JP4274484B2 - 風車の構造 - Google Patents

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本発明は、風車の構造に関するものである。
従来から下記の特許文献にあるように鉛直の回転軸と、この回転軸に一方の端を水平に取り付けた水平腕と、水平腕の他端に取り付けた鉛直ブレードより構成し、この鉛直ブレードが水平断面が翼型の二次元翼であるような風車の構造が知られている。
特許第3368536号公報 特許第3368537号公報 特許第3330141号公報
前記した従来の風車の構造にあっては、次のような問題点がある。
<1> 二次元翼の形状は一定であるから、風速が変化した場合にもその変化に対応することはできない。
<2> 特に風速が小さいときに、スムーズに風車を起動させることが困難である。
<3> 台風のときのように風力が強すぎる場合にそのまま風を受けて回転させたら破損する可能性があるから一般にブレーキ装置を設けてあるが、大型の風車になるとその慣性が大きいから、ブレーキを強く作動させるとブレードと回転軸を接続する水平腕などの固定部分が破損して周囲に飛散する危険性がある。
<4> 風速が変化すると、鉛直ブレードの回転数が変わるから、回転軸と連結している発電機のモーターの回転数も変化し、一定値の電力を得ることが困難である。
上記のような従来の装置の課題を解決した本発明の風車の構造は、鉛直の回転軸と、この回転軸に一方の端を水平に取り付けた水平腕と、水平腕の他端に取り付けた鉛直ブレードより構成し、この鉛直ブレードは、水平断面が翼型の二次元翼であり、この鉛直ブレードの表面の一部には、外部に向けて出入り可能な補助翼をもうけ、鉛直ブレードは中空であり、その内部には、補助翼の出入り運動を駆動する駆動装置と、駆動装置の動力源となる蓄電装置と、補助翼を駆動する駆動装置の駆動量を制御する制御装置を内蔵し、鉛直ブレードの表面には、太陽光発電装置を取り付けて構成し、低風速時には、補助翼はブレードから離れる方向に開き、高風速時には、補助翼は閉じるように作動する風車の構造を特徴としたものである。

本発明の風車の構造は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 風速が変化しても鉛直ブレードの断面形状を変化させて最適の形状を選択することができる。
<2> 風力が小さいときでも、鉛直ブレードの断面形状をそのときの風力に最も適した形状に変化させることができるから、きわめて小さい風力によっても起動させることができる、
<3> 特に大型の風力に高速の風が衝突するような場合に、鉛直ブレードの形状を変化させて回転数を落とすことができるから、台風の場合でも破損する危険性がない。
<4> 風力が変化しても鉛直ブレードはその風力の範囲で最適の形状を選択することができるから、発電機のモーターに常にほぼ一定の回転力を与えることができ、波長の均一な高い品質の電力を得ることができる。
以下図面を参照しながら本発明の風車の構造の実施例を説明する。
<1>全体の構成。
本発明の風車は、中央に鉛直に設立した回転軸1と、その回転軸1を中心にその周囲に均等に配置した鉛直ブレード2とより構成する。
鉛直の回転軸1と、その周囲に配置した鉛直ブレード2との間は、水平腕11で連結する。
この水平腕11の一端は、回転軸1に水平に取り付け、その他端を鉛直ブレード2の内側に取り付ける。
回転軸1の非回転部の一部に、あるいは回転軸1から離れた位置に発電機12を設置する。
<2>鉛直ブレード2。
この鉛直ブレード2は、水平断面が翼型の二次元翼である。
ここに「二次元翼」とは、翼の断面がすべて同一の翼型であり、幅が無限に長い翼をいう。したがって実際にはこの二次元翼の一部を一定幅で切り取った形状を呈する。
この鉛直ブレード2の水平断面は、図2に示すように前縁21から後縁22とを結んだ直線(翼弦線23)に対して非対称である。
すなわち鉛直ブレード2の、回転軸1側の面(以下「内側」という)の長さは、
外側の面の長さよりも短く形成してある。
その結果、飛行機の翼として知られているように揚力が生じ、これが鉛直ブレード2の場合には推進力となって作用する。
この鉛直ブレード2は、複数個所において水平腕11を介して回転軸1と連結しており、回転軸1の回転は発電機12のモーターに伝達して回転を与える。
