JP4275874B2 - 体液吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、体液を吸収処理する、使い捨ての紙おむつ、生理用ナプキンなどの体液吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の体液吸収性物品は、基本的に、身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層、および両者の間に設けられた体液吸収性部を有する。
【0003】
この場合における、体液吸収性部の構成は、種々のものが知られているが、吸収性素材として、高吸収性ポリマー、綿状パルプ(フラッフパルプ)、クレープ紙などの吸収紙を主としている。近年の高吸収性ポリマー技術の進展に伴い、より薄型化した体液吸収性部の形成が可能となり、したがって製品の吸収部分の身体へのフィット性が向上し、モレが少なくなってきている。
【0004】
この製品の吸収特性の改善は、需要者にとって、薄型でありながら、吸収容量が大きく、さらに長時間の着用にも耐えるさらに新たな製品開発の要求となってあらわれる。
【0005】
しかるに、この要求を満たすためには、例えば、尿の場合であっては多数回の排尿量のすべてを体液吸収性部が吸収しなければならない。しかし、排尿が繰り返えされるごとに体液吸収性部の吸収速度は遅くなり、特に体液吸収性部の長手方向端部まで体液が吸収されないことが多い。この原因としては、体液の縦方向(製品の長手方向)への拡散が十分でないこと、高吸収性ポリマーの膨潤による拡張濡れが阻害されるいわゆるゲルブロッキング現象が起こるためとされている。
【0006】
これらの現象を解決する手法として、特表2000−510031号、及び特表2000−510033号などの縦方向への濡れ拡がりを助ける技術、特表2000−510031号、特表2000−510033号などの高吸収性ポリマーのゲルブロッキングを防ぐ技術、高吸収性ポリマーの形状や組み込みの工夫、濡れによって膨潤する空間を確保する方法などが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしいずれの方法を用いても、十分な解決策となっていない。この原因を改めて検討すると、従来の体液吸収性物品の体液吸収性部は縦長とし製品の長手方向に沿って配置し、体液排出部位が体液吸収性部のほぼ中心に位置するように設計し、排出部位からの体液は長手方向端部まで濡れ拡がる(拡散する)であろうことを前提としていた。したがって、体液の長手方向拡散が十分がない限り、本質的に、体液吸収性部全体で体液を吸収することはできない。
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、体液吸収性部内での体液の拡散には限界があることを踏まえ、体液との接触により収縮する収縮性材を利用して、体液の吸収部が位置変化するように構成することにより、吸収材全体を有効的に利用し、全体としてみれば、薄型でありながら、吸収容量が大きく、さらに長時間の着用にも耐え得る体液吸収性物品を提供することにある。
【0009】
他の課題は、体液排出部位に対してその吸収部が体液の排出に伴なって更新されるようにすることにある。別の課題は、高吸収性ポリマーの膨潤による拡張濡れが阻害されるいわゆるゲルブロッキング現象がなく、高吸収性ポリマーの機能が十全に発揮される体液吸収性物品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層、および両者の間に設けられた体液吸収性部を有する吸収性物品であって、
体液との接触により収縮する所定長さの収縮性材と、この収縮性材に対して実質的に一体化された袋状担体およびその内部に保持された高吸収性ポリマーからなる体液吸収性材とから構成された吸収材が、前記体液吸収性部内に配置されるとともに、
この吸収材は、その一部が物品に対して固定され、且つこの固定部以外の部分が前記収縮性材の収縮力により固定部側へ移動するように設けられている、
ことを特徴とする体液吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
体液との接触により収縮する所定長さの収縮性材と、この収縮性材に対して実質的に一体化されている体液吸収性材とからなる吸収材が、体液吸収性部内に配置されるとともに、この吸収材は、その一部が物品に対して固定され、且つこの固定部以外の部分が収縮性材の収縮力により固定部側へ移動するように設けられているから、収縮性材が体液と接触すると収縮し、これに伴なって実質的に一体化された体液吸収性材も収縮する。その結果、体液排出部位に対して、体液吸収性材が先に吸収した部位が逃げるようになり、これに代わって体液吸収性材の新たな部位が位置するようになり、つまり体液排出部位に対して、体液吸収性材の吸収部が体液の排出に伴なって更新され、位置変化する。したがって、吸収材全体を有効的に利用でき、全体としてみれば、体液吸収性部が薄型でありながら、吸収容量が大きく、さらに長時間の着用にも耐え得る体液吸収性物品を得ることができる。
【0012】
また、体液吸収性材は、高吸収性ポリマーとこの高吸収性ポリマーの担体とからなる。したがって、体液との接触による収縮性材の収縮に伴なって体液吸収性材が収縮するとき、体液排出部位に対して、体液吸収性材の高吸収性ポリマー吸収部が体液の排出に伴なって更新されるので、高吸収性ポリマーの膨潤による拡張濡れが阻害されるいわゆるゲルブロッキング現象がなく、高吸収性ポリマーの機能が十全に発揮されるものとなる。
【0013】
そしてこれらの作用効果を基本として、特に本発明の吸収材では、高吸収性ポリマーの担体を袋状となして内部に間欠的に高吸収性ポリマーを保持させているから、収縮時等においてポリマーが担体から脱落することがなく、また一箇所により多くのポリマーを配置できるようになるため、高吸収性ポリマーの間欠配置をより確実に維持でき、しかも吸収能力を十分に確保することが可能となる。
【0014】
<請求項2記載の発明>
前記袋状担体は前記収縮方向に延在する形状をなし、かつ内部の高吸収性ポリマーの膨張によって拡張可能なように形成された、請求項1記載の体液吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
