JP4280061B2 - 鉄道車両の乗降口音声出力システム - Google Patents

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聡 山本
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両に対する乗降者(乗客)へ向けた音声を出力する鉄道車両の乗降口音声出力システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
乗客を大量輸送する、電車、列車、気動車、モノレール等(以下「鉄道車両」という)の編成車両には、車両に対する乗降口を通って乗り降りする乗客(乗降客)に対して音声を出力する乗降口音声装置が設けられている。乗降口音声装置は、車両の乗降口に設けられた扉(ドア)付近に設置される乗降口音声器と、ドアスピーカとを具備しており、扉の開閉に合わせて音声(人の声、チャイム音等)を出力することで、乗降客に注意を促す。
【0003】
従来、乗降口音声装置が車両に設置される場合には、この乗降口音声装置用の特別の電源が、扉の開閉用の電源とは別個に用意されていた。
【0004】
図4は、従来における乗降口音声装置の概略構成図である。図4に示すように、乗降口音声装置は、例えば、車両の第1の側(例えば海側)、第2の側(例えば海側に対する山側)にそれぞれ設けられる複数の乗降口に対して共通に使用される乗降口音声器32と、第1の側用のドアスピーカ13,14と、第2の側用のドアスピーカ13’,14’とで構成される。なお、図4には、扉の開閉用の元電源線3と、第1および第2の側の扉を手動操作により開閉するための各開閉手動スイッチ4,4’と、第1および第2の側の扉を開閉するための制御信号を伝達するための各扉開閉制御線5,5’とが示されている。
【0005】
図4において、第1の側(海側)の扉開閉手動スイッチ4を用いて扉の開操作を行うと、扉開閉制御元電源線3から第1の側の扉開閉制御線5に編成車両全ての扉に対し、扉開用の制御電圧が加圧され、図示されない各扉の電磁弁が動作して扉が開かれる。これと同時に、扉開閉制御線5より乗降口音声器32の音声チャンネル起動制御およびドアスピーカ出力先選択制御回路9に扉開閉制御条件が入力されると、予め設定された放送パターン設定器10の内容に従い、案内放送音源部および放送制御部11から例えば図3の選定されたパターンの音声が、扉開制御条件により例えば、図2の如く扉が開くと同時にドアスピーカ13,14から放送される。
【0006】
扉開閉手動スイッチ4で扉閉の操作を行うと、扉開閉制御線5の加圧はなくなり、図示されない扉開閉用の電磁弁は「切り」となり、各車両の第1の側の各扉は閉となる。一方、乗降口音声器32にも扉閉制御条件が入力されるので、予めパターン設定された音声をドアスピーカ13,14から放送して、一連の扉開閉に連動して乗り降りする乗降客に対し注意を促す案内放送は終了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、乗降口音声装置を取り付ける場合には、乗降口音声装置用の特別な電源を用意する必要がある。このため、特別な電源用の電源線が必要となる。この点について、新造車両に特別な電源および電源線を用意することは簡単に行うことができる。
【0008】
しかし、在来車と言われる既設車両にあっては、その扉(乗降口)付近に特別な電源の電源線として利用できる余りの電線はなかった。このため、新たに電源線を敷設しなければ、乗降口音声装置を設置および運用することができなかった。このため、既設車両に対する乗降口音声装置の設置に要する費用,時間,工数等のコストがかさむ可能性があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、新たな電源線を敷設することなく設置および運用可能な鉄道車両の乗降口音声装置に係る技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した課題を解決するために以下の構成を採用する。
すなわち、本発明は、鉄道車両の乗降口の扉付近に設置され音声を出力する乗降口音声装置と、乗降口音声装置用の電源電圧を出力する乗降口電源装置とを備え、
前記乗降口音声装置は、扉開閉用の制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されている場合にはこの制御線を通じて自身に入力される扉開閉用の制御電圧を変圧することで乗降口音声装置用の電源電圧を生成して動作し、前記制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されていない場合には前記乗降口電源装置から前記制御線を通じて自身に入力される乗降口音声装置用の電源電圧により動作する
