JP4273444B2 - 研磨用被加工物保持具及びこれを用いた研磨方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、LCD用ガラス、カラーフィルター、セラミック基板、反射鏡、水晶発振子、半導体ウェーハなどの精密平面研磨が必要な研磨用被加工物保持具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LCD用ガラス、カラーフィルター、セラミック基板、反射鏡、水晶発振子、半導体ウェーハなどは研磨機により研磨加工される。
【0003】
研磨機は上側定盤と下側定盤とを有しており、それぞれが自転及び自・公転する機構を有している。下側定盤には研磨パッドが貼り合わされており、上側定盤には研磨用被加工物保持具により被加工物が保持されている。そして被加工物を研磨パッドに押し付け、両者の間に研磨砥粒を含む研磨液を供給して、被加工物と研磨パッドを相互に摺動させることにより加工が行われる。
【0004】
図7、図9及び図10に示すように、従来の研磨用被加工物保持具は被加工物が嵌合されるリセス孔21aが設けられた角形状或いは円形状のテンプレート21を有する。
【0005】
このテンプレート21の上側定盤に取り付けられている側の全面には、バッキング材23が接着剤22を介して貼り合わされている。更に特開昭63−93561号公報の第2図で開示された通りリセス孔の四隅に被加工物の嵌合、脱着を助けるために突出した穴が設けられたものもある。
【0006】
前記バッキング材23にはテンプレートのリセス孔21a内に嵌合された被加工物を保持するために適した高分子弾性発泡体が用いられる。バッキング材23は被加工物が水等の液体を介して強く押し付けられることにより被加工物に吸着して該被加工物を固定する。このバッキング材23は接着剤24を介して支持材25によって補強されており、更に前記支持材25の裏面に、粘着剤層26及び離型紙27が順次積層されている。
【0007】
この研磨用被加工物保持具は、離型紙27を剥がして上側定盤に粘着剤層26により貼り合わされて使用される。このとき、バッキング材23には、水等の液体が含浸されており、テンプレート21のリセス孔21a内に被加工物を嵌合させて前記バッキング材23に保持される。この状態で下側定盤に研磨液を保持し得る布や発泡体等の研磨パッド(図示せず)を貼り合わせておき、被加工物の研磨すべき面に所定の研磨パッドを当接させて、上側定盤及び下側定盤をそれぞれ回転させることにより研磨液が研磨パッドに保持され被加工物の表面が研磨される。研磨終了後に被加工物は研磨用被加工物保持具より脱着されて次工程に流される。
【0008】
前記被加工物の嵌合、脱着は人的手作業または、図11に示すような爪状着脱治具28により被加工物29の四隅を保持して行われている。また、特開昭61−230866号公報に開示された、切欠部を設けた研磨用の基板ホルダーが用いられていた。
【0009】
これらの場合、爪状着脱治具28により被加工物29の四隅を破損させたり、被加工物29の厚さが薄い場合は爪状着脱治具28の掴み代が小さく保持が困難となり被加工物29に曲げ応力がかかり変形してしまうことがある。一方掴み代を十分とるため爪状着脱治具を被加工物の厚さより更に突出させた場合、突出した爪でバッキング材を引っ掻いて破損させてしまうことがある。また人的手作業の場合、作業効率の低下、ゴミなどの異物が付着することもある。
【0010】
そしてバッキング材23が破損した場合、本来平坦であるはずのバッキング材23に隆起部分が発生し、それが研磨時に被加工物29に転写して被加工物29の平坦性が損なわれるという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、従来よりも被加工物や研磨用被加工物保持具自体の破損を抑制することができる研磨用被加工物保持具及びこれを用いた研磨方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の研磨用被加工物保持具は、被加工物が嵌合される角形状のリセス孔が開設されたテンプレートと、前記被加工物を保持する弾性体からなるバッキング材とが相互に固定され、前記バッキング材の裏面に支持材が固定され、この支持材の裏面に粘着材層が設けられた研磨用被加工物保持具であって、前記テンプレートの前記リセス孔周縁の隅部以外の箇所に凹部を設け、前記バッキング材、接着剤層、支持材、及び粘着剤層の前記凹部に対応する箇所にこれらを貫通する貫通穴を設けたことを特徴とする。