袋状担体を用いると、前述のとおり一箇所により多くのポリマーを配置できるようになるが、当該配置部内において早期に膨潤したポリマーによって残りの未膨潤のポリマーへの体液供給が阻害される、局所的なゲルブロッキングが発生し易くなる。これを防止するためには、高吸収性ポリマーの膨潤体積を考慮して、袋状担体のサイズを大きく形成しても良い。しかし、高吸収性ポリマーは体液吸収により約50倍も体積が増加するため、これを考慮すると袋状担体の幅が過大となり、体液吸収性部内に収め難くなってしまう。
【0016】
これに対して、本請求項2記載の発明のように袋状担体が内部の高吸収性ポリマーの膨張によって拡張可能なように形成されていると、当初必要な配置スペースが小さくて済む利点だけでなく、ポリマーの膨張に応じて変形が可能であるため、前記のような局所的なゲルブロッキングを発生し難くなる利点ももたらされる。
【0017】
<請求項3記載の発明>
前記袋状担体は、前記収縮方向と直交する幅方向に折り畳まれた状態で前記体液吸収部内に配置され、かつ内部の高吸収性ポリマーの膨張によって前記折り返し部分が開かれ復元して拡張するように構成されるとともに、非折畳状態における幅に対して半分以下の幅となるように折り畳まれた状態で前記体液吸収部内に配置された、請求項2記載の体液吸収性物品。
【0018】
(作用効果)
特に、本請求項3記載の発明のように折畳状態で配置された袋状担体は、当初必要な配置スペースが小さくて済むとともに、内部の高吸収性ポリマーが体液を吸収して膨潤するのに伴って開かれ、新しい吸収面が形成されるため、前記のような局所的なゲルブロッキングを発生し難くする利点ももたらす。
【0019】
また、袋状担体が非折畳状態における幅に対して半分以下の幅となるように折り畳まれていると、担体配置スペースの省スペース化とゲルブロッキング防止効果とを良好なバランスで両立させることができる。
【0020】
<請求項4記載の発明>
前記袋状担体は、両側端部が幅方向中央側にそれぞれ折り返された状態で前記体液吸収部内に配置された、請求項3記載の体液吸収性物品。
【0021】
(作用効果)
請求項4記載のように構成されていると、袋状担体は、ポリマーの膨張に応じて折り返し部分が両側に開かれるようにして復元し、新しい吸収面が形成されるようになるため、前記の局所的ゲルブロッキング防止効果が発揮される。
【0022】
<請求項5記載の発明>
前記袋状担体はタックを有し、内部の高吸収性ポリマーの膨張によって前記タックが広げられて拡張するように構成された、請求項2記載の体液吸収性物品。
【0023】
(作用効果)
かかるタックを設けることによっても、ポリマーの膨張に応じて変形が可能となり、前記のような局所的なゲルブロッキングを発生し難くなる。
【0024】
<請求項6記載の発明>
前記袋状担体は、幅方向の拡張が抑制されるように構成された、請求項2〜5のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
【0025】
(作用効果)
例えば請求項3または4記載のように、ポリマーの膨張に応じて袋状担体の折り返し部分が開かれるようにして復元する場合、袋状担体が体液吸収性部内において占める面積は体液吸収後において拡幅する。よって、吸収材を複数並設する場合には相互間隔をある程度離間させないと、体液吸収後において吸収材の袋状担体相互が接触し、それらの間の摩擦によって吸収材の収縮が阻害されたり、局所的なゲルブロッキングが発生するおそれがある。しかし、吸収材相互を離間させた場合、体液吸収性部内における吸収材の配設数が少なくなり、吸収能力が低下せざるを得ない。
【0026】
これに対して、本請求項6記載のように、袋状担体における幅方向の拡張を抑制するように構成すると、袋状担体は、ポリマーの膨張に応じて主に幅方向と直交する厚さ方向に拡張し、幅方向には殆ど拡張しなくなり、体液吸収性部内において袋状担体が占める面積が体液吸収後においても殆ど変化しなくなる。またもちろん、袋状担体は拡張可能であるため前記の局所的ゲルブロッキングの防止効果も発揮される。よって、袋状担体を複数並設する場合であっても近接して配置でき、吸収能力を低下させずに前記の局所的ゲルブロッキング防止効果を発揮させることができるようになる。
【0027】
<請求項7記載の発明>
前記収縮性材が、前記袋状担体における非拡張状態での幅方向中央部に配置された、請求項2〜6のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
【0028】
(作用効果)
このように構成することによって、収縮性材の収縮作用が袋状担体に対して幅方向に均一に作用し、もって吸収材が直線的に収縮するようになる。しかし、本発明においては、曲線状、波状、ジグザグ状に収縮性材を配置して、非直線的に収縮させるようにすることもできる。
【0029】
<請求項8記載の発明>
身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層、および両者の間に設けられた体液吸収性部を有するとともに、
体液との接触により収縮する所定長さの収縮性材と、この収縮性材に対して実質的に一体化された袋状担体およびその内部に保持された高吸収性ポリマーからなる体液吸収性材とから構成された吸収材が、前記体液吸収性部内に配置されるとともに、
この吸収材は、その一部が物品に対して固定され、且つこの固定部以外の部分が前記収縮性材の収縮力により固定部側へ移動するように設けられている、
体液吸収性物品を製造する方法であって;
前記吸収材を前記収縮方向と直交する幅方向に折り畳みながら或いは前記袋状担体にタックを形成しながら、前記吸収材を前記体液吸収性部に対して取り付ける、
ことを特徴とする体液吸収性物品の製造方法。
【0030】
(作用効果)
このようにすることによって、前記のような高吸収性ポリマーの保持性に優れるとともに、局所的なゲルブロッキングを発生しにくい体液吸収性物品を効率良く製造することができる。
【0031】
<請求項9記載の発明>
前記吸収材を前記収縮方向と直交する幅方向に折り畳むにあたり、
折り畳みに先立って、前記袋状担体における厚さ方向の対向面相互を幅方向一端から他端まで連続線状に接合してなるシール部を、前記吸収材の収縮方向に間隔をおいて複数設ける、請求項8記載の体液吸収性物品の製造方法。
【0032】
(作用効果)