乗降口音声出力システムである。
【0011】
本発明によれば、乗降口音声装置は、扉開閉用の制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧(印加)されている場合には、この制御電圧を変換(変圧)して得られる電源電圧により動作し、制御電圧が加圧されていない場合には、制御線を通じて乗降口電源装置から供給される電源電圧で動作する。
【0012】
このように、乗降口音声装置は、既存の扉開閉用の制御線から得られる電圧を用いて動作することができ、その電源電圧として使用される電圧は、既存の扉開閉用の制御線を用いて供給される。従って、乗降口音声装置の設置および運用に当たり、新たな電源線を用意する必要がない。従って、乗降口音声装置を低コストで既存車両に導入することができる。
【0013】
乗降口音声装置は、車両の乗降口(扉)毎に用意され、乗降口電源装置は、1以上の鉄道車両からなる編成に対して一台設けられ、電源電圧の供給は編成を構成する1以上の鉄道車両に引き通された扉開閉用の制御線を通じて行われる。
【0014】
本発明に係る乗降口音声出力システムは、前記乗降口音声装置が、前記制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されているときに第1のパターンの音声を出力し、その後、前記制御線に対する制御電圧の加圧が停止した場合に、第2のパターンの音声を出力するように構成するのが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る乗降口音声出力システムは、前記乗降口音声装置が、前記制御線から入力される乗降口電源装置からの電源電圧の異常を検出する異常検出部とを含み、
前記異常検出部は、前記異常を検出した場合には、前記制御線と扉開閉用の電磁弁との間に設けられ前記制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されているときに開状態となる保護用接点を閉状態に切り替えるとともに、前記乗降口音声装置内における前記乗降口電源装置からの電源電圧の伝達経路を開放するように構成するのが好ましい。
【0016】
このようにすれば、異常検出部が異常(異常電圧または異常電流の少なくとも一方)を検出すると、その異常電圧または異常電流は電磁弁の方向に流れるとともに、乗降口音声装置内を流れることが防止されるので、乗降口音声装置の異常動作を防止(保護)することができる。
【0017】
また、本発明に係る乗降口音声出力システムは、前記乗降口音声装置が、前記制御線に対する扉開閉用の制御電圧の加圧を検出する制御電圧検出部を含み、
前記制御電圧検出部は、前記制御電圧を検出していない場合には、前記制御線と扉開閉用の電磁弁との間に設けられた電磁弁の制御用接点を開状態にし、前記制御電圧を検出している間は、前記制御用接点を閉状態にするように構成するのが好ましい。このようにすれば、乗降口音声装置が、扉開閉用の電磁弁を制御することができる。
【0018】
また、本発明に係る乗降口音声出力システムは、前記乗降口電源装置が、車両の走行速度が所定値未満で且つブレーキ操作が行われていることを条件として前記制御線に対し乗降口音声装置用の電源電圧を出力するように構成するのが好ましい。
【0019】
このように構成すれば、車両が所定値以上で走行中には電源電圧の供給が行われないように乗降口電源装置を制御することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る乗降口音声出力システムは、前記乗降口電源装置が、前記制御線に出力すべき乗降口音声装置用の電源電圧の異常を監視し、この異常を検出した場合には、電源電圧の出力を停止するように構成するのが好ましい。
【0021】
このようにすれば、異常な電源電圧が乗降口音声装置に供給されるのを防止することができる。
【0022】
また、本発明は、鉄道車両の乗降口の扉付近に設置され音声を出力する鉄道車両の乗降口音声装置であって、扉開閉用の制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されている場合には、この制御線を通じて自身に入力される扉開閉用の制御電圧を変圧することで乗降口音声装置用の電源電圧を生成して動作し、前記制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されていない場合には、乗降口電源装置から前記制御線を通じて自身に入力される乗降口音声装置用の電源電圧により動作する。
