JP4278239B2 - 散水式空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通過空気に散水して、その通過空気の温湿度を調整する散水式空調装置(いわゆる温湿度調整用のエアワッシャ)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の散水式空調装置において、通過空気OAをその状態点が目標状態点Psに合致するように調整する(すなわち、目標湿度xsでかつ目標温度tsの空気に調整する)のに、図8に示す如く、散水域を通過した調整済み空気SAの検出湿度xoと目標湿度xsとの偏差Δxに応じ散水量Qを調整し、また、これとは独立に、調整済み空気SAの検出温度toと目標温度tsとの偏差Δtに応じ散水温度twを調整する方式がある。
【0003】
また、このように湿度偏差Δxに応じ散水量Qを調整し、かつ、温度偏差Δtに応じ散水温度twを調整する方式では、後述の如く通過空気OAを目標状態点Psに精度良くかつ安定的に調整するのが難しいことから、各種コイルを併用する別方式として、
減湿側への調整の場合では、図9に示すように、夏季外気に代表される調整対象の空気OA(状態点イ)を散水部(ワッシャ)に通過させて断熱加湿することで飽和状態の空気(状態点ロ)にし、続いて、この加湿空気を冷却コイルに通過させて目標絶対湿度xsにおける露点温度t″まで冷却することで減湿して目標絶対湿度xsの飽和空気(状態点ハ)にし、その後、この減湿空気を再熱コイルに通過させて目標温度tsまで加熱(再熱)することで目標状態点Psの空気を得る方式、
あるいは、図10に示すように、調整対象の空気OA(状態点イ)を冷水の散水部に通過させて冷却減湿することで目標絶対湿度xsよりある程度だけ絶対湿度xの高い飽和状態近傍の空気(状態点ロ)にし、続いて、この減湿空気を冷却コイルに通過させて目標絶対湿度xsにおける露点温度t″まで冷却することで更に減湿して目標絶対湿度xsの飽和空気(状態点ハ)にし、その後、この減湿空気を再熱コイルに通過させて目標温度tsまで加熱することで目標状態点Psの空気を得る方式がある。
【0004】
そしてまた、加湿側への調整の場合では、図11に示すように、冬季外気に代表される調整対象の空気OA(状態点イ)を予熱コイルに通過させて加熱(予熱)することで低湿高温の空気(状態点ロ)にし、続いて、この予熱空気を散水部に通過させて断熱加湿することで目標絶対湿度xsよりもある程度だけ絶対湿度xの高い飽和状態の空気(状態点ハ)にし、さらに続いて、この加湿空気を冷却コイルに通過させて目標絶対湿度xsにおける露点温度t″まで冷却することで減湿して目標絶対湿度xsの飽和空気(状態点ニ)にし、その後、この減湿空気を再熱コイルに通過させて目標温度tsまで加熱することで目標状態点Psの空気を得る方式、
あるいは、図12に示すように、調整対象の空気OA(状態点イ)を予熱コイルに通過させて加熱することで低湿中温の空気(状態点ロ)にし、続いて、この予熱空気を温水の散水部に通過させて加熱加湿することで目標絶対湿度xsよりもある程度だけ絶対湿度xの高い飽和状態近傍の空気(状態点ハ)にし、さらに続いて、この加湿空気を冷却コイルに通過させて目標絶対湿度xsにおける露点温度t″まで冷却することで減湿して目標絶対湿度xsの飽和空気(状態点ニ)にし、その後、この減湿空気を再熱コイルに通過させて目標温度tsまで加熱することで目標状態点Psの空気を得る方式がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、コイルを併用する後者の各方式(図9〜図12に示す方式)は、いずれも冷却コイルを用いた露点制御により湿度調整の精度及び安定性を得るものであって、大量の凝縮水発生で通気抵抗が大きくなる冷却コイルに空気通過させるため、また、冷却コイルに続き温度調整目的で再熱コイルにも空気通過させるため、散水部の通気抵抗を含めた装置全体としての通気抵抗がかなり大きくなり、この為、空気搬送に大きな動力を要する問題がある。
【0006】
また、露点制御では、目標絶対湿度xsにおける露点温度t″まで一旦冷却した空気を次には再熱コイルで加熱(再熱)して温度調整を行う点で、熱的な無駄(再熱損失)が大きい問題もあり、これらのことから省エネ面で改善の余地がある。
【0007】
一方、散水域を通過した調整済み空気SAの検出湿度xoと目標湿度xsとの偏差Δxに応じ散水量Qを調整し、かつ、調整済み空気SAの検出温度toと目標温度tsとの偏差Δtに応じ散水温度twを調整する前者の方式(図8に示す方式)では、コイルを必要とせず、また、再熱も不要であることから省エネ面では有利であるが、散水による空気調整の特性として、散水量Qの変化に対し調整済み空気SAの湿度xo(絶対湿度)のみならず温度toも変化し、また、散水温度twの変化に対し調整済み空気SAの温度toのみならず湿度xo(絶対湿度)も変化するため、散水量調整による湿度調整と散水温度調整による温度調整とが相互干渉する状態になり、この為、通過空気OAを目標状態点Psに精度良くかつ安定的に調整することが難しく、調整済み空気SAの湿度xoや温度toが目標湿度xsや目標温度tsからズレたものになり易い問題がある。
【0008】
これらの実情に鑑み、本発明の主たる課題は、散水量及び散水温度を合理的な調整方式をもって調整することにより、通過空気を目標状態点に精度良くかつ安定的に調整することができ、また併せて、通気抵抗や熱的無駄の問題も効果的に解消し得る散水式空調装置にする点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
〔1〕請求項1に係る発明では、通過空気に散水して、その通過空気の温湿度を調整する散水式空調装置において、
散水域通過前の調整前空気の検出状態点と散水域通過後の調整済み空気の目標状態点との間に存在する調整前偏差を、散水量の変化に対して調整済み空気の状態点が移動する方向である水量方向についての調整前偏差成分と、散水温度の変化に対して調整済み空気の状態点が移動する方向である水温方向についての調整前偏差成分とに分解した状態で算出する演算手段を設け、
