JP4273141B2 - 集束イオンビーム装置 - Google Patents

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Description

本発明は、イオンビームを試料上に集束させて試料の加工或いは観察の少なくとも一方を行う集束イオンビーム装置に関する。
FIB装置(Focused Ion Beam装置、集束イオンビーム装置)は、細く集束されたイオンビームを試料に照射することにより試料を微細加工し、また像観察するための装置として実用に供されている。イオンビームは光軸上に磁場が存在する場合にはローレンツ力を受けて偏向する。FIB装置の加速電圧は通常数10kV程度であるため、地磁気によってさえもビームスポットが数10μm以上ずれる場合がある。更に通常使用されるイオン種であるGaは2種類の同位体69Gaと71Gaを含んでおり、各々磁場による偏向の度合いが異なるためビームが2本に分離することがある。またイオンがクラスターを形成している場合にもやはりビームは分離する。ビームスポットのずれが数10μmであれば、分離した2種の同位体イオンビーム間の距離は質量電荷比の差に依存し1μm程度になる場合もある。FIB装置はナノメータレベルの超微細加工を目的として使用されているため、このような現象を回避或いは抑制することが必須である。
光軸上の磁場を排する最も簡便な方法はイオンビームカラムを磁性体で被って磁気遮蔽することであり、従来この方法が用いられてきた。更に特許文献1にはFIB装置の先端部にも磁気遮蔽を施す技術が開示されている。
しかし試料の近傍まで完全に磁気遮蔽することは困難である。試料を含めて装置全体を磁気遮蔽体で被えばほぼ完全に磁気遮蔽をすることが可能であるが、実用上、磁気遮蔽体を完全な遮蔽構造にすることはできず、実際には磁気遮蔽体に設けざるを得ない穴からの磁場の侵入は避けられない。通常のFIB装置は、試料上の所望の位置へイオンビームを照射するために静電型偏向器を備えている。これを用いて磁場による試料上のイオンビームスポットのずれを補正することは可能であるが、同時に同位体分離を解消することは不可能である。
他にイオンビームを積極的に偏向させる手段としてウィーン・フィルタが特許文献3に開示されているが、これはむしろ同位体を強く分離させることにより不要な同位体成分を壁に衝突させて排除する目的で使用されている。そのためイオンビームの出射口は非常に狭く、外部磁場が存在する場合にはイオンビームを通過させることが困難である。そこでイオンビーム光軸上に磁場が存在してもイオンビームスポットがずれることなく、同位体分離も生じさせない技術の開発が望まれる。
このことはFIBカラムとSEMカラムを合わせ持つFIB−SEMの場合にはより重要である。FIB−SEMはFIB装置で加工した試料をより高い分解能で観察するため、観察用SEM(Scanning Electron Microscope、走査電子顕微鏡)とFIB装置を組み合わせて最近実用化された装置である。SEMの対物レンズは通常電磁石で構成されるが、より高い分解能を得るためにはセミインレンズ型、或いはシュノーケル型と称される、試料側に磁場を漏らすタイプのレンズを使用する必要がある。これらの磁場はFIB光軸上まで侵入するためイオンビームを強く偏向し、イオンビームが複数種の質量電荷比の異なるビームから構成されている場合にはこれらのビームを分離させる。イオンビームをSEMの対物レンズの近くにある試料に照射する必要があるため、イオンビームの光軸を十分に磁気遮蔽するのは不可能であり、またSEMの対物レンズの近くに磁気遮蔽体を配置することによりSEM対物レンズの磁場が乱され、SEMの分解能に悪影響を与えるという問題もある。
試料近傍まで磁場を漏らすタイプのSEMを用いたFIB−SEMの使用に当たっては、FIB装置により試料を微細加工する間はSEMの対物レンズの磁場を停止し、SEMで試料を観察する間はFIBを停止するという方法が採られている。しかしSEM対物レンズの励磁電流を停止しても磁場は残留し、その残留磁場が時間とともに変化し、それによってイオンビームのスポットが時間とともに移動するという問題がある。これを回避する技術として、残留磁場を消失させるための消磁コイルをSEM対物レンズの近傍に配置する技術が特許文献2に開示されている。しかしSEMからFIB装置に切り替える度にSEM対物レンズの消磁を行わなければならず煩雑である。
FIB装置で試料を微細加工しながら同時にSEMで観察する場合には、従来はSEMの対物レンズとして磁場を漏らさないアウトレンズ型が使用されて来た。しかしSEMの更なる高分解能化が求められ、セミインレンズ型の対物レンズの使用が避けられなくなりつつある。したがってイオンビームの光軸上に磁場が存在していても、更には磁場が変動してもイオンビームが同位体分離せず、試料上のイオンビームスポットの位置も変化しないFIB装置及びFIB−SEMを実現する技術が望まれていた。
これに応えるものとして、特許文献4にはイオンビームの光軸上に補正磁場を発生させ、光軸上の外部磁場あるいはSEMの対物レンズからの漏れ磁場によるイオンビームの偏向を補正磁場による偏向で相殺し、その結果として試料上のビームスポット位置が磁場の存在しない場合と一致するように光学系を構成する技術が開示されている。このように構成すると、イオンビームが複数種の同位体を含む場合でも、その光路は分離により異なっても、試料上のビームスポット位置では全ての同位体のイオンビームが再度同一点に集束する。
