JP4278823B2 - 安全合わせガラス用中間膜 - Google Patents

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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F222/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a carboxyl radical and containing at least one other carboxyl radical in the molecule; Salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof
    • C08F222/10Esters
    • C08F222/1006Esters of polyhydric alcohols or polyhydric phenols

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のフロントガラスやサイドガラス、建築物の窓ガラス等に用いられる合わせガラスに用いられる安全合わせガラス用中間膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合わせガラスの中間層としてはポリビニルブチラール系樹脂が最も一般的に用いられてきたが、ポリビニルブチラール系樹脂は熱可塑性樹脂であるために以下の問題点を有していた。
・軟化点が比較的低いために、貼合せた後に熱によりガラス板がずれたり気泡の発生が認められる。
・水分の影響を受け易いために、高湿度雰囲気下に長期間に亘り放置しておくと周辺部から次第に白色化すると共にガラスとの接着力の低下が認められる。
・耐衝撃破壊性能が温度に依存し、特に室温を超えた温度領域、即ち、約30℃以上では耐貫通性能が急激に低下する。
【0003】
【発明が解決しようとする問題】
従って、本発明の目的は、これらの従来技術の欠点を解消し、このような背景下において、接着力及びその持続性、耐衝撃性、耐貫通性能などに優れた安全合わせガラス用中間膜を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のビニルアルコール系重合体組成物からなる安全合わせガラス用中間膜により、上記の課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、ビニルアルコール系重合体組成物からなる安全合わせガラス用中間膜であって、該ビニルアルコール系重合体組成物が、ビニルアルコール系重合体および、金属アルコキシド又は該オリゴマーの重縮合反応により得られる金属酸化物を含有してなる組成物であることを特徴とする安全合わせガラス用中間膜である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の合わせガラスは、ビニルアルコール系重合体組成物をガラス板間に介在させ、該ビニルアルコール系重合体組成物を硬化等によりガラス板と一体化してなる。即ち、例えば、ビニルアルコール系重合体組成物を、ガラス板間に介在させて、熱硬化させて一体化する。
【0007】
本発明に使用されるビニルアルコール系重合体組成物は、好適には、金属アルコキシド又はそのオリゴマーの重縮合反応とカルボン酸ビニル系重合体のけん化反応により調製されるものであり、、一般的なゾルゲル法による無機有機複合体合成として知られているものが応用できる。
【0008】
本発明に使用されるビニルアルコール系重合体組成物のより好ましい製造方法は、金属アルコキシド又はそのオリゴマー、カルボン酸ビニル系重合体及び有機溶剤を含有する溶液(ゾル)を用いて、有機溶剤を包含する低沸点物を除去しながら、同一反応系中において該金属アルコキシド又は該オリゴマーの重縮合反応と該カルボン酸ビニル系重合体のけん化反応とを並行的に行うことによって、金属酸化物及びビニルアルコール系重合体からなるビニルアルコール系重合体組成物(ゲル状又は固体状の有機/無機複合体)を製造する公知の方法(以後、この方法を「in situけん化ゾルゲル法」と略記することがある)に準拠するものである。
【0009】
本発明において使用されるカルボン酸ビニル系重合体はカルボン酸ビニル単位を有する重合体であり、カルボン酸ビニル単独の付加重合体及びカルボン酸ビニルと他のコモノマーとの付加共重合体を包含する。該カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−メチルプロピオン酸ビニルなどが好ましく、酢酸ビニルが特に好ましい。上記のコモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどのα−オレフィン;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アリルアルコール;ビニルトリメチルシランなどを使用することができる。カルボン酸ビニル系重合体としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル等のポリカルボン酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニル共重合体等のエチレン−カルボン酸ビニル共重合体などが用いられ、その中でも、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が特に好適に用いられる。
【0010】
カルボン酸ビニル系重合体としてポリカルボン酸ビニル又はエチレン−カルボン酸ビニル共重合体を使用する場合、接着性及びその持続性に優れ、耐衝撃性及び耐貫通性能等の安全性にも優れることから、そのエチレン単位の含有率は全構造単位基準において0〜70モル%の範囲内であることが好適であり、0〜60モル%の範囲内であることがより好適であり、0〜30モル%の範囲内であることがさらに好適であり、0〜20モル%の範囲内であることが特にに好適である。
