JP4272880B2 - 色補正方法及び画像処理装置とルックアップテーブル - Google Patents

色補正方法及び画像処理装置とルックアップテーブル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2つの色差値を入力し、その色差値に対応する彩度値を得て色補正を行う技術に関するもので、特に、色情報における彩度と色相角を効率的、かつ高速に計算するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、デジタルカラー画像の色補正に関しては、さまざまな方法及び装置が提案されている。この色補正に関して多くの場合、「色の三属性」、即ち、輝度Y、色相角H、彩度Sによって色が管理、補正されている。例えば、その代表的なものがL*a*b*色空間である。このような色空間においては、上記のような三属性で色を扱えるので、直感的に色を管理し把握することができる。一方、デジタルカラーデータは、通常RGB信号で管理されているが、実際にはこれらの3要素では色補正において、理論付けて色を管理することが難しい。例えばL*a*b*色空間の場合、彩度や色相角は下記のような関係で求められる。
【0003】
S={(a*)2+(b*)21/2
H=tan-1(b*/a*)
このような式を用いて彩度や色相角を計算する場合は、ルート関数や三角関数が必要となる。これらは、例えばパソコン上で動作するソフトウェアで動作させる場合には、C言語などの標準関数を利用することができるが、通常「浮動少数演算」を要する。また「浮動少数演算」を利用できないシステムにおいては、ルート演算を整数演算のみで実現する「開平算」のようなアルゴリズムによって実現したり、或いは三角関数を必要とする精度を保てる範囲でテーブル化するなどの手段がとられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の「浮動少数演算」は一般的に処理負荷が大きく、又、それを代用するための整数演算のみのアルゴリズムは、それ以上の処理負荷が必要となってしまう。前述したように、彩度や色相は色補正において最も基本的な要素であり、更にその変換処理に要する負荷はデジタル画像の画素数に依存したものとなる。つまり、画素数の増加に伴って処理負荷も増加することになる。従って、これらの要素を効率的に、かつ高速に求めることは非常に重要である。
【0005】
彩度や色相角は、二つの色差信号から計算されることに着目すれば、各要素の最大値と最小値を含めることができる二次元のルックアップテーブル(以下、LUTと記す)によって高速化できることは容易に想像できる。しかしながら、この方法は非常に無駄なメモリを必要とするため効率的な方法とはいえない。
【0006】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、彩度や色相角を参照するためのルックアップテーブルのデータ数を必要最小限にして、効率的にかつ高速にルックアップテーブルを参照して色補正を行うことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の色補正方法は以下のような工程を備える。即ち、
少なくとも2つの色差値を入力して対応する彩度値を得る色補正方法であって、
前記色差値に対する前記彩度値を予め計算して格納している主ルックアップテーブルと、前記2つの色差値が同じである entry のアドレスを記憶し、前記主ルックアップテーブルにアクセスするためのアドレスを求めるための補助ルックアップテーブルとを作成しておき、
任意の2つの色差値に対応して、前記補助ルックアップテーブル及び前記2つの色差値の差分に基づいて前記主ルックアップテーブルのアドレスを決定し、
前記決定された前記主ルックアップテーブルのアドレスから前記2つの色差値に対応する彩度値を求めることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。この実施の形態を説明する前に、本実施の形態の原理について簡単に説明する。
【0009】
彩度及び色相角を求める際の「対称性」を利用して参照LUT(ルックアップテーブル)の数を約半分にすることを考え、更に画像処理を行う色空間に特化した形で、色として存在する範囲のみを網羅する範囲で参照LUTを構成する。このように構成したLUTから必要とする結果(彩度や色相角)を得るために、求めたい結果そのものを格納するための主LUTと、求めたい要素(この場合、色差信号)の組合せに対応する主LUTのアドレスに効率的にアクセスするための補助LUTを用意し、更に、2つの要素の内、小さい方の要素で上記補助LUTを参照して得られる値と2つの要素の差(絶対値)との和によって主LUTの参照アドレスを計算して、主テーブルに格納された結果を得る。更に、色相角を得る際には、2つの要素の正負の組合せと各要素の大小関係によって、主LUTから得られる結果を加工することによって色相環をカバーすることを特徴とするものである。
【0010】
