JP4276165B2 - 省燃費管理システム - Google Patents

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Description

本発明は、トラック等の車両に使用されて好適な省燃費管理システムに関する。
従来、例えば、トラック等の車両に使用される省燃費管理システムは、主に2つの種類に大別することができよう。1つは、各種センサからの信号に基づいて車載解析装置が車速、エンジン回転数、燃料流量等のデータをメモリに蓄積する。このメモリに蓄積された各種データを、走行終了後に運転者、運行管理者等がメモリカード等の記憶媒体に記憶させる。そして、このメモリカード等に記憶させた走行データを、事業所あるいは車両メーカに用意された事業所解析装置に入力し、そのデータに基づいて走行状態の詳細な分析を行うものである。
運行管理者は、この詳細データに基づいて予め設定された車速、エンジン回転数、燃料流量等の所定警告値に対し、各運転者がどのような運転を行っているかの管理を行なうことができると共に、運転者は自らの運転状態を客観的な解析データから知ることができ、更なる安全及び省燃費運転に努めようとするものである(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、このシステムは事業所解析装置の導入にコストを要し、小規模事業者が採用することが難しいという問題がある。
もう1つの省燃費管理システムは、いわば簡易省燃費管理システムと言えるもので、車載解析装置が車速、エンジン回転数等を監視し、これらが所定警告値を超えた場合に、運転者にブザー又は擬似音声(以下、ブザー等ともいう)による警告を行なうものである。したがって、運転者は自己の運転状態を、警告という形でその場で知ることができ、直ちに運転を是正することができる。
また、この所定警告値を超えた時間や回数はメモリに記憶され、必要により、運行管理者は、その超過時間や超過回数を事業所や車両メーカの事業所解析装置を介して知ることができ、それにより省燃費管理及び運転者への支援を行うこともできる(例えば、特許文献3及び4参照)。この簡易省燃費管理システムは、車載解析装置だけで構成することもでき、コスト的にも小規模事業者が極めて採用しやすいものとなっており、今後の発展が大いに期待されるものである。
特開平10−69555号公報(第5−12頁、第1−3図) 特開2003−115065号公報(第5−7頁、第1−2図) 実開平4−110924号公報(第1頁、第1−3図) 特開2000−87776号公報(第3−6頁、第1−5図)
上述の従来の簡易省燃費管理システムにおいては、運転者は自らの運転状態をその場でブザー等による警告という形で知ることができる一方、車載解析装置は所定警告値を超えた時間や回数を記憶し、必要により、運行管理者への報告がなされる。このため、運転者は自らの運転状態をその場で是正する間もなく、警告の発生がそのまま運行管理者へ報告される。したがって、管理される運転者側において精神的負担が極めて大きくなり、省燃費管理及び運転者への支援を円滑に行なうことができないという問題が生じている。
また、上述の従来の簡易省燃費管理システムにおいては、車載解析装置が車速、エンジン回転数等を監視し、これらが所定警告値を超えた場合に、運転者にブザー等による警告を行なう。しかしながら、この所定警告値の設定変更を行なうためには、車載解析装置を一旦車両から取り外し、それを事業所や車両メーカに送って変更するか、あるいは、予めこの所定警告値を記憶させたメモリカードを介して車載解析装置の所定警告値の設定変更を行っている。したがって、車載解析装置に記憶させた車速等の所定警告値の設定変更を迅速かつ容易にはできず、省燃費管理及び運転者への支援を円滑に行なうことができないという問題がある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、警告に対する運転者側の精神的負担を軽減することができ、省燃費管理及び運転者への支援を極めて円滑に行なうことができる省燃費管理システムを提供することを課題とする。
また、車載解析装置に記憶させた車速等の所定警告値等の所定警告条件を迅速かつ容易に設定変更することができ、省燃費管理及び運転者への支援を極めて円滑に行なうことができる省燃費管理システムを提供することを課題とする。
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の走行状態に関する情報として車速とエンジン回転数と燃料流量とを検出する情報検出手段と、情報検出手段が検出した情報を処理すると共に車速とエンジン回転数と燃料流量とエンジン回転数が警告発生条件を満たしたときに警告を発生する情報処理手段と、情報処理手段がカウントしたカウント値を記憶する情報記憶手段とを車両上に備えた省燃費管理システムにおいて、警告発生条件は、エンジン回転数が所定警告値を超えたとき、かつ、車速が所定設定値以下の場合又は車速が所定設定値を超え且つ車速が所定設定値を超えている時間が所定設定時間以下の場合にはさらに燃料流量が所定設定値を超えているときであり、情報処理手段は、警告発生条件が満たされている時間が所定設定時間を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値を情報記憶手段に記憶させることを特徴とする
又は、上述の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、車両の走行状態に関する情報として車速とアクセル開度とを検出する情報検出手段と、情報検出手段が検出した情報を処理すると共に車速とアクセル開度が警告発生条件を満たしたときに警告を発生する情報処理手段と、情報処理手段がカウントしたカウント値を記憶する情報記憶手段とを車両上に備えた省燃費管理システムにおいて、警告発生条件は、車速が所定警告値を超えたとき、かつ、車速が所定設定値を超えている場合にはアクセル開度が所定設定値を超えたときであり、情報処理手段は、警告発生条件が満たされている時間が所定設定時間を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値を情報記憶手段に記憶させることを特徴とする
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明において、警告発生条件は、車速が所定警告値を超えたとき、かつ、車速が所定設定値を超えているときであってかつ車速が所定設定値を超えている時間が所定設定時間を超えているとき、かつ、アクセル開度が所定設定値を超えたときであることを特徴とする
このように、警告の発生と同時に警告の発生をカウントしてそのカウント値を情報記憶手段へ記憶させるのではなく、警告を一旦運転者に与えた後に、なおかつその警告発生条件を満たすような運転を所定設定時間を超えて継続した場合に、始めて超過の発生のカウント値を情報記憶手段へ記憶させるようにすることにより、運転者に精神的負担を感じさせずに、自己の運転を是正する機会を与えることができる。
特に、車速が所定設定値以下の場合、又は車速が所定設定値を超え且つ車速が所定設定値を超えている時間が所定設定時間以下の場合、例えば一般道路を走行している場合などには、エンジンブレーキを作動させたとき、エンジン回転数が高まり所定警告条件を満たしたとしても、エンジンは最低燃料噴射状態にあるから、燃費を悪化させることにはならない。したがって、このような場合に運転者への警告等を行なう必要はなく、無用な警告を回避することにより、運転者へ与える不快感を排除することができる。
