JP5430284B2 - 空気調和装置、およびそれを備えた空気調和システム - Google Patents

空気調和装置、およびそれを備えた空気調和システム Download PDF

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Description

本発明は、空気調和装置に関し、特に、洗浄水を用いて空気を浄化する空気浄化手段を備えた空気調和装置に関する。また、このような空気調和装置を備えた空気調和システムに関する。
従来、屋内空気の調和を図り、目的に応じた適切な空間を提供するために、屋内外の空気の温度調節や湿度調節を行うエアコンディショナ(空気温度湿度調整設備)が用いられている。
それに加えて、従来のエアコンディショナが備えていた空気の温度調節や湿度調節の機能に、空気内の粒子性物質やガス状化学物質などを除去する空気浄化の機能を加えた装置も使用されている。
また、例えば、特許文献1に開示されているような、洗浄水と空気とを接触させることで空気を浄化する空気洗浄手段を備えた空気調和装置が提案されている。この空気調和装置では、浄化された空気の温度調節のための熱交換器の熱媒体として、空気浄化に用いる洗浄水が利用されている。加えて、デシカント材を用いた湿度調節手段によって、洗浄水によって浄化された高湿度の空気の湿度調節が行われている。このようにして、空気浄化と、温度調節および湿度調節とを効率的に行うことが提案されている。
特開2009−103373号公報
従来のエアコンディショナ(空気温度湿度調節設備)で除湿のみを行う場合、一旦強い冷房を行って除湿した後、再度空気を暖めることで、室内の温度を一定に保持している。そのため、除湿運転時にエネルギーの無駄が発生してしまうことが問題であった。一方、冷暖房運転の際には、設定温度に達するまで、加熱および冷却動作が繰り返し行われるため、エアコンディショナに導入される空気の温度と設定温度との温度差が大きい場合には、設定温度に達するまでの応答が遅くなり、装置の負荷が大きくなることも問題であった。
一方で、特許文献1に記載された空気調和装置は、空気の温度調節のために、洗浄水を熱交換器の熱媒体として利用しているため、熱効率・エネルギー効率の観点から好ましくない。また、空気浄化手段の貯水槽内の洗浄水を加熱または冷却していることから、いくつかの問題点があった。
例えば、洗浄水全体の温度を一定にすることができず、水温にムラが生じることがある。このことは、正確な温度制御のためには好ましくない。加えて、設定温度までの応答が遅くなることや熱負荷が大きくなることで、効率の良い制御を得ることが困難であった。さらには、散水ノズルでの水温が所定の水温になるまでに時間的ロスが発生することも、制御性の観点から好ましくない。
加えて、特許文献1に記載された空気調和装置では、浄化後の空気がデシカント材を用いた湿度調節手段の前段または後段で更に加熱および冷却されるため、湿度調節が複雑であった。
ところで、上述した従来のエアコンディショナの空気調和の負荷に関する問題は、エアコンディショナに他の空気調和装置を接続した空気調和システムを構成し、エアコンディショナに所望の空気を供給することで解決できると考えられる。しかしながら、これまでにそのようなシステムは報告されておらず、たとえ特許文献1に記載された空気調和装置を用いたとしても、前述のように湿度制御が複雑であるため、従来のエアコンディショナの空気調和の負荷を低減するような所望の空気を供給することは困難であった。
