JP4280160B2 - 誘電体共振器及び誘電体フィルタ並びに高周波モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、主としてミリ波帯で好適に利用される誘電体共振器及び誘電体フィルタ並びにこの誘電体フィルタを用いた高周波モジュールに関するものである。
近年、ミリ波帯において無線LANなどの通信システムが検討されており、それに用いる受動素子の研究も盛んに行われている。
ミリ波帯における受動素子の課題は、小型化、低コスト化である。低コスト化に対して問題となっているのは、小さな寸法に対する量産可能な加工精度である。通常、マイクロ波帯で大量生産している技術をミリ波へ応用しようとすると部品が小さくなりすぎるため、量産可能な加工精度では、寸法のばらつきが大きくなってしまう。このため、部品の単価が高いという結果となってしまっていた。
1999年、ミリ波帯に利用される誘電体共振器として、誘電体基板に多角形状の開口を設けた誘電体共振器が提案された(特許文献1参照)。この誘電体共振器は、図10に示されるように、2枚の金属導体12,12で囲まれた空間の中央部に誘電体基板11が配置されている。金属導体12,12の上部及び下部には、間隔をおいて導体板16,16が配置されている。金属導体12,12には、誘電体の一部が露出するように矩形状のスロット13a,13bが設けられている。
特許文献1では、この構造にした利点として、スロットの作製にフォトリソグラフィ技術を使うことが可能となり、その結果、寸法の加工精度の問題を解決している。この誘電体共振器はミリ波帯用のフィルタに利用されている。
特開平11-4108号公報
しかしながら、前記誘電体共振器を用いてフィルタを設計する場合、上下のスロットの軸ずれが起こると、共振周波数が設計値から外れる可能性がある。この共振周波数の変化がフィルタを作製するときの設計誤差となる。
前記誘電体共振器をミリ波帯へ用いるためには、スロットの直径を小さくする必要があるが、スロットが小さくなればなるほど、上下のスロットの軸ずれに対する共振周波数の設計値からのずれが大きくなると予想される。
本発明は、スロットの軸ずれがないような構造をとることで共振周波数の設計精度を大きく向上できる誘電体共振器及び誘電体フィルタ並びにこの誘電体フィルタを用いた高周波モジュールを提供することを目的とする。
また、本発明は、製造工程を簡略化でき、低コスト化できる誘電体共振器及び誘電体フィルタ並びにこの誘電体フィルタを用いた高周波モジュールを提供することを目的とする。
(1)本発明者は、導体板で挟まれた共振空間の中心部ではなく、導体板に誘電体基板を寄せて配置し、その上から電極を被せ、この電極に矩形のスロットを形成して、前記誘電体基板が一部露出するようにして誘電体共振器を構成した。
すなわち、本発明の誘電体共振器は、誘電体板と、当該誘電体板の両面に、当該誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面から所定の間隔を置いて一方の面が対向するように導体板を支持するために、前記片側の電極板に取り付けられた側面支持部材と、前記導体板とを備え、前記側面支持部材が取り付けられた前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、前記側面支持部材は遮蔽導体で形成されているものである。
また、前記側面支持部材は誘電体で形成されているものであってもよい。
この構成によれば、本発明の誘電体共振器は、従来の誘電体共振器に比べて、スロットが1つでよいので、その軸ずれを考慮しなくて良いように構造を簡略化できる。したがって、従来より容易に誘電体共振器の製作が可能となる。しかも、一方の電極板に誘電体板が接触しているので、誘電体板に入り込む電界強度が弱く、電界のエネルギーが小さい。このため、従来の誘電体共振器に比べて、周波数を高く設計でき、ミリ波帯の誘電体共振器として適している。周波数が同じであれば、従来の誘電体共振器に比べて大きくできるので、製造時の加工誤差に対する要求が緩和され、誘電体共振器の製造が容易になる。また、寸法の加工精度が同じであれば、共振周波数の精度が従来よりもよくなるので、特性の揃った歩留まりの良い誘電体共振器を製作することができる。
このため、本発明の誘電体共振器を用いることで、特にミリ波帯において、低コスト、小型化、高性能化が期待できる誘電体フィルタ及び高周波モジュールを実現することができる。
また、本発明の誘電体共振器は、前記スロットが矩形であるので、縦横2つの共振モードを有する誘電体共振器となる。
記電極板と前記導体板とで形成される空間の高さは、前記電極板と前記導体板で挟まれた高周波信号の導波領域の遮断周波数が共振周波数よりも大きくなるように設定することが望ましい。こうすれば、電磁波が側面から漏れ出すのを防ぐことができる。