かかる方法により、袋状担体内をシール部によって伸縮方向に区画しながらも、例えば請求項3及び4記載のような、幅方向に拡張しうる袋状担体を有する吸収材を設けることができる。
【0033】
<請求項10記載の発明>
前記折畳またはタック形成を行った後、前記袋状担体における厚さ方向の対向面相互を幅方向一端から他端まで連続線状に接合してなるシール部を、前記吸収材の収縮方向に間隔をおいて複数設ける、請求項8記載の体液吸収性物品の製造方法。
【0034】
(作用効果)
このように、折畳またはタック形成を行った後、袋状担体における厚さ方向の対向面相互を幅方向一端から他端まで連続線状に接合してなるシール部を、吸収材の収縮方向に間隔をおいて複数設けると、袋状担体内がシール部によって伸縮方向に区画されるとともに、これらのシール部が幅方向に伸張しないため、袋状担体は主に厚さ方向に拡張し、幅方向には殆ど拡張しなくなる。よって、本請求項10記載の発明によれば、請求項6記載のような体液吸収性物品を製造することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
前述のように、本発明は使い捨ての紙おむつ、生理用ナプキンなどの体液吸収性物品一般に適用されるが、おむつ使用時(装着時)に背側の左右両側部を腹側の左右両側部に持ち込み、これらをテープファスナー(粘着剤テープファスナー及び面ファスナーを含む)により接合するタイプのいわゆるテープ式紙おむつに対する適用例を説明すれば、パンツ型使い捨ておむつやパッド型使い捨て吸収性物品での実施の形態や、生理用ナプキンでの実施の形態も直ちに推測できると思われるので、後二者の例についてはその説明を省略する。
【0036】
(吸収性物品の基本的形態例)
本実施形態例に係る使い捨ておむつは、図1及び図2に示すように、身体の肌に面する側に設けられた液透過性の不織布、あるいは孔開きフィルムなどからなり、着用者の肌に直接触れる長方形の表面シート2、身体の肌から遠ざかる側に設けられたポリエチレンプラスチックフィルムなどからなる長方形の不透液性バックシートなどからなる防漏層3、および両者の間に設けられた体液吸収体20のみからなる体液吸収性部1を有する。
【0037】
さらに、防漏層3より裏面側たる製品の裏面側には、可撓性の外形シート4を有し、この外形シート4は1枚の不織布または複数枚の通気・撥水性の不織布を積層固定したものからなる。
【0038】
製品の両側部には、使用面側に突出する脚周り起立カフスC,Cがそれぞれ形成され、この起立カフスCは、実質的に幅方向に連続した起立シート8と、たとえば糸ゴムからなる一本のまたは複数本の伸縮部材9とにより構成されている。さらに詳細には、起立カフスCは、起立シート8を二重にして形成され、伸縮部材9を包んでホットメルト接着剤などにより固着した状態で形成されたものである。各起立カフスC,Cを形成する起立シート8は、透液性でなく不透液性もしくは疎水性であるのが望ましい。さらに、通気もしくは蒸気透過性を有しているのが望ましい。起立シート8の間に不透液性フィルムシートを挟み込み、さらに防漏性を高めることができる。
【0039】
二重の起立シート8の内面は、表面シート2及び外形シート4にホットメルト接着剤などにより固着されている。その結果、二重の起立シート8のこの固着始端は、起立カフスCの起立端を形成している。この起立端より先端側は、製品本体に固定されていない自由部分である。
【0040】
他方、二重の起立シート8の長手方向前後端部は、ホットメルト接着剤などにより、自由部分がその先端を物品の中央側に向かう状態で物品に、具体的には表面シート2外面に固定されている。左右の起立カフスC,Cで囲まれる空間は、尿または軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿は透液性表面シート2を通って体液吸収性部1内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、起立カフスCがバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。
【0041】
他方、前身頃及び後身頃の長手方向端部において、ウエスト部における外形シート4の不織布間に、ウエスト周りのフィット性を高めるために、ウエスト開口部の端縁に平行に間隔を置いて細い糸ゴムからなるウエスト伸縮部材10,10…を配置し、これらが伸縮するように伸長下にホットメルト接着剤などにより固定されている。ウエスト伸縮部材10,10…の間隔および本数は適宜定めることができるが、例えば間隔としては4〜8mm程度、本数としては3〜10本程度が好ましい。11は背側の左右両側部を腹側の左右両側部に持ち込み、接合するためのテープファスナーである。
【0042】
(体液吸収性部について)
さて、本発明の体液吸収性部とは、身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層と、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層との間にあって、表面層を通った体液を受け入れて吸収する部分である。したがって、この体液吸収性部の構成は、以下に説明する本発明の吸収材を備える条件の下で、種々の形態及び形状を備えることができる。
【0043】
<体液吸収性部の第1の実施の形態>
図3及び図4に示すように、第1の実施の形態に係る体液吸収性部1は体液吸収体20のみからなり、この体液吸収体20は、体液が透過可能な使用面側シート21及び透液性または不透液性の裏面側シート22を有し、使用面側シート21と裏面側シート22とが製品の幅方向に間隔を置いた位置に長手方向に沿う固定部23を有し、隣接する固定部23,23の間が長手方向に沿うチャンネル空間24とされ、各チャンネル空間24,24…内に本発明の吸収材25が設けられているものである。
【0044】
吸収材25は、図5にも示すように、高吸収性ポリマー26A、及びこの高吸収性ポリマー26Aを包む袋状担体26Bからなる体液吸収性材26と、収縮性材27とを有し、この収縮性材27に対して体液吸収性材26とが実質的に一体化されたものである。
【0045】