特開平11−329318号公報 特開平11−329320号公報 特開平7−296756号公報 特開2006−40809号公報
しかしながら、FIB装置の加工精度はナノメータレベルであるから、補正磁場の空間的一様性に対する要求は極めて高い。イオンビームを試料上で充分細く収束させるためには、補正磁場の位置でのビーム径よりも広い範囲にわたって充分一様な補正磁場を発生させることが必要となる。しかしながら、特許文献4で開示された補正磁場発生部のような対向するポールピース間に磁場を発生させる単純な構造では、外部磁場を相殺する補正磁場が必ずしも精度良く発生させられないことが知見された。その要因としては、装置の取り付け誤差や製作誤差、或いは他の装置(FIB−SEMのSEMも含む)からの磁場や地磁気等の影響が考えられる。そこで、より一様性の高い補正磁場を発生させるための新たな技術が望まれていた。
本発明は、イオンビーム光軸上に磁場が存在し更に磁場が変動する場合でも、試料上でイオンビームの同位体分離を生じさせることなく、磁場がない場合のビームスポット位置へ高精度に集束させることができる集束イオンビーム装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、イオンビームの光軸上の磁場の光軸に垂直な成分が互いに逆向きになる領域が存在し、その結果として試料上のビームスポット位置が磁場の存在しない場合と一致するように光学系を構成する。このように構成すると、イオンビームが複数種の同位体を含む場合でも、その光路は分離により異なってもビームスポット位置では全ての同位体のイオンビームが再度同一点に集束する。
特にFIB−SEMの場合には主たる磁場の源はSEMの対物レンズであるが、SEMの光軸近傍の狭い領域では例えば下向き(或いは上向き)の強い磁場が存在し、対物レンズの外側の広い領域には上向き(或いは下向き)の弱い磁場が存在する。この両者を適当な割合で貫通するようにイオンビームの光学系を構成することにより、上記の効果を得ることができる。
イオンビームスポット位置を微調整するためには、イオンビームの光軸上に補正磁場発生部を設け、積極的に所望の磁場を発生させるのがよい。補正磁場の大きさを外部磁場(FIB−SEMの場合にはSEMの対物レンズからの磁場も含む)に比例させると、外部磁場が変動する場合でも常に上記の効果を維持することができる。
補正磁場はイオンビームの直径よりも広い空間で非常に高い一様性を持つ必要がある。これを実現するためには、対向するポールピースの各々を2分割し、その隙間を適切に設定することが有効である。
本発明によれば、イオンビーム光軸上に磁場が存在し、更に磁場が変動する場合でもイオンビームが試料上で同位体分離を生じることが無く、磁場がない場合のビームスポット位置へ集束させることができる。
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
本発明はイオンビームを試料上に集束させて試料の加工或いは観察の少なくとも一方を行う集束イオンビーム装置に係るものであり、試料の観察に用いるFIB装置、試料の加工に用いるFIB装置、その両方に用いるFIB装置のいずれにも適用可能なものである。
第1の実施の形態
図1は本発明の第1の実施の形態に係る集束イオンビーム装置(以下、FIB装置とする)全体の概略図である。
本実施の形態における集束イオンビーム装置は、イオン源1と、イオンビーム光学系32と、このイオン光学系と同一試料室内に設けたSEM17とを備えている。イオンビーム光学系32は、加速電極2、静電型コンデンサレンズ4、静電型対物レンズ6等を備えている。
Ga液体金属イオン源1から放出されたGaイオンは加速電極2が発生する電場により加速され、30keVの運動エネルギーを持つGaイオンビーム3となる。イオンビームは静電型コンデンサレンズ4で一旦クロスオーバー5に集束され(あるいは、クロスオーバーを持たせずビーム径を殆ど変えずに集束され)、更に静電型対物レンズ6で試料7上に集束される。Gaイオンビーム3は69Ga及び71Gaの2種類の同位体からなり、69Gaと71Gaの含有量の比は約6:4である。
イオンビーム照射によって試料7から発生する二次電子を検出器(図示せず)で検出することによって試料7をSIM像にて観察することもできるが、SIM像よりも高分解能で試料7を画像観察する場合にはSEM17を使用する。
SEM17において、陰極21から発生した電子ビーム11は、図示しない加速電極やコンデンサレンズ等の電子光学系を通過した後、対物レンズ8で試料7上に集束される。これにより試料7表面から発生した二次電子は、SEM17の電子ビーム11の光軸近傍を通ってE×B22に入射し、E×B22の磁場及び電場によって偏向して二次電子検出器23で検出される。E×B22の電場と磁場は、陰極21からの電子ビーム11に対しては互いにその効果を相殺し影響を与えないように調整されている。
イオンビーム3の光軸とSEM17の電子ビーム11の光軸は試料7上のほぼ一点で交差しており、イオンビーム3で試料7を微細加工しながら被加工領域をSEM17で同時観察することもできる。但し、ここで言う「ほぼ一点」とは、イオンビーム3の試料7上のスポットがSEM17の視野すなわち電子ビーム11の走査範囲に含まれる程度に近いことを意味し、高分解能でSEM観察する場合には例えば1μm程度の範囲内である。つまり、イオンビーム3のビームスポットと電子ビーム11のビームスポットは試料7上で干渉可能な程度に近接している。
