JP4279513B2 - 圧電ブザーユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチバイブレータ回路及びそのマルチバイブレータ回路を駆動源として備える圧電ブザー等の電子回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鳴動によって所定の状況を報知する電子部品として、圧電素子を利用した圧電ブザーが知られており、係る圧電ブザーは、一般に、自励式と他励式とに大別される。
【0003】
自励式の圧電ブザーは、組み立て具合や外気温の変化によって圧電ブザーを構成する圧電素子自体に応力が加えられることによって発振周波数の変化が生じ、結果として、鳴動に際して、圧電ブザーとしての本来の音色が変化したり、発音自体が停止してしまう場合がある。
【0004】
そこで、前記のような圧電素子特有の性質によって、鳴動に際しての音色が変化することを防止すべく、例えば、実開昭58−1998号公報や、特開昭60−102694号公報等には、圧電素子からなる圧電ブザーを外部の発振回路(駆動回路)によって作動させる他励式の圧電ブザー(圧電ブザーユニット)が提案されている。
【0005】
図7は、従来の他励式の圧電ブザーユニットの回路構成を例示する図であり、同図に示す圧電ブザーユニットは、圧電素子からなる一般的な圧電ブザー100と、それを外部から駆動する駆動回路(発振回路)としてのマルチバイブレータ回路とによって構成される。
【0006】
このマルチバイブレータ回路において、2つのトランジスタQ11、Q12のベースには、そのベースと電源電圧Vccの給電点Pとの間に抵抗R13、R14が接続されることにより、所謂、固定バイアス式のバイアス回路が設けられている。そして、このマルチバイブレータ回路に電源電圧Vccが印加された状態においてトランジスタQ11及びQ12が交互に作動することにより、圧電ブザー100は、それら2つのトランジスタのオン・オフ動作に応じた発振周波数(駆動周波数)で鳴動する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に例示するような一般的なマルチバイブレータ回路を駆動源として圧電ブザーユニット(モジュール)を構成すると、以下の問題が生じる。
【0008】
即ち、
(1)マルチバイブレータ回路の回路構成(特に、トランジスタQ11、Q12のベースに固定バイアス式のバイアス回路を有する点)に起因して、電源電圧Vccの変化に応じて、当該2つのトランジスタのオン・オフ動作による発振周波数が変化し、結果として、圧電ブザー100の鳴動時の音色が変化してしまう。
【0009】
(2)作動(鳴動)中に何らかの原因で鳴動停止(即ち、マルチバイブレータ回路の発振が停止)した場合、その原因を取り除いても、電源電圧Vccの再投入(オフ・オン)するまで作動しない。また、電源電圧のオン・オフを繰り返すと、まれに発振を停止することがある。
【0010】
(3)用途に応じて圧電ブザーの仕様も様々であり、その仕様に応じて圧電ブザーを構成する圧電素子の静電容量も異なるが、ある仕様の圧電ブザーに最適なマルチバイブレータ回路(発振回路)は、その圧電ブザーより静電容量が大きな圧電ブザーを発振させることができないことが多いため、そのマルチバイブレータ回路の仕様のままでは採用することができない場合が多い。
【0011】
そこで本発明は、安定して作動する信頼性の高いマルチバイブレータ回路によって駆動される圧電ブザーユニットの提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る圧電ブザーユニットは、以下の構成を特徴とする。
【0013】
即ち、圧電素子と、該圧電素子を駆動する2つのトランジスタが交互に作動するマルチバイブレータ回路によって、駆動されることを特徴とする圧電ブザーユニットであって、
前記マルチバイブレータ回路は、
前記2つのトランジスタのうち、
第1トランジスタにおけるベースのバイアス回路が、ベース・コレクタ間が抵抗を介して接続された自己帰還バイアス型であり、
第2トランジスタにおけるベースには、前記第1トランジスタのコレクタ出力が抵抗を介して供給される
ことを特徴とする。
【0016】