この演算手段により算出される水量方向の調整前偏差成分に応じて散水量を調整し、かつ、この演算手段により算出される水温方向の調整前偏差成分に応じて散水温度を調整する散水制御手段を設ける。
【0010】
つまり(図2参照)、調整前空気OAの検出状態点Piと調整済み空気SAの目標状態点Psとの間に存在する調整前偏差Δeを上記の水量方向Dqについての調整前偏差成分Δeqと水温方向Dtについての調整前偏差成分Δetとに分解して、水量方向Dqについての調整前偏差成分Δeqに応じ散水量Qを調整し、また、水温方向Dtについての調整前偏差成分Δetに応じ散水温度twを調整する上記形式であれば、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じた散水量Qの調整により、調整済み空気SAの状態点Poを水量方向Dqについて位置調整する形態で、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに相応の温湿度調整を通過空気OAに施すことと、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じた散水温度twの調整により、調整済み空気SAの状態点Poを水温方向Dtについて位置調整する形態で、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに相応の温湿度調整を通過空気OAに施すこととを、相互干渉の無い状態で行うことができる。
【0011】
このことから、請求項1に係る発明によれば、湿度偏差Δxに応じ散水量Qを調整し、また、これと独立して温度偏差Δtに応じ散水温度twを調整する従来方式に比べ、上記の水量方向Dqについての調整前偏差成分Δeqに応じた散水量調整と水温方向Dtについての調整前偏差成分Δetに応じた散水温度調整とにより、それら調整前偏差成分Δeq,Δetの各々に相応の温湿度調整を散水過程で通過空気OAに対し的確に施して、通過空気OAを目標状態点Psに精度良くかつ安定的に調整することができ、目標状態点Psに精度良く調整された調整済み空気SAを安定的に得ることができる。
【0012】
そしてまた、いわゆる露点制御を行うこと無く、散水量Qの調整と散水温度twの調整のみをもって通過空気OAの状態点を目標状態点Psへ直接的に移行させる形態で、上記の如き高い調整精度と安定性を得るから、大量の凝縮水発生で通気抵抗が大きくなる露点制御用の冷却コイルを不要にすることができ、また、露点制御による湿度調整後の温度調整を目的とする再熱コイルも不要にすることができ、これにより、装置全体としての通気抵抗を小さくして空気搬送に要する動力を小さくし得るとともに、露点温度まで一旦冷却した空気を再熱コイルで加熱(再熱)する大きな熱的無駄(再熱損失)も回避することができ、省エネ面でも優れた装置にすることができる。
【0013】
なお、湿度偏差Δxに応じ散水量Qを調整し、かつ、温度偏差Δtに応じ散水温度twを調整する従来方式に比べより高い調整精度及び安定性を得るのに、別法としては、図7に示す如く、散水域通過後の調整済み空気SAの検出状態点Poと目標状態点Psとの間に存在する調整後偏差Δe′を水量方向Dqについての調整後偏差成分Δeq′と水温方向Dtについての調整後偏差成分Δet′とに分解して、水量方向Dqの調整後偏差成分Δeq′に応じ散水量Qを調整し、かつ、水温方向Dtの調整後偏差成分Δet′に応じ散水温度twを調整する形式も考えられるが、このようなフィードバック形式に比べ、上記の如く水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ散水量Qを調整し、かつ、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じ散水温度twを調整するフィードフォワード形式を採ることにより、調整前空気OAの状態変化や目標状態点Psの変更に対する即応性も高めることができる。
【0014】
〔2〕請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明の実施にあたり、
前記演算手段を、前記調整前偏差の算出とともに、調整済み空気の検出状態点と目標状態点との間に存在する調整後偏差を、前記水量方向についての調整後偏差成分と前記水温方向についての調整後偏差成分とに分解した状態で算出する構成にし、
前記散水制御手段を、この演算手段により算出される水量方向の調整後偏差成分に基づき、前記水量方向の調整前偏差成分に応じての散水量調整に補正を加え、かつ、この演算手段により算出される水温方向の調整後偏差成分に基づき、前記水温方向の調整前偏差成分に応じての散水温度調整に補正を加える構成にする。
【0015】
つまり、この構成では(図6参照)、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じた散水量Qの調整、及び、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じた散水温度twの調整の結果として、調整済み空気SAの状態点Poと目標状態点Psとの間に調整誤差などに原因する調整後偏差Δe′が生じることに対し、基本的には、この調整後偏差Δeに基づき、各調整前偏差成分Δeq,Δetに応じての前記散水量調整や前記散水温度調整にフィードバック補正を加え、この補正により調整後偏差Δe′を解消ないし縮小して通過空気OAを一層精度良く目標状態点Psに調整できるように、換言すれば、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ散水量Qを調整し、かつ、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じ散水温度twを調整するフィードフォワード形式の調整だけに比べ、より高い調整精度を得られるようにする。
【0016】