尚、以下で説明する画像処理は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置へ画像処理プログラムを供給することによって実現される。その画像処理プログラムとしては、画像入力機器などから画像を受け取るドライバソフトウェア、画像を編集する画像編集ソフトウェア、画像出力機器などへ画像を出力する、所謂、プリンタドライバなどのドライバソフトウェア、などが想定される。
【0011】
また、下記の画像処理の実行はコンピュータ機器に限定されるわけではなく、画像入力機器又は画像出力機器において実行することも可能である。特に、ディジタルカメラのような画像入力機器と、インクジェットプリンタのような画像出力機器とを直接接続して、ディジタルカメラで撮影された画像をプリントするような場合、以下に説明する画像処理は、画像入力機器または画像出力機器で行われる。
【0012】
[本発明の適用範囲]
本実施の形態を詳細に説明する前に、この実施の形態が適用される画像処理について図1のフローチャートを参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る画像補正処理の一例を示すフローチャートである。
【0014】
まずステップS101では、入力画像を解析する。ここでは、輝度に関するヒストグラムや彩度に関するヒストグラム、或いは色相に関するヒストグラムなどに基づいて入力画像の特徴を解析する。次にステップS102では、ステップS101の解析結果に基づいて、画像補正処理を決定する。更にステップS103に進み、ステップS102で決定された補正方法に従って画像補正処理が実行される。本実施の形態の画像補正は、その画像補正の内容そのものに依存するものではなく、画像補正の過程で彩度や色相を扱う全ての場合に適用できる。
【0015】
なお、ここでは本実施の形態に係る原理は、YCC色空間で説明する。ここでいうYCC色空間とは、一般的な24ビットのRGBデジタル画像信号に対して、例えば、
Y=0.3R+0.59G+0.11B
C1=R−Y
C2=B−Y
の3要素によって構成される色空間である。但し、本発明は、上記のYCC色空間に限定されるものではなく、例えばL*a*b*色空間やL*u*v*色空間であっても、本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。
【0016】
[原理説明]
まず本実施の形態に係る原理に関して、図2を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、2つの入力値(整数)に対応する出力値を得るための関数F(x,y)に関して、予め取り得る範囲の入力値(定義域)に対する出力値のLUTを作成するものである。
【0017】
ここで、2つの色差信号C1(0≦C1≦7),C2(0≦C2≦8)に対する彩度をLUTによって求める場合で説明する。ここで図2の各ブロックが参照すべき出力値LUTに相当している。
【0018】
このとき、全ての組合せに対してLUTを作成すると、8×9=72個のテーブルが必要になる。これら各テーブルに対して、予め計算した彩度を格納しておけば、任意の組合せ(C1,C2)に対して、作成したLUTによって彩度を参照することができる。
【0019】
しかしながら、例えば彩度Sは、
S={(C1)2+(C2)21/2
で定義されるように、2つの入力値に関して対称性を有している。即ち、図2の各ブロック(LUT)に格納される彩度は、斜線を付したブロック200に関して明らかに対称である。従って、図2の破線で示すブロック群201(斜線ブロック群200の右下のブロック群)は、実質的に不要であることが分かる。
【0020】
更に、例えば色空間においては存在しない領域もある。つまり、2つの入力値の各定義域に対する組合せの全てが存在するわけではない。このような存在しない領域を、図2の黒で塗りつぶしたブロック群202で表している。
【0021】
従って、彩度を参照するために必要なブロック数(即ちテーブルの数)は、上述の72個から不要なブロック数(ここでは34個)を引いた38個となる。このように、本実施の形態では、入力値に対する出力値の対称性を利用し、更に入力値自体の組合せの存在条件を考慮することによって、LUTの大きさを最小限にすることを特徴としている。
【0022】
次に、上記のように作成したLUTに対して、効率的に参照するための方法を説明する。例えば、LUTがn次元的に均一(図2で言えばブロックの集まりが矩形であること)なものであれば、任意の入力値に対してテーブルを参照することは容易である。即ち、任意の入力値に対するLUTのアドレス(番地)を容易に計算することができる。
【0023】
しかしながら、図2のようにブロック(LUT)を作成すると、任意の組合せに対するアドレスを計算することが難しくなる。そこで、本実施の形態では、出力値を参照するための主LUTとは別に補助LUTを作成する。
【0024】
以下、図2を参照して、更に詳しく主LUTと補助LUTの作成方法を説明する。
【0025】