上記構成を備えるマルチバイブレータ回路により駆動される圧電ブザーユニットによれば、従来の技術と比較して安定して作動し、高い信頼性を享受することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るマルチバイブレータ回路及び圧電ブザーユニットの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態における圧電ブザーユニットの回路構成を示す図であり、同図に示す圧電ブザーユニットは、圧電ブザー100と、それを外部から駆動する駆動回路(発振回路)としてのマルチバイブレータ回路とによって構成される。
【0019】
同図において、圧電素子からなる圧電ブザー100は、外部から発振信号が供給されるのに応じて鳴動する一般的なものであり、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0020】
そして、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路は、2つのトランジスタQ1、Q2を備えており、そのコレクタ端子には、抵抗R1、R2(但し、R1,R2<<R3,R4)を介して、給電点Pから電源電圧Vccが印加され、且つ負荷である圧電ブザー100がA点及びB点において接続される。A点とトランジスタQ2のベース端子とは、コンデンサC2を介して接続されており、このA点は、圧電ブザー100の一方の端子に接続される。また、B点とトランジスタQ1のベース端子とは、コンデンサC1を介して接続されており、このB点は、圧電ブザー100の他方の端子に接続される。係る回路構成自体は上述した従来のマルチバイブレータ回路(図7)と同様である。
【0021】
但し、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路において、トランジスタQ1のベースには、そのベースと上記A点との間に抵抗R3が接続され、トランジスタQ2のベースには、そのベースと上記B点との間に抵抗R4が接続されることにより、所謂、自己帰還バイアス式のバイアス回路がそれぞれ設けられている。
【0022】
そして、このマルチバイブレータ回路に電源電圧Vccが給電点Pから印加された状態において、以下に説明する発振原理の如く、トランジスタQ1及びQ2が交互に作動することによって生成される駆動電圧(発振信号)が上記A点及びB点より供給されることにより、圧電ブザー100は、それら2つのトランジスタのオン・オフ動作に応じた発振周波数(駆動周波数)で鳴動する。
【0023】
<発振原理>
ここで、図1に示す圧電ブザーユニットにおけるマルチバイブレータ回路の発振原理について説明する。
【0024】
図1において、電源電圧Vccが印加されていない初期状態において、コンデンサC1及びC2の充電状態は空(或いは、充電量が略ゼロ、以下「空充電状態」と総称する)である。この初期状態において、給電点Pへの電源電圧Vccの印加が開始されると、トランジスタQ1及びQ2のスイッチング素子としての仕様が同じであっても、一般には微妙に個体差があるので、何れか一方のトランジスタが先にオン状態となる。ここでは、電源電圧Vccの印加に応じてB点及び空充電状態のコンデンサC1を介してトランジスタQ1のベースに所定のベース電流が流れることによって、トランジスタQ2より先にトランジスタQ1がオン状態を採り、これによってA点の電位が低下する。そして、その後もトランジスタQ1へのベース電流の供給が継続されることによってコンデンサC1の充電量が次第に大きくなり、所定の満充電状態になるのに応じてトランジスタQ1へのベース電流の供給は停止するので、それまでオン状態であったトランジスタQ1はオフ状態に変化する。
【0025】
また、上記の如くトランジスタQ1がオフ状態に変化するのに応じて、A点の電位が所定の高電位に変化するため、その高電位に応じてA点及び空充電状態のコンデンサC2を介してトランジスタQ2のベースに所定のベース電流が流れることによって、今度はトランジスタQ2がオン状態を採り、これによってB点の電位が低下する。そして、その後もトランジスタQ2へのベース電流の供給が継続されることによってコンデンサC2の充電量が次第に大きくなり、所定の満充電状態になるのに応じてトランジスタQ2へのベース電流の供給は停止するので、それまでオン状態であったトランジスタQ2はオフ状態に変化する。
【0026】