【0011】
使用されるカルボン酸ビニル系重合体の分子量については特に限定されず、低分子量のものから高分子量のものまで使用可能であるが、得られるビニルアルコール系重合体組成物が接着性及びその持続性に優れる点で重合度が300〜6000の範囲のものが好適に用いられ、300〜3000のものが特に好適に用いられる。また、使用されるカルボン酸ビニル系重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、シリル基変性、ボロン酸変性、カルボキシル基変性等の変性が施されたものであってもさしつかえないが、得られるビニルアルコール系重合体組成物における耐衝撃性及び耐貫通性能が特に優れる点で、その変性量は0.1モル%以下に止めることが好適であり、0.01モル%以下に止めることがより好適であり、未変性であることが特に好適である。さらに、使用されるカルボン酸ビニル系重合体は、そのカルボン酸ビニル単位に由来するアシルオキシ基の一部が水酸基にけん化されたものであってもかまわないが、得られるビニルアルコール系重合体組成物の耐衝撃性及び耐貫通性能等の観点からは、該カルボン酸ビニル系重合体のけん化度は50モル%以下に止めておくことが好ましく、10モル%以下に止めておくことがより好ましく、1モル%以下に止めておくことが特に好ましい。
【0012】
本発明においては、金属アルコキシド又はそのオリゴマー(以後、「金属アルコキシド又はそのオリゴマー」を「金属アルコキシド系成分」と総称することがある)を使用する。本発明において、金属アルコキシド系成分とは、シリコンアルコキシド、シリコンアルコキシド以外の金属アルコキシド、シリコンアルコキシド由来の単位を有する金属アルコキシドのオリゴマー及びシリコンアルコキシド由来の単位を有しない金属アルコキシドのオリゴマーからなる群から選ばれる少なくとも1種の成分である。本発明においては、必ずしも限られるものではないが、金属アルコキシド系成分の少なくとも1成分として、シリコンアルコキシド又はシリコンアルコキシド由来の単位を有する金属アルコキシドのオリゴマーを使用することが、得られるビニルアルコール系重合体組成物における接着の持続性の高さなどにおいて好ましい。
【0013】
上記シリコンアルコキシドとしては、1個のケイ素原子を有し、2、3又は4個のアルコキシ基がケイ素原子に結合した化学構造を有するものが好ましい。ここで、アルコキシ基の個数は3個又は4個であることがより好ましく、4個であることが特に好ましい。なお、アルコキシ基の個数が2個又は3個の場合、ケイ素原子にはさらにアルキル基(メチル基等)、アリール基(フェニル基等)、ハロゲン原子(塩素原子等)等が結合する。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が例示される。シリコンアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、クロロトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0014】
上記のシリコンアルコキシド以外の金属アルコキシドとしては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の2価以上(より好ましくは3価又は4価)の金属原子を1個有し、これに1個以上(より好ましくは2個以上、特に好ましくは3個以上)のアルコキシ基が結合している化学構造を有する化合物が好ましい。アルコキシ基の具体例としては、上記シリコンアルコキシドについて例示したようなものが挙げられる。金属原子はアルコキシ基以外の置換基を有していてもよく、その置換基としてはアルキル基(メチル基等)、アリール基(フェニル基等)、ハロゲン原子(塩素原子等)等が例示される。該金属アルコキシドの具体例としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン等のアルコキシチタン化合物;トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、メチルジイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム、ジエトキシアルミニウムクロリド等のアルコキシアルミニウム化合物;テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、メチルトリイソプロポキシジルコニウム等のアルコキシジルコニウム化合物などが挙げられる。
【0015】
上記のシリコンアルコキシド由来の単位を有する金属アルコキシドのオリゴマーには、上記のようなシリコンアルコキシド単独のオリゴマー、及び上記のようなシリコンアルコキシドと他の金属アルコキシドとのコオリゴマーが包含される。該他の金属アルコキシドとしては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の2価以上(より好ましくは3価又は4価)の金属原子を1個有し、これに1個以上(より好ましくは2個以上、特に好ましくは3個以上)のアルコキシ基が結合している化学構造を有する化合物が好ましい。シリコンアルコキシド由来の単位を有する金属アルコキシドのオリゴマーは、シリコンアルコキシドを単独で又は他の金属アルコキシドとの混合物で、公知の方法により加水分解・重縮合することによって製造することのできる、低分子量の水酸基含有オリゴマーであることが好ましい。シリコンアルコキシド由来の単位を有する金属アルコキシドのオリゴマーの好ましい具体例としては、シラノール基含有テトラメトキシシラン二量体又はその三量体以上のオリゴマー、シラノール基含有テトラエトキシシラン二量体又はその三量体以上のオリゴマー、シラノール末端変性オリゴジメチルシロキサンなどが挙げられる。その重合度は、必ずしも限られるものではないが、2〜25の範囲内であることが好ましく、2〜10の範囲内であることがより好ましい。