そして、この補正を加えるにあたり、調整後偏差Δe′を水量方向Dqについての調整後偏差成分Δeq′と水温方向Dtについての調整後偏差成分Δet′とに分解して、水量方向Dqの調整後偏差成分Δeq′に基づき、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じての散水量調整に補正を加え、かつ、水温方向Dtの調整後偏差成分Δet′に基づき、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じての散水温度調整に補正を加える上記形式であれば、水量方向Dqの調整後偏差成分Δeq′に基づく散水量側の補正で調整済み空気SAの状態点Poを水量方向Dqに移動させて水量方向Dqの調整後偏差成分Δeq′を解消ないし縮小するのに、調整済み空気SAの状態点Poが水温方向Dtに移動することはなく、また、水温方向Dtの調整後偏差成分Δet′に基づく散水温度側の補正で調整済み空気SAの状態点Poを水温方向Dtに移動させて水温方向Dtの調整後偏差成分Δet′を解消ないし縮小するのに、調整済み空気SAの状態点Poが水量方向Dqに移動することもない。
【0017】
すなわち、上記形式の補正であれば、散水量側の補正で水量方向Dqの調整後偏差成分Δeq′を解消ないし縮小することと、散水温度側の補正で水温方向Dtの調整後偏差成分Δet′を解消ないし縮小することとを、相互干渉の無い状態で各々的確かつ安定的に行うことができ、これにより、補正そのものの精度及び安定性を高めた状態で、通過空気OAを目標状態点Psに調整することの調整精度をより効果的に高めることができる。
【0018】
〔3〕請求項3に係る発明では、請求項1又は2に係る発明の実施において、
調整可能範囲内での散水温度調整で、散水過程における空気状態点の移動経路方向を前記目標状態点に向かう方向に調整し得るか否かを判定し、
この経路方向調整が不可能なとき、散水温度を前記移動経路が前記目標状態点に近づく側の調整限界温度に調整した状態で、調整前空気又は調整済み空気の状態検出に基づき散水量を調整して、通過空気の絶対湿度を前記目標状態点の絶対湿度に調整する水温固定制御を前記散水制御手段に実行させるモード選択手段を設ける。
【0019】
つまり(図3参照)、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ散水量Qを調整し、かつ、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じ散水温度twを調整する前述の制御の場合、調整前空気OAの状態点Piと調整済み空気SAの目標状態点Psとの位置関係によっては、調整可能範囲内での散水温度twの調整で散水過程における空気状態点の移動経路方向Dq(前記の水量方向)を目標状態点Psに向かう方向に調整し切れない状況、換言すれば、散水温度twを調整限界twa,twbまで調整しても水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに相応の温湿度調整を通過空気OAに施すことができず、散水量Qの調整により水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに相応の温湿度調整は施したとしても、調整済み空気SAの状態点Poが湿度xo及び温度toとともに目標状態点Psから外れた点になる状況が生じ得る。
【0020】
このような状況のとき、散水温度twを散水過程における空気状態点の移動経路Lが目標状態点Psに近づく側の調整限界温度に調整した状態で、調整前空気OA又は調整済み空気SAの状態検出に基づき散水量Qを調整して、通過空気OAの絶対湿度xiを目標状態点Psの絶対湿度xsに調整する上記の水温固定制御を状況判定に基づき実行するようにすれば、調整限界温度への散水温度調整により目標状態点Ps寄りに極力近づけた状態点移動経路L上で、散水による状態点移動の終点である調整済み空気SAの状態点Poを目標状態点Ps通過の等絶対湿度線との交点まで散水量Qの調整により移行させて、目標状態点Psと等しい絶対湿度xs(目標絶対湿度)で温度を目標状態点Psの温度ts(目標温度)に極力近づけた状態点Po′の空気を調整済み空気SA′として得るようにすることができる。
【0021】
なお、図3(イ)は散水温度twを調整上限温度twaにして通過空気OAを加湿側へ調整する際の水温固定制御を示し、図3(ロ)は散水温度twを調整下限温度twbにして通過空気OAを減湿側に調整する際の水温固定制御を示す。
【0022】
すなわち、請求項3に係る発明によれば、前記した請求項1又は2に係る発明の実施において散水温度twの調整範囲の制約から調整済み空気SAが温度及び湿度ともに目標状態点Psから外れてしまう状況のとき、その状況判定に基づく上記水温固定制御へのモード変更により、後続での精度の良い調整が難しい湿度調整の方を優先する形態で、調整済み空気SAが温度及び湿度ともに目標状態点Psから外れるのを回避して、目標状態点Psと等しい絶対湿度xsで温度を目標状態点Psの温度tsに極力近づけた空気SA′を調整済み空気として得るようにすることができ、この点で、調整前空気OAの状態変化や目標状態点Psの変更に対する対応性を高めることができる。
【0023】
また、水温固定制御の下で得られる調整済み空気SA′をさらに温度調整して目標状態点Psに調整するのに再熱コイルを付加装備するとしても、上記の水温固定制御であれば、温度を目標状態点Psの温度tsに極力近づけた調整済み空気SA′が得られることから、目標絶対湿度xoにおける露点温度t″まで冷却した空気を再熱コイルで目標温度tsまで加熱(再熱)することを常に行う先述の露点制御に比べれば、再熱コイルでの必要加熱量は平均してかなり小さいものとなり、熱的無駄(再熱損失)を低減する効果は維持できる。
【0024】