主LUTは、図2の矢印(一点破線)203に沿って作成する。即ち、各C1に対して下から上へ、即ち、C2が小さい値から大きくなる方向に、必要なブロックに関するLUTを作成する。また、C1の各値に対する斜線ブロック200のアドレスを補助LUTとして作成する。具体的には、図2における補助LUT(SUB_LUT[8])は次のようになる。
【0026】
SUB_LUT[8]={0, 9, 17, 24, 29, 32, 35, 37}
ここで[]内の数値は、補助LUTのテーブル数であり、{}内の数値は、C1の各値に対する主LUTにおける斜線ブロック200のアドレス(矢印203の方向にブロックをカウントした場合の順番)を示している。即ち、SUB_LUT[0]=0,SUB_LUT[1]=9,SUB_LUT[2]=17,…となる。またブロックのアドレスは、例えば、一番左下の斜線ブロック200のアドレスは「0」、その斜め右上の斜線ブロック200のアドレスは「9」、更にその斜め右上の斜線ブロック200のアドレスは「17」(以下同様)となる。更に、このように作成した補助LUTと入力値(C1,C2)の差を利用することによって、主LUTのアドレスを以下のように計算することが可能となる。即ち、
(主LUTのアドレス)=SUB_LUT[C1]+(C2−C1) …式(1)
となる。但し、C1≦C2とする。
【0027】
即ち、C1=2,C2=5のブロック204のアドレスは、
SUB_LUT[2]+(C2−C1)=17+(5−2)=20となり、このブロック204のアドレス(「20」)が得られることになる。
【0028】
逆に、C1>C2の場合は、上述した対称性によって、
(主LUTのアドレス)=SUB_LUT[C2]+(C1−C2) …式(2)
とすれば良い。
【0029】
以上説明したように本実施の形態に係る原理によれば、複数の入力値に対する出力値が入力値に関して対称性を有していれば、出力値を求めるLUTのサイズを小さくすることができる。更に、入力値の組合せに関してその存在条件を考慮することによって、LUTのサイズを最小限にすることができる。また、LUTを参照するためのアドレスは、補助LUTと入力値間の差を用いることによって、効率的かつ高速に計算することができる。
【0030】
更に、本実施の形態の原理の説明は、2次元(入力値が2つ)の場合で行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲でn次元のLUT作成に対して適用できることは言うまでもない。
【0031】
また、LUTを作成するためには、入力値が整数である必要があるが、例えば、入力値に小数点以下の精度が求められるような場合には、予め各入力値を適当に整数倍しておいた上でLUTを作成すればよい。この方法によれば、例えばL*a*b*のような浮動少数点数を必要とするような色空間においても、必要とする精度に応じて入力値の各要素を整数化することによって本実施の形態に係る原理が適用できる。
【0032】
[実施の形態1]
以下、上述した原理を利用して、YCC色空間における彩度を求める方法に関して説明する。
【0033】
いま24ビットのRGB画像(各色8ビット)に対する輝度及び色差信号は以下のように定義されるものとする。
【0034】
Y=0.3R+0.59G+0.11B
C1=INT[R−Y]
C2=INT[B−Y]
ここで、INT[x]はxを整数化することを意味する。もし、色差信号に対して小数点以下の精度が求められる場合は、必要とする精度に応じてxを予め整数倍しておけばよい。但し、本実施の形態では、単純に小数点以下を切り捨てる場合で説明する。このとき、2つの色差信号C1,C2が取り得る範囲はそれぞれ、
−178≦C1≦179
−226≦C2≦227
となる。また、彩度の計算は二乗和の平方根であることから、明らかに正負には依存しない。従って、図3の斜線部分300に対してLUTを作成すればよい。ここで、本実施の形態では、傾きが1の直線301よりも上側の領域300にLUTを作成することを考えているので、C1の絶対値の最大値がC2の絶対値の最大値よりも小さいことからC1を横軸にしている。
【0035】
次に、C1,C2の存在条件について考慮する。
【0036】
24ビットのRGB画像から上記の定義によって取り得る色差信号の範囲は、例えば図4に示すようになる。更に彩度計算においては、色差信号の正負に依存しないために、第2,3,4象限の範囲をそれぞれ各軸で反転して第一象限に重ね合わせてできる領域に対してLUTを作成すればよい。
【0037】
ここで注意すべき点は、前述の原理でも説明したように、C2<C1のときはC2とC1との差を基準にしてアドレスを計算するので、C2に対するC1の存在条件(最大値)も満たすLUTにしておく必要がある。つまり小さい方の要素が横軸、大きい方の要素が縦軸として、全ての存在する組合せに対してLUTを作成しておくことである。
【0038】
以上の条件を満たす範囲は、図5の500で示す領域である。従って、C1,C2の定義域をカバーする矩形領域に対してLUTを作成する場合と比べると、明らかにLUTのテーブル数、即ち、LUTデータを格納するメモリ容量を節約できることが分かる。
【0039】