そこで、本発明は、上述した特許文献1に記載の空気調和装置の問題点を解消すると共に、従来のエアコンディショナの空気調和の負荷を低減するような所望の空気を供給できる空気調和装置を提供することを目的とする。また、このような空気調和装置を備えた空気調和システムを提供することも目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明の空気調和装置は、空気が水平方向に流れるように構成された空気調和装置であって、空気の取り入れ口および取り出し口と、洗浄水を収容し、取り入れ口から導入された空気を洗浄水と接触させることで浄化する空気浄化手段と、空気浄化手段と共に、洗浄水を循環させるための循環経路を形成する配管と、洗浄水を循環経路に沿って循環させる洗浄水循環手段と、配管上に設けられ、配管内を流れる洗浄水を加熱または冷却する洗浄水加熱冷却手段と、空気浄化手段によって浄化され、取り出し口から排出される空気の温度および湿度に基づいて、洗浄水加熱冷却手段を制御して、洗浄水の温度を調節すると共に、洗浄水循環手段を制御して、洗浄水の循環流量を調節する制御手段と、を有している。空気浄化手段は、取り入れ口から導入された空気を洗浄水と接触させる気液接触部と、気液接触部に洗浄水を散水する散水手段と、配管によって散水手段と接続し、洗浄水を貯蔵する洗浄水貯蔵槽と、を有している。気液接触部は、水平方向に流れる空気の流路上に配置され、散水手段は、気液接触部の上方と、気液接触部の側方であって、空気の流れる方向に対して上流側の側方と、に設置されている。
また、本発明の空気調和システムは、上記に記載の空気調和装置と、この空気調和装置に接続され、空気調和装置の制御手段によって温度および湿度が調節された空気を取り入れて、この空気の温度および湿度を調整する空気温度湿度調整設備と、を備えている。
このように構成された空気調和装置、およびその空気調和装置を備えた空気調和システムによれば、空気浄化手段を含む循環経路内を流れ、空気に接触する洗浄水だけを直接加熱または冷却することで、少ない熱量で洗浄水の温度を調節することができる。加えて、洗浄水全体の温度を一定する必要がないため、設定温度までの応答を速くすること、および熱負荷を小さくすることができ、時間的ロスも軽減することができる。これにより、良好な制御性を得ることが可能となる。さらには、循環経路内を流れる洗浄水の温度および循環流量を変化させることで、洗浄水に接触した空気の温度調節および湿度調節が可能となる。この温度および循環流量の調節が、浄化された空気の温度および湿度に基づいて行われるため、所望の空気の温度および湿度を効率良く得ることも可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、洗浄水循環手段および洗浄水加熱冷却手段を循環経路を形成する配管上に設けることで、少ない熱量で洗浄水の温度を調節することができる。加えて、設定温度までの応答性の向上や熱負荷の低減、時間的ロスの軽減も実現できるため、良好な制御性を得ることが可能となる。また、洗浄水の温度および循環流量を調節する簡単な制御で、浄化される空気の温度および湿度を制御できる。さらに、本発明の空気調和装置と従来のエアコンディショナとを組み合わせることによって、従来のエアコンディショナの加熱および冷却時の負荷を低減することができる。
本発明の第1の実施形態における空気調和装置の構成を示す概略図である。 デシカントロータの構成を示す概略斜視図である。 本発明の第2の実施形態における空気調和装置の構成を示す概略図である。 本発明の空気調和装置を備えた空気調和システムの一実施形態の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態における空気調和システムの構成の具体例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1および図2を参照しながら、本発明の空気調和装置の第1の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態の空気調和装置の構成を示す概略図である。また、図2は、本実施形態の空気調和装置に使用する湿度調節手段であるデシカントロータの構成を示す概略斜視図である。
空気調和装置1は、筐体10の下部側面に設けられた空気の取り入れ口である吸気口11と、筐体10の上部側面に設けられた空気の取り出し口である排気口12と、筐体10に収容された空気浄化手段20と、を有している。