前記矩形スロットの周囲の全部に、前記誘電体板を貫通するビアホール導体を所定の間隔を置いて複数個設けることとすれば、前記電極板と電極板で挟まれた誘電体基板の導波領域において、電磁波を閉じこめることができ、電磁波が側面から漏れ出すのを防ぐことができる。
前記両電極板で挟まれた領域における前記誘電体板の厚み及び比誘電率は、前記電極板で挟まれた高周波信号の導波領域の遮断周波数が共振周波数よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。こうすれば、遮蔽導体を設けなくても、電磁波が誘電体基板の側面から漏れ出すのを防ぐことができる。
本発明の誘電体共振器は、第1の誘電体板と、当該第1の誘電体板の両面に、当該第1の誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面一方の面が接触した状態で配置された第2の誘電体板と、当該第2の誘電体板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された導体板とを備え、前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、当該矩形スロットの周囲の全部に、前記第1及び第2の誘電体板の少なくとも一方を貫通するビアホール導体を所定の間隔を置いて複数個設けたことを特徴とする。
この構造の誘電体共振器は、電極板と導体板とで形成される空間を、第2の誘電体板に置き換えている。第2の誘電体板を用いたこの構造であっても、スロットが1つでよいので、その軸ずれを考慮しなくて良いように構造を簡略化できる。したがって、従来より容易に誘電体共振器の製作ができる。特に、電極板と導体板とで形成される空間に第2の誘電体板を介在させているので、電極板、第1の誘電体板、電極板、第2の誘電体板、導体板をモノリシックに積み重ねた構造とすることができ、製作がさらに容易になり、量産に向いている。
また前記矩形スロットの周囲の全部に、前記第1及び第2の誘電体基板の少なくとも一方を貫通するビアホール導体を所定の間隔を置いて複数個設けた構造としたので、電磁波が誘電体共振器の側面から漏れ出すのを防ぐことができる。
本発明の誘電体共振器は、第1の誘電体板と、当該第1の誘電体板の両面に、当該第1の誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された第2の誘電体板と、当該第2の誘電体板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された導体板とを備え、前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、前記第1の誘電体板の厚み及び比誘電率は、前記両電極板で挟まれた高周波信号の導波領域の遮断周波数が共振周波数よりも大きくなるような値に設定されているとともに、前記第2の誘電体板の厚み及び比誘電率は、前記片側の電極板と前記導体板とで挟まれた高周波信号の導波領域の遮断周波数が共振周波数よりも大きくなるような値に設定されていることを特徴とする
(2)また、本発明の誘電体フィルタは、第1の誘電体板と、当該第1の誘電体板の両面に、当該第1の誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された第2の誘電体板と、当該第2の誘電体板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された導体板とを備え、前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、記電極板と前記導体板とで挟まれた前記第2の誘電体板に、高周波信号を入力する入力電極と、高周波信号を出力する出力電極とを設けたことを特徴とする。
この構成のフィルタによれば、前記誘電体共振器の特徴を利用した誘電体フィルタの製作ができる
前記入力電極又は出力電極の、少なくとも一方又は両方は、コプナ線路、ストリップ線路、又はマイクロストリップ線路で形成することができる。
(3)前記誘電体フィルタを高周波モジュールに搭載することにより、低コスト、小型で性能の優れたミリ波レーダ、無線LAN、ホットスポット、アドホック無線システム用の高周波モジュールを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の誘電体共振器の構造を示すための斜視図、図1(b)は断面図である。
誘電体共振器は、平面状の上部電極6の下に一定厚みH1の誘電体基板1を、誘電体基板1が上部電極6の下面に接触した状態で配置している。誘電体基板1の下には、幅W・長さLの矩形スロット3が形成された下部電極2を、下部電極2が誘電体基板1の下面に接触した状態で設置している。