【0023】
また、本発明は、鉄道車両の乗降口電源装置であって、鉄道車両の乗降口の扉付近に設置され扉開閉用の制御線に加圧された扉開閉用の制御電圧を変圧することで自身の電源電圧を生成して動作し音声を出力する乗降口音声装置に前記制御線を通じて接続され、前記制御電圧が前記制御線に加圧されていない場合において前記乗降口音声装置が動作するための乗降口音声装置の電源電圧を前記制御線に出力する。
【0024】
【発明の実施の形態】
〔本実施形態の概要〕
本発明は、車両の扉付近に設備される乗降口音声装置である。この乗降口音声装置の電源には特別な電源線を敷設する必要がなく、(1)乗降口音声装置と、(2)乗降口電源装置とを備えることを特徴とする。
【0025】
本装置の乗降口音声装置によると、車両が停車中か速度が毎時約5km以下とブレーキ操作が入りになった条件のときには、扉開閉制御線5に乗降口電源装置2より乗降口音声装置1の電源となる例えばDC12V(12ボルト)の電圧が加圧され、扉開閉手動スイッチ4で扉開動作がされると、扉開閉用電磁弁6を動作させるための扉開閉制御電圧、例えばDC100Vが扉開閉制御元電源線3より、扉開閉手動スイッチ4の接点回路を経て、扉開閉制御線5に加圧されると同時に乗降口音声装置に入力される。
【0026】
乗降口音声装置1に扉開閉条件となるDC100Vが加圧されると、DC100V検出部15が動作して乗降口音声装置1は、DC100Vより電圧変換部8によりDC12Vに変換された電源電圧で動作し、予め設定された放送パターンに従った音声で乗降口を通って乗り降りする乗降客に対して注意を促す扉開放送ドアスピーカ13から出力さる。
【0027】
さらに、扉開閉手動スイッチ4で今度は扉閉条件が与えられると、扉開閉用電磁弁6を動作させていた扉開閉制御線5の電圧DC100Vは0Vとなり、再び乗降口電源装置2より、扉開閉制御線5にDC12Vが加圧される。
【0028】
乗降口音声装置1はDC100V検出部15による扉閉条件とDC12V検出部18によるDC12V加圧条件により、予め設定された放送パターンに従い、音声またはチャイム音などで、乗り降りする乗降客に対し注意を促す扉閉放送ドアスピーカ13から出力さる。
【0029】
〔実施形態〕
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態を説明する。実施の形態における構成は例示であり、本発明は、実施の形態の構成に限定されない。
【0030】
図1は、編成に1台の乗降口電源装置と各車両の乗降口毎に用意され乗降口(扉)付近に設備した各乗降口音声装置の電源線を扉開閉制御線と共用した、乗降口音声装置を示す実施形態の全体構成図である。
【0031】
図2は、扉開閉指令操作により変化する扉開閉制御線の電圧変化と、その電圧変化により乗降口音声装置のドアスピーカから出力される放送パターンの実施例を示す実施形態の構成図である。
【0032】
図3は、放送パターンの音声種別と放送内容とを示す実施形態である。なお、図1において、従来の乗降口音声装置と同様の構成については、図4と同一の符号を付してある。
【0033】
図1において、乗降口電源装置2は、乗降口音声装置1の電源電圧(駆動電圧)であるDC12Vを所定条件下で乗降口音声装置1に供給するための電源装置である。乗降口電源装置2は、主に、乗降口に設けられた扉(ドア)の開閉用の制御電圧であるDC100V加圧が扉開閉制御線5(以下、単に「制御線5」とも表記する)に加圧されていないときに、DC12Vバッテリー電源31(以下、単に「電源31」と表記することもある)からのDC12Vを制御線5を介して乗降口音声装置1に供給する。
【0034】
但し、乗降口電源装置2は、車両の走行速度が所定値以下(例えば毎時約5km以下(停車中(毎時0km/h)を含む))で閉となるスイッチ24により動作する継電器26の接点27と、車両に対するブレーキ操作が「入り」となる(ブレーキ操作が行われる)ことで閉となるスイッチ25により動作する継電器28の接点29とを備え、車両の走行速度が所定値以下(上記例では、毎時5km以下)で、且つブレーキ操作が行われている場合に、各スイッチ24及び25が閉状態となって、各接点27及び29が閉状態となり、電源31からのDC12Vがダイオード30を通じて制御線5を加圧するように構成されている。