袋状担体26Bの幅は、1cm程度が好ましい。また袋状担体26Bに対する高吸収性ポリマー26Aの配置量としては、望まれる吸収能力に応じて適宜設定でき、袋内一杯に充填することもできるが、その場合当該充填部内において局所的なゲルブロッキングが発生するため、袋状担体の5cm2〜20cm2あたり0.01〜0.1gとして、袋内に空隙を形成し、高吸収性ポリマー26Aが膨潤に応じて膨らむことができるようにするのが好ましい。
【0046】
特に好ましい形態では、図示のように、袋状担体26Bを、内部に収縮方向に多数の隔室r1,r2…を有するように形成し、これら隔室r1,r2…に対して一つおきに高吸収性ポリマー26Aを充填し(複数おきに複数室にポリマーを充填しても良い)、高吸収性ポリマー26Aが充填された充填隔室r1と、高吸収性ポリマー26Aが充填されていない非充填隔室r2とを収縮方向に交互に形成する。これら隔室r1,r2…の長さは2〜10cm程度が望ましい。かかる袋体26Bの隔室形成手法としては、例えば一対の透液性シートst,stを重ねて、袋体周縁部や隔室周囲部等の所定部位を、ホットメルト接着剤による接着、超音波溶着またはヒートシールにより接合したり、一枚のシートの幅方向中央を折り、対応する端部相互を接合したりする方法が考えられるが、後者の方が接合部位が少なく実用的であるため好ましい。
【0047】
この袋状担体26Bに用いる透液性シートとしては、特に縁部をヒートシール接合することを考慮すると、熱可塑性合成繊維を含む坪量15〜20g/m2程度の液透過性親水性不織布(公知の、スパンボンド不織布、カードウエブを接着した不織布、メルトブローン不織布、それらの混成不織布等)や、合成パルプ(三井石油化学社製のSWPなど)を含む坪量15〜20g/m2程度のティッシュペーパーなどが好ましく使用できる。特に、併設される収縮性材27を効率良く濡らすことができる程度に保水性があるものが好ましい。また、このシートは収縮性材27と一体化されており、収縮性材27の収縮時には、収縮性材27との接合部位に2〜5N程度の力がかかるので、それに耐えることができる程度の湿潤強度を有するのが望ましい。
【0048】
高吸収性ポリマー26Aは、袋状担体26B内において移動自在なように封入するのがゲルブロッキングを防止するためには好ましいが、封入量が少ないと担体26B内で偏在してしまうおそれもあるので、袋状担体26B内面に対して付着もしくは接着させることもできる。この付着もしくは接着は、わずかな水分の添加により付着させるほか、接着剤を用いて接着させるなど公知の高吸収性ポリマーの固定方法により行うことができる。
【0049】
高吸収性ポリマーは、この種の使い捨て吸収性物品において用いられる、自重のたとえば20倍以上の体液を吸収して保持するものを使用できる。この例として、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などを挙げることができる。高吸収性ポリマーの吸収特性としては10秒間で10倍以上吸収し膨潤するものが望ましい。またその表面が部分的に接着剤になじみやすいよう改質されたものも用いることができる。接着剤の性能は粘着性があれば加工上有利であるがとくに限定されない。高吸収性ポリマー26Aと担体26Bとの接着は吸水膨潤した後、最低でも数分間維持されていれば良いが、それ以上持続していてもよい。
【0050】
体液吸収性材26を得るに際しては、袋状担体26Bの形成とともにその内部に高吸収性ポリマー26Aを封入保持させた後、これを所定の幅及び長さに切断してたとえば全体的にはリボン状に形成したものとすることができる。
【0051】
収縮性材27は、体液との接触により収縮するものであり、たとえば特公平6−102068号、特許第2656245号に開示されている技術によって製造できる。また、市販のものとしては、株式会社ニチビの商品名「ソルブロン」を用いることができる。収縮性材27としては、横断面円形や四角形の糸状のものや、又はシート状、フィルム状若しくは網状のものなど、あらゆる形状のものを用いることができる。
【0052】
収縮性材27と、体液吸収性材26とは、長手方向に間欠的に接着剤28などにより固定するか、ミシンなどによる縫合する、機械的に絡ませるなどの形態で実質的に一体化することができる。この場合、袋状担体26B内に高吸収性ポリマー26Aを保持させた体液吸収性材26を得た後、収縮性材27と接合するほか、担体26Bを形成するシートと収縮性材27とを接合した後、そのシートに高吸収性ポリマー26Aを配置し、これを袋状に形成することもできる。
【0053】
一つの体液吸収性材26に対して、複数の収縮性材27をたとえば幅方向に間隔を置いて並べて設けることもできる。また、複数の収縮性材27相互を長手方向に間隔を置いた位置において相互に接着させたものを、体液吸収性材26に対して固定することもできる。また、複数本を収縮率の調節のために撚りをかけて用いることもできる。
【0054】
かかる体液吸収体20が体液吸収性部1内に配置されることにより、排液、たとえば尿が表面シート2を通り、使用面側シート21を通して担体26Bに接触し、担体26Bに沿って拡散し、その尿が収縮性材27に接触するとこれ自体が収縮し、これに伴なって実質的に一体化された体液吸収性材26も収縮する。その結果、体液排出部位に対して、体液吸収性材26が先に吸収した部位が逃げるようになり、これに代わって体液吸収性材26の新たな部位が位置するようになり、つまり体液排出部位に対して、体液吸収性材26の吸収部が体液の排出に伴なって更新されるように位置変化する。したがって、吸収材25全体を有効的に利用でき、全体としてみれば、体液吸収体20が薄型でありながら、吸収容量が大きく、さらに長時間の着用にも耐え得る体液吸収性物品を得ることができる。
【0055】
また、体液との接触による収縮性材27の収縮に伴なって体液吸収性材26が収縮するとき、体液排出部位に対して、体液吸収性材26の高吸収性ポリマー26Aによる吸収部が更新されるので、高吸収性ポリマー26Aの膨潤による拡張濡れが阻害されるいわゆるゲルブロッキング現象がなく、高吸収性ポリマー26Aの機能が十全に発揮されるものとなる。
【0056】
そしてこれらの作用効果を基本として、特に袋状担体26Bの内部に高吸収性ポリマー26Aを保持させることによって、収縮時等においてポリマー26Aが担体26Bから脱落することがなく、また一箇所により多くのポリマー26Aを保持させることができるようになるため、高吸収性ポリマー26Aの間欠配置をより確実に維持でき、しかも吸収能力を十分に確保することが可能となる利点がもたらされる。