【0016】
また、上記のシリコンアルコキシド由来の単位を有しない金属アルコキシドのオリゴマーとしては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の2価以上(より好ましくは3価又は4価)の金属原子(ただし、ケイ素原子を除く)を1個有し、これに1個以上(より好ましくは2個以上、特に好ましくは3個以上)のアルコキシ基が結合している化学構造を有する化合物の1種又は2種以上を、公知の方法により加水分解・重縮合することによって製造することのできる、低分子量の水酸基含有オリゴマーであることが好ましい。シリコンアルコキシド由来の単位を有しない金属アルコキシドのオリゴマーの好ましい具体例としては、水酸基含有テトライソプロポキシチタン二量体又はその三量体以上のオリゴマーなどが挙げられる。その重合度は、必ずしも限られるものではないが、2〜25の範囲内であることが好ましく、2〜10の範囲内であることがより好ましい。
【0017】
本発明において使用される金属アルコキシド系成分においては、得られるビニルアルコール系重合体組成物における接着の持続性の高さから、全金属原子基準における金属原子の含有率が20モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが特に好ましい。
【0018】
本発明におけるビニルアルコール系重合体組成物を調製する反応では、所望に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内において、金属塩、金属錯体又は層状粘土化合物を反応系に添加することができる。金属塩又は金属錯体の例としては、上記金属アルコキシドを湿式で加水分解・重縮合して製造した金属酸化物の微粉末;金属アルコキシドを乾式で加水分解・重縮合又は燃焼して調製した金属酸化物の微粉末;炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩のような無機酸金属塩;シュウ酸塩のような有機酸金属塩;アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンチタニウム等のようなアセチルアセトナート金属錯体、シクロペンタジエニル金属錯体、シアノ金属錯体等の金属錯体などが挙げられる。また、上記の層状粘土化合物の例としては、天然スメクタイト、親油性処理スメクタイト、親水性処理スメクタイト、天然マイカ、親油性処理マイカ、タルク等が挙げられる。その使用量は、特に限定されるものではないが、接着性及びその持続性等を損なわないことから得られるビニルアルコール系重合体組成物100重量部に対して5重量部以下の範囲が好ましい。
【0019】
なお、公知のゾル−ゲル法においては、一般的に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤が、得られるビニルアルコール系重合体組成物中での金属酸化物の分散性向上を目的にして用いられることが多いが、本発明では、得られるビニルアルコール系重合体組成物がより高度な耐水性を発現できる点において、このようなカップリング剤を使用しない方が好結果を与えることが多い。ただし、上記のような金属塩、金属錯体、層状粘土化合物等を用いる場合には、それらの分散性を向上させる上でカップリング剤の使用が有効となることがある。したがってカップリング剤を使用する場合には、カップリング剤の使用量を、使用する金属アルコキシド系成分中の金属成分基準において0.1モル%以下に止めることが望ましく、0.01モル%以下に止めることがより望ましい。
【0020】
本発明に従う反応は、上記の金属アルコキシド系成分の重縮合反応とカルボン酸ビニル系重合体のけん化反応とを同一系中において並行的に進行させるものであり、基本的にはin situけん化ゾルゲル法において公知の反応である。金属アルコキシド系成分の重縮合反応は巨大分子化した金属酸化物を生成するものであり、金属アルコキシドのようにアルコキシ基を含有する化合物又はアルコキシ基を含有するオリゴマーを使用する場合にはアルコキシ基が水酸基に変化する加水分解反応を経由する脱水縮合反応により進行するが、水酸基を含有するオリゴマーを使用する場合には加水分解反応を経ることなく脱水縮合反応のみにより進行することがある。いずれの場合でも本発明に適用可能である。一方、カルボン酸ビニル系重合体のけん化反応はビニルアルコール系重合体を生成するものであり、カルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシルオキシ基が水酸基に変換され、それと同時にカルボン酸系化合物(使用する有機溶剤、触媒の種類等に応じて相違するが、通常は、カルボン酸、カルボン酸エステル及びカルボン酸塩のうちの1種以上の化合物)が副生する。なお、本発明に従う反応によって得られるビニルアルコール系重合体組成物においては、ビニルアルコール系重合体と金属酸化物との間で部分的に化学結合が形成されることがあるものと推定される。
【0021】
