JP4281079B2 - 熱電半導体材料または素子の製造方法および熱電モジュールの製造方法 - Google Patents

熱電半導体材料または素子の製造方法および熱電モジュールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電半導体材料または素子の製造方法および熱電モジュールの製造方法に関し、特に、熱電性能の向上に有効な熱電半導体材料または素子の製造方法および熱電モジュールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から熱電気現象を利用した熱電素子が熱交換器や温度センサとして利用されている。熱電気現象は、ペルチェ効果、トムソン効果およびゼーベック効果の総称であり、それぞれ次のように説明される。
【0003】
ペルチェ効果とは、異種金属の接合点に電流を流すと、該接合点に熱の発生または吸収が起こる現象であり、トムソン効果とは、温度勾配を有する金属に電流を流すと、該金属内で熱の発生または吸収が起こる現象である。電子冷却器として使用されるペルチェ素子は、上記ペルチェ効果を利用した熱電素子である。
【0004】
ゼーベック効果とは、異種金属の接合点を異なる温度に保つと起電力が試料の高温側と低温側に生ずる現象であり、温度センサとして使用される熱電対は、このゼーベック効果を利用した熱電素子である。
【0005】
上記のような熱電素子は、構造が簡単で安定な特性を有し、取扱が容易であることから、半導体レーザの温調や小型冷蔵庫への適用に向けて広く研究開発が進められている。
【0006】
上記熱電素子の形成材料としては、ビスマス(Bi)およびアンチモン(Sb)からなる群から選択された1種または2種と、テルル(Te)およびセレン(Se)からなる群から選択された1種または2種とからなる合金が現在使用されている。これらの化合物は、層状構造化合物であり、結晶構造に起因する熱電気的特性に異方性を有する半導体材料である。
【0007】
上記のような層状構造化合物からなる結晶粒の微細化および配向度の向上を図る技術として、急冷ロール法が知られている。急冷ロール法とは、回転する冷却ロールの表面に、層状構造化合物を溶融状態で接触させて、サブミクロンクラスの結晶粒を有する薄膜(以下、「薄状粉」という)を製造する方法である。この急冷ロール法の適用例を開示した先行文献としては、特開平8−306970号公報と特許第2659309号とがある。
【0008】
特開平8−306970号公報には、急冷ロール法によって得た薄状粉の粉末をホットプレス法によって固化成形する技術が開示されている。急冷ロール法によって得た薄状粉の粉末は、微細化された結晶粒で構成されるため、特開平8−306970号公報に記載された方法によれば、性能指数の高い熱電素子が期待できる。
【0009】
一方、特許第2659309号には、急冷ロール法によって得た薄状粉を膜厚方向に積層し、薄状粉の結晶配向を有効に利用する技術が記載されている。急冷ロール法では、冷却ロールの表面に接触した材料がロールの中心から外側に向けて冷却されるため、材料の凝固が膜厚方向に起こり、その結果、層状構造化合物の基底面であるC面が膜厚方向に起立した薄状粉が得られる。この薄状粉を膜厚方向に積層すれば、異方性の高い熱電素子が得られることになる。
【0010】
特許第2659309号では、膜厚方向に積層した薄状粉を膜厚方向と平行にプレスして、成形体を形成し、これに電極を取り付けて熱電素子としている。そして、この電極から薄状粉の膜厚方向と平行に電流を流し、薄状粉の異方性を有効に利用した性能指数の高い熱電素子を実現している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、より優れた熱電性能を有する熱電素子が望まれており、上述した従来技術をより発展させた新規な技術が求められている。
【0012】
そこで、本発明は、熱電性能の向上に有効な熱電半導体材料または素子の製造方法および熱電モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する手段として、以下に示すアプローチを行い、本発明を完成させるに至った。
【0014】