即ち、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路は、トランジスタQ1及びQ2に関して左右対象な回路構成を有するが、ここで、トランジスタQ1がオフ状態でトランジスタQ2がオン状態において、まず、トランジスタQ1側に注目して動作を説明すれば、トランジスタQ1のコレクタ出力は、図1に示すように、A点及びコンデンサC2を介してトランジスタQ2のベースに供給されることによって反転増幅され、B点及びコンデンサC1を介して正帰還のかたちで再びトランジスタQ1のベースに返される回路構造を有し、この回路構造はトランジスタQ2側においても同様である。
【0027】
従って、係る回路構造において、トランジスタQ1がオフ状態からオン状態に変化した場合、A点は、所定の高電位から基準電位(例えば0V)になり、これによりトランジスタQ2はオン状態からオフ状態に変化するため、B点は基準電位(例えば0V)から所定の高電圧となるのに応じて、コンデンサC1を介してトランジスタQ1にベース電流が流れるので、コンデンサC1が所定の満充電状態になるまでの間、トランジスタQ1はオン状態を保持することになる。
【0028】
そして、コンデンサC1が所定の満充電状態になるのに応じてトランジスタQ1へのベース電流が流れなくなると、今度はトランジスタQ1がオフ状態になるので、トランジスタQ1のコレクタ出力(A点)は、基準電位から所定の高電位になる。そして、コンデンサC2を介してトランジスタQ2にベース電流の供給が開始されるため、トランジスタQ2はそれまでのオフ状態からオン状態に変化し、その変化に応じてトランジスタQ2のコレクタ出力(B点)は基準電位(例えば0V)となり、それまで満充電状態だったコンデンサC1は放電方向、即ちトランジスタQ1のベースからB点方向に電流を流すように働く。B点は、基準電位状態(例えば0V)になっているので、トランジスタQ1のベース電位は、更に基準電位以下のマイナス電位状態になり、コンデンサC1が空充電状態になるまで、トランジスタQ1はオフ状態を保持することになる。
【0029】
その後、トランジスタQ1がオフ状態、且つトランジスタQ2がオン状態のままでコンデンサC2への充電が進み、所定の満充電状態になるのに応じてトランジスタQ2へのベース電流が流れなくなると、今度はトランジスタQ2がオフ状態になると、上記の動作と対象な動作が開始され、この動作(トランジスタQ1及びQ2のオン・オフ動作)が交互に繰り返されることによって発振が実現する。
【0030】
係るマルチバイブレータ回路において、トランジスタQ1のオフ状態からオン状態への動作タイミングは、主に抵抗R4の大きさによって決定され、他方のトランジスタQ2のオフ状態からオン状態への動作タイミングは、主に抵抗R3の大きさによって決定される。また、動作中において、電源電圧Vccの印加が停止された場合には、2つのトランジスタQ1、Q2が共にオフ状態になると共に、コンデンサC1及び/またはC2に充電されていた電気エネルギがその接続経路上に存在する各抵抗において消費されるので、所定時間経過後には何れのコンデンサも空充電状態となる。
【0031】
従って、係るマルチバイブレータ回路のA点及びB点に図1に示す如く負荷として圧電ブザー100を接続すれば、圧電ブザー100は、抵抗R3及びコンデンサC2の時定数に基づく発振周波数の発振と、抵抗R4及びコンデンサC1の時定数に基づく発振周波数の発振とを交互に繰り返す発振信号によって鳴動する。
【0032】
ここで、上述した回路構成のマルチバイブレータ回路において、何等かの原因(例えば、2つのトランジスタのコレクタ出力同士の短絡等)によって発振が停止した場合について考える。
【0033】
このような場合、上述した従来のマルチバイブレータ回路(図7)においては、2つのトランジスタQ11、Q12のベースバイアス回路が、抵抗R13、R14を介して、電源電圧Vccに直接接続されている固定バイアス式のバイアス回路が採用されているので、発生した原因を取り除いても、2つのトランジスタが共にオン状態に保持されてしまうため、電源電圧Vccの再投入(オフ・オン)するまで発振(作動)を再開することはない。
【0034】