本発明に従う反応では、カルボン酸ビニル系重合体及び金属アルコキシド系成分の使用量については、金属アルコキシド系成分を、該カルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基100モルに対し該金属アルコキシド系成分中の金属原子が0.01〜100モルの範囲内になるような割合で使用することが必要である。金属アルコキシド系成分中の金属原子がカルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基100モルに対して0.01モル以上であると、得られるビニルアルコール系重合体組成物における接着性が良好となる。また、金属アルコキシド系成分中の金属原子がカルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基100モルに対して100モル以下であると、得られるビニルアルコール系重合体組成物は、耐衝撃性及び耐貫通性能等の安全性を高度に発現することができる。得られるビニルアルコール系重合体組成物における安全性及び接着性がより高度なものとなる点において、金属アルコキシド系成分の使用量を、カルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基100モルに対して金属アルコキシド系成分中の金属原子が0.01〜80モルの範囲内になるような割合に設定することが好ましく、0.1〜60モルの範囲内になるような割合に設定することがより好ましく、0.1〜40モルの範囲内になるような割合に設定することがさらに好ましい。
【0022】
本発明に従う反応では、in situけん化ゾルゲル法において公知の酸触媒のほか、一般的なゾル−ゲル法において公知の各種触媒を使用することができる。使用可能な触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、酢酸、乳酸、炭酸等の酸性触媒;及び水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミン等の塩基性触媒を挙げることができ、これらを単独で用いても組み合せて用いてもよい。得られるビニルアルコール系重合体組成物における耐衝撃性及び耐貫通性能等の安全性の点から、一般的には、酸性触媒を用いることが好ましく、酸性触媒と塩基性触媒を組み合せて用いることがより好ましい。ただし、上記金属アルコキシド系成分として、予め、ある程度加水分解又はさらに重縮合までされた低分子量の水酸基含有オリゴマーを使用する場合には、塩基性触媒を用いることが好ましい。触媒の使用量は必ずしも厳密に限定されるものではないが、使用する金属アルコキシド系成分中のアルコキシ基のモル数と使用するカルボン酸ビニル系重合体のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基のモル数との和(総モル数)の1モルに対して0.001〜0.1グラム当量の範囲内であることが好適であり、0.01〜0.05グラム当量の範囲内であることがより好適である。
【0023】
本発明に従う反応では、カルボン酸ビニル系重合体と金属アルコキシド系成分を有機溶剤に溶解させてなる溶液(ゾル)を使用する。その際に使用される有機溶剤は、カルボン酸ビニル系重合体と金属アルコキシド系成分との両方を十分に溶解し得るものであれば特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類などを単独で又は2種以上を混合して用いるのが好ましく、これらの中でもメタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド等が特に好ましい。有機溶剤の使用量は必ずしも限定されるものではないが、カルボン酸ビニル系重合体と金属アルコキシド系成分との総重量の100重量部に対して、20〜2000重量部の範囲内が好適であり、100〜1000重量部の範囲内がより好ましい。反応系中の有機重合体(使用したカルボン酸ビニル系重合体のけん化反応により誘導される最終目的物又はその中間体)における使用したカルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基の残存率を下げたい場合には、所定のビニルアルコール系重合体と親和性を有する有機溶剤を5重量%以上含有してなる均一な溶剤が好適に用いられる。
【0024】
本発明に従う反応においては、必要に応じて、反応系中に水を存在させてもよい。例えば、金属アルコキシド系成分としてアルコキシ基を有する金属アルコキシド又はアルコキシ基を有するオリゴマーを使用する場合、該アルコキシ基の加水分解反応を進行させる上で水の存在が必要となる。水の使用量については、必ずしも限定されるものではなく、上記のように、使用する金属アルコキシド系成分、触媒の種類等を考慮して適宜設定することができるが、一般的には、使用する金属アルコキシド系成分中のアルコキシ基に対して1.5〜4.0倍モルの範囲内であることが好ましい。なお、塩酸のように水を含有する成分を使用する場合には、その成分によって導入される水の量も考慮して水の使用量を決定すべきである。
【0025】
本発明に従う反応は、少なくとも途中以降の段階においては、蒸発等の手段によって低沸点物を系外に除去しながら行う。該低沸点物としては、有機溶剤、カルボン酸ビニル系重合体のけん化によって副生する上記のカルボン酸系化合物、金属アルコキシド系成分の重縮合による副生成物(水等)、過剰の水を添加した場合には過剰分の水などが包含される。
【0026】
本発明に従う反応においては、反応初期、すなわち反応系中の有機重合体(使用したカルボン酸ビニル系重合体のけん化反応により誘導される最終目的物又はその中間体)における使用したカルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基の残存率が40モル%に到達する前の段階、には有機溶剤等の系外への散逸を抑制し、それに次ぐ反応後期に、有機溶剤、カルボン酸系化合物等を系外に除去しながら反応を行うことが好ましい。このためには、反応初期は常圧下又は加圧下で反応を行うことにより有機溶剤等の蒸発を抑制し、反応後期において減圧系に移行させることにより有機溶剤、カルボン酸系化合物等の蒸発を促進させることが好ましい場合がある。なお、本発明に従う反応では、反応混合物は、反応初期は溶液状であるが、反応終了時には固体状となる。
【0027】