【0057】
他方、特に本形態の吸収材25では、高吸収性ポリマー26Aが、担体26Bに対して収縮方向に間欠的に配置されているから、図6に示すように、高吸収性ポリマー26Aが体液を吸収し膨潤すると当該部位Xにおける体液吸収性材26の収縮は阻害されるものの、高吸収性ポリマー26Aが配置されていない部位Yはこのような阻害なく容易に収縮することができ、吸収材25全体として効率的な収縮が可能となる。
【0058】
さらに、実施の形態のように、チャンネル空間24内に吸収材25を設けると、収縮性材27の収縮に伴なう吸収材25の収縮が円滑かつ確実に行われる。さらに、チャンネル空間24内を体液がその長手方向に沿って移動及び拡散可能である。また、製品の装着時、チャンネル空間24が緩衝部またはクッション部となり、肌に対する接触性が良好となる。
【0059】
<体液吸収体の第2の実施の形態>
上記第1の形態のようにチャンネル空間24を設ける場合、チャンネル空間24の横断面形状、その数などは適宜選択できる。一つのチャンネル空間24内に吸収材25を複数並べて設けることもできる(図示せず)。
【0060】
収縮性材27の物性で大切なのは収縮力と吸水収縮率である。チャンネル空間24内を吸収材25が移動するとき、吸収材25の吸収部分とチャンネル内壁との摩察により収縮力が低下することにかんがみ、チャンネル空間24の断面積と高吸収性ポリマー26Aの膨潤度を勘案して決定するのが望ましい。収縮性材27の収縮率は原糸で30%以上、望ましくは70%以上あれば吸収後の吸収材25の移動が十分可能である。
【0061】
チャンネル空間24の断面積Sは吸収材25の形態によって異なり、次式で計算される面積が好ましい。a=吸収材の1cmあたりの高吸収性ポリマー量グラム数、b=吸収材の収縮率(収縮後の長さ/収縮前の長さ)、S=断面積(cm2)として:
S=(30〜200)×a/b……(1)
図7に示すように、体液吸収体20は、必要ならば2層以上に積層することもできる。この場合、上下層が位置を半ピッチずらすのが望ましい。
【0062】
チャンネル空間24を形成するための使用面側シート21は液透過性である限り、その材質に限定はなく、たとえば不織布のほか孔開きフィルムなどによってもよい。この場合、高吸収性ポリマー26Aを透過させない程度の空隙を有するのが望ましい。使用面側シート21と接合する裏面側シート22としては、不織布、防漏シート、耐湿紙、吸収紙などから選ぶことができる。
【0063】
<体液吸収体の第3の実施の形態>
本発明は、袋状担体26Bの内部に高吸収性ポリマー26Aを配置し、高吸収性ポリマー26Aを担体26B内に確実に保持するものであるため、図8に示すように前述の形態における使用面側シート21及び裏面側シート22を省略することもできる。この場合、さらに表面シート2を省略することもできる(図示せず)。
【0064】
(特に好ましい本発明の形態)
他方、前述のとおり、袋状担体26Bを用いると、一箇所により多くのポリマー26Aを配置できるようになるが、当該配置部内において早期に膨潤したポリマー26Aによって残りの未膨潤のポリマー26Aへの吸収が阻害される、局所的なゲルブロッキングが発生し易くなる。これを防止するべく、高吸収性ポリマー26Aの膨潤体積を考慮して、袋状担体26Bのサイズを大きく形成しても良いが、高吸収性ポリマー26Aは体液吸収により約50倍も体積が増加するため、これを考慮すると袋状担体26Bの幅が過大となり、体液吸収性部内に収め難くなってしまう。
【0065】
そこで本発明では、袋状担体26Bを内部の高吸収性ポリマーの膨張によって拡張可能なように形成することを推奨する。これによって、当初必要な袋状担体26Bの配置スペースが小さくて済むだけでなく、高吸収性ポリマー26Aの膨潤に伴って袋状担体26Bが拡張するため、局所的なゲルブロッキングが発生し難くなる。
【0066】
次に、この拡張手段を採用した体液吸収体の具体例について詳説する。
【0067】
<体液吸収体の第4の実施形態>
第1の拡張手段としては、収縮方向と直交する幅方向に折り畳んだ状態で体液吸収部内に配置し、内部の高吸収性ポリマーの膨張によって前記折り返し部分が開かれ復元して拡張するように構成することを推奨する。折畳数は特に限定されないが、二つ折り、多くて三つ折りとするのが好ましく、また折畳状態における幅は非折畳状態における幅に対して半分以下とするのが好ましい。これによって、当初必要な袋状担体26Bの配置スペースが小さくて済む利点だけでなく、高吸収性ポリマー26Aの膨潤に伴って袋状担体26Bが変形可能となるため、局所的なゲルブロッキングが発生し難くなる利点がもたらされる。
【0068】
具体的に、この場合、図9に示すように、高吸収性ポリマー26Aを内包する袋状担体26Bを、両側端部26c,26cを幅方向中央側にそれぞれ折り返した状態で体液吸収性部1内に(この場合裏面側シート22上に)配置する形態が望ましい。ここで図11に示すように、前述の隔室r1,r2…を形成するためのシールを行わない場合には両脇に開かれる形態となるが、前述の隔室r1,r2…を形成するためのシールを行う場合には、図12に示すように折り畳みに先立ってシールsl,sl…を行うことによって両脇に開く形態とすることができる(これに限定される訳ではない)。かくして図10に示すように、ポリマー26Aが膨張すると、袋状担体26Bは、折り返し部分26c,26cが開かれるようにして復元し、新しい吸収面が形成される。換言すると、体液を吸収した折り返し部分は両脇に開き、その下側に位置していた未吸収部分が露出されるため、早期に膨潤したポリマーによって残りの未膨潤のポリマーへの体液供給が阻害されるようなことがなくなる。
【0069】
もちろん、図13に示すように幅方向中央に対して、一方側を他方側に折り返すようにしても良い。
【0070】
<体液吸収体の第5の実施の形態>
第2の拡張手段としては、図14及び図15に示すように、袋状担体26Bにタックtk,tkを設けることを推奨する。図示例では、袋状担体26Bの両側部に、伸縮方向に沿う折り込み線をもってタックtk,tkを形成している。このようにタックtk,tkを形成すると、袋状担体26Bが厚さ方向に拡張し易くなる利点がある。しかし、本発明では一方側側部にのみ又は全体にタックtkを設けても良いし、幅方向に沿って又は斜め方向に沿ってタックtkを形成しても良い。また図示例では、ワンタックを採用しているが、ツータック、スリータック等、更にタック数を増やしても良い。