また、係る固定バイアス式のバイアス回路を有する従来のマルチバイブレータ回路においては、その回路構成に起因して、何等かの原因によって電源電圧Vccが大きくなるのに応じて、2つのトランジスタQ11、Q12のベース電圧も上昇することになる。従って、僅かな信号の変化によっても当該2つのトランジスタが容易にオン状態に変化し易くなり(即ち、スイッチング動作し易くなり)、圧電ブザーユニットとして全体で捉えると、係る電源電圧Vccの上昇に応じて発振周波数が高くなるのに伴って、圧電ブザー100が発する音色が変化してしまう、という問題が生じる。
【0035】
このように係る従来のマルチバイブレータ回路を圧電ブザー100の発振回路(駆動回路)として用いた場合、致命的な問題があるのに対して、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路(図1)では、2つのトランジスタQ1、Q2のそれぞれのバイアス回路に上述した如く自己帰還バイアス型の回路構成を採用すると共に、何れのトランジスタにおいても、一方のトランジスタの出力が他方のトランジスタによって反転増幅されることによって正帰還する回路構成とした。このため、従来のような固定バイアス式のバイアス回路を有するマルチバイブレータ回路とは異なり、何等かの原因によって発振が一時的に停止した場合であっても、個々のトランジスタQ1、Q2が共にオン状態に保持されることはなく、その原因が取り除かれれば、電源電圧Vccの再投入をすること無く、発振動作を自動的に再開することができる。
【0036】
また、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路(図1)では、上記の如く2つのトランジスタQ1、Q2のベースにそれぞれ自己帰還型のバイアス回路を用いている。このため、何等かの原因による電源電圧Vccの上昇に伴ってベース電圧が大きくなっても、抵抗R3、R4によって個々のトランジスタのコレクタ電位が下げられるため、その結果、ベース電位の変化が抑制される。従って、本実施形態では、電源電圧Vccの上昇分に対する当該マルチバイブレータ回路の発振周波数の上昇を極小化することができるので、広範囲な電源電圧、即ち電源電圧が変動する使用環境下においても、例えば設計段階にて決定された所定の発振周波数及びその近傍周波数において、安定した発振動作を実現することができる。
【0037】
従って、このような特徴を有する本実施形態に係るマルチバイブレータ回路によって圧電ブザー100を駆動すれば、鳴動に際して所定の音色を維持することができ、好適である。
【0038】
即ち、上述した本実施形態によれば、安定して作動する信頼性の高いマルチバイブレータ回路及び圧電ブザーユニットの提供が実現する。
【0039】
[第2の実施形態]
次に、上述した第1の実施形態に係るマルチバイブレータ回路及び圧電ブザーユニットを基本とする第2の実施形態を説明する。以下の説明においては、第1の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0040】
図2は、第2の実施形態における圧電ブザーユニットの回路構成を示す図であり、同図に示す圧電ブザーユニットは、圧電ブザー100と、それを外部から駆動する駆動回路(発振回路)としてのマルチバイブレータ回路とによって構成され、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路は、トランジスタQ2側に上述した自己帰還型のバイアス回路を有しておらず、コンデンサC2の代わりに抵抗3aが接続されている点が、第1の実施形態の回路構成(図1)と異なる(但し、R1,R2<<R3a,R4)。
【0041】
即ち、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路は、トランジスタQ1側にのみ自己帰還バイアス式のバイアス回路が設けられており、このマルチバイブレータ回路に電源電圧Vccが給電点Pから印加された状態において、以下に説明する発振原理の如く、トランジスタQ1及びQ2が交互に作動することによって生成される駆動信号が上記A点及びB点より供給されることにより、圧電ブザー100は、それら2つのトランジスタのオン・オフ動作に応じた発振周波数(駆動周波数)で鳴動する。
【0042】
<発振原理>
ここで、図2に示す圧電ブザーユニットにおけるマルチバイブレータ回路の発振原理について説明する。
【0043】