なお、調整可能範囲内での散水温度twの調整で散水過程における空気状態点の移動経路方向Dqを目標状態点Psに向かう方向に調整し得るか否かを判定するのに、調整前空気OAの検出状態点Piと目標状態点Psとの位置関係に基づき上記の経路方向調整が可能か否かを判定させるようにすれば、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じた散水温度調整の結果として水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに相応の温湿度調整を施し得なくなった状態を検出して、その検出に基づき上記の経路方向調整が不能であると判定させる方式に比べ、水温固定制御への移行遅れを回避して状況対応を早くすることができる。
【0025】
また、調整前空気OAの温度tiがかなり低い場合、散水温度twを調整可能範囲の上限温度twaにしても通過空気OAを目標状態点Psの絶対湿度xsまで加湿することが難しくなる状況も想定されるが、このような場合の対応として、調整前空気OAを予熱コイルなどの予熱手段により適当な温度まで予熱した上で散水域に通過させ、これに対し、散水温度twを調整可能範囲の上限温度twaにした水温固定制御を実施するようにしてもよい。
【0026】
〔4〕請求項4に係る発明では、請求項1〜3のいずれか1項に係る発明の実施において、
調整可能範囲内における減少側への散水量調整で、散水過程における空気状態点の移動経路長を調整前空気の状態点と前記目標状態点との離間長に等しい長さまで短縮し得るか否かを判定し、
この経路長調整が不可能なとき、散水量を下限水量に調整した状態で、調整前空気又は調整済み空気の状態検出に基づき散水温度を調整して、通過空気の絶対湿度を前記目標状態点の絶対湿度に調整する水量固定制御を前記散水制御手段に実行させるモード選択手段を設ける。
【0027】
つまり(図4参照)、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ散水量Qを調整し、かつ、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じ散水温度twを調整する前述の制御の場合、調整前空気OAの状態点Piと調整済み空気SAの目標状態点Psとの位置関係によっては、調整可能範囲内における減少側への散水量Qの調整で散水過程における空気状態点の移動経路長d(前記水量方向での状態点移動量)を、調整前空気OAの状態点Piと目標状態点Psとの離間長dsに等しい長さまで短くし切れない状況、換言すれば、散水量Qを調整可能範囲の下限水量Qbまで調整しても水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに相応の温湿度調整を通過空気OAに施すことができず、散水温度twの調整により水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに相応の温湿度調整は施したとしても、調整済み空気SAの状態点Poが湿度xo及び温度toともに目標状態点Psから外れた点になる状況が生じ得る。
【0028】
このような状況のとき、散水量Qを下限水量Qbに調整した状態で、調整前空気OA又は調整済み空気SAの状態検出に基づき散水温度twを調整して、通過空気OAの絶対湿度xiを目標状態点Psの絶対湿度xsに調整する上記の水量固定制御を状況判定に基づき実行するようにすれば、下限水量Qbへの散水量調整で最短化した状態点移動経路Lを、その終点である調整済み空気SAの状態点Poが目標状態点Ps通過の等絶対湿度線上に位置する状態まで、散水温度twの調整による移動経路方向Dq(水量方向)の変更で移行させて、目標状態点Psと等しい絶対湿度xs(目標絶対湿度)で温度を目標状態点Psの温度ts(目標温度)に極力近づけた状態点Po″の空気を調整済み空気SA″として得るようにすることができる。
【0029】
すなわち、請求項4に係る発明によれば、前記した請求項1又は2に係る発明の実施において散水量Qの調整範囲の下限側制約から調整済み空気SAが温度及び湿度ともに目標状態点Psから外れてしまう状況のとき、その状況判定に基づく上記水量固定制御へのモード変更により、後続での精度の良い調整が難しい湿度調整の方を優先する形態で、調整済み空気SAが温度及び湿度ともに目標状態点Psから外れるのを回避して、目標状態点Psと等しい絶対湿度xsで温度を目標状態点Psの温度tsに極力近づけた空気SA″を調整済み空気として得るようにすることができ、この点で、調整前空気OAの状態変化や目標状態点Psの変更に対する対応性を高めることができる。
【0030】
また、請求項3に係る発明と同様、水量固定制御の下で得られる調整済み空気SA″をさらに温度調整して目標状態点Psに調整するのに再熱コイルを付加装備するとしても、上記の水量固定制御であれば、温度を目標状態点Psの温度tsに極力近づけた調整済み空気SA″が得られることから、目標絶対湿度xoにおける露点温度t″まで冷却した空気を再熱コイルで目標温度tsまで加熱(再熱)することを常に行う先述の露点制御に比べれば、再熱コイルでの必要加熱量は平均してかなり小さいものとなり、熱的無駄(再熱損失)を低減する効果は維持できる。
【0031】
なお、調整可能範囲内における減少側への散水量Qの調整で散水過程における空気状態点の移動経路長dを調整前空気OAの状態点Piと目標状態点Psとの離間長dsに等しい長さまで短縮し得るか否かを判定するのに、調整前空気OAの検出状態点Piと目標状態点Psとの位置関係に基づき、上記の経路長調整が可能か否かを判定させるようにすれば、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じた散水量調整の結果として水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに相応の温湿度調整を施し得なくなった状態を検出して、その検出に基づき上記の経路長調整が不能であると判定させる方式に比べ、水量固定制御への移行遅れを回避して状況対応を早くすることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は外気OAを温湿度調整する外調機としてのエアワッシャを示し、このエアワッシャで調整した外気SAは、域内負荷用の空調機を備える空調対象域への導入外気とする。
【0033】