筐体10は金属製が好ましいが、適切な強度が確保できれば樹脂製などの他の材料を用いることもできる。筐体10の内部の設備の取り付けやメンテナンスのため、筐体10は分解可能な構造を有している。その構造は、設備の取り付けやメンテナンスが可能であれば特に限定されず、複数の金属製枠を上下に互いに接続する形態でもよく、筐体10の各面を別々の金属板で構成する形態でもよい。分解可能な構成とするために、これらの金属製枠あるいは金属板は、ボルトなどによって相互に分離可能であることが望ましい。
空気浄化手段20は、洗浄水を収容し、吸気口11から筐体10内部に導入された空気を洗浄水と接触させることで、空気を浄化するようになっている。このため、空気浄化手段20は、洗浄水を貯蔵する洗浄水貯蔵槽である循環タンク21と、洗浄水が空気と接触する気液接触部を構成する充填塔22と、充填塔22に洗浄水を散水する散水手段である散水ノズル23と、を有している。筐体10の底部に設置された循環タンク21の上方に、充填塔22と、散水ノズル23とが、この順で設置されている。
空気浄化手段20に収容され、空気を浄化するために使用する洗浄水は、清浄な水であれば特に限定されず、水道水、井水、蒸留水、純水、電解水等を用いることができる。
循環タンク21には、配管31を介して外部水源32が接続されており、配管31に設けられた弁33の制御により、外部水源32からの洗浄水の補充および交換が可能となっている。また、循環タンク21の底面には、水抜き用の排水弁24が設けられている。
吸気口11を挟んで循環タンク21の上方には、支持体(図示せず)によって支持され、充填材としてラシヒリングが充填された充填塔22が設けられている。上方の散水ノズル23から散布される洗浄水がラシヒリングの表面に付着し、その表面で、下方から上昇してくる空気との気液接触が行われることになる。充填材としては他にも、レッシングリング、ポールリング、サドル、スルザーパッキン等の、充填塔22において一般的に用いられる充填剤を用いることができる。充填塔22の代わりに、棚段塔を用いることもできる。
散水ノズル23は例えば、多数の孔の開けられた配管であり、孔から洗浄水が吐出される。この配管の形状は特に限定されず、充填塔22に洗浄水が均一に散布されれば、直線状または同心円状の複数の管、らせん状の管など、任意の形状の管を選択できる。散水ノズル23は、ジョロ、シャワー、スプリンクラー、スプレイタイプ等、公知の散水ノズルの中から適宜用いることができるが、好ましくはスプレイタイプである。スプレイタイプは、散布される水が霧状で、粒径が細かい。そのため、充填塔22の充填材を効率良く濡らすことができるだけでなく、スプレイから散布される霧状の水自体が被処理空気と接触して被処理空気を浄化することができ、結果として、気液接触効率が高くなる。また、一つのノズルから広範囲に水を散水することができるため、部品点数を少なくすることができる。
さらに、空気調和装置1は、配管61を介して循環タンク21に接続された循環ポンプ40と、循環ポンプ40の下流側(吐出側)に配管62を介して接続された洗浄水加熱冷却手段50と、を有している。洗浄水加熱冷却手段50は、配管63を介して散水ノズル23に接続されており、これにより、空気浄化手段20の循環タンク21と散水ノズル23とが、循環ポンプ40および洗浄水加熱冷却手段50と、各配管61−63とによって接続されている。こうして、空気浄化手段20に収容された洗浄水を循環させるための、空気浄化手段20を含む循環経路60が形成されることになる。
循環ポンプ40は、洗浄水加熱冷却手段50を介して、循環タンク21に貯蔵された洗浄水を散水ノズル23に供給する役割を有しており、洗浄水を循環経路60に沿って循環させる洗浄水循環手段として機能する。
循環ポンプ40の吐出側に設けられた洗浄水加熱冷却手段50は、熱交換器51と、熱交換器51の熱媒体を加熱または冷却する熱源52とによって構成されている。本実施形態では、熱源としてヒートポンプ52が用いられている。