【0035】
ダイオード30は制御線5からの扉開閉制御電圧DC100Vよりの逆電圧・電流防止のためのものである。
【0036】
また、乗降口電源装置2は、電源31とダイオード30との間に挿入された異常電圧・電流検出部21を有し、異常電圧・電流検出部21は、接点27,29が閉状態のときに、DC12V回路(電源31から異常電圧・電流検出部21を通って接点27側へ出力されるDC12Vの供給経路)に発生する異常電圧または異常電流を検知する。異常電圧・電流検出部21が異常電圧または異常電流を検知すると、自己異常検出部22が動作して異常電圧・電流検出部21と電源31との間に設けられた接点23を開放し、電源31を開放する(DC12Vの供給を停止する)ように構成されている。
【0037】
このように、乗降口電源装置2は、扉開閉制御線5に扉開閉制御電圧が印加されていない場合に乗降口音声装置1の電源電圧を制御線5に印加(加圧)するものであるが、フェイルセーフとしての接点23,27,29により、その加圧(出力)が制御されるようになっている。
【0038】
図1において、乗降口音声装置1は、車両の乗降口毎に、その近傍に設置されており、DC12V電源部7と、扉開閉制御電圧DC100Vから乗降口音声装置1の駆動電圧DC12Vを作る電圧変換部8と、扉開閉条件で動作する音声チャネル起動制御およびドアスピーカ出力選択制御部9と、音声の放送パターンを任意に設定できる放送パターン設定部10と、案内放送音源および放送制御部11と、音声信号増幅器12と、ドアスピーカ13,14とを備えている。
【0039】
さらに、乗降口音声装置1は、制御線5に加圧された扉開閉制御電圧であるDC100Vを検出して扉開閉条件を認識するDC100V検出部15(制御電圧検出部)と、制御線5にDC100Vが加圧されなくなったときにおいて乗降口音声装置1の電源となる乗降口電源装置2からのDC12Vを検出するDC12V検出部18(異常電圧検出部)を含む。
【0040】
また、乗降口音声装置1は、制御線5と扉開閉用の用の電磁弁6とを結ぶ信号線に挿入されDC100V検出部15により制御される接点17(制御用接点)を持つ。接点17はDC100V検出部15が制御線5からのDC100Vを検出したときに閉状態となってDC100Vを電磁弁6に印加し(これにより接点66が閉じて扉が開く)、DC100V検出部15がDC100Vを検出しなくなったときに開状態となって制御線5−電磁弁6間を開放する(これにより接点66が開放されて扉が閉じる)。
【0041】
また、DC100V検出部15は、接点16を有し、接点16は、DC100V検出部15が制御線5からのDC100Vを検出すると閉状態となってDC100Vを電圧変換部8、および音声チャンネル起動制御及びドアスピーカ出力選択制御部9に入力し、DC100Vを検出しなくなると開状態となる。
【0042】
DC12V検出部18は、扉開閉制御線5への印加電圧がDC12Vのときに乗降口音声装置1の電源部7にDC12Vを供給する回路の接点19を有し、DC12V検出部18が異常電圧または異常電流を検出した場合に、扉開閉用電磁弁6に扉開閉制御線5のDC100Vを直接接続し(閉状態となり)、異常電圧または異常電流を検出しない場合に開状態となる接点20(保護用接点)を制御する。
【0043】
なお、制御線5への扉の制御電圧の印加の有無と、扉の開閉動作とは逆(DC100Vの印加で扉が閉じるよう)に構成されていても良い。
【0044】
図2は、扉開閉手動スイッチ4で扉開操作から扉閉操作が行われるまでの、扉開閉制御線5の扉開閉制御電圧DC100Vと、乗降口音声装置1の電源電圧DC12Vとの電圧変化に対応する、放送パターンを示す実施例である。
【0045】
図3は、放送パターンの音声種別とそれに伴う放送音声またはチャイム音または誘導音などとそれぞれの放送音声回数または放送時間を示す実施例である。なお、放送パターンの組み合わせまたは放送音声の内容、誘導音などについては限定されたことではなく自由に組み替えができるものである。
【0046】
例えば、車両が停車して、図1の扉開閉手動スイッチ4で扉の開操作を行うと、扉開閉制御元電源線3より扉開閉制御線5に扉開指令のDC100Vが加圧され、乗降口音声装置1のDC100V検知部15が扉開閉制御電圧のDC100Vを検知して接点17を閉じ、扉開閉用電磁弁6を駆動し、扉を開く動作を開始するとともに、もう一つの接点16を閉じて、音声チャンネル起動制御およびドアスピーカ出力選択制御部9に扉開指令条件を入力するとともに、電圧変換部8でDC100VをDC12Vに変圧して乗降口音声装置1の電源部7に電源を供給する。