SEM17の対物レンズ8はレンズ主面を試料7に近付け、高分解能化を図るために積極的に磁場(磁力線に符号25を付した)を試料7側へ分布させるセミインレンズ型、或いはシュノーケル型レンズと呼ばれるものである。したがってイオンビーム3の光軸上にはSEM17の対物レンズ8から発生する磁場が分布している。しかし、対物レンズ8をアウトレンズ型に代えても何ら問題ない。
セミインレンズ型或いはシュノーケル型レンズの対物レンズ8から発生する磁場のうち、イオンビーム3の光軸に垂直な成分がローレンツ力によりイオンビーム3を偏向させるが、この磁場成分は図2に示すように、SEM17の対物レンズ8の近傍とそれ以外の領域では逆向きになっている。図2の横軸は試料7上のイオンビームスポット位置(つまり試料7位置)を原点とした、イオンビーム光軸上の座標である。
イオンビーム光学系32のイオン源1に近い側は磁気遮蔽体9で覆われているため殆ど磁場がない。イオンビーム3は磁気遮蔽体9で覆われていない領域に出ると磁場が作用する。その結果、ローレンツ力を受けて図1中の紙面直交方向(例えば奥向き)に偏向する。更に進んでSEM17の対物レンズ8の近傍にさしかかると、図2のように逆向きの磁場を感じ、その結果、反対向き(例えば紙面直交方向手前向き)のローレンツ力を受けてその向きに偏向しつつ試料7の表面に達する。このときのイオンビームスポット位置は磁場が存在しない場合の位置の近傍にあるが、完全に一致させることは難しい。
磁気遮蔽体9で覆うイオンビーム光学系の領域32は、イオンビームスポットが磁場のない場合の位置にできるだけ接近するように決定されている。図3は図2の磁場の影響下にある場合のイオンビームの軌道を示している。
ここで、上述した磁場によるイオンビーム偏向の結果として生ずる試料上のイオンビームスポットのずれを数式で表現する。
イオンの運動方程式は(式1)のように表現できる。
Figure 0004273141

Figure 0004273141
y方向については磁場がない場合と差がないか小さいので省略する。z方向につ
いては運動方程式と等価な次式を用いるのが便利である。これはエネルギー保存則を意味している。
Figure 0004273141
ここでVaccは加速電圧、φ(z)はzにおける電位である。
(式2)の左辺を変形して次式を得る。
Figure 0004273141
(式4)及び(式3)を(式2)に代入して積分すると試料上のビームスポットの変位Δxが得られる。ここでイオンビームの出射点から試料までの距離をLとした。出射点は光軸上の磁場の及ばない点であればどこにとっても良い。
Figure 0004273141
(式5)において、第2項はイオンの質量も磁場も含んでいない。すなわち磁場が存在しないときのビームに対応し、FIBの対物レンズによる変位を表している。光軸を通るビームに対してはExも0であるから、ビームは原点を通る。第1項は磁場に依存する。この項は√mに反比例するので磁場による同位体分離に対応しており、同位体の質量差をΔmとすると同位体分離幅δは
Figure 0004273141
で与えられる。
上記磁気遮蔽体9の試料側端面の位置は(式5)の第1項を可能な限り小さくするLに一致するように決定している。
ところでSEM17の対物レンズ8からの漏洩磁場に適切な補正磁場を重畳させて、第1項の積分が完全に0になるように磁場By(z)を調整することはいつでも可能である。このような補正磁場をイオンビーム光軸上に発生させることによって(式5)の第1項を消去すれば、試料7上のビームスポット位置に対して第1近似の範囲内で磁場の影響を完全に排除できる、すなわち磁場によるビームの偏向と同位体分離を同時に相殺できることを(式5)は示している。
本実施の形態では以上の知見に基づき、イオンビームスポット位置を磁場がない場合の位置に完全に一致させるために、イオンビーム3の光軸上に、集束イオンビーム光学系32の外からの磁場の影響によるイオンビーム3の偏向を補正する補正磁場を発生させる補正磁場発生部10を用いている。補正磁場発生部10は、静電型コンデンサレンズ4よりもビーム進行方向下流側(下方)に配置されている。
ここで、本実施の形態における補正磁場発生部10の構成を説明する前に、比較例としての補正磁場発生部10’の構成について説明する。
比較例における補正磁場発生部10’は図4A及び図4Bに示すように一対の対向したコイル15と純鉄製の磁路16で構成されている。図4Aは図1と同方向から見た補正磁場発生部10’の拡大図、図4Bはその上面図である。
図4A及び図4Bにおいて、磁路16は、イオンビーム3の光軸上で補正磁場(磁力線25で示した)を発生させると同時に、コイル15から外部への漏れ磁場を抑制するための磁気遮蔽体の役割をしている。磁路31の材料は純鉄に限ることなく、パーマロイやパーメンダ等の透磁率が大きく保磁力が小さい磁性体なら何でも良い。透磁率が大きいほど外部への漏れ磁場を小さくすることができる。