ヒートポンプ52は、熱交換器51の熱媒体を加熱するだけでなく冷却することもできる点で有利である。加熱と冷却の両方を行える熱源としては、ヒートポンプの他に、吸収式冷温水機、ペルチェ素子を用いた加熱冷却装置などを使用することもできる。また、本実施形態の洗浄水加熱冷却手段50は、加熱および冷却の両方を行えるように構成されているが、加熱手段と冷却手段とを別に設けて、それらを適宜切り替えるような構成とすることもできる。その場合、加熱手段の熱源としては、ボイラー、コジェネレーション排熱とボイラーとの組み合わせ等を用いることができ、冷却手段の熱源としては、吸収式冷凍機、排熱利用の吸収式冷凍機と電気駆動冷凍機との組み合わせなどを用いることができる。
このように、本実施形態では、洗浄水を加熱または冷却する洗浄水加熱冷却手段50が、循環経路60を形成する配管上に設けられているため、循環経路60内を流れる洗浄水だけを加熱または冷却することができ、少ない熱量で十分な冷暖房効果を得ることが可能となる。この観点から、洗浄水加熱冷却手段50は、循環経路60内を流れる洗浄水だけを加熱または冷却するようになっていればよく、循環経路60上の循環ポンプ40の吸引側に設けられていてもよい。また、洗浄水加熱冷却手段50は、ヒートポンプ52の、例えば洗浄水冷却時の排熱を、後述するデシカントロータの再生や、空気の温度が下がりすぎた場合の加熱に利用するようになっていてもよく、これにより、装置全体の熱効率の向上にも寄与することができる。
なお、本実施形態では、循環ポンプ40および洗浄水加熱冷却手段50は、筐体10外部に設けられているが、洗浄水を循環経路60に沿って循環させ、循環経路60内を流れる洗浄水を加熱または冷却するようになっていればよい。そのため、例えば、循環ポンプ40および洗浄水加熱冷却手段50が、筐体10の内部に設けられていてもよく、また、循環ポンプ40は、循環タンク21内に設けられた水中ポンプであってもよい。
空気浄化手段20の上方には、気液接触方式により浄化された空気に含まれる大量の湿分を除去するための湿度調節手段が設けられている。本実施形態では、湿度調節手段としてデシカントロータ70が用いられている。
図2に、デシカントロータ70の構成を概略的に示す。デシカントロータ70は、回転するロータ71の内部に乾燥剤(図示せず)を保持しており、ロータ71の回転中心C−Cに関し一定の角度範囲αに吸湿領域72を形成している。吸湿領域72では、水分を大量に含む、空気浄化手段20を通過した空気が、上方(方向D1)に向けて引かれ、ロータ71の厚み方向にロータ71を通過する。その際、ロータ71の内部に保持された乾燥剤によって、空気の湿分が吸収される。一方、残りの角度範囲βは再生領域73となっている。そこでは、吸湿した乾燥剤に対して、再生用ヒータ13からの高温空気が下向き(方向D2)に送られ、乾燥剤に含まれる湿分が除去される。つまり、ロータ71の一部は、再生領域73で再生される。ロータ71は一定の回転速度で回転しているため、ロータ71の各領域(角度位置)は、一定時間ごとに、吸湿領域72と再生領域73との間を切り替わることになる。再生用ヒータ13は、図1に示すように、筐体10内部の空気の流路から空間的に分離された再生ヒータ室14に設置されているため、吸湿中の乾燥剤に再生用の高温空気が接触することはない。
デシカントロータ再生用の高温空気の生成は、デシカントロータ70を出た乾燥した空気の一部を再生室ファン15によって再生ヒータ室14に取り入れ、再生ヒータ室14に取り入れられた空気を再生用ヒータ13で加熱することによって行われる。高温空気に吸収されたデシカントロータ70の湿分は、一部が充填塔22に送られて、洗浄水として再利用される(図1中矢印E1参照)。残りは、再生ヒータ室14に還流して、大気に放出される(図1中矢印E2参照)。
なお、デシカントロータ70の上部には、熱交換器が設けられていてもよい。デシカントロータ70により湿度調節された空気は、各種要因によって温度が上昇するため、この熱交換器により温度調節を行うことで、より適切な温度調節を実現することができる。また、空気浄化手段20とデシカントロータ70との間に、空気浄化手段20からの水滴がデシカントロータ70に飛散するのを防止するエリミネータ(防滴板)を設けることもできる。
