JP4278175B2 - プロテアーゼ阻害剤および他の生物活性物質の新しい系 - Google Patents
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Description
本発明はさらに新規のプロテアーゼ阻害剤の治療的用途に関する。このような用途を例示する一例を下記に示す。
気腫、関節炎、歯肉炎、歯周炎および他の炎症のような病気は、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)によって引き起こされる組織破壊に関連がある。HNEは、エラスチンおよびコラーゲンのような繊維状のタンパク質を可溶化できるセリンプロテアーゼである。HNEは、主に好中球白血球のアズール性顆粒に存在する。正常の生理学的条件下では、酵素のタンパク質分解活性は、血漿および他の分泌物に存在する過剰の阻害剤によって制御された状態におかれている。しかしながら、ある種の疾患では、阻害剤の局部的な欠乏、または不活性化という結果を招き、阻害剤対エラスターザの割合の不均衡をもたらし、組織破壊に至る。
均衡は、プロテアーゼ阻害剤、たとえば本発明で提供されるものを用いて復元される。
さらに、HIVの複製サイクルにおいてgagとenv前駆体の開裂(タンパク質分解)が重要な段階である。このようなプロテアーゼの阻害は、抗ウイルス薬開発において理にかなっている。可能性のある化合物の抗ウイルス能を評価する研究目的は、したがって貴重なことである。
ヒルから抽出された種々の化合物は、有用な生物活性を有することが知られている。これらはSawyerによって解説されている(Sawyer,1990)。本質的に2つのグループの活性が認識されている。第1のグループは、抗血栓および抗繊維素溶解活性からなり、第2のグループは酵素と阻害剤からなる。第1のグループの代表例は、たとえば次のものを含む。トロンビン阻害剤であるHirudin(ヒルジン)(Markwardt,1956;1988;Petersenら,1984)、繊維素溶解剤であるHementin(Budzynskiら、1981;Kirschbanm,Budzrnski,1990年)、凝固因子Xaの阻害剤であるAntistasin(Gasicら、1983)、これは抗転移作用も有することが報告された。別のX因子の阻害剤であるGilanten(Condraら、1989;Blankenshipら1990)。第2のグループの代表例は、トリプシンとプラスミンの阻害剤であるBdellin、キモトリプシン、エラスターゼおよびカテプシンGの阻害剤であるEglin(Seemuller,1979)、ヒアルロニダーゼであるOrgelase(Sawyer,1986)である。
この分野で最近いくつかの追加例が特許文献に公表されてきた。Hirudo medicinalisから単離され、グルタミン酸−リジン配列を切る、繊維素溶解酵素(EP0502876);Hirudo medicinalisから単離され、コラーゲン−誘起された血小板凝集を阻害する血小板粘着阻害剤(EP0552269);Hirudinaria manillensisからのトロンビン阻害剤(PCT/GB89/01345);Hirudinidae科のヒルからの血小板凝集の阻害剤(EP0348208);Hirudo medicinalisから単離された抗凝血剤/モジュレータ(EP0352903);Hirudinaria manillensisからのキモトリプシンおよびエラスターゼ阻害剤である。
本発明は、新規の阻害剤、他の生物活性物質およびこれらの化合物の1種以上を含む薬学的そして化粧用調製剤を提供する。本発明の第1の側面では、Limnatis Niloticaから得られるプロテアーゼ阻害活性を有する物質または同様の活性を有するこのような物質の断片または誘導体が提供される。
このような物質は唾液、胃腸管、皮膚分泌物および粘膜を含めてヒルの体のすべての部分および分泌物から得られる。本発明の一部に従うこれらの新規なエラスターゼ/キモトリプシンおよびトリプシン阻害剤は、典型的には溶剤抽出手段を用いてヒルの組織から単離することができる。別法として、それらはヒルの分泌物(たとえばヒル唾液)から単離していてもよい。しかしながら本発明は、新規のプロテアーゼ阻害剤を得る特定の方法に限定されない。本発明のさらなる実施の形態によれば、タンパク質状またはポリペプチド様である新規のプロテアーゼ阻害剤が提供される。好適には、該タンパク質状の物質は少なくとも下記のアミノ酸配列の一部を含む。
活性が本発明の真に重要な特徴であることは明らかであるので、突然変異体、イソ型体、誘導体、たとえば塩類、断片またはタンパク類似様体、抗イディオタイプ、触媒抗体等もまた本発明の一部である。