【0071】
かくして、図16に示すように、内部の高吸収性ポリマー26Aの膨張によってタックtk,tkが広げられて拡張することができる。
【0072】
<体液吸収体の第6の実施の形態>
図示しないが、袋状担体26Bに予め皺寄せしたりする等の形状加工を施すことにより、あるいは袋状担体26Bを伸縮性素材で形成することにより、高吸収性ポリマー26Aの膨張に応じて膨張できるように構成することでも、前述の局所的ゲルブロッキング防止効果が発揮される。
【0073】
<体液吸収体の第7の実施の形態>
前述の第4の実施形態のように、ポリマー26Aの膨張に応じて袋状担体26Bの折り返し部分26c,26cが開かれるようにして復元する場合、袋状担体26Bが体液吸収性部1内において占める面積は体液吸収後において拡幅する。第5の実施形態でも拡幅は避けられない。よって、袋状担体26Bを複数並設する場合には相互間隔をある程度離間させるのが望ましいが、その場合、体液吸収性部1内における袋状担体26Bの配設数が少なくなり、吸収能力が低下せざるを得ない。
【0074】
そこで、袋状担体自体が又は他の部材によって、幅方向の拡張が抑制されるように構成されているのが好ましい。このための具体的な手段としては、例えば前述の第4の実施形態の場合、図17に示すように、ヒートシールやホットメルト接着等の接合手段によって、折り畳んだ後の袋状担体26Bに対して、厚さ方向の対向面相互を幅方向一端から他端まで連続線状に接合してなるシール部sl,sl…を吸収材25の収縮方向に間隔をおいて複数設けることを推奨する。このシール部sl,sl…は、前述の隔室r1,r2…を形成するためのシールと共通に構成することができる。
【0075】
かくして、図18に示すように、シール部が幅方向に伸張しないため、袋状担体は主に厚さ方向に拡張し、幅方向には殆ど拡張しなくなる。よって、袋状担体26Bの拡張によって膨張したポリマー相互が密着しにくく、未膨潤のポリマーへの体液供給が阻害されにくくなり、前述の局所的ゲルブロッキング防止効果が発揮されるとともに、袋状担体26Bを間隔を詰めて多数並設することができ、吸収容量を多くすることができる。
【0076】
<体液吸収体の第8の実施の形態>
また前述の第5の実施形態の場合においても、図19に示すように、タックtk,tk形成後の袋状担体26Bに対して、厚さ方向の対向面相互を幅方向一端から他端まで連続線状に接合してなるシール部sl,sl…を、吸収材25の収縮方向に間隔をおいて複数設けることができ、この場合にも図20に示すように、第7の実施形態と同様に幅方向の拡張が抑制される。特に、図示例のように、袋状担体26Bの両側部に、伸縮方向に沿う折り込み線をもってタックtk,tkを形成し、袋状担体26Bが厚さ方向に拡張し易くするのが好ましい。
【0077】
<体液吸収体の第9の実施の形態>
第1〜第9の実施形態における収縮性材27は、図示するように、袋状担体26Bにおける折畳状態での幅方向中央部に配置すると、収縮性材27の収縮作用が袋状担体26Bに対して幅方向に均一に作用し、もって吸収材25が直線的に収縮するようになるので好ましい(第6の実施形態)。
【0078】
(他の体液吸収性部の配置に関する形態)
<体液吸収性部の第10の実施の形態>
他方、高吸収性ポリマーを間欠配置する場合、高吸収性ポリマー26Aが配置されてない部分Yの収縮方向長さがポリマー配置部分Xに対して長すぎると収縮効率は向上するが、ポリマー配置面積は減少するので吸収能力が低下する。反対に、高吸収性ポリマー26Aが配置されてない部分Yの収縮方向長さがポリマー配置部分Xに対して短くなると吸収能力は向上するが、収縮効率は低下する。よって、望ましくは担体26Bにおける高吸収性ポリマー26Aが配置されていない部分Yの収縮方向長さが、高吸収性ポリマー26Aが配置された部分Xの収縮方向長さの30〜400%、特に80〜300%となるように構成する。これによって、収縮効率および吸収能力の双方が良好となる。
【0079】
<体液吸収性部の第11の実施の形態>
前述のとおり、収縮性材27と体液吸収性材26とは、長手方向に間欠的に接着剤28などにより固定するか、ミシン縫いなどの機械的に絡ませるなどの形態で実質的に一体化するが、収縮性材27における体液吸収性材26の担体26Bと固定された部分28は収縮し難い。また前述のように高吸収性ポリマーを間欠配置する場合、袋状担体26Bにおける高吸収性ポリマー26Aが配置された部分Xも収縮し難い。そのため、図5に示すように、これらの固定部分28,Xを収縮方向において対応させるとともに、その他の部分は収縮材27と担体26Bとを固定しないようにするのが望ましい。これによって、収縮性材27および体液吸収性材26の双方が効果的に収縮することができるようになる。これに対して、収縮性材27の固定部28が高吸収性ポリマー非配置部分Yと対応していたり、収縮材27の収縮方向全体が担体26Bに固定されていると、一方の部材の収縮が他方の部材との固定によって拘束され、収縮し難くなり、収縮効率が低下してしまう。
【0080】
<体液吸収性部の第12の実施の形態>
体液吸収体20は、図21に示すように、チャンネル空間24が製品の長手方向(前後方向)に沿うように配設するのが望ましい。また、吸収材25は、一部をたとえば接着剤や熱溶着(溶融)などにより固定した固定部30を有する。吸収材25の固定は、裏面側シート22に接着剤により接合することにより行うことができる。図示の形態においては、吸収材25,25…群の共通の端部を固定部30とするものである。
【0081】
この形態において、図22に示すように、ゾーンZに排尿され、その尿が表面シート2を通して収縮性材27に接触するとこれ自体が収縮し、これに伴なって一体化された体液吸収性材26も収縮する。その結果、図示するように、体液排出部位に対して、体液吸収性材26が先に吸収した部位が逃げるようになり、これに代わって体液吸収性材26の新たな部位が位置するようになり、つまり体液排出部位に対して、体液吸収性材26の吸収部が体液の排出に伴なって更新される位置変化する。したがって、吸収材25全体を有効的に利用できるものである。
【0082】
<体液吸収性部の第13の実施の形態>
他方、図23に示すように、並設される吸収材25,25…に対して、固定部30を千鳥にする形態も有効なものである。