図2において、電源電圧Vccが印加されていない初期状態において、コンデンサC1の充電状態は空(或いは、充電量が略ゼロ)である。この初期状態において、給電点Pへの電源電圧Vccの印加が開始されると、トランジスタQ1及びQ2のスイッチング素子としての仕様が同じであっても、一般には微妙に個体差があるので、何れか一方のトランジスタが先にオン状態となる。ここでは、電源電圧Vccの印加に応じてB点及び空充電状態のコンデンサC1を介してトランジスタQ1のベースに所定のベース電流が流れることによって、トランジスタQ2より先にトランジスタQ1がオン状態を採り、これによってA点の電位が低下する。そして、その後もトランジスタQ1へのベース電流の供給が継続されることによってコンデンサC1の充電量が次第に大きくなり、所定の満充電状態になるのに応じてトランジスタQ1へのベース電流の供給は停止するので、それまでオン状態であったトランジスタQ1はオフ状態に変化する。
【0044】
また、上記の如くトランジスタQ1がオフ状態に変化するのに応じて、A点の電位が所定の高電位に変化するため、その高電位に応じてA点及び抵抗R3aを介してトランジスタQ2のベースに所定のベース電流が流れることによって、今度はトランジスタQ2がオン状態を採り、これによってB点の電位が低下する。
【0045】
そして、その後もトランジスタQ2へのベース電流の供給が継続されるが、トランジスタQ1がオフ状態からオン状態に変化した場合に、A点では、所定の高電位から基準電位(例えば0V)になるのに応じて、トランジスタQ2へのベース電流の供給は停止するので、それまでオン状態であったトランジスタQ2はオフ状態に変化する。
【0046】
即ち、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路は、第1の実施形態とは異なりトランジスタQ1及びQ2に関して左右非対象な回路構成を有しており、ここで、トランジスタQ1がオフ状態でトランジスタQ2がオン状態から動作を説明すれば、トランジスタQ1のコレクタ出力は、図2に示すように、A点及び抵抗R3aを介してトランジスタQ2のベースに供給されることによって反転増幅され、B点及びコンデンサC1を介して正帰還のかたちで再びトランジスタQ1のベースに返される回路構造を有する。
【0047】
コンデンサC1が所定の満充電状態に至っていないときに、係る正帰還によってトランジスタQ1がオフ状態からオン状態に変化した場合、A点は、所定の高電位から基準電位(例えば0V)になり、これによりトランジスタQ2は、オン状態からオフ状態に変化するため、B点は基準電位(例えば0V)から所定の高電圧となるのに応じて、コンデンサC1を介してトランジスタQ1にベース電流が流れるので、コンデンサC1が所定の満充電状態になるまでの間、トランジスタQ1はオン状態を保持することになる。
【0048】
そして、コンデンサC1が所定の満充電状態になるのに応じてトランジスタQ1へのベース電流が流れなくなると、今度はトランジスタQ1がオフ状態になるので、トランジスタQ1のコレクタ出力(A点)は、基準電位から所定の高電位になる。そして、抵抗R3aを介してトランジスタQ2にベース電流の供給が開始されるため、トランジスタQ2はそれまでのオフ状態からオン状態に変化し、その変化に応じてトランジスタQ2のコレクタ出力(B点)は基準電位(例えば0V)となり、それまで満充電状態だったコンデンサC1は放電方向、即ちトランジスタQ1のベースからB点方向に電流を流す働きに切り替わる。B点は、基準電位状態(例えば0V)になっているので、トランジスタQ1のベース電位は、更に基準電位以下のマイナス電位状態になり、コンデンサC1が空充電状態になるまで、トランジスタQ1はオフ状態を保持することになる。即ち、この説明の最初の状態(トランジスタQ1がオフ状態でトランジスタQ2がオン状態)に戻ることになる。
【0049】
係るマルチバイブレータ回路において、トランジスタQ1のオフ状態からオン状態への動作タイミングは、主に抵抗R4の大きさによって決定され、他方のトランジスタQ2のオフ状態からオン状態への動作タイミングは、主に抵抗R3aの大きさによって決定される。また、動作中において、電源電圧Vccの印加が停止された場合には、2つのトランジスタQ1、Q2が共にオフ状態になると共に、コンデンサC1に充電されていた電気エネルギがその接続経路上に存在する各抵抗において消費されるので、所定時間経過後にはコンデンサC1は空充電状態となる。
【0050】