さらに、下部電極2にそれぞれ直方体状の側面支持部材5a,5bを取り付け、側面支持部材5a,5bの下面に平面状の導体板4を取り付けている。下部電極2、導体板4、側面支持部材5a,5bにより囲まれた空間をSで表す。
これらの上部電極6、誘電体基板1、下部電極2、矩形スロット3及び空間Sにより構成される空間、特に矩形スロット3近傍の空間において、誘電体共振器を構成している。
前記矩形スロット3の寸法L,Wが互いに異なる場合、この誘電体共振器は、縦横2つの共振モードを有する。縦モードの共振周波数は寸法Lに依存し、横モードの共振周波数は寸法Wに依存する。前記矩形スロット3の寸法L又はWは、共振させようとする高周波信号の伝搬波長の半波長の整数倍とする。
前記矩形スロットを略正方形の形状にした場合、縦横2つの共振モードは、1つの共振モードに縮退する。したがって、例えば縦モードに信号を入力し、横モードから信号を取り出すような誘電体フィルタが簡単な構成で実現できる(後述)。
空間Sの高さH2は、高周波信号の共振する周波数において、空間Sを電磁波がz方向に伝搬する場合に、このz方向の伝搬モードが遮断領域となるような高さに選ぶ必要がある。具体的には、遮断周波数fcと表記することにすると、共振周波数fが、
f<fc
となるような条件で共振器を使用する必要がある。これは、導体3,4間の空間S内の電磁波が側面から漏れ出すのを防ぐためである。なお、共振周波数fcは、
fc=1/2・H2√(με0
で表される(μは透磁率、ε0は空気の誘電率である)。
前記側面支持部材5a,5bは、導体でも誘電体でもよい。側面支持部材5a,5bが導体であれば、誘電体共振器内の電磁波を側面から簡単にシールドできるので、好ましい。
側面支持部材5a,5bが誘電体である場合、シールド効果がないが、前述したように、空間Sの高さH2が、空間Sから電磁波が側面に漏れ出さないような高さに設定されているので、誘電体であっても問題はない。
なお、図1では、空間Sは、+z方向及びーz方向の端面が開いているが、この端面に、さらに側面支持部材を設置してもよい。この場合も、側面支持部材は、導体でも誘電体でもよい。側面支持部材が導体であれば、誘電体共振器内の電磁波を側面から簡単にシールドできるので好ましい。側面支持部材が誘電体である場合シールド効果がないので、前述したように、空間Sの高さH2を、空間Sから電磁波が側面に漏れ出さないような高さに設定しておく必要がある。
以上をまとめると、(1)側面支持部材が、空間Sを、+z方向、ーz方向、+x方向、ーx方向の四端面から取り囲み、かつ、すべての側面支持部材が導体である場合、空間Sの高さH2に制限はなく、電磁波が側面に漏れ出さないような高さに設定しておかなくてもよい。(2)空間Sのいずれかの端面が開いている場合、又はいずれかの側面支持部材が誘電体からなる場合は、空間Sの高さH2は、電磁波が側面に漏れ出さないような高さに設定しておく必要がある。
一方、誘電体基板1は、上部導体6と下部電極2とで挟み込まれた平行平板の構造となっているが、誘電体基板1の側面から横方向x,zに電波が漏れ出さないためには、平行平板の遮断周波数fc′を超えない周波数領域で設計を行う必要がある。すなわち、
f<fc′
という設定にする。
従来のマイクロ波帯では、あまり考慮する必要がなかったが、ミリ波帯では波長が短いので、誘電体基板1の厚みH1が厚く、比誘電率εが高い試料では、遮断周波数fc′を超える場合も生じる。平行平板の遮断周波数fc′は、次式で表される(μは透磁率)。
fc′=1/2・H1√(μεε0
したがって、誘電体基板1の厚みH1、比誘電率εは、使用する周波数が遮断周波数fc′を超えないように選ぶ必要がある。
なお、誘電体基板1の周囲にビアホール導体を埋め込むことにより、誘電体基板1の側面を遮蔽してもよい。図2(a)は、前記誘電体基板1の周囲を貫通するビアホール導体5cを所定の間隔を置いて複数個埋め込んだ状態を示す斜視図であり、図2(b)は同断面図である。この構造であれば、ビアホール導体5cの遮蔽によって、誘電体基板1の側面から横方向x,zに電波が漏れ出さないようにすることができるので、誘電体基板1の厚みH1、比誘電率εが前記式を満たすように考慮する必要がない。ビアホール導体は、誘電体基板に形成した貫通孔にメッキ処理するか、導体ペーストを充填するかして形成する。
ところで、この誘電体共振器の、矩形スロット3付近の内部電界は、上部電極6、導体板4の表面でそれぞれゼロになり、それから離れるに従って増大する。このため、上部電極6に接して配置された誘電体基板1に蓄積される電界エネルギーは、誘電体基板1を上部電極6から離して設置している場合と比べて小さくなる。このため、同じ条件(誘電体厚みH1、比誘電率ε、空間Sの高さH2等)で設計した場合、本発明の誘電体共振器の誘電体共振器は、従来の誘電体共振器(図7)に比べて周波数を高く設計でき、ミリ波帯の誘電体共振器として適している。周波数が同じであれば、従来の誘電体共振器に比べて高さH1、H2、矩形スロットの大きさW、Lを大きくできる利点がある。