デシカントロータ70の上方であって、排気口12の手前には、吸気口11から導入された空気に上向きの駆動力を与え、空気浄化手段20によって浄化された空気を排気口12から排出させるための主排風機16が設置されている。なお、浄化された空気が排気口12から排出されるようになっていればよく、主排風機16の代わりに、排気口12から空気を排出する排気手段が筐体10外部に設けられていてもよい。
空気調和装置1が屋外に設置される場合、排気口12が、ダクトを介して屋内に接続され、清浄な空気を屋内に導入するようになっている。一方、空気調和装置1が屋内に設置される場合は、再生ヒータ室14からの排気がダクトを通じて屋外に排出されるようになっている。
排気口12から排出される空気の温度および湿度は、空気浄化手段20で空気と接触する洗浄水の温度および散水量(循環経路60での循環流量)によって左右される。例えば、洗浄水の温度が空気の温度より低く、空気の露点よりも高い場合、空気は、洗浄水と空気との接触による蒸発潜熱によって、加湿されると共に、熱を奪われて冷却される。また、洗浄水の温度が空気の温度より低く、空気の露点よりも低い場合は、洗浄水の表面で空気中の水蒸気が水滴化するため、空気は冷却および減湿される。一方で、洗浄水の温度が空気より高い場合は、洗浄水の熱分および湿分が空気に添加されて、空気は加熱および加湿される。したがって、排気口12から排出される空気の温度および湿度を調節するには、洗浄水の温度および循環流量を制御する必要があり、この制御を行うために、少なくとも排出される空気の温度および湿度を検出する必要がある。
このために、本実施形態の空気調和装置1は、洗浄水加熱冷却手段50を制御して、循環経路60内を流れる洗浄水の温度を調節すると共に、循環ポンプ40を制御して、洗浄水の循環流量を調節するためのコントローラ(制御手段)80を有している。これに加えて、排気口12には、排出される空気の温度および湿度を検出する第1の温湿度モニタ81(排気温度湿度検出手段)が設けられている。コントローラ80は、少なくともこの第1の温湿度モニタ81によって検出される空気の温度および湿度に基づいて動作するようになっている。すなわち、コントローラ80は、排出される空気の温度および湿度が所定値となるように、洗浄水加熱冷却手段50および循環ポンプ40を制御して、洗浄水の温度および循環流量を調節する。これにより、本実施形態の空気調和装置1は、空気浄化手段20によって浄化されると共に、所望の温度および湿度に調節された空気を排出することが可能となる。
また、空気調和装置1は、吸気口11に設けられ、装置内に導入される空気の温度および湿度を検出する第2の温湿度モニタ82(吸気温度湿度検出手段)をさらに有している。コントローラ80は、第1の温湿度モニタ81によって検出される空気の温度および湿度だけでなく、第2の温湿度モニタ82によって検出される空気の温度および湿度にも基づいて、洗浄水の温度および循環流量を制御するようになっている。これにより、コントローラ80は、例えば導入される空気の温度および湿度が変化した場合などに、より迅速に対応することができ、より効率的な洗浄水の温度および循環流量の制御を行うことができる。
本実施形態では、コントローラ80は、洗浄水の温度調節のために、循環タンク21内に設けられた温度モニタ83によって洗浄水の温度を監視しているが、温度モニタは、循環経路60上の洗浄水加熱冷却手段50の下流側に設けられていてもよく、洗浄水加熱冷却手段50内に設置されていてもよい。
次に、本実施形態の空気調和装置1を用いた空気調和動作について、簡単に説明する。
主排風機16が作動すると、筐体10内部が減圧状態となり、浄化すべき空気が吸気口12から筐体10内へと導入される。導入された空気は、主排風機16によって上向きの駆動力を与えられており、筐体10の内部を下から上へと流れ、充填塔22に到達する。