【0083】
<体液吸収性部の第14の実施の形態>
固定部30は吸収材25の末端のほか、端部近傍であってもよい。固定部30の反対側の端部は、収縮性材27の収縮力が働いたとき、その収縮力で外れる程度の仮止めされていてもよい。この仮止めは、製品の製造過程や運送過程で吸収材25の位置ずれを生じさせないために望まれるものである。
【0084】
<体液吸収性部の第15の実施の形態>
他方、図24に示すように、チャンネル空間24及び吸収材25が製品の幅方向に沿って配設することもできる。
【0085】
<体液吸収性部の第16の実施の形態>
固定部30を千鳥配置にする場合、図25(吸収材25を製品長手方向に沿って配設した例)及び図26(吸収材25を製品幅方向に沿って配設した例)に示すように、一方側に固定部30を有する複数の吸収材25と他方側に固定部30を有する複数の吸収材25とが排泄領域arにおいてのみラップするように構成できる。この場合、各吸収材25を排泄領域に集中的に配置できるとともに、各吸収材25の長さを短くすることができ、材料コストを低減することができる。
【0086】
<体液吸収性部の第17の実施の形態>
第16の実施形態の配置構成とするために、図7に示すように、複数の吸収材25を備えた体液吸収体20,20を複数積層することができる。また図示しないが、一つ又は複数の吸収材25を備えた体液吸収体20,20を複数並設したり積層したりしても良い。
【0087】
<体液吸収性部の第18の実施の形態>
特に、図7に示すように、シート状の体液吸収体20,20を複数枚積層する場合において、図27に示すように、排泄領域において重なるように千鳥に積層し、重ならない側の端部にそれぞれ固定部30を設けるのが望ましい。この場合、排泄領域arに露出する体液吸収体20のゾーンZに排泄があるたびに、その体液吸収体20が固定部30側へ移動し、図28及び図29に示すように下側の新しい体液吸収体20,20の表面を順次出現させることができる。なお、説明のため、図27〜図29では体液吸収体相互をずらして図示してある。
【0088】
<体液吸収性部の第19の実施の形態>
上記例では、体液吸収性材26の長手方向全体に収縮性材27を延在させているが、図30及び図31に示すように、収縮性材27の一端部271を製品長手方向の端部などの所定位置に固定し、この固定部30とは反対側の他端部272に体液吸収性材26の一端部261を連結するように構成しても良い。この場合、体液吸収性材26の他端部は、排泄領域arを越えて製品長手方向の他端部まで延在させるのが望ましい。
【0089】
(その他の形態)
上記の実施の形態では、体液吸収体20は、表面シート2の下に配置してある。しかし、使用面側シート21と裏面側シート22との間に吸収材25を配置した形態などにおいては、使用面側シート21そのものが体液を透過するから、使用面側シート21そのものを本発明で言う「表面層」とすることができ、すなわち表面シート2を省略することができる。
【0090】
上記各例では、吸収材25を使用面側シート21と裏面側シート22とで形成されるチャンネル空間24内に配置したものである。しかるに、本発明において、吸収材25が収縮可能である限り、チャンネル空間24内に配置することに限定されることなく、配置位置は適宜選択できる。
【0091】
現在市販の紙おむつでは、綿状パルプ(フラッフパルプ)を主体とし、ある程度の剛性を有する(半剛性の)長方形の吸収コアをクレープ紙で包むなどして形成した非収縮吸収材が、体液吸収性部内に備え付けられている。本発明では、この非収縮吸収材とともに前述の収縮吸収材25を設けることができ、この場合収縮する吸収材25は、非収縮吸収材の内外の適宜の位置、具体的には、表面シートとクレープ紙との間、クレープ紙と吸収コアとの間、吸収コアの内部、クレープ紙と防漏層との間などの部位に配置することができる(図示せず)。
【0092】
収縮性材27としては、フィラメント状や紡績糸であることができる。担体26Bについても、フィラメント状や紡績糸であることができる。担体26Bは袋状であれば、複数層の構造やマトリックス構造にすることもできる。したがって、高吸収性ポリマー26Aも複数層の担体26B間や表面に、あるいはマトリックス構造内及び表面に固定することができる。
【0093】
(本発明の吸収性物品の製造方法について)
他方、本発明の対象とする吸収性物品は、一般に製造ラインにおいて下層のパーツから順に積み重ねるようにして取り付け、連続的に製造される。前述した本発明の収縮性吸収材を有する物品を製造する場合、図示しないが、予め収縮性材27と高吸収性ポリマー26Aを内包した袋状担体26Bとからなる吸収材25の連続体を形成し、これを順次所定長さに切り取り、ライン上を流れる取付対象パーツの体液吸収性部1、具体的に前述例でいえば不透液性の裏面側シート22上の適所に配置し、必要に応じて固定部30を設けて固定する。
【0094】
吸収材25は、予め別ラインで製造したものをロール状に巻き取っておき、これを組み付けラインにセットして用いても良いし、吸収材25の形成ラインを組み付けラインに連結して、巻き取り工程を省くこともできる。
【0095】
特に袋状担体26Bを折畳状態で配置する場合には、袋状担体26Bが未だ非折畳状態となっている吸収材25を、取付対象パーツの体液吸収性部1への取り付けの際に、幅方向に折り畳みながら取り付けるのが望ましい。
【0096】
【発明の効果】
以上のとおり、体液との接触により収縮する収縮性材を利用して、体液の吸収部が位置変化するように構成することにより、吸収材全体を有効的に利用し、全体としてみれば、薄型でありながら、吸収容量が大きく、さらに長時間の着用にも耐え得る体液吸収性物品を提供することができる。
【0097】
また、体液排出部位に対してその吸収部が体液の排出に伴なって更新されるので、高吸収性ポリマーの膨潤による拡張濡れが阻害されるいわゆるゲルブロッキング現象がなく、高吸収性ポリマーの機能が十全に発揮されるなどの利点がある。
【0098】
さらに、高吸収性ポリマーの担体を袋状となして内部に間欠的に高吸収性ポリマーを保持させているから、収縮時等においてポリマーが担体から脱落することがなく、また一箇所により多くのポリマーを配置できるようになるため、高吸収性ポリマーの間欠配置をより確実に維持でき、しかも吸収能力を十分に確保することが可能となるという利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】使い捨て紙おむつの展開状態平面図である。