この一方、特に、車速が所定警告値を超えたときや、車速が所定設定値を超えているときであってかつ車速が所定設定値を超えている時間が所定設定時間を超えているとき、例えば高速道路を走行している場合などには、下り坂走行時に、下り勾配により車速が高まり警告発生条件を満たすようになっても、アクセル開度が小さければ実際の燃料噴射量は少ないから、燃費を悪化させることにはならない。したがって、このような場合に運転者への警告等を行なう必要はなく、無用な警告を回避することにより、運転者へ与える不快感を排除することができる。
また、車速に応じて異なる処理を行なうのは、例えば高速道路走行中に、前車との車間距離が適切でないとあわてて減速し、再び加速して前車に追いつくということを繰り返すことがある。このような運転を波状運転というが、この波状運転は安全上の問題があると共に、特に高速道路走行における燃費悪化の最大要因になっている。このように、例えば一般道路走行と高速道路走行とでは、省燃費管理の視点が異なり、それに伴って燃費解析に必要な情報も異なる。このため、それぞれの情報ごとに省燃費管理を的確に行なうためである。
請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、エンジン回転数の所定警告値を変更することができる設定器を車両上に備えたことを特徴とする
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項2又は3に記載の発明において、車速の所定警告値を変更することができる設定器を車両上に備えたことを特徴とする。
このように、エンジン回転数の所定警告値や車速の所定警告値を変更することができる設定器を車両上に備えることにより、これらの所定警告値の設定変更を行なう場合に、車載解析装置を一旦車両から取り外し、それを事業所や車両メーカに送って設定変更したりする必要がなくなる。
請求項6に記載の発明は、上記請求項1又は4に記載の発明において、車両は、車速を所定速度以下に自動調整するスピードリミッタをさらに備え、情報検出手段は、アクセル開度をさらに検出し、情報処理手段は、アクセル開度が所定警告値を超えたときに、スピードリミッタが作動していないことを条件として警告を発生すると共にアクセル開度が所定警告値を超えている時間が所定設定時間を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値をさらに情報記憶手段に記憶させることを特徴とする
また、請求項7に記載の発明は、上記請求項2,3,5のいずれかに記載の発明において、車両は、車速を所定速度以下に自動調整するスピードリミッタをさらに備え、情報処理手段は、アクセル開度が所定警告値を超えたときに、スピードリミッタが作動していないことを条件として警告を発生すると共にアクセル開度が所定警告値を超えている時間が所定設定時間を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値をさらに情報記憶手段に記憶させることを特徴とする。
スピードリミッタの作動時には、運転者がアクセルを踏み込みアクセル開度が過大となっても、スピードリミッタによって燃料が所定速度に応じた噴射量を超えて噴射されることはない。したがって、アクセル開度に関する運転者への警告等はスピードリミッタが作動していないときに行えばよい。これにより、無用な警告を回避することにより、運転者へ与える不快感を排除することができる。
請求項8に記載の発明は、上記請求項1ないし7のいずれかに記載の発明において、車両上に設定器をさらに備え、情報処理手段は、警告の発生の有無を切替えることができる切替機能を有し、設定器は、切替機能を不機能から機能へ設定変更できることを特徴とする
車両の走行状態によっては、運転者が警告を発生させないように切り替えることができるようにしておくことも必要である。しかしながら、運転者がその切替えを自由に行なうことができるとすると、適切な省燃費管理ができなくなる恐れが生じる。このため、運行管理者等が設定器によってこの切替えを可能に設定したときに、始めて運転者が警告の発生の無しへ切り替えることができるようにすることにより、そのような恐れを確実に排除することができる。
本発明の省燃費管理システムは、車両の走行状態に関する情報として車速とエンジン回転数と燃料流量とを検出する情報検出手段と、情報検出手段が検出した情報を処理すると共に車速とエンジン回転数と燃料流量とエンジン回転数が警告発生条件を満たしたときに警告を発生する情報処理手段と、カウント値を記憶する情報記憶手段とを車両上に備えた省燃費管理システムにおいて、警告発生条件は、エンジン回転数が所定警告値を超えたとき、かつ、車速が所定設定値以下の場合又は車速が所定設定値を超え且つ車速が所定設定値を超えている時間が所定設定時間以下の場合にはさらに燃料流量が所定設定値を超えているときであり、情報処理手段は、警告発生条件が満たされている時間が所定設定時間を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値を情報記憶手段に記憶させる。
したがって、警告に対する運転者側の精神的負担を軽減することができ、省燃費管理及び運転者への支援を極めて円滑に行なうことができるという優れた効果を奏する。
本発明の省燃費管理システムは、車両の走行状態に関する情報として車速とアクセル開度とを検出する情報検出手段と、情報検出手段が検出した情報を処理すると共に車速とアクセル開度が警告発生条件を満たしたときに警告を発生する情報処理手段と、カウント値を記憶する情報記憶手段とを車両上に備えた省燃費管理システムにおいて、警告発生条件は、車速が所定警告値を超えたとき、かつ、車速が所定設定値を超えている場合にはアクセル開度が所定設定値を超えたときであり、情報処理手段は、警告発生条件が満たされている時間が所定設定時間を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値を情報記憶手段に記憶させる。
したがって、警告に対する運転者側の精神的負担を軽減することができ、省燃費管理及び運転者への支援を極めて円滑に行なうことができるという優れた効果を奏する。
本発明に係る省燃費管理システムを実施するための最良の形態を、図1ないし図19を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、トラック等の車両に搭載される車載解析装置1は、解析装置本体2と、車速センサ11等の各種情報検出手段と、設定器21とを有する。解析装置本体2は、情報を処理するCPU(情報処理手段)3、CPUにより処理された処理情報を記憶するメモリ(情報記憶手段)4、CPUからの指令によりブザー又は擬似音声による警告を行なうスピーカ5、メモリに記憶された情報を出力する車載プリンタ6、そのときのアクセル開度Aを運転者に視覚的に知らせるためのアクセル表示器7を有する。なお、車載プリンタ6は、解析装置本体2から分離して別置きとしてもよい。また、警告はスピーカ5によるのではなく、ランプ点灯によって行なうこともできる。