1は一端に調整前空気OAの導入口2を形成し他端に調整済み空気SAの導出口3を形成した機体ケーシングであり、このケーシング1の内部に、通過空気OAに対し散水(本例では噴霧)する多数のノズル4を配備して散水域WSを形成し、この散水域WSの通過過程においてノズル4からの散水により通過空気OAの温湿度を調整する。
【0034】
5,6はノズル4から散水した水Wが飛散して導入口2や導出口3からケーシング外へ漏出するのを防止する水切り具、また、7はノズル4から散水した水Wのうち蒸発せずに(すなわち、通過気体OAに含まれずに)落下する余剰水、及び、水切り具5,6により捕集されて落下する水を受け止める水槽である。
【0035】
8は水槽7で受け止めた水Wを循環路9を通じてノズル4に循環供給する散水ポンプであり、循環路9には、温水などの温熱媒Hにより循環水Wを加熱する水加熱用の熱交換器10、及び、冷水やブラインなどの冷熱媒Cにより循環水Wを冷却する水冷却用の熱交換器11を介装し、また、水加熱用熱交換器10を通過させる水Wと迂回路12を通じて水加熱用熱交換器10を迂回させる水Wとの比を調整する加熱側三方弁13、及び、水冷却用熱交換器11を通過させる水Wと迂回路14を通じて水冷却用熱交換器11を迂回させる水Wとの比を調整する冷却側三方弁15を介装してある。
【0036】
つまり、水冷却用熱交換器11の迂回路14に循環水Wの全量を通過させるように冷却側三方弁15を調整した状態での加熱側三方弁13による流量比の調整と、水加熱用熱交換器10の迂回路12に循環水Wの全量を通過させるように加熱側三方弁13を調整した状態での冷却側三方弁15による流量比の調整とにより、ノズル4に対する供給水Wの温度tw(すなわち、通過空気OAに対する散水温度)を温水域から冷水域にわたって連続的に調整する。なお、16は両三方弁13,15を制御する弁コントローラである。
【0037】
また、循環路9は、多数のノズル4を空気通過方向で3つの群4A,4B,4Cに分けて、これら3つのノズル群4A,4B,4C(個々のノズル数が異なるノズル群)に対し循環水Wを分岐路9a,9b,9cを通じ並列的に供給する構成にし、そして、2つの分岐路9b,9cに介装した段数切替弁17, 18の各々を開状態と閉状態とに切り替えることで、通過空気OAに対して散水動作させるノズル群の群数(すなわち、通過空気OAに対する散水段数)を切り替えるようにしてあり、この段数切り替えを循環流量に応じ行いながら、インバータ回路19により散水ポンプ8をインバータ制御することで、通過空気OAに対する散水量Qを広範囲にわたって連続的に調整する。
【0038】
20は散水制御を司る制御器であり、前記の弁コントローラ16は、循環路9に付設した水温センサ21の検出情報に基づき加熱側三方弁13及び冷却側三方弁15を制御することで、通過空気OAに対する散水温度twを制御器20からの指定水温twsに調整し、また、前記のインバータ回路19は、制御器20から付与される散水量調整指令に応じ散水ポンプ8をインバータ制御する。
【0039】
制御器20には、演算手段23と散水制御手段24とモード選択手段25を備えさせてあり、演算手段23は、導入口2に設けた温度センサ26及び湿度センサ27による検出乾球温度tiと検出相対湿度riに基づき調整前空気OAの状態点Piを検出し、その検出情報に基づき、図2に示す如く、調整前空気OAの検出状態点Piと調整済み空気SAの目標状態点Ps(設定点)との間に存在する調整前偏差Δeを、散水量Qの変化に対して調整済み空気SAの状態点Poが移動する方向である水量方向Dqについての調整前偏差成分Δeqと、散水温度twの変化に対して調整済み空気SAの状態点Poが移動する方向である水温方向Dtについての調整前偏差成分Δetとに分解した状態で算出する。
【0040】
また、演算手段23は、後述の水温固定制御用及び水量固定制御用として、調整前空気OAの検出状態点Piと上記目標状態点Psとの間における調整前湿度偏差Δex(調整前空気OAの検出絶対湿度xiと目標絶対湿度xsとの偏差)を算出する。
【0041】
散水制御手段24は、モード選択手段25によるモード選択に従って通常制御と水温固定制御と水量固定制御を択一に実行し、通常制御では(図2参照)、演算手段23により算出される水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ、インバータ回路19に散水量調整指令を付与して散水量Qを調整するとともに、その調整散水量Qに応じ段数切替弁17, 18を切り替え操作し、また、演算手段23により算出される水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じ、弁コントローラ16に対する指定水温twsを変更して散水温度twを調整し、これら調整により、各調整前偏差成分Δeq,Δetに相応の温湿度調整を通過空気OAに施して調整済み空気SAの状態点Poを目標状態点Psに一致させ、目標絶対湿度xsで目標温度tsの調整済み空気SAを得る。
【0042】
また、水温固定制御では(図3参照)、モード選択手段25による判定に応じ弁コントローラ16に対する指定水温twsを調整上限温度twaまたは調整下限温度twbにして、散水温度twを調整上限温度twaまたは調整下限温度twbに調整し、この状態で、演算手段23により算出される調整前湿度偏差Δexに応じ、インバータ回路19に散水量調整指令を付与して散水量Qを調整するとともに、その調整散水量Qに応じ段数切替弁17, 18を切り替え操作することで、通過空気OAの絶対湿度xiを目標絶対湿度xsに調整し、これにより、目標絶対湿度xsで温度を目標温度tsに極力近づけた状態点Po′の空気を調整済み空気SA′として得る。
【0043】