【0047】
音声チャンネル起動制御およびドアスピーカ出力選択制御部9に扉開指令条件が入力されると、予めパターン設定器10で設定された放送パターンが選択・出力される。例えば、図2の8.の放送パターン4が設定されているとすれば、案内放送音源及び放送制御部11より図3の開扉音声「音1」と「誘導音」が選択され、音声信号増幅器12で音声増幅され、各スピーカ13,14から出力されて、乗り降りする乗降客に注意を促す。例えば、「ドアが開きます」の音声を1回出力した後、誘導音「ポン」を数回ドアスピーカ13,14から放送する(第1のパターンの音声出力に相当)。
【0048】
乗降客の乗り降りが終わり、扉開閉スイッチ4で扉の操作を行うと、スイッチ4が開いて扉開閉制御線5のDC100Vの加圧電圧はなくなる。このため、乗降口音声装置1のDC100V検知部15が、DC100Vがなくなったことを検知し、接点17を開放して扉開閉電磁弁6の電源は断とし、扉は閉まる動作を開始するとともに、このDC100Vが無くなった条件は乗降口音声装置1の音声チャンネル起動制御及びドアスピーカ出力選択制御部9に入力される。扉開閉制御線5の扉開閉制御電圧DC100Vがなくなると、車両が停車中か毎時5km以下の条件とブレーキ「入り」の条件で動作する乗降口電源装置2より、扉開閉制御線5に乗降口音声装置1の電源電圧DC12Vが加圧される。扉開閉制御線5にDC12Vが加圧されると、乗降口音声装置1のDC12V検出部18が動作し、閉となっている接点18より電源部7に乗降口音声装置1の電源を供給する。
【0049】
一方、制御線5に対するDC100Vがなくなった条件が乗降口音声装置1の音声チャンネル起動制御及びドアスピーカ出力選択制御部9に入力されると、予めパターン設定器10に例えば図2の8.の放送パターン4が設定されているとすれば、案内放送音源及び放送制御部11より図3の閉扉時音声「音2」が選択され、音声信号増幅器12で音声増幅され、乗り降りする乗降客に注意を促す、例えば、「ドアが閉まります」を1回、ドアスピーカ13,14から放送する(第2のパターンの音声出力に相当)。その後、一連の乗り降りする乗降客に対し注意を促す案内放送を終了する。
【0050】
このように、乗降口音声装置1の音声出力動作において放送される放送パターンは、第1のパターンと第2のパターンとからなり、音声チャンネル起動制御及びドアスピーカ出力選択制御部9にDC100Vが供給されているという条件下で所定の放送パターン(扉開時における放送パターン(第1のパターンの音声))を出力し、DC100Vの供給が停止するという条件下で、扉開時における放送パターンに続く、扉閉時の放送パターン(第2のパターンの音声)を出力するように構成されている。
【0051】
なお、扉開閉手動スイッチ4'は、例えば第1の側(海側)で操作する扉開閉手動スイッチ4と反対側の第2の側(山側)の扉開閉手動スイッチで、第2の側(山側)の制御扉開閉制御線5'、乗降口音声装置1'、扉開閉用電磁弁6'の動作は扉開閉手動スイッチ4で動作する乗降口音声装置1、扉開閉用電磁弁6と同じ構成である。また、乗降口音声装置の電源電圧は扉開閉制御電圧DC100Vに対し十分判定できる電圧であれば何Vでも良いし、扉開閉手動スイッチ4,4'は他の扉開閉条件と連動して、自動で動作しても良い。
【0052】
本発明の乗降口音声装置によれば、在来車と言われる既存車両にあって、車両に乗り降りする乗降客に対し、扉付近にスピーカを設備して音声で注意を促す乗降口音声装置を取り付ける場合、特別に乗降口音声装置用の電源を設備する必要がなく、作業効率の向上はもとより、費用、工数などの面からもきわめて経済的で多大な効果が期待できる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、乗降口音声装置の設置にあたり、新たな電源線を車両に設ける必要がない。これによって、乗降口音声装置の導入に要するコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る乗降口音声装置を設備した実施例を示すブロック図
【図2】本発明に係る扉開閉制御線の扉開閉制御電圧に対応した放送パターンの実施例を示すチャート説明図
【図3】放送パターンの音声種別例を示す説明図
【図4】従来の乗降口音声装置の実施例を示すブロック系統説明図
【符号の説明】
1,1' 乗降口音声装置
2 乗降口電源装置
3 扉開閉制御元電源線
4,4' 扉開閉手動スイッチ
5,5' 扉開閉制御線