本実施の形態の集束イオンビーム装置に補正磁場発生装置10の代わりに補正磁場発生部10’を設けた場合、補正磁場発生装置10’によってイオンビーム3の光軸上に発生する補正磁場の磁力線25の方向は図1及び図4Aの紙面に平行でイオンビーム光軸に垂直である。このようにすると、イオンビーム3には紙面と光軸に垂直な方向にローレンツ力が作用する。この方向はSEM17の対物レンズ8からの磁場によるローレンツ力と平行であるため、補正磁場の向きと大きさを調整することにより、理論上は試料7上のイオンビームスポットの位置を磁場がない場合の位置に完全に一致させることができる。数学的には上記(式5)の第1項を0にすることと同義である。
しかしながら、FIB装置に要求される加工精度はナノメータレベルであるから、イオンビームスポットの位置を磁場がない場合の位置に完全に一致させるには、補正磁場に極めて高い空間的一様性が求められる。したがって、比較例に示したような単純構造の補正磁場発生部10’では、例えば補正磁場発生部10’の取り付け誤差や製作誤差等によって僅かに補正磁場の方向がずれた場合、また地磁気の影響が無視できない場合等、外部からの漏洩磁場を必ずしも十分に相殺できるとは限らない。SEM17の取り付け誤差や製作誤差に起因して外部からの磁場の方向にずれが生じた場合も同様である。
本実施の形態における補正磁場発生部10は、こうした技術課題を解決するものであり、補正磁場の方向を必要に応じて微調整し補正磁場の空間的な一様性を一層向上させるものである。
図5は本発明の補正磁場発生部10の上面図で、図4Bと同方向から見た図である。補正されるべき外部磁場あるいはSEM17の対物レンズ8からの漏洩磁場はy方向に平行とする。
補正磁場発生部10は、都合4個のポールピース26a〜26dを備えており、そのうち2つの隣接するポールピース26a,26bがx軸方向に沿って寸法dの隙間を介し並べて配置され、1つのポールピース対26Aをなしている。これらポールピース26a,26bそのものはy軸に沿った姿勢で固定され、互いに平行な位置関係にある。同様に、残り2つの隣接するポールピース26c,26dがx軸に沿って寸法dの隙間を介し並べて配置され、1つのポールピース対26Bをなしている。これらポールピース26c,26dもy軸に沿った姿勢で固定され、互いに平行な位置関係にある。そして、ポールピース対26A,26Bは、x軸とイオンビーム光軸に直交するy軸に沿って寸法dよりも大きな寸法g(>d)の隙間を介してイオンビーム光軸を挟んで対向している。
見方を変えると、ポールピース対26A,26Bはそれぞれ1つのポールピースと見なすことができ、本実施の形態においては、それらポールピースがそれぞれ2つに分割されたものと捉えることができる。そこで、寸法dの狭い隙間を極内間隙27、寸法gの広い隙間を極間間隙28とそれぞれ呼ぶことにする。両間隙27,28には絶縁体あるいは非磁性の金属をスペーサとして挟んでも良い。これによりポールピース間の距離を正確に規定することができる。
各ポールピース26a〜26dの各々には内側コイル29が同じ巻き数だけ巻いてある。これら4個の内側コイル29は直列に接続され、同じ強度で励磁される。内側コイル29を励磁すると、図5の上側の2つのポールピース26a,26cは互いに等しくN極となり、下側の2つのポールピース26b,26dは互いに等しくS極となる。すなわち内側コイル29により、x軸方向の磁場を発生させることができる。図5にはこのときの各ポールピースの極性を小文字のローマ字で示している。なお、ポールピース26a,26cがS極となるようにすれば、ポールピース26b,26dはN極となる。
ポールピース対26Aにはそれぞれを構成する2つのポールピース26a,26bを束ねて1つのコアとし、2つの内側コイル29を包囲するようにして外側コイル30が巻いてある。もう一方のポールピース対26Bにも同様に外側コイル30が巻いてある。2つの外側コイル30は互いに巻き数が等しく直列に接続されている。極性は互いに逆で、ポールピース対26BがN極のときポールピース対26AはS極となる。すなわち外側コイル30により、y軸方向の磁場を発生させることができる。図5にはこのときの各ポールピースの極性を大文字のローマ字で示している。なお、ポールピース対26BがS極となるようにすればポールピース対26AはN極となる。
これらのポールピース26a〜26dは環状の磁路31に固定されている。この磁路31は筒状に構成されており、イオンビーム3の全ては磁路31の穴(具体的にはポールピース対26A,26Bの間の極間間隙28)を通過する。つまり、磁路31や各ポールピース26a〜26d、コイル29,30にイオンビーム3が干渉しない構成である。磁路31の内周部には互いに対向する2つの取り付け座31a,31bが設けられており、取り付け座31a,31bの座面は取り付け誤差や製作誤差を許容する範囲で平行に形成されている。ポールピース対26Aを構成するポールピース26a,26bの根元部が取り付け座31aに、ポールピース対26Bを構成するポールピース26c,26dの根元部が取り付け座31bにそれぞれ固定されている。磁路31の材質や役割は磁路16に等しく、補正磁場発生部10が発生する磁場は磁路31により補正磁場発生部10の内部に効果的に閉じ込められる。
補正磁場発生部10による補正磁場と外部からの磁場(本例ではSEM17の対物レンズ8からの磁場)が完全に平行な場合、内側コイル29を励磁せずに外側コイル30にのみ励磁し、励磁電流を調節して外部からの磁場を補正磁場で相殺することにより、イオンビームスポットを外部からの磁場の影響がない場合と完全に一致させることが可能である。