【0013】
このように構成したので、リセス孔周縁の隅部以外の箇所に設けた嵌合、脱着穴から爪状着脱治具等を差し込むと、角部などの隅部から差し込む場合よりも被加工物とバッキング材との相互間に空気が侵入し易く、従って被加工物を外し易い。また貫通して穴部となっているので、爪状着脱治具等の爪先で研磨用被加工物保持具、バッキング材を引っ掻いて破損させたりすることを防止でき、バッキング材隆起による被加工物の平坦性不良を抑える。
(2)前記貫通穴は、前記リセス孔周縁よりも内側にまで及んでいるものとしてもよい。
(3)前記凹部がリセス孔周縁外周をリセス孔中心からの垂線と前記外周との交点を基点として4等分以上等分する各位置に均等に設けられていてもよい。このようにした場合、爪状脱着治具等で被加工物を保持する際、被加工物に掛かる応力が均等となり破損が防止できる。
(4)前記リセス孔が開設されていないテンプレート部分に研磨機上側定盤への取り付け時の位置決め穴を設けてもよい。このような構成にした場合、爪状脱着治具等を常に一定の位置で稼動させることができ、被加工物の嵌合、脱着作業の安定化を促進できる。
(5)前記テンプレートにリセス孔が複数形成されていてもよい。このような構成にすると、同時に複数の被加工物が処理でき生産性の向上を図ることができる。
(6)この被加工物の研磨方法は、研磨定盤上に設けられた研磨パッドに被加工物の加工面を摺接させるためのものであって、被加工物の研磨保持具に、前記研磨用被加工物保持具を用いることとしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
この実施形態の研磨用被加工物保持具は、研磨定盤上に設けられた研磨パッドに被加工物の加工面を摺接させるための研磨用被加工物保持具である。そして例えば角形状の被加工物を研磨する際に使用される。
【0016】
図1乃至図6に示すように、この研磨用被加工物保持具は角形状のリセス孔1aが開設されたテンプレート1を有する。このテンプレート1は、靱性と耐摩耗性に優れた材質で構成されており、バッキング材3が接着剤層2によって接着されている。
【0017】
前記リセス孔1aの周縁の適当な位置には被加工物嵌合、脱着用爪状着脱治具の挿入用の穴(凹部8)が設けられている。
【0018】
バッキング材3の裏面には接着剤層4を介して支持材5が接着されており、この支持材5の裏面に粘着剤層6を介して、離型紙7が貼着されている。バッキング材3は内部に微細な空隙を有するようにマイクロポーラス状に発泡された高分子により構成されている。
【0019】
テンプレート1は靱性と耐摩耗性に優れたエンジニアリングプラスチックで構成されており、ベークライト、ポリカーボネート、硬質ポリウレタン、硬質塩化ビニル、硬質ポリエチレン、ガラス入りエポキシ等の半剛性材料の他、更に高硬度な充填樹脂複合材シートなども使用し得る。
【0020】
テンプレート1に開設されるリセス孔1aは、一個に限らず、複数個であってもよい。なおリセス孔1aは、一般に角形状で、例えば600mm角や900mm角、更には600mm×900mm等の被加工物の寸法に合わせて定められる。また、三角形や五角以上の多角形、星形等の形状であってもよい。
【0021】
前記被加工物嵌合、爪状着脱治具挿入用の穴(凹部8)の大きさは前記爪の形状に依存するものであるが前記爪の幅の102%〜105%程度になるように構成することが好ましい。102%より小さい場合、前記爪で穴周辺のテンプレートやバッキング材に接触しこれらを破損させてしまう可能性がある。一方、105%より大きい場合は、穴周辺の被加工物保持力を低下させ、テンプレート1とバッキング材3の接着が破壊されて、テンプレートが破損する可能性がある。なお、リセス孔が開設されていないテンプレート部分に研磨機上側定盤への取り付け時の位置決め穴9(図6参照)を設けてあり、位置決めが十分である場合であっても研磨用被加工物保持具の加工バラツキを考慮し、前記穴幅があった方が好ましい。
【0022】
接着剤層4、支持材5、粘着剤層6、離型紙7から成るシート材料は、粘着剤を不織布に含浸させた両面粘着テープや、接着剤層と粘着剤層から成るシート材料としてもよい。
【0023】