イソ型体または突然変異体の定義に関して、生理学的進化によって酵素および他の系の活性分子は、絶えざる系統分類学的進歩の対象になっていることを理解すべきである。このような理解の元で、本発明者らはこれらの分子のイソ型体または突然変異体を定義する。ここに報告される一次構造(1)は、大きな相似をもち、そして分子量とアミノ酸配列で定義される3つまたは4つのイソ型体のうちの1つである。同様のことが(2)についても言える。
(1)のイソ型体のいくつかは、下記のようにして同定される。新規のプロテアーゼ阻害剤は、このような物質に対するよく知られた用途に適用することができる。それらは、投与に適した賦形剤を含んでもよい。薬学的組成物として適切に製剤化することができる。投与は、いかなる適切な様式でも達成することができるが、全身適用のタンパク質状物質については、非経口投与が好ましい。これらの物質の投与量は、文献から取ることができ、物質の特定の活性、分子量、治療を受ける患者の体重、および投与の方法等に基づいて決められる。投与量は、通常体重kgあたり0.1μgおよび10mgの間にある。
本発明に従う物質をコードする核酸分子も提供される。それらは、物質をコードする遺伝子の検出、物質を適当な宿主細胞で発現および部位特異的突然変異体を作るのに用いることができる。部位特異的突然変異は、コードされた物質の活性および/または安定性を増加できるので、しばしば有用である。
本発明に従う物質を発現するための多くの適当な発現系がある。宿主細胞での発現が好ましいが、細胞なしの発現系を使用することもまた可能である。適当な宿主細胞は、原核または真核細胞であり得る。なぜならばシグナル配列は存在するかもしれないが、本発明のタンパク質状物質はグリコシル化されておらず、また、いかなるふうにも翻訳後、修飾されていないようであるからである。通常、発現されるべき核酸は、ベクターのような発現のための担体中に供され、そこでプロモータ、エンハンサー等の調節因子も提供される。
本発明に従う物質をコードする核酸分子および代わりのものが下記に示される。
ここでR=A/G,N=A/C/G/T,Y=C/T,D=A/G/T,または前記の配列と70%のホモロジーを有する配列。
実験方法
種々な細菌種の培養物を扱う本発明者らの通常の研究において、新しい抗生物質のスクリーニング方法が用いられた。淡水産の魚、水鳥、そしてヒルからのありふれた細菌であるAeromonas hydrophilia種の研究をしているときに、驚くべきことに、ヒルから単離されたAeromonasについて自己抗菌作用が発見された。A.hydrophiliaの単一培養物接種された血液栄養素プレートは、接種が行われたところで、ブランクの領域と発育領域とを示した。ブランクの領域は、宿主(ヒル)からの何らかの物質で汚染され、それらが汚染領域で細菌の発育を阻止したようであった。さらなる研究から、この活性は、研究の対象となっており、Aeromonasのコロニーを宿しているヒルの体に由来する物質によるもののようであった。続いて、出願人は、ヒルの体の分泌要素を同定し、単離し、そしてその因子を精製し、Fahsinと命名されたこれら物質の系から他の生物活性を発見した。まもなく、前記の抗菌作用の他に、その物質はプロテアーゼ阻害剤としてもまた生物学的に活性であることが明らかになった。物質が発見されたヒルの種は、hirudinidae科に属することが見いだされ、Limnatis niloticaと同定された。物質を精製すると最終的に以前に報告されていなかったタンパク質の新しい系が明らかとなった。このタンパク質系は、50/51のアミノ酸からなり、置換が構造中、前述のようにいろいろな部位でおこった種々なイソ型体の形態で存在する。治療薬として用いたときに、低い抗原性または非抗原性作用を有する他の物質も単離された。
L.Nilotica(Savingny1820,Autrum1936から続いて)は、「鼻ヒル」または「馬ヒル」(Mouguin−Tandon,1846)として記載されている。それは地中海の全沿岸地方に存在することが記載されている(Harant1922、Jarry1959)、それは泉および川に生息し、家畜、犬、およびヒトを餌食にする(Blaise,1874/5:Neveu&Lemaire,1938;Turner1969;Keeganら,1970)。
驚くべきことに、このヒルの食習慣は他の吸血性ヒルのものと異なっている。それは、寄主に長期間(数週間〜数カ月)くっついたままである(鼻腔、喉頭部)。この動物は、寄主を繰り返し、望むときいつでも餌にする。これらのヒルに取り付かれた、水を飲んでいる家畜を観察したことがあったが、家畜が水を飲んでいる間中、ヒルは落ちなかった。このようなとき、厚い、肥えた成虫の大きさのヒルのみが落ちることがある。したがってこの種のヒルは、粘膜、唾液腺の中に抗原性あるいは免疫原性の物質をほとんど含まないことは明らかである。この種のヒルのために死にかけている寄主動物についての報告は、共通の原因として貧血症を挙げているが、知る限り、直接の抗原作用は報告されていなかった。