まず、前述した特許第2659309号に記載された方法、即ち、膜厚方向に積層した薄状粉を膜厚方向と平行にプレスする方法について検討し、次のような結論を得た。
【0015】
薄状粉自体は、層状構造化合物の基底面であるC面が膜厚方向に起立しているため、同文献に記載された薄状粉を膜厚方向に積層する構成は、電気的異方性を有効に利用した構成であると考えられる。
【0016】
さらに、同文献の段落0018の後半部には、次のような記載がある:
「・・・また、整列した結晶を有する薄膜を膜厚方向にプレス焼結させることで、各薄膜間の界面を消失させることができる。このため結晶が薄膜界面を越えて膜厚方向に成長し、比抵抗ρが小さくなると考えられる。」
この記載内容からすれば、膜厚方向のプレスによって、比抵抗ρの低減も期待できるため、当該技術は、熱電性能の向上に非常に有用であると考える。
【0017】
しかし、上記方法によって実際に製造した熱電素子の特性を調べてみると、期待した程度の熱電性能は得られなかった。急冷ロール法によって作製した薄状粉の結晶配向はかなり高いため、薄状粉本来の配向度からすれば、もっと高い熱電性能が得られてもよさそうなものであるがそれ程良好な熱電性能は得られなかった。加えて、結晶が薄膜界面を越えて膜厚方向に成長するのであれば、さらに優れた性能が期待できるはずであるが、この傾向も見られなかった。
【0018】
そこで、熱電性能が期待した程向上しない原因を追求したところ、この原因が膜厚方向のプレスにあることを発見した。つまり、この膜厚方向のプレスによって、薄状粉の内部では、薄状粉本来の結晶配向が乱れ、各薄状粉の界面では、面同士のぶつかり合いで、破壊等により微細な結晶粒が生じ(この状態を以下、「つぶれた状態」という)、これらが電気抵抗率ρを増加させる要因となっていたのである。
【0019】
従って、膜厚方向のプレスによって乱れた配向を整え、各薄状粉の界面で発生した結晶粒のつぶれを修正すれば、熱電性能を向上させることができそうである。このような観点から創作行為を繰り返した結果、「積層方向と直交する方向から押圧する」という発想を得、前述した課題の解決に有効な本発明を完成させるに至った。以下、この特徴ある発明を詳細に説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】
(発明の概要)
本発明の一の特徴は、薄状粉の積層体の押圧を積層方向と直交する方向から行うことにある。この積層方向と直交する方向から押圧するという概念は、従来の積層方向と平行に押圧するという常識から飛躍した全く新しい概念である。
【0021】
積層方向と直交する方向から押圧する技術的意義は、薄状粉の結晶配向を揃えることにある。即ち、該薄状粉中の結晶粒は、層状構造化合物で構成され、層状構造化合物の基底面であるC面は、押圧方向と垂直方向に起立しやすいという性質を有する。
【0022】
薄状粉の積層体は、もともと積層方向に沿って層状構造化合物のC面がほぼ起立配向しているため、積層方向と直交する方向から該積層体を押圧すれば、C面の起立配向度がより一層向上し、優れた熱電性能を得ることができる。
【0023】
上記作用は、従来の方法、即ち、積層方向と平行に押圧することによって発生した結晶配向の乱れを修正する手段として有用である。
【0024】
また、本発明の特徴である「積層方向と直交する方向からの押圧」は、各薄状粉の界面で発生した結晶粒のつぶれを修復する手段としても有用である。つまり、各薄状粉の界面では、層状構造化合物のC面がストレスの弱い方向に成長すると考えられるため、積層方向と直交する方向からの押圧によって、層状構造化合物のC面が起立配向し、または結晶粒が再成長し、界面における配向度が向上する。その結果、熱電半導体の電気的異方性が向上する。
【0025】
(基本事項)
まず、本発明の基本事項である層状構造化合物の結晶構造について説明する。結晶構造についての知識は本発明の理解に有用であるため、以下詳細に説明する。
【0026】
図1は、層状構造化合物の結晶構造を示す模式斜視図である。同図は、V族元素とVI族元素とを2対3の組成比で含む層状構造化合物の結晶構造を示したものである。また、同図に示す結晶構造は、V族元素として、ビスマス(Bi)およびアンチモン(Sb)を、VI族元素として、セレン(Se)およびテルル(Te)を想定したものである。