この結果、誘電体共振器製造時の加工誤差に対する要求が緩和され、誘電体共振器の製造が容易になる。また、寸法の加工精度が同じであれば、共振周波数の精度が従来よりもよくなるので、特性の揃った歩留まりの良い誘電体共振器を製作することができる。
図3は、本発明の誘電体共振器のさらに他の構造を示す断面図である。
この誘電体共振器は、平面状の電極6の下に一定厚みの第2の誘電体基板1b(以下単に「誘電体基板1b」という)を、誘電体基板1bが電極6の下面に接触した状態で配置し、誘電体基板1bの下に、スロット3が形成された電極2を、電極2が誘電体基板1bの下面に接触した状態で設置している。
さらに、電極3の下面に一定厚みの第1の誘電体基板1a(以下単に「誘電体基板1a」という)を設置し、その下に平面状の導体板4を取り付けている。誘電体基板1bは、必ずしも誘電体基板1aと比誘電率が同じである必要はない。
これらの電極6、誘電体基板1b、電極2、誘電体基板1a、スロット3、導体板4により誘電体共振器を構成している。
なお、図2を用いて説明したように、誘電体基板1a及び/又は誘電体基板1bの周囲にビアホール導体を埋め込んで、側面をシールドする構造としてもよい。
この構造によれば、誘電体基板1a,1bを積層することで一体に成形できるという利点がある。その製造方法については、後に説明する。
誘電体基板1aは、導体4と電極2とで挟み込まれた平行平板の構造となっているが、誘電体基板1aの側面方向に電波が漏れ出さないためには、平行平板の遮断周波数を超えない周波数領域で設計を行う必要がある。
誘電体基板1bも、電極2,6で挟み込まれた平行平板の構造となっているが、誘電体基板1bの側面方向に電波が漏れ出さないためには、誘電体基板1aの場合と同様、平行平板の遮断周波数を超えない周波数領域で設計を行う必要がある。
なお、誘電体基板の側面をシールドする構造とした場合は、電波はこのシールドにより外へ漏れ出さないので、前述したような平行平板の遮断周波数を超えない周波数領域を用いる必要はない。
図4(a)は、本発明の誘電体フィルタの構造を示す斜視図、図4(b)は断面図である。
この誘電体フィルタは、下部電極2に、2つの矩形スロット3a,3bを形成することにより、2つの誘電体共振器を作り、空間S内のそれぞれの誘電体共振器の近傍に、入力電極となるマイクロストリップ線路7aと、出力電極となるマイクロストリップ線路7bとを配置している。
前記入力電極又は出力電極は、コプナ線路、ストリップ線路などを用いてもよい。
この誘電体フィルタを実用化する場合、2つの誘電体共振器が同じ共振周波数を持つように揃える必要があるが、特にミリ波帯へ応用する場合、2つの矩形スロット3a,3bの設計値からの誤差に対する共振周波数のばらつきが、従来の誘電体共振器(図7)よりも緩和される。したがって、寸法の加工精度が同じであれば、共振周波数の精度が従来よりも改善され、特性の揃った歩留まりの良い誘電体フィルタを製作することができる。
図5(a)は、本発明の誘電体フィルタの他の構造を示す斜視図、図5(b)は断面図である。入出力電極の図示は省略している。
この図5の構造を、図1の構造と比較すると、下部電極2に形成されたスロット3の形状が、図1の構造が長方形となっているのに対して、正方形であるところが相違する。このように、正方形のスロット3を設けることによって、縦横の2つの共振モードが縮退して、単一周波数の2重共振モードが励起される。したがって、共振モード間でモード結合が起こりやすくなるので、このモード結合を利用して、例えば、高周波信号を縦モードで入力し、横モードで取り出す、単一のスロットを持った誘電体フィルタを製作することができる。
入力電極と、出力電極との配置は、図示していないが、一方が縦モードに対応する配置、他方が横モードに対応する配置となるようにする。例えば、入力電極と出力電極との対向角度が90°になるようにする。
図6は、本発明の誘電体フィルタの他の構造例を示す縦断面図である。入出力電極の図示は省略している。
この図6において、下部導体4上に誘電体基板1aを配置し、誘電体基板1aに、開口部3cが形成された導体2aを設置している。また、上部導体6に誘電体基板1bを配置し、誘電体基板1bに、開口部3dが形成された導体2bを設置している。導体2a,2bは支持部材5a,5bにより支持されている。支持部材5a,5bは、導体でも誘電体でもよい。誘電体であるときはそれ自体遮蔽効果がないので、空間Sの高さH2を、使用する周波数において、上下導体2a,2b間を電磁波が横方向に伝搬する場合に伝搬モードが遮断領域となるような高さに選ぶ必要がある。誘電体基板1a、誘電体基板1bの厚さについても、電磁波が誘電体基板1a又は誘電体基板1bを横方向に伝搬する場合に伝搬モードが遮断領域となるような厚さに選ぶ必要がある。