これらのヒルの孵化から繁殖期への生育の周期は夏季の間だけで数カ月に及ぶ(Ghedia,1984)。
捕獲した状態におかれたこれらのヒルは、屠殺場からの動物の内臓調製物の中でパリン添加した血液で養うことができることがさらに観察された。数カ月の間、血を与えていなかったヒルを殺しても、内臓に多少の血液を含んでいた。したがって、これらのヒルは抗凝血物質を産生するに違いない。
捕獲した状態におかれたこの種のヒルは、血餅で養うことができることがさらに観察された。数匹のヒルは孵化から完全な大きさのヒルにまで、この餌食条件で成長した。養食の後、血餅の残物は文字通り穴があけられていた。したがってこれらのヒルもまたフィブリンを溶解することによって血餅を溶かす物質を産生する。
本明細書の記載は、本発明の対象である式(1)のタンパク質の特異的な一次配列、その単離と精製、特異的な活性および遺伝子クローンニングと発現を通してのその製造を明らかにする。出願人は、発明され、ここに記載されたこのタンパク質、Fahsinが、段階的およびブロック合成、または遺伝子クローンニングと発現であれ、いかように製造されたこのような物質を含むことを意図する。
また本発明は、式(2)のタンパク質/ペプチドの一次配列、その特異的な活性(特にトリプシンおよびプラスミンの阻害)をも提供する。Fahsin系に属するこれらのペプチドもそれらの由来または製造方法にかかわらず、本発明に属する。
単離法の記載
1.凍結Limnatis nilotica(300g)を、室温で94%エチルアルコール中、3回変えて合計400mlを用いて脱水した。300mlの蒸留水を加えた後、100mlのエタノール抽出物をバイエル中で凍結乾燥した。別法として、これらのヒルの切断した頭、または生きたヒルからの活性化した粘液分泌物から、前者を1時間、室温、pH7.0で150mM NaCl,10mMアルギニンおよび20mMリン酸塩緩衝液中に浸すか、生きたヒルを10分間、4%エチルアルコールに浸し、産生された多量の粘液分泌物を集めるかして、さらにその後、凍結乾燥することもできる。すべての方法によって、凍結乾燥した基本材料を結果的に得る。
2.予め凍結乾燥した基本材料について、これを、1)0.1M酢酸中、2)50%酢酸中、および3)0.1M炭酸アンモニウム中に再懸濁し、種々の懸濁液、上澄液およびペレット(再懸濁液)を遠心分離した後、溶解性試験を実施した。その後、配列分析法によってタンパク質の存在を試験した(Applied Biosystems社 モデル477A 自動シークエンサーでのEdman分解:Edman,1956、IlseおよびEdman,1963)。Applied Biosystems社からのプロトコール、試薬、化成品および材料を用いた(ウェリントン 英国、フォスターシティ,カリフォリニア州,アメリカ合衆国)(Hewickら,1981)。生物活性が、A.hydrophilaの自己抗菌作用として記載された抗エラスターゼ活性を含むかどうかを調べた。したがって、エラスターゼ活性の阻害についての試験は、20μlの上澄液および基本材料のペレットの再懸濁物の乾燥材料でエラスターゼ(Boehringer社)とSAAAP(Fluka社)を色素産生基質として、そして0.1M Tris/HCl,pH8.2をアッセイ緩衝液として実施した。異なった溶液で得られた結果と、エラスターゼの阻害に基づいて、凍結乾燥した基本材料のための溶液として、そしてその後でのゲル▲濾▼過の溶出液として0.1M Hacを使用することを決定した。
3.基本材料15%を0.1M Hacに再懸濁し、2度遠心分離し、そして再び集めた(体積約28ml)。これをセファデックスG−75カラム(長さ180cm、口径1.85cm、溶出液0.1M Hac、フラクション約5ml、調整流速約0.75ml/分)に通した。合計180のフラクションを採取し、吸収を233nmおよび285nmで測定した(結果については、図1,2を参照)。
エラスターゼ活性の阻害についての試験は、フラクション48〜フラクション180の各4フラクション毎に、上記2の測定方法に従って行った。阻害は、フラクション92〜116で見られた(図3)。
入手できるタンパク質の量を推定するために、分析スケールでの配列分析は、フラクション105から200μlで行った。存在するシグナルは、約50pmolのレベルを示した。これは初期収率を50%としてタンパク質/ペプチドの2.5nmolのレベルを示す。