一方、循環タンク21内に貯蔵された洗浄水は、循環ポンプ40によって、洗浄水加熱冷却手段50を通過して、散水ノズル23に供給される。このとき、洗浄水は、排気口12から排出される空気の温度および湿度が予め設定された温度および湿度となるように、コントローラ80によって温度および循環流量が最適に制御されて供給される。散水ノズル23に供給された洗浄水は、散水ノズル23によって充填層22に散水されて、充填層22のラシヒリングの表面に付着して濡れ面を形成する。
充填塔22の下方から上昇してくる空気は、ラシヒリングの表面で気液接触を行い、洗浄水によって、空気中の粒子性物質やガス状化学物質が除去される。浄化された空気は、気液接触が行われたことで高湿度となっており、デシカントロータ70を通気することで除湿されて、主排風機16によって排気口12から排出される。
以上のように、本実施形態の空気調和装置1では、洗浄水を加熱または冷却する洗浄水加熱冷却手段50が、循環経路60上に設けられている。そのため、本実施形態の空気調和装置1は、循環させる洗浄水だけを加熱または冷却することでき、循環タンク21内の洗浄水全体を加熱または冷却する必要がないため、熱効率・エネルギー効率の観点から好ましい。また、浄化される空気の湿度が、接触する洗浄水の状態に依存するため、デシカントロータ70が設置されていることに加えて、洗浄水の温度および循環流量を調節することで、空気の湿度調節が可能となり、より十分な除湿効果を得ることが可能となる。加えて、この洗浄水の温度および循環流量の調節が、浄化された空気の温度および湿度に基づいて行われるため、空気の温度調節および湿度調節に関する熱効率・エネルギー効率を向上させることも可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における空気調和装置について説明する。
本実施形態は、空気の流れに沿って各構成部材が水平方向に配置されている点が、第1の実施形態と大きく異なっており、空気の流れ方向に対する空気浄化手段の配置構成も、第1の実施形態と異なっている。その他、空気調和装置の各構成部材の機能および空気調和動作については、第1の実施形態の場合と実質的に同じであり、以下では、上述の相違点のみ説明する。
図4は、本実施形態の空気調和装置の構成を示す概略図である。なお、図1に示す第1の実施形態と共通する構成部材については、同じ符号を付しており、その一部は符号を省略している。また、記載の都合上、図1の実施形態における外部水源32と、それに伴う配管などは、図4には図示していない。
本実施形態では、空気調和装置1は、吸気口11および排気口12が筐体10の両側面にそれぞれ設けられ、それにより、空気がほぼ水平方向に流れるように構成されている。そのために、空気浄化手段20と、デシカントロータ70と、主排風機16とは、空気の流れる方向、すなわち吸気口11から排気口12の方向に、この順で設置されている。
加えて、空気浄化手段20の散水ノズル23が、充填塔22の上方にだけでなく、充填塔22の側方、すなわち空気の流れる方向に対して充填塔22の上流側(図で見て左側)にも設置されている。これにより、洗浄水が充填塔22に対して2方向から散水されることになる。
散水ノズル23が充填塔22の上方のみに設置される場合、吸気口11から導入される空気の流れ(気流)によって、水滴や霧などの形態である水は、空気の流れる方向(下流側、図で見て右側)へと流されてしまう。その結果、充填塔22の吸気口11側(図で見て左側)の、特に下部付近には、水分が少ない(極端な場合乾燥した)領域が発生する。一方、散水方向が水平1方向のみの場合、充填塔22の上部付近に、重力の影響により、同様に水分が少ない領域が発生する。この気液接触部における水分が少ない領域は、気液接触に影響を与えることになる。また、気液接触部において不均一な湿潤状態、すなわち濡れている領域とそうでない領域とが存在すると、空気は抵抗の小さい濡れていない領域を通過しようとするため、偏流を誘発する恐れがある。以上のことから、空気の流れる方向が水平方向の場合には、上述のように、洗浄水が充填塔22に対して2方向から散水されることが好ましい。