二つの開口部3c,3dの少なくとも一部は、対向して配置される。この図6の誘電体フィルタは、縦に並べられた誘電体共振器の結合を利用した構造であり、図4の構造に比べて、誘電体フィルタの横幅を小さくすることができる。また、二つの開口部3c,3dは、従来の図7の構造のように厳密に重なっている必要はなく、多少の寸法のずれが許容される点でも、優れている。
以上の構造の誘電体共振器を製造するときは、例えば、ガラスエポキシ樹脂などの有機系誘電体基板に対して、銅箔などの導体によって導体パターンを形成し、積層して熱硬化させるか、又は、セラミック材料などの無機系誘電体基板に種々の導体パターンを形成し、これらを積層後同時に焼成したものが用いられる。
特に、セラミック材料を用いれば、セラミック誘電体の比誘電率は通常5から25と、樹脂基板に比べて高いので、誘電体層を薄くでき、素子の小型化に有効である。
とりわけ、ガラスセラミックスなどの低温で焼成が可能なセラミック材料を用いると、導体パターンを低抵抗の銅、銀などによって形成することができるので望ましい。
本発明の誘電体共振器は、特にミリ波帯において最も効果があり、低コストかつ小型化が期待できる。
つぎに、前記誘電体共振器と各種高周波デバイスとを組み合わせた高周波モジュールについて説明する。
図7は、ミリ波帯高周波モジュールの構成の一例を示すブロック図である。高周波モジュールは、アンテナ端子ANTに接続され、送信系と受信系とを切り替えるフィルタからなるデュープレクサ21と、デュープレクサ21から出力される受信信号を増幅するための低雑音増幅器22と、デュープレクサ21に接続され、所定の送信通過帯域の送信信号を増幅する高周波増幅回路23とを多層基板に実装してなるものである。
本発明の誘電体共振器を使ってフィルタ素子を構成し、このフィルタ素子をデュープレクサ21に組み込むことにより、高周波モジュールの低コスト化や小型化に有効となる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
図1に示した誘電体共振器を想定して、アンソフト社製有限要素法ソフトHFSSを用いて、電磁界解析を行った。
計算条件は、誘電体基板1の厚さH1を1.5mm,比誘電率を2.5とする。空間Sの厚さH2=1.0mm、下部電極2に設けられた矩形スロットの幅W=2.22mm、長さL=4.60mmとした。下部電極2の厚さは、H1やH2に比べて無視できるほど薄く、誘電体共振器の全厚さは2.5mmとなる。電極の導電率は銅の値、58×10S/mとした。方向x及び方向zの終端面は開放端としている。
励振は、図8に示すように、空間Sに設けた入力ストリップライン7a,出力ストリップライン7bにより行った。
この構造における電界分布を図8にEで示す。これより、誘電体共振器は、半波長共振器として動作していることが確認できる。
50GHzから51GHzにかけて周波数掃引を行い、Sパラメータの伝送特性S21および反射特性S11を算出した。この計算結果を図9に示す。この結果から、共振周波数は、50.4GHzであることがわかった。
(a)は本発明の誘電体共振器の構造の一例を示すための斜視図、(b)は断面図である。 (a)は本発明の誘電体共振器の他の構造例を示すための斜視図、(b)は断面図である。 本発明の誘電体共振器のさらに他の構造例を示すための断面図である。 (a)は本発明の誘電体フィルタの構造の一例を示すための斜視図、(b)は断面図である。 (a)は、本発明の誘電体フィルタの他の構造例を示す斜視図、図5(b)は断面図である。 本発明の誘電体フィルタのさらに他の構造例を示す断面図である。 ミリ波帯高周波モジュールの構成の一例を示すブロック図である。 本発明の誘電体共振器の矩形スロットにおける電界Eの分布を示す平面図である。 入力側の反射損失S11、入出力間の透過損失S21を示すグラフである。 従来の誘電体共振器の構造図の一例を示す斜視図及び断面図である。
符号の説明
1,1a,1b 誘電体基板
2,2a,2b 電極板
3,3a,3b 矩形スロット
4 導体
5a,5b 支持部材
6 電極板
7a,7b 入出力電極

Claims (13)

  1. 誘電体板と、当該誘電体板の両面に、当該誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面から所定の間隔を置いて一方の面が対向するように導体板を支持するために、前記片側の電極板に取り付けられた側面支持部材と、前記導体板とを備え、