テンプレート1は靱性と耐摩耗性に優れた材質で構成する。例えばベークライトなどの繊維質充填材や高靱性エンジニアリングプラスチック、熱硬化性樹脂や炭素繊維などの高機能性無機繊維或いはケブラー(デュポン社商標)繊維などの高耐摩耗性繊維とプラスチック、樹脂、或いは合成ゴムなどの複合物、又はこれらマトリックス物質単体やカレンダー加工したものがある。そしてリセス孔は例えばエンドミル加工により設けられる。
【0024】
ところでテンプレートの材質は被加工物の材質と面寸法や厚み、形状を勘案して適当な物性を有する素材を選定するが、被加工物がLCDガラスの場合は硬度がロックウエルM125以下であってR60以上さらには圧縮強度が、400〜2500Kgf/cm2の範囲が望ましく、さらに耐熱性と耐摩耗性、いわゆる微振動繰り返し衝撃摩耗に対する耐性が特に重要である。この耐性は、落球式衝撃試験機を使用して、小エネルギー水準での繰り返し落球式衝撃試験を行ない、破壊するまでの累積衝撃エネルギーの大きい材質が良好な結果を与えた。
【0025】
バッキング材3は、水等の液体をその表面に介在させることによって、被加工物が強く押し付けられたときに、この被加工物を吸着保持し得るものであればよい。またこのバッキング材3は、支持材5と接着剤層4を介して接着されているが、所定の発泡組成物を支持材5上に直接設けて、湿式凝固法により一体成形してもよい。
【0026】
次に、この実施形態の研磨用被加工物保持具の製造の仕方を説明する。
【0027】
図1及び図2に示す参考例の研磨用被加工物保持具は、まず支持材5に接着剤層4を介してバッキング材3を積層し、前記積層体にあらかじめリセス孔周縁の所定位置にエンドミル加工等の加工により被加工物の嵌合、脱着穴を設けたテンプレート1を、接着剤層2を介して接着させることにより形成することができる。さらに所定サイズの金型により前記穴周辺のバッキング材3、支持材5及び接着剤層4を打ち抜き貫通穴としても良い。その後リセス孔が開設されていないテンプレート部分に研磨機上側定盤への取り付け時の位置決め穴9を金型などによる打ち抜きで設けても良い。
【0028】
【実施例】
次にこの発明の構成をより具体的に説明する。
【0029】
(参考例1)
ベークライト製の長方形板状物(厚さ620μm、外径1000mm×900mm、新神戸電機製、商品名PL−FLE−P)に両面接着テープ(日本マタイ社製、商品名エルファン)を熱ローラーにより貼り合わせた後、前記ベークライト製の長方形板状物中央部に対し、700mm×600mmのリセス孔が設けられ、テンプレートの孔周縁四隅に、中心点を角部とした直径12mmの穴及び前記ベークライト製の長方形板状物中心点よりリセス孔短径方向への垂線と短径との交点を基点としてリセス孔周縁を6等分する各点に幅21mm、奥行き13mmの被加工物の嵌合、脱着穴が設けられた。
【0030】
被加工物をリセス孔に受け入れる側の面が微細発泡構造であるバッキング材(ロデール・ニッタ社製、商品名NF−200)を、1000mm×900mmに切り出し、ポリエステルシートを芯材とする両面粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名#442)を、前記バッキング材の支持材面に熱ローラーにより貼り合わせた。
【0031】
両面接着テープを貼着した前記テンプレートと前記バッキング材を熱プレスを用いて貼り合わせ、図1及び図2に示すような研磨用被加工物保持具を得た。
【0032】
この研磨用被加工物保持具を用い、片面研磨機(日立造船製超精密ガラス研磨機)により研磨処理を行った。被加工物はLCDガラス(外径:700mm×600mm)、研磨条件は次の(1)〜(4)の通りとした。
(1)保持具取付け方法:キャリアプレートに保持具支持材面の両面粘着テープで貼着した。
(2)研磨条件:研磨クロス(Supreme RN−H)、研磨スラリー(CEPOL132、30倍希釈)、加工圧力(200g/cm2 )、スラリー流量(500ml/min)、加工時間(10min)。
(3)被加工物取り付け方法:爪状着脱治具により被加工物を保持し、保持具リセス孔に嵌合させる。
(4)被加工物取り外し方法:研磨終了後保持具リセス孔に嵌合された被加工物を爪状着脱治具により掴み、脱着させる。
【0033】
研磨後の脱着に要した時間、被加工物及びバッキング材の破損状況並びに目視によるLCDガラスへの異物付着状況を調査した。