さらに、分子質量の概算は、SDS−Pageでセファデックスカラムからのフラクションで行った。結果は、ゲル1,2および3について示されている(図4、5および6)。セファデックスG−75ゲル▲濾▼過のフラクション50,60,70,80,90,100および110をグル1に使用し(図4)、フラクション88,91,94,97,100および103をゲル2に使用し(図5)、そしてフラクション106,109,112,115,118および121をゲル3に使用した(図6)。エラスターゼ阻害(フラクション92〜116)の領域で、分子質量は約5kDa(ゲル3のフラクション106および109を参照)と見積もられることが分かった。
フラクション95〜113を集めて、さらなる研究に供した。
4.予め集めたフラクション95〜113を用いて、アンヒドロキモトリプシンカラムクロマトグラフィーを行った。このプールを0.02CaCl2および0.02%ナトリウムアジドを含む、pH8.2の6ml 0.05M Tris/HCl緩衝液に懸濁し、その後遠心分離した。残ったペレットを50μl 8M尿素、950μl水で再懸濁した。再懸濁したペレットおよび10μl上澄液を分析用配列分析のために通した。結果を比較した後、上澄液に見つかったタンパク質の5〜10%がペレットに存在していたと結論された。エラスターゼの阻害は、上澄液のみで実証された。したがって、続く操作は、上澄液のみで行った。
プールしたフラクション95〜113の50%の一部(約3ml)を1.5mlの固定化アンヒドロキシトリプシン上(Pierce,ロックフォード,イリノイ州,アメリカ合衆国,20185)クロマトにかけ、ポリスチレン−カラム上(Pierce,ロックフォード,イリノイ州,アメリカ合衆国)クロマトにかけた。ここで製造業者からの指示に従った(結合緩衝液:0.05M Tris−HCl緩衝液,pH8.2,0.02MCaCl2,0.02%ナトリウムアジド;第一溶出緩衝液:0.1Mギ酸,pH2.5;第2溶出緩衝液:0.05M Tris−HCl,pH8.2,0.02MCaCl2,0.02%ナトリウムアジド,5Mチオシアン酸ナトリウム:流速約9.2ml/時間:温度4℃:フラクションサイズ約2ml)。ローディングした後、30ml結合緩衝液(フラクション1〜17),30ml第1溶出緩衝液(フラクション18〜31),15ml第2溶出緩衝液(フラクション32〜40)そして6ml結合緩衝液(フラクション41〜43)で溶出した。これらのフラクションを標準エラスターゼアッセイ(下記)によってエラスターゼ阻害活性について試験した。
エラスターゼ阻害アッセイ
アッセイの原理は、色素産生の基質SAAAP(Fluka 85975)を用いて、基質消化の間に、p−ニトロアニリン基の放出を光学的に405nmで測定することによってエラスターゼ(Boehringe1027891)活性の阻害を見ることにある。
溶液の調整
アッセイ緩衝液:0.1M Tris/HCl、pH8.2、1MNaCl
エラスターゼ :40μg/ml(水)
基 質 :1.0mM SAAAP(水)
氷酢酸50% :水に希釈
アッセイ手順
100μlアッセイ緩衝液、50μlエラスターゼ阻害試料、50μlエラスターゼ溶液を含むチューブ(Eppendorf)での反応をSAAAP(25μl,1mM)添加して開始させ、そして25℃で30分間、インキュベートした。その後、反応を25μl50%氷酢酸を添加して、止めた。放出されたp−ニトロアニリンの吸光度を405nmで読んだ。
5.エラスターゼ活性の阻害は、試験した部分ではフラクション19にのみ見られた。このフラクションの体積は約1900μlであった。純度とタンパク質の量の制御のために、分析用配列分析を実施したところ、初期収率50%という仮定で、1887pMolのレベルでペプチド混合物が存在するとのしるしが結果として得られた。
フラクション19の分析用HPLCのクロマトグラフを図7に示す。後で、ピーク5,7,8および9を阻害アッセイ手順に記載されたようにエラスターゼ阻害活性について試験した。フラクション7,8および9のみがエラスターゼ阻害を示した。フラクション5は、抗エラスターゼ活性を示さなかったが、強いトリプシン阻害を示した(下記を参照)。
6.質量分析をレーザ脱着装置で実施した。0.1%の精度でこれらのフラクションに対して次の質量がわかった。
フラクション5=5377.2および5435.5D(1:1混合物)
フラクション7=5494.4D
フラクション8=5476.5D
フラクション9=5385.5および5454.1D(1:1混合物)
これらの物質を次のように命名した。
フラクション5=FAHSIN T1/2
フラクション7=FAHSIN E1
フラクション8=FAHSIN E2
フラクション9=FAHSIN E3/4
7.タンパク質配列分析による固定