反応系からカルボン酸系化合物を除去するために反応系を減圧下とする場合、圧力を必要以上に低くすると、有機溶剤の蒸発が早すぎて均質な組成物が得られなくなったり、発泡により組成物を所定形状で得ることができなくなったりするような不都合が生じることがあるため、反応系の状態を観察しながら、徐々に圧力を下げることが好ましい。これらのことから、減圧条件を採用する場合には、その際における圧力条件としては、一般に、絶対圧において0.01〜700mmHgの範囲内から選択することが好ましく、0.1〜400mmHgの範囲内から選択することがより好ましい。
【0028】
本発明に従う反応においては、得られるビニルアルコール系重合体組成物についてその優れた耐水性をより高度に発現し得る点で、該反応を、反応系中の有機重合体における使用したカルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基の残存率が30モル%以下の段階に至るまで行うことが好ましく、0.1〜20モル%の範囲内になるよう行うことがより好ましく、1〜10モル%の範囲内になるよう行うことがさらに好ましく、1〜5モル%の範囲内になるよう行うことが特に好ましい。該アシル基の残存率を高度に低減させるには、例えば、本発明に従う反応における反応系内の水分率を3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下になるよう溶剤の使用量を調整すること、反応系内の水の量を金属アルコキシド系成分に由来するアルコキシ基に対して30〜100モル%の範囲内、より好ましくは40〜75モル%の範囲内に調整すること、並びに、金属アルコキシド系成分として、アルコキシ基と水酸基とを、アルコキシ基/水酸基のモル比において1/0.5〜1/2.0の範囲内、より好ましくは1/0.8〜1/1.25の範囲内で含有する金属アルコキシド又はそのオリゴマーを使用することのうち1つ以上の条件を採用することが望ましい。
【0029】
本発明に従う反応においては、必ずしも限られるものではないが、茶褐色、黒色などの着色のない良好な色調を有するビニルアルコール系重合体組成物を得たいのであれば、反応系中の有機重合体(使用したカルボン酸ビニル系重合体のけん化反応により誘導される最終目的物又はその中間体)におけるカルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基の残存率Xが40モル%以下である領域において、上記カルボン酸系化合物を下記式
【0030】
Y ≦ 0.9X+5.0 (I)
【0031】
(式中、Xは上記のアシル基の残存率(単位:モル%)を表し、Yは、使用したカルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基の初期量を基準とした場合における反応系に含まれる上記カルボン酸系化合物の量の相対割合(単位:モル%)を表す。)
【0032】
を満足するように反応系から除去しながら反応を行うことが好適である。なお、反応系中の有機重合体のアシル基の残存率X(モル%)は、使用したカルボン酸ビニル系重合体中のアシル基の初期量を基準とした場合における反応系に含まれる有機重合体中のアシル基の量の相対割合であり、本発明に従うけん化反応のみによる有機重合体のけん化度をZ(モル%)で示すと、100−Zで表すことができる。
【0033】
上記式(I)は、定性的には、反応が進行するに従って、副生するカルボン酸系化合物の反応系中での含有量をより低減させる必要があること、すなわち、該カルボン酸系化合物の反応系からの除去をより厳密に行う必要があることを意味している。式(I)を満足させる目的においては、反応途中の時点(反応系中の有機重合体におけるアシル基の残存率Xが40モル%となる時点又はそれ以前の時点)から後には、反応系中に存在するカルボン酸系化合物を定量しながら、その定量値に基づいて制御された減圧条件下で反応を行うことにより、カルボン酸系化合物の蒸発を促進させることが一般的に好ましい。ただし、カルボン酸系化合物のうちカルボン酸塩は蒸発による除去ができないため、カルボン酸塩の生成を抑制しカルボン酸及び/又はカルボン酸エステルが優先的に生成できるように条件設定することが好ましい。
【0034】
上記の式(I)におけるアシル基の残存率X及びカルボン酸系化合物の存在量Yは、それぞれ、反応途中において適時、反応系から採取した少量の試料を用いた定量分析により決定することができる。すなわち、アシル基の残存率Xは、例えば、液体状(ゾル状)、ゲル状又は固体状の反応系から採取した少量の試料を40℃程度の温度で速やかに減圧乾燥して得た反応途中の有機重合体を含有する組成物について、FT−IRを用いて拡散反射法によりアシル基(アセチル基、プロピオニル基等)を定量分析し、その分析値と、使用したカルボン酸ビニル系重合体について同様にして定量分析して得たアシル基の分析値に基づいて決定することができる。また、カルボン酸系化合物の存在量Yは、例えば、液体状(ゾル状)、ゲル状又は固体状の反応系から採取した少量の試料を重水素化メタノールに溶解させ、13C−NMRを用いて、反応途中の有機重合体及び副生したカルボン酸系化合物が有するすべてのアシル基(アセチル基、プロピオニル基等)を定量分析し、その分析値について、使用したカルボン酸ビニル系重合体に対して同様にして定量分析して得た該カルボン酸ビニル系重合体のアシル基の分析値を基準とする相対割合(モル%)を算出し、該相対割合と前記アシル基の残存率Xとの差を求めることにより決定することができる。
【0035】
なお、色調良好なビニルアルコール系重合体組成物を得る目的において上記式(I)を満足させるように反応を行う場合、有機重合体におけるアシル基の残存率Xが40モル%以下である領域において、該残存率X及びカルボン酸系化合物の存在量Yを常時定量することは必ずしも必要ではなく、また瞬間的であれば式(I)の条件を外れていても差支えない。したがって、上記の目的の下では、上記式(I)をある適度余裕を持って満足し得る条件を採用する限り、適当な時間間隔を置いて両者を定量し、必要に応じて反応系の圧力条件を制御するのが実用的である。
【0036】