それに加え、SEM17やイオンビームカラムの各構成要素の取り付け誤差や製作誤差により、補正磁場と外部からの磁場が完全な平行関係にない場合でも、外側コイル30とともに内側コイル29を励磁し、コイル29,30の励磁電流を調節して外部からの磁場のx方向成分とy方向成分の双方を補正磁場で相殺することができる。このように、本例の場合は、補正磁場が外部からの磁場と平行でない場合にもy方向の小さな磁場を発生させることにより、イオンビームスポットを外部からの磁場の影響がない場合と完全に一致させることが可能である。
また、補正磁場発生部10は静電型コンデンサレンズ4よりも下方に位置してあるため、集束後の細いイオンビームに補正磁場を作用させることができる。補正磁場発生部10がイオン源1から出射した直後のイオンビームに補正磁場を発生させる構成であると、集束される前のビーム径の太いイオンビームに補正磁場を作用させることになる。イオンビームを試料上で充分細く収束させるためには、補正磁場の位置でのビーム径よりも広い範囲にわたって充分一様な補正磁場を発生させる必要があり、補正磁場の一様でなければならない領域がそれだけ拡大され、補正磁場の必要十分な一様性を確保することが困難になる。
それに対し本実施の形態では、集束後のイオンビームに補正磁場を作用させるため、補正磁場の一様でなければならない範囲を縮小することができ、より確実に必要十分な補正磁場の一様性を確保することができる。
次に、補正磁場発生部10のポールピース間の寸法等について検討する。
例えば、補正磁場発生部10におけるイオンビームの直径を0.5mmとする。少なくともイオンビームを覆う部分においては補正磁場が一様でなければならないため、補正磁場の一様な範囲はイオンビームを包囲できる大きさ、つまりイオンビームの直径より広くなければならない。本願発明者等の知見によれば、試料表面でのスポット径をナノメータレベルに収束させるためには、補正磁場の一様性をx軸上の原点(イオンビーム光軸)を通る最大磁場を基準として最大磁場に対するイオンビーム外径部を通る磁場の差を最大磁場で序した値で定義した場合、この値が10−5以下である必要がある。
図6に極内間隙27の寸法dを0.4mm、0.6mm、0.8mmと変化させたときの補正磁場の相対値のx座標依存性を示す。いずれの場合も極間間隙28の寸法gは8mm、極幅(ポールピース対26A,26Bの幅)すなわち極内間隙27を介した2つポールピース26を合わせた幅wは15mmである。x軸の原点はイオンビームの光軸とする。図6の縦軸は、x座標におけるy軸方向磁場と原点のy軸方向最大磁場Bmaxの差をΔBとし、これをBmaxで除したものである。この値がx<0.5mmの範囲で10−5以下であれば良いとすれば、極内間隙27の寸法dが0.6mmのときに条件が満たされる。
次に、図7には極内間隙27の寸法dを0.6mmに固定して極幅wを15mm、20mmと変化させ、それによる違いを示した。その結果、極幅wを15mmとしたときに条件が満たされた。
図8には極内間隙27の寸法dを0.6mm、極幅wを15mmに固定して極間間隙28の寸法gを7.8mm、8.0mm、8.2mmと変化させ、それによる違いを示した。その結果、本例で仮定した条件下の中では、極内間隙(d)が0.6mm、極間間隙(g)が8mm、極幅(w)が15mmのとき最も良い特性が得られた。
図9には図8で求めた最も良い特性の場合について、x座標への依存性と併せてy座標への依存性を示している。
図9に示したように、y軸方向の磁場の一様性はx方向よりも1桁優れていることがわかる。以上から、本実施の形態では極内間隙を0.6mm、極間間隙を8mm、極幅を15mmとして図5の補正磁場発生部を製作し、良好な結果を得た。
図6〜図8から、極内間隙27を0.1mm増大させるとΔB/Bmaxは約3×10−5増大する。極幅を0.1mm増大させるとΔB/Bmaxは約2×10−5増大する。極間間隙28を0.1mm増大させるとΔB/Bmaxは約1×10−5減少する。したがって本実施の形態の寸法を基準として、極内間隙27の寸法dの増分をa、極幅wの増分をbとすると、極間間隙28の寸法gの増分cを
c=3a+2b (式7)
とすることにより、本実施の形態と同等な磁場の一様性を保つことができる。仮に(式7)の関係から逸脱しても、前述したx座標又はy座標の依存性の関係を用いて磁場の一様性の程度を計算することが可能であり、磁場の一様性に対する要求が本実施の形態よりも緩い場合には許容できる寸法を計算し直すこともできる。
ここで、図10に補正磁場を変化させたときのGaイオンビーム3の軌道の一シミュレーション結果の試料近傍の様子を示す。実線は69Gaの軌道を、破線は71Gaの軌道を示している。縦軸は磁場がない場合のイオンビームスポット位置を原点にとっている。
図10において、磁場が存在するときはイオンの質量電荷比によってイオンビームは分離するが、試料上での分離幅は試料上のイオンビームスポットの原点からの変位量に比例する。したがって、図10からも読み取れるように、イオンビームスポットの原点からのずれが小さいほど、2種の同位体の分離幅も小さくなる。本実施の形態の場合は補正磁場の磁束密度を1.96Gaussとしたときイオンビームが原点を通り、同位体分離幅もほぼ0となった。このときイオンビーム3の試料7への入射角は約1mrad、光軸からのイオンビーム3の最大変位は6μm以下である。そのため、イオンビームはイオンビーム光学系のほぼ中心を通り、イオンビーム光学系の収差等の性能への影響は無視できる。