なお、鉛直ブレード2は水平方向に複数のユニットに分割して製造し、それを現場で組み立てる構成を採用することができる。
その場合には後述するような、太陽電池4を取付けたユニットや、補助翼3を開閉するユニットを適宜の個数、組み合わせて鉛直ブレード2を構成することができる。
<3>補助翼3の設置。
以上のような水平断面が翼型の二次元翼である風車はすでに知られているが、本発明の鉛直ブレード2では、特に鉛直ブレード2の表面の一部に、ヒンジ31を取り付ける。
そして、このヒンジ31を介して鉛直ブレード2の表面から外部に向けて出入り可能な補助翼3を設けたことが特徴である。
補助翼3は、ヒンジ31を介して鉛直ブレード2の内側、外側、あるいはその両側の表面に扉状に取り付けてあり、扉が開くように開閉する板体である。
この補助翼3の開閉のためのヒンジ31は翼の断面と直交する方向、すなわち複数の鉛直ブレード2の中心に位置する鉛直の回転軸1と平行の方向に設置してある。
<4>補助翼3の設置位置。
鉛直ブレード2の断面形状において、前記したように風の方向に向かう端は「前縁21」、後ろは「後縁22」と称する。
そして補助翼3は、例えばブレード2の前縁21付近に取り付けることができる。(図5)
あるいは、補助翼3を両縁の中間位置に取り付けることができる。(図6)
あるいは、補助翼3を鉛直ブレード2の後縁22付近に取り付けることができる。(図7)
あるいは、補助翼3を鉛直ブレード2の複数個所に取り付けることができる。(図5)
あるいは、一箇所のヒンジ31に、ヒンジ31を共有した状態で2枚の補助翼3を取り付けることができる。(図7)
あるいはヒンジ31を近くに平行にならべて、各ヒンジ31に補助翼3を各々取り付けることができる。
<5>駆動装置。
鉛直ブレード2は中空であり、その内部に駆動装置24を内蔵する。
この駆動装置24は、補助翼3の出入り運動を駆動するための装置である。
駆動装置24として例えばモーターで回転する歯車とラックの組み合わせを採用することができる。
その場合には、モーターの回転によってラックを鉛直ブレード2の内空部から外部に押し出し、その押し出し力によって補助翼3の自由端を押し出して補助翼3を開扉する。
その他、油圧、空気圧ジャッキ、ばね、形状記憶合金、など公知の各種の開閉構造を採用することができる。
<6>蓄電装置25。
前記したように鉛直ブレード2は中空である。
そこでその内部に、蓄電装置25を内蔵する。
この蓄電装置25は、補助翼3を駆動する駆動装置24の動力源となる。
この蓄電装置25へ蓄電する電力は、後述する電源から取り入れる。
<7>太陽光発電装置。
太陽光発電装置は、太陽電池4と前記の蓄電装置25、交流または直流への変換器、充電放電コントローラーその他の関連部品から構成する。
この太陽光発電装置を構成する太陽電池4を、鉛直ブレード2の表面に取り付ける。
太陽電池4はすでに市販されているものを利用できるが、太陽電池4のセルは結晶系の場合に約10cm角のシリコンの薄い板であるから、セルをつなぎ合わせたモジュールを鉛直ブレード2の表面に多数枚並べることができる。
太陽電池4は、それ自体では蓄電機能がないから前記した蓄電装置25に蓄電して制御時に使用できるように構成する。
この太陽光発電装置によって後述するすべての機器の作動を行うことができる。
<8>制御装置26。
鉛直ブレード2の中空部には、さらに制御装置26を内蔵する。
この制御装置26は、補助翼3を駆動する駆動装置24の駆動量を制御するための装置であり、後述するセンサー5の信号を受けて制御量を出力する。
そのために、センサー5からのデータを入力し、そのデーターに基づいて駆動装置24を制御して補助翼3の出入り量を決定する。
例えば風力が小さいときには最大限利用できる状態で補助翼3の出入り量を決定し、台風のように風力の大きいときには鉛直ブレード2自体で回転の抵抗を生じるように補助翼3の出入り量を決定する。
<9>センサー5。
鉛直ブレード2の中空部にはセンサー5の本体を内蔵し、感知素子を鉛直ブレード2の表面に露出させる。あるいはセンサー5全体を鉛直ブレード2の表面に取り付ける。
このセンサー5は、前記した制御装置26に情報を入力するためのものである。
センサー5の機能としては、ブレード2内側、外側面の風速、気圧、内外の気圧差、実揚力、ブレード2の速度などを検知する。