車両にECU10が搭載され、このECU10がいずれも情報検出手段である車速センサ11、エンジン回転数センサ12、アクセル開度センサ13、燃料流量センサ14、補助ブレーキ作動部15と電気的に接続されている場合には、ECU10と解析装置本体2とを電気的に接続する。一方、車両がECU非搭載車の場合には、図2に示すように、いずれも情報検出手段である車速センサ16、エンジン回転数センサ17、アクセル開度センサ18、燃料流量センサ19を配設し、これらと解析装置本体2とを電気的に接続する。また、補助ブレーキ作動部(情報検出手段)20と解析装置本体2とを電気的に接続する。
上述の補助ブレーキ作動部15,20からは、補助ブレーキの使用状態がECU10を介して又は直接、解析装置本体2へ入力される。この補助ブレーキとは、例えばトラック等では、排気ブレーキ、リターダ等に代表されるものであるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
図1に示すように、設定器21は、各セレクタスイッチ22により、例えば、後述するアクセル開度Aの所定警告値A1 ,A2 及び所定設定時間T11, T26、アクセル開度変動dAの所定警告値dA2 及び所定設定時間T22、エンジン回転数Eの所定警告値E1 及び所定設定時間T12、車速Sの所定警告値S2 及び所定設定時間T21、車速変動dSの所定警告値dS2 及び所定設定時間T23、トップギア不使用の所定警告時間Tt2及び所定設定時間T24、補助ブレーキ使用率Bの所定警告値B2 及び所定設定時間T25、アイドリングの所定警告時間Ti3及び所定設定時間T31等を設定変更することができる。
また、後述するように、車載プリンタ6からは必要なリポートを定時毎に出力させることができるが、この定時出力の有無等の設定変更等、その他の種々の設定を行うことができる。各種設定は、設定変更スイッチ23を押すことにより、解析装置本体2へ送られる。
車載プリンタ6からは、種々のリポートを出力することができる。ここでは、代表的な3例について説明する。図3は、警告設定リポート41を示す。警告設定リポート41は、必要により、任意の時刻に出力させることができる。この警告設定リポート41には、例えば、エンジンのシリンダ数42、エンジン定格出力回転数43、車速Sの所定警告値(所定警告条件)S2 44、エンジン回転数Eの所定警告値(所定警告条件)E1 45、アクセル開度Aの所定警告値(所定警告条件)A1 ,A2 46、アイドリング経過時間Ti の所定警告時間(所定警告条件)Ti3 47、車速Sの超過時間Ts2に対する所定設定時間T21 48、エンジン回転数Eの超過時間Te に対する所定設定時間T12 49、車載プリンタ6の作動状態表示50、警告の作動状態表示51が表示される。
その他、必要により、アクセル開度Aの超過時間Ta1,Ta2に対する所定設定時間T11, T26、アクセル開度変動dAの所定警告値(所定警告条件)dA2 やその超過時間Tdaに対する所定設定時間T22、車速変動dSの所定警告値(所定警告条件)dS2 やその超過時間Tdsに対する所定設定時間T23、トップギア不使用経過時間Tt の所定警告時間(所定警告条件)Tt2やその経過時間Tt に対する所定設定時間T24、補助ブレーキ使用率Bの所定警告値(所定警告条件)B2 やその超過時間Tb に対する所定設定時間T25、アイドリング経過時間Ti に対する所定設定時間T31等を表示させてもよい。
このように、設定器21により設定変更されたアクセル開度Aの所定設定時間T11等を車載プリンタ6から出力することができるから、この設定変更された所定設定時間T11等を、車両上で直ちに印字された形で正確に確認することができる。
図4は、定時リポート61を示す。定時リポート61は、設定により一定時間毎に自動的に出力され、特に重要なパラメータに関する超過回数を、運転者に繰り返し認識させるためのものである。定時リポート61には、印字日時62、後述する車速Sについての超過回数63、アクセル開度Aについての超過回数64、エンジン回転数Eについての超過回数65、アイドリング経過時間Ti についての超過回数66が表示される。
図5は、超過集計リポート71を示す。超過集計リポート71は、必要により、任意の時刻に出力させることができる。超過集計リポート71には、集計開始時刻72、集計終了時刻73、車速Sについての超過回数74、アクセル開度Aについての超過回数75、エンジン回転数Eについての超過回数76、アイドリング経過時間Ti についての超過回数77、累積走行距離78、燃料消費量79、燃料消費率80、後述するアクセル開度ゼロ状態かつ補助ブレーキ不使用での累積走行距離TLの全累積走行距離に対する走行比率81が、それぞれ表示される。
CPU3が、例えば、車速センサ11が検出する車速S、燃料流量センサ14が検出する燃料流量F等に基づいて、上述の累積走行距離78及び燃料消費量79を算出し、この累積走行距離78と燃料消費量79とから、上述の燃料消費率80を算出する。その他、アクセル開度変動dAについての超過回数、車速変動dSについての超過回数、トップギア不使用についての超過回数、補助ブレーキ使用率Bについての超過回数等を表示させてもよい。
上述の警告設定リポート41及び超過集計リポート71は、図1に示す解析装置本体2の設定確認スイッチ8a及び印字スイッチ8bをそれぞれ押すことにより、任意時に車載プリンタ6から出力することができる。また、解析装置本体2のメモリ4に記憶された各種処理情報は、メモリカード31を介して、事業所や車両メーカ等に備えられた事業所解析装置32に送ることができ、この事業所解析装置32により、詳細な分析を行なうこともできる。
図19に示すように、上述の車載解析装置1では、運転者等が解析装置本体2の警告切替えスイッチ8cを切り替えることにより、ブザー又は擬似音声等による警告の音量等を大、中、小の3段階に切り替えることができる。図1に示す警告切替えスイッチ8cは押しボタン方式であり、1回押すごとに警告の音量等を大から中へ、また中から小へ順次変えることができる。
また、運転者が警告切替えスイッチ8cを押すことにより、ブザー又は擬似音声等による警告を発生させないようにすることもできる。これは、車両の走行状態によっては、運転者が警告を発生させないように切り替えることができるようにしておくことも必要なためである。ただし、運転者が警告の発生の無しへ切り替えることができるのは、予め運行管理者等が設定器21の警告設定スイッチ24を操作して、警告の発生の無しへの切替えを可能に設定しておいた場合に限られる。
これは、運転者が警告の発生の有無の切替えを自由に行うことができるとすると、適切な省燃費管理ができなくなる恐れがあるためである。すなわち、運行管理者等が設定器21を用いてこの切替えを可能に設定したときに、始めて運転者が警告の発生の無しへ切り替えることができるようにしておくことにより、そのような恐れを確実に排除することができる。
次に、本省燃費管理システムによる警告モニタリングについて、図6ないし図17を参照して説明する。
図6に示すように、CPU3は、エンジン回転数センサ12,17が検出したエンジン回転数Eを読み込み(ステップS2)、エンジン回転数Eがゼロを超えているか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の判定結果が否定(No)の場合、すなわちエンジンが停止している場合には、状態認知の初期化を行なう(ステップS6)。ステップS4の判定結果が肯定(Yes)の場合、すなわちエンジンが作動している場合には、さらに車速センサ11,16が検出した車速Sを読み込み(ステップS8)、車速Sがゼロを超えているか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10の判定結果が肯定の場合、すなわち車両が走行状態の場合には、図7に示す走行処理を実行する(ステップS12)。