なお、本実施形態では、循環ポンプ40は、配管を介して循環タンク21に接続されているが、循環タンク21内に設けられた水中ポンプであってもよい。また、本実施形態では、循環ポンプ40および洗浄水加熱冷却手段50は、筐体10内部に設けられているが、洗浄水を循環経路60に沿って循環させ、循環経路60内を流れる洗浄水を加熱または冷却するようになっていればよく、第1の実施形態と同様に、筐体10の外部に設けられていてもよい。
最後に、本発明の空気調和装置を備えた空気調和システムの一実施形態について説明する。
図4は、本実施形態の空気調和システムを概略的に示す構成図である。
空気調和システム2は、本発明の空気調和装置3と、この空気調和装置3から排出される空気を受け入れるように、空気調和装置3に接続されたエアコンディショナ(空気温度湿度調整設備)4と、によって構成されている。エアコンディショナ4は、冷暖房などの一般的な空気調和機能、すなわち空気の温度および湿度調整機能を備え、屋内に温度および湿度調整された空気を供給する主空気調和装置として動作する。一方、空気調和装置3は、例えば外気を予め浄化処理および温度・湿度調整し、その空気をエアコンディショナ4に供給する補助的な空気調和装置として動作する。
このような空気調和システムの具体的な構成例として、エアコンディショナに、本発明の第1の実施形態における空気調和装置が接続された空気調和システムの構成を図5に示す。
空気調和装置1は、図5(a)に示す構成例では屋外に設置され、図5(b)に示す構成例では屋内に設置されている。いずれの構成例でも、空気調和装置1の排気口12が、ダクト5などを介して、エアコンディショナ4の空気取入口に接続されており、空気調和装置1からエアコンディショナ2に空気が供給されている。
ここで、図5に示す空気調和システム2の動作例について、簡単に説明する。
まず、空気調和装置1によって、気液接触により浄化された空気の温度および湿度を排気口12に設けられた第1の温湿度モニタ81で検出し、その検出結果に基づいて空気調和装置1内の洗浄水の温度および循環流量が調節される。そして、温度および湿度が所定の値に調節された空気は、ダクト5を通じてエアコンディショナ4に供給され、最終的に、エアコンディショナ4において屋内の温度および湿度の調整が行われる。
一方、季節によっては、空気調和装置1の排気口12から排出される空気は、厳密に制御される必要がなく、エアコンディショナ4にとって好都合な温度および湿度の近傍にあるだけでよい場合もある。そのような場合には、まず、この好都合な温度および湿度が、排気口12に設けられた第1の温湿度モニタ81の設定値として設定される。
そして、吸気口11に設けられた第2の温湿度モニタ82の検出結果に基づいて、洗浄水の温度および循環流量を調節し、気液接触により浄化された空気の温度および湿度を排気口12に設けられた第1の温湿度モニタ81で検出し、その検出結果に基づいて空気調和装置1内の洗浄水の温度および循環流量が調節される。こうして、空気調和装置1の排出口12から排出される空気の温度および湿度が、設定値の近傍に調節され、エアコンディショナ4に供給される。最終的に、エアコンディショナ4において屋内の温度および湿度の調整が行われる。
本発明の空気調和装置を備えた空気調和システムによれば、エアコンディショナ単体で空気の温度および湿度調整を行う場合と比べて、以下のような利点がある。
本発明の空気調和装置と、エアコンディショナとを組み合わせることで、エアコンディショナに供給する空気の温度および湿度を、本発明の空気調和装置によって同時に制御することができる。そのため、除湿時におけるエアコンディショナでのエネルギーの無駄が極力発生しないような条件で、エアコンディショナに空気を供給することが可能となり、よりエネルギー効率の良い除湿を行うことが可能となる。
また、エアコンディショナに導入される空気の温度と設定温度との温度差が大きい場合の応答性や装置負荷の問題に関しても、上述のような構成の空気調和システムでは、本発明の空気調和装置によって前述の温度差を小さくすることが可能となり、応答性の向上および装置負荷の軽減を実現することが可能となる。