ピーク7,8および9を標準Edman分析を用いて分析した。種々な消化工程(トリプシン消化、Asn−Gln開裂のための水酸化ナトリウムインキュベーション、Glu−酵素消化)を行うと、フラクション8の完全配列、フラクション7および9の部分配列が導かれた。分子は、明らかにグルコシル化されていない。フラクション8の完全なアミノ酸配列から分子質量5476が導かれ、これはMS5476,5の結果とよく一致する。
a)フラクション8と同一の位置にシステインがある
b)すべてのシステインがS−S架橋に関与する
c)フラクション8の配列と比較して、Tyr−30が残基28〜41内の唯一の置換である
d)フラクション8の配列と比較して、残基41の後では別の置換は起こらない
以上を仮定にして、フラクション7の不完全なアミノ酸配列から分子基質5493なる計算が導かれ、これはMS5494.4の結果とよく一致する。単一分子であると判断されたピーク8のアミノ酸配列は、次のような第1次配列である。
イソ型体
1.もう一つの単一分子イソ型体がピーク7に見つかった。そのN−末端からの配列は、次のようである。
2.2つの分子の混合物であると分かった別のイソ型体がピーク9に見つかった(図7)。N−末端から開始される配列は、次のようである。
図7のピークに対応するフラクションに見つかった性質および活性をさらに研究すると、3つのピーク7,8および9に対応するフラクションがそれぞれ1.2Iu/mg,1.7Iu/mgおよび0.95Iu/mgのエラスターゼ比活性を有することが明らかとなった。
国際単位(Iu)は、Iμmol/分、pH8.3および25℃でSAAAPの酵素加水分解を減少させるその量として定義される。
図7のピーク5に対応するフラクションは、興味があるように見えるという明白な理由で(一番大きいピークでるから)、エラスターゼ活性について試験された。その比活性は、0.06Iu/mgより以下であると判明したので、ピーク5に対応するフラクションは全く、あるいはほとんどエラスターゼ活性を含まないことになる。
しかし、さらにピーク5に対応するフラクションを分析すると、トリプシンを阻害する強い活性が明らかとなった。このトリプシン阻害活性は、少なくともピーク7,8および/または9に対応するフラクションの活性より20倍大きい。
トリプシン阻害は、大変有効な活性であるので、ピーク5のフラクションに存在するアミノ酸配列を分析した。ピーク7,8および9に対応するフラクションと同じようにLD−MSで分析したら、2つのペプチドの1:1混合物を見い出した。分析によって、分子量が5377.2および5435.5ダルトンであった。ペプチドの配列決定によって次の配列が明らかとなった。
2位と3位にある2重の残基は、前に述べた2つのペプチドの存在を示唆する。これらの物質は、FAHSIN T1/2と命名される。
a)フラクション8と同一の位置にシスティンがある、
b)すべてのシスティンがS−S架橋に関与する、と仮定してフラクション5(図7)のアミノ酸配列から分子質量5437および5387なる計算が導かれ、これは質量分析の結果とよく一致する。フラクション5のアミノ酸分析は、10〜20分の間に通常でない未知のピークを示す。これは、タンパク質物質であるかもしれないし、ないかもしれず、トリプシン又はプラスミンの阻害に関係のないある種の生物活性を有するかもしれないと推測される。
このトリプシン阻害剤の活性を決定するためにアッセイが開発された。エラスターゼ阻害アッセイと同様に、溶液の調整は次のようであった。トリプシンはII−S型大豆トリプシン阻害剤(sigma T 9128)およびBAPNA(Sigma B 3249)であった。これをさらに、トリプシン溶液120μg/ml,BAPNA溶液10mM,トリプシン阻害剤100μg/mlと最適化し、37℃でインキュベートを行った。他の細部は、エラスターゼ阻害アッセイと同一であった。
ピーク8のフラクション(そして可能な限り7および9)のペプチドと比較したとき、これら2つのペプチド中、残基の置換(重要な)を太字で印刷してある。これらの変化は、28位におけるLeuからArgへ、33位におけるAsnからLysへ、36位におけるAlaからGluへ、そしておそらく47位におけるSerからThrへである。ピーク8のフラクションのアミノ酸と比較して、これらフラクション5トリプシン阻害剤の長さは、1つのカルボキシ末端残基だけ減少して、合計50残基となっているだろう。
新規合成の方法
本発明に従う組成物の充分な量を得るために、公知の遺伝子操作技術を用いることができる。T.Sambrookら,分子クローニング,実験マニュアル,コールドスプリングハーバー出版,ニューヨーク,アメリカ合衆国、1989年を参照。公知の技術水準をなす4つのよく知られた方法が、このような組成物を合成するのに用いることができる。