ステップS10の判定結果が否定の場合、すなむち車両が停止状態の場合には、図17に示すアイドリング処理を実行する(ステップS14)。状態認知の初期化(ステップS6)又は走行処理(ステップS12)又はアイドリング処理(ステップS14)を実行した後、電源がOFFであるか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16の判定結果が否定の場合には、再びステップS2以降を繰り返す。ステップS16の判定結果が肯定の場合には、警告モニタリングを終了する。
図7に示すように、走行処理は次のように実行される。CPU3は、ステップS8で読み込んだ車速Sが、車両が高速道路走行をしているか否かを判別するために設定された車速Sの所定設定値So を超えているか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20の判定結果が否定の場合、すなわち車速Sが所定設定値So 以下の場合には、図8及び図9に示す一般道路処理を実行する(ステップS22)。
ステップS20の判定結果が肯定の場合には、さらに車速Sが所定設定値So を超えた超過時間Ts0を検出し(ステップS24)、この超過時間Ts0が、車両が連続高速走行をしているか否かを判別するために設定された所定設定時間T01を超えたか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26の判定結果が肯定の場合には、図10ないし図12に示す高速道路処理I、又は、図13ないし図16に示す高速道路処理IIを実行する(ステップS28)。ステップS26の判定結果が否定の場合には、車両は連続高速走行をしていないと判定して、ステップS22の一般道路処理を実行する。これにより、走行処理を終了する。
図8に示すように、図7の一般道路処理は、CPU3が、一般道路処理情報として処理する車速S、エンジン回転数E、アクセル開度A、アイドリング経過時間Ti を用いて、次のように実行される。車速Sを所定速度以下に自動調整可能なスピードリミッタを備えている車両においては、CPU3は、そのスピードリミッタの作動信号を検出し、スピードリミッタが作動しているか否かを判定する(ステップS100)。例えば、スピードリミッタの作動信号は、ECU10から容易に入手することができる。
ステップS100の判定結果が肯定の場合、すなわちスピードリミッタが作動している場合には、図9に示すステップS112以降の処理を実行し、ステップS101ないし110の処理は実行しない。これは、スピードリミッタの作動時には、運転者がアクセルを踏み込みアクセル開度が過大となっても、スピードリミッタによって燃料が所定速度に応じた噴射量を超えて噴射されることがないためである。したがって、アクセル開度Aに関する運転者への警告等は、スピードリミッタが作動していないときに行えばよい。これにより、無用な警告の発生によって運転者へ与える不快感を排除することができる。なお、スピードリミッタが作動しているときにも、アクセル開度Aに関する運転者への警告等を行うこともできる。
ステップS100の判定結果が否定の場合、すなわちスピードリミッタが作動していない場合には、CPU3は、アクセル開度センサ13,18が検出したアクセル開度Aを読み込み(ステップS101)、アクセル開度Aが、アクセルの過剰な踏み込みを行っているか否かを判別するために設けられた所定警告値A1 を、超えているか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102の判定結果が肯定の場合、すなわち運転者がアクセルの過剰な踏み込みを行っていると判定した場合には、運転者に対しスピーカ5からブザー等による警告を行なう(ステップS104)。
次に、CPU3は、アクセル開度Aが所定警告値A1 を超えている超過時間Ta1を検出し(ステップS106)、この超過時間Ta1が所定設定時間T11を超えているか否かを判定する(ステップS108)。ステップS108の判定結果が肯定の場合、すなわちステップS104の警告を行なった後も、運転者がさらにアクセルの過剰な踏み込みを継続した場合には、メモリ4に超過カウント値(超過の発生)を加算し、その累積超過回数及び累積超過時間を記憶させる(ステップS110)。
一般道路走行においては、特にアクセル開度Aが燃費に大きく影響する。したがって、このアクセル開度Aに基づく警告や超過の発生を記憶させることにより、省燃費管理を的確に行なうことができる。なお、スピードリミッタを装備していない車両においては、上述のステップS100の判定を行うことなく、ステップS102ないしS110を実行すればよい。
上述のステップS102の判定結果が否定の場合、すなわちアクセル開度Aが所定警告値A1 以下であり、運転者がアクセルの過剰な踏み込みを行っていないと判定した場合、及び、上述のステップS108の判定結果が否定の場合、すなわち上述の超過時間Ta1が所定設定時間T11以下であり、運転者が警告に応じてアクセルの過剰な踏み込みを中止したと判定した場合、及び、ステップS110によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合には、図9に示すように、CPU3は、ステップS2で読み込んだエンジン回転数Eが、燃費を悪化させる回転数になっているか否かを判別するために設けられた所定警告値E1 を、超えているか否かを判定する(ステップS112)。
ステップS112の判定結果が肯定の場合、すなわち運転者が燃費を悪化させるようなエンジン回転数Eで走行していると判定した場合には、CPU3は、燃料流量センサ14,19が検出した燃料流量Fを読み込み(ステップS114)、燃料流量Fが車両走行時の最低噴射に係る所定設定値Fo を超えているか否かを判定する(ステップS116)。
ディーゼルエンジン車においては、車両走行時の最低燃料噴射量はアクセルを戻したときのゼロであるから、この所定設定値Fo はゼロに極めて近い数値で設定される。ここで、所定設定値Fo をゼロとしないのは、実際の燃料噴射はゼロであっても、燃料流量センサ14,19による計測ではゼロを表示しないことがしばしば発生するためである。また、ガソリンエンジン車においては、車両走行時にアクセルを戻したときにも一定量の燃料噴射があるから、所定設定値Fo はこの燃料噴射量に近い数値で設定される。
ステップS116の判定結果が肯定の場合には、上述のステップS104〜S110と同様に、運転者への警告(ステップS118)、エンジン回転数が所定警告値E1 を超えた超過時間Te の検出(ステップS120)、この超過時間Te が所定設定時間T12を超えたか否かの判定(ステップS122)、ステップS122の判定結果が肯定の場合のメモリ4への超過カウント値の加算(ステップS124)を実行する。これにより、累積超過回数及び累積超過時間がメモリ4に記憶される。
ステップS112の判定結果が否定の場合、すなわちエンジン回転数Eが所定警告値E1 以下であり、燃費を悪化させるような回転数になっていないと判定した場合、及び、ステップS116の判定結果が否定の場合、すなわち燃料流量Fが車両走行時の最低噴射に係る所定設定値Fo 以下である場合、及び、ステップS122の判定結果が否定の場合、すなわち上述のエンジン回転数Eの超過時間Te が所定設定時間T12以下であり、運転者が警告に応じてエンジン回転数Eを抑えたと判定した場合、及び、ステップS124によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合には、一般道路処理を終了する。