なお、複数の居室の空気調和を行うために、本発明の空気調和装置を備えた空気調和システムとして、いわゆるセントラル方式を採用することができる。すなわち、本発明の空気調和装置に、全居室と連通する1つのエアコンディショナを接続させて、全居室の空気調和を一括で行うことができる。一方で、本発明の空気調和装置と各居室に設置されたエアコンディショナとをそれぞれ接続させて、各居室ごとに個別に空気調和を行うこともできる。
1,3 空気調和装置
2 空気調和システム
4 エアコンディショナ
11 吸気口
12 排気口
20 空気浄化手段
21 循環タンク
22 充填塔
23 散水ノズル
40 循環ポンプ
50 洗浄水加熱冷却手段
51 熱交換器
52 ヒートポンプ
60 循環経路
70 デシカントロータ
80 コントローラ
81 第1の温湿度モニタ
82 第2の温湿度モニタ

Claims (8)

  1. 空気が水平方向に流れるように構成された空気調和装置であって、
    空気の取り入れ口および取り出し口と、
    洗浄水を収容し、前記取り入れ口から導入された空気を前記洗浄水と接触させることで浄化する空気浄化手段と、
    前記空気浄化手段と共に、前記洗浄水を循環させるための循環経路を形成する配管と、
    前記洗浄水を前記循環経路に沿って循環させる洗浄水循環手段と、
    前記配管上に設けられ、該配管内を流れる前記洗浄水を加熱または冷却する洗浄水加熱冷却手段と、
    前記取り出し口から排出される空気の温度および湿度を検出する排気温度湿度検出手段と、
    前記排気温度湿度検出手段により検出された空気の温度および湿度に基づいて、前記洗浄水加熱冷却手段を制御して、前記洗浄水の温度を調節すると共に、前記洗浄水循環手段を制御して、前記洗浄水の循環流量を調節する制御手段と、
    を有し、
    前記空気浄化手段が、前記取り入れ口から導入された空気を前記洗浄水と接触させる気液接触部と、該気液接触部に前記洗浄水を散水する散水手段と、前記配管によって前記散水手段と接続し、前記洗浄水を貯蔵する洗浄水貯蔵槽と、を有し、
    前記気液接触部が、前記水平方向に流れる空気の流路上に配置され、前記散水手段が、前記気液接触部の上方と、前記気液接触部の側方であって、空気の流れる方向に対して上流側の側方と、に設置されている、空気調和装置。
  2. 前記取り入れ口から導入される空気の温度および湿度を検出する吸気温度湿度検出手段をさらに有し、前記制御手段が、前記排気温度湿度検出手段により検出された空気の温度および湿度と、前記吸気温度湿度検出手段により検出された空気の温度および湿度とに基づいて、前記洗浄水加熱冷却手段を制御して、前記洗浄水の温度を調節すると共に、前記洗浄水循環手段を制御して、前記洗浄水の循環流量を調節するようになっている、請求項1に記載の空気調和装置。
  3. 前記洗浄水加熱冷却手段が、前記洗浄水循環手段の下流側に設けられている、請求項1または2に記載の空気調和装置。
  4. 前記洗浄水加熱冷却手段が、熱交換器と、該熱交換器の熱媒体を加熱または冷却する熱源とを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
  5. 前記熱源がヒートポンプである、請求項4に記載の空気調和装置。
  6. 前記空気浄化手段と前記取り出し口との間に配置され、前記空気浄化手段で浄化された空気の湿度を調節する湿度調節手段をさらに有する、請求項1からのいずれか1項に記載の記載の空気調和装置。
  7. 前記湿度調節手段がデシカントロータである、請求項に記載の空気調和装置。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載の空気調和装置と、
    前記空気調和装置に接続され、該空気調和装置の前記制御手段によって温度および湿度が調節された空気を取り入れて、該空気の温度および湿度を調整する空気温度湿度調整設備と、を備えた空気調和システム。
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