本発明に従う反応における反応系の温度は、必ずしも限定されるものではないが、通常20〜100℃の範囲内であり、好ましくは40〜60℃の範囲内である。反応時間は触媒の量、種類等の反応条件に応じて相違するが、通常0.5〜120時間の範囲内、好ましくは1〜60時間の範囲内であり、より好ましくは1〜24時間の範囲内である。また、反応系の雰囲気については、必ずしも限定されるものではなく、空気の雰囲気下、窒素気流下などの条件を採用することができる。
【0037】
本発明に従う反応では、金属アルコキシド系成分、カルボン酸ビニル系重合体、有機溶剤及び必要に応じてさらに他の成分(触媒、水等)を含有する溶液(ゾル)を用いて反応を開始するが、有機溶剤等の低沸点物及びカルボン酸系化合物を系外に除去しながら反応を行うため、反応時間の経過とともに反応系の状態は変化し、反応途中では、ビニルアルコール系重合体、金属酸化物及び少量の有機溶剤を含むゲル状の組成物が形成され、最終的には、固体の組成物が形成される。なお、反応系が液体状の場合には攪拌してもよい。また、反応後期及び/又は反応終了後で熱処理を行ってもよく、その温度は50〜250℃の範囲内であることが好適であり、60〜200℃の範囲内であることがより好適である。
【0038】
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体組成物のミクロ相分離構造については、必ずしも限られるものではないが、多くの場合、カルボン酸ビニル系重合体のけん化により形成されたビニルアルコール系重合体及び金属アルコキシド系成分の重縮合により形成された金属酸化物が、それぞれ共連続構造を形成しているか、又は、ビニルアルコール系重合体及び金属酸化物が海島構造を形成し、かつ該海成分がビニルアルコール系重合体からなり、該島成分が金属酸化物粒子中にビニルアルコール系重合体が入り込んだ共連続構造物からなる形態を有している。
【0039】
本発明に従う反応により得られるビニルアルコール系重合体組成物は、接着力及びその持続性、耐衝撃性、耐貫通性能に優れる。このため、該ビニルアルコール系重合体組成物は、優れた安全性が要求される合わせガラスとして有用に利用される。
【0040】
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体組成物には接着性をより高度に付与する目的で、安全性を損なわない範囲内において、架橋剤を添加する方法も用いられる。架橋剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シリカ化合物、アルミ化合物、ジルコニウム化合物、硼素化合物などが挙げられる。架橋剤の添加量は、ビニルアルコール系重合体組成物100重量部に対して通常10重量部以下であり、好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは3重量部以下であるが、安全性を高度に発現させる必要がある場合には、使用しないことが好ましい。
【0041】
さらに、本発明の効果が阻害されない範囲内であれば、高分子化合物、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の種々の添加物を使用することが可能である。該添加物としては上記ビニルアルコール系重合体組成物の調製途中の反応液に溶解又は微分散できるものが好適に使用され、高分子化合物の例としてポリアクリル酸、ポリアクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル系樹脂;ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル系樹脂;澱粉、セルロース及びこれらの塩類等を添加することができる。これらの添加剤は、上記ビニルアルコール系重合体組成物の調製中に添加して該ビニルアルコール系重合体組成物に別途添加、混合させても良い。
【0042】
合わせガラスへのビニルアルコール系重合体組成物の導入法としては、通常の合わせガラスの製法が採用され、ガラス板間にシート状のビニルアルコール系重合体組成物をはさんで加熱処理及び/又は加圧処理により接着させても良いし、上記ビニルアルコール系重合体組成物の調製途中の反応液をガラス板上に塗布し、該ガラス板上で反応を追込んだ塗工面にもう一枚のガラス板を合わせ、加熱処理及び/又は加圧処理により接着させても良し、上記ビニルアルコール系重合体組成物の調製途中の反応液をガラス板上に塗布し、該ガラス板上で反応を追込んだ積層体を塗工面を向かい合わせ加熱処理及び/又は加圧処理により接着させても良い。この時、加熱処理及び/又は加圧処理によりビニルアルコール系重合体組成物とガラス板とが反応により共有結合を形成しているものと考えられる。
例えば、二枚の透明なガラス板の間に上記ビニルアルコール系重合体組成物を挟み、これをゴムバックに入れ減圧吸引しながら約70〜110℃で予備接着し、次いで、オートクレーブを用いるか或いはプレスを用い、約120〜150℃で、約10〜15 kg/cm2の圧力で本接着を行うことにより製造される。
【0043】
本発明の合わせガラスは、接着性及びその持続性を付与する目的で熱処理する工程及び/又は紫外線や電子線を照射する工程が好適に用いられる。具体的には、80℃以上の温度、好ましくは120〜200℃の範囲内の温度で熱処理を行う。さらに高度に接着性及びその持続性を発現させる目的で熱処理と併用して、紫外線(250nm)又は電子線(0.1〜50メガラド)等の紫外線や電子線を照射することが好適に選択される。
【0044】
ビニルアルコール系重合体組成物からなる膜の厚みは、特に限定されるものではないが、20μm以上が好適であり、50μm以上がより好適であり、200〜2000μmの範囲内であることがさらに好適である。
【0045】
なお、ガラス板としては、無機ガラス板のみならず、ポリカーボネート板、ポリメチルメタクリレート板等の有機ガラス板も使用することができる。
【0046】
