重量部が好ましい。本発明のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体と反応性官能基を有する樹脂とを含む硬化性組成物においては、両者の組成比は、前者のカルボキシル基と後者の反応性官能基の当量比が通常0.2:1.0〜1.0:0.2の範囲であればよい。
また、上記硬化性組成物には、前記酸触媒の他、着色顔料、フィラー、溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、流動調整剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソトロピー剤、抗発泡剤等の各種添加剤を含有させることができる。
【0020】
上記硬化性組成物の硬化は、低温から高温まで種々の温度範囲で行うことができ、例えば、室温から300℃の範囲で行うことができる。従って、硬化性組成物は、低温硬化性組成物、熱硬化性組成物などであることができる。また、上記硬化性組成物の硬化時間は、適宜選定すればよいが、通常0.01〜24時間である。
さらに、本発明のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体は、フォトレジストとして高解像性を実現するコントラスト増強剤として利用可能である。
【0021】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
【0022】
実施例1
(1)トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体A溶液の製造
温度計、還流冷却器、撹拌機を備えた4つ口フラスコに、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート345.3重量部、n−プロピルビニルエーテル258.4重量部、リン酸トリメチル134.7重量部、AP−8(大八化学工業(株)製、リン酸触媒、酸性リン酸エステル)0.26重量部を仕込み、50℃で撹拌した。混合物の酸価が5以下になったところで反応を終了し、有効分46.7重量%のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体A溶液を得た。
【0023】
(2)トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体Aの精製
前記の方法で得られたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体A溶液50.0重量部を、ヘキサン/トルエン(重量比=7/3)混合溶液100.0重量部に加えた後、氷冷した5重量%炭酸ナトリウム水溶液200.0重量部で5回洗浄した。次いで、硫酸マグネシウムで有機層を乾燥後、バス温35℃で減圧濃縮した。さらに、残査を真空ポンプで乾燥し、無色透明のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体Aを得た。
また、原料として用いたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート及び、得られたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体Aについて赤外線吸収スペクトル測定を行ったところ、それぞれ図1、図2に示す吸収チャートが得られた。この図より、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体Aの赤外線吸収スペクトルにおいては、2500〜3500cm−1付近のカルボキシル基の吸収によるピークが消失していることなどから、式(5)で表されるトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体Aが得られたことがわかる。
【0024】
【化6】
【0025】
実施例2
実施例1で得られたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体A10gと有機溶剤90g、またイソシアヌレート誘導体A10gとビスフェノールA型エポキシ樹脂9.86gとをガラス瓶に採取し、よく撹拌した。さらに3時間静置した後の状態を観察することにより実施例で得られたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体Aの有機溶剤に対する溶解性およびビスフェノールA型エポキシ樹脂に対する相溶性を調べた。その結果を表1に示す。
また、硬化剤のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体とビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート828を、前者のカルボキシル基と後者のエポキシ基のモル比が0.9:1になるように混合し、さらに、触媒としてオクチル酸亜鉛を硬化剤及び樹脂の総不揮発分100重量部に対して0.16重量部添加、混合して塗料組成物を調製した。この塗料をガラス板に乾燥塗膜厚みが30μmになるようにエアースプレーで塗布し、150℃で30分間焼き付けて、硬化させた。得られた塗膜の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0026】
比較例1
実施例2において、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体Aの代わりに、実施例1の原料として用いたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを使用して、実施例2と同様にして溶解性と相溶性および塗膜特性を調べた。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1の注
(*1)相溶性の評価は、以下の基準に従って行った。
○:均一溶液となった
×:不溶であった
(*2)ビスフェノールA型エポキシ樹脂溶液(油化シェルエポキシ(株)製 商品名)
【0029】
表1の結果より実施例で得られたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体はいずれも原料のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートに比べて有機溶剤および樹脂に対する溶解性が優れていることがわかる。
また、塗膜特性においても均一な塗膜が得られ、十分な硬度も得られた。
【0030】
【発明の効果】
本発明の新規なトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体は、一般の有機溶剤に対する溶解性や各種樹脂に対する相溶性に優れ、硬化剤として用いることにより、化学性能、物理性能及び耐候性に優れる硬化物、例えば塗料、インク、接着剤、成形品などに好適に用いられる熱硬化性組成物、特に1液型熱硬化性組成物、並びにフォトレジストとして高解像性を実現するコントラスト増強剤を提供することが可能である。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で用いたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートの赤外線吸収スペクトルチャートである。
【図2】図2は、実施例1の(2)で得られたトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート誘導体の赤外線吸収スペクトルチャートである。
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