【図2】その要部縦断面図である。
【図3】体液吸収性部の詳細縦断面図である。
【図4】好ましい体液吸収体の斜視図である。
【図5】吸収材の斜視図である。
【図6】体液吸収状態を示す縦断面図である。
【図7】他の体液吸収性部の詳細縦断面図である。
【図8】別の体液吸収性部の詳細縦断面図である。
【図9】特に好ましい体液吸収性部の要部拡大縦断面図である。
【図10】体液吸収状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図11】要部拡大斜視図である。
【図12】要部拡大斜視図である。
【図13】他の、特に好ましい体液吸収性部の要部拡大縦断面図である。
【図14】別の、特に好ましい体液吸収性部の要部拡大縦断面図である。
【図15】要部拡大斜視図である。
【図16】体液吸収状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図17】他の、特に好ましい体液吸収性部の要部拡大斜視図である。
【図18】体液吸収状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図19】他の、特に好ましい体液吸収性部の要部拡大斜視図である。
【図20】体液吸収状態を示す要部拡大縦断面図である。
【図21】体液吸収体の製品に対する配置形態平面図である。
【図22】排尿時の体液吸収体の吸収材の移動を説明する製品に対する配置形態平面図である。
【図23】体液吸収体の製品に対する他の配置形態平面図である。
【図24】体液吸収体の製品に対する別の配置形態平面図である。
【図25】体液吸収体の製品に対する他の配置形態平面図である。
【図26】体液吸収体の製品に対する別の配置形態平面図である。
【図27】体液吸収体の製品に対する他の配置形態平面図である。
【図28】第1の体液吸収状態を示す平面図である。
【図29】第2の体液吸収状態を示す平面図である。
【図30】他の、吸収性材と体液吸収性材との一体化形態を示す平面図である。
【図31】別の、吸収性材と体液吸収性材との一体化形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1…体液吸収性部、2…表面シート(表面層)、3…防漏層、4…外形シート、20…体液吸収体、21…使用面側シート、22…裏面側シート、23…固定部、24…チャンネル空間、25…吸収材、26…体液吸収性材、26A…高吸収性ポリマー、26B…担体、27…収縮性材、28…接着剤、30…固定部、r1,r2…隔室、X…ポリマー配置部分、Y…ポリマー非配置部分、Z…排尿部。
Claims (10)
- 身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層、および両者の間に設けられた体液吸収性部を有する吸収性物品であって、
体液との接触により収縮する所定長さの収縮性材と、この収縮性材に対して実質的に一体化された袋状担体およびその内部に保持された高吸収性ポリマーからなる体液吸収性材とから構成された吸収材が、前記体液吸収性部内に配置されるとともに、
この吸収材は、その一部が物品に対して固定され、且つこの固定部以外の部分が前記収縮性材の収縮力により固定部側へ移動するように設けられている、
ことを特徴とする体液吸収性物品。 - 前記袋状担体は前記収縮方向に延在する形状をなし、かつ内部の高吸収性ポリマーの膨張によって拡張可能なように形成された、請求項1記載の体液吸収性物品。
- 前記袋状担体は、前記収縮方向と直交する幅方向に折り畳まれた状態で前記体液吸収部内に配置され、かつ内部の高吸収性ポリマーの膨張によって前記折り返し部分が開かれ復元して拡張するように構成されるとともに、非折畳状態における幅に対して半分以下の幅となるように折り畳まれた状態で前記体液吸収部内に配置された、請求項2記載の体液吸収性物品。
- 前記袋状担体は、両側端部が幅方向中央側にそれぞれ折り返された状態で前記体液吸収部内に配置された、請求項3記載の体液吸収性物品。
- 前記袋状担体はタックを有し、内部の高吸収性ポリマーの膨張によって前記タックが広げられて拡張するように構成された、請求項2記載の体液吸収性物品。
- 前記袋状担体は、幅方向の拡張が抑制されるように構成された、請求項2〜5のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
- 前記収縮性材が、前記袋状担体における非拡張状態での幅方向中央部に配置された、請求項2〜6のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
- 身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層、および両者の間に設けられた体液吸収性部を有するとともに、
体液との接触により収縮する所定長さの収縮性材と、この収縮性材に対して実質的に一体化された袋状担体およびその内部に保持された高吸収性ポリマーからなる体液吸収性材とから構成された吸収材が、前記体液吸収性部内に配置されるとともに、
この吸収材は、その一部が物品に対して固定され、且つこの固定部以外の部分が前記収縮性材の収縮力により固定部側へ移動するように設けられている、
体液吸収性物品を製造する方法であって;
前記吸収材を前記収縮方向と直交する幅方向に折り畳みながら或いは前記袋状担体にタックを形成しながら、前記吸収材を前記体液吸収性部に対して取り付ける、
ことを特徴とする体液吸収性物品の製造方法。 - 前記吸収材を前記収縮方向と直交する幅方向に折り畳むにあたり、
折り畳みに先立って、前記袋状担体における厚さ方向の対向面相互を幅方向一端から他端まで連続線状に接合してなるシール部を、前記吸収材の収縮方向に間隔をおいて複数設ける、請求項8記載の体液吸収性物品の製造方法。 - 前記折畳またはタック形成を行った後、前記袋状担体における厚さ方向の対向面相互を幅方向一端から他端まで連続線状に接合してなるシール部を、前記吸収材の収縮方向に間隔をおいて複数設ける、請求項8記載の体液吸収性物品の製造方法。
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