JP4279508B2 - 防振モータの構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用電気機器あるいは事務機用電子機器などで広く用いられている冷却用ファンモータ等の駆動源となるモータの防振構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ファン等を駆動するモータは、一般に図8に示すような構造で、図に示すように、モータはモータフレーム1に配設されたステータ組立2と、モータフレーム1の両端部に装着されたブラケット3と、ブラケット3に装着された軸受4と、軸受4に回転自在に支えられたロータ軸5と、ロータ軸5に固定されたロータ6とで構成され、ロータ軸5の軸端にはプロペラファンやシロッコファン等の負荷(以下、ファンという)が取り付けられ、冷却用ファンモータ等として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のモータでは、モータを駆動すると、ロータ組立7とステータ組立2との間に働く電磁力によりロータ組立7が振動し、ロータ軸5を介して軸先端に取り付けられているファンに振動が伝達されて共振し、騒音を発生する原因となっていた。図10に前述の様に構成された従来方式のモータにファンを取り付けた場合のファン回転数と発生騒音値の関連グラフを示す。このグラフを見るとファン回転数1250回転近傍で騒音値が最大値を示している事がわかる。前述のファンモータの騒音はモータの振動に起因していることが一般に知られたことであり、騒音値を小さくするためにはロータの振動を軸あるいはファンに出来る限り伝えない様にする事であり、この振動伝達を防止するために図9に示すように、ロータ軸5とロータ6の内径部との間に弾性体9を介してロータ6を締結する構造のものが提案されているが、弾性体9を薄くすると振動が十分に除去出来ず、弾性体9を厚くするとロータ6の固定が不十分となり、磁気吸引力によりステータ組立2とロータ6の間の空隙gが不均一となり、十分な防振効果が得られない欠点がある。図11に図9に示す弾性体結合になるファンモータの回転数と騒音の関連グラフを示す。本図においてもファン回転数1250回転近傍で騒音値が急激に増加していることがわかる。
【0004】
本発明は前述の問題を解決するもので、モータの振動をファンの負荷に伝達することが少ない防振構造を備えた防振モータを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、ロータ軸にロータを挿入結合して、前記ロータの両側面に設けられた弾性体でロータを挟持し、この一方をロータ軸に固定したロータ位置決め用受台で支え、他の一方をロータ軸に止めたバネ材で側圧しロータをロータ軸に締結してロータ組立を構成し、モータフレームの両端部に装着されたブラケットとブラケットに固定された軸受で、前記ロータ組立を回転自在に装着して、ロータの振動がロータ軸やファンに伝達されるのを小さくなるように構成したものである。
【0006】
【作用】
本発明は上述のように、ロータ軸にロータを挿入して、ロータの両側面を弾性体で挟み込み、ロータ位置決め用受台とバネ材でロータ軸に締結してロータ組立を構成したことにより、ロータはロータ軸上において回転方向と軸方向に弾性体を介して可動し、ロータ内径部とロータ軸外径部は隙間嵌めとなっているから、軸垂直方向移動はロータ軸にて制限される。このためロータとステータ組立との空隙gは均一に保たれる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図面による説明を行う。図1に本発明を説明するために参考となるロータ内転形防振モータの側断面図を示す。モータフレーム1に配設されたステータ組立2と、モータフレーム1の両端部に装着されたブラケット3と、ブラケット3に装着された軸受4と、軸受4に回転自在に支えられたロータ軸5の外周部に弾性体10で両側面から挟み込まれたロータ6を挿入したロータ組立11とで本発明の防振モータが構成されている。この弾性体10は、プッシュナット12により機械的に両側から加圧しロータ軸5に締結されている。この構造により、ステータ組立2の内径部とロータ組立11の外径部との空隙gを容易かつ均一に保つことが出来る。この結果空隙不均衡によるモータの振動を防止することができる。図12に図1に示した防振モータの回転数と騒音の実測グラフを示す。図12と図10及び図11を対比してみると、図10、図11ともに回転数に対して騒音値は比例関係に無く、ロータの共振により騒音値の大きくなる周波数帯のあることが明らかである。一方図1に示した防振モータの騒音実測グラフ図12を見ると、騒音値はほぼ回転数に比例し、特定周波数帯における共振現象は現れていないことが明らかである。この事から図1に示した構造のモータでは、防振効果が顕著であることが明らかである。従って、ロータ6とステータ組立2との間で発生した回転方向及び軸方向の振動は、ロータ6の両側面にある弾性体10により吸収され、ロータ軸5への振動伝達は十分抑制されている事が明らかである。