第1に、種々のアミノ酸が付加される化学的付加手法、これはペプチド合成である(Merrisfieldを参照)。
第2に、本発明で定義されたアミノ酸配列に対応する塩基であるオリゴヌクレオチドを合成した後、このようなオリゴヌクレオチドを続いてプラスミドベクター系に組込み、これを有用な細菌または真菌のキャリヤーに入れ、生育させる。最後に、合成された分子を培養物から回収する。
第3に、CDNAライブラリの作成とハイブリダイゼーションも先行技術にある。Sambrookら、分子クローニング、実験マニアル、コールドスプリングハーバー出版、ニューヨーク、アメリカ合衆国、第7,8,11,16および17章を参照。このようなDNAライブラリーをこしらえた後、タンパク配列をコードするゲノムを検索する。その後で、公知の方法に従って、ゲノムを真核細胞、酵母、細菌中で発現させ、そしてタンパク質を多量に得ることができる。
第4に、タンパク質を産生する細胞を単一培養物中で培養することができ、そしてタンパク質は、それから誘導される。
HIV−阻害
Fahsinは、末梢血液単核細胞(PBMC)およびプライマリーマクロファージ中で、HIV−1そしてHIV−2単離株に対して活性があることが判った。
実験方法
健康なドナーからのフィトヘマグルチニン(PHA)で刺激したPBMCに2つの異なったHIV単離株(HIVAMS37およびHIVAMS55)を接種した。HIV単離株に2時間さらした後、接種物を取除き、連続した濃度のFashinを添加した。培地を週2回変え、新鮮なPMA刺激を行ったPBMCを毎週加えた。バフィーコートを常にウィルス汚染がないかスクリーンし、そして汚染物質について陰性のときのみ使用した。培養物中のウィルス産生は、p24−キャプチャELISAでHIVの核p24核タンパク質を検出してモニターした。培養物は、また細胞変性効果(融合細胞形成)の出現についてもモニターした。
2つのプライマリー融合細胞を誘起するHIV単離株の力価の高い接種を調製した。ストックの力価をTCID50アッセイで決定した。
細胞を単離した後2日間の間、プライマリ末梢血液白血球をIMDM(10%FCS,5g/mlプリブレン,PHA5g/ml,ペニシリン100IU/mlおよびストレプトマイシン100IU/mlを補足した)中で培養した。T−細胞芽球をさらにIMDM(10%FCS,プリブレン5g/ml,組換えIL−210U/ml,ペニシリン100IU/mlおよびストレプトマイシン100IU/ml)を補足した)中で培養した。
合計107のPHA刺激したPBMCをプライマリーHIV単離株の104のTCID50/mlで、1mlの体積、2時間、37℃で接種した。2時間後、細胞を全体積30ml中で洗浄した。遠心分離後、吸着されていないウィルスを取除くために上澄液を捨てた。続いて、細胞を106/mlの最終濃度に再懸濁した。
105細胞を含む各細胞懸濁液100μlを966ウェルの細胞培養プレートに移した。培養培地中、各ウェルに50μlを添加した後、ウェルの最終濃度が0.125μM,0.25μM,0.5μMそして1.0μMであるようにFahsinの希釈を行った。培地のみしか受取らなかった細胞を未処置対照培養とした。各濃度を4倍で分析した。細胞は、37℃,5%COの湿気を含んだ大気中、培養した。105の新鮮なPHA刺激したPBMCと培地の添加は7日目に行った。平行して、同じFahsinの濃度の新しい投与量を添加した。
対照
4日目と7日目に、融合細胞の存在で表されるHIV−誘起された細胞変性効果について培養物を分析した。7日目と14日目に、30μlの培養物上澄液を収穫し、p−24−抗原キャプチャ−ELISAでp−24抗原の存在を分析した。この目的のために、週2回、培養物から30μlのアリコートを収穫し、そして30μl 0.2%Triton−x−100を添加して不活性化した。この反応物15μlを2時間、37℃でコートした96ウェルのELISAプレートに添加したところ、抗−p−24抗体はすべてのHIV単離株を認識することが示された。抗原は、2時間37℃で結合することが許された。結合したp24は、ホースラディシュペルオキシターゼでラベルしたウサギー抗p24免疫グロブリンで検出した。それから、基質(TMB)を加え、そして20分後、反応を硫酸を添加することによって停止した。
結果は、図8a〜8dに示す。試験した物質に対応する2つのFahsin物質は次のとおりである。物質1:FahsinE1−4およびFahsinT1−2、物質2:「単離法の記載」というタイトルで記載されたヒル全体の抽出物。結果は両者の物質とも2つのプライマリ単離株HIVAMS37およびHIVAMS55の複製を阻害する効果を有することを示した。結果は下記のようにして到達した。
結果の計算