    前記側面支持部材が取り付けられた前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、前記側面支持部材は遮蔽導体で形成されていることを特徴とする誘電体共振器。
  2. 誘電体板と、当該誘電体板の両面に、当該誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面から所定の間隔を置いて一方の面が対向するように導体板を支持するために、前記片側の電極板に取り付けられた側面支持部材と、前記導体板とを備え、
    前記側面支持部材が取り付けられた前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、前記側面支持部材は誘電体で形成されていることを特徴とする誘電体共振器。
  3. 前記電極板と前記導体板とで形成される空間の高さは、前記電極板と前記導体板で挟まれた高周波信号の導波領域の遮断周波数が共振周波数よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項に記載の誘電体共振器。
  4. 前記矩形スロットの周囲の全部に、前記誘電体板を貫通するビアホール導体を所定の間隔を置いて複数個設けたことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の誘電体共振器。
  5. 前記両電極板で挟まれた領域における前記誘電体板の厚み及び比誘電率は、前記電極板で挟まれた高周波信号の導波領域の遮断周波数が共振周波数よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の誘電体共振器。
  6. 第1の誘電体板と、当該第1の誘電体板の両面に、当該第1の誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面一方の面が接触した状態で配置された第2の誘電体板と、当該第2の誘電体板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された導体板とを備え、
    前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、当該矩形スロットの周囲の全部に、前記第1及び第2の誘電体板の少なくとも一方を貫通するビアホール導体を所定の間隔を置いて複数個設けたことを特徴とする誘電体共振器。
  7. 第1の誘電体板と、当該第1の誘電体板の両面に、当該第1の誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された第2の誘電体板と、当該第2の誘電体板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された導体板とを備え、
    前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、前記第1の誘電体板の厚み及び比誘電率は、前記電極板で挟まれた高周波信号の導波領域の遮断周波数が共振周波数よりも大きくなるような値に設定されているとともに、前記第2の誘電体板の厚み及び比誘電率は、前記片側の電極板と前記導体板とで挟まれた高周波信号の導波領域の遮断周波数が共振周波数よりも大きくなるような値に設定されていることを特徴とする誘電体共振器。
  8. 第1の誘電体板と、当該第1の誘電体板の両面に、当該第1の誘電体板に一方の面が接触した状態でそれぞれ配置された電極板と、そのいずれか片側の前記電極板の他方の面一方の面が接触した状態で配置された第2の誘電体板と、当該第2の誘電体板の他方の面に一方の面が接触した状態で配置された導体板とを備え、
    前記片側の電極板には、矩形スロットが形成されており、前記電極板と前記導体板で挟まれた前記第2の誘電体板に、高周波信号を入力する入力電極と、高周波信号を出力する出力電極とを設けたことを特徴とする誘電体フィルタ。
  9. 前記矩形スロットを略正方形の形状にしたことを特徴とする請求項8に記載の誘電体フィルタ。
  10. 前記矩形スロットを複数備えたことを特徴とする請求項8に記載の誘電体フィルタ。
  11. 前記入力電極又は出力電極の、少なくとも一方又は両方は、コプナ線路、ストリップ線路、又はマイクロストリップ線路で形成されている請求項から請求項10のいずれかに記載の誘電体フィルタ。
  12. 前記請求項1から請求項のいずれかに記載の誘電体共振器と高周波デバイスとを組み合わせたことを特徴とする高周波モジュール。
  13. 前記請求項から請求項11のいずれかに記載の誘電体フィルタと高周波デバイスとを組み合わせたことを特徴とする高周波モジュール。
    ル。
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