本実施の形態の原理で詳細に前述したように、この領域に対して、予め彩度計算を行って主LUT(S_LUT)を作成し、また、横軸の要素に対する傾き1の直線の上側にあるLUTのアドレスを格納する補助LUT(SUB_LUT)を作成しておけば、任意のC1,C2に対して
(i)C1<C2のとき
S=S_LUT[SUB_LUT[C1]+C2−C1]
(ii)C1>C2のとき
S=S_LUT[SUB_LUT[C2]+C1−C2]
によって、その彩度を示す主LUT(S_LUT)のアドレスを求めることができ、これによりその彩度を求めることができる。
【0040】
尚、LUTそのものの精度は、必要に応じて工夫すればよい。浮動少数点精度が必要であれば、浮動小数点型の配列とすることもできるし、メモリ容量を節約するためには、整数型の配列で、各要素(=彩度)を予め必要な精度が得られるだけ整数倍しておけばよい。また、本実施の形態の冒頭で述べたように、入力値である色差信号に対しても必要な精度に応じて整数倍しておくことで精度の向上を図ることができる。
【0041】
[実施の形態2]
次に本発明の実施の形態2では、色相角を求める方法について説明する。前述の実施の形態1で説明した彩度では明らかに対称性があったが、色相Hは、
H=tan-1(C1/C2)
で求められるため、一見したところ対称性があるといえない。しかしながら、発想次第では、対称性があるとみなすことができる。即ち、角度は周期性をもっており、更に三角関数は傾き1の直線に対してある種の対称性があることを利用する。
【0042】
即ち、図6の点P(C1,C2)に格納された角度θを用いて、傾き1の直線600に対して線対称に位置する点Q(C2’,C1’)の角度は(90−θ)で求めることができる。更に、入力値であるC1,C2の符号及びそれらの大小関係に応じて、図7に示すように、8つの領域に分けて考えれば、LUTから得られる第一領域(領域▲1▼)のθに基づいて、各領域での色相角を図のように計算することができる。
【0043】
従って、色相角を参照するためのLUTに必要なテーブル数も、前述の実施の形態1と同じ領域に対してLUTを作成すれば十分であることが分かる。
【0044】
このように本実施の形態2によれば、入力要素に対して出力値の得るための関数が、入力要素に関して対称性を有している場合はもちろんのこと、完全に対称性を有していない場合でも、発想次第で対称性を有するもとのみなせれば、本発明の原理を適用することができる。
【0045】
図8は、上述した実施の形態に係るルックアップテーブルを備えた画像処理装置の概略構成を示すブロック図で、ここでは画像入力部83から入力したカラー画像データの各画素データの色補正を行う場合で説明する。
【0046】
80はマイクロプロセッサ等のCPUで、RAM81のプログラムメモリに記憶された制御プログラムに従って各種制御動作を実行している。82は液晶やCRT等の表示部で、入力した画像或いは色補正済みのカラー画像を表示することができる。画像入力部83は、例えばテレビジョン信号を受信するチューナ、或いはCD,DVDやVHS等の記憶媒体に記憶されている画像データを入力する再生装置であってもよく、また或いはインターネット等からのカラー画像データを入力できるインターフェース部であっても良く、この画像処理装置にカラー画像データを入力する。84は前述した主LUTで、複数の入力値(色差値)に対する出力値(彩度値)が、その入力値(色差値)に関して対称性を有していることを利用し、そのLUTのサイズを小さくし、入力される色差値に応じた彩度値を格納しているルックアップテーブルである。85は前述した補助LUTで、主LUT84をアクセスするための補助的なアドレスを記憶している。86は、通信回線やネットワークとのインターフェースを司るネットワーク・インターフェース部である。
【0047】
図9は、この画像処理装置において実行される処理を説明するフローチャートで、この処理を実行するプログラムはプログラムメモリに記憶されており、CPU80がこのプログラムメモリに記憶されているプログラムに従ってこの処理を実行することにより、この制御処理が実現される。
【0048】
まずステップS1で、画像入力部83よりディジタルカラー画像データ(RGBデータ)を入力する。次にステップS2に進み、その入力した画像データのある画素のRGBデータから輝度信号Y、色差信号(C1(R−Y)、C2(R−B))を求める。次にステップS3に進み、C1の値をもとに補助LUT85にアクセスして、その出力[SUB_LUT(C1)]を求める。そしてステップS4に進み、C2とC1の差分値と、ステップS3で求めた[SUB_LUT(C1)]とから、前述の式(1)に従って主LUT84のアドレスを求める。次にステップS5に進み、ステップS4で求めたアドレスで主LUT84にアクセスして、その主LUT84からデータ(ここでは彩度値)を読み出す。そしてステップS6で、その読み出した彩度値を、その画素の彩度とする。そしてステップS7に進み、入力した画像データの全ての画素に対する処理が終了したかを調べ、終了していない時はステップS2に戻り、前述の処理を実行する。こうして、入力された画像データの全ての画素に対する処理が終了するとこの色補正処理を終了する。