【0027】
同図に示すように、V族元素とVI族元素の化合物は、六方晶構造を有し、同図中六角形で示した部分が層状構造化合物の基底面であり、C面と称される結晶面である。層状構造化合物は、このC面がC軸方向に多数積層されるとともにA軸方向に広がった構造を有する。
【0028】
キャリアは、このC面と平行方向に最も流れやすいため、層状構造化合物の単結晶が最も電気的異方性の高い材料であると言える。しかし、前述したように層状構造化合物は、層間の結合力が層面内の結合力よりも弱いため、単結晶のまま熱電材料として使用することは材料強度の面で好ましくない。
【0029】
例えば、ビスマス−テルル系の層状構造化合物では、テルル原子の間に弱いファン・デル・ワールス結合が存在するため、著しい劈開性を有し、単結晶に近い状態では、熱電素子としての耐久性が不足している。そこで、通常は、層状構造化合物の多結晶が熱電半導体材料として使用される。
【0030】
図2は、層状構造化合物の多結晶の構造を示す模式斜視図である。同図に示すように、層状構造化合物の多結晶は、微細な結晶粒10の集合体であり、単結晶よりも優れた材料強度を得ることができる。
【0031】
また、各結晶粒10の界面(以下、「結晶粒界」という)では、フォノンが散乱されるため、複数の結晶粒10からなる多結晶体によって形成された熱電素子は、熱伝導率が低くなる傾向にある。従って、多結晶は、熱電性能の面からも好ましい構造である。
【0032】
一方、前述したように、電流キャリアは、層状構造化合物のC面に沿って流れやすいという性質を有するため、図2に示すように、各結晶粒10のC面が全て電流キャリアの進路に沿って起立した状態(以下、「起立配向」という)が最も電気抵抗率が低くなる。従って、多結晶材料を用いる場合には、各結晶粒10を起立配向させることが熱電性能を向上させる上で重要となる。
【0033】
ここで、熱電素子の熱電性能は、
[式1]
Figure 0004281079
ここで:Z=性能指数(1/K);α=ゼーベック係数(μV/K);σ=導電率(Ω−1cm−1);κ=熱伝導率(W/cmK);ρ=電気抵抗率(μΩ・cm)
上式で表される。
【0034】
上式を参照すれば、結晶粒10を微細化して熱伝導率κを低下させるとともに、各結晶粒10を起立配向させて電気抵抗率ρを低くすることが熱電性能の向上につながることがわかる。本発明では、熱電半導体材料を全ての結晶粒10が完全に起立配向している状態(以下、「完全起立配向」という)に可能な限り近づけて、電気抵抗率ρが最も低い状態を得ようとするものである。ここで、この「完全起立配向」について若干の定義づけを行っておく。
【0035】
図3は、完全起立配向した結晶粒の状態を示す模式斜視図である。同図に示す六角形のオブジェクトは、図2に示した結晶粒10を簡略化して示したものであり、該オブジェクトの六角面が結晶粒10のC面を表すものとする。
【0036】
同図に示すように、電流キャリアの進行方向をZ軸とした場合に、結晶粒10のC面がX軸およびY軸に対してどのように向いているかに拘わらず、該C面がZ軸に沿って起立している状態を完全起立配向と定義する。このように、完全起立配向した結晶粒で構成された多結晶が得られれば、熱電半導体材料としては理想的である。以下、このような完全起立配向に近づける手段として有効な本発明の構成を説明する。
【0037】
(発明の形態)
図4は、本発明に係る熱電半導体材料または素子の製造方法を概念的に示す模式斜視図である。以下、同図に基づいて本発明の構成を説明する。
【0038】
本発明では、まず、急冷ロール法によって製造した薄状粉12を膜厚方向に積層して積層体14を形成する。この積層体14を構成する薄状粉12は、同図下部に示した拡大図1を参照すれば明らかであるように、該薄状粉12中に含まれた結晶粒10のC面が積層方向に沿って起立配向した状態となっている。よって、薄状粉12を積層した段階では、結晶配向がほぼ理想的な状態となっている。ただし、同図中の拡大図2に示したように、起立状態ではあるが、実際はC面が異なる方向に向いたものも混在している。
【0039】