阻害%計算のために次式を使用した。
判定基準
もし下記の基準を満たせば、培養物を陽性と判定した。
「少なくとも1回以上上澄液中、上昇したp24抗原含量が観察されるとともに、少なくとも1回以上(培養物が週2回検査されたとき)融合細胞が観察された」。
融合細胞スコア
−:4つの複製培養物中のいづれにも融合細胞が観察されなかった。
±:4つの複製培養物中の1つに融合細胞が観察された。
+:4つの複製培養物中の2つに融合細胞が観察された。
++:4つの複製培養物中の3つに融合細胞が観察された。
+++:4つの複製培養物中の4つに融合細胞が観察された。
実験結果
HIV−1誘起された細胞変性効果(CPE),p−24抗原の産生および計算した阻害パーセントを物質1については、表1aおよび1bに、物質2については表1cおよび1dに示す。
p24産生のデータは、4つの複製培養物の平均を表す。102TCID50を接種した培養物は、ウィルス産生に関して陰性のままだった。
公知の分子との比較
分子(1)をデータバンクからの公知の分子と比較して次の結果が得られた。
Fahsin,Eglin(Seemueller),そしてGelin(PCT/NL90/46)の配列の間でホモロジーも同一のペプチド構造も見いだされなかった。
1.Hydra magnipapillataからのアンチスタシン(S29195)とは、29aa重なり中、15誘導体が同一(29.4%)である。
2.転換成長因子ベータ1結合タンパク質(A35626)とは、31aa重なり中、15誘導体が同一(29.4%)である。
3.ヒトFiburillin(L13923およびX63556)とは、52aaa重なり中、17誘導体が同一(33.3%)である。
4.ヒトLDLレセプタータンパク質前駆体(S02392)とは、29aa重なり中、10誘導体が同一(19.6%)である。
5.マウス・アルファ−2−マクログロブリンレセプター(S25111)とは、29aa重なり中、10誘導体が同一(19.6%)である。
6.ヒトVLDLレセプター(D16493およびD16494)とは、11aa重なり中、7誘導体が同一(13.7%)である。
7.ヒト・アルファ−2−マクログロブリンレセプター(S30027)とは、29aa重なり中、10誘導体が同一(19.6%)である。
8.ヒト・トロンボスポンディン(A26155)とは、48aa重なり中、12誘導体が同一(23.5%)である。
9.抗凝血タンパク質Ghilanten(H.Ghilianii)(A34816)とは、46aa重なり中、16誘導体が同一(31.4%)である。
10.
11.ヒト補体プローC3前駆体(A37156)とは、25aa重なり中、10誘導体が同一(19.6%)である。
12.C型肝炎ウィルスmRNA(M96362)とは、17aa重なり中、8誘導体が同一(15.7%)である。
13.Haementeria officinalis(A34398,S13904)からのアンチスタシンとは、47aa重なり中、17誘導体が同一(33.3%)である。
FahsinE2分子の安定性
a) 水中、100℃で30分間沸騰させ、
b) 50%酢酸中、室温で一晩つけ、そして
c) 同一条件で、0.1M塩酸につける、以上のようにして分子の安定性を試験した。
試料を続いて、阻害剤なしのブランクと同様に、エラスターゼ阻害アッセイで調べた。
試料中、阻害活性の顕著な減少を示さなかった。したがって、この分子は高温および強酸による分解に対して極めて耐性があることが結論された。
可能な活性部位
活性部位の確率を推定するために、データベースを検索した。構造の予測は、次のような結果であった。すなわち、ヘリカル配座なし、15.6%が伸びた配座であり、84.3%がコイル状の配座である。
ほとんどのセルピン(むき出しになった結合ループ)で常であるように、予測されたベータターンが活性部位らしかった。残基28が最もむき出しになっており、このような延びた配座では、Aa28〜32が最も高い確率がある。エラスターゼ阻害剤は、しばしばP4′位にProがあり、一方、トリプシン阻害剤は、P1位にArgがあることが知られている。暫定的に、活性部位は、Leu/Arg28にあると結論した。
提案された活性部位を含む合成ペプチドを製造すると、下記のような証拠が得られた。
エラスターゼ阻害剤として、残基23〜38を模倣する、合成線形ペプチド,N−アセチル−TPIRAbuLIFAbuPNGFAVD−アミド(I)、そしてトリプシン阻害剤として、残基23〜38を模倣する合成線形ペプチド,N−アセチル−TPIRAbuRIYAbuPKGFEVD−アミド(II)を、C末端からN末端まで、10molのスケールで固相FMOC法を用いて合成した。粗ペプチドを、数回エーテル沈殿によって精製する。10mgの部分的に精製されたA15−merが得られる。この10mgのうち、7mgの一部は、ペプチド物質からなり、そのうち少なくとも50%が所望の全長を有する製造物で、3mgが塩で、残りが溶剤(ほとんど水)である。