【0049】
尚、画像入力部83から出力される画像データがアナログ信号の場合には、そのアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器を備え、これによりディジタル化された画像信号を処理すれば良い。
【0050】
[他の実施形態]
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0051】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0052】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0053】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0054】
また、上記の実施形態ではYCC色空間で説明を行ったが、均等色空間L*a*b*など他の色空間で参照テーブルを作成してもよい。
【0055】
尚、以上説明した本実施の形態は、以下の実施態様で表わすことができる。
【0056】
[実施態様1] 少なくとも2つの色差値を入力して対応する彩度値を得る色変換方法であって、
前記色差値に対する前記彩度値を予め計算して格納している主ルックアップテーブルと、前記主ルックアップテーブルにアクセスするためのアドレスを求めるための補助ルックアップテーブルとを作成しておき、
任意の2つの色差値に対応して、前記補助ルックアップテーブル及び前記2つの色差値の差分に基づいて前記主ルックアップテーブルのアドレスを決定し、
前記決定された前記主ルックアップテーブルのアドレスから前記2つの色差値に対応する彩度値を求めることを特徴とする色補正方法。
【0057】
[実施態様2] 前記主ルックアップテーブルは、前記色差値に対する彩度値の対称性を利用して、前記2つの色差値の取り得る全ての組み合わせの数よりも少ない数のテーブルデータを有していることを特徴とする実施態様1に記載の色補正方法。
【0058】
[実施態様3] 前記補助ルックアップテーブルは、前記2つの色差値が同じであるテーブルデータのアドレスを記憶していることを特徴とする実施態様1又は2に記載の色補正方法。
【0059】
[実施態様4] 入力値に対して定義される出力値を求めるためのルックアップテーブルであって、
出力値の定義が複数の入力値に関して対称性或いは対称性を有するとみなせる場合、或いは前記複数の入力値の組み合わせが特定の存在条件によって制限される場合、前記対称性と前記特定の存在条件のうち少なくとも一つを考慮して前記複数の入力値に対する出力値を格納している主ルックアップテーブルと、
前記複数の入力値が同じ値であるテーブルデータのアドレスを記憶している補助ルックアップテーブルとを有し、
任意の2つの入力値に対応して、前記補助ルックアップテーブル及び前記2つの入力値の差分に基づいて前記主ルックアップテーブルのアドレスを決定することを特徴とするルックアップテーブル。
【0060】
[実施態様5] 前記特定の存在条件は、色空間であることを特徴とする実施態様4記載のルックアップテーブル。
【0061】
[実施態様6] 前記出力値は、予め決定した色空間における彩度であることを特徴とする実施態様4又は5に記載のルックアップテーブル。
【0062】
[実施態様7] 画像データの各画素の2つの色差値を入力して対応する彩度値を求める画像処理装置であって、
前記色差値に対する前記彩度値を予め計算して格納している主ルックアップテーブルと、
前記主ルックアップテーブルにアクセスするためのアドレスを求めるための補助ルックアップテーブルと、
画像データの画素の2つの色差値に対応して、前記補助ルックアップテーブル及び前記2つの色差値の差分に基づいて前記主ルックアップテーブルのアドレスを決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された前記主ルックアップテーブルのアドレスに基づいて前記主ルックアップテーブルにアクセスして対応する彩度値を読み出す読出し手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【0063】
[実施態様8] 前記主ルックアップテーブルは、前記色差値に対する彩度値の対称性を利用して、前記2つの色差値の取り得る全ての組み合わせの数よりも少ない数のテーブルデータを有していることを特徴とする実施態様7に記載の画像処理装置。
【0064】
[実施態様9] 前記補助ルックアップテーブルは、前記2つの色差値が同じであるテーブルデータのアドレスを記憶していることを特徴とする実施態様7又は8に記載の画像処理装置。
【0065】
以上説明したように本実施の形態によれば、予め色処理を行う色空間において、本実施の形態で説明した原理に基づいてLUTを作成することによって、最小限のメモリ容量でかつ効率的に任意の色差信号に対する彩度を取得することができる。
【0066】