この一般道路処理において、燃料流量Fが車両走行時の最低噴射に係る所定設定値Fo を超えている場合にだけ、エンジン回転数Eについての警告等を行なうようにしたのは、例えば、エンジンブレーキ作動時は、エンジン回転数Eが高まり所定設定値E1 を超えたとしても、エンジンは最低燃料噴射状態にあるから、燃費を悪化させることにはならないためである。したがって、このような場合に運転者への警告等を行なう必要はなく、無用な警告を回避することにより、運転者へ与える不快感を排除することができる。
図10に示すように、図7の高速道路処理Iは、CPU3が、高速道路処理情報として処理する車速S、アクセル開度変動dA、車速変動dS、トップギア不使用経過時間Tt2、補助ブレーキ使用率Bを用いて、次のように実行される。CPU3は、後の処理のため、まず、アクセル開度センサ13,18が検出したアクセル開度Aを読み込む(ステップS200)。次に、ステップS8で読み込んだ車速Sが、燃費を悪化させる車速で走行しているか否かを判別するために設けられた所定警告値S2 を、超えているか否かを判定する(ステップS202)。
ステップS202の判定結果が肯定の場合、すなわち運転者が燃費を悪化させるような車速で走行していると判定した場合には、ステップS200で読み込んだアクセル開度Aが所定設定値Ao を超えているか否かを判定する(ステップS203)。ステップS203の判定結果が肯定の場合には、運転者に対しスピーカ5からブザー等による警告を行なう(ステップS204)。
次にCPU3は、車速Sが所定警告値S2 を超えている超過時間Ts2を検出し(ステップS206)、この超過時間Ts2が所定設定時間T21を超えたか否かを判定する(ステップS208)。ステップS206の判定結果が肯定の場合、すなわちステップS204の警告を行なった後も、運転者が所定設定時間T21を超えてアクセルの過剰な踏み込みを継続した場合には、メモリ4に超過カウント値を加算し、その累積超過回数及び累積超過時間を記憶させる(ステップS210)。
このように、アクセル開度Aが所定設定値Ao を超えているときにだけ車速Sに関する警告を行なうのは、例えば、高速道路の下り坂走行時には、下り勾配により車速Sが所定警告値S2 を超えても、アクセル開度Aが小さければ実際の際の燃料噴射量は少ないから、燃費を悪化させることにはならないからである。したがって、このような場合に運転者への警告等を行なう必要はなく、無用な警告を回避することにより、運転者へ与える不快感を排除することができる。
ステップS202の判定結果が否定の場合、すなわち車速Sが所定警告値S2 以下であり、運転者が燃費を悪化させるような車速では走行していないと判定した場合、及び、ステップS203の判定結果が否定の場合、すなわちアクセル開度Aが所定設定値Ao 以下である場合、及び、ステップS208の判定結果が否定の場合、すなわち上述の超過時間Ts2が所定設定時間T21以下であり、運転者が警告に応じて燃費を悪化させる車速での走行を中止したと判定した場合、及び、ステップS210によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合には、次にCPU3は、ステップS200で読み込んだアクセル開度Aから、一定微小時間ΔTにおけるアクセル開度の変動量ΔAを求め、次式(1)によりアクセル開度変動dAを算出する(ステップS212)。
dA=ΔA/ΔT・・・(1)
CPU3は、このアクセル開度変動dAが、アクセルの過剰な変動を行っているか否かを判別するために設けられた所定警告値dA2 を超えているか否かを判定する(ステップS214)。ステップS214の判定結果が肯定の場合、すなわち運転者がアクセルの過剰な変動を行っていると判定した場合には、上述のステップS202〜S208と同様に、運転者への警告(ステップS216)、アクセル開度変動dAが所定警告値dA2 を超えている超過時間Tdaの検出(ステップS218)、この超過時間Tdaが所定設定時間T22を超えたか否かの判定(ステップS220)、ステップS220の判定結果が肯定の場合のメモリ4への超過カウント値の加算(ステップS222)を実行する。累積超過回数及び累積超過時間がメモリ4に記憶される。
高速道路走行においては、特にアクセル開度変動dAが燃費に大きく影響する。したがって、このアクセル開度変動dAに基づく警告や超過の発生の記憶を行うことにより、省燃費管理を的確に行なうことができる。
ステップS214の判定結果が否定の場合、すなわちアクセル開度変動dAが所定警告値dA2 以下であり、運転者がアクセルの過剰な変動を行っていないと判定した場合、及び、ステップS220の判定結果が否定の場合、すなわち上述の超過時間Tdaが所定設定時間T22以下であり、運転者が警告に応じてアクセルの過剰な変動を中止したと判定した場合、及び、ステップS222によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合、次にCPU3は、図11に示すように、ステップS8で読み込んだ車速Sから一定微小時間ΔTにおける車速変動量ΔSを求め、次式(2)により車速変動dSを算出する(ステップS224)。
dS=ΔS/ΔT・・・(2)
CPU3は、この車速変動dSが、燃費を悪化させる過剰な車速変動になっているか否かを判別するために設けられた所定警告値dS2 を超えているか否かを判定する(ステップS226)。ステップS226の判定結果が肯定の場合、すなわち運転者が燃費を悪化させるような過剰な車速変動を行っていると判定した場合には、上述のステップS202〜S208と同様に、運転者への警告(ステップS228)、車速変動dSが所定警告値dS2 を超えている超過時間Tdsの検出(ステップS230)、この超過時間Tdsが所定設定時間T23を超えたか否かの判定(ステップS232)、ステップS230の判定結果が肯定の場合のメモリ4への超過カウント値の加算(ステップS234)を実行する。累積超過回数及び累積超過時間がメモリ4に記憶される。
ステップS226の判定結果が否定の場合、すなわち車速変動dSが所定警告値dS2 以下であり、運転者が燃費を悪化させるような過剰な車速変動をしていないと判定した場合、及び、上述のステップS232の判定結果が否定の場合、すなわち上述の超過時間Tdsが所定設定時間T23以下であり、運転者が警告に応じて車速変動dSを抑えたと判定した場合、及び、ステップS232によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合、次にCPU3は、ステップS2で読み込んだエンジン回転数Eと、ステップS8で読み込んだ車速Sとから、トップギアを使用しているか否かを推定し判定する(ステップS236)。
ステップS236の判定結果が否定の場合、すなわち運転者がトップギアを使用していない場合には、トップギア不使用経過時間Tt を検出し(ステップS238)、トップギア不使用経過時間Tt が所定警告時間Tt2を超えたか否かを判定する(ステップS240)。ステップS240の判定結果が肯定の場合、すなわち運転者が所定警告時間Tt2を超えてトップギアを使用していない場合には、上述のステップS202〜S208と同様に、運転者への警告(ステップS242)、トップギア不使用経過時間Tt が所定設定時間T24を超えたか否かの判定(ステップS244)、ステップS244の判定結果が肯定の場合のメモリ4への超過カウント値の加算(ステップS246)を実行する。累積超過回数及び累積超過時間がメモリ4に記憶される。