すなわち、通常制御の場合、調整前空気OAの状態点Piと設定された目標状態点Psとの位置関係によっては、調整可能範囲内での散水温度twの調整で散水過程における空気状態点の移動経路方向Dq(水量方向)を目標状態点Psに向かう方向に調整し切れず、調整済み空気SAの状態点Poが湿度xo及び温度toともに目標状態点Psから外れた点になる状況が生じ得るが、このような状況のとき、モード選択手段25の後述の如きモード選択に従って上記の水温固定制御を実行することにより、調整上限温度twaまたは調整下限温度twbへの散水温度twの調整により目標状態点Ps寄りに極力近づけた状態点移動経路L上で、散水による状態点移動の終点である調整済み空気SAの状態点Poを目標状態点Ps通過の等絶対湿度線との交点まで散水量Qの調整により移行させ、これにより、湿度調整を優先した状態で、目標状態点Psと等しい絶対湿度xs(目標絶対湿度)で温度を目標状態点Psの温度ts(目標温度)に極力近づけた状態点Po′の空気を調整済み空気SA′として得る。
【0044】
なお、図3(イ)は散水温度twを調整上限温度twaにして通過空気OAを加湿側へ調整する際の水温固定制御を示し、図3(ロ)は散水温度twを調整下限温度twbにして通過空気OAを減湿側に調整する際の水温固定制御を示す。
【0045】
そしてまた、水量固定制御(図4参照)では、インバータ回路19に対する散水量調整指令により散水量Qを調整下限水量Qbに調整し、この状態で、演算手段23により算出される調整前湿度偏差Δexに応じ、弁コントローラ16に対する指定水温twsを変更して散水温度twを調整することで、通過空気OAの絶対湿度xを目標絶対湿度xsに調整し、これにより、目標絶対湿度xsで温度を目標温度tsに極力近づけた状態点Po″の空気を調整済み空気SA″として得る。
【0046】
すなわち、通常制御の場合、調整前空気OAの状態点Piと設定された目標状態点Psとの位置関係によっては、調整可能範囲内における減少側への散水量Qの調整で散水過程における空気状態点の移動経路長d(水量方向での状態点移動量)を、調整前空気OAの状態点Piと目標状態点Psとの離間長dsに等しい長さまで短くし切れず、調整済み空気SAの状態点Poが湿度xo及び温度toともに目標状態点Psから外れた点になる状況が生じ得るが、このような状況のとき、モード選択手段25の後述の如きモード選択に従って上記の水量固定制御を実行することにより、下限水量Qbへの散水量Qの調整で最短化した状態点移動経路Lを、その終点である調整済み空気SAの状態点Poが目標状態点Ps通過の等絶対湿度線上に位置する状態まで、散水温度twの調整による移動経路方向Dq(水温方向)の変更で移行させ、これにより、湿度調整を優先した状態で、目標状態点Psと等しい絶対湿度xs(目標絶対湿度)で温度を目標状態点Psの温度ts(目標温度)に極力近づけた状態点Po″の空気を調整済み空気SA″として得る。
【0047】
一方、これら通常制御、水温固定制御、水量固定制御を択一に散水制御手段24に実行させるのに、モード選択手段25には、図5に示す如く、設定される目標状態点Psに対して、空気状態点の存在領域を次の4つの領域R1〜R4に区分する領域区分データDを記憶させてある。
【0048】
第1領域R1:通常制御で目標状態点Psまで調整し得る空気の領域。
第2領域R2:空気の温度tiが低いため、散水温度twを調整上限温度twaにしても散水過程における空気状態点の移動経路方向Dq(水量方向)が目標状態点Psに向かう方向に至らない空気の領域。
第3領域R3:空気の絶対湿度xiが高いため、散水温度twを調整下限温度twaにしても散水過程における空気状態点の移動経路方向Dq(水量方向)が目標状態点Psに向かう方向に至らない空気の領域。
第4領域R4:空気の状態点Piが目標状態点Psに近いため、散水量Qを調整下限水量Qbにしても散水過程における空気状態点の移動経路長d(水量方向での状態点移動量)が、その空気状態点Piと目標状態点Psとの離間長dsよりも長くなる空気の領域。
【0049】
これに対し、モード選択手段25は、演算手段23による調整前空気OAの状態点検出に基づき、調整前空気OAの状態点Piが設定の目標状態点Psに対して上記の4つの領域R1〜R4のいずれに属するかの判定(換言すれば、調整範囲内での散水温度twの調整で散水過程における空気状態点Pの移動経路方向Dqを目標状態点Psに向かう方向に調整し得るか否かの判定、並びに、調整可能範囲内における減少側への散水量Qの調整で散水過程における空気状態点Pの移動経路長dを調整前空気OAの状態点Piと目標状態点SPとの離間長dsに等しい長さまで短縮し得るか否かの判定)を行う。
【0050】
そして、モード選択手段25は、その判定結果に応じたモード選択として、調整前空気OAの状態点Piが第1領域R1に属するときには通常制御を散水制御手段24に実行させ、調整前空気OAの状態点Piが第2領域R2に属するときには、散水温度twを調整上限温度twaにしての水温固定制御を散水制御手段24に実行させ、調整前空気OAの状態点Piが第3領域R3に属するときには、散水温度twを調整下限温度twbにしての水温固定制御を散水制御手段24に実行させ、また、調整前空気OAの状態点Piが第4領域R4に属するときには水量固定制御を散水制御手段24に実行させる。
【0051】
つまり、このように調整前空気OAの検出状態点Piと目標状態点Psとの位置関係に基づき、散水制御手段24にいずれの制御を実行させるかを決定することにより、水温固定制御や水量固定制御への移行遅れを回避して、それら水温固定制御や水量固定制御が必要な状況への対応を早くする。
【0052】
〔別実施形態〕
前述の実施形態では、通常制御において、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ散水量Qを調整し、かつ、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じ散水温度twを調整するフィードフォワード形式の調整だけを行うようにしたが、次の如き構成により、このフィードフォワード形式の調整に加え、フィードバック的な補正を合わせ実施するようにしてもよい。
【0053】