本発明の安全合わせガラス用中間膜からなる合わせガラスは、接着性及びその持続性に優れ、且つ、著しく耐衝撃性、耐貫通性に優れ、外力の作用により破損した場合にも安全な合わせガラスを提供する。本発明の安全合わせガラス用中間膜からなる合わせガラスは、自動車のフロントガラスやサイドガラス、建築物の窓ガラス等として極めて有用である。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明の積層フィルムをさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。
【0048】
なお、以下の実施例等における測定又は評価は、次に示す方法(1)〜(3)で行った。
【0049】
(1)アシル基量:使用したカルボン酸ビニル系重合体(ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)及び最終的に得られた組成物中の対応するビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等)については、FT−IR(株式会社島津製作所製「FTIR8200」)を用いて拡散反射法により、アシル基(アセチル基又はプロピオニル基)を定量分析した。反応途中のアシル基含有有機重合体については、液体状(ゾル状)、ゲル状又は固体状の反応系から少量の試料を採取し、40℃で速やかに減圧乾燥した後、同様にしてアシル基を定量分析した。なお、反応途中の有機重合体及び最終的なビニルアルコール系重合体におけるアシル基残存率(単位:モル%)は、これらのアシル基量に基づいて算出した。
【0050】
(2)安全性:合わせガラスについて、JIS R3205(1983)に準拠してショットバック試験を行ない、落下高さ120cmでの亀裂の有無を評価し、亀裂なしの場合を「○;良好」、やや亀裂が発生した場合(亀裂長さ10mm以上、50mm未満)を「やや不良;△」、大きな亀裂(亀裂長さ50mm以上)が発生したり又は割れが生じた場合は「不良;×」として安全性を評価した。
【0051】
(3)接着性:合わせガラスについて、−18℃±0.6℃の温度に16時間放置し、この合わせガラス中央部を0.45kgのヘッドを有するハンマーで打って、ガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕し、ガラスが部分剥離した後の露出度を、パンメル値で判定し、ガラスの接着力が判断できる。パンメル値は、ビニルアルコール系重合体組成物(中間膜)の露出度が100%の場合を0とし、95%、90%、85%、60%、40%、20%、10%、5%、2%、0%の場合をそれぞれ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10と表した。
【0052】
<実施例1>
重合度1700のポリ酢酸ビニル18.5重量部をメタノール200重量部に溶解させた後、テトラメトキシシラン1.26重量部、蒸留水0.5重量部及び1N(規定)−塩酸1.0重量部を加えてゾルを調製し、これを攪拌 しながら60℃で4時間反応を行った。得られたゾルを平底のポリテトラフルオロエチレン(デュポン製「テフロン」)製容器に高さ2mmになるように移し替え、次いで容器の上部開放部分をポリ塩化ビニリデンフィルム(旭化成工業製「サランラップ」)で被覆し、60℃でさらに4時間反応させた。その後、被覆フィルム面積基準で開孔率1%になるように被覆フィルムに針で穴を開けて、60℃でさらに4時間反応を続けた。次いで系内の有機重合体におけるアシル基残存率(本実施例ではアセチル基残存率)が60モル%になったところで、反応系内を減圧系(圧力:100mmHg)に移行し、反応系中のカルボン酸系化合物(本実施例では、酢酸系化合物)存在量が上記式(I)を満足するよう制御しながら60℃で反応を行った。4時間後、圧力を20mmHgに変更し、40℃で4時間反応を続けた。このようにして、ビニルアルコール系重合体/シリカ複合体からなる無色透明な単層フィルム(厚み50μm)を得た。
つぎに、該ビニルアルコール系重合体/シリカ複合体フィルムの両面から透明なフロートガラス(縦5cm×横5cm×厚さ3mm)で挟み、これをゴムバッグ内に入れ20mmHgの真空度で20分間脱気した後、脱気したまま90℃のオーブンに移し、さらに90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。
さらに、上記のように予備接着された合わせガラスを、エアー式オートクレーブ中で圧力12kg/cm2、温度135℃の条件で20分間本接着を行った。この合わせガラスのについて所定の方法で接着性及び安全性を評価した結果を表1に併せて示す。
【0053】
<実施例2〜5>
実施例1において、ポリ酢酸ビニル18.5重量部とテトラメトキシシラン1.26重量部との組合わせを、ポリ酢酸ビニル17.5重量部とテトラメトキシシラン2.5重量部との組合わせ(実施例2)、ポリプロピオン酸ビニル6.6重量部とテトラメトキシシラン7.6重量部との組合わせ(実施例3)、エチレン単位含有率32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体16.5重量部とテトラメトキシシラン1.26重量部との組合わせ(実施例4)又はエチレン単位含有率44モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体11.4重量部とテトラメトキシシラン7.6重量部との組合わせ(実施例5)に変更した以外は実施例1と同様に反応を行うことによって合わせガラスを得た。得られた合わせガラスについて所定の方法で接着性及び安全性を評価した結果を表1に併せて示す。
【0054】
<実施例6>