ステップS236の判定結果が肯定の場合、すなわちトップギアが使用されており、運転者が燃費を悪化させるような走行をしていないと判定した場合、及び、ステップS240の判定結果が否定の場合、すなわち上述の経過時間Tt が所定設定時間T24以下であり、運転者が警告に応じてトップギアにシフトアップしたと判定した場合、及び、ステップS246によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合、次にCPU3は、図12に示すように、補助ブレーキ作動部15,20から補助ブレーキの使用を検出し(ステップS248)、一定走行距離Lo における使用回数Nから、次式(3)により補助ブレーキ使用率Bを算出する(ステップS250)。
B=N/Lo ・・・(3)
CPU3は、この補助ブレーキ使用率Bが、燃費を悪化させる補助ブレーキの使用率になっているか否かを判別するために設けられた所定警告値B2 を超えているか否かを判定する(ステップS252)。ステップS252の判定結果が肯定の場合には、上述のステップS202〜S208と同様に、運転者への警告(ステップS254)、補助ブレーキ使用率Bが所定警告値B2 を超えている超過時間Tb の検出(ステップS256)、この超過時間Tb が所定設定時間T25を超えたか否かの判定(ステップS258)、ステップS258の判定結果が肯定の場合のメモリ4への超過カウント値の加算(ステップS260)を実行する。累積超過回数及び累積超過時間がメモリ4に記憶される。
ステップS252の判定結果が否定の場合、すなわち補助ブレーキ使用率Bが所定警告値B2 以下であり、運転者が燃費を悪化させるような走行をしていないと判定した場合、及び、ステップS256の判定結果が否定の場合、すなわち上述の超過時間Tb が所定設定時間T25以下であり、運転者が警告に応じて補助ブレーキの過剰な使用を中止したと判定した場合、及び、ステップS258によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合には、高速道路処理Iを終了する。
図10ないし図12から明らかなように、上述の高速道路処理Iにおいては、アクセル開度Aに基づく運転者への警告等は行われない。これは、高速道路走行時には、一般に高いエンジン出力が要求され、アクセルを踏み込む必要性が高いためである。しかしながら、必要によりアクセル開度Aに基づく運転者への警告等を行なうこともでき、その場合の処理を高速道路処理IIとして、図13ないし図16に示す。
図13に示す高速道路処理IIのステップS300ないしS322は、上述の高速道路処理Iの図10に示すステップS200ないしS222と同様である。車速Sを所定速度以下に自動調整可能なスピードリミッタを備えている車両においては、次にCPU3は、そのスピードリミッタの作動信号を検出し、スピードリミッタが作動しているか否かを判定する(ステップS330)。
ステップS330の判定結果が肯定の場合、すなわちスピードリミッタが作動している場合には、図15に示すステップS350以降の処理を実行し、ステップS322ないし340の処理は実行しない。これは、上述の一般道路処理の図8に示すステップS100の場合と同様の理由による。ステップS330の判定結果が否定の場合、すなわちスピードリミッタが作動していない場合には、CPU3は、ステップS300で読み込んだアクセル開度Aが、アクセルの過剰な踏み込みを行っているか否かを判別するために設けられた所定警告値A2 を、超えているか否かを判定する(ステップS332)。ステップS332の判定結果が肯定の場合には、運転者に対しスピーカ5からブザー等による警告を行なう(ステップS334)。
続いて、CPU3は、アクセル開度Aが所定警告値A2 を超えている超過時間Ta2を検出し(ステップS336)、この超過時間Ta2が所定設定時間T26を超えているか否かを判定する(ステップS338)。ステップS338の判定結果が肯定の場合には、メモリ4に超過カウント値を加算し、その累積超過回数及び累積超過時間を記憶させる(ステップS340)。なお、スピードリミッタが作動しているときにも、アクセル開度Aに関する運転者への警告等を行うことができる。また、スピードリミッタを装備してしない車両においては、上述のステップS330の判定を行うことなく、ステップS332ないしS340を実行すればよい。
上述のステップS332の判定結果が否定の場合、及び、上述のステップS338の判定結果が否定の場合、及び、ステップS340によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合には、図15及び図16に示すステップS350ないしS386を実行する。このステップS350ないしS386は、上述の高速道路処理Iの図11及び図12に示すステップS224ないしS260と同様である。
一方、図17に示すように、図6に示したアイドリング処理は、次のように実行される。CPU3は、アイドリング経過時間Ti を検出し(ステップS400)、アイドリング経過時間Ti が所定警告時間Ti3を超えたか否かを判定する(ステップS402)。ステップS402の判定結果が肯定の場合、すなわち運転者が所定警告時間Ti3を超えてアイドリングを経過させた場合には、運転者に対しスピーカ5からブザー等による警告を行なう(ステップS404)。
さらに、CPU3は、アイドリング経過時間Ti が所定設定時間T31を超えたか否かを判定する(ステップS406)。ステップS406の判定結果が肯定の場合、すなわちステップS404の警告を行なった後も、運転者が所定設定時間T31を超えてアイドリングを経過させた場合には、メモリ4に超過カウント値を加算し(ステップS408)、メモリ4にその累積超過回数及び累積超過時間を記憶させる。
ステップS402の判定結果が否定の場合、すなわちアイドリング経過時間Ti が警告設定時間Ti3以下であり、運転者がアイドリング状態での停車を行っていないと判定した場合、及び、ステップS406の判定結果が否定の場合、すなわちアイドリング経過時間Ti が所定設定時間T31以下であり、運転者が警告に応じてエンジンを停止させたと判定した場合、及び、ステップS408によりメモリ4に超過カウント値を加算した場合には、アイドリング処理を終了する。
ここで、上述の所定設定時間T11ないしT31は、車両上の設定器21により設定変更することができる。したがって、この所定設定時間T11等を設定変更をする場合に、解析装置本体2を一旦車両から取り外し、それを車両基地において、又は車両メーカに送って変更したり、あるいは、予めこの所定設定時間T11等を記憶させたメモリカードを作成し、そのメモリカードを用いて解析装置本体2の設定を変更する必要がなくなる。このように、本省燃費管理システムによれば、解析装置本体2に記憶させた所定設定時間T11等を、上述の設定器21を用いて車両上で迅速かつ容易に変更することができるから、省燃費管理を極めて円滑に行なうことができる。
また、警告の発生と同時に、その警告の発生をメモリ4に記憶させるのではなく、警告を一旦運転者に与えた後に、なおかつその所定警告値等を満たす運転状態を所定設定時間T11等を超えて継続した場合に、始めてメモリ4に記憶させるようにしたことにより、運転者に精神的負担を感じさせずに、自己の運転を是正する機会を与えることができ、省燃費管理を極めて円滑に行なうことができる。