従って、係るマルチバイブレータ回路のA点及びB点に図2に示す如く負荷として圧電ブザー100を接続すれば、圧電ブザー100は、抵抗R2及びコンデンサC1の時定数に基づく発振周波数の発振と、抵抗R4及びコンデンサC1の時定数に基づくの発振とを交互に繰り返す発振信号によって鳴動する。
【0051】
図3は、第2の実施形態における圧電ブザーユニットを駆動した際の、基準電位(0V)に対するA点及びB点の出力電圧波形を例示するタイムチャートである。また、図4は、図3に例示するA点及びB点の出力電圧波形に対応するA点及びB点間の出力電位差を示すタイムチャートである。そして、図5は、第2の実施形態における圧電ブザーユニットを駆動した際に圧電ブザー100に印加される出力電圧波形を例示するタイムチャートである。
【0052】
本実施形態に係る圧電ブザーユニットを駆動すると、上述した如くトランジスタQ1、Q2が交互にオン・オフ動作(即ち、発振動作)を繰り返すので、その発振動作に応じて、図2に示すA点及びB点においては、図3に示すような出力電圧波形が現れ、このA点に現れる出力電圧波形と、B点に現れる出力電圧波形とは、180度位相が反転しているので、圧電ブザー100には、図4に示す如く電源電圧の略2倍の電位差の電圧波形が印加されることになる。そして、圧電ブザー100は、係る電源電圧の略2倍の電圧波形に応じて鳴動する。但し、鳴動に際しては、当該圧電ブザー自体が有する静電容量の影響によって発振周波数が低くなるため、上記のA点及びB点を介して圧電ブザー100の駆動用の端子に実際に印加される電圧波形は、図5に示す如く少々鈍った波形となる。
【0053】
更に、図6は、従来のマルチバイブレータ回路(図7)によって駆動した場合における発振周波数及び圧電ブザーの静電容量の関係と、第2の実施形態に係るマルチバイブレータ回路(図2)によって駆動した場合における発振周波数及び圧電ブザーの静電容量の関係とを比較した結果を示す図である。
【0054】
即ち、図6に示すグラフは、本願出願人が従前より製造及び販売しているミニブザーEPM12Sを上記の圧電ブザー100として用いて、発振周波数が4.2KHz,消費電流が2mA/5Vにて、係る圧電ブザーの静電容量を大きくしながら実験した際の測定結果を示す。
【0055】
同図に示す測定結果から明らかなように、一般的なマルチバイブレータ回路を用いた圧電ブザーユニットでは、圧電ブザーの静電容量の増加に応じて発振周波数が急激に大きくなり、25nF付近にて発振が停止(即ち鳴動停止)している。このような動作特性に対して、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路を用いた圧電ブザーユニットでは、圧電ブザーの静電容量の増加に応じて、発振周波数特性が緩やかなカーブを描いて徐々に小さくなり、51nF付近にて発振が停止(即ち鳴動停止)している。
【0056】
即ち、上記の測定結果(図6)は、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路及びそれを駆動源とする圧電ブザーユニットが、従来のマルチバイブレータ回路及びそれを駆動源とする圧電ブザーユニットと比較して、大きな静電容量を有する圧電ブザーであっても駆動できるという特徴がある、ということを表わしており、このことを換言すれば、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路は、ある仕様のマルチバイブレータ回路を対象とした場合に、従来と比較して大きな静電容量の圧電ブザーまで駆動することができ、汎用性に優れることを表わすから、係る仕様のマルチバイブレータ回路の量産によるコストメリット(コスト削減効果)が優れ、用途が広がることが判る。
【0057】
このように、上述した本実施形態に係るマルチバイブレータ回路(図2)では、2つのトランジスタQ1、Q2において、一方のトランジスタの出力が他方のトランジスタによって反転増幅されることによって正帰還する回路構成を採用し、その一方のトランジスタQ1におけるベースのバイアス回路にのみ上述した自己帰還バイアス型の回路構成を採用した。