6,6' 扉開閉用電磁弁
7 電源部
8 電圧変換部
9 音声チャンネル起動制御およびドアスピーカ出力選定制御部
10 放送パターン設定部
11 案内放送音源及び放送制御部
12 音声信号制御部
13,14 ドアスピーカ
15 DC100V検出部(扉開/閉認識回路)
16,17 接点回路
18 DC12V検出部(乗降口音声装置電源電圧検出回路)
19,20 接点回路
21 異常電圧・電流検出部
22 自己異常検出部
23 接点回路
24 速度条件回路スイッチ
25 ブレーキ条件回路スイッチ
26,28 継電器
27,29 継電器接点回路
30 逆電流防止ダイオード
31 バッテリー電源
32 乗降口音声器

Claims (8)

  1. 鉄道車両の乗降口の扉付近に設置され音声を出力する乗降口音声装置と、
    乗降口音声装置用の電源電圧を出力する乗降口電源装置とを備え、
    前記乗降口音声装置は、扉開閉用の制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されている場合にはこの制御線を通じて自身に入力される扉開閉用の制御電圧を変圧することで乗降口音声装置用の電源電圧を生成して動作し、前記制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されていない場合には前記乗降口電源装置から前記制御線を通じて自身に入力される乗降口音声装置用の電源電圧により動作する
    乗降口音声出力システム。
  2. 前記乗降口音声装置は、前記制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されているときに第1のパターンの音声を出力し、その後、前記制御線に対する制御電圧の加圧が停止した場合に、第2のパターンの音声を出力する
    請求項1記載の乗降口音声出力システム。
  3. 前記乗降口音声装置は、前記制御線から入力される乗降口電源装置からの電源電圧の異常を検出する異常検出部を含み、
    前記異常検出部は、前記異常を検出した場合には、前記制御線と扉開閉用の電磁弁との間に設けられ前記制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されているときに開状態となる保護用接点を閉状態に切り替えるとともに、前記乗降口音声装置内における前記乗降口電源装置からの電源電圧の伝達経路を開放する
    請求項1または2記載の乗降口音声出力システム。
  4. 前記乗降口音声装置は、前記制御線に対する扉開閉用の制御電圧の加圧を検出する制御電圧検出部を含み、
    前記制御電圧検出部は、前記制御電圧を検出していない場合には、前記制御線と扉開閉用の電磁弁との間に設けられた電磁弁の制御用接点を開状態にし、前記制御電圧を検出している間は、前記制御用接点を閉状態にする
    請求項1〜3のいずれかに記載の乗降口音声出力システム。
  5. 前記乗降口電源装置は、車両の走行速度が所定値未満で且つブレーキ操作が行われていることを条件として前記制御線に対し乗降口音声装置用の電源電圧を出力する
    請求項1〜4のいずれかに記載の乗降口音声出力システム。
  6. 前記乗降口電源装置は、前記制御線に出力すべき乗降口音声装置用の電源電圧の異常を監視し、この異常を検出した場合には、電源電圧の出力を停止する
    請求項1〜5のいずれかに記載の乗降口音声出力システム。
  7. 鉄道車両の乗降口の扉付近に設置され音声を出力する乗降口音声装置であって、
    扉開閉用の制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されている場合には、この制御線を通じて自身に入力される扉開閉用の制御電圧を変圧することで乗降口音声装置用の電源電圧を生成して動作し、前記制御線に扉開閉用の制御電圧が加圧されていない場合には、乗降口電源装置から前記制御線を通じて自身に入力される乗降口音声装置用の電源電圧により動作する
    鉄道車両の乗降口音声装置。
  8. 鉄道車両の乗降口の扉付近に設置され扉開閉用の制御線に加圧された扉開閉用の制御電圧を変圧することで自身の電源電圧を生成して動作し音声を出力する乗降口音声装置に前記制御線を通じて接続され、前記制御電圧が前記制御線に加圧されていない場合において前記乗降口音声装置が動作するための乗降口音声装置の電源電圧を前記制御線に出力する鉄道車両の乗降口電源装置。
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