最終製造物の品質は、配列合成、アミノ酸分析LD−MSおよびRP−HPLCでチェックした。
合成ペプチドI(エラスターゼ阻害剤)は、用量に依存するエラスターゼ活性の阻害を示す。比有効度は、天然分子の約5000分の1以下であり、これは活性部位と合成ペプチドの高い効率の両方を示している。
合成ペプチドII(トリプシン阻害剤)は、用量に依存するトリプシン活性の阻害を示す。比有効度は、天然の分子の約1500分の1以下であり、これは活性部位と合成ペプチドのより高い効率の両方を示している。
活性の範囲
Fahsin E1−4は、ヒト好中球エラスターゼ、膵臓エラスターゼ,キモトリプシンの阻害剤として活性が強いが、ペプシンの阻害剤ではないことがわかった。Fahsin T1−2は、トリプシンとプラスミンの阻害剤として活性が強いことがわかった。Fahsinは、Aeromonas種に対して強い抗菌性を有することがわかった。Fahsinのエラスターゼ阻害活性は、合成基質N−スクシニル−(Ala)−p−ニトロアニリド(SAAAP)(Colbiochem)から、膵臓エラスターゼおよびヒト好中球エラスターゼの触媒作用をうけて、p−ニトロアニリドの放出を阻害するのを測定した。Fahsinのキモトリプシン阻害活性は、合成基質S−2586(Kab;Vitrum)を用いて測定した。Fahsinのトリプシン活性は、合成基質S−2238(Kab;Vitrum)を用いて測定した。Fahsinのペプシン活性は、ヘモグロビン基質を用いて測定した。トリプシン阻害活性は、BAPNAアッセイを用いて決定した。Fahsinのプラスミン阻害活性は、トリプシンの阻害活性に関連があった。そして色素産生基質D−Val−Leusyl−Lys−pNA(Othodiagostics)を用いて測定した。
Fahsinは、PBMCおよびプライマリーマクロファージ中でのHIV−1およびHIV−2の複製に対して活性があることもわかった。阻害は、健康なドナーからのPBMCにHIV単離株HIVAms37およびHIVAms55を接種することによって実験的に達成した。
阻害は、種々なFahsin物質を連続希釈して加えた培養物にHIV−誘起された細胞変性効果が起こることにより、またはp24抗原キャップチャ4pELISAによって検出した。
Fahsinは、フィブリンを溶解することも見い出された。これは、ウシフィブリノーゲン(Miles 82−0222−4)で接種され安定なフィブリンクロットを残したウシトロンビン(SigmaT 6634)を用いて測定した。この血餅をタンパク質とインキュベーションした後、遊離されたタンパク質を続いて測定した。生まれたヒルが血餅を溶解する潜在力の肉眼での観察とこれは一致する。
Fahsinは、有効なトロンビン阻害剤であることもわかった。この活性は、以前に報告されたフィブリノーゲンに対してのトロンビンの凝血活性の阻害を測定することによって決定した(Markwardt,1970年)。
このヒルの驚くべき生態から観察されたように、L niloticaからのすべての物質Fahsinは、抗原作用の可能性は低い。したがって、ここに記載されたようにL niloticaからの天然分子そして未だ決定されつつあるL niloticaからの天然分子、同様にこれらの天然分子の天然型および合成型のミミック(模倣体)を治療に用いると、低い免疫原性を示すだろう。
参考文献
Claims (7)
- 下記のアミノ酸配列:
DDNCGGKVCSKGQLCHDGHCECTPIRCLIFCPNGFAVDENGCELPCSCKHQ
または1つの通常のアミノ酸置換を含む前記配列を含んでなることを特徴とするLimnatis Niloticaから得られるプロテアーゼ阻害活性を有する物質であって、エラスターゼを阻害することを特徴とする物質。 - 請求項1に記載の物質を含むことを特徴とする治療薬。
- 請求項1に記載の物質と、適当な賦形剤とを一緒に含んでなることを特徴とする薬学的組成物。
- 請求項1に記載の物質をコードすることを特徴とする核酸分子。
- 請求項4記載の核酸と、適当な発現制御因子とを一緒に含んでなることを特徴とする発現ベクター。
- 請求項5記載の発現ベクターと宿主細胞とを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の物質を発現するための発現系。
- 請求項1に記載の物質を特異的に認識することを特徴とする抗体。
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