平底のポリプロピレン製容器中でポリ酢酸ビニル1.0重量部をメタノール20重量部に溶解させた後、窒素雰囲気下で、テトラメトキシシラン2.0重量部及び0.1N−塩酸1.60重量部を加えてゾルを調製し、次いで容器の上部開放部分を開孔率1%のアルミホイルで被覆し、10℃/hrの速さで60℃まで昇温し、そのまま168時間反応を続けた。このようにして、ビニルアルコール系重合体(アセチル基残存率:15モル%)/シリカ複合体からなる茶褐色の単層フィルム(厚み50μm)を得た。
得られたフィルムの両面から透明なフロートガラス(縦5cm×横5cm×厚さ3mm)で挟み、これをゴムバッグ内に入れ20mmHgの真空度で20分間脱気した後、脱気したまま90℃のオーブンに移し、さらに90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。
さらに、上記のように予備接着された合わせガラスを、エアー式オートクレーブ中で圧力12kg/cm2、温度135℃の条件で20分間本接着を行った。この合わせガラスのについて所定の方法で接着性及び安全性を評価した結果を表1に示す。
【0055】
<比較例1>
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製「PVA117」)からなるフィルム(厚み50μm)の両面から透明なフロートガラス(縦5cm×横5cm×厚さ3mm)で挟み、これをゴムバッグ内に入れ20mmHgの真空度で20分間脱気した後、脱気したまま90℃のオーブンに移し、さらに90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。
さらに、上記のように予備接着された合わせガラスを、エアー式オートクレーブ中で圧力12kg/cm2、温度135℃の条件で20分間本接着を行った。この合わせガラスのについて所定の方法で接着性及び安全性を評価した結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0004278823
【0057】
なお、表1中における「金属アルコキシド系成分割合」とは、使用したシリコンアルコキシド等の金属アルコキシド又はそのオリゴマー中の金属原子量を、使用したカルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基100モル当たりのモル数で表わしたものである。また、「組成物中のアシル基残存率」とは、反応系中の有機重合体又は最終的に得られた組成物中のビニルアルコール系重合体におけるアシル基の残存量を、使用したカルボン酸ビニル系重合体中のアシル基を基準とするモル分率で表わしたものである。さらに「中間層の厚み」とは、使用したビニルアルコール系重合体/シリカ系複合体フィルム等、透明なフロートガラスに挟み込んだフィルムの厚みを表したものである。
なお、表2中における、「金属アルコキシド系成分割合」、「組成物中のアシル基残存率」、「中間層の厚み」は、それぞれ表1で説明したとおりの意味を有する。
【0058】
上記表1によると、本発明に従う実施例1〜5によれば、ビニルアルコール系重合体組成物からなる合わせガラスは、接着性能及び耐衝撃性能に優れ、外力の作用により破損した場合にも安全な合わせガラスであることがわかる。
【0059】
これに対して、合わせガラスの中間層としてビニルアルコール系重合体単独を用いた場合(比較例1)には、接着性、耐衝撃性が著しく低いことが分かる。ポリビニルアルコールの存在下で金属アルコキシドの重縮合反応を行った場合に得られる組成物を合わせガラスの中間層として用いた場合(比較例2)には、接着性、安全性ともに不十分であることがわかる。公知のin situけん化ゾルゲル法に従って、カルボン酸ビニル系重合体と金属アルコキシドとを本発明の領域外となる公知の割合で反応させた場合に得られる組成物を合わせガラスの中間層として用いた場合(比較例3)には、耐衝撃性が著しく低いことが分かる。
【0060】
【発明の効果】
上述の通り、この発明の合わせガラスの中間膜は合わせガラスを製造する際の接着性に優れるとともに、この発明の合わせガラスの中間膜を用いた合わせガラスによれば、外力の作用により破損した場合にも安全であり、自動車のフロントガラスやサイドガラス、建築物の窓ガラス等として極めて有用である。

Claims (4)

  1. ビニルアルコール系重合体組成物からなる安全合わせガラス用中間膜であって、該ビニルアルコール系重合体組成物が、ビニルアルコール系重合体および、金属アルコキシド又は該オリゴマーの重縮合反応により得られる金属酸化物を含有してなる組成物であることを特徴とする安全合わせガラス用中間膜。
  2. ビニルアルコール系重合体組成物が、金属アルコキシド又はそのオリゴマーの重縮合反応とカルボン酸ビニル系重合体のけん化反応により調製される組成物である請求項1に記載の安全合わせガラス用中間膜。
  3. ビニルアルコール系重合体組成物が
    (1)金属アルコキシド又はそのオリゴマー、カルボン酸ビニル系重合体及び有機溶剤を含有する溶液を用いて、有機溶剤を包含する低沸点物を除去しながら、同一反応系中において該金属アルコキシド又は該オリゴマーの重縮合反応と該カルボン酸ビニル系重合体のけん化反応とを並行的に行うことにより得られる金属酸化物及びビニルアルコール系重合体からなり、且つ、
    (2)該金属アルコキシド又は該オリゴマーを、該カルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基100モルに対し該金属アルコキシド又は該オリゴマー中の金属原子が0.01〜100モルの範囲内となるような割合で使用して調製される組成物である請求項2に記載の安全合わせガラス用中間膜。
  4. ビニルアルコール系重合体組成物が、反応系中の有機重合体における上記カルボン酸ビニル系重合体中のカルボン酸ビニル単位に由来するアシル基の残存率が10モル%以下の段階に至るまで反応を継続させたものである請求項2または3に記載の安全合わせガラス用中間膜。
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