次に、薄状粉12の積層方向と平行な方向から積層体14を押圧するとともに(垂直押圧P1)、該積層方向と直交する方向から該積層体14を押圧する(側面押圧P2)。この垂直押圧P1と側面押圧P2は、同時に行ってもよいし、垂直押圧P1を行った後で、側面押圧P2を行ってもよい。これら押圧力の関係は、側面押圧P2の方が垂直押圧P1よりも大きくすることが好ましい。これは、垂直押圧P1の力を側面押圧P2の力よりも強くすると、結晶粒10が傾く傾向になると予想されるからである。
【0040】
また、垂直押圧P1は、積層体14の上面および下面を支持する程度の圧力で行い、各薄状粉12の積層方向に沿った動きを拘束した状態で側面押圧P2を行ってもよい。
【0041】
また、側面押圧P2は、積層体14の全ての側面に対して行うことが好ましく、より好ましくはその全てを均等な力で同時に押圧する。ここでいう側面とは、積層体14の積層軸を取り囲む面を意味する。このように均等な力で同時に押圧することによって、結晶粒10に均等な力が加わり、好適な起立状態が得られる。
【0042】
図5は、図4に示した押圧によって起こるものと考えられる半導体材料の変化を示す模式側面図である。同図(a)に示すように、薄状粉を積層した段階では、薄状粉12中の結晶粒10は起立配向している。しかし、その後、垂直押圧P1が行われると、同図(b)に示すように、薄状粉12中の結晶粒10の配向が乱れるとともに、各薄状粉12間の積層界面18で結晶粒のつぶれが生じる。従来の方法では、この段階で処理を完了していたために、期待した程熱電性能が向上しなかったものと考えられる。
【0043】
ところが、上記垂直押圧P1に加えて、側面押圧P2を行うと、同図(c)に示すように、薄状粉12内の結晶粒10が再配向するとともに、積層界面18内のつぶれた結晶粒のうち、倒れた結晶粒が起立し、あるいは微細な結晶粒10が再配向、若しくはストレスフリーの積層方向に粒成長を伴って再配向する。その結果、積層体14の起立配向度が全体的に向上する。この現象は、次のように説明できるものと考える。
【0044】
図6は、図5(b)の薄状粉12内で起こると考えられる現象を示す模式斜視図である。薄状粉12内では、同図に示すように、垂直押圧P1によって傾いた結晶粒または倒れた結晶粒(図中点線で示す)は、側面押圧P2によって起立し、薄状粉本来の結晶配向を取り戻す。その結果、図5(b)に示した薄状粉12中の結晶粒10が図5(c)に示すような状態となる。
【0045】
図7は、図5(c)の積層界面18内で起こると考えられる一現象を示す模式斜視図である。積層界面18では、同図に示すように、つぶれた結晶粒がストレスの弱い方向に選択的に成長する。これは、積層界面18内でつぶれた結晶粒が圧力の印加方向には成長しにくいことに起因するものと考えられる。この現象の結果として、積層界面が図5(c)に示す状態になるものと考えられる。
【0046】
以上のようにして得られた熱電半導体材料の積層方向に電極を取り付ければ、電気抵抗率の低い熱電素子を得ることができる。尚、上記垂直押圧P1または側面押圧P2時に積層体を加熱して焼結することは、本発明の範囲内である。
【0047】
以上説明した本発明によれば、垂直押圧P1に加えて側面押圧P2が行われるため、該垂直押圧P1によって乱れた薄状粉内の結晶配向および積層界面内の結晶粒のつぶれが修復される。その結果、多結晶材料の結晶配向が完全起立配向に近くなり、熱電性能の向上が期待できる。
【0048】
【実施例】
(要約)
急冷ロール法によって製造した薄状粉の積層体14を形成し、該積層体14の側面を第2のパンチ36−2で同時に押圧して、熱電半導体材料を製造する(図10参照)。
【0049】
(好適な実施例)
垂直押圧P1によって生じた結晶粒の乱れやつぶれを修復するという前述した技術思想は、熱電性能を向上させる上で非常に有用な考え方である。ここでは、この特徴ある技術思想を産業上好ましいと思われる態様で具現化した例を示す。尚、前述した構成要素のうち、特に説明を加える必要がないと思われるものについては、同一名称および同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、以下に示す実施例は、本発明の一具現化例であり、本発明を限定するものではない。
【0050】