さらに、例えば高速道路走行中に、前車との車間距離が適切でないとあわてて減速し、再び加速して前者に追いつくということを繰り返すことがある。このような波状運転は安全上の問題があると共に、特に高速道路走行における燃費悪化の最大要因になっている。このように、一般道路走行と高速道路走行とでは、省燃費管理の視点が異なり、それに伴って燃費解析に必要な情報も異なる。本省燃費管理システムによれば、一般道路走行と高速道路走行とに分けて情報の処理を行うから、的確な省燃費管理を行なうことができる。
また、運転者や運行管理者は、車載プリンタ6から、車両上で直ちにそのときの運転状態を印字された形で、かつ正確に知ることができ、運転者の省燃費意識を一段と向上させることができる。また、分析までの一連の省燃費管理を車載解析装置1だけで行なうこともでき、その場合には、特に設備導入や運用に多大なコストを要する事業所解析装置32が不要となり、小規模事業者の導入が一段と容易になる。
次に、本省燃費管理システムによる減速運転モニタリングについて、図18を参照して説明する。
車両の走行時に減速を行なう場合、アクセルを戻し、最低燃料噴射状態で走行するエンジンブレーキによる減速運転の距離が長ければ長い程、省燃費に貢献することができる。この一方、排気ブレーキ、リターダ等に代表される補助ブレーキを装備した車両は、この補助ブレーキの使用により優れたブレーキ特性を容易に得ることができるため、急減速及びそれに伴う急加速を繰り返す傾向が見受けられ、燃費悪化の大きな要因となっている。そこで、この減速運転モニタリングによって、特にこの補助ブレーキを装備した車両における、エンジンブレーキによる減速運転を的確にモニタリングする。
図18に示すように、CPU3は、燃料流量センサ14,19が検出した燃料流量Fを読み込み(ステップS50)、燃料流量Fが車両走行時の最低噴射に係る所定設定値Fo 未満であるか否かを判定する(ステップS52)。この所定設定値Fo は、上述の警告モニタリングにおける一般道路処理の、図9に示すステップS116で用いた所定設定値Fo と同一である。所定設定値Fo としてどのような燃料流量値を用いるべきかについては、上述のとおりである。ただし、ステップS116で用いた所定設定値Fo と異なる所定設定値を設定することもできる。
ステップS52の判定結果が肯定の場合には、CPU3は、アクセル開度センサ13,18が検出したアクセル開度Aを読み込み(ステップS54)、アクセル開度Aが略ゼロとなっているか否かを判定する(ステップS56)。略ゼロであるから、ゼロ又は計器誤差等を考慮したゼロに近い数値に設定される。
このように、燃料流量Fが車両走行時における最低燃料流量を近似する所定設定値Fo 未満となったとき、かつ、アクセル開度Aが略ゼロとなったときをアクセル開度ゼロ状態として、その判定条件とすることにより、ディーゼルエンジン車、あるいはガソリンエンジン車の最低燃料噴射走行を極めて正確に捕らえることができる。なお、このアクセル開度ゼロ状態を、燃料流量F又はアクセル開度Aのいずれか一方だけで判定してもよい。これによっても、車両の最低燃料噴射走行をかなり高い精度で捕らえることができる。
ステップS56の判定結果が肯定の場合には、補助ブレーキ作動部15,20から補助ブレーキの使用状態を検出し(ステップS58)、補助ブレーキが不使用か否かを判定する(ステップS60)。ステップS60の判定結果が肯定の場合には、CPU3は、車速センサ11,16が検出した車速Sを読み込み(ステップS62)、この車速Sと経過時間とに基づいて、アクセル開度ゼロ状態かつ補助ブレーキ不使用での走行距離Lを算出し(ステップS64)、走行距離Lをメモリ4に加算して累積走行距離TLを記憶させる(ステップS66)。
上述のステップS52の判定結果が否定の場合、すなわち燃料流量Fが車両走行時の最低噴射状態にない場合、及び、上述のステップS56の判定結果が否定の場合、すなわちアクセル開度Aが略ゼロではない場合、及び、ステップS60の判定結果が否定の場合、すなわち補助ブレーキを使用している場合、及び、上述のステップS66によりメモリ4に累積走行距離TLを記憶させた場合には、電源がOFFであるか否かを判定する(ステップS68)。ステップS68の判定結果が否定の場合には、上述のステップS50以下を繰り返す。ステップS68の判定結果が肯定の場合には、減速運転モニタリングを終了する。
本減速運転モニタリングにより、特に補助ブレーキを装備した車両におけるエンジンブレーキによる減速運転を的確にモニタリングすることができ、省燃費運転に対する解析データを運転者や運行管理者に最適に提供することができる。したがって、燃費改善の飛躍的な精度向上を図ることができる。
運転者や運行管理者は、メモリ4に記憶されたこの累積走行距離TLを、図5に示すように、車載プリンタ6から全累積走行距離に対する走行比率81として、車両上で直ちに出力することができる。したがって、運転者や運行管理者は、運転時、停車時、車両基地帰車時等に、そのときの運転状態を直前の実走行と対比させて直ちに知ることができ、運転者等の燃費向上への意識をさらに高めることができる。
また、メモリ4に記憶された累積走行距離TLは、メモリカード31を介して事業所、車両メーカ等の事業所解析装置32に入力することにより、事業所解析装置32から出力される種々のリポートと組み合わされて、より詳細な分析を行うこともできる。さらに、車載解析装置1の本体2のメモリ4が記憶した燃料流量Fとアクセル開度Aと補助ブレーキ使用情報と車速Sとを、メモリカード31を介して事業所解析装置32に入力し、図14に示した一連の処理を事業所解析装置32により行うこともできる。
なお、本省燃費管理システムにおいては、車両の走行状態に関する情報として、車速S、エンジン回転数E、アクセル開度A、燃料流量F、補助ブレーキの使用に関する情報を検出したが、これに限定されるものではなく、車両の他の情報を検出し、それらに基づいて警告の発生や、超過の発生等のメモリ4への記憶を行なうようにしてもよい。また、CPU3の処理情報として、必ずしもアクセル開度Aやアクセル開度変動dAを含む必要はない。さらに、この処理情報を一般道路処理情報と高速道路処理情報とに分けて、警告の発生や、超過の発生等のメモリ4への記憶を行なう必要もない。
一般道路処理情報と高速道路処理情報についても、必ずしも上述のものに限定されるものではない。また、設定器21による警告の発生の有無の切替え設定についても、必ずしも実施する必要はない。
本発明の省燃費管理システムは、警告に対する運転者側の精神的負担を軽減することができ、省燃費管理及び運転者への支援を極めて円滑に行なうことができる。また、車載解析装置に記憶させた車速等の所定警告値等の所定警告条件を迅速かつ容易に設定変更することができ、省燃費管理及び運転者への支援を極めて円滑に行なうことができる。したがって、トラック等に限らず、あらゆる種類の車両に対しても広く一般に利用することができる。