回転中のブレード2の速度は、二箇所に設けた圧力計の圧力差から速度を測定するピトー管式風速計で測定することができる。
その他、熱式風速計、超音波風速計などを利用できる。
これらのセンサー5も市販のものである。
<10>低風速時。(図5a、図6a、図7a)
次に、補助翼3を鉛直ブレード2の断面において前縁21と後縁22との中間に設けた場合を例として補助翼3の機能を説明する。
低風速の際には、内側および外側補助翼3をブレード2表面から離れる方向に開く。
通常の風車は、片方のブレード2が風を受けると、反対位置のブレード2は風に対して抵抗となる。
しかし本発明のブレード2では風に向かうブレード2ではない、反対位置のブレード2において補助翼3を開いているから、この補助翼3が風に押されるブレード2となり、回転方向に押す力となる。
その結果、起動時、風の低速度時に、風に向かっていないブレード2も回転の抵抗にならず、回転方向に押す効果、すなわちサボニウス効果を期待することができる。(図4)
<11>高風速時。(図5b、図6b、図7b)
風力が大きくなったら、補助翼3を閉じる。
補助翼3を閉じることによって、元来のブレード2の形状に復元させることができるので、理想的な推進力によって回転を得ることができる。
<12>台風などの場合。(図5c、図6c、図7c)
台風などの過大な風力を受けて鉛直ブレード2が過大な回転数に至った場合には制動しなければならない。
そのために従来の風車は回転軸1にブレーキ装置を設ける設計をしている。しかし回転軸1側からの制動は、水平腕11やブレード2との連結部に過大な荷重を加えることになり、破損の可能性がある。
その点、本発明のブレード2は、回転しているブレード2自体で回転抑制を行うことができる。
すなわち、その場合には外側の補助翼3を開く。すると翼の表面に沿って移動する空気の流れが乱れて負圧部分が発生し、推進を引き止める作用をする。
その結果、ブレード2側において回転抑制効果が発生し、水平腕11や回転軸1に過剰な外力を与えることなく。回転数を低下させることができる。
なお、図示した補助翼3の作動は一例であって、複数の補助翼3に別々の作動を行わせるなど、その条件に応じた補助翼3の作動によって理想的な制御を行うことが可能である。
<13>定常回転。
以上のように、補助翼3の出し入れ、その出し入れの量の調整によって鉛直ブレード2自体で回転数を制御することができる。
したがってセンサー5によって検知する回転速度、回転数を制御装置26に入力し、そこで適正な値との比較回路を通じて駆動装置24に出力を行うように構成しておけば、制御装置26に設定した値に応じて一定速度での回転を維持、継続させることができる。
その結果、発電した電気の波長の乱れがなくなり、質のよい電力を生産することができる。
なお、制御装置26には外部から無線、有線で制御値を与え、あるいは修正させることも可能である。
本発明の風車の構造の全体の説明図。 鉛直ブレードの一部の説明図。 ブレードに太陽電池を取付けた実施例の側面図。 サボニウス効果の説明図。 補助翼の作動の説明図。 補助翼の作動の説明図。 補助翼の作動の説明図。
符号の説明
1:回転軸
2:鉛直ブレード
3:補助翼
4:太陽電池
5:センサー

Claims (2)

  1. 鉛直の回転軸と、
    この回転軸に一方の端を水平に取り付けた水平腕と、
    水平腕の他端に取り付けた鉛直ブレードより構成し、
    この鉛直ブレードは、水平断面が翼型の二次元翼であり、
    この鉛直ブレードの表面の一部には、外部に向けて出入り可能な補助翼をもうけ、
    鉛直ブレードは中空であり、
    その内部には、補助翼の出入り運動を駆動する駆動装置と、
    駆動装置の動力源となる蓄電装置と、
    補助翼を駆動する駆動装置の駆動量を制御する制御装置を内蔵し
    鉛直ブレードの表面には、
    太陽光発電装置を取り付けて構成し、
    低風速時には、補助翼はブレードから離れる方向に開き、
    高風速時には、補助翼は閉じるように作動する
    風車の構造。
  2. 鉛直ブレードには、
    制御装置に情報を入力するセンサーを設けた、
    請求項1記載の風車の構造。
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