イオンビームが対物レンズ6の中心から大きく逸脱すると集束イオンビームの分解能が悪化する。対物レンズ6の軸外収差のためにビームスポットが大きくなるからである。このような場合には図11に示すように、補正磁場発生部10をイオンビーム3の光軸上の試料7側に追設して2段直列とすることによって、試料上のイオンビームスポットが分離することなく、磁場が存在しない場合の位置に一致し、かつイオンビーム3が対物レンズ6の中心を通るようにすることができる。
また図12に示すように、補正磁場発生部10は1段のままで、図11で追設した補正磁場発生部10の代わりに静電偏向器24を用いてイオンビーム3が対物レンズ6の中心を通るように調整しても良い。静電偏向器24によるイオンビーム軌道の変化はイオンの質量電荷比に依存しないので、静電偏向器24によるイオンビームスポットの分離は生じない。したがってこの場合も、イオンビームスポットが分離することなく、かつイオンビーム3が対物レンズ6の中心を通るようにすることができる。ただし、この場合には試料上のビームスポットは磁場が存在しないときの位置からずれる。試料上のイオンビームスポットが分離せず、磁場が存在しないときの位置に一致し、かつイオンビーム3が対物レンズ6の中心を通るようにするためには静電偏向器24を2段直列にする必要がある。
なお、補正磁場の一様性を確保できれば、補正磁場発生部10はイオンビーム3の光軸上のどこにあっても良いが、SEM17の対物レンズ8の磁場を乱さない程度に試料7から遠ざけることが好ましい。一例として、本実施の形態では試料7上のビームスポット位置から100mmの位置に補正磁場発生部10を設置した。また補正磁場が有効な領域の長さは例えば10mm程度である。
第2の実施の形態
通常、SEMの対物レンズは頻繁に励磁を変化させる必要がある。焦点距離を変化させる、或いは加速電圧を変化させる等の場合である。これに応じてイオンビーム光軸上に影響を与える磁場の大きさも変化し、結果として試料7上のイオンビームスポットが変位し、この変位量に比例して同位体分離が発生する。
本実施の形態ではこの問題を解決するために、図13に示すように補正磁場制御部12を設けている。図13において既出図面と同様の部分又は同様の機能を果たす部分には同符号を付し説明を省略する。
補正磁場制御部12はSEM17の対物レンズ8の励磁電流を制御する励磁電流制御部13から対物レンズ8の励磁電流に比例した信号(つまり対物レンズ8への制御信号又はそれに基づく信号)を受け、これに比例した大きさの電流を補正磁場発生部10の内側コイル29に流す。つまり、励磁電流制御部13は、SEM17の対物レンズ8の励磁電流の変化量に比例して補正磁場発生部10の励磁電流を変化させる。外側コイル30を励磁する必要がある場合は、外側コイル30の励磁電流についてもSEM17の対物レンズ8の励磁電流の変化量に比例して変化させる。
本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、試料7上のイオンビームスポットの変位は光軸上の磁場の大きさに比例するので、本実施の形態の構成により、SEM17の対物レンズ8が発生する磁場が変化する場合でも、常にイオンビームスポットが原点、すなわち磁場が存在しないときのイオンビームスポット位置に維持され、同位体分離も生じない。
第3の実施の形態
イオンビームを偏向させる外部磁場がSEM17の対物レンズ8が発生する磁場以外にも存在し、かつ外部磁場の大きさが変化する場合には、実際に存在する磁場を測定することが有効である。本実施の形態では図14に示すように第2の実施の形態の構成に磁場測定子14を追設し、その出力を補正磁場制御部12が入力されるようにする。磁場測定子には、例えばHall素子を用いることができるが、磁気抵抗素子等の磁場測定が可能な素子であれば何を使用しても良い。図14において本実施の形態で言及しない番号で示された部分は図1及び図13と共通である。
SEM17の対物レンズ8が磁場を発生していない場合には、補正磁場制御部12は磁場測定子14が測定した磁場に比例した電流を補正磁場発生部10のコイルに流す。
通常は磁場の相対的な空間分布は一定と見なして良く、その強度因子のみが一様に変化するので、試料室内の任意の一点における任意の一方向の磁場強度を測定するだけで十分である。但し測定感度を向上させるためには、測定対象となる磁場の強度が可能な限り大きくなる位置及び方向で測定するのが良い。磁場の発生源が複数存在する場合等には試料室内磁場の相対的空間分布も変化することがある。そのような場合には磁場測定子14を複数設け、それらの出力を磁場制御部12に入力し、磁場制御部12は複数の入力の線形結合に比例した電流を補正磁場発生部10のコイルに流す。これによって磁場の相対的空間分布が変化する場合にも精度の高い補正を行うことができる。
SEM17の対物レンズ8が発生する磁場も変動する場合には、補正磁場制御部12はSEM対物レンズ励磁電流制御部13からのSEM対物レンズ8の励磁電流に比例した入力信号と磁場測定子14からの入力信号を適切な比率で線形結合した電流を補正磁場発生部10のコイルに流す。
試料7上のイオンビームスポットの変位は光軸上の磁場の大きさに比例するので、本実施の形態の構成により、SEM17の対物レンズ8が発生する磁場或いはそれ以外の外部磁場の少なくとも一方が変化する場合でも、常にイオンビームスポットが原点、すなわち磁場が存在しないときのイオンビームスポット位置に維持され、同位体分離も生じない。