本発明に係る省燃費管理システムを示すブロック図である。 図1とは別の省燃費管理システムを示すブロック図である。 プリンタの警告設定リポートを示す図である。 プリンタの定時リポートを示す図である。 プリンタの超過集計リポートを示す図である。 本省燃費管理システムの警告モニタリングを示すフローチャートである。 図6の走行処理を示すフローチャートである。 図7の一般道路処理を示すフローチャートである。 図8の一般道路処理の続きを示すフローチャートである。 図7の高速道路処理である高速道路処理Iを示すフローチャートである。 図10の高速道路処理Iの続きを示すフローチャートである。 図11の高速道路処理Iの続きを示すフローチャートである。 図10とは別の高速道路処理である高速道路処理IIを示すフローチャートである。 図13の高速道路処理IIの続きを示すフローチャートである。 図14の高速道路処理IIの続きを示すフローチャートである。 図15の高速道路処理IIの続きを示すフローチャートである。 図6のアイドリング処理を示すフローチャートである。 本省燃費管理システムの減速運転モニタリングを示すフローチャートである。 警告の発生の切替えを説明するための図である。
符号の説明
1 車載解析装置
2 解析装置本体
3 CPU
4 メモリ
5 スピーカ
6 車載プリンタ
7 アクセル表示器
8a 設定確認スイッチ
8b 印字スイッチ
8c 警告切替えスイッチ
10 ECU
11,16 車速センサ
12,17 エンジン回転数センサ
13,18 アクセル開度センサ
14,19 燃料流量センサ
15,20 補助ブレーキ作動部
21 設定器
22 セレクタスイッチ
23 設定変更スイッチ
24 警告設定スイッチ
31 メモリカード
32 事業所解析装置
41 警告設定リポート
42 エンジンシリンダ数
43 エンジン定格出力回転数
44 車速所定警告値
45 エンジン回転数所定警告値
46 アクセル開度所定警告値
47 アイドリング経過時間所定警告値
48 車速所定設定時間
49 エンジン回転数所定設定時間
50 プリンタの作動表示
51 警告の作動表示
61 定時リポート
62 印字日時
63 車速超過回数
64 アクセル開度超過回数
65 エンジン回転数超過回数
66 アイドリング超過回数
71 超過集計リポート
72 集計開始時刻
73 集計終了時刻
74 車速超過回数
75 アクセル開度超過回数
76 エンジン回転数超過回数
77 アイドリング超過回数
78 累積走行距離
79 燃料消費量
80 燃料消費率
81 走行比率
A アクセル開度
Ao 所定設定値
dA アクセル開度変動
B 補助ブレーキ使用率
E エンジン回転数
F 燃料流量
Fo 所定設定値
L 走行距離
S 車速
So 所定設定値
dS 車速変動
Ti,Tt 経過時間
TL 累積走行距離
A1 ,A2 ,dA2 ,B2 ,E1 ,S2 ,dS2 所定警告値
Ti3,Tt2 所定警告時間
Ta1,Ta2,Tda,Tb ,Tds,Te ,Ts0,Ts2 超過時間
T01,T11,T12,T21,T22,T23,T24,T25,T26,T31 所定設定時間

Claims (8)

  1. 車両の走行状態に関する情報として車速(S)とエンジン回転数(E)と燃料流量(F)とを検出する情報検出手段(11,12,13,14,16,17,18,19)と、前記情報検出手段が検出した前記情報を処理すると共に前記車速(S)とエンジン回転数(E)と燃料流量(F)と前記エンジン回転数(E)が警告発生条件を満たしたときに警告を発生する情報処理手段(3,)と、カウント値を記憶する情報記憶手段(4)とを前記車両上に備えた省燃費管理システムにおいて、前記警告発生条件は、前記エンジン回転数が所定警告値(E1 )を超えたとき、かつ、前記車速が所定設定値(S0 )以下の場合又は前記車速が前記所定設定値(S0 )を超え且つ前記車速が前記所定設定値(S0 )を超えている時間(Ts0)が所定設定時間(T01)以下の場合にはさらに前記燃料流量が所定設定値(F0 )を超えているときであり、前記情報処理手段は、前記警告発生条件が満たされている時間(Te )が所定設定時間(T12)を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値を前記情報記憶手段に記憶させることを特徴とする省燃費管理システム。
  2. 車両の走行状態に関する情報として車速(S)とアクセル開度(A)とを検出する情報検出手段(11,13,16,18)と、前記情報検出手段が検出した前記情報を処理すると共に前記車速と前記アクセル開度が警告発生条件を満たしたときに警告を発生する情報処理手段(3,)と、カウント値を記憶する情報記憶手段(4)とを前記車両上に備えた省燃費管理システムにおいて、前記警告発生条件は、前記車速(S)が所定警告値(S2 )を超えたとき、かつ、前記車速が所定設定値(S0 )を超えている場合には前記アクセル開度が所定設定値(A0 )を超えたときであり、前記情報処理手段は、前記警告発生条件が満たさている時間(Ts2)が所定設定時間(T21)を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値を前記情報記憶手段に記憶させることを特徴とする省燃費管理システム。
  3. 前記警告発生条件は、前記車速(S)が所定警告値(S2 )を超えたとき、かつ、前記車速が所定設定値(S0 )を超えているときであってかつ前記車速が前記所定設定値(S0 )を超えている時間(Ts0)が所定設定時間(T01)を超えているとき、かつ、前記アクセル開度(A)が所定設定値(A0 )を超えたときであることを特徴とする請求項2に記載の省燃費管理システム
  4. 前記エンジン回転数の前記所定警告値(E1 )を変更することができる設定器(21)を前記車両上に備えたことを特徴とする請求項1に記載の省燃費管理システム
  5. 前記車速(S)の前記所定警告値(S2 )を変更することができる設定器(21)を前記車両上に備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の省燃費管理システム。
  6. 前記車両は、車速(S)を所定速度以下に自動調整するスピードリミッタをさらに備え、前記情報検出手段(13,18)は、前記車両の走行状態に関する情報としてアクセル開度(A)をさらに検出し、前記情報処理手段(3,)は、前記アクセル開度が所定警告値(A1 )を超えたときに、前記スピードリミッタが作動していないことを条件として警告を発生すると共に前記アクセル開度が所定警告値を超えている時間(Ta1)が所定設定時間(T11)を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値をさらに前記情報記憶手段(4)に記憶させることを特徴とする請求項1又は4に記載の省燃費管理システム。
  7. 前記車両は、車速(S)を所定速度以下に自動調整するスピードリミッタをさらに備え、前記情報処理手段(3,)は、前記アクセル開度(A)が所定警告値(A2 )を超えたときに、前記スピードリミッタが作動していないことを条件として警告を発生すると共に前記アクセル開度が所定警告値を超えている時間(Ta2)が所定設定時間(T26)を超過したときに超過の発生をカウントしてカウント値をさらに前記情報記憶手段(4)に記憶させることを特徴とする請求項2,3,5のいずれかに記載の省燃費管理システム。
  8. 前記車両上に設定器(21)をさらに備え、前記情報処理手段(3)は、前記警告の発生の有無を切替えることができる切替機能を有し、前記設定器は、前記切替機能を不機能から機能へ設定変更できることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の省燃費管理システム
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