このため、従来のような固定バイアス式のバイアス回路を有するマルチバイブレータ回路とは異なり、何等かの原因によって発振が一時的に停止した場合であっても、個々のトランジスタQ1、Q2がオン状態に保持されることはなく、その原因が取り除かれれば、電源電圧Vccの再投入をすること無く、発振動作を自動的に再開することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路(図2)では、上記の如く2つのトランジスタQ1、Q2のうち一方(本実施形態ではトランジスタQ1側)のベースにのみ自己帰還型のバイアス回路が設けられており、第1の実施形態の場合の回路構成と比較して、発振用のコンデンサ(C2)を省略することができ、回路構成の簡素化及び小型化が実現する。特に、従来のマルチバイブレータ回路を駆動源とする圧電ブザーユニットにおいては、発振用のコンデンサの単価が当該ユニット全体の部材費に占める割合は大きいので、本実施形態の如く発振用のコンデンサを1つ削減できることはコスト削減に大きく寄与するものである。
【0059】
また、本実施形態に係るマルチバイブレータ回路において、何等かの原因による電源電圧Vccの上昇に伴ってベース電圧が大きくなっても、抵抗R4によってトランジスタQ1のコレクタ電位が下げられるため、その結果、ベース電位の変化が抑制される。従って、本実施形態においても、電源電圧Vccの上昇分に対する当該マルチバイブレータ回路の発振周波数の上昇を極小化することができるので、広範囲な電源電圧、即ち電源電圧が変動する使用環境下においても、例えば設計段階にて決定された所定の発振周波数及びその近傍周波数において、安定した発振動作を実現することができる。
【0060】
従って、このような特徴を有する本実施形態に係るマルチバイブレータ回路によって圧電ブザー100を駆動すれば、鳴動に際して所定の音色を維持することができ、好適である。
【0061】
即ち、上述した本実施形態によれば、コストメリット(コスト削減効果)に優れ、且つ安定して作動する信頼性の高いマルチバイブレータ回路及び圧電ブザーユニットの提供が実現する。
【0062】
尚、上述した各実施形態では、マルチバイブレータ回路によって駆動される負荷として、圧電ブザーを例に挙げて説明したが、負荷はこれに限られるものではなく、上述した各実施形態において説明したマルチバイブレータ回路は、図7に示すような従来のマルチバイブレータ回路によって駆動可能な負荷であれば、例えば、保安用品や自動車用品に採用されるLEDの点滅回路等のように、何れのものに採用しても好適である。
【0063】
【発明の効果】
上述した本発明によれば、安定して作動する信頼性の高いマルチバイブレータ回路により駆動される圧電ブザーユニットの提供の提供が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における圧電ブザーユニットの回路構成を示す図である。
【図2】第2の実施形態における圧電ブザーユニットの回路構成を示す図である。
【図3】第2の実施形態における圧電ブザーユニットを駆動した際の、基準電位(0V)に対するA点及びB点の出力電圧波形を例示するタイムチャートである。
【図4】図3に例示するA点及びB点の出力電圧波形に対応するA点及びB点間の出力電位差を示すタイムチャートである。
【図5】第2の実施形態における圧電ブザーユニットを駆動した際に圧電ブザー100に印加される出力電圧波形を例示するタイムチャートである。
【図6】従来のマルチバイブレータ回路(図7)によって駆動した場合における発振周波数及び圧電ブザーの静電容量の関係と、第2の実施形態に係るマルチバイブレータ回路(図2)によって駆動した場合における発振周波数及び圧電ブザーの静電容量の関係とを比較した結果を示す図である。
【図7】従来の他励式の圧電ブザーユニットの回路構成を例示する図である。
【符号の説明】
Q1,Q2,Q11,Q12:トランジスタ,
R1,R2,R3,R3a,R4,R11,R12,R13,R14:抵抗,
C1,C2,C11,C12:コンデンサ,
100:圧電ブザー
Claims (1)
- 圧電素子と、該圧電素子を駆動する2つのトランジスタが交互に作動するマルチバイブレータ回路とを備える圧電ブザーユニットであって、
前記マルチバイブレータ回路は、
前記2つのトランジスタのうち、
第1トランジスタにおけるベースのバイアス回路が、ベース・コレクタ間が抵抗を介して接続された自己帰還バイアス型であり、
第2トランジスタにおけるベースには、前記第1トランジスタのコレクタ出力が抵抗を介して供給される
ことを特徴とする、圧電ブザーユニット。
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