本実施の形態においても既述の実施の形態と同様の効果を得ることができ、SEM17の対物レンズ8以外を発生源とする外部磁場の変化にも追従しイオンビームスポットの位置を最適化することができる。
第4の実施の形態
本発明の実施の形態4を図15に示す。既出図面を同様の部分又は同様の機能を果たす部分には同符号を付して説明を省略する。
図15において、SEM17の電子ビーム11の光軸とイオンビーム3の光軸とは試料7上の交差点20でほぼ直角に交差しており、SEM17の電子ビーム11の光軸上で交差点20に対してSEM17の対物レンズ8と反対側に電子検出器19が配置されている。本実施の形態では、SEM17を走査型透過電子顕微鏡(STEM)として使用する。
本実施の形態の場合、STEM観察のための試料7の所望個所が薄膜7aとして残るようにその周辺をイオンビーム3によりFIB加工する。また、薄膜試料7aに入射する電子ビーム11とそこから透過して電子検出器19に向かう透過電子ビーム18の行路もFIB加工により確保する。透過電子ビーム18は入射方向とほぼ同じ方向に進む小角散乱透過電子ビーム18aと入射方向から大きく外れた広角散乱透過ビーム18bからなり、それぞれを電子検出器19a,19bで検出する。電子検出器19a,19bの信号を入射電子ビームの走査と同期させた走査画像の輝度信号として走査画像を形成すると、それぞれ明視野像及び暗視野像が得られる。透過電子の散乱角度分布は試料の原子番号に強く依存し、原子番号が大きいほど広角散乱の割合が多くなる。そのため、暗視野像では原子番号コントラストの強い画像が得られる。
電子ビーム軸とイオンビーム軸をほぼ直角に交差させた構成により、FIB加工中、或いは加工後の薄膜試料7aを移動させることなくSTEM像によりモニター観察することができる。本例の場合、特にデバイスの不良解析などピンポイント加工が必要な加工・観察への応用に非常に有利である。試料7は前もってウェハーなどから分割した小片試料でも良いし、同じ試料室内でウェハーなどからマイクロサンプリング法により採取したマイクロサンプルであっても良い。
勿論、本実施の形態においても、SEM17の対物レンズ8からの試料7への漏洩磁場によるイオンビーム3の試料上での偏向や同位体イオンの分離は補正磁場発生部10により解消できるため、SEM17の対物レンズ8はその先端が観察試料部位から例えば4−8mmにまで近接した位置に配置できる。そのため、SEM17によるSEM/STEM観察を可能にしたことに加え、SEM17の高分解能化の効果も大きい。なお、本実施の形態において、SEM17をSTEMとしても使用可能な構成としたが、SEM17を単なるTEM(透過電子顕微鏡)として使用する構成とすることも可能である。
なお、以上の各実施の形態においては、FIB−SEMを対象にして本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、単なるFIB装置にも何らかの外部磁場がイオンビームに作用するような場合には本発明は適用可能である。
また、ビームスポットは必ずしも円形である必要はない。非点収差等の影響によりビーム断面が楕円形、或いは線状になっている場合でも、本発明における議論は等しく成り立つ。本発明におけるビームスポットの形状は何ら限定されるものではない。
また、図5に示した通り、以上の実施の形態ではポールピース26a〜26dの頂角をいずれも90度としたが、90度に限定されない。
さらに、本実施の形態ではイオンビームに含まれるイオン種が69Gaと71Gaの場合について説明したが、イオンビームに含まれるイオン種はこれに限定されない。Ga以外のよく知られたイオン源としては例えばSnが挙げられるが、この場合にはSn、Sn 、Sn2+等のイオンが同時に生成される。このように質量電荷比の異なるイオン種が複数含まれる例は同位体に限らず同素体、価数の異なるイオン、更には全く別の物質の混合体まであるが、本発明によればそれら全ての場合にも本実施の形態と同様に、磁場がない場合と同一の試料上の位置へイオンビームスポットを分離することなく形成することができる。
本発明第1実施の形態の光学系を説明する図。 本発明第1実施の形態のイオンビーム光軸上の磁場を示す図。 本発明第1実施の形態のイオンビーム軌道を示す図。 本発明第1実施の形態の補正磁場発生部の断面図。 本発明第1実施の形態の補正磁場発生部の上面図。 本発明第5実施の形態の補正磁場発生部の構成を説明する上面図。 本発明第5実施の形態の補正磁場発生部において極内間隙27を変化させたときの補正磁場相対値のx依存性を示す図。 本発明第5実施の形態の補正磁場発生部において極幅を変化させたときの補正磁場相対値のx依存性を示す図。 本発明第5実施の形態の補正磁場発生部において極間間隙28を変化させたときの補正磁場相対値のx依存性を示す図。 本発明第5実施の形態の補正磁場発生部において補正磁場相対値のx依存性とy依存性を併せて示す図。 本発明第1実施の形態の試料近傍のイオンビーム軌道を示す図。 本発明第1実施の形態の補正磁場発生部を2段直列とした場合の光学系を説明する図。 本発明第1実施の形態図1の光学系に静電偏向器を付加し、イオンビームが対物レンズの中心を通るように構成した場合の光学系を説明する図。 本発明第2実施の形態の光学系を説明する図。 本発明第3実施の形態の光学系を説明する図。 本発明第4実施の形態の光学系を説明する図。
符号の説明