【0034】
すると1枚当たり2.3秒の脱着時間が要された。更に順次研磨すると、LCDガラス及び研磨用被加工物保持具のバッキング材の破損を発生させることなく前記脱着時間を最後まで保持して277枚処理することができた。277枚研磨後において初めてバッキング材に破損(破れ)が生じた。また、いずれのLCDガラスも異物付着は見られなかった。
(参考例2)
参考例1と同様に、ベークライト製の長方形板状物中央部に対し、700mm×600mmのリセス孔が設けられ、テンプレートの孔周縁四隅に中心点を角部に直径12mmの穴及び前記ベークライト製の長方形板状物中心点よりリセス孔短径方向への垂線と短径との交点を基点としてリセス孔周縁を4等分する各点に幅21mm、奥行き13mmの被加工物の嵌合、脱着穴が設けられた後、被加工物をリセス孔に受け入れる側の面が微細発泡構造であるバッキング材を、1000mm×900mmに切り出し、ポリエステルシートを芯材とする両面粘着テープを、前記バッキング材の支持材面に熱ローラーにより貼り合わせ、図3に示すような研磨用被加工物保持具を作製した。
【0035】
参考例1と同様の研磨条件でLCDガラスを研磨すると、1枚当たり3.1秒の脱着時間が要された。更に順次研磨すると、LCDガラス及びバッキング材の破損を発生させることなく前記脱着時間を最後まで保持して213枚処理することができた。213枚研磨後において初めてバッキング材に破損(破れ)が生じた。また、いずれのLCDガラスも異物付着は見られなかった。
(実施例)
上記参考例1と同様の処理の後、前記嵌合、脱着穴最外辺を基線に内側に幅21mm、奥行き25mmの貫通穴を金型で打ち抜き、図4及び図5に示すような研磨用被加工物保持具を作製した。
【0036】
参考例1と同様の研磨条件でLCDガラスを研磨すると、1枚当たり2.2秒の脱着時間が要された。更に順次研磨すると、LCDガラス及びバッキング材の破損を発生させることなく前記脱着時間を最後まで保持して384枚処理することができた。384枚研磨後において初めて爪状着脱治具と接触しているLCDガラスの端部に破損(ヒビ)が生じた。また、いずれのLCDガラスも異物付着は見られなかった。
(参考例3)
上記実施例と同様の処理の後、前記垂線の延長線上にあってテンプレートの外周辺とリセス孔の外周辺の間の中心点、及びテンプレートの中心点を基準とし前記点より120°移動させた点の計3点に4mmパイの研磨用被加工物保持具の上側定盤への位置決め用貫通穴を設け、図6に示すような研磨用被加工物保持具を作製した。
【0037】
参考例1と同様の研磨条件でLCDガラスを研磨すると、1枚当たり2.2秒の脱着時間が要された。更に順次研磨すると、LCDガラス及びバッキング材の破損を発生させることなく前記脱着時間を最後まで保持して513枚処理することができた。513枚研磨後においてLCDガラスの保持ができなくなった。これは、バッキング材が完全変形状態となり保持機能の寿命に達したことを意味するものである。また、いずれのLCDガラスも異物付着は見られなかった。
(比較例1)
上記実施例と同様のベークライト製の長方形板状物に両面接着テープを熱ローラーにより貼り合わせた後、前記ベークライト製の長方形板状物中央部に対し、リセス孔が設けられ、テンプレートの孔周縁四隅に中心点を角部に直径12mmの穴が設けられ、被加工物をリセス孔に受け入れる側の面が微細発泡構造であるバッキング材にポリエステルシートを芯材とする両面粘着テープを、前記バッキング材の支持材面に熱ローラーにより貼り合わせ、両面接着テープを貼着した前記テンプレートと前記バッキング材を熱プレスを用いて貼り合わせ、図7に示すような研磨用被加工物保持具を得た。
【0038】
参考例1と同様の研磨条件でLCDガラスを研磨すると、1枚当たり3.3秒の脱着時間が要された。更に順次研磨すると、LCDガラス及びバッキング材の破損を発生させることなく前記脱着時間を最後まで保持して79枚処理することができた。79枚研磨後においてLCDガラスの一角に破損(ヒビ)が生じた。また、いずれのLCDガラスも異物付着は見られなかった。