つまり、図1に破線で示す如くケーシング1の導出口3にも温度センサ28及び湿度センサ29を設け、演算手段23を、導入口2に設けた温度センサ26及び湿度センサ27による検出乾球温度tiと検出相対湿度riに基づき調整前空気OAの状態点Piを検出するとともに、導出口3に設けた温度センサ28及び湿度センサ29による検出乾球温度toと検出相対湿度roに基づき調整済み空気SAの状態点Poを検出して、これら検出情報に基づき、図6に示す如く、調整前空気OAの検出状態点Piと目標状態点Psとの間に存在する調整前偏差Δeを、水量方向Dqについての調整前偏差成分Δeqと水温方向Dtについての調整前偏差成分Δetとに分解した状態で算出するとともに、調整済み空気SAの検出状態点Poと目標状態点Psとの間に存在する調整後偏差Δe′を、水量方向Dqについての調整後偏差成分Δeq′と水温方向Dtについての調整後偏差成分Δet′とに分解した状態で算出する構成にする。
【0054】
そして、散水制御手段24を、通常制御において、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ散水量Qを調整し、かつ、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じ散水温度twを調整するフィードフォワード形式の調整とともに、演算手段23により算出される水量方向Dqの調整後偏差成分Δeq′に基づき、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じての散水量Qの調整に補正を加え、かつ、演算手段23により算出される水温方向Dtの調整後偏差成分Δet′に基づき、水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じての散水温度twの調整に補正を加える構成にする。
【0055】
前述の実施形態では、水温固定制御や水量固定制御において、演算手段23により算出される調整前湿度偏差Δexに応じ散水量Qや散水温度twを調整(換言すれば、調整前空気OAの状態検出に基づき散水量Qや散水温度twを調整)することで、通過空気OAの絶対湿度xを目標絶対湿度xsに調整するようにしたが、これに代え、次の如き構成により、水温固定制御や水量固定制御において、調整済み空気SAの状態検出に基づき散水量Qや散水温度twを調整することで、あるいはまた、調整前空気OAの状態検出と調整済み空気SAの状態検出との両方に基づき散水量Qや散水温度twを調整することで、通過空気OAの絶対湿度xを目標絶対湿度xsに調整するようにしてもよい。
【0056】
つまり、演算手段23を、導出口3に設けた温度センサ28及び湿度センサ29の検出情報に基づき、水温固定制御用及び水量固定制御用として、調整済み空気SAの検出状態点Poと目標状態点Psとの間における調整後湿度偏差Δx(調整済み空気SAの検出絶対湿度xoと目標絶対湿度xsとの偏差)を算出する構成にし、そして、散水制御手段24を、水温固定制御では、モード選択手段25による判定に応じ散水温度twを調整上限温度twaまたは調整下限温度twbに調整した状態で、演算手段23により算出される調整後湿度偏差Δxに応じ散水量Qを調整することにより、通過空気OAの絶対湿度xiを目標絶対湿度xsに調整し、また、水量固定制御では、散水量Qを調整下限水量Qbに調整した状態で、演算手段23により算出される調整後湿度偏差Δxに応じ散水温度twを調整することにより、通過空気OAの絶対湿度xを目標絶対湿度xsに調整する構成にする。
【0057】
あるいは、演算手段23を、水温固定制御用及び水量固定制御用として、前記の調整前湿度偏差Δexと調整後湿度偏差Δxの両方を算出する構成にし、これに対し、散水制御手段24を、水温固定制御では、モード選択手段25による判定に応じ散水温度twを調整上限温度twaまたは調整下限温度twbに調整した状態で、調整前湿度偏差Δexに応じ散水量Qを調整するとともに、調整後湿度偏差Δxに基づき、調整前湿度偏差Δexに応じての散水量Qの調整に補正を加え、また、水量固定制御では、散水量Qを調整下限水量Qbに調整した状態で、調整前湿度偏差Δexに応じ散水温度twを調整するとともに、調整後湿度偏差Δxに基づき、調整前湿度偏差Δexに応じての散水温度twの調整に補正を加える構成にする。
【0058】
前述の実施形態で示したエアワッシャにおいて、導入口2に予熱コイルなどの予熱手段を配備し、調整前空気OAの温度tiが所定温度よりも低いときには、この予熱手段により調整前空気OAを所定温度まで予熱した上で散水域WSに通過させ、これに対し、散水温度twを調整上限温度twaにしての水温固定制御を実行させるようにしてもよい。
【0059】
前述の実施形態では、モード選択手段25を、調整前空気OAの検出状態点Piと目標状態点Psの位置関係に基づいて、散水制御手段24にいずれの制御を実行させるかを決定する方式のものにしたが、場合によっては、通常制御での水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに応じた散水温度調整の結果として水温方向Dtの調整前偏差成分Δetに相応の温湿度調整を通過空気OAに施すことができなくなった状態を検出し、その検出に基づき通常制御から水温固定制御への切り替えを行い、また、通常制御での水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じた散水量調整の結果として水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに相応の温湿度調整を通過空気OAに施すことができなくなった状態を検出し、その検出に基づき通常制御から水量固定制御への切り替えを行うようにしてもよい。
【0060】
通過空気OAに対する散水方式は、噴霧方式に限定されるものではなく、雨状に散水する方式や、空気通過させる充填層中で水を滴下させる方式など、種々の散水方式を適用できる。
【0061】
調整対象の空気OAは、外気に限定されるものではなく、空調対象域からの還気空気や他装置からの送給空気など、どのような空気であってもよい。また、調整済み空気SA,SA′, SA″の用途も、域内負荷用の空調機を備える空調対象域への導入空気に限定されるものではなく、その調整済み空気SA,SA′, SA″の送給だけで域内を空調する空調対象域への送給空気や、温湿度調整された空気を要する他装置への送給空気など、どのような用途であってもよい。