更に、実施の形態2によれば、色相角に関しても同様のLUTの大きさで、入力信号の符号の組合せと大小関係を利用することによって任意の色差信号に対する色相角を求めることが可能となる。
【0067】
更に本実施の形態で示したものに限定されるものではなく、複数の入力値に対する出力値が、それら入力値に関して対称性を有する、もしくは有するものとみなせる場合に、本発明の原理が適用できる範囲においてその範疇に含まれることは言うまでもない。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、彩度や色相角を参照するためのルックアップテーブルのデータ数を必要最小限にして、効率的にかつ高速にルックアップテーブルを参照して色補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理の一例を示すフローチャートである。
【図2】本実施の形態における原理を説明するための図である。
【図3】入力値に対する出力値の対称性を考慮した場合のLUT領域を説明する図である。
【図4】画像信号のYCC色空間の色差信号の存在範囲例を説明する図である。
【図5】図4の色差信号の存在範囲から、彩度を参照するために必要なLUT領域を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る色相角の対称性を説明するための図である。
【図7】実施の形態2に係る色差信号の符号及び大小関係による領域分割例を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本実施の形態に係る画像処理における色補正処理を説明するフローチャートである。

Claims (7)

  1. 少なくとも2つの色差値を入力して対応する彩度値を得る色補正方法であって、
    前記色差値に対する前記彩度値を予め計算して格納している主ルックアップテーブルと、前記2つの色差値が同じである entry のアドレスを記憶し、前記主ルックアップテーブルにアクセスするためのアドレスを求めるための補助ルックアップテーブルとを作成しておき、
    任意の2つの色差値に対応して、前記補助ルックアップテーブル及び前記2つの色差値の差分に基づいて前記主ルックアップテーブルのアドレスを決定し、
    前記決定された前記主ルックアップテーブルのアドレスから前記2つの色差値に対応する彩度値を求めることを特徴とする色補正方法。
  2. 前記主ルックアップテーブルは、前記色差値に対する彩度値の対称性を利用して、前記2つの色差値の取り得る全ての組み合わせの数よりも少ない数のentryを有していることを特徴とする請求項1に記載の色補正方法。
  3. 入力値に対して定義される出力値を求めるためのルックアップテーブルであって、
    出力値の定義が複数の入力値に関して対称性或いは対称性を有するとみなせる場合、或いは前記複数の入力値の組み合わせが特定の存在条件によって制限される場合、前記対称性と前記特定の存在条件のうち少なくとも一つを考慮して前記複数の入力値に対する出力値を格納している主ルックアップテーブルと、
    前記複数の入力値が同じ値であるentryのアドレスを記憶している補助ルックアップテーブルとを有し、
    任意の2つの入力値に対応して、前記補助ルックアップテーブル及び前記2つの入力値の差分に基づいて前記主ルックアップテーブルのアドレスを決定することを特徴とするルックアップテーブル。
  4. 前記特定の存在条件は、色空間であることを特徴とする請求項に記載のルックアップテーブル。
  5. 前記出力値は、予め決定した色空間における彩度であることを特徴とする請求項又はに記載のルックアップテーブル。
  6. 画像データを入力して対応する彩度値を求める画像処理装置であって、
    入力した画像データの各画素の色差値を求める演算手段と、
    前記色差値に対する彩度値を予め計算して格納している主ルックアップテーブルと、
    2つの色差値が同じである entry のアドレスを記憶し、前記色差値に対応して前記主ルックアップテーブルにアクセスするためのアドレスを求めるための補助ルックアップテーブルと、
    前記演算手段により求められた各画素の2つの色差値に対応して、前記補助ルックアップテーブル及び前記2つの色差値の差分に基づいて前記主ルックアップテーブルのアドレスを決定する決定手段と、
    前記決定手段で決定された前記主ルックアップテーブルのアドレスに基づいて前記主ルックアップテーブルにアクセスして対応する彩度値を読み出す読出し手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  7. 前記主ルックアップテーブルは、前記色差値に対する彩度値の対称性を利用して、前記2つの色差値の取り得る全ての組み合わせの数よりも少ない数のentryを有していることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
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