(比較例2)上記実施例と同様のベークライト製の長方形板状物に両面接着テープを熱ローラーにより貼り合わせた後、前記ベークライト製の長方形板状物中央部に対し、リセス孔が設けられ、被加工物をリセス孔に受け入れる側の面が微細発泡構造であるバッキング材にポリエステルシートを芯材とする両面粘着テープを、前記バッキング材の支持材面に熱ローラーにより貼り合わせ、両面接着テープを貼着した前記テンプレートと前記バッキング材を熱プレスを用いて貼り合わせ、図8に示すような研磨用被加工物保持具を得た。
【0039】
参考例1と同様の研磨条件(1)を行った後、手作業にてLCDガラスを取り付け、参考例1と同様の研磨条件(2)でLCDガラスを研磨した後、手作業にてLCDガラスを脱着させると、1枚当たり13.7秒の脱着時間が要された。更に順次研磨すると、LCDガラス及びバッキング材の破損を発生させることなく前記脱着時間を最後まで保持して108枚処理することができた。108枚研磨後においてLCDガラスに破損(割れ)が生じた。また、72枚目処理後以降のLCDガラスにおいて17枚で異物付着が見られた。
【0040】
上記の通りこの実施例の研磨用被加工物保持具は、研磨時に被加工物の着脱を容易にできるので、作業時間を短縮でき、また爪状脱着治具からの応力を緩和できるため被加工物の破損が防止でき、さらには、バッキング材への引っ掻きキズなども防止できるという利点がある。したがって研磨用被加工物保持具のテンプレートの破損等による短寿命が克服でき、使用可能寿命を延長し交換頻度を軽減することができ、研磨作業効率が向上し経済性に優れるという利点がある。
【0041】
【発明の効果】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
【0042】
被加工物を外し易いので、従来よりも被加工物や研磨用被加工物保持具自体の破損を抑制することができる研磨用被加工物保持具及びこれを用いた研磨方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の研磨用被加工物保持具の参考例1を説明する斜視図。
【図2】図1の研磨用被加工物保持具のII−II線矢視図。
【図3】この発明の研磨用被加工物保持具の参考例2を説明する平面図。
【図4】この発明の研磨用被加工物保持具の実施例を説明する斜視図。
【図5】図4の研磨用被加工物保持具のV−V線矢視図。
【図6】この発明の研磨用被加工物保持具の参考例3を説明する斜視図。
【図7】従来の研磨用被加工物保持具の比較例1を説明する平面図。
【図8】従来の研磨用被加工物保持具の比較例2を説明する平面図。
【図9】図7の研磨用被加工物保持具の要部断面図。
【図10】図2の研磨用被加工物保持具のうちテンプレートとバッキング材との部分の構造を説明する斜視図。
【図11】爪状着脱治具による研磨用被加工物保持具への被加工物の嵌合、脱着を説明する斜視図。
【符号の説明】
1 テンプレート
1aリセス孔
3 バッキング材
8 凹部
9 位置決め穴
Claims (6)
- 被加工物が嵌合される角形状のリセス孔が開設されたテンプレートと、前記被加工物を保持する弾性体からなるバッキング材とが相互に固定され、前記バッキング材の裏面に支持材が固定され、この支持材の裏面に粘着材層が設けられた研磨用被加工物保持具であって、前記テンプレートの前記リセス孔周縁の隅部以外の箇所に凹部を設け、前記バッキング材、接着剤層、支持材、及び粘着剤層の前記凹部に対応する箇所にこれらを貫通する貫通穴を設けたことを特徴とする研磨用被加工物保持具。
- 前記貫通穴は、前記リセス孔周縁よりも内側にまで及んでいる請求項1記載の研磨用被加工物保持具。
- 前記凹部がリセス孔周縁外周をリセス孔中心からの垂線と前記外周との交点を基点として4等分以上等分する各位置に均等に設けられた請求項1又は2記載の研磨用被加工物保持具。
- 前記リセス孔が開設されていないテンプレート部分に研磨機上側定盤への取り付け時の位置決め穴を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載の研磨用被加工物保持具。
- 前記テンプレートにリセス孔が複数形成された請求項1乃至4のいずれかに記載の研磨用被加工物保持具。
- 研磨定盤上に設けられた研磨パッドに被加工物の加工面を摺接させるための被加工物の研磨方法であって、被加工物の研磨保持具に請求項1乃至5のいずれかに記載の研磨用被加工物保持具を用いることを特徴とする被加工物の研磨方法。
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