1 イオン源
2 加速電極
3 イオンビーム
4 コンデンサレンズ
5 クロスオーバー
6 対物レンズ
7 試料
7a 薄膜試料
8 対物レンズ
9 磁気遮蔽体
10 補正磁場発生部
10’ 補正磁場発生部
11 電子ビーム
12 補正磁場制御部
13 励磁電流制御部
14 磁場測定子
15 コイル
16 磁路
17 SEM
18a 小角散乱透過電子ビーム
18b 広角散乱透過電子ビーム
19 電子検出器
19a 小角散乱透過電子検出器
19b 広角散乱透過電子検出器
20 交差点
21 陰極
22 E×B
23 二次電子検出器
24 静電偏向器
25 磁力線
26 ポールピース
27 極内間隙
28 極間間隙
29 内側コイル
30 外側コイル
31 磁路
32 イオンビーム光学系

Claims (16)

  1. イオンビームを試料上に集束させて前記試料の加工或いは観察の少なくとも一方を行う集束イオンビーム装置において、
    前記イオンビームの光軸上に、集束イオンビーム光学系の外からの外部磁場の影響による前記イオンビームの偏向を補正する補正磁場を発生させる補正磁場発生部を備え、
    前記補正磁場発生部は、寸法dの間隙を介して隣接する2つのポールピースを1つのポールピース対として、2つのポールピース対を寸法dよりも広い寸法gの間隙を介し前記イオンビームの光軸を挟んで対向配置し、
    さらに、前記4つのポールピースにそれぞれ巻いた内側コイル、及びこれら内側コイルを包囲するようにして前記2つのポールピース対にそれぞれ巻いた外側コイルを有している
    ことを特徴とする集束イオンビーム装置。
  2. イオンビームを試料上に集束させて前記試料の加工或いは観察の少なくとも一方を行う集束イオンビーム装置において、
    前記イオンビームの光軸上に、集束イオンビーム光学系の外からの外部磁場の影響による前記イオンビームの偏向を補正する補正磁場を発生させる補正磁場発生部を備え、
    前記補正磁場発生部は、前記イオンビーム光軸を挟んで対向配置した2つのポールピース、及びこれら2つのポールピースにそれぞれ巻かれたコイルを有しており、
    さらに、前記2つのポールピースをそれぞれに内側コイルが巻かれた2つの分割ピースにそれぞれ分割してある
    ことを特徴とする集束イオンビーム装置。
  3. 前記補正磁場発生部が前記イオンビーム光学系におけるイオンビームの集束後の位置に設けられていることを特徴とする請求項1の集束イオンビーム装置。
  4. 前記試料側に磁場を発生させる対物レンズを持つ電子顕微鏡を備えたことを特徴とする請求項1の集束イオンビーム装置。
  5. 前記電子顕微鏡の光軸と前記イオンビームの光軸が前記試料上で交差していることを特徴とする請求項4の集束イオンビーム装置。
  6. 前記電子顕微鏡の光軸と前記イオンビームの光軸が前記試料上の交差点で直角に交差しており、前記電子顕微鏡の光軸上で前記交差点に対して前記電子顕微鏡の対物レンズと反対側に電子検出器を配置したことを特徴とする請求項の集束イオンビーム装置。
  7. 前記電子顕微鏡の対物レンズの励磁電流を基に、前記電子顕微鏡の対物レンズから発生する磁場の変動に追従して前記補正磁場を制御する補正磁場制御部を備えたことを特徴とする請求項4の集束イオンビーム装置。
  8. 前記イオンビーム光軸の周辺に少なくとも一個の磁場測定子を備え、前記磁場測定子の測定結果を基に、前記外部磁場の変動に追従して前記補正磁場発生部から発生する補正磁場を制御する補正磁場制御部を備えたことを特徴とする請求項1の集束イオンビーム装置。
  9. 前記イオンビーム光学系を覆う磁気遮蔽体を備えたことを特徴とする請求項4の集束イオンビーム装置。
  10. 前記イオンビーム光学系の前記試料から遠い側を覆う前記磁気遮蔽体の前記試料側の端面から前記試料までの距離Lは、
    磁場がない場合の前記試料上のイオンビームスポットに座標原点をとって前記光軸上に座標系を設定し、前記電子顕微鏡の対物レンズの励磁電流の値を基に求めた座標zにおける前記光軸に垂直な磁場成分をBy(z)、前記イオンビームの加速電圧の値Vaccを基に求めた前記光軸上の座標z1における電位をφ(z1)としたとき、
    Figure 0004273141
    で表される条件を満足するように定められていることを特徴とする請求項の集束イオンビーム装置。
  11. 前記イオンビームが複数種の質量電荷比の異なるイオン種を含むことを特徴とする請求項1の集束イオンビーム装置。
  12. 前記複数種の質量電荷比の異なるイオン種が複数種の同位体であることを特徴とする請求項11の集束イオンビーム装置。
  13. 前記イオンビームのイオン源がGa液体金属イオン源であることを特徴とする請求項1の集束イオンビーム装置。
  14. 前記補正磁場発生部は前記イオンビーム光軸上に配置され、かつ前記イオンビームを全て通過させる穴を備えていることを特徴とする請求項1の集束イオンビーム装置。
  15. 前記補正磁場発生部を前記イオンビームの光軸上の前記試料側に追加して2段直列としたことを特徴とする請求項1の集束イオンビーム装置。
  16. 前記イオンビームの光軸上の前記補正磁場発生部よりも前記試料側に1段又は2段の静電偏向器を設けたことを特徴とする請求項1の集束イオンビーム装置。
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