【0062】
前述の実施形態では、散水量Qの調整において、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じインバータ制御により直接的に散水ポンプ8を出力調整する方式を示したが、これに代え、前記のインバータ回路19を、循環路9に付設した流量センサの検出情報に基づき散水ポンプ8をインバータ制御して散水量Qを散水制御手段24からの指定水量Qsに調整するものにし、これに対し、散水制御手段24において、演算手段23により算出される水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じインバータ回路19に対する指定水量Qsを変更することで散水ポンプ8を出力調整する方式、あるいはまた、散水動作させるノズル4の個数を水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ変更することに対し、散水ポンプ8の出口圧力を設定圧に保つように散水ポンプ8をインバータ制御等により出力調整する方式など、水量方向Dqの調整前偏差成分Δeqに応じ散水量Qを調整するための流量制御方式には種々の方式を採用できる。
【0063】
また、前述の実施形態では、調整前空気OAの状態点Piや調整済み空気SAの状態点Poを検出するのに、乾球温度の検出と相対湿度の検出に基づき状態点を検出する例を示したが、これに代え、乾球温度の検出と露点温度の検出とに基づき状態点を検出するなど、状態点検出のために検出する具体的空気状態値は、乾球温度、湿球温度、相対湿度、絶対湿度、露点温度、エンタルピなど、いずれの空気状態値であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示す装置構成図
【図2】通常制御の制御形態を湿り空気線図上で示す図
【図3】水温固定制御の制御形態を湿り空気線図上で示す図
【図4】水量固定制御の制御形態を湿り空気線図上で示す図
【図5】空気状態点の存在領域区分を湿り空気線図上で示す図
【図6】別実施形態における通常制御の制御形態を湿り空気線図上で示す図
【図7】比較例における制御形態を湿り空気線図上で示す図
【図8】従来方式を湿り空気線図上で示す図
【図9】他の従来方式を湿り空気線図上で示す図
【図10】他の従来方式を湿り空気線図上で示す図
【図11】他の従来方式を湿り空気線図上で示す図
【図12】他の従来方式を湿り空気線図上で示す図
【符号の説明】
23 演算手段
24 散水制御手段
25 モード選択手段
WS 散水域
OA 調整前空気
SA 調整済み空気
Pi 調整前空気の状態点
Po 調整済み空気の状態点
Ps 目標状態点
Dt 水温方向
Dq 水量方向
Δe 調整前偏差
Δeq 水量方向の調整前偏差成分
Δet 水温方向の調整前偏差成分
Δe′ 調整後偏差
Δeq′ 水量方向の調整後偏差成分
Δet′ 水温方向の調整後偏差成分
tw 散水温度
twa,twb 調整限界温度
Q 散水量
Qb 下限水量
L 散水過程における空気状態点の移動経路
d 状態点移動経路長
ds 調整前空気の状態点と目標状態点との離間長
x 絶対湿度
xs 目標状態点の絶対湿度

Claims (4)

  1. 通過空気に散水して、その通過空気の温湿度を調整する散水式空調装置であって、
    散水域通過前の調整前空気の検出状態点と散水域通過後の調整済み空気の目標状態点との間に存在する調整前偏差を、散水量の変化に対して調整済み空気の状態点が移動する方向である水量方向についての調整前偏差成分と、散水温度の変化に対して調整済み空気の状態点が移動する方向である水温方向についての調整前偏差成分とに分解した状態で算出する演算手段を設け、
    この演算手段により算出される水量方向の調整前偏差成分に応じて散水量を調整し、かつ、この演算手段により算出される水温方向の調整前偏差成分に応じて散水温度を調整する散水制御手段を設けてある散水式空調装置。
  2. 前記演算手段を、前記調整前偏差の算出とともに、調整済み空気の検出状態点と目標状態点との間に存在する調整後偏差を、前記水量方向についての調整後偏差成分と前記水温方向についての調整後偏差成分とに分解した状態で算出する構成にし、
    前記散水制御手段を、この演算手段により算出される水量方向の調整後偏差成分に基づき、前記水量方向の調整前偏差成分に応じての散水量調整に補正を加え、かつ、この演算手段により算出される水温方向の調整後偏差成分に基づき、前記水温方向の調整前偏差成分に応じての散水温度調整に補正を加える構成にしてある請求項1記載の散水式空調装置。
  3. 調整可能範囲内での散水温度調整で、散水過程における空気状態点の移動経路方向を前記目標状態点に向かう方向に調整し得るか否かを判定し、
    この経路方向調整が不可能なとき、散水温度を前記移動経路が前記目標状態点に近づく側の調整限界温度に調整した状態で、調整前空気又は調整済み空気の状態検出に基づき散水量を調整して、通過空気の絶対湿度を前記目標状態点の絶対湿度に調整する水温固定制御を前記散水制御手段に実行させるモード選択手段を設けてある請求項1又は2記載の散水式空調装置。
  4. 調整可能範囲内における減少側への散水量調整で、散水過程における空気状態点の移動経路長を調整前空気の状態点と前記目標状態点との離間長に等しい長さまで短縮し得るか否かを判定し、
    この経路長調整が不可能なとき、散水量を下限水量に調整した状態で、調整前空気又は調整済み空気の状態検出に基づき散水温度を調整して、通過空気の絶対湿度を前記目標状態点の絶対湿度に調整する水量固定制御を前記散水制御手段に実行させるモード選択手段を設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の散水式空調装置。
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