【0008】
図2に本発明を説明するために参考となる他のロータ組立11の構造を示す。ロータ6とロータ軸5は挿入結合され、ロータ6は両側面から弾性体10により挟まれている。その弾性体10とロータ6,ロータ軸5は、接着剤13(化学的)等で締結されている。作用は、図1と同様である。
【0009】
図3に本発明の実施例であるロータ組立11の構造を示す。ロータ軸5にロータ受台14を形成して、この受台14に両側面から弾性体10を挟んだロータ6を挿入し、受台14の反対側からプッシュナット12等で締結したので、空転止めの効果とロータ6の面ブレ防止が得られる。
【0010】
図4に参考例としてのロータ組立11の構造を示す。プッシュナット12等で弾性体10を締結し、かつロータ6の位置が正確に出せる用にロータ軸5に溝16を設け、この溝16にプッシュナット12を配置したので位置決めが正確に出来る。
【0011】
図5に他の参考例であるロータ組立11の構造を示す。ロータ6の底径φD1の部分に弾性体10を嵌合すると、ロータ6の機械的精度が向上するので、吸引力によるアンバランスが防止でき、低振動・低騒音化が得られる。
【0012】
図6にさらに他の参考例であるロータ組立11の構造を示す。ロータ6を図6に示すようにロータ鉄芯15と永久磁石8の複合体から形成して、ロータ組立11を構成した構造。
【0013】
図7に他の参考例であるロータ組立11の構造で、ロータ6と弾性体10の締結方法を示す。ロータ6に突起物(凸部)17を出して、逆に弾性体10には合わせる面に対し凹部18を作成してロータ6と弾性体10を側面から合わせることにより、ロータ6単体が空転することを防止する。ロータ6と弾性体10の凸凹の関係は、逆でも同じ効果を有する。
【0014】
【発明の効果】
本発明では、モータの回転体を構成するロータ組立において、ロータ軸にロータを挿入結合としロータの両側面を弾性体で挟み込み、この弾性体をロータ位置決め用受台とバネ材でロータ軸に締結したので、ロータ軸に伝達される回転方向及び軸方向の振動を小さくする事が可能となり、大幅な騒音低減が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明を説明するための参考用の防振モータの側断面図である。
【図2】本願発明を説明するために参考となるロータ組立の側断面図である。
【図3】本願発明の一実施例に係るロータ組立の側断面図である。
【図4】参考例のロータ組立の側断面図である。
【図5】他の参考例のロータ組立の側断面図である。
【図6】さらに他の参考例のロータ組立の側断面図である。
【図7】他の参考例のロータ組立の側断面図である。
【図8】従来例のモータ側断面図である。
【図9】従来例のモータ側断面図である。
【図10】従来構造「図8」による回転数と騒音関係を示すグラフである。
【図11】従来提案の構造「図9」による回転数と騒音関係を示すグラフである。
【図12】「図1」による回転数と騒音関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 モータフレーム
2 ステータ組立
3 ブラケット
4 軸受
5 ロータ軸
6 ロータ
7 ロータ組立
8 永久磁石
9 弾性体
10 弾性体
11 ロータ組立
12 プッシュナット
13 接着剤
14 受台
15 ロータ鉄芯
16 溝
17 凸部
18 凹部
g 空隙
φD1 ロータ6の底径
Claims (3)
- モータフレームの内周部に配設されたステータ組立と、モータフレームの両端部に装着されたブラケットと、ブラケットに装着された軸受と、軸受に回転自在に支えられたロータ軸と、ロータ軸に締結されたロータとで構成されたロータ内転形モータにおいて、ロータをロータ軸に対して、ロータの回転方向及び軸方向の両方向に滑動自在に組み立て、ロータの両側面を弾性体で挟持して、一方をロータ軸に固定したロータ位置決め用受台で支え、他の一方をロータ軸に止めたバネ材で側圧しロータをロータ軸に締結したことを特徴とする防振モータの構造。
- 請求項1に記載した防振モータ構造において、ロータ軸に溝を設け、前記バネ材をこの溝に配置したを特徴とする防振モータの構造。
- 請求項1に記載した防振モータ構造において、ロータの内周側面部に凸部(又は凹部)を設け、更に弾性体に凹部(又は凸部)を設け、両者の凸部と凹部が夫々接合する様にロータと弾性体を組み合わせてロータ軸に締結したことを特徴とする防振モータの構造。
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