図8は、本実施例に係る熱電素子の製造プロセスの全体構成を示す工程図である。以下、同図に基づいて、この製造プロセスの構成を説明する。
【0051】
まず、同図に示すように、半導体材料の原料となるビスマス(Bi)、テルル(Te)、セレン(Se)およびアンチモン(Sb)並びにドーパントとして使用する不純物を秤量し(ステップS10)、これらをルツボ30内に投入する。
【0052】
次に、上記原料が投入されたルツボ30を加熱して、該原料を溶融し、原料融液である溶湯を作製する(ステップS12)。
【0053】
続いて、上記ルツボ30内の溶湯を噴射ノズル32に供給し、これを回転する冷却ロール34の表面に滴下して、サブミクロンクラスの結晶粒を有する薄状粉12を急冷ロール法によって製造する(ステップS14)。本実施例で推奨する急冷ロール法の諸条件は、
[表1]
Figure 0004281079
上記の通りである。図13は噴射ノズル32の形状を示す図である。図13(a)は噴射ノズル32の側面を示す側面図であり、図13(b)は図13(a)のA−A断面を示すA−A断面図であり、図13(c)は図13(b)を矢視Bからみた矢視B図である。同図13に示すように噴射ノズル32の先端には、P型に適用される場合に口径φが0.4mmで厚さtが1.5mmで個数nが4個の噴射孔32aが設けられる。同様に噴射ノズル32の先端には、N型に適用される場合に口径φが0.6mmで厚さtが1.5mmで個数nが4個の噴射孔32aが設けられる。
【0054】
そして、上記冷却ロール34の表面に形成され、剥離して得られた薄状粉12を膜厚方向に複数積層する(ステップS16)。
【0055】
その後、上記積層によって得られた積層体14を積層方向に押圧する垂直押圧P1を行う(ステップS18)。その結果、積層体14が仮成形された状態となり、薄状粉の剥離が防止される。この垂直押圧P1は、次のようにして行う。
【0056】
図9は、垂直押圧P1の具体例を示す斜視図である。同図に示すように、垂直押圧P1は、積層体14の上面および下面に一対の第1のパンチ36−1を配置し、この一対の第1のパンチ36−1を操作して、該積層体14を上下方向に挟持して行う。
【0057】
その後、上記垂直押圧後の積層体14を側面方向からさらに押圧する側面押圧P2を行う(ステップS20)。その結果、上記垂直押圧P1によって乱れた結晶粒が再配向する。この側面方向からの押圧は、次のようにして行う。
【0058】
図10は、側面押圧P2の具体例を示す斜視図である。同図に示すように、側面押圧P2は、積層体14の4つの側面に二対の第2のパンチ36−2を配置し、この二対の第2のパンチ36−2を操作して、該積層体14の正面および背面と右側面および左側面をそれぞれ挟持して行う。
【0059】
本発明者は、垂直押圧P1と側面押圧P2が熱電性能に与える影響を調査するために、押圧条件を変化させた実験を行った。このときの押圧条件を以下に示す。
【0060】
[表2]
Figure 0004281079
ここで、上記表2に示すように、垂直押圧P1は、ホットプレス、放電プラズマ焼結法、HIP(Hot Isostatic Press)、CIP(Cold Isostatic Press)および一軸冷間プレスのそれぞれに対して行った。
【0061】
図11は、垂直押圧時の加熱温度、時間および圧力の関係を示すグラフである。表2に示した加熱温度、時間および圧力の変化範囲を図示すると同図のようになる。同図に示す範囲中の好ましい領域は、低温、低圧、短時間の領域である。これは、結晶粒の配向がなるべく乱れないように、また、積層界面における結晶粒の破壊がなるべく起こらないように、かつ、結晶粒の過度な成長を抑制するためである。
【0062】
上記実験によって得られた焼結体の熱電特性を以下に示す。尚、下表に示す結果は、ハーマン方によって測定したものである。このときの測定温度は、−60〜60度であり、測定雰囲気は真空である。
【0063】
[表3]
Figure 0004281079
上記表3に示すように、垂直押圧P1のみを行った場合に比べて、側面押圧P2を行った方が熱電性能が向上していることがわかる。
【0064】
図12は、本発明に係る熱電モジュールの構造を示す斜視図である。以上説明した方法によって製造された熱電半導体材料を用いて熱電モジュールを製造する場合には、同図に示すように、P型の積層体14−1およびN型の積層体14−2をそれぞれ形成し、該各積層体の上面および下面に一対の電極38を形成する。
【0065】
このとき、上記電極38は、P型の積層体14−1およびN型の積層体14−2の積層軸によって貫かれる位置に形成する。このような電極38の配置により、該電極38を介して供給された電流は、積層軸と平行な方向、即ち、電気抵抗率ρの低い方向に流れることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状構造化合物の結晶構造を示す模式斜視図である。
【図2】層状構造化合物の多結晶の構造を示す模式斜視図である。
【図3】完全起立配向した結晶粒の状態を示す模式斜視図である。
【図4】本発明に係る熱電半導体材料または素子の製造方法を概念的に示す模式斜視図である。
【図5】図4に示した押圧によって起こるものと考えられる半導体材料の変化を示す模式側面図である。
【図6】図5(b)の薄状粉12内で起こると考えられる現象を示す模式斜視図である。
【図7】図5(c)の積層界面18内で起こると考えられる一現象を示す模式斜視図である。
【図8】本実施例に係る熱電素子の製造プロセスの全体構成を示す工程図である。
【図9】垂直押圧P1の具体例を示す斜視図である。
【図10】側面押圧P2の具体例を示す斜視図である。
【図11】垂直押圧時の加熱温度、時間および圧力の関係を示すグラフである。
【図12】本発明に係る熱電モジュールの構造を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施例(薄状粉12の製造の実施例)に使用した噴射ノズルの形状を示す図である。
【符号の説明】
10…結晶粒、12…薄状粉、14…積層体、14−1…P型の積層体、14−2…N型の積層体、18…積層界面、30…ルツボ、32…ノズル、34…冷却ロール、36−1…第1のパンチ、36−2…第2のパンチ、38…電極、P1…垂直押圧、P2…側面押圧

Claims (5)

  1. 層状構造化合物の結晶粒(10)を複数含み、該層状構造化合物のC面が膜厚方向に沿って起立配向した薄状粉(12)を該薄状粉の膜厚方向に積層し、得られた積層体(14)を押圧して熱電半導体材料または熱電半導体素子を製造する方法において、
    前記押圧は、
    前記薄状粉の積層方向と直交する方向から行う
    ことを特徴とする熱電半導体材料または素子の製造方法。
  2. 前記押圧は、
    前記積層体の全ての側面に対して同時に行う
    ことを特徴とする請求項1記載の熱電半導体材料または素子の製造方法。
  3. 前記押圧は、
    前記薄状粉の積層方向に沿った動きを拘束した状態で行う
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱電半導体材料または素子の製造方法。
  4. 層状構造化合物の結晶粒(10)を複数含み、該層状構造化合物のC面が膜厚方向に沿って起立配向した薄状粉(12)を作製する工程と、
    前記薄状粉を膜厚方向に複数積層して積層体(14)を形成する工程と、
    前記積層体を前記薄状粉の積層方向に沿って押圧する第1の押圧工程と、
    前記第1の押圧工程における押圧方向と直交する方向から前記積層体をさらに押圧する第2の押圧工程と
    を具備する熱電半導体材料または素子の製造方法。
  5. 層状構造化合物の結晶粒(10)を複数含み、該層状構造化合物のC面が膜厚方向に沿って起立配向した薄状粉(12)を作製する工程と、
    前記薄状粉を膜厚方向に複数積層して積層体(14)を形成する工程と、
    前記積層体を前記薄状粉の積層軸に沿って押圧する第1の押圧工程と、
    前記第1の押圧工程における押圧方向と直交する方向から前記積層体をさらに押圧する第2の押圧工程と、
    前記第2の押圧工程によって得られたP型およびN型の積層体の上面および下面に、該積層体を貫く積層軸上に位置する一対の電極を形成する工程と
    を具備する